JP3520332B2 - 走査型トンネル顕微鏡用探針およびその作製方法 - Google Patents
走査型トンネル顕微鏡用探針およびその作製方法Info
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- JP3520332B2 JP3520332B2 JP2000361807A JP2000361807A JP3520332B2 JP 3520332 B2 JP3520332 B2 JP 3520332B2 JP 2000361807 A JP2000361807 A JP 2000361807A JP 2000361807 A JP2000361807 A JP 2000361807A JP 3520332 B2 JP3520332 B2 JP 3520332B2
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- tunneling microscope
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、走査型ト
ンネル顕微鏡用探針およびその作製方法に関するもので
ある。さらに詳しくは、この出願の発明は、トンネル電
子による光子計測を行う場合における走査型トンネル顕
微鏡に好適に用いることのできる、新しい走査型トンネ
ル顕微鏡用探針、およびその作製方法に関するものであ
る。
ンネル顕微鏡用探針およびその作製方法に関するもので
ある。さらに詳しくは、この出願の発明は、トンネル電
子による光子計測を行う場合における走査型トンネル顕
微鏡に好適に用いることのできる、新しい走査型トンネ
ル顕微鏡用探針、およびその作製方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、探針集光型の走査型トンネル
顕微鏡を用いてトンネル電子による光子計測を行う場合
では、探針として、マルチモード光ファイバー探針にI
TO(インジウム錫酸化物)薄膜を被膜したものがしば
しば用いられている。ITO薄膜は、高導電性および可
視光に対する高透過性を有することから光ファイバー探
針の被膜として好ましいとされていた。
顕微鏡を用いてトンネル電子による光子計測を行う場合
では、探針として、マルチモード光ファイバー探針にI
TO(インジウム錫酸化物)薄膜を被膜したものがしば
しば用いられている。ITO薄膜は、高導電性および可
視光に対する高透過性を有することから光ファイバー探
針の被膜として好ましいとされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ITO
薄膜は、金属表面のプラズモン発光効率が低く、近年の
ナノテクノロジーにおける基盤技術としてのナノスケー
ル局所化学分析には不十分であるといった問題があっ
た。
薄膜は、金属表面のプラズモン発光効率が低く、近年の
ナノテクノロジーにおける基盤技術としてのナノスケー
ル局所化学分析には不十分であるといった問題があっ
た。
【0004】この出願の発明は、以上のとおりの事情に
鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消
し、高導電性および高光透過性はもちろんのこと、高い
プラズモン発光効率を得ることのできる、新しい走査型
トンネル顕微鏡用探針およびその作製方法を提供するこ
とを課題としている。
鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消
し、高導電性および高光透過性はもちろんのこと、高い
プラズモン発光効率を得ることのできる、新しい走査型
トンネル顕微鏡用探針およびその作製方法を提供するこ
とを課題としている。
【0005】
【課題を解決する手段】この出願の発明は、上記の課題
を解決するものとして、光ファイバー探針にITO薄膜
およびプラズモン発光効率を高めるための銀薄膜が積層
被膜されてなることを特徴とする走査型トンネル顕微鏡
用探針(請求項1)を提供し、この探針において、銀薄
膜の膜厚が5nm〜25nmであること(請求項2)を
提供する。
を解決するものとして、光ファイバー探針にITO薄膜
およびプラズモン発光効率を高めるための銀薄膜が積層
被膜されてなることを特徴とする走査型トンネル顕微鏡
用探針(請求項1)を提供し、この探針において、銀薄
膜の膜厚が5nm〜25nmであること(請求項2)を
提供する。
【0006】また、この出願の発明は、真空スパッター
蒸着法により光ファイバー探針に銀薄膜およびITO薄
膜を積層被膜することを特徴とする走査型トンネル顕微
鏡用探針の作製方法(請求項3)を提供する。
蒸着法により光ファイバー探針に銀薄膜およびITO薄
膜を積層被膜することを特徴とする走査型トンネル顕微
鏡用探針の作製方法(請求項3)を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】この出願の発明の走査型トンネル
顕微鏡用探針は、この出願の発明の発明者等による金属
薄膜がITO薄膜よりも1桁以上高いプラズモン発光効
率を得ることができるという全く新しい発見に基づいて
なされたものであり、上記の通りに光ファイバー探針に
ITO薄膜および金属薄膜を積層被膜したことを特徴と
している。
顕微鏡用探針は、この出願の発明の発明者等による金属
薄膜がITO薄膜よりも1桁以上高いプラズモン発光効
率を得ることができるという全く新しい発見に基づいて
なされたものであり、上記の通りに光ファイバー探針に
ITO薄膜および金属薄膜を積層被膜したことを特徴と
している。
【0008】すなわち、プラズモン発光効率の高いたと
えば銀、銅、金などの金属物質によりなる薄膜をITO
被膜光ファイバー探針にさらに積層被膜させることによ
り、プラズモン発光効率を増大させ、ナノスケール局所
化学分析において十分なプラズモン発光効率、つまり表
面局所状態密度像および光子発生像の可視化をナノスケ
ール分解能で可能とするプラズモン発光効率を実現して
いるのである。
えば銀、銅、金などの金属物質によりなる薄膜をITO
被膜光ファイバー探針にさらに積層被膜させることによ
り、プラズモン発光効率を増大させ、ナノスケール局所
化学分析において十分なプラズモン発光効率、つまり表
面局所状態密度像および光子発生像の可視化をナノスケ
ール分解能で可能とするプラズモン発光効率を実現して
いるのである。
【0009】また、この金属/ITO積層被膜の光ファ
イバー探針は、導電性も向上しており、探針の衝突をよ
り効果的に防止して、探針の長寿命化をも図ることがで
きる。
イバー探針は、導電性も向上しており、探針の衝突をよ
り効果的に防止して、探針の長寿命化をも図ることがで
きる。
【0010】なお、この出願の発明の発明者等はさら
に、上記金属物質のなかでも銀が最もプラズモン発光効
率の高いということをも発見した。したがって、金属薄
膜は銀薄膜であることがより好ましい。積層する銀薄膜
の膜厚は、光透過性および導電性ならびに連続性の観点
から5〜25nmの範囲内が好ましく、より好ましくは
5〜20nm、さらに好ましくは5〜10nmである。
他の金属薄膜の場合にも、各種特性が最適となる膜厚を
適宜選択することが望ましい。
に、上記金属物質のなかでも銀が最もプラズモン発光効
率の高いということをも発見した。したがって、金属薄
膜は銀薄膜であることがより好ましい。積層する銀薄膜
の膜厚は、光透過性および導電性ならびに連続性の観点
から5〜25nmの範囲内が好ましく、より好ましくは
5〜20nm、さらに好ましくは5〜10nmである。
他の金属薄膜の場合にも、各種特性が最適となる膜厚を
適宜選択することが望ましい。
【0011】また、この走査型トンネル顕微鏡用探針の
作製において、銀薄膜を初めとする金属薄膜の積層被膜
は、膜厚の均一性および付着力の観点から真空スパッタ
ー蒸着法によることが好ましい。
作製において、銀薄膜を初めとする金属薄膜の積層被膜
は、膜厚の均一性および付着力の観点から真空スパッタ
ー蒸着法によることが好ましい。
【0012】この出願の発明は、以上のとおりの特徴を
有するものであるが、以下に、添付した図面に沿って実
施例を示し、さらに詳しくこの発明の実施の形態につい
て説明する。
有するものであるが、以下に、添付した図面に沿って実
施例を示し、さらに詳しくこの発明の実施の形態につい
て説明する。
【0013】
【実施例】まず、ITO薄膜上に積層された銀薄膜の特
性を評価するために、真空スパッター蒸着法の一つであ
るマグネトロンスパッター法により、真空にてガラス基
板上に膜厚約100nmのITO(5%SnO2)薄膜
を被膜し、続いて真空を破ることなくITO薄膜上に銀
薄膜を被膜した。
性を評価するために、真空スパッター蒸着法の一つであ
るマグネトロンスパッター法により、真空にてガラス基
板上に膜厚約100nmのITO(5%SnO2)薄膜
を被膜し、続いて真空を破ることなくITO薄膜上に銀
薄膜を被膜した。
【0014】これにより得られた銀薄膜について透過率
測定を行ったところ、銀薄膜の膜厚(nm)と可視光
(波長630nm)に対する透過率(%)との関係は図
1に例示したようになった。この図1から明らかなよう
に、銀薄膜の可視光透過率は膜厚に対して指数関数的に
減少することがわかる。これは銀の薄膜がほぼ均一に成
長していることを示す。5〜25nmの場合において約
60〜5%という十分な透過率が得られており、5〜2
0nmでは約60〜10%、さらに5〜10nmでは約
60〜50%という極めて高い透過率が得られている。
また、4端子導電率測定も行ったが、その結果も優れた
導電率を示していた。したがって、これらの膜厚範囲が
高い可視光透過率および導電率を有していることから銀
薄膜として好ましいものである。
測定を行ったところ、銀薄膜の膜厚(nm)と可視光
(波長630nm)に対する透過率(%)との関係は図
1に例示したようになった。この図1から明らかなよう
に、銀薄膜の可視光透過率は膜厚に対して指数関数的に
減少することがわかる。これは銀の薄膜がほぼ均一に成
長していることを示す。5〜25nmの場合において約
60〜5%という十分な透過率が得られており、5〜2
0nmでは約60〜10%、さらに5〜10nmでは約
60〜50%という極めて高い透過率が得られている。
また、4端子導電率測定も行ったが、その結果も優れた
導電率を示していた。したがって、これらの膜厚範囲が
高い可視光透過率および導電率を有していることから銀
薄膜として好ましいものである。
【0015】次いで、DCマグネトロンスパッター法に
より真空にて光ファイバー探針に膜厚100nmのIT
O薄膜および膜厚10nmの金属薄膜を順に積層被膜し
て、この出願の発明の走査型トンネル顕微鏡用探針を作
製した。図2は、この探針の走査型オージェ顕微鏡によ
る銀オージェ像を示したものである。この図2の銀オー
ジェ像から明らかなように、光ファイバー探針表面の全
面にわたり銀薄膜が均一に成膜されていることがわか
る。したがって、真空スパッター蒸着法を選択すること
で、光ファイバー探針に対する均一な積層被膜を実現で
きるのである。
より真空にて光ファイバー探針に膜厚100nmのIT
O薄膜および膜厚10nmの金属薄膜を順に積層被膜し
て、この出願の発明の走査型トンネル顕微鏡用探針を作
製した。図2は、この探針の走査型オージェ顕微鏡によ
る銀オージェ像を示したものである。この図2の銀オー
ジェ像から明らかなように、光ファイバー探針表面の全
面にわたり銀薄膜が均一に成膜されていることがわか
る。したがって、真空スパッター蒸着法を選択すること
で、光ファイバー探針に対する均一な積層被膜を実現で
きるのである。
【0016】そして、金属/ITO積層被膜光ファイバ
ー探針であるこの走査型トンネル顕微鏡用探針によるプ
ラズモン発光効率は〜10-4であり、従来のITO被膜
光ファイバー探針と比べて極めて高い数値であった。も
ちろん、その可視光透過率は約50%、導電率は1×1
0-4Ωmであり、プラズモン発光効率だけでなく、光透
過性および導電性もナノスケール局所科学分析には十分
に高いものとなっている。
ー探針であるこの走査型トンネル顕微鏡用探針によるプ
ラズモン発光効率は〜10-4であり、従来のITO被膜
光ファイバー探針と比べて極めて高い数値であった。も
ちろん、その可視光透過率は約50%、導電率は1×1
0-4Ωmであり、プラズモン発光効率だけでなく、光透
過性および導電性もナノスケール局所科学分析には十分
に高いものとなっている。
【0017】この発明は以上の例に限定されるものでは
なく、細部については様々な態様が可能である。
なく、細部については様々な態様が可能である。
【0018】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この出願の発
明によって、高導電性および高光透過性を有するととも
に、高いプラズモン発光効率を得ることのできる、新し
い走査型トンネル顕微鏡用探針、およびその作製方法が
提供される。
明によって、高導電性および高光透過性を有するととも
に、高いプラズモン発光効率を得ることのできる、新し
い走査型トンネル顕微鏡用探針、およびその作製方法が
提供される。
【図1】ITO薄膜上に積層した銀薄膜の膜厚と透過率
との関係を例示した図である。
との関係を例示した図である。
【図2】この出願の発明の走査型トンネル顕微鏡用探針
の銀オージェ像の一例を示した図である。
の銀オージェ像の一例を示した図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G01N 13/12
G01B 7/34
G12B 21/04
Claims (3)
- 【請求項1】 光ファイバー探針にITO薄膜およびプ
ラズモン発光効率を高めるための銀薄膜が積層被膜され
てなることを特徴とする走査型トンネル顕微鏡用探針。 - 【請求項2】 銀薄膜の膜厚が5nm〜25nmである
請求項1の走査型トンネル顕微鏡用探針。 - 【請求項3】 真空スパッター蒸着法により光ファイバ
ー探針に銀薄膜およびITO薄膜を積層被膜することを
特徴とする走査型トンネル顕微鏡用探針の作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000361807A JP3520332B2 (ja) | 2000-11-28 | 2000-11-28 | 走査型トンネル顕微鏡用探針およびその作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000361807A JP3520332B2 (ja) | 2000-11-28 | 2000-11-28 | 走査型トンネル顕微鏡用探針およびその作製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002168757A JP2002168757A (ja) | 2002-06-14 |
JP3520332B2 true JP3520332B2 (ja) | 2004-04-19 |
Family
ID=18833192
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000361807A Expired - Lifetime JP3520332B2 (ja) | 2000-11-28 | 2000-11-28 | 走査型トンネル顕微鏡用探針およびその作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3520332B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6717358B1 (en) * | 2002-10-09 | 2004-04-06 | Eastman Kodak Company | Cascaded organic electroluminescent devices with improved voltage stability |
US7967435B1 (en) * | 2010-04-21 | 2011-06-28 | 3M Innovative Properties Company | Metal detectable lens |
-
2000
- 2000-11-28 JP JP2000361807A patent/JP3520332B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002168757A (ja) | 2002-06-14 |
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