JP3516229B2 - 拮抗微生物胞子の製造法及びその使用法 - Google Patents

拮抗微生物胞子の製造法及びその使用法

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靖彦 諸岡
一郎 奥山
宏 今野
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米屋株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、餡粕を主原料とす
る拮抗微生物胞子の製造法及びその使用法に関する。
【0002】
【従来の技術】生餡は、各種和菓子や羊羹類の原料とし
て大量に用いられているが、小豆などの豆からこの生餡
を製造するときに餡粕が出、この餡粕の量は全重量の約
20%にもなっている。この餡粕は食味性が悪く、腐敗
が早いこともあって、現在までのところ有効な利用法が
無く、一部が家畜の飼料として畜産農家に無償で処分さ
れている程度で、大半は産業廃棄物として費用を支払っ
て処分しているのが現状である。
【0003】一方、近年の農業は、生産性の向上、地場
産地の育成・確保、市場の拡大などを目標として、集約
栽培、ビニ−ルハウス等の施設栽培、単品種栽培が行わ
れるようになり一定の目的を達成したが、圃場は通年休
むことなく利用されることになり、これに伴って圃場に
疫病、苗立枯病、ツル割れ病、萎ちょう病、根腐れ病、
萎黄病など病害性の有害微生物による作物障害が頻発し
た。
【0004】こうした作物障害に対して、臭化メチルな
どの化学殺菌剤を圃場に施用することが行われるように
なり、上記有害微生物を駆除することができるようにな
ったが、このような化学殺菌剤は人体にとっても有害で
あり、環境破壊の一因ともなっているし、土壌中に存在
する有用微生物をも同時に死滅させてしまい、土壌微生
物相のバランスを崩してしまうという重大な結果を招く
ようになった。しかしながら、現在、これといった有効
な手段が無いために、上記化学殺菌剤の使用が続けられ
ているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来殆んど
利用されることなく廃棄されていた餡粕を有効に利用
し、これによって微生物胞子を培養し、その胞子により
圃場の有害微生物を駆除し、更に有用微生物の増殖を促
して微生物相を健全化しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、餡粕を主原料
とし、これに米糠などの有機栄養助剤やカリウムなどの
無機栄養助剤を加えた、いわゆる廃棄物と称されるよう
な経済的な有用性に乏しい資材を使用し、こうしたもの
にグリオクラディム菌、スポリデスミウム菌またはトリ
コデルマ菌から選ばれる1または数種の拮抗微生物の胞
子を混和して固体培養し、胞子を増殖熟成させて多量の
胞子を経済的に得るようにする。こうして増殖した拮抗
微生物の胞子は、培地と分けることなくそのまま圃場に
施用することによって、土壌中の微生物相を良好にし、
作物の健全な育成を図るようにする。
【0007】
【発明の実施の形態】餡粕は約85%程度の水分を有し
ているので、この餡粕は適宜乾燥して水分含量を低くし
たものを使用することもできるが、特に乾燥することな
くそのまま使用すると経済的なこともある。この餡粕中
には、糖質、食物繊維、蛋白質なども多量に含まれてお
り、これを主原料として使用する。餡粕中には、拮抗微
生物の胞子を培養する際の有機性栄養分が充分ではない
ので、これを加える必要があるが、そうした栄養助剤と
して、米糠、ふすま、細かく切った稲ワラ、キノコ培養
残渣、シイタケ加工残渣等を用いることができる。こう
した資材は、単独で用いたり、適宜混合して用いること
ができるが、いずれも廃棄物に等しいもので、低コスト
で経済的に利用することができる。
【0008】上記餡粕には、更に無機栄養助剤として、
カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛などの無機塩
類を単独で又は適宜配合して少量加える。この場合、木
灰であればこれを単独で使用することもできる。また、
培養はpHを下げて酸性下で行うとよく、酢酸、木酢
酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸その他の有機酸類を適宜
使用して酸性になるように調整するとよい。こうした酸
類は下記の水や温水に加えて混合するようにすると便利
である。
【0009】餡粕と上記各材料は、水又は温水を加えて
水分を調整し、全体が均一状態になるようによく混和す
る。餡粕の水分含量の多い場合には、水や温水を加えず
に混和するようにする。こうして得た培地に拮抗微生物
の胞子を接種、混合して恒温、恒湿下で固体培養を行
う。
【0010】上記拮抗微生物胞子としては、グリオクラ
ディム菌、スポリデスミウム菌、トリコデルマ菌などが
あり、これらを単独若しくは混合して用いる。上記トリ
コデルマ菌は、繊維分解酵素やキチン分解酵素の産生能
力が高く、フザリウム菌、フィトフトラ菌、ピシウム
菌、リゾクトニア菌、菌核病菌などの有害微生物に対し
て拮抗性が強く働くので、特に有用である。上記胞子接
種後の固体培養は、約5〜10日間程度行うと、概略胞
子数を約1000倍以上に増殖させることができる。
【0011】上記餡粕を、生餡粕(水分量約85%程
度)の状態で使用する場合には、下記する実施例に記載
するように夏期で約15日程度、春秋期で約25日程度
の培養期間で培養することができる。
【0012】上記培養した拮抗微生物の胞子は、培地と
分離することなくそのまま圃場の畝の、作物の株元に該
る部分を中心にして施用、混合する。施用量は、土壌1
Kg当り約10個以上の胞子が存在するようにするとよ
い。こうして土壌中に散布、混合すると、胞子は再び餡
粕を栄養源としながら生育、増殖し、土壌中に存在する
フィトフトラ菌、ピシウム菌、リゾクトニア菌、菌核病
菌、スクレロチニア菌、フザリウム菌などの有害微生物
に対して強い拮抗性を示し、これらの有害微生物を死滅
させることによって作物の健全な生育を促すようにな
る。また、これらの拮抗微生物は餡粕を利用しながら繊
維分解酵素、キチン分解酵素その他の酵素を産生し、こ
れらが糖やアミノ酸などを生成し、これによって有用微
生物の活性を高めて土壌中の微生物相を良好にして、更
に作物の生育を促進する。この場合、圃場に予防的に施
用すると更に好ましいことが多い。
【0013】
【実施例】(実施例1)乾燥小豆餡粕(含水量10%)
50Kgに、米糠2.5Kg,木灰1Kgを混ぜ、これに50%
乳酸1.6Kgを加えた温水(46℃)66Kgを加える。ト
リコデルマ菌胞子末(Trichoderma viride)(商品名;
トリコデルマ菌AOK−31137,株式会社秋田今野
商店製造)(胞子数 5×10/g)の0.2Kgをこれ
に散布して、充分に攪拌混合した。このときのpH4.
2であった。これを、恒温26℃、恒湿95%の下に放
置する。
【0014】一昼夜経過したら、培地全体をゆるやかに
混和して通気と水分の均一化を図り、培地の厚さを約2
cm程度に整え、菌糸の発生を促し、培養を続ける。胞子
増殖に伴い発酵熱が発生するが、上記培養環境の恒温2
6℃と培地厚さ約2cmを保つことによって培地が約33
℃を越えることはなく、培養後期に発生し勝ちな胞子産
生の障害が生じることはなかった。培養5日目に、培地
表面に僅かながら白色の菌糸の間から緑色を呈した胞子
群の点在が肉眼で確認することができたので、培養条件
を恒温23℃、恒湿70%に調整して培養を継続した。
【0015】培養7日目には、培地全体が蛍光を持った
深緑色に覆われた状態になったので、培養を終え、64
Kgの培養物を得た。この培養物の含水分は37%であ
り、1g中には、1.3×1010個の胞子が含まれてい
た。培養過程における培地温度、胞子数、水分量の変化
は表1に示すとおりであった。これらの胞子数は、いず
れも培地を乾燥して水分5%の乾物とし、その1g当り
の胞子数を表示している。
【0016】
【表1】
【0017】上記表1を見ると、培養1、2日目に胞子
数が減少しているが、これは胞子が発芽して菌糸になっ
た為に減少したものと考えられる。3日目以降に胞子数
が増加しているのは、上記発生した菌糸より胞子が新た
に産生されたものであり、以降7日目迄同様に胞子が増
殖、産生され、この培養によって胞子数が1300倍に
増加していることが判る。
【0018】(実施例2)上記実施例1で得た培養物を
拡げて、50℃で一夜乾燥させたところ水分は約15%
以下となった。このものは保存性が向上し、輸送及び圃
場で使用する場合に一層便利であった。
【0019】(実施例3)圃場の地表を平にならし、小
豆餡粕(含水量82%)150Kg,小さく刻んだ稲ワラ
100Kg,キノコ培養残渣50Kgを混合し、これに氷酢
酸を添加混合してpH4.3に調整した。これに、実施例
1で使用したトリコデルマ菌胞子末で胞子数が1.5×1
/gのもの2Kgを全体に散布し、積上げて全体をビ
ニ−ルシ−トで覆い、更にその上にビニ−ルの雨除けを
設け、春期のため25日間培養を行った。この間、2回
培地の全体を攪拌し、胞子増殖の均一化と、通気性の良
化を図った。こうして培養物240Kg(水分60%)を
得た。この培養物中には2×10/gの胞子数(水分
5%乾物量換算値)を含有していた。この培養物は、そ
のまま圃場にすき込むようにして使用することができ
る。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、上記したように廃棄物
として処理されている餡粕を使用して拮抗微生物胞子の
増殖を図ることができ、こうして得られた培養物は、培
養物全体をそのまま圃場に施用することができ、これに
よって有害微生物に対する拮抗作用によりこれを死滅さ
せて、作物の健全な生育を促進させるようになる。ま
た、この拮抗微生物は、産生する各種酵素によって餡粕
中の未利用成分を糖やアミノ酸などの有用資源に変え、
有用微生物の生育を促して土中の微生物相を良好にし、
作物の生育を助けることができる。そして、上記増殖は
固体培養により行うので経済的に行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今野 宏 秋田県仙北郡西仙北町字刈和野248番地 株式会社秋田今野商店内 (56)参考文献 特開 昭54−49321(JP,A) 特開 昭53−107974(JP,A) 特開 昭59−120087(JP,A) 特開 平1−243960(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 63/04 C12N 3/00 C09K 17/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 餡粕を主たる原料とし、これに米糠など
    の有機栄養助剤、カリウムなどの無機栄養助剤を加えて
    水分を調整し、酸性下でグリオクラディム菌、スポリデ
    スミウム菌またはトリコデルマ菌から選ばれる1または
    数種の拮抗微生物胞子を混和して固体培養を行い、菌糸
    の発生を促すと共に繊維分解酵素及びキチン分解酵素を
    産生させ、胞子を増殖熟成させる拮抗微生物胞子の製造
    法。
  2. 【請求項2】 餡粕を主たる原料とし、これに米糠など
    の有機栄養助剤、カリウムなどの無機栄養助剤を加えて
    水分を調整し、酸性下でグリオクラディム菌、スポリデ
    スミウム菌またはトリコデルマ菌から選ばれる1または
    数種の拮抗微生物胞子を混和して固体培養を行い、菌糸
    の発生を促すと共に繊維分解酵素及びキチン分解酵素を
    産生させて、胞子を増殖熟成させ、この胞子を培地と分
    離することなく圃場に散布する拮抗微生物胞子の使用
    法。
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