JP3518879B2 - 発泡性長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

発泡性長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物

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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度の剛性及び衝撃強
度を有する長繊維で強化された発泡性繊維強化ポリオレ
フィン樹脂組成物及びその発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリオ
レフィン樹脂発泡体は機械的強度、風合い、耐熱性、耐
薬品性などに優れており、自動車の内装材、断熱材、ス
ポーツ用品や食品包装の緩衝材、その他消音材や外装材
等に広く利用されている。しかし、近年、自動車の内装
材、断熱材等の分野では、従来の発泡成形品より更に高
い剛性や衝撃強度が要望されている。ポリオレフィン樹
脂発泡体の機械的物性を向上させる手段として、強化繊
維を配合することが知られており、一般にはチョップド
ストランド等の短繊維が用いられている。しかし、この
方法では機械的物性の改善に自ずと制約があり、より高
度の機械的物性の要求に対して充分応えるには至ってい
ない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決するため鋭意検討した結果、ポリオレフィン樹
脂を長繊維で強化した長繊維強化ポリオレフィン樹脂に
発泡剤、架橋剤、架橋助剤を配合した組成物からなる発
泡成形品とすることによって剛性並びに衝撃強度が飛躍
的に向上することを見出し、本発明に到達した。即ち、
本発明は、実質上平行に配列し重量平均繊維長が1mm以
上である強化用長繊維を5〜80重量%含有してなる長繊
維強化ポリオレフィン樹脂(a)100重量部に、発泡剤(b)
0.03〜20.00 重量部、更に1分間半減温度が 135 200
℃である有機過酸化物からなる架橋剤(c) 0.01〜0.5 重
量部と分子内に炭素二重結合基を2つ以上有する化合物
からなる架橋助剤(d) 1.00〜20重量部を配合したことを
特徴とする発泡性長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成
物、および該組成物を成形してなる発泡体に関するもの
である。
【0004】本発明でいう長繊維強化ポリオレフィン樹
脂(a) とは、実質上平行に配列し、樹脂中における重量
平均繊維長が1mm以上の強化用繊維を含有するポリオレ
フィン樹脂である。
【0005】本発明でいうポリオレフィンとは、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,2 −ブタジエ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン
共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プ
ロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレンと含有量45%までのメチル−、エチル
−、プロピル−、ブチル−の各アクリレートもしくはメ
タクリレートとの共重合体、またはこれらをそれぞれ塩
素化したもの(塩素含有率60重量%まで)、あるいはこ
れらの2種以上の混合物等である。本発明に使用される
強化用繊維の種類に特に制約はなく、例えばガラス繊
維、炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維等の高
融点(高軟化点)繊維が何れも使用できる。本発明にお
ける長繊維強化ポリオレフィン樹脂(a) 中の強化用繊維
の含有量は、5〜80重量%である。強化用繊維の含有量
が5重量%未満では十分な補強効果が得られず、逆に80
重量%を越えると長繊維強化ポリオレフィン樹脂の製造
およびその成形が著しく困難になる。強化用繊維の好ま
しい配合量は10〜75重量%であり、より好ましくは20〜
70重量%である。
【0006】本発明でいう発泡剤(b) とは、凝集状態の
変化、すなわち圧縮液化ガスあるいは揮発性の液体が気
化することにより機能を果たす物理的発泡剤、並びに分
解し化学反応によりガスを放出することにより機能を果
たす化学的発泡剤である。物理的発泡剤としては、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタンおよびそれらの異性体等の脂
肪族炭化水素、メチルクロライド、メチレンクロライ
ド、トリクロルエチレン、ジクロルエタン等の塩化炭化
水素、モノフルオルトリクロルメタン、1,2,2 −トリフ
ルオルトリクロルエタン等のふっ化塩化炭化水素等があ
る。化学的発泡剤としては、炭酸塩および重炭酸塩、亜
硝酸塩、水素化物、シュウ酸誘導体、尿素とその関連化
合物、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジ
ド、アジ化物、ニトロソ化合物、トリアゾール等があ
る。好ましい発泡剤は、加熱分解型発泡剤であり、例え
ばアゾ系化合物のアゾジカルボンアミド(ADCA)、
ジアゾアミノベンゼン、アゾヘキサヒドロベンゾニトリ
ル、2,2'−アゾイソブチロニトリル、アゾビスホルムア
ミド、バリウムアゾジカルボキシレート等、ニトロソ系
化合物のN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミ
ン(DPT)、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメ
チルテレフタルアミド、トリニトロソトリメチルトリア
ミン等、ヒドラジッド系化合物のp,p’−オキシビス
ベンゼンスルホニルヒドラジッド、p−トルエンスルホ
ニルヒドラジド等、スルホニルセミカルバッド系化合物
のp,p’−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバ
ジッド、トルエンスルホニルセミカルバジッド等があ
る。より好ましい発泡剤としては、分解温度が 150℃以
上の加熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド、
N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,
P’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド等が
挙げられる。発泡剤の添加量は、長繊維強化ポリオレフ
ィン樹脂 100重量部に対し0.03〜20.00 重量部の範囲
で、目的とする発泡倍率に合わせて変えることができ
る。0.03重量部未満では発泡倍率が小さ過ぎるため、発
泡体として実質上実用性がない。また、20.00 重量部を
越えると、組成物の機械的強度の特徴を発揮するのに不
都合な場合がある。
【0007】本発明でいう架橋剤(c) とは、加熱によっ
て分解され、遊離ラジカルを発生して、単独あるいは架
橋助剤と連携して、ポリオレフィンの分子間もしくは分
子内に架橋結合を生ぜしめるラジカル発生剤である。好
ましい架橋剤としては、有機過酸化物があり、例えばジ
クミルパーオキサイド、1,1 −ジターシャリーブチルパ
ーオキシ−3,3,5 −トリメチルシクロヘキサン、2,5 −
ジメチル−2,5 −ジターシャリーブチルパーオキシヘキ
サン(Perhexane) 、2,5 −ジメチル−2,5 −ジターシャ
リーブチルパーオキシヘキシン(Perhexyne) 、α,α’
−ジターシャリーブチルパーオキシジイソプロピルベン
ゼン(Perbutyl P)、ターシャリーブチルパーオキシケト
ン、ターシャリーブチルパーオキシベンゾフェートなど
があるが、その時に使用されるポリオレフィンの種類や
加工方法によって最適な有機過酸化物が選ばれる。例え
ば、ポリオレフィン樹脂がポリプロピレンの場合には、
1分間半減温度が 135〜200 ℃である有機過酸化物が好
ましい。
【0008】本発明でいう架橋助剤(d) とは、上記架橋
剤(c) から生じる遊離ラジカルと反応し、ポリオレフィ
ンの分子間もしくは分子内に架橋結合を生ぜしめるもの
である。好ましい架橋助剤としては、分子内に炭素二重
結合を2つ以上有する化合物があり、例えばエチレン・
プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレング
リコールジメタクリレート、トリメチロールプロパント
リメタクリレート、トリアリルシアヌレート(TA
C)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等があ
る。
【0009】架橋剤および架橋助剤は、必ずしも配合す
る必要はないが、一般に、高発泡用の組成物の場合に
は、架橋剤と架橋助剤を配合して組成物の溶融発泡時の
粘度を上げることが好ましい。その配合量は、組成物の
用途、発泡倍率、ポリオレフィンの種類及び加工法によ
って異なるが、長繊維強化ポリオレフィン樹脂 100重量
部に対して 0.5重量部以下の架橋剤と20重量部以下の架
橋助剤を配合することが望ましい。
【0010】発泡剤、架橋剤、並びに架橋助剤は、成形
加工する前に長繊維強化ポリオレフィンに直接配合する
か、又は上記のポリオレフィン樹脂等を使用したマスタ
ーバッチの形態で加えてもよい。また、長繊維強化ポリ
オレフィン樹脂の可塑化溶融途中で配合しても良い。本
発明の組成物は、発泡倍率と目的とする用途によって異
なるが、発泡させながら成形することができるととも
に、非発泡状態で成形した後に発泡させて発泡体を得る
こともできる。
【0011】本発明においては、目的、用途に応じて、
一般に樹脂に添加される各種の物質、例えば、酸化防止
剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、帯電防止
剤、潤滑剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、結晶
化促進剤、染料や顔料等の着色剤あるいは粉粒状、板状
の無機充填剤や有機充填剤を添加することができる。
【0012】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1〜24、比較例1〜9 重量平均繊維長が 2.0mmのガラス繊維強化ポリプロピレ
ン樹脂 100重量部に対し、表1〜表4に示す配合量にて
発泡剤、架橋剤、架橋助剤を加え、175 ℃で溶融混練
し、組成物を得た。これを 240℃で圧縮成形し、その成
形品の密度ならびに曲げ弾性率を測定した。結果を併せ
て表1〜表4に示す。
【0013】実施例25〜26、比較例10〜11 重量平均繊維長が 2.0mmのガラス繊維強化ポリエチレン
樹脂 100重量部に対し、表5に示す配合量にて発泡剤、
架橋剤、架橋助剤を加え、175 ℃で溶融混練し、組成物
を得た。これを 240℃で圧縮成形し、その成形品の密度
ならびに曲げ弾性率を測定した。結果を併せて表5に示
す。
【0014】実施例27〜29、比較例12〜14 重量平均繊維長が 2.0mmのガラス繊維強化ポリプロピレ
ン樹脂 100重量部に対し、表6に示した配合量にて、発
泡剤を含むエチレン−プロピレン共重合体のマスターバ
ッチと、架橋剤を含むエチレン−プロピレン共重合体の
マスターバッチを加えて、175 ℃で溶融混練し、 240℃
で圧縮成形あるいは射出成形し、その成形品の密度なら
びに曲げ弾性率を測定した。尚、比較例においては、上
記マスターバッチのマトリックス樹脂であるエチレン−
プロピレン共重合体のみを配合することにより、発泡剤
及び架橋剤以外の成分の配合量が同じになるように調整
した。結果を併せて表6に示す。 実施例30、31 重量平均繊維長が 2.0mmのガラス繊維強化ポリプロピレ
ン樹脂 100重量部に対し、表6に示した配合量にて、発
泡剤を含むエチレン−プロピレン共重合体のマスターバ
ッチと、架橋剤を含むエチレン−プロピレン共重合体の
マスターバッチを加えて、175 ℃で溶融混練して発泡性
シートとした後に、240 ℃に加熱して発泡成形体を得
た。その成形品の密度ならびに曲げ弾性率を測定した。
結果を併せて表6に示す。
【0015】比較例15、16 重量平均繊維長が 0.2mmのガラス繊維強化ポリプロピレ
ン樹脂を用いる以外は、実施例2、7と同様にして、そ
の成形品の密度ならびに曲げ弾性率を測定した。結果を
併せて表7に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】
【表6】
【0022】
【表7】
【0023】
【発明の効果】以上の説明並びに実施例により明らかな
ように、長繊維強化ポリオレフィン樹脂に発泡剤、必要
に応じて架橋剤と架橋助剤を加えた組成物は、その発泡
成形物の機械的強度が飛躍的に向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−37965(JP,A) 特開 平3−121146(JP,A) 特開 昭64−90238(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/04 C08L 23/00 - 23/26

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質上平行に配列し重量平均繊維長が1
    mm以上である強化用長繊維を5〜80重量%含有してなる
    長繊維強化ポリオレフィン樹脂(a)100重量部に、発泡剤
    (b) 0.03〜20.00 重量部、更に1分間半減温度が 135 2
    00 ℃である有機過酸化物からなる架橋剤(c) 0.01〜0.5
    重量部と分子内に炭素二重結合基を2つ以上有する化
    合物からなる架橋助剤(d) 1.00〜20重量部を配合したこ
    とを特徴とする発泡性長繊維強化ポリオレフィン樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 発泡剤(b) が加熱分解型発泡剤である請
    求項1記載の発泡性長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 加熱分解型発泡剤の分解温度が 150℃以
    上である請求項2記載の発泡性長繊維強化ポリオレフィ
    ン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 実質上平行に配列し重量平均繊維長が1
    mm 以上である強化用長繊維を5〜 80 重量%含有してなる
    長繊維強化ポリオレフィン樹脂 (a)100 重量部に、発泡剤
    (b) 0.03 20.00 重量部、更に1分間半減温度が 135 2
    00 ℃である有機過酸化物からなる架橋剤 (c) 0.01 0.5
    重量部と分子内に炭素二重結合基を2つ以上有する化
    合物からなる架橋助剤 (d) 1.00 20 重量部を配合した組
    成物を成形してなる発泡体。
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