JP3517181B2 - ドア枠改装構造 - Google Patents

ドア枠改装構造

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JP3517181B2 JP2000146508A JP2000146508A JP3517181B2 JP 3517181 B2 JP3517181 B2 JP 3517181B2 JP 2000146508 A JP2000146508 A JP 2000146508A JP 2000146508 A JP2000146508 A JP 2000146508A JP 3517181 B2 JP3517181 B2 JP 3517181B2
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義高 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,既設の建具を改装
する改装構造(装置といってもよい)に関し,特に既設
ドアのドア枠を改装するドア枠改装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】この種ドア枠の改装構造として,例えば
特開平10−252353号が知られている。これによ
ればドア枠の改装に,建具改装,特にサッシ枠の改装に
用いられる所謂カバー工法を使用したものとされ,この
とき新設ドア枠を既設ドア枠の中間の段差部近傍位置に
おいて室内外に分離した室外側ドア枠と室内側ドア枠と
の一対のドア枠を用いて形成し,室外側から挿入した一
方の室外ドア枠を既設ドア枠の各枠に設置したアンカー
金具に対してその室外側見付面及び段差部でそれぞれネ
ジ止めし,室内側から挿入した他方の室内側ドア枠を上
記アンカー固定した室外側ドア枠と重合する内側開口面
における重合部で同じくネジ止めすることによって室内
外ドア枠を固定することによって新設ドア枠の設置を行
なうようにしたものとされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この場合カバー工法を
採用したことによって,所謂斫工法や引抜き工法に見ら
れる問題点,即ち工事が大掛りになること,コンクリー
トの補修により湿式工事を伴うこと,騒音や塵埃の発生
を可及的に抑制し得ること等の問題点を解決でき,比較
的簡易な工事によって工事期間を短縮したドア枠改装と
行なうことができる。
【0004】しかし乍ら,この場合,新設ドア枠の設置
を既設ドア枠を設置基準として行なうから,既設ドア枠
の,特に縦枠の垂直が確保されて正確な設置がなされて
いれば,上記アンカー金具を既設ドア枠に設置すること
によって新設ドア枠を設置することができるが,3乃至
4割程度の縦枠が幾分左右に傾斜した状態となって,既
設ドア枠が歪んだ状態で設置されているのが実情であ
る。従ってこれにアンカー金具を設置して新設ドア枠を
設置すると,設置基準の歪みによって,新設ドア枠も歪
んで設置され,改装品質を確保し得なくなったり,状況
によっては新設ドア枠がアンカー金具に当って既設ドア
枠の開口に対してこれを挿入することができず,その設
置自体が不可能となり,改装工事不能の障害となったり
する。特にドア枠改装は,例えばマンションのように人
が居住した状態で行なうことが要請されるが,工事不能
となると,夜間を含めてドアを閉鎖し得ず,防犯上の問
題を招くことによって,現実にドア改装を行うことがで
きないという結果を招き易い。
【0005】またこの場合下枠を含めてアンカー金具を
介した新設ドア枠の設置を行なうことによって,下枠位
置が既存ドア枠に比して高くなるというカバー工法に起
因する問題点を解消することができず,人の出入りに際
して躓きを招き易いといった改装品質上の問題点を残し
ている。
【0006】またこの場合新設ドア枠,特に室外側ドア
枠の固定をその室外側見付面で行なうために,玄関の顔
ともいうべきドアのドア枠正面に固定ネジが露出すると
いう同じく改装品質上の問題点を残している。
【0007】更にこの場合,新設ドア枠の固定をネジに
よって行なうために,頻繁に開閉されるドアを装着し,
開閉に伴う衝撃を受ける新設ドア枠として,ネジの緩み
によるガタ付きの発生を招く可能性があり,長期に亘る
設置の安定性が損なわれ易いという同じく改装品質上の
問題点を残している。
【0008】本発明は係る事情に鑑みてなされたもの
で,その解決課題とするところは,第1に,縦枠が傾斜
した状態となり,既設ドア枠が歪んで設置されていると
きでも,新設ドア枠を可及的に簡易に歪みなく確実に設
置し得るようにすることによって,工事不能といった事
態を解消してマンション等の人の居住状態の改装に適
し,良好な納まりを確保するとともに正面に固定ネジが
露出するといったことがなく,可及的に外観を良好にし
て,改装品質を確保し得るようにしたドア枠改装構造を
提供するにあり,第2に,上記に加えて,可及的に下枠
位置の上昇を抑制し,人の躓きを解消し得るようにした
ものとするにあり,第3に,同じく上記に加えて,新設
ドア枠の長期に亘る安定性を充分に確保し得るものとす
るとともにこの安定性の確保を可及的に簡易にして確実
になし得るようにしたものとするにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 上記第1の課題に沿っ
て本発明は,新設ドア枠の設置に際して,これを既設ド
ア枠に設置するも,既設ドア枠の縦枠に設置した長手方
向全長に亘る垂直出し用の金属下地材を,新設ドア枠を
固定するための新設ドア枠における縦枠の設置基準とす
ることによって,縦枠が傾斜し既設ドア枠が歪んで設置
されている場合にも,縦枠の傾斜を吸収して,傾斜とは
関係なく独自に垂直を確保した設置基準をなすものと
し,併せて既設ドア枠の上枠に同じく新設ドア枠の上枠
の設置基準をなすように水平出し用の金属下地材を用い
て,新設ドア枠の設置を更に確実に行なうようにし,ま
た第2の課題に沿って,新設ドア枠の下枠を既設ドア枠
の下枠に直付け固定することによって,その高さの上昇
を新設ドア枠の肉厚相当分に抑制する一方,新設ドア枠
の固定をネジ止めによって行ない乍ら,正面にネジが露
出するのを防止し,新設ドア枠の外観を質感に富んだ良
好なものとして,新設ドア枠を固定するようにしたもの
であって,即ち請求項1に記載の発明を,中間の段差部
を介して内外開口面を段状に配置した既設ドア枠を被覆
するように新設ドア枠を設置するドア枠改装構造におい
て,上記新設ドア枠を少なくとも室内側の見付面を除く
既設ドア枠に沿う形状に一体に形成した矩形一体枠と
し,上記既設ドア枠の縦枠及び上枠にそれぞれその長手
方向全長に亘る垂直出し用及び水平出し用の各金属下地
材を設置し,上記新設ドア枠を既設ドア枠の開口に正面
から差込み挿入し,新設ドア枠の縦枠及び上枠を上記金
属下地材を介して,下枠を既設ドア枠の下枠に直付けし
てそれぞれ固定することによって新設ドア枠を設置し且
つ上記既設ドア枠に設置した金属下地材を,少なくとも
室内側見付面を除く既設ドア枠の縦枠及び上枠形状に沿
う形状にして室外側見付面において先端を正面側に折曲
した起立片を備えて形成するとともに新設ドア枠を既設
ドア枠の室外側見付面より正面側に突出した室外側見付
面を備えるとともにその外側に上記起立片に対接する対
接部と既設ドア枠の室外側見付面に沿ってこれと重合す
る重合部とによるL字折返部を備えて形成し,上記新設
ドア枠の縦枠及び上枠の固定をそれぞれ中間の段差部と
内外開口面でネジ止めするとともに上記L字折返部の上
記対接部で起立片に対してネジ止めして行なってなるこ
とを特徴とするドア枠改装構造としたものである。
【0010】請求項2に記載の発明は,上記新設ドア枠
の縦枠及び上枠が除いた室内側見付面を同時に額縁によ
って簡易且つ確実に被覆し得るものとするように,これ
を,上記新設ドア枠が,上記既設ドア枠の縦枠及び上枠
における室内側見付面を覆いこれらと内側開口面におい
て重合する固定片を有する額縁を備え,新設ドア枠の縦
枠及び上枠の上記金属下地材を介した固定によって上記
固定片を同時に固定して該額縁を上記既設ドア枠の室内
側見付面に設置してなることを特徴とする請求項1に記
載のドア枠改装構造としたものである。
【0011】請求項3に記載の発明は,少なくとも縦枠
の上記金属下地材による新設ドア枠の縦枠固定をガタ付
きがなく納まりよくなし得るように,これを,上記既設
ドア枠に設置した少なくとも縦枠の金属下地材を,上記
新設ドア枠の背面に弾発的に対接する一体成形又は別体
後付けの弾発対接片を備えて形成してなることを特徴と
する請求項1又は2に記載のドア枠改装構造としたもの
である。
【0012】請求項4に記載の発明は,新設ドア枠の下
枠の直付固定もネジ止めによって行なうものとするよう
に,これを,上記新設ドア枠の下枠の直付け固定を,中
間の段差部と内外開口面でネジ止めするとともに上記L
字折返部の重合部において既設ドア枠の室外側見付面に
対してネジ止めして行なってなることを特徴とする請求
項1,2又は3に記載のドア枠改装構造としたものであ
る。
【0013】
【0014】請求項5に記載の発明は,やや下枠が高く
なる傾向が生じるが,上記第1,3等の課題に沿い新設
ドア枠の上記下枠の直付固定に代えて該下枠を縦枠及び
上枠と同様に金属下地材を介した固定とする他の形態の
ものとするように,これを,中間の段差部を介して内外
開口面を段状に配置した既設ドア枠を被覆するように新
設ドア枠を設置するドア枠改装構造において,上記新設
ドア枠を少なくとも室内側の見付面を除く既設ドア枠に
沿う形状に一体に形成した矩形一体枠とし,上記既設ド
ア枠の縦枠にその長手方向全長に亘る垂直出し用の,上
枠及び下枠にその長手方向全長に亘る水平出し用の各金
属下地材を設置し,上記新設ドア枠を既設ドア枠の開口
に正面から差込み挿入し,新設ドア枠の縦枠,上枠及び
下枠を上記金属下地材を介してそれぞれ固定することに
よって新設ドア枠を設置し且つ上記既設ドア枠に設置し
た縦枠及び上枠の金属下地材を,少なくとも室内側見付
面を除く既設ドア枠の縦枠及び上枠形状に沿う形状にし
て室外側見付面において先端を正面側に折曲した起立片
を備えて形成するとともに新設ドア枠の縦枠及び上枠を
既設ドア枠の室外側見付面より正面側に突出した室外側
見付面を備えるとともにその外側に上記起立片に対接す
る対接部と既設ドア枠の室外側見付面に沿ってこれと重
合する重合部とによるL字折返部を備えて形成し,上記
新設ドア枠の縦枠及び上枠の固定をそれぞれ中間の段差
部と内外開口面でネジ止めするとともに上記L字折返部
の上記対接部で起立片に対してネジ止めして行なってな
ることを特徴とするドア枠改装構造としたものである。
【0015】請求項6に記載の発明は,上記第3の課題
に沿って,新設ドア枠の設置を上記固定とともにその背
面側の充填材充填による金属下地材との一体化によるも
のとするとともに充填材を一体化に際して優れた接着性
を呈するものとするように,これを,上記新設ドア枠の
背面側空隙に接着性充填材を充填硬化することによって
新設ドア枠を既設ドア枠に一体化してなることを特徴と
する請求項1,2,3,4又は5に記載のドア枠改装構
造としたものである。
【0016】請求項7に記載の発明は,上記接着性充填
材を新設ドア枠の背面に空隙なく均一且つ充分に充填す
るとともにその接着性を高度に確保するように,これ
を,上記接着性充填材を,無機系又は有機系の微粉末乃
至微小粒状物による先行充填物及び樹脂系液状バインダ
ーによる後続充填液を備えて分離形成し,新設ドア枠の
上部に設置した注入口から上記先行充填物を直接に又は
ガイドチューブを介して注入し,その後に後続充填液を
同様に注入することによって充填硬化してなることを特
徴とする請求項6に記載のドア枠改装構造としたもので
ある。
【0017】本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨とし
て,上記各課題解決の手段としたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下図面の例に従って本発明を更
に具体的に説明すれば,図1乃至図5においてAは新設
ドア枠であり,該新設ドア枠Aは,中間の段差部を介し
て内外開口面を段状に配置した既設ドア枠Bを被覆する
ように設置することによってドア枠改装を行なうものと
してあり,このとき上記新設ドア枠Aは,これを少なく
とも室内側の見付面を除く既設ドア枠Bに沿う形状に一
体に形成した矩形一体枠とし,本例にあって該新設ドア
枠Aは,これを既設ドア枠Bの室外側見付面より正面側
に突出した室外側見付面7を備えるとともにその外側に
対接部9と既設ドア枠Bの室外側見付面に沿ってこれと
重合する重合部10とによるL字折返部8を備えたもの
とし,また上記既設ドア枠Bの縦枠及び上枠における室
内側見付面を覆いこれらと内側開口面において重合する
固定片13を有する額縁12を備えたものとしてある。
【0019】即ち本例の新設ドア枠Aは,それぞれ既設
ドア枠Bに合わせた見込幅と形状を有するようにプレス
成形加工等を施すことによってそれぞれ形成した一体に
成形し又は区分成形後一体化して左右の縦枠1,上枠2
及び下枠3をコーナー部分で溶着固定して上記矩形の形
状に枠組するとともに上記既設ドア枠Bに沿う形状とし
た内外方向に一体の一体枠とした,金属製,例えば鋼製
の特にステンレス製のものとしてあり,一般に用いられ
る鋼製の既設ドア枠Bの形状に沿って中間の段差部6と
該段差部6を介して配置した段状の内外開口面4,5を
備え,その外側開口面5の先端を既設ドア枠Bの室外側
見付面より正面側に突出した位置で張出方向(左右外側
方向及び上下方向)に折曲して室外側見付面7を形成
し,該室外側見付面7の先端を既設ドア枠Bの室外側見
付面の中間位置で該見付面側に折曲することによって上
記L字折返部8の対接部9を,更に該対接部9の先端を
既設ドア枠Bの見付面に沿って張出方向に折曲して,上
記L字折返部8の重合部10をそれぞれ形成したものと
してあり,このとき上記段差部6において内側開口面4
を室外側に張出状に突出して該段差部6に新設ドア枠A
に一連とするように嵌着溝を形成し,該嵌着溝にドアク
ッションを兼ねた気密材11を嵌着固定して,ドア23
閉成時の気密性をドア23内側外周の同一面で確保する
ようにしてある。
【0020】一方額縁12は,新設ドア枠Aの縦枠1及
び上枠2に対応して,既設ドア枠Bの室内側見付面を被
覆処理する室内側見付面と該室内側見付面の開口端側先
端を室外側にL字状をなすように折曲して上記新設ドア
枠Aの内側開口面4と重合する,室外側に向けた固定片
13を備えた上記新設ドア枠Aと同一材質の金属製とし
てあり,このとき額縁12は,これを門型に一体に溶着
したものとし又は左右の縦枠用と上枠用のそれぞれバー
材によるものとしてある。
【0021】このように形成した新設ドア枠Aを用いた
ドア枠改装のための設置は,上記既設ドア枠Bの縦枠及
び上枠にそれぞれその長手方向全長に亘る垂直出し用及
び水平出し用の各金属下地材14を設置し,新設ドア枠
Aを既設ドア枠Bの開口に正面から差込み挿入し,その
の縦枠1及び上枠2を上記金属下地材14を介して,下
枠1を既設ドア枠Bの下枠に直付けしてそれぞれ固定す
ることによって行なったものとしてあり,本例におい
て,該新設ドア枠Aの縦枠1及び上枠2の上記金属下地
材14を介した固定によって上記固定片13を同時に固
定して上記額縁12を上記既設ドア枠Bの室内側見付面
に設置したものとしてある。
【0022】新設ドア枠Aの左右の縦枠1及び上枠2を
固定する本例の金属下地材14は,室内側見付面を除く
既設ドア枠の縦枠及び上枠形状に沿う形状にして室外側
見付面において先端を正面側に折曲した起立片19を備
えて形成してあり,本例において該金属下地材14は,
既設ドア枠Bの中間段差部と段状の内外開口面に対応し
た段差部17及び内外基板15,16を備えるとともに
外側基板16の先端を既設ドア枠Bの室外側見付面に沿
って張出方向に折曲した折曲部18及び該折曲部18の
先端を上記見付面の中間位置で正面の室外側に更に折曲
して,上記新設ドア枠Aの上記対接部9に応じた位置と
突出幅の起立片19を備えて,同じく金属製のものとし
てあり,本例の既設ドア枠Bの縦枠及び上枠に設置した
金属下地材14は,上記新設ドア枠Aの背面に弾発的に
対接する一体成形又は別体後付け,本例にあっては一体
成形の弾発対接片20を備えて形成したものとしてあ
り,本例の該弾発対接片20は,これを,金属下地材1
4の室内側に位置する内側基板15をその固定位置を除
いて既設ドア枠Bから幾分浮かせるように配置し,その
室内側端部を開口方向に折曲し,該折曲部分においてス
プリング効果を保持させるようにして上記新設ドア枠A
の縦枠1及び上枠2に弾発的に対接するように形成して
ある。
【0023】金属下地材14の既設ドア枠Bへの設置
は,金属下地材14の室外側の上記折曲部18,既設ド
ア枠Bの内外開口面に対応する内外基板15,16にお
いてそれぞれネジ21固定することによって行なってお
り,このとき既設ドア枠Bの縦枠に対する金属下地材1
4の固定は,縦枠に傾斜があるときを含めてそれ自体垂
直をなすように,上枠に対する金属下地材14の固定
は,同じく上枠に傾斜があるときを含めてそれ自体水平
をなすように,それぞれネジ21固定を調整することに
よって行い,新設ドア枠Aの設置基準として縦枠1用の
垂直と上枠2用の水平を可及的に確保するようにしたも
のとして,新設ドア枠Aの納まりを良好になし得るよう
にその固定を行なうようにしてある。
【0024】既設ドア枠Bの縦枠及び上枠に設置した金
属下地材14を介する新設ドア枠Aの固定は,これを,
それぞれ中間の段差部6と内外開口面4,5でネジ21
止めするとともに縦枠1及び上枠2において上記L字折
返部8の上記対接部9で起立片19に対してネジ21止
めし,下枠3において上記L字折返部8の重合部10に
おいて既設ドア枠Bの室外側見付面に対してネジ21止
めして行なったものとしてある。
【0025】即ち金属下地材14を設置した既設ドア枠
Bの開口にその正面から新設ドア枠Aを差込み挿入する
ことによって,新設ドア枠Aは既設ドア枠Bを覆い,金
属下地材14に対接して正確な納まり状態を得るととも
に,本例においては上記弾発対接片20のスプリング効
果によって弾発的に押えられ,金属下地材14に保持さ
れることによって仮固定され,また新設ドア枠Aの上記
対接部9が金属下地材14の起立片19にその外側で対
接し,下枠1の重合部10が既設ドア枠Bの下枠におけ
る見付面に対接することになるから,上記中間の段差部
6,内外開口面4,5から金属下地材14の段差部1
7,内外基板15,16にネジ21止めするとともに対
接部9乃至重合部10から金属下地材14の起立片19
にネジ21止めし,重合部10から下枠見付面にネジ2
1止めすることによってその固定が完了する。
【0026】このように新設ドア枠Aを設置することに
よって,相当程度の強度を備えた新設ドア枠Aを得られ
ることになるが,本例にあっては,ドア23を支持して
その頻繁な開閉によって衝撃を受ける新設ドア枠Aとし
て,上記ネジ21の緩みによるガタ付き等の発生を防止
するように,その後に更に上記新設ドア枠Aの背面側空
隙に接着性充填材22を充填硬化することによって新設
ドア枠Aを既設ドア枠B乃至これに設置した金属下地材
14に一体化したものとしてある。
【0027】このとき図示例の既設ドア枠Bのように新
築の建物にドア枠を設置するについて充填材としてモル
タルを用いることがあるが,モルタルを充填すると,改
装工事が湿式になり,工事時間が長くなる傾向があり,
また図示されるように既設ドア枠Bとの間で新設ドア枠
Aの背面側空隙は比較的薄いものとなるから,モルタル
を用いてこれを新設ドア枠Aの背面側空隙に行き渡らせ
ることが困難であり,このため本例にあっては上記接着
性充填材22を用いて,これを充填硬化させるものとし
てあり,このとき本例にあって上記接着性充填材22
は,これを,無機系又は有機系微粉末乃至微小粒状物に
よる先行充填物及び樹脂系液状バインダーによる後続充
填液を備えて分離形成し,新設ドア枠Aの上部,例えば
上枠2に設置した図示省略の注入口から上記先行充填物
を直接に又はガイドチューブを介して注入し,その後に
後続充填液を同様に注入することによって充填硬化した
ものとしてあり,これによって新設ドア枠Aの薄い背面
側空隙に,上記先行充填材を充分に行き渡らせて均一且
つ確実に充填した後に,そのバインダーをなす後続充填
液を供給し上記先行充填材に浸透させ,これに湿潤させ
ることによって,部材同士の強固な接着と防水性を備え
たて,接着性充填材22を上記空隙に密に充填硬化し,
新設ドア枠Aの背面に結露が発生するのを防止し,断熱
性や遮音性を向上するようにしてある。
【0028】先行充填材は,硅砂等の砂,岩石粉砕物,
ガラス,セメント等の無機系,樹脂ビーズ,木屑等の有
機系の微粉末や粒状物又はこれらの混合物を用いること
ができ,本例にあっては無機系,特に硅砂と早強セメン
トとの混合物を用いたものとし,また後続接着液は,各
種樹脂系接着剤のうちから,例えば自己架橋性アクリル
樹脂の接着液を用いたものとしてある。
【0029】充填は,新設ドア枠Aの設置後に,例えば
その上枠の長手方向中間位置等に設けた注入口から直接
にそれぞれこれらを注入すことも可能であるが,本例で
は,充填を簡易且つ確実に行なうように上記ガイドチュ
ーブを介してこれを行なうものとしてあり,本例にあっ
て該ガイドチューブは,例えば可撓性に富んだ塩ビの透
明チューブ等の樹脂チューブを用いるとともにその外周
に吐出用の透孔を多数透設したものとしてあり,本例に
あっては上記上枠に単一又は複数設置した注入口から各
縦枠下端にそれぞれ該樹脂チューブを挿入し先行充填材
を注入し,その後に後続樹脂液を注入することによって
接着性充填材22を充填し,その後樹脂チューブを抜き
取りして,接着性充填材22の硬化を行なうようにして
あり,樹脂チューブの先行充填材及び/又は後続樹脂液
の充填には必要に応じてポンプ等の加圧手段を用いてこ
れを行なうようにしてある。
【0030】なお本例にあっては既設ドア枠Bの縦枠及
び上枠に長手方向全長の上記金属下地材14を用いたこ
とによって上記接着性充填材22が新設ドア枠Aの背面
側に充填されるのが妨げられないように,上記金属下地
材14には所定間隔に図示省略の透孔を設置したものと
してあり,該透孔によって接着性充填材22が上記充填
によってその表裏に供給されるようにしてある。
【0031】図6は新設ドア枠Aの縦枠1及び上枠2を
上記と同様に構成する一方,下枠3を他の形態のものと
した例であり,本例にあって下枠3は,上記室外側見付
面7とL字折返部8を備えることなく,段差部6と該段
差部6を介して配置した段状の内外開口面4,5を備え
たものとして,上記L字折返部8の重合部10における
固定に代えて,外側開口面5を既設ドア枠Bの下枠にお
ける外側開口面にネジ21止めすることによってその直
付けの固定を行なった例である。その余は上記例と同様
であるから,同一符号を付して重複する説明を省略す
る。
【0032】このように設置した新設ドア枠Aには,例
えば断熱材を充填した断熱性と防音性を備えたドア23
を,片側の縦枠に吊り設置することによって,その改装
作業を終了する。
【0033】本例のドア枠改装は,数時間程度の短時間
で,騒音,塵埃等を発生することなく,また新設ドア枠
Aの設置不能といったトラブルもなく縦枠1の垂直を確
保してこれを行なうことができるから,人の居住状態で
のマンションのドア枠改装に適したものとなるとともに
一日に2乃至3軒のドア枠改装が可能となって,ドア枠
改装を極めて効率的に行なって,複数の作業班による工
事とすれば,マンション一棟分のドア枠改装を極く短期
間に完了することもできる。
【0034】図示した例は以上のとおりとしたが,改装
後の下枠の高さが幾分上昇する問題を残すが,新設ドア
枠の縦枠及び上枠を共通とし,上記下枠の直付固定に代
えて該下枠を縦枠及び上枠と同様に金属下地材を介して
固定したものとすること,このとき上記接着性充填材を
充填硬化するものとする場合,例えば上記樹脂チューブ
をそれぞれ下枠中間位置に至るように挿入する等して,
新設ドア枠の下枠背面側にも同様に接着性充填材を充填
硬化させるようにすること,接着性充填材を上記先行充
填材と後続接着液を混合したものとして,これを充填硬
化したものとすること等を含めて,本発明の実施に当っ
て,既設ドア枠,新設ドア枠,その縦枠,上枠,下枠,
金属下地材,必要に応じて使用する額縁,弾発対接片,
接着性充填材等の各具体的材質,形状,構造,これらの
関係,枠組や充填の方法乃至手順,これらに対する付加
等は上記発明の要旨に反しない限り様々の形態のものと
することができる。
【0035】
【発明の効果】 本発明は以上のとおりに構成したか
ら,請求項1に記載の発明は,新設ドア枠の設置に際し
て,これを既設ドア枠に設置するも,既設ドア枠の縦枠
に設置した長手方向全長に亘る垂直出し用の金属下地材
を,新設ドア枠を固定するための新設ドア枠における縦
枠の設置基準とすることによって,縦枠が傾斜し既設ド
ア枠が歪んで設置されている場合にも,縦枠の傾斜を吸
収して,傾斜とは関係なく独自に垂直を確保した設置基
準をなすものとし,併せて既設ドア枠の上枠に同じく新
設ドア枠の上枠の設置基準をなすように水平出し用の金
属下地材を用いて,新設ドア枠の設置を更に確実に行な
うようにし,また新設ドア枠の下枠を既設ドア枠の下枠
に直付け固定することによって,その高さの上昇を新設
ドア枠の肉厚相当分に抑制する一方,新設ドア枠の固定
をネジ止めによって行ない乍ら,正面にネジが露出する
のを防止し,新設ドア枠の外観を質感に富んだ良好なも
のとするようにして,新設ドア枠を固定することによっ
て,新設ドア枠を可及的に簡易に歪みなく確実に設置し
得て,工事不能といった事態を解消してマンション等の
人の居住状態の改装に適し,良好な納まりによって改装
品質を確保することが可能なドア枠改装構造を提供する
ことができる。
【0036】請求項2に記載の発明は,上記新設ドア枠
の縦枠及び上枠が除いた室内側見付面を同時に額縁によ
って簡易且つ確実に被覆し得るものとするとすることが
できる。
【0037】請求項3に記載の発明は,少なくとも縦枠
の上記金属下地材による新設ドア枠の縦枠固定をガタ付
きがなく納まりよくなし得るようすることができる。
【0038】請求項4に記載の発明は,新設ドア枠の下
枠の直付固定もネジ止めによって行なうものとすること
ができる。
【0039】
【0040】請求項5に記載の発明は,やや下枠が高く
なる傾向が生じるが,新設ドア枠の下枠の固定を他の形
態のものとすることができる。
【0041】請求項6に記載の発明は,上記新設ドア枠
の設置を上記固定とともにその背面側の充填材充填によ
る金属下地材との一体化によるものとするとともに充填
材を一体化に際して優れた接着性を呈するものとし,新
設ドア枠の長期に亘る安定性を充分に確保し得るものと
するとともにこの安定性の確保を可及的に簡易にして確
実になし得るようにしたものとすることができる。
【0042】請求項7に記載の発明は,上記接着性充填
材を新設ドア枠の背面に空隙なく均一且つ充分に充填す
るとともにその接着性を高度に確保するものとすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】既設ドア枠を改装した新設ドア枠の横断面図で
ある。
【図2】既設ドア枠を改装した新設ドア枠の縦断面図で
ある。
【図3】図1の一方の縦枠部分の拡大横断面図である。
【図4】図2の上枠部分の拡大縦断面図である。
【図5】図2の下枠部分の拡大縦断面図である。
【図6】他の例に係る下枠部分の拡大縦断面図である。
【符号の説明】
A 新設ドア枠 B 既設ドア枠 1 縦枠 2 上枠 3 下枠 4 内側開口面 5 外側開口面 6 段差部 7 室外側見付面 8 L字折返部 9 対接部 10 重合部 12 額縁 13 固定片 14 金属下地材 19 起立片 20 弾発対接片 22 接着性充填材 23 ドア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−252353(JP,A) 特開 昭57−137586(JP,A) 特開2001−173315(JP,A) 特開 平7−293115(JP,A) 特開 平10−266709(JP,A) 特開 昭61−294082(JP,A) 実開 昭56−61676(JP,U) 実開 昭54−69642(JP,U) 実開 昭56−63773(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E06B 1/56 - 1/60 E04G 23/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中間の段差部を介して内外開口面を段状
    に配置した既設ドア枠を被覆するように新設ドア枠を設
    置するドア枠改装構造において,上記新設ドア枠を少な
    くとも室内側の見付面を除く既設ドア枠に沿う形状に一
    体に形成した矩形一体枠とし,上記既設ドア枠の縦枠及
    び上枠にそれぞれその長手方向全長に亘る垂直出し用及
    び水平出し用の各金属下地材を設置し,上記新設ドア枠
    を既設ドア枠の開口に正面から差込み挿入し,新設ドア
    枠の縦枠及び上枠を上記金属下地材を介して,下枠を既
    設ドア枠の下枠に直付けしてそれぞれ固定することによ
    って新設ドア枠を設置し且つ上記既設ドア枠に設置した
    金属下地材を,少なくとも室内側見付面を除く既設ドア
    枠の縦枠及び上枠形状に沿う形状にして室外側見付面に
    おいて先端を正面側に折曲した起立片を備えて形成する
    とともに新設ドア枠を既設ドア枠の室外側見付面より正
    面側に突出した室外側見付面を備えるとともにその外側
    に上記起立片に対接する対接部と既設ドア枠の室外側見
    付面に沿ってこれと重合する重合部とによるL字折返部
    を備えて形成し,上記新設ドア枠の縦枠及び上枠の固定
    をそれぞれ中間の段差部と内外開口面でネジ止めすると
    ともに上記L字折返部の上記対接部で起立片に対してネ
    ジ止めして行なってなることを特徴とするドア枠改装構
    造。
  2. 【請求項2】 上記新設ドア枠が,上記既設ドア枠の縦
    枠及び上枠における室内側見付面を覆いこれらと内側開
    口面において重合する固定片を有する額縁を備え,新設
    ドア枠の縦枠及び上枠の上記金属下地材を介した固定に
    よって上記固定片を同時に固定して該額縁を上記既設ド
    ア枠の室内側見付面に設置してなることを特徴とする請
    求項1に記載のドア枠改装構造。
  3. 【請求項3】 上記既設ドア枠に設置した少なくとも縦
    枠の金属下地材を,上記新設ドア枠の背面に弾発的に対
    接する一体成形又は別体後付けの弾発対接片を備えて形
    成してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のド
    ア枠改装構造。
  4. 【請求項4】 上記新設ドア枠の下枠の直付け固定を,
    中間の段差部と内外開口面でネジ止めするとともに上記
    L字折返部の重合部において既設ドア枠の室外側見付面
    に対してネジ止めして行なってなることを特徴とする請
    求項1,2又は3に記載のドア枠改装構造。
  5. 【請求項5】 中間の段差部を介して内外開口面を段状
    に配置した既設ドア枠を被覆するように新設ドア枠を設
    置するドア枠改装構造において,上記新設ドア枠を少な
    くとも室内側の見付面を除く既設ドア枠に沿う形状に一
    体に形成した矩形一体枠とし,上記既設ドア枠の縦枠に
    その長手方向全長に亘る垂直出し用の,上枠及び下枠に
    その長手方向全長に亘る水平出し用の各金属下地材を設
    置し,上記新設ドア枠を既設ドア枠の開口に正面から差
    込み挿入し,新設ドア枠の縦枠,上枠及び下枠を上記金
    属下地材を介してそれぞれ固定することによって新設ド
    ア枠を設置し且つ上記既設ドア枠に設置した縦枠及び上
    枠の金属下地材を,少なくとも室内側見付面を除く既設
    ドア枠の縦枠及び上枠形状に沿う形状にして室外側見付
    面において先端を正面側に折曲した起立片を備えて形成
    するとともに新設ドア枠の縦枠及び上枠を既設ドア枠の
    室外側見付面より正面側に突出した室外側見付面を備え
    るとともにその外側に上記起立片に対接する対接部と既
    設ドア枠の室外側見付面に沿ってこれと重合する重合部
    とによるL字折返部を備えて形成し,上記新設ドア枠の
    縦枠及び上枠の固定をそれぞれ中間の段差部と内外開口
    面でネジ止めするとともに上記L字折返部の上記対接部
    で起立片に対してネジ止めして行なってなることを特徴
    とするドア枠改装構造。
  6. 【請求項6】 上記新設ドア枠の背面側空隙に接着性充
    填材を充填硬化することによって新設ドア枠を既設ドア
    枠に一体化してなることを特徴とする請求項1,2,
    3,4又は5に記載のドア枠改装構造。
  7. 【請求項7】 上記接着性充填材を,無機系又は有機系
    の微粉末乃至微小粒状物による先行充填物及び樹脂系液
    状バインダーによる後続充填液を備えて分離形成し,新
    設ドア枠の上部に設置した注入口から上記先行充填物を
    直接に又はガイドチューブを介して注入し,その後に後
    続充填液を同様に注入することによって充填硬化してな
    ることを特徴とする請求項6に記載のドア枠改装構造。
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