JP3514148B2 - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の制御装置

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JP3514148B2
JP3514148B2 JP567299A JP567299A JP3514148B2 JP 3514148 B2 JP3514148 B2 JP 3514148B2 JP 567299 A JP567299 A JP 567299A JP 567299 A JP567299 A JP 567299A JP 3514148 B2 JP3514148 B2 JP 3514148B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両用自動変速機
の変速段を自動的に切り換える車両用自動変速機の制御
装置に関し、特に、変速フィーリングを損なうことなく
多重変速時の変速応答性を高める技術に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】アキュムレータが接続された第1油圧式
摩擦係合装置の係合により第1のギヤ段が成立させら
れ、その第1油圧式摩擦係合装置の解放と第2油圧式摩
擦係合装置の係合とにより第2のギヤ段が成立させられ
ると共に、解放側の第1油圧式摩擦係合装置からの作動
油またはその圧力に関連して係合側の第2油圧式摩擦係
合装置の係合圧の立上がりが制御される形式の車両用自
動変速機が知られている。たとえば、特開平6−346
962号公報に記載された車両用自動変速機がそれであ
る。この車両用自動変速機では、B3アキュムレータが
接続されたブレーキB3の係合により第2速ギヤ段が成
立させられ、そのブレーキB3の解放とブレーキB2の
係合とにより第3速ギヤ段が成立させられるとどもに、
解放側のブレーキB3およびB3アキュムレータからの
作動油に関連してブレーキB2の係合圧の立上がりが制
御されるようになっている。なお、上記第1のギヤ段か
ら第2のギヤ段への変速は、1対の油圧式摩擦係合装置
のうちの解放側油圧式摩擦係合装置の解放と係合側油圧
式摩擦係合装置の係合とを重複的に実行させることによ
りギヤ段を切り換えるものであるからクラッチツウクラ
ッチ変速と称されるものである。 【0003】上記のように構成された車両用自動変速機
では、第2速ギヤ段を成立させる過程で第3速ギヤ段を
成立させる多重変速判断が行われた場合には、所定の遅
延時間の待機を行ってB3アキュムレータ内に作動油を
充満させた後に、第3速ギヤ段を成立させる変速制御を
開始させる制御装置が設けられるので、ブレーキB2の
係合が不都合なく行われてエンジンの吹きなどが好適に
解消されるようになっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の車両用自動変速機の制御装置では、第1のギヤ段
(第2速ギヤ段)を成立させる第1油圧式摩擦係合装置
(ブレーキB3)における回転同期の完了前の多重変速
しか考慮されておらず、その回転同期後すなわち第1の
ギヤ段への変速期間の後端部に多重変速が判断された場
合には、上記第1のギヤ段(ブレーキB3)から第2の
ギヤ段(ブレーキB2)への変速開始が前記遅延時間に
よって遅らされるので、変速応答性が得られないという
不都合があった。 【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、第1のギヤ段へ
の変速期間内において第2のギヤ段への変速を行う多重
変速が判断された場合にも変速応答性が得られる車両用
自動変速機の制御装置を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、アキュムレータが接
続された第1油圧式摩擦係合装置の係合により第1のギ
ヤ段が成立させられ、その第1油圧式摩擦係合装置の解
放と第2油圧式摩擦係合装置の係合とにより第2のギヤ
段が成立させられると共に、解放側の第1油圧式摩擦係
合装置からの作動油またはその圧力に関連して係合側の
第2油圧式摩擦係合装置の係合圧の立上がりが制御され
る形式の車両用自動変速機の制御装置であって、(a) 前
記第1のギヤ段への変速制御中においてその第1のギヤ
段の変速比を成立させるための前記自動変速機の回転同
期が完了したか否かを判定する回転同期判定手段と、
(b)前記第1のギヤ段への変速制御中においてその第1
のギヤ段から前記第2のギヤ段への変速を行う多重変速
が予想される車両状態であるか否かを判定する多重変速
予想状態判定手段と、(c) 前記回転同期判定手段により
前記自動変速機の回転同期が完了したことが判定され、
且つ前記多重変速予想状態判定手段により多重変速が予
想される車両状態であることが判定された場合には、前
記第1油圧式摩擦係合装置の係合圧を速やかに上昇させ
る昇圧手段とを、含むことにある。 【0007】 【発明の効果】このようにすれば、回転同期判定手段に
より自動変速機の回転同期が完了したことが判定され、
且つ多重変速予想状態判定手段により多重変速が予想さ
れる車両状態であることが判定された場合には、昇圧手
段により第1油圧式摩擦係合装置の係合圧が速やかに上
昇させられるとともに、その第1油圧式摩擦係合装置に
接続されたアキュムレータ内にも作動油が速やかに充満
させられる。したがって、上記自動変速機の回転同期が
完了したことが判定された後においては、第2のギヤ段
への変速を行う多重変速が判断されたとき、解放側の油
圧式摩擦係合装置からの作動油またはその圧力に関連し
て係合側の油圧式摩擦係合装置の係合圧の立上がりが制
御されることが可能となっており、その第2のギヤ段へ
の変速を比較的速やかに開始することができるので、十
分な変速応答性が得られる。 【0008】 【発明の他の態様】ここで、好適には、前記第1のギヤ
段は前記第2のギヤ段よりも上段のギヤ段であり、その
第1のギヤ段への変速および第2のギヤ段への変速は共
にクラッチツウクラッチ変速である。また、第1のギヤ
段への変速中における第1のギヤ段への変速および第2
のギヤ段への多重変速時において、係合側となる第2油
圧式摩擦係合装置の係合圧の立上がりは、解放側となる
第1油圧式摩擦係合装置の圧力変化に関連して制御され
るものである。 【0009】また、好適には、昇圧手段による第1油圧
式摩擦係合装置の係合圧の上昇開始からの経過時間が予
め設定された判断基準値に到達したら前記多重変速の出
力を許容する経過時間判定手段が設けられる。このよう
にすれば、第1油圧式摩擦係合装置に接続されたアキュ
ムレータ内に作動油が十分に満たされてから多重変速が
出力されるので、その多重変速の実行時において滑らか
な変速が行われて変速ショックが好適に抑制される。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて詳細に説明する。 【0011】図1には、車両のエンジン10に連結され
るトルクコンバータ12、自動変速機14、差動歯車装
置16、上記自動変速機14の変速段を制御する油圧制
御装置すなわち油圧制御回路18、その油圧制御回路1
8を制御する変速用電子制御装置20等が示されてい
る。上記エンジン10から出力された動力は、上記トル
クコンバータ12、上記自動変速機14、上記差動歯車
装置16、左右の車軸22および24等を経て図示しな
い駆動輪へ伝達される。 【0012】上記トルクコンバータ12は、上記エンジ
ン10のクランク軸26に連結されたポンプ翼車28
と、上記自動変速機14の入力軸30に連結され且つ流
体を介してポンプ翼車28から動力が伝達されるタービ
ン翼車32と、一方向クラッチ34を介して位置固定の
ハウジング36に固定された固定翼車38と、ポンプ翼
車28およびタービン翼車32を図示しないダンパを介
して直結するロックアップクラッチ40とを備えてい
る。 【0013】上記自動変速機14は、前進4速、後進1
速のギヤ段が達成される多段変速機であり、上記入力軸
30と、一組のラビニヨ式遊星歯車装置44と、そのラ
ビニヨ式遊星歯車装置44のリングギヤ46とともに回
転するリングギヤ48と、エンジン10からの駆動力を
前記差動歯車装置16へ出力し或いはそのリングギヤ4
8と差動歯車装置16との間で動力を伝達する出力軸と
して機能するカウンタ軸50とを備えている。 【0014】上記ラビニヨ式遊星歯車装置44は、1組
のシングルピニオン遊星歯車装置52と1組のダブルピ
ニオン遊星歯車装置54とが、キャリヤ56と上記リン
グギヤ46とを共用して成るものである。上記シングル
ピニオン遊星歯車装置52は、サンギヤ58と上記キャ
リヤ56に取り付けられたプラネタリギヤ60と上記リ
ングギヤ46とにより構成されている。また、上記ダブ
ルピニオン遊星歯車54は、サンギヤ62と、相互に一
体的に結合され且つ上記キャリヤ56に回転可能な状態
で取り付けられた第1ピニオンギヤ64および第2ピニ
オンギヤ66とにより構成されている。 【0015】上記シングルピニオン遊星歯車装置52お
よび上記ダブルピニオン遊星歯車装置54の構成要素の
一部は互いに一体的に連結されるだけでなく、3つのク
ラッチC1,C2,C3によって互いに選択的に連結さ
れるようになっている。また、上記シングルピニオン遊
星歯車装置52および上記ダブルピニオン遊星歯車装置
54の構成要素の一部は、3つのブレーキB1,B2,
B3によって前記ハウジング36に選択的に連結され、
さらに、それらの構成要素の一部は2つの一方向クラッ
チF1,F2によってその回転方向により上記ハウジン
グ36と係合させられる。なお、前記トルクコンバータ
12および前記自動変速機14の上記カウンタ軸50以
外の部分は、上記入力軸30等の軸心に対して対称的に
構成されているため、図1においてはその軸心の下側を
省略して示してある。 【0016】油圧式摩擦係合装置である上記クラッチC
1,C2,C3、ブレーキB1,B2,B3は、例えば
多板式のクラッチや1本または巻付け方向が反対の2本
のバンドを備えたバンドブレーキ等にて構成され、前記
変速用電子制御装置20からの指令に従って作動する前
記油圧制御回路18によりそれ等の摩擦係合および係合
解除がそれぞれ制御されることにより、図2に示すよう
に変速比γ(=入力軸30の回転数/カウンタ軸50の
回転数)がそれぞれ異なる前進4段・後進1段の変速段
が得られる。図2の「1ST」、「2ND」、「3RD」、
「4TH」は、それぞれ前進側の第1速ギヤ段,第2速ギ
ヤ段,第3速ギヤ段,第4速ギヤ段を表しており、上記
変速比γは第1速ギヤ段から第4速ギヤ段に向かうに従
って順次小さくなる。また、図2において、「P」、
「R」、「N」、「D」、「2」、「L」は、シフトレ
バー84の手動操作により択一的に選択されるパーキン
グ(P)レンジ、リバース(R)レンジ、ニュートラル
(N)レンジ、ドライブ(D)レンジ、セカンド(2)
レンジ、ロー(L)レンジをそれぞれ示している。上記
PレンジおよびNレンジは車両を走行させないときに選
択される非走行レンジであり、Rレンジ、Dレンジ、2
レンジ、Lレンジは車両を後進或いは前進走行させるた
めの走行レンジである。また、2レンジ、Lレンジは、
車両の駆動力を高めるだけでなくエンジンブレーキを発
生させるため、エンジンブレーキレンジでもある。 【0017】また、図2において、○印は係合或いは作
動状態を示し、×印は開放或いは非作動状態を示してい
る。Dレンジにおける第3速ギヤ段と第4速ギヤ段との
間の変速は、2つの摩擦係合装置のうちの一方の開放作
動と他方の係合作動により実現される所謂クラッチツウ
クラッチ変速であって、たとえば第3速ギヤ段から第4
速ギヤ段への3→4アップ変速は、ブレーキB1の開放
作動とクラッチC1の係合作動とがオーバラップ状態ま
たはアンダーラップ状態で実行されることにより行われ
る。 【0018】上記油圧制御回路18は、上記自動変速機
14のギヤ段の制御等に使用される3つのソレノイド弁
SV1乃至SV3、後述のスロットル開度センサ76に
より検出されたスロットル開度TAに対応した大きさの
制御油圧PS を発生するリニアソレノイド弁SLT、た
とえば前記ロックアップクラッチ40の摩擦係合、その
摩擦係合の解除およびそのスリップ量等の制御のための
油圧を発生するリニヤソレノイド弁SLU、および油圧
制御回路18中の作動油の油温TOIL を検出する作動油
温検出装置として機能する油温センサ88等を備えてい
る。 【0019】前記変速用電子制御装置20は、CPU7
0、RAM72、ROM74、図示しない入出力インタ
ーフェースなどを含む所謂マイクロコンピュータであっ
て、それには、前記エンジン10の図示しない吸気配管
に設けられたスロットル弁の開度TAを検出するスロッ
トル開度センサ76、上記エンジン10の回転数NE
検出するエンジン回転数センサ78、前記タービン翼車
32の回転数NT すなわち入力軸30の回転数NINを検
出する入力軸回転数センサ80、前記カウンタ軸50の
回転数NC すなわち車速Vを検出するための車速センサ
82、シフトレバー84の操作位置すなわちL、S、
D、N、R、Pレンジのいずれかを検出する操作位置セ
ンサ86、油圧制御回路18内の作動油温度を検出する
油温センサ88から、スロットル開度TAを表す信号、
エンジン回転数NE (r.p.m.)を表す信号、入力軸回転数
IN(r.p.m.)を表す信号、出力軸回転数NC (r.p.m.)す
なわち車速Vを表す信号、シフトレバー84の操作位置
STを表す信号、油圧制御回路18内の作動油温度T
OIL を表す信号がそれぞれ供給される。上記変速用電子
制御装置20のCPU70は、予めROM74に記憶さ
れたプログラムに従ってRAM72を用いつつ上記入力
信号を処理し、その処理結果に基づいて、たとえば、車
両の走行状態の検出、上記電磁開閉弁SV1乃至SV
3、リニヤソレノイド弁SLTおよびSLUの制御等を
実行する。 【0020】図3は、上記油圧制御回路18の要部の構
成を概略説明する図である。図3において、元圧発生装
置90は、エンジン10によって回転駆動される油圧ポ
ンプ92から圧送される作動油の圧力をそのエンジン負
荷に応じた値に調圧したライン油圧PL を、各油圧式摩
擦係合装置C1、C2、C3、B1、B2、B3の元圧
としてシフト弁装置94などへ出力する。マニアル弁9
6は、シフトレバー84に対して機械的に連結されたも
のであり、そのシフトレバー84の走行レンジ選択操作
に応答して上記ライン油圧PL を切り換えることによ
り、選択された走行レンジに対応した油圧、たとえばR
レンジ圧、Dレンジ圧、2レンジ圧、Lレンジ圧をシフ
ト弁装置94へ出力する。また、電磁開閉弁SV1およ
びSV2は、専らギヤ段を選択するために前記変速用電
子制御装置20によって作動させられることにより、信
号圧をシフト弁装置94へ出力する。 【0021】上記シフト弁装置94は、マニアル弁96
からの走行レンジに対応した油圧と2つの第1電磁開閉
弁SV1および第2電磁開閉弁SV2からの油圧信号と
に基づいて変速時に切換作動させられる1−2シフト
弁、2−3シフト弁、3−4シフト弁などを備えてお
り、図2に示す作動に従って、各油圧式摩擦係合装置C
1、C2、C3、B1、B2、B3へ係合油圧を選択的
に供給する。それら油圧式摩擦係合装置C1、C2、C
3、B1、B2、B3のうち、クラッチC1、C2、C
3およびブレーキB1、B2には、それらの係合油圧す
なわち係合トルクの上昇を緩和するためのC1アキュム
レータAC1、C2アキュムレータAC2、C3アキュムレ
ータAC3、B1アキュムレータAB1、B2アキュムレー
タAB2がそれぞれ接続されている。上記C1アキュムレ
ータAC1およびB1アキュムレータA B1と、上記C2ア
キュムレータAC2、C3アキュムレータAC3、およびB
2アキュムレータAB2とには、変速用電子制御装置20
からの指令によって変化され得るライン油圧PL がその
アキュム背圧としてそれぞれ供給されており、変速過渡
期間内における各油圧式摩擦係合装置の係合油圧を調節
する変速過渡制御が行われるようになっている。 【0022】なお、上記シフト弁装置94とクラッチC
1およびC1アキュムレータAC1との間には、第3電磁
開閉弁SV3からの油圧信号およびブレーキB1の係合
圧P B1に基づいてそれらの間の流通抵抗を切り換えるこ
とにより車両状態に応じてクラッチC1の係合タイミン
グまたは解放タイミングを調節するための、オリフィス
を備えた複数の油路とそれら複数の油路を切り換える油
路切換弁とを備えたオリフィス切換弁装置98が、設け
られている。ブレーキB1の係合圧PB1がオリフィス切
換弁装置98に作用されていることにより、クラッチC
1の係合圧PC1の立上がりおよび立ち下がりは、上記ブ
レーキB1の係合圧PB1の立ち下がりおよび立上がりに
関連して制御されるようになっている。たとえば、4→
3ダウン変速では、解放側のブレーキB1およびB1ア
キュムレータAB1内の作動油が流出させられるが、その
係合圧PB1が高いうちはオリフィス切換弁装置98によ
りクラッチC1への流通抵抗が低くされて速やかに作動
油が供給されるが、所定値を下回ると、その流通抵抗が
高くされてクラッチC1の係合圧PC1がゆっくりと上昇
させられるようになっている。 【0023】図4は、前記油圧制御回路18のうち、前
記クラッチC1や前記ブレーキB1等に供給される作動
油の元圧であるライン油圧PL を発生させる元圧発生装
置90を詳しく説明する図である。図4において、エン
ジン10によって回転駆動されることにより油圧ポンプ
92は、還流した作動油をストレーナ100を介して吸
引することによりライン圧調圧弁102へ圧送する。 【0024】ライン圧調圧弁102は、プランジャ11
0と、そのプランジャ110に当接した状態で軸方向の
移動可能に設けられて入力ポートbと出力ポートdとの
間を開閉するスプール弁子112と、そのスプール弁子
112をばね受板114を介して閉弁方向に付勢するス
プリング116とを備えており、その入力ポートbに供
給される前記油圧ポンプ92からの作動油の油圧を、リ
ニヤソレノイド弁SLTから上記入力ポートaに供給さ
れる制御油圧PS に基づいて、エンジン10の負荷すな
わち自動変速機14の入力トルクに対応した大きさのラ
イン油圧PL に調圧する。上記ライン圧調圧弁102の
入力ポートcには、上記入力ポートbの油圧がフィード
バック油圧として供給されている。上記スプリング11
6の付勢力をWREG 、上記スプール弁子112のランド
118の環状の受圧面の面積をA REG1、上記スプール弁
子112を出力ポートdの閉弁方向に付勢するプランジ
ャ110の受圧面の面積をAREG2とすれば、上記ライン
油圧PL は次式(1)で表される。ここで、(1)式
は、上記ライン油圧PL が上記制御油圧PS に比例して
発生させられることを示している。制御油圧PS がエン
ジン負荷、或いは自動変速機14の入力トルクTINの大
きさを表す通常の場合には、上記ライン油圧P L は、油
圧式摩擦係合装置のすべりが発生しない範囲で必要且つ
充分な値となるようなエンジン負荷、或いは自動変速機
14の入力トルクTINの大きさに対応した大きさとなる
通常の調圧値に調圧されている。 【0025】 【数1】 PL =(AREG2/AREG1)・PS +WREG /AREG1 ・・・(1) 【0026】上記リニアソレノイド弁SLTは、その入
力ポートaと出力ポートbとの間を開閉するスプール弁
子120と、そのスプール弁子120を開弁方向に付勢
するスプリング122とを備えている。上記入力ポート
aには、一定圧PSOL が供給され、その一定圧PSOL
変速用電子制御装置20からリニアソレノイドSSLT
出力される励磁電流に対応して調圧された油圧として前
記制御油圧PS が出力ポートbにおいて発生させられ
る。上記リニアソレノイドSSLT の励磁電流に応じて上
記スプール弁子120を上記出力ポートbの閉弁方向へ
付勢する付勢力をFI 、上記スプリング122の付勢力
をWSLT 、スプール弁子120のランド124の環状の
受圧面の面積をASLT とすると、上記ランド124とラ
ンド126との間の油室128と上記出力ポートbとは
油路130によって連通させられていて、ランド124
の環状の受圧面に作用する油圧は上記制御油圧PS とな
っているので、上記制御油圧PS は式(2)で表され
る。 【0027】 【数2】 PS =WSLT /ASLT −FI /ASLT ・・・(2) 【0028】図4において、減圧弁132は、入力ポー
トaと出力ポートbとの間を開閉するスプール弁子13
6と、そのスプール弁子136を開弁方向に付勢するス
プリング138とを備え、その入力ポートaに供給され
る上記ライン油圧PL を、上記一定圧PSOL に調圧して
その出力ポートbに発生させ、上記リニヤソレノイド弁
SLT、前記リニヤソレノイド弁SLUなどへ供給す
る。上記減圧弁132の入力ポートcには、上記出力ポ
ートbの油圧がフィードバック油圧として供給されてい
る。上記一定圧PSOL は、上記スプール弁子136の上
記入力ポートcに連通する受圧面積をAMOD 、上記スプ
リング138の付勢力をWMOD とすれば、式(3)で表
される一定圧となる。 【0029】 【数3】PSOL =WMOD /AMOD ・・・(3) 【0030】図5は、前記変速用電子制御装置20の制
御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図5
において、変速制御手段142は、シフトレバー84の
走行レンジ選択操作に対応して予め選択された変速線図
から、車速センサ82から得られた車速Vとスロットル
開度TA、燃料噴射量F、吸入空気量Q、アクセルペダ
ル操作量などのいずれかにより表されるエンジン負荷と
に基づいて自動変速機14の変速判断を行うとともに変
速指令を出力する変速点制御と、自動変速機14の変速
期間内において変速の度合いを上記車速Vに基づいて判
定し、その変速に関与する油圧式摩擦係合装置の係合油
圧を過渡的に制御して変速フィーリングを改善する変速
過渡制御とを実行する。 【0031】すなわち、上記変速点制御では、実際の車
速Vを表す車速軸とエンジン負荷を表すエンジン負荷軸
とから成る二次元座標において、実際の車速Vとエンジ
ン負荷とを表す点が変速線を横切ってその変速線により
区分されたいずれのギヤ段領域へ入ったかに基づいて変
速判断を行う。たとえば、実際の車速Vとエンジン負荷
とを表す点がたとえば3→4アップ変速線を高車速側へ
越えた場合には、3→4アップ変速が判断される。ま
た、上記変速過渡制御では、たとえば3→4アップ変速
期間内においては、3→4アップ変速に関与するクラッ
チC1の解放とブレーキB1の係合とが適切なタイミン
グで実行されるように、たとえば図6の前半部に示すよ
うな、クラッチツウクラッチ変速の進行度合いに応じて
クラッチC1の係合圧PC1を低下させるとともにブレー
キB1の係合圧PB1を上昇させる油圧が基本的に形成さ
れる。すなわち、3→4アップ変速の変速出力に伴って
クラッチC1の解放が開始させられた後、オーバシュー
トやタイアップが発生しないように、そのクラッチC1
の係合圧PC1の低下に応じてブレーキB1の係合圧P B1
が上昇させられる。そして、実際の入力軸回転速度NIN
が第4速ギヤ段成立後の入力軸回転速度(G4 ×NC1
但し、G4 は第4速ギヤ段の変速比)に同期したか否か
を判定し、判定された場合には所定時間後にクラッチC
2の係合油圧P C2を最大値(=PL )として3→4変速
制御を終了させる。 【0032】ライン圧制御手段144は、変速中に係合
している他の油圧式摩擦係合装置にすべりを発生させな
いように、図示しないガード圧決定手段により入力軸ト
ルクTINすなわちタービントルクTT に基づいて決定さ
れたガード圧PLGRDと同じ圧またはそれに余裕値αを加
えた圧(PLGRD+α)と同じ大きさのライン圧PL をラ
イン圧調圧弁102から出力させるように前記リニヤソ
レノイド弁SLTを駆動する。また、ライン圧制御手段
144は、変速期間内では、変速過渡制御のために、図
示しない学習制御手段或いは後述の昇圧手段150から
の指令に基づいて上記ガード圧PLGRDを下まわらない範
囲でライン圧PL を変化させ、変速に関与する油圧式摩
擦係合装置の係合圧たとえば3→4アップ変速ではクラ
ッチC1の係合圧PC1を制御する。 【0033】多重変速予想状態判定手段146は、第4
速ギヤ段(第1のギヤ段)への変速制御中すなわち3→
4変速制御期間中において、その第4速ギヤ段から他の
ギヤ段たとえば第3速ギヤ段への4→3ダウン変速を行
う多重変速が予想される車両状態であるか否かを、たと
えばアクセルペダルがアイドル位置(非加速位置)から
所定量踏み込まれた位置(加速位置)への変化、すなわ
ちパワーオフ走行状態(非加速走行状態)からパワーオ
ン走行状態(加速走行状態)への変化があったか否に基
づいて判定する。 【0034】回転同期判定手段148は、第4速ギヤ段
への変速期間中すなわち3→4変速期間中において、入
出力軸回転数からその第4速ギヤ段の変速比G4 が得ら
れたことが判定されて第4速ギヤ段への変速が終了した
か否か、すなわち第4速ギヤ段の変速比G4Wを成立させ
るための自動変速機14の回転同期が行われた(ブレー
キB1の回転同期或いは回転停止)か否かを、たとえば
入力軸回転速度NINが第4速ギヤ段成立後の回転速度
(G4 ×NC )に到達したか否かに基づいて判定する。 【0035】昇圧手段150は、上記回転同期判定手段
148によりブレーキB1(第1油圧式摩擦係合装置)
の回転同期が完了したことが判定され、且つ上記多重変
速予想判定手段146により多重変速が予想される車両
状態であることが判定された場合には、3→4アップ変
速のために変速制御手段142内の変速過渡制御手段に
より定められる値よりもリニヤソレノイド弁SLTへの
駆動信号DSLT を低下させることによりライン圧PL
通常の3→4アップ変速期間内の値よりも上昇させて、
3→4変速期間中の上記クラッチC1の係合圧PC1を速
やかに上昇させる。上記駆動信号DSLT はリニヤソレノ
イド弁SLTへの駆動電流(ISLT )或いはディユーテ
ィ比(%)に対応するものである。またリニヤソレノイ
ド弁SLTは、その駆動信号DSLT の増加に伴ってそれ
から出力される制御圧PS を低下させる特性を備えてい
る。したがって、駆動信号DSLT が低下させることによ
りライン圧PL が増加させられる。 【0036】多重変速判断検出手段152は、上記第4
速ギヤ段(第1のギヤ段)への変速制御中すなわち3→
4変速制御期間中において、その第4速ギヤ段から他の
ギヤ段たとえば第3速ギヤ段への4→3ダウン変速を行
う多重変速の判断が行われたか否かを、変速制御手段1
42からの信号に基づいて検出する。経過時間判定手段
154は、上記昇圧手段148による昇圧開始からの経
過時間tが、4→3ダウン変速時には解放側となるブレ
ーキB1に接続されたB1アキュムレータAB1内に作動
油が十分に満たされるようにすなわちB1アキュムレー
タAB1内のピストンがその終端まで到達するように予め
設定された判断基準値(すなわち遅れ時間)t1 に到達
したか否かを判定する。また、経過時間判定手段154
は、上記多重変速判断検出手段152により多重変速が
検出されている場合には、上記経過時間tが判断基準値
1 に到達するまではその多重変速出力を禁止するが、
その経過時間tが判断基準値t1 に到達したと判定した
場合にはその多重変速出力を許容する。 【0037】以下、変速用電子制御装置20の制御作動
の要部を図7を用いて説明する。図7は、多重変速制御
ルーチンを示している。 【0038】図7のSA1では、パワーオン3→4アッ
プ変速中であるか否か、すなわち3→4アップ変速の変
速出力が出された後であってその3→4アップ変速の変
速制御終了までの期間内であるか否かが、たとえば変速
制御手段142およびライン圧制御手段144の出力な
どに基づいて判断される。このSA1の判断が否定され
る場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場
合は、前記多重変速予想状態判定手段146に対応する
SA2において、多重変速が予想される車両状態、すな
わちパワーオフ走行状態(非加速走行状態)からパワー
オン走行状態(加速走行状態)への変化があったか否が
判断される。 【0039】上記SA2の判断が否定される場合は、多
重変速が予想されない状態であるので、前記多重変速判
断検出手段152に対応するSA3において前記3→4
アップ変速期間中においてパワーオン4→3ダウン変速
判断が行われか否かが判断される。このSA3の判断が
否定される場合は多重変速制御が不要であるので本ルー
チンが終了される。そのSA3の判断が肯定される場合
はSA4以下が実行される。クラッチC1の回転同期完
了する前であれば、続くSA4において回転同期が完了
していないと判断されて本ルーチンが終了させられ、図
示しない他のステップにおいて、従来と同様に所定の遅
れ時間後に4→3ダウン変速が出力される。しかし、S
A2の判断が肯定されるクラッチC1の回転同期完了し
た後であれば、後述のSA7において4→3ダウン変速
が出力されるようになっている。 【0040】上記パワーオン4→3ダウン変速が判断さ
れる場合には、それに先立って上記SA2の判断が肯定
される。このため、前記回転同期判定手段148に対応
するSA4において第4速ギヤ段を成立させるブレーキ
B1の回転同期が完了したか否か、すなわち回転数の上
で3→4変速が終了したか否かが判断される。このSA
4の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられ
るが、肯定される場合は、前記昇圧手段150に対応す
るSA5において、3→4アップ変速のために変速制御
手段142内の変速過渡制御手段により定められる値よ
りもリニヤソレノイド弁SLTへの駆動信号DSLT を低
下させることによりライン圧PL すなわちアキュムレー
タAB1の背圧を通常の3→4アップ変速期間内の値より
も上昇させて、3→4変速期間中の上記ブレーキB1の
係合圧PB1を直ちに上昇開始させる。図6のt3 時点は
この状態を示している。なお、図6のt1 時点は3→4
アップ変速出力時点を示し、t2 時点は回転同期時点を
示している。 【0041】次いで、前記経過時間判定手段154に対
応するSA6において、上記SA5においてクラッチC
1の係合圧PC1が急速に昇圧させられてからの経過時間
tが予め設定された判断基準値t1 以上となったか否か
が判断される。このSA6の判断が否定される場合は本
ルーチンが終了させられる。しかし、SA2の判断が肯
定された以後の制御サイクルにおいて図7のt4 時点に
示すようにSA3の判断が肯定されている場合には、S
A7において4→3ダウン変速の出力が行われる。図7
のt5 時点はこの状態を示している。 【0042】上述のように、本実施例によれば、回転同
期判定手段148(SA4)によりクラッチC1(第1
油圧式摩擦係合装置)の回転同期が完了したことが判定
され、且つ多重変速予想状態判定手段146(SA2)
により多重変速が予想される車両状態であることが判定
された場合には、昇圧手段150(SA5)によりブレ
ーキB1の係合圧PB1が速やかに上昇させられるととも
に、そのブレーキB1に接続されたアキュムレータAB1
内にも作動油が速やかに充満させられる。したがって、
3→4アップ変速期間内において第4速ギヤ段の自動変
速機14の回転同期が完了したことが判定された後にお
いては、第3速ギヤ段への4→3変速を行う多重変速が
判断されたとき、その4→3変速時において解放側とな
るブレーキB1からの作動油またはその圧力に関連して
係合側となるクラッチC1の係合圧PC1の立上がりが制
御されることが可能となっており、その第3速ギヤ段へ
の変速を比較的速やかに開始することができるので、十
分な変速応答性が得られる。 【0043】また、本実施例によれば、昇圧手段150
(SA5)によるブレーキB1の係合圧PB1の上昇開始
からの経過時間tが予め設定された判断基準値t1 に到
達したら4→3ダウン変速出力を許容する経過時間判定
手段154(SA6)が設けられていることから、ブレ
ーキB1のアキュムレータAB1内に作動油が十分に満た
されてから4→3ダウン変速出力が行われるので、多重
変速である4→3ダウン変速の実行時においても滑らか
な変速が行われて変速ショックが好適に抑制される。 【0044】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明はその他の態様においても適用され
得るものである。 【0045】たとえば、前述の実施例では、クラッチツ
ウクラッチ変速である3→4アップ変速期間中において
4→3ダウン変速判断が行われる多重変速について説明
されていたが、2→3アップ変速期間中において3→4
アップ変速判断が行われる多重変速であってもよい。 【0046】また、前述の自動変速機14が第2速ギア
段と第3速ギヤ段との間でクラッチツウクラッチ変速を
行う場合には、2→3アップ変速期間中において4→3
ダウン変速判断が行われる多重変速であってもよいし、
自動変速機14が前進5速となるように構成されていて
も差し支えない。 【0047】また、前述の実施例では、4→3ダウン変
速時において解放側であるブレーキB1の係合圧PB1
低下に関連して係合側であるクラッチC1の係合圧PC1
が昇圧させられるように構成されていたが、ブレーキB
1に接続されたアキュムレータAB1内の作動油量を油圧
源として調圧作動する調圧弁によって上記係合側である
クラッチC1の係合圧PC1が昇圧させられるものであっ
てもよい。 【0048】なお、上述したのはあくまでも本発明の一
実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲にお
いて種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例の制御装置を含む車両用動力
伝達装置の構成を説明する図である。 【図2】図1の自動変速機において、それに備えられた
摩擦係合装置の作動の組み合わせにより達成される変速
段を説明する図である。 【図3】図1の自動変速機を制御する油圧制御装置の要
部構成を概略説明するブロック図である。 【図4】図3の元圧発生装置の油圧回路構成を具体的に
説明する油圧回路図である。 【図5】図1の変速用電子制御装置の制御機能の要部を
説明する機能ブロック線図である。 【図6】図1の変速用電子制御装置の変速過渡制御の作
動を説明するタイムチャートである。 【図7】図1の変速用電子制御装置の制御作動を説明す
るフローチャートであって、多重変速制御ルーチンを示
す図である。 【符号の説明】 14:自動変速機 146:多重変速予想状態判定手段 148:回転同期判定手段 150:昇圧手段 154:経過時間判定手段 B1:ブレーキ(第1油圧式摩擦係合装置) AB1:アキュムレータ C1:クラッチ(第2油圧式摩擦係合装置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 義和 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 鈴木 俊成 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 河野 克己 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−26023(JP,A) 特開 平8−285072(JP,A) 特開 平9−42434(JP,A) 特開 平9−273626(JP,A) 特開 平6−346962(JP,A) 特開 平10−281277(JP,A) 特開 平8−312771(JP,A) 特開 平4−59(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 アキュムレータが接続された第1油圧式
    摩擦係合装置の係合により第1のギヤ段が成立させら
    れ、該第1油圧式摩擦係合装置の解放と第2油圧式摩擦
    係合装置の係合とにより第2のギヤ段が成立させられる
    と共にその時に解放側となる第1油圧式摩擦係合装置か
    らの作動油またはその圧力に関連して係合側となる第2
    油圧式摩擦係合装置の係合圧の立上がりが制御される形
    式の車両用自動変速機の制御装置であって、 前記第1のギヤ段への変速制御中においてその第1のギ
    ヤ段の変速比を成立させるための前記自動変速機の回転
    同期が完了したか否かを判定する回転同期判定手段と、 前記第1のギヤ段への変速制御中において該第1のギヤ
    段から前記第2のギヤ段への変速を行う多重変速が予想
    される車両状態であるか否かを判定する多重変速予想判
    定手段と、 前記回転同期判定手段により前記自動変速機の回転同期
    が完了したことが判定され、且つ前記多重変速予想判定
    手段により多重変速が予想される車両状態であることが
    判定された場合には、前記第1油圧式摩擦係合装置の係
    合圧を速やかに上昇させる昇圧手段とを、含むことを特
    徴とする車両用自動変速機の制御装置。
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