JP3519764B2 - 音声符号化通信方式及びその装置 - Google Patents

音声符号化通信方式及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は音声符号化通信方式およ
びその装置に関するものであり、特に、符号化方式とし
て低遅延符号励振線形予測(Low Delay-Code Excited L
inear Prediction以下、LD−CELPと呼ぶ)を用い
た16kbit/s音声復号化方式を適用した音声符号化通
信方式およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の社会、経済活動の多様化、国際化
に伴い、移動通信に対する期待は急速に高まっている。
なかでも、携帯型の自動車電話やコードレス電話の需要
は飛躍的な伸びをみせてきている。また、21世紀に向
けて統合化された公衆陸上移動通信システムである第3
世代移動通信システム(FPLMTS:Future PublicL
and Mobile Telecommuication System )の構築がCC
IRによって検討されている。このような公衆陸上移動
通信システムの発展の流れに沿って、現在、自動車電話
システムやコードレス電話システムのディジタル化が進
められており商用化の段階まで進んでいる。ディジタル
自動車電話システムについては、周波数の有効利用のた
め、無線区間の伝送レートを変更することなく伝送可能
なチャネル数をフルレートの2倍に増やすことを可能に
するハーフレートシステムの開発が進められており、そ
の仕様が固まりつつある。近い将来、ディジタルコード
レス電話システムでもディジタル自動車電話システムと
同様の理由でハーフレート化が進められる。ディジタル
コードレス電話システムで使用される標準音声符号化方
式は、フルレートシステムでは32kbit/s適応差分P
CM(ADPCM:Adaptive Differential Pulse Code
Modulation )が既に採用されており、ハーフレートシ
ステムでは低遅延符号励振線形予測(Low Delay-Code E
xcited Linear Prediction以下、LD−CPELと呼
ぶ)を用いた16kbit/s音声符号化方式が採用される
見通しである。
【0003】陸上移動通信の伝送路の一般的な特徴の一
つとして、伝搬状態が急激に変動し、バースト状に誤り
が発生することが挙げられる。このような伝送誤りが頻
繁に発生すると、再生音声の品質劣化が目立つようにな
る。この対策として、ディジタル自動車電話システムで
は、FEC(前向き誤り訂正)とインターリーブが用い
られており、伝送誤りに対し耐性のあるシステムが構築
されている。コードレス電話システムでは、端末から端
末までの遅延時間が短い必要があるため、また、冗長ビ
ットの付加が容易ではないため、誤り訂正符号と深いイ
ンターリーブは使用できない。そこで、合成後の再生音
声の誤りによる聴感上の劣化を軽減するため誤り訂正以
外の対策が必要となる。伝送誤りが発生すると受信側で
の再生音声のレベルが急激に大きくなることが多く、聴
感上の品質が著しく劣化する。誤り訂正以外の対策を用
いてこの現象を避けるためには、再生音声において伝送
誤りにより影響を受けた区間については、そのレベル,
スペクトル特性を伝送誤りが発生する直前の再生音声の
それらに近似させる方法が聴感上の品質を劣化させない
ために有効であると考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現状では、上述のディ
ジタルコードレス電話のハーフレートシステム標準音声
符号化方式であるLD−CELPに関しては、それに組
込める誤り訂正符号以外の伝送誤り対策技術は検討され
ていない。本発明の対象とするものは、LD−CELP
符復号化を用いたディジタルコードレス電話システムに
おいて、受信側で合成される再生音声の伝送誤りによる
聴感上の劣化を軽減するための、誤り訂正符号と、深い
インターリーブを用いない誤り対策機能をLD−CEL
P復号器に付加する方法である。この機能を付加するこ
とにより、伝送誤りの影響を受けている区間での再生音
声のレベル、スペクトル特性が、伝送誤りが発生する直
前の再生音声のそれらに近似され、聴感上の品質劣化は
目立たなくなる。本発明の目的は、LD−CELP符復
号化を用いたディジタルコードレス電話通信を行うた
め、誤り訂正符号と、深いインターリーブを必要としな
い誤り対策機能を有し、受信側で合成される再生音声の
伝送誤りによる聴感上の劣化を軽減した音声符号化通信
方式及びその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の音声符号化通信
方式は、ディジタルコードレス電話通信において、受信
側で合成される再生音声の伝送誤りによる聴感上の劣化
を軽減するため、送信側は、音声信号をサンプリングし
複数サンプルを1ベクトルとしてベクトル毎に符号励振
線形予測符号化方式により符号化し複数ベクトルをフレ
ーム単位として送出し、受信側は、受信信号を用いてベ
クトル毎に励振ベクトル量子化コードブックから最適な
励振ベクトルを選択し利得調整して合成フィルタを駆動
することにより再生音声ベクトルを合成しポストフィル
タによって聴感上の品質を増す処理を施す復号手段によ
って受信信号を復号して再生音声を出力する音声符号化
通信方式において、 受信側は、受信信号に対する誤り検
査を行って回線品質を常に監視しフレーム毎に誤りの有
/無を示す誤り検出フラグを検出し、該誤り検出フラグ
が“誤り無し”を示すフレームは前記復号手段により受
信信号をベクトル毎に復号して再生音声を出力し、前記
誤り検出フラグが“誤り有り”を示すフレームは前記利
得調整の利得と前記合成フィルタの係数を直前フレーム
の最後のベクトルに対応する値を用いて再生音声ベクト
ルを合成し前記ポストフィルタによる処理を休止させて
そのまま前記再生音声として出力するようにしたことを
特徴とするものである。
【0006】上記通信方式に用いられる本発明の音声復
号装置は、音声信号がサンプリングされ複数サンプルを
1ベクトルとしてベクトル毎に符号励振線形予測符号化
方式により符号化され複数ベクトルをフレーム単位とし
て送出された信号を伝送路を介して受信し該受信信号の
インデックスに対応する最適な励振ベクトルを複数ベク
トルから選択して出力するための励振ベクトル量子化コ
ードブックと、該コードブックから選出した励振ベクト
ルの利得を更新利得によって調整して出力する利得調整
器と、該利得調整器の出力から次の入力ベクトルに対す
る利得をバックワード予測によって更新し前記更新利得
を出力するバックワード利得適応器と、前記利得調整さ
れた励振ベクトルを更新係数によって合成して再生音声
ベクトルを出力する合成フィルタと、該合成フィルタの
出力から次の入力ベクトルに対する合成フィルタ係数を
バックワード予測によって更新し前記更新係数を出力す
るバックワード合成フィルタ適応器と、前記再生音声ベ
クトルに聴感上の品質を増す処理を施すポストフィルタ
とからなる復号手段が備えられた音声復号装置であっ
て、 受信信号に対する誤り検査を行って回線品質を常に
監視しフレーム毎に誤りの有/無を示す誤り検出フラグ
を検出する無線回路制御プロセッサと、前記バックワー
ド利得適応器と前記利得調整器との間に設けられ前記誤
り検出フラグに基づき前記バックワード利得適応器から
出力される過去の更新利得を保持または最新の利得に更
新して前記利得調整器に対する該更新利得とする利得制
御回路と、前記バックワード合成フィルタ適応器と前記
合成フィルタとの間に設けられ前記誤り検出フラグに基
づき前記バックワード合成フィルタ適応器から出力され
る前記更新係数を保持または更新して前記合成フィルタ
に対する該更新係数とする合成フィルタ係数制御回路と
が備えられ、 前記誤り検出フラグが“誤り無し”を示す
フレームのときは前記復号手段により受信信号をベクト
ル毎に復号して再生音声を出力し、前記誤り検出フラグ
が“誤り有り”を示すフレームのとき、前記利得制御回
路は前記バックワード利得適応器から入力された次の入
力ベクトルに対する前記更新利得に代えて保持された直
前フレームの最後のベクトルに対応する更新利得を前記
利得調整器に与え、前 記合成フィルタ係数制御回路は前
記バックワード合成フィルタ適応器から入力された次の
入力ベクトルに対する前記更新係数に代えて保持された
直前フレームの最後のベクトルに対応する更新係数を前
記合成フィルタに与え、前記ポストフィルタは前記再生
音声ベクトルに対する前記処理を行わないでそのまま再
生音声として出力するようにしたことを特徴とするもの
である。
【0007】さらに、前記音声復号装置における利得制
御回路は、前記誤り検出フラグが“誤り有り”から“誤
り無し”に切り替わる時点で、前記利得調整器に与える
前記更新利得の値を、誤り発生フレームの直前フレーム
の最後のベクトルに対応した値に保持されている値から
前記バックワード利得適応器で計算された最新の利得の
値に更新される際に、所定の時間だけ、〔現ベクトルの
復号に使用する利得=1ベクトル前の復号に使用した利
得×α+最新の利得×(1−α)〕の演算式により平滑
処理した値にして利得の急激な変化による再生音声に生
ずる異音を低減したことを特徴とするものである。
【0008】
【実施例】図1は本発明のLD−CELP復号器の構成
図である。同図において、無線回線制御プロセッサ1
0、利得制御回路8、合成フィルタ係数制御回路9は、
本発明により付加された回路である。他の部分は、標準
規格TTC JT−G728に示されたLD−CELP
復号器と全く同じ動作をする構成要素である。無線回路
制御プロセッサ10は、回線品質を常に監視しており伝
送誤りを検出し伝送誤りの有無を示す誤り検出フラグk
を出力する。ここで、誤り検出の方法としてはCRC
(巡回冗長符号:公知の技術)を用いて実行することが
可能である。入力信号aは、現時点での1ベクトル(5
サンプル)に対して最適な励振ベクトルbの形状、振幅
を表現するインデックスであり、この入力信号aを用い
て励振VQ(ベクトル量子化:Vector Quantization )
コードブック1から最適な励振ベクトルbを選択して出
力する。励振ベクトルbは利得調整器2により利得eを
用いて利得調整され利得調整された励振ベクトルcが得
られる。ここで、バックワード利得適応器3は過去の利
得調整された励振ベクトルcからバックワード予測によ
り次の入力ベクトルに対して利得調整を行うための更新
された利得dを計算する。利得制御回路8は無線回線制
御プロセッサ10からの誤り検出フラグkに基づき過去
の利得dを固定(保持)、または最新の利得dをそのま
ま通過(更新)、または平滑化処理して利得調整器2で
使用する利得eを決定して出力する(この詳細な動作、
タイミングについては後で説明する)。利得制御回路8
の出力eは次の入力ベクトルに対応する利得として利得
調整器2で使用される。
【0009】次に、利得調整された励振ベクトルcによ
り合成フィルタ4を駆動して再生音声ベクトルfを合成
する。ここで、バックワード合成フィルタ適応器5は過
去の再生音声ベクトルfからバックワード予測により次
の入力ベクトルに対応する合成フィルタ係数gを計算し
て出力する。合成フィルタ係数制御回路9は無線回線制
御プロセッサ10からの誤り検出フラグkに基づき合成
フィルタ係数gを保持またはそのまま通過(更新)させ
る(このタイミングについては後で説明する)。合成フ
ィルタ係数制御回路9の出力hが次の入力ベクトルに対
応する合成フィルタ係数として合成フィルタ4で使用さ
れる。再生音声ベクトルfはポストフィルタ6により聴
感上での品質を増すための処理が施された後、PCM変
換回路7により64kbit/sμ則PCMまたは16ビッ
ト均一PCM出力jとして出力される。ポストフィルタ
6は誤り検出フラグkに基づき休止モードになる機能を
有する。
【0010】次に、図4のタイムチャートを用いて利得
制御回路8、合成フィルタ係数制御回路9、およびポス
トフィルタ6の動作を説明する。(A)はLD−CEL
P符号器に入力される音声信号のフレームを示す。1フ
レーム長は10msecであり、1フレーム当り16ベクト
ル(80サンプル;サンプリング周波数8kHz )で構成
されるという前提で説明を進める。このフレーム構成に
対応するLD−CELP符号器による音声符号データ列
が受信側のLD−CELP復号器に入力される。(B)
は受信側の無線回線制御プロセッサ10で決定される誤
り検出フラグkであり、フレーム単位で伝送誤りの有/
無を検出する。ここでは、フレーム2の伝送データビッ
ト列の伝送誤りが生じている。(C)はLD−CELP
復号器内の利得制御回路8の動作を示す。誤り検出フラ
グkが誤りなしを示している時(フレーム1,3,4)
は、利得更新(入力をそのまま通過して出力)、または
利得平滑化処理を行い、誤りありの場合(フレーム2)
は誤りが発生する直前のフレーム(ここではフレーム
1)の最後の1ベクトルに対応する利得を保持し出力と
する(詳細な制御動作については後で説明する)。この
処理により伝送誤りの影響を受けている区間での再生音
声のレベルが伝送誤りが発生する直前の再生音声のそれ
に近似できる。
【0011】(D)はLD−CELP復号器内の合成フ
ィルタ係数制御回路9の動作を示す。誤り検出フラグk
が誤りなしを示している時(フレーム1,3,4)は、
利得更新(入力をそのまま通過して出力)を行い、誤り
ありの場合(フレーム2)は、誤りが発生する直前のフ
レーム(ここではフレーム1)の最後の1ベクトルに対
応する利得を保持し出力とする(詳細な制御動作につい
ては後で説明する)。この処理により伝送誤りの影響を
受けている区間での再生音声のスペクトル特性が伝送誤
りが発生する直前の再生音声のそれに近似できる。
(E)はポストフィルタ6の動作を示しており、誤り検
出フラグkが誤りなしのを示している時(フレーム1,
3,4)は、通常通り動作し、誤りありの場合(フレー
ム2)は、動作を休止し、入力された信号を処理せずに
そのまま出力する。ボストフィルタを誤り発生時に休止
させる(フィルタリング処理させずに入力をそのまま通
過させる)理由は、本処理では本来、再生音声の聴感上
の品質を向上させるためスペクトル包絡強調、ピッチ強
調処理を行うが、伝送誤りの影響を受けた再生音声にこ
れらの処理を行った場合逆効果となり伝送誤りの影響を
強調させる可能性があるからである。
【0012】次に、図2を用いて利得制御回路8の動作
について詳細に説明する。ここに示すフローチャートは
フレーム毎に実行される。〜はステップ番号を示
す。 :伝送誤り検出フラグkが誤りありを示しているかど
うかを調べる。 :伝送誤りありの場合は、伝送誤りが発生する直前の
フレームの最後の1ベクトルに対応する利得dを保持し
ておき、伝送誤りが発生し続けている間は、その保持さ
れている値を出力eとする。 :次に続くフレームが伝送誤りなしの場合、利得平滑
化処理を行うので、その準備として制御カウンタGに特
定の数値Mをセットする。ここでMは利得平滑化を継続
するフレーム数である(例えば、3)。 :誤りなしの場合、制御カウンタGの値が0であるか
どうかを調べる。 :制御カウンタGの値が0であれば、利得平滑化処理
は行わず、バックワード利得適応器3からの出力dを出
力eとしてそのまま通過させる。 :制御カウンタGの値が0でなければ利得平滑化処理
をこのフレームでも続行する。制御カウンタGから1を
減算する。 :利得平滑化処理を行う。誤り検出フラグが“伝送誤
りあり”から“伝送誤りなし”に切り替わる時点で、利
得調整器2で使用される利得eの値がの状態(誤り発
生の直前の1ベクトル(5サンプル)に対応する値で置
換・固定されている値)からの状態(バックワード利
得適応器3で計算された最新の利得の値dをeとする)
へ瞬時に更新されると、復号に使用される利得の値eは
急激に変化するため再生音声に異音が生じる場合があ
る。これを避けるため、利得の固定(の状態)から更
新(の状態)に切り替わる間に、所定の時間(前記M
で指定)だけ次に示すような利得平滑化処理を行う。 利得調整器2で使用する利得e=1ベクトル前に使用し
た利得e×α+バックワード利得適応器で計算された最
新の利得d×(1−α) ここで、例えばα=0.95である。このように伝送誤
りありから伝送誤りなしへの切り替わり時点で利得の変
化を滑らかにすることにより再生音声に発生する異音を
低減する。
【0013】図3に合成フィルタ係数制御回路9の動作
を示す。ここに示すフローチャートは、フレーム毎に実
行される。 :伝送誤り検出フラグkが誤りありを示してるかどう
かを調べる。 :伝送誤りありの場合は、伝送誤りが発生する直前の
フレームの最後の1ベクトルに対応する合成フィルタ係
数gを保持しておき、伝送誤りが発生し続けている間
は、その保持されている値を出力hとする。 :伝送誤りなしの場合、バックワード合成フィルタ適
応器5からの出力gを出力hとしてそのまま通過させ
る。 本発明の回路の構成要素についてその回路の実現方法に
ついて記述したが、LD−CELP符号化器、LD−C
ELP復号器は具体的には信号処理用マイクロプロセッ
サ(DSP)で実現されるのが一般的であることから、
それらここに述べたLD−CELP符復号化器の周辺回
路もDSPのプログラムの一部として実現することは容
易に可能である。
【0014】
【発明の効果】ディジタルコードレス電話のハーフレ−
トシステムにおいて、本発明を実施することにより、伝
送誤りの影響を受けている区間での再生音声のレベル、
スペクトル特性が伝送誤りが発生する直前の再生音声の
それらに近似され、聴感上の品質劣化は目立たなくな
る。よって、誤り訂正符号と深いインターリーブを必要
としない効果的な誤り対策機能を有する音声復号化通信
方式及びその装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の利得制御回路の動作を説明するフロー
チャートである。
【図3】本発明の合成フィルタ係数制御回路の動作を説
明するフローチャートである。
【図4】本発明の動作を示すタイミングチャートであ
る。
【符号の説明】
1 励振VQコードブック 2 利得調整器 3 バックワード利得適応器 4 合成フィルタ 5 バックワード合成フィルタ適応器 6 ポストフィルタ 7 PCM変換回路 8 利得制御回路 9 合成フィルタ係数制御回路 10 無線回線制御プロセッサ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信側は、音声信号をサンプリングし複
    数サンプルを1ベクトルとしてベクトル毎に符号励振線
    形予測符号化方式により符号化し複数ベクトルをフレー
    ム単位として送出し、受信側は、受信信号を用いてベク
    トル毎に励振ベクトル量子化コードブックから最適な励
    振ベクトルを選択し利得調整して合成フィルタを駆動す
    ることにより再生音声ベクトルを合成しポストフィルタ
    によって聴感上の品質を増す処理を施す復号手段によっ
    て受信信号を復号して再生音声を出力する音声符号化通
    信方式において、 受信側は、受信信号に対する誤り検査を行って回線品質
    を常に監視しフレーム毎に誤りの有/無を示す誤り検出
    フラグを検出し、該誤り検出フラグが“誤り無し”を示
    すフレームは前記復号手段により受信信号をベクトル毎
    に復号して再生音声を出力し、前記誤り検出フラグが
    “誤り有り”を示すフレームは前記利得調整の利得と前
    記合成フィルタの係数を直前フレームの最後のベクトル
    に対応する値を用いて再生音声ベクトルを合成し前記ポ
    ストフィルタによる処理を休止させてそのまま前記再生
    音声として出力するようにしたことを特徴とする音声符
    号化通信方式。
  2. 【請求項2】 音声信号がサンプリングされ複数サンプ
    ルを1ベクトルとしてベクトル毎に符号励振線形予測符
    号化方式により符号化され複数ベクトルをフレーム単位
    として送出された信号を伝送路を介して受信し該受信信
    号のインデックスに対応する最適な励振ベクトルを複数
    ベクトルから選択して出力するための励振ベクトル量子
    化コードブックと、該コードブックから選出した励振ベ
    クトルの利得を更新利得によって調整して出力する利得
    調整器と、該利得調整器の出力から次の入力ベクトルに
    対する利得をバックワード予測によって更新し前記更新
    利得を出力するバックワード利得適応器と、前記利得調
    整された励振ベクトルを更新係数によって合成して再生
    音声ベクトルを出力する合成フィルタと、該合成フィル
    タの出力から次の入力ベクトルに対する合成フィルタ係
    数をバックワード予測によって更新し前記更新係数を出
    力するバックワード合成フィルタ適応器と、前記再生音
    声ベクトルに聴感上の品質を増す処理を施すポストフィ
    ルタとからなる復号手段が備えられた音声復号装置であ
    って、 受信信号に対する誤り検査を行って回線品質を常に監視
    しフレーム毎に誤りの有/無を示す誤り検出フラグを検
    出する無線回路制御プロセッサと、前記バックワード利
    得適応器と前記利得調整器との間に設けられ前記誤り検
    出フラグに基づき前記バックワード利得適応器から出力
    される過去の更新利得を保持または最新の利得に更新し
    て前記利得調整器に対する該更新利得とする利得制御回
    路と、前記バックワード合成フィルタ適応器と前記合成
    フィルタとの間に設けられ前記誤り検出フラグに基づき
    前記バックワード合成フィルタ適応器から出力される前
    記更新係数を保持または更新して前記合成フィルタに対
    する該更新係数とする合成フィルタ係数制御回路とが備
    えられ、 前記誤り検出フラグが“誤り無し”を示すフレームのと
    きは前記復号手段により受信信号をベクトル毎に復号し
    て再生音声を出力し、前記誤り検出フラグが“誤り有
    り”を示すフレームのとき、前記利得制御回路は前記バ
    ックワード利得適応器から入力された次の入力ベクトル
    に対する前記更新利得に代えて保持された直前フレーム
    の最後のベクトルに対応する更新利得を前記利得調整器
    に与え、前記合成フィルタ係数制御回路は前記バックワ
    ード合成フィルタ適応器から入力された次の入力ベクト
    ルに対する前記更新係数に代えて保持された直前フレー
    ムの最後のベクトルに対応する更新係数を前記合成フィ
    ルタに与え、前記ポストフィルタは前記再生音声ベクト
    ルに対する前記処理を行わないでそのまま再生音声とし
    て出力するようにしたことを特徴とする音声復号装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の前記利得制御回路は、前
    記誤り検出フラグが“誤り有り”から“誤り無し”に切
    り替わる時点で、前記利得調整器に与える前記更新利得
    の値を、誤り発生フレームの直前フレームの最後のベク
    トルに対応した値に保持されている値から前記バックワ
    ード利得適応器で計算された最新の利得の値に更新され
    る際に、所定の時間だけ、〔現ベクトルの復号に使用す
    る利得=1ベクトル前の復号に使用した利得×α+最新
    の利得×(1−α)〕の演算式により平滑処理した値に
    して利得の急激な変化による再生音声に生ずる異音を低
    減したことを特徴とする請求項2記載の音声復号装置。
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