JP3516725B2 - 静電集塵装置 - Google Patents

静電集塵装置

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JP3516725B2
JP3516725B2 JP21150694A JP21150694A JP3516725B2 JP 3516725 B2 JP3516725 B2 JP 3516725B2 JP 21150694 A JP21150694 A JP 21150694A JP 21150694 A JP21150694 A JP 21150694A JP 3516725 B2 JP3516725 B2 JP 3516725B2
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直記 杉田
修 国安
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電集塵装置に関し、
更に詳しくは、気流中に浮遊する荷電した微粒子を捕集
するコレクタ部の高圧側電極に関する。
【0002】
【従来の技術】静電集塵装置は、気流中の微粒子に対し
てコロナ放電などにより電荷を与え、この荷電粒子が電
界中を通過する間に静電力により荷電粒子を捕集し、除
去するもので、産業用の大型装置から家庭用の小型の装
置まで種々のタイプが用いられている。
【0003】従来のコレクタは、アルミ平行平板型の電
極を用いたものであり、一般に、高圧電源の正極(高
圧)側に接続した高圧側電極と、その負極(接地)側に
接続した集塵電極とを交互に平行配列した構造で、高圧
側電極および集塵電極ともにアルミ平板で構成してい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように導
電性の金属を電極として用いた静電集塵装置のコレクタ
では、コレクタに導かれる荷電粒子中に導電性粉塵が混
在していると、高圧側と集塵側との電極間で火花放電が
起きたり、捕集した粉塵が電極に堆積した結果抵抗が下
がり火花放電が起こるなど、電極間での火花放電が避け
られなかった。また、これらの電極を保持している絶縁
部分やスペーサなどが汚れたり、湿気によりこれらの抵
抗が低下することにより電極と接触している部分からコ
レクタリーク電流が流れるようになり、電圧の低下を起
こし、捕集性能が低下するという欠点があった。さら
に、電極間のスペーサなどによって、電極間に流す空気
の圧力損失が大きいという問題もあった。
【0005】従って、本発明の目的は、電極間での火花
放電の発生を防止し、経時的に安定して捕集性能の低下
を抑制し得る静電集塵装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、気流中の微粒
子に対して電荷を与えるアイオナイザー部と、荷電した
粒子を静電力によって捕集する集塵側電極と高圧側電極
とを備えるコレクタ部とを有する静電集塵装置であっ
て、該高圧側電極が、体積固有抵抗値が使用環境の温湿
度において1010〜1013Ωcmのオーダーである半絶
縁性樹脂のうちの吸湿性樹脂からなる静電集塵装置であ
る。
【0007】また、前記高圧側電極に用いる吸湿性樹脂
は、体積固有抵抗値が下記式2を満たす樹脂であること
を特徴とする。
【0008】 ΔlogR/ΔlogV≧−1 式2 ただし、式1において、Rは体積固有抵抗値、Vは印加
電圧である。
【0009】さらに、本発明の静電集塵装置の高圧側電
極に用いる吸湿性樹脂はABS樹脂を基材として吸水性
樹脂を配合してなる樹脂またはフェノール樹脂を基材と
した樹脂であることを特徴とする。
【0010】また、本発明は、コレクタ部で高圧側電極
を保持する部分には高電圧が供給されるような構造とな
っており、該保持する部分によって電圧が印加される高
圧側電極を有するコレクタ部を備える静電集塵装置であ
り、また、本発明の静電集塵装置の高圧側電極は一体成
形した高圧ラダー型電極であることを特徴とする。
【0011】電極間での火花放電を防止し、高い捕集性
能を得るためには、電極には高電圧を印加しつつ、電極
上で電界が局在するのを防ぎ、かつ電極に過剰な電流が
流れるのを防止しなければならないと考えられる。従っ
て、電極を半絶縁性とすることで、電極上での瞬時の電
荷の移動を制限し、火花放電の発生が抑えられる。電極
の体積固有抵抗と火花の発生の有無を調べたところ、電
極の体積固有抵抗値が108 Ωcm未満となると高圧側
と集塵側電極間で火花放電が起こる傾向がみられた。ま
た、体積固有抵抗値が1013Ωcmを超えるような場合
には、集塵効率が低下する傾向が見られる。従って、体
積固有抵抗が108 〜1013Ωcmのオーダーの範囲、
特に、1010〜1013Ωcmのオーダーの範囲にある電
極を用いたとき火花放電が起こらず、優れた集塵性能を
有するものが得られる。さらに、電極組立加工時の工数
や電極の信頼性を考慮すると、上述の体積固有抵抗をも
つ半絶縁性の樹脂を用いて一体成形して電極を形成する
のが好ましい。
【0012】このような半絶縁性の電極用の樹脂を調製
するには、基材となる樹脂に(1)カーボンブラック、
(2)カーボンファイバー、(3)導電性または半導電
性ウィスカー、(4)ステンレス繊維などの導電材を適
量配合することによって得ることができると考えられ
る。しかし、実際に行ってみると、抵抗値が106 Ωc
m以下のように比較的低い樹脂は容易に得ることができ
るが、目的とする1010〜1013Ωcmのオーダーの範
囲の抵抗値を有する樹脂の調製はきわめて困難であっ
た。これは以下に示す理由によるものと思われる。すな
わち、(1)高抵抗値の樹脂を調製するためには、通常
行われているように樹脂に大量の導電材を添加する訳に
はいかず、少ない量の導電材で樹脂の抵抗値をコントロ
ールしなければならない。しかし、樹脂に添加された導
電材の量が少ない場合には、添加量に対する抵抗値の変
化が大きく、わずかに導電材の量が変化しただけでも、
樹脂の抵抗値が大きく変化してしまう結果となる。さら
に、樹脂中での導電材の分散状態などのわずかの相違に
よって抵抗値が大きく変化することになるため、安定し
た抵抗値が得られないこと。また、(2)電極を成形し
た場合に、電極表面に導電材が含まれていない樹脂層が
形成され、この厚さが成形条件によって大きく変化し、
抵抗値が変化する原因となるためである。
【0013】さらに、一定量の導電材を配合し、成形で
生じた樹脂表面の樹脂層を削り取り導電材が含まれてい
る部分を露出させた樹脂では、抵抗値をある程度の範囲
におさえることは可能であるが、樹脂の抵抗値が樹脂に
印加する電圧によって変化する電圧依存性を示すように
なる。すなわち、樹脂に加わる電位傾度が小さい場合は
高い抵抗値を示し、電位傾度が大きい場合には低い抵抗
値を示すようになり、ある電圧以上の電圧が加わると突
然短絡するようになる。従って、このような樹脂で抵抗
値が上述の範囲にある電極を作製した場合には、高圧側
と接地側電極とが導電性物質でブリッジされたときに火
花放電を生ずることになる。また、ある電圧以上で短絡
を生じたときに樹脂の変質が起こり、電圧を除去しても
元の抵抗値に戻らないという問題があることが判明し
た。
【0014】そこで、高抵抗の樹脂を得るために、本来
絶縁性の樹脂の中に、導電率が10桁以上異なる導電材
をごく少量添加して達成するのではなく、樹脂に吸着さ
れた水分により樹脂の抵抗値が変化することに着目し、
樹脂の吸湿性を制御することによって樹脂の抵抗値を高
電圧に対しても1010〜1013Ωcmのオーダーの範囲
とすることができることを見いだし、この知見に基づい
て、静電集塵装置の高圧側電極として吸湿性樹脂を用い
た電極を使用することを可能とし、本発明をなすに至っ
た。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明で用いることができる吸湿性樹脂と
しては、吸湿性を有し、使用環境の温湿度において高電
圧に対して108 〜1013Ωcm、好ましくは1010
1013Ωcmのオーダーの範囲にある体積固有抵抗値を
有する樹脂を使用することができる。このような吸湿性
樹脂は、樹脂自体に吸湿性があり、上記の体積固有抵抗
値を有するもの用いることもできるが、例えば、熱可塑
性樹脂のような樹脂基材に吸水性樹脂を添加し、ブレン
ドすることにより吸湿性を付与した樹脂を用いることが
できる。このような樹脂は、樹脂中に配合された吸水性
樹脂により吸収された水分によって半絶縁性を示すもの
であり、吸水性樹脂の配合量を調製することによって、
樹脂の体積固有抵抗値を108 〜1013Ωcmのオーダ
ーの範囲となるように自由に調製できるため好ましい樹
脂である。一般に、配合量は樹脂の種類により異なる
が、5〜50重量%である。樹脂基材としては、例え
ば、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂のよ
うな熱可塑性樹脂があり、特に、ABS樹脂を基材とし
て用いると成形性、難燃性、耐熱性、耐衝撃性の優れた
ものが得られ、また、製造コストの面でも安価となる。
また、樹脂自体が吸湿性を有している樹脂基材として
は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などがあ
げられる。また、このような熱硬化性樹脂の例として、
なかでもフェノール樹脂を基材として用いた場合には、
所望の抵抗値が得られ易く好ましい結果が得られる。一
方、混合する吸水性樹脂としては、アクリル酸塩系、ポ
バール系、ポリアミド系などがあり、吸水能、抵抗値の
持続性および基材樹脂との相溶性などを考慮して選択さ
れる。なお、このような吸湿性樹脂としては、例えば、
マクスロイ(商品名、JSR社製)、スミライト(商品
名、住友ベークライト社製)などの市販品を使用するこ
とができる。
【0017】このようにして調製された吸湿性樹脂は、
例えば、ABSを樹脂基材として、吸水性樹脂を添加し
た樹脂の場合には、十分乾燥した樹脂プレート(厚さ2
mm)を、温度70℃、湿度65%の恒温恒湿槽内に4
8時間静置した後の吸湿量は乾燥樹脂に対して0.7〜
1.5重量%であり、このとき通常雰囲気に戻し一定時
間(48時間以上)放置した後の樹脂の体積固有抵抗値
は1010〜1013Ωcmのオーダーを示した。
【0018】また、同様に、フェノール樹脂の場合は、
体積固有抵抗値は1012〜1013Ωcmのオーダーであ
った。
【0019】次ぎに、吸湿性樹脂について抵抗値と印加
電圧の関係から電極に求められる性質について図1を用
いて説明する。
【0020】図1は樹脂電極に印加する電圧を変化させ
たときの樹脂の体積固有抵抗の変化を示すグラフであ
る。このグラフより、印加電圧Vおよび体積固有抵抗R
について常用対数をとり、式3で定義する傾きKを求め
る。求めた傾きKを表1に記載した。
【0021】 K=ΔlogR/ΔlogV 式3 この傾きKが−1よりも小さいということは、印加電圧
を高くすると抵抗値が大きく減少し、電荷の移動が容易
となり火花放電が起こりやすくなる。事実、実験例3お
よび4で示される導電材を配合した樹脂では、傾きKは
−2〜−3の値で大きな電圧依存性を示し、7〜8kV
の電圧で火花放電が起こっている。従って、樹脂の体積
固有抵抗値が印加電圧の増加により大きく低下しないよ
うな樹脂であれば本発明の電極として使用することがで
きる。このためには、傾きKの値が−1以上の値となる
ことが必要である。すなわち、傾きKが−1〜0の値で
あれば、体積固有抵抗の電圧依存性は小さく、印加電圧
の増加によって火花放電が生じ、電流が流れるようにな
るほどまで体積固有抵抗値は低下しない。また、0以上
の場合には、印加電圧を増加すれば体積固有抵抗値は、
逆に増加することになり、電極間により高圧の電圧を印
加でき捕集効率を向上させることができる。従って、樹
脂の傾きKの値が−1以上の値であれば電極間での火花
放電がまったく起きない電極が得られ、安定な捕集性能
を確保することができるが、特に、−0.6以上の傾き
Kを示す樹脂を用いるとよい結果が得られる。
【0022】これらの樹脂を用いて電極は、熱硬化性樹
脂の場合は注型、圧縮成形、射出成形などで、熱可塑性
樹脂の場合は射出成形などによって一体成形することが
できる。電極の形状としては平板状、ラダー型など種々
の形状とすることができるが、特に、ラダー型の電極を
用いると集塵性能や組立工数の面から好ましい結果が得
られる。
【0023】本発明の吸湿性樹脂で作製した電極は高圧
側の電極に用い、集塵側電極には導電性の高いアルミな
どの金属、導電性の樹脂などの電極を用いる。この理由
としては、集塵側電極の電気抵抗が高いと捕集した荷電
粒子からの電荷が集塵側電極上に蓄積してしまうため、
この蓄積電荷が高圧側と集塵側との電極間の電界を打ち
消すように作用する結果、集塵側電極での捕集効率が低
下する傾向があるためである。
【0024】平板状の電極を用いる場合には、例えば、
高圧側の樹脂電極と接地側である集塵側アルミ電極とを
交互に平行配列し、各電極を絶縁性のスペーサなどによ
って固定し、電極間隔を維持するように配置する。ま
た、ラダー型の電極を用いる場合には、例えば、図2に
示すように集塵側電極と高圧側ラダー電極を組み合わせ
て構成する。
【0025】図2はラダー型の電極を用いた場合のコレ
クタ部の構成を示す分解斜視図である。図において、参
照符号1は高圧側ラダーであり、参照符号2は集塵極板
である。高圧側ラダー1には、複数の高圧側電極31
n が形成され、また、集塵極板2にも複数の集塵側電
極41 〜4n-1 が成形されている。高圧側ラダー1と集
塵極板2とを組合せ、高圧側電極31 〜3n 間に集塵側
電極41 〜4n-1 が挿入されコレクタ部が構成される。
【0026】また、本発明の吸湿性樹脂からなる半絶縁
性の電極を用いる場合、平行平板型の高圧側電極やラダ
ー型高圧側電極31 〜3n の電圧降下を防止するために
は、高圧側電極が接地側電極と接触してはならないこと
はもちろん、接地されていない絶縁物であっても、高圧
側電極と接触することは避けなければならない。すなわ
ち、これらの絶縁物はコレクタ部や集塵装置の枠体やケ
ースなどの絶縁物の表面を通じて間接的に接地され、電
位降下が起きてしまうためである。これは高圧側電極の
抵抗値が高いために起こる現象であり、高圧側電極が導
体であれば、絶縁物が接触したとしても電位降下が起き
ることはない。さらに、絶縁物の表面が汚れて湿気を帯
びてくると、電位降下はさらに増幅される。しかし、一
方では高圧側電極はどこかで保持しなければならない。
このためには、高圧側電極を保持する部分には高電圧が
供給されるような構造とすると上記の問題を解決するこ
とができる。このように構成することにより高圧側電極
全体を同一の高電位とすることができ、電極の各部分間
で電位差は生じずコレクタリーク電流も流れることもな
く、安定した状態を保つことができる。従って、汚れや
湿気による影響を受けず初期の捕集性能ばかりでなく経
時的な捕集性能ともに十分な性能を発揮することができ
る静電集塵装置が得られる。
【0027】なお、静電集塵装置によっては耐熱性が必
要になる場合があるが、この時は、シランカップリング
剤などで処理したガラス繊維など無機系充填物をさらに
樹脂に配合することにより熱変形温度を向上させること
ができる。ABS系の場合には、ガラス繊維を配合する
ことで110℃まで上昇する。また、必要により難燃剤
などを樹脂に添加することができる。
【0028】静電集塵装置は本発明の高圧側電極を用い
たコレクタ部と、通常、気流中の微粒子に電荷を与える
アイオナイザー部とから構成するが、このような構成を
どのように配置するか、電極の形状、大きさや配置、電
極への給電方法などは、静電集塵装置の用途や種類によ
り適時定められる。
【0029】
【作用】本発明の構成によると、コレクタの高圧側電極
では樹脂中に配合された吸水性樹脂が吸収した水分によ
り、樹脂電極の体積固有抵抗を108 〜1013の範囲に
維持することができるため、樹脂電極では電荷の移動が
制限され火花放電の発生が抑えられる。さらに、電荷の
移動が制限されるためコレクタリーク電流も少なくな
り、電圧降下が起こらず高電圧が維持される。
【0030】以下、実験例および実施例によって本発明
をさらに詳しく説明する。
【0031】
【実施例】
実験例1 電極材料としてABS樹脂に吸水性樹脂を配合した吸湿
性樹脂(吸湿量:1.3重量%、温度25℃湿度60%
印加電圧500Vにおける体積固有抵抗:6×1011Ω
cm、商品名:マクスロイS704HW、JSR社製)
を用い、長さ10cm、幅10cm、厚さ2.5mmの
平板電極を作製した。この樹脂電極に、図3aに示すよ
うに、この樹脂電極に印加する電圧を変化させ、接地し
た直径6mmの金属球を接触させるまで近づけたとき
に、樹脂電極と金属球との間で火花放電が起こる時の電
圧を測定した。結果を表1に示す。また、ASTM−D
257に基づき、図3bに示すように、樹脂電極試料に
印加する電圧を変化させ、樹脂電極の体積固有抵抗を求
めた。結果を表1および図1に示す。
【0032】実験例2 電極材料としてフェノール樹脂からなる吸湿性樹脂(吸
湿量:1重量%、温度25℃湿度60%印加電圧500
Vにおける体積固有抵抗:3×1012Ωcm、商品名:
スミライトPLC2147、住友ベークライト社製)を
用い、実験例1と同じ大きさの電極を作製し、実験例1
と同様に評価した。結果を表1および図1に示す。
【0033】実験例3 電極材料としてPBT樹脂に導電ウィスカーを配合(配
合量:15重量%)した半導電性樹脂(吸湿量:0.5
重量%以下、温度25℃湿度60%印加電圧500Vに
おける体積固有抵抗:1.3×1011Ωcm)を用い、
実験例1と同じ大きさの電極を作製し、実験例1と同様
に評価した。結果を表1および図1に示す。
【0034】実験例4 電極材料としてPBT樹脂に導電ウィスカーを配合(配
合量:10重量%)した半導電性樹脂(吸湿量:0.5
重量%以下、温度25℃湿度60%印加電圧500Vに
おける体積固有抵抗:4.3×1013Ωcm)を用い、
実験例1と同じ大きさの電極を作製し、実験例1と同様
に評価した。結果を表1および図1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】実施例1 実験例1と同様にして調製した長さ19cm、幅10c
m、厚さ1mmの樹脂平板電極を高圧側電極に用い、集
塵電極として厚さ1mmのアルミ平板電極を用いて、図
3cに示すように互いに平行に配置し(電極間隔:7.
5mm)、集塵装置を作製した。次いで、この集塵装置
の捕集性能をJIS B9908形式−1の方法に従い
測定した。測定は、コレクタ電圧Vc を2.2kV、ア
イオナイザー電圧Vi を4.6kVとし、風速1m/
秒、試験用エアロゾルとしてDOPエアロゾルを用い、
評価粒径は0.3μmで行い捕集率を測定した。また、
比較として、高圧側電極に、吸水性樹脂を配合していな
い通常のABS樹脂(一般に、吸水量:0.5重量%以
下、体積固有抵抗:1014Ωcm以上、例えば、商品
名:ABS15、JSR社製)を用いた場合(比較例
1)およびアルミ板を用いた場合(比較例2)について
評価した。結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】実施例2 実験例1の吸湿性樹脂を用いて、実験例1と同様な条件
で図2に示すラダー型電極を射出成形し、この電極を高
圧側に、カーボンファイバが配合された導電性樹脂を集
塵側電極としてコレクタ奥行dが9mm、コレクタピッ
チが2.9mmとなるように集塵装置を作製した。次い
で、集塵装置の捕集性能を、コレクタ電圧Vc を2.3
kV、アイオナイザー電圧Vi を4.6kVとし、風速
1m/秒、試験用エアロゾルとしてDOPエアロゾルを
用い、評価粒径は0.3μmで行い捕集率を測定した。
また、比較として、高圧側電極に、比較例1の通常のA
BS樹脂を用いてラダー型電極を作製し、同様に評価し
た(比較例3)。結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】実施例3 電極材料としてABS樹脂に吸水性樹脂を配合した吸湿
性樹脂(吸湿量:0.9重量%、温度25℃湿度60%
印加電圧500Vにおける体積固有抵抗:3×1013Ω
cm、商品名:マクスロイHN−901、JSR社製)
を用い、図3(c)に示す平行平板型電極(長さ46c
m、幅10cm、厚さ1.5mm)を作製した。次い
で、この電極を高圧側に、アルミを集塵側電極(厚さ
0.5mm)として、コレクタ奥行dが100mm、コ
レクタピッチが6mmとなるように集塵装置を作製し
た。次いで、集塵装置の捕集性能を、コレクタ電圧Vc
を8kV、アイオナイザー電圧Vi を6kVとし、風速
1m/秒、試験用エアロゾルとしてDOPエアロゾルを
用い、評価粒径は0.3μmで行い捕集率を測定したと
ころ90%の捕集率が得られた。
【0041】表1は高圧電極と接地体とが万一接触した
場合を想定して、樹脂に高電圧を印加し、接地した直径
6mmの金属球を接触させるまで近づけたとき、電極間
で火花放電が起こるときの電圧を測定したもので、実験
例3および4では7〜8kV程度で絶縁が破壊され火花
放電が起きているのに対し、実験例1および2では20
kV印加しても火花放電は起きていない。通常20kV
を超える電圧を印加することはあまりないので実質的に
火花放電が起きない電極を作製することができる。
【0042】また、印加電圧を変化させたときの体積固
有抵抗率の変化を示す図1の結果によると、図1の実験
例1および2、特に、1では印加電圧に関係なくほぼ一
定の抵抗値が得られているのに対し、実験例3および4
では印加電圧によって2〜3桁以上抵抗値が変化してい
る。この事実と表1の実験結果より印加電圧に対し抵抗
変化率が大きく印加電圧が増加すると低抵抗となる樹脂
では火花放電が発生し、逆に、抵抗変化率が小いさく抵
抗値が上述の範囲に留まる樹脂は火花放電が発生しない
ことがわかる。
【0043】これは、導電材を添加した樹脂では、樹脂
中の導電材の量は少なく、導電材は連続した状態で分散
しているのではなく、導電材は樹脂により隔離された状
態で樹脂中に分散されている。従って、樹脂内部の電位
傾度が大きくなると、樹脂で隔離されている導電材相互
間での電荷の移動が容易となるために、電流が流れ易く
なり樹脂の抵抗値も低下することによって大きな電圧依
存性を示している。一方、これに対し、吸湿性樹脂では
樹脂に吸湿された水分が導電性に寄与し、この水分は樹
脂中でほぼ連続的に存在し、また移動も容易であるた
め、抵抗値の電圧依存性は導電材添加樹脂に比べて少な
くなる。さらに、吸湿性樹脂では、電圧が増加すると、
電流が流れることになるが、電流が流れるとジュール熱
が発生し、このジュール熱によって樹脂に吸着されてい
た水分が僅わずかながら蒸発し、その結果、抵抗が増加
するようになるため高い抵抗値を維持することができ
る。
【0044】以上のように、導電材添加樹脂では、電極
に加わる電圧が高くなると抵抗が下がり、抵抗が下がる
と電流がより流れ易くなり、電流が流れ易くなるとさら
に抵抗が下がり、最終的に火花放電が起きてしまうこと
になる。
【0045】これに対し、吸湿性樹脂の場合には、電極
に高い電圧を印加しても高い抵抗値が維持されるため、
火花放電にはいたらないと考えられる。さらに、高い抵
抗値により電荷の移動が制限され、コレクタリーク電流
はきわめて少なく電圧降下が起こらない。以上のよう
に、電圧に対するよる抵抗値の変化が小さいことは安定
な捕集性能を確保するうえに重要であることがわかる。
【0046】さらに、本発明の吸湿性樹脂で電極を作製
すると、コレクタリーク電流が極めて少ないため、高湿
度の環境下においても捕集性能が低下するようなことは
ない。
【0047】表2の結果から、本発明の吸湿性樹脂から
なる樹脂電極は、アルミ電極とほぼ同等な捕集効率を有
し、火花放電も起こらず優れた静電集塵装置であること
がわかる。さらに、吸湿性樹脂を用いて一体成形により
電極を作製することができるため、金属板に半導電性の
表面処理を施した電極等にみられる絶縁破壊による金属
面の露出などが起こることはなく、安定した電極状態を
維持し、集塵能力が経時で低下するようなこともない。
【0048】また、表3の実施例2のようなラダー型の
高圧側電極を用いた場合、奥行き9mmという極めて薄
型で、優れた捕集能力を有する静電集塵装置が得られる
ことがわかる。また、実施例3のように奥行きを長くす
ることによってさらに高い捕集率を得ることもできる。
さらに、ラダー型電極は吸湿性樹脂を一体成形して作製
できるため、組立加工時の工数が減り、製作コストの低
減化を図れる。また、図2のように集塵電極とを組合せ
ると電極間隔を保持するためのスペーサなどは不要とな
り圧力損失の問題も解決できる。
【0049】さらに、このようなラダー型の電極では平
行平板型のコレクタの利点を生かしているため、汚れや
湿気による汚損が進行せず捕集性能が低下するようなこ
とはない。
【0050】
【発明の効果】本発明によると、コレクタ部電極間での
火花放電が発生せず、コレクタリーク電流がきわめて少
なく経時的に安定して優れた捕集性能を有する静電集塵
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂の印加電圧に対する樹脂の体積固有抵抗の
変化を示すグラフである。
【図2】ラダー型の電極を用いたコレクタ部の構成の一
例を示す分解斜視図である。
【図3】評価試験方法を示す図であって、(a)は印加
電圧と火花放電との関係を評価するための回路図、
(b)は印加電圧に対する体積固有抵抗を測定するため
の回路図、(c)は平行平板型コレクタの電極の配置を
示す図である。
【符号の説明】
1 高圧ラダー 2 集塵極板 31 〜3n 高圧側電極 41 〜4n-1 集塵電極 d 奥行き
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−218454(JP,A) 特公 昭45−24519(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B03C 3/00 - 3/88

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気流中の微粒子に対して電荷を与えるア
    イオナイザー部と、荷電した粒子を静電力によって捕集
    する集塵側電極と高圧側電極とを備えるコレクタ部とを
    有する静電集塵装置であって、該高圧側電極が、体積固
    有抵抗値が1010〜1013Ωcmのオーダーである吸湿
    性樹脂で構成された電極である静電集塵装置。
  2. 【請求項2】 前記高圧側電極に用いる吸湿性樹脂は、
    体積固有抵抗値が下記式1を満たす樹脂である請求項1
    に記載の静電集塵装置。 ΔlogR/ΔlogV≧−1 式1 ただし、式1において、Rは体積固有抵抗値、Vは印加
    電圧である。
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