JP3523623B2 - 木質繊維板 - Google Patents

木質繊維板

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JP3523623B2 JP2001264677A JP2001264677A JP3523623B2 JP 3523623 B2 JP3523623 B2 JP 3523623B2 JP 2001264677 A JP2001264677 A JP 2001264677A JP 2001264677 A JP2001264677 A JP 2001264677A JP 3523623 B2 JP3523623 B2 JP 3523623B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は木質繊維板に関す
る。 【0002】 【従来の技術】従来より木質繊維板は住宅の壁材、ド
ア、床材等建材の基板などに広く用いられている。 【0003】一方、住宅内において建材や、建材の製造
時および施工時に用いられる接着剤から放散されるホル
ムアルデヒド、トルエン、キシレンなどのVOC(揮発
性有機化合物)が居住者に頭痛、吐き気などのハウスシ
ック症候群を引き起こす一因と考えられており、これを
防止するため、近年は、建材や建材の製造時および施工
時に用いられる接着剤としてホルムアルデヒドなどのV
OCを放散しないものを用いるか、あるいは少なくとも
その放散量を低減させることが求められてきている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、VOC
の発生を低減させた建材も一部において市販され始めて
はいるもののいまだに完全に普及しているとは言いがた
い状況であって、今後もVOC対策がなされていない建
材を使用する場合が想定され、また、VOC対策がなさ
れていない既存の住宅が多数存在するため、このような
住宅において、建材や接着剤から放散される室内のVO
Cを低減させるための何らかの方策が必要となる。 【0005】また、最近の住宅は冷暖房効率を良くする
ために住宅自体の気密性を高くしており、このために室
内の湿気の逃げ場が無くなって室内に湿気がこもりやす
くなり、結露が生じ、健康上有害なカビの発生および繁
殖を促すという問題も指摘されている。 【0006】 【課題を解決するための手段】そこで本発明は、上記問
題を解決し、VOC吸着作用および湿気調整作用を有す
る木質繊維板を提供することを目的とする。 【0007】この目的を達成するため、請求項1にかか
る本発明は、木質繊維と繊維状または粉状の炭類とが接
着剤を介して成形一体化されてなり、炭類が中層のみに
混入されていることを特徴とする木質繊維板である。 【0008】 【0009】木質繊維板の製造過程で、木質繊維ととも
に、VOC吸着性能を有する炭類が混入されているの
で、建材や接着剤から放散されて室内に浮遊しているV
OCを吸着して室内VOC量を低減させる。また、木質
繊維板内の炭は湿気調整性能を有するので、高湿度時に
は室内の湿気を吸収して木質繊維板内に保持することに
よって室内の湿度を下げ、低湿度時には木質繊維板内に
保持していた湿気を放出して室内の湿度を上げる作用を
発揮し、一年を通じて室内の湿度をほぼ一定に保つこと
ができるので、カビの発生や湿度変化による不快さをや
わらげ、居住者が健康で快適に生活することができるよ
うになる。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明による木質繊維板は、木質
繊維と繊維状または粉状の炭類とが接着剤を介して成形
一体化されてなるものであって、多孔質である炭類がホ
ルムアルデヒドなどのVOCを吸着保持する作用を発揮
するとともに、高湿度時は湿気を吸収して保持し、低湿
度時は湿気を放出する吸放湿作用も有する。炭類とは、
具体的には、木炭、セラミック炭、活性炭などを意味
し、好ましくは5mm以下の繊維状または粉状のものが
用いられる。炭の形状として繊維状または粉状のものを
用いることにより、木質繊維板の主原料となる木質繊維
とほぼ同じ形状となり、従来の木質繊維板製造工程と同
様にして本発明の炭類混入木質繊維板を製造することが
でき、その性能も従来の木質繊維板とほぼ同様のものが
得られる。これに対して、削片形や塊のような形状の炭
類を混入すると、繊維板としての均質性が失われ、ま
た、木質繊維とのなじみが悪くなって接着剤の吸着性能
が不十分となるために繊維板としての強度が低下してし
まう。 【0011】混入する炭類の大きさは上記範囲において
多少のバラツキがあっても支障はないが、可能な限り均
等な大きさにして使用すると木質繊維板における物性の
バラツキがなくなり、均質な木質繊維板が得られる。 【0012】また、各種の炭類を混入して木質繊維板を
製造した比較実験データから、おがくず、木片、棒状、
板状などの固まりの状態で炭化させた大きい炭を粉砕し
て細かく繊維状または粉状にした炭を用いるよりも、木
粉または木質繊維のような小さい状態のものを炭化させ
て得られたものの方が、VOCおよび湿気に対する吸着
作用が良好で好ましいことが判明した。この理由は明ら
かではないが、後者の炭の方が前者よりも多孔質になっ
ているためであると推測される。 【0013】炭類の混入割合は、木質繊維の重量に対し
て2〜50重量%であることが好ましい。木質繊維に対
する混入割合が2重量%にも満たないと、炭類の持つV
OC吸着作用および湿気吸着作用が木質繊維板において
発揮させることができない。反対に炭類を木質繊維に対
して50重量%を越えて混入すると、木質繊維の含有量
が少なくなり、木質繊維板としての必要強度を発現させ
ることができない。 【0014】木質繊維板の比重は0.35以上であるこ
とが必要であり、比重0.35〜0.80の中質繊維板
(Medium Density Fiberboard)、比重0.80以上の
高密度繊維板(High Density Fiberboard)、ハードボ
ードなどとして使用される。比重が0.35に満たない
と、木質繊維板としての強度が不十分となり、建材とし
ての用途に適さないものとなってしまう。 【0015】炭類は、木質繊維板の表層と裏層との間の
中層のみに混入する。前述の炭類の混入割合は炭類が混
入される中層におけるものであり、中層における木質繊
維に対して2〜50重量%を混入する。ここで、木質繊
維板の中層とは、木質繊維板の総厚のうち表層部と裏層
部とを除いた、厚さ方向中央の20〜80%の部分を指
している。炭類の混入が木質繊維板の中層のみであって
も、VOCや湿気は、表裏層を通過して中層に到達した
ときに、そこに混入されている炭類によって吸着される
ので、木質繊維板としてのVOC・湿気吸着作用を十分
に発揮することができる。 【0016】 【0017】木質繊維板の表裏に炭類が混入されている
と、工場での建材製造時や施工現場での施工時に作業者
の手や着衣に炭類が付着して汚してしまうことがある
が、中層のみに炭類を混入した場合にはこのような問題
がなく、作業者の手や着衣を汚さずに、VOC吸着作用
および湿気吸着作用を高めることができる。また、表裏
に炭類が混入されていると、炭自体の黒色が表裏面に強
く出てしまい、木質繊維板自体が暗い材色を呈するもの
となるので、これに突板や化粧シートなどの化粧材を貼
着した場合にも木質繊維板の材色が出てしまって化粧材
の発色が不十分となるが、中層のみに炭類を混入した実
施形態によればこのような問題を回避することができ、
意匠性を損なわない木質繊維板として提供することがで
きる。さらに、表裏に炭類が存在すると木質繊維板の表
面が凹凸化して平滑表面が得られなくなるが、中層のみ
に炭類を混入した実施形態によれば木質繊維板の表面平
滑性を維持することができ、塗装や化粧材貼着による化
粧を良好に行うことができる。 【0018】本発明の木質繊維板の製造は、従来の乾式
法による製造方法に準拠して行うことができる。 【0019】木質繊維板の原料となる木質繊維は、針葉
樹材および/または広葉樹材の一種または複数種よりな
る木材チップを高温高圧蒸気で蒸煮して脱脂軟化処理し
た後、解繊装置で解繊することによって得られ、これを
ダクトを介して風送乾燥して所定含水率に調整される。 【0020】木質繊維をダクトを介して風送乾燥させつ
つ混合装置に搬送し、この混合装置内において木質繊維
に繊維状または粉状の炭類を混入するとともに接着剤を
添加混合する。接着剤の添加は解繊と同時に行ってもよ
く、あるいは解繊後の風送時にダクト内で添加してもよ
い。これらの場合は、混合装置内において、接着剤が付
着した木質繊維に対して繊維状または粉状の炭類を混入
する。あらかじめ接着剤に繊維状または粉状の炭類を混
入させておき、この炭類混入接着剤を解繊時、解繊後の
風送時、または混合装置内において木質繊維に添加して
もよい。 【0021】接着剤としてはホルムアルデヒドの発散が
少ない接着剤を用いることが好ましく、フェノール系、
MDI系等の熱硬化性樹脂接着剤から任意選択される一
種または複数種を使用する。 【0022】繊維状または粉状の炭類および接着剤が添
加された木質繊維は、風送乾燥ダクト中を風送搬送さ
れ、ベルト上に散布して木質繊維マットとされた後、定
尺裁断され、さらにホットプレス、コールドプレス等の
圧締装置により圧締成形一体化されて、本発明の木質繊
維板が製造される。 【0023】木質繊維板の中層のみに炭類を混入する場
合は、木質繊維マットを形成する工程において、まずベ
ルト上に木質繊維と接着剤とが混合されてなる裏層構成
用の第一混合物を散布した後、木質繊維と炭類と接着剤
とが混合されてなる中層構成用の第二混合物を散布し、
さらにその上に木質繊維と接着剤とが混合されてなる表
層構成用の第三混合物を散布することで3層構成の木質
繊維マットとした後に、上記と同様にして定尺裁断し、
ホットプレス、コールドプレス等の圧締装置により圧締
成形一体化して、中層のみに炭類が混入された実施形態
の木質繊維板が製造される。 【0024】 【発明の効果】本発明によれば、木質繊維板の内部にV
OC吸着作用および湿気吸着作用に優れた多孔質の炭類
が混入されているため、建材や接着剤から放散されて室
内に浮遊しているVOCを吸着して室内VOC量を低減
させるとともに、室内の湿気を下げて快適性を高めるこ
とができる。 【0025】また、炭類は吸放湿による調湿作用がある
ため、高湿度時には室内の湿気を吸収して木質繊維板内
に保持することによって室内の湿度を下げ、低湿度時に
は木質繊維板内に保持していた湿気を放出して室内の湿
度を上げる作用を発揮し、一年を通じて室内の湿度をほ
ぼ一定に保つことができるので、カビの発生や湿度変化
による不快さをやわらげ、居住者が健康で快適に生活す
ることができるようになる。 【0026】さらに、タバコの臭いやトイレの臭いなど
も炭に吸着されるので、消臭効果をも有する木質繊維板
となる。 【0027】炭類を木質繊維板の中層のみに混入するこ
とにより、作業者の手や着衣を汚したり、木質繊維板の
表面の材色が暗色化したり、木質繊維板の表面平滑性を
損なったりするデメリットを呈することなく、上述の炭
類混入による作用効果を発揮させることができる。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】木質繊維と繊維状または粉状の炭類とが接
    着剤を介して成形一体化されてなり、炭類が中層のみに
    混入されていることを特徴とする木質繊維板。
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