JP3506290B2 - 回転電機 - Google Patents

回転電機

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JP3506290B2
JP3506290B2 JP23990195A JP23990195A JP3506290B2 JP 3506290 B2 JP3506290 B2 JP 3506290B2 JP 23990195 A JP23990195 A JP 23990195A JP 23990195 A JP23990195 A JP 23990195A JP 3506290 B2 JP3506290 B2 JP 3506290B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に高速回転適す
る回転電機に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来の回転電機においては、特開平2−2
41346号公報(USP特許No.5130596)
に示すように、電機子コアのスロット内に保持される上
層及び下層コイル辺を、電機子コア端面から軸方向へそ
のまま突出させ、この突出させた上層コイル辺の外周面
を電機子コアの外周面よりも小径とする円筒状とするこ
とで、この円筒面の外周上にブラシを当接させている。
また、上層コイル辺と下層コイル辺とは一本の導体のみ
で形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
電動機では、突設された上層コイル辺及び下層コイル辺
の遠心力及び発熱をモ−ルド樹脂筒で担持せねばなら
ず、機械的及び熱的ストレスが大きく、高速大出力化が
困難であった。そこで本出願人らは、外周部にスロット
を有して回転軸に嵌着される電機子コアと、スロットに
組み込まれた上層コイル辺及び下層コイル辺と、回転軸
の外側から回転軸へ向けて延在するとともに一端が下層
コイル辺の一端に電気的に接続される下層コイル端部
と、回転軸の外側から回転軸へ向けて延在するとともに
一端が上層コイル辺の一端に、他端が下層コイル端部の
他端に接続される上層コイル端部と、下層コイル端部及
び上層コイル端部の間に介設されるスペーサとを備える
回転電機の電機子を出願した。この電機子は、上層コイ
ル及び下層コイルをコアの軸方向端面に沿って、回転軸
に対し略垂直に曲げて上層コイル及び下層コイル端部を
形成する。
【0004】本発明者らは、この発明に記載された回転
電機(モ−タ)を短時間で大電流を流し、高出力を必要
とするスタ−タに適用しようと検討した所、比較的小排
気量のエンジン(例えば、二輪車、軽自動車)ならば、
適用可能であり、つまり、スタ−タの出力で言えば、
0.6kWクラス程度まで適用できるモ−タであること
がわかった。
【0005】さらに、発明者らは、上記モ−タの体格を
大きくすることなく、高排気量のエンジンにも適用でき
るようモ−タの高出力化を試みた。しかしながら、モ−
タの高出力化するためには、一般的に、モ−タへの入力
電流を増加させる必要があるが、モ−タの体格を大きく
しないで、高出力化すると、熱負荷が非常に大きくな
り、この電機子が大電流時の放熱性能の向上の点でまだ
課題を有していることを、発見した。すなわち、電機子
電流を大電流化すると、コイルの発熱に伴なうコイル辺
やコイル端部の膨張が発生し、整流子片をなす上層コイ
ル端部が絶縁体から個々に剥離して浮き上がり、その結
果、整流子面(各上層コイル端部の軸方向外端面)に段
差が生じ、火花の増大、発熱の増大、上層コイル端部の
更なる浮上による段差の増大という悪循環が生じること
が判明した。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、整流子面の段差増大に伴う整流性の悪化を回避し
つつ小型軽量大出力化を実現可能な回転電機を提供する
ことを、その解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1記載の手段を採用することができる。この手
段によると、抑制手段が各上層コイル端部の相対的な軸
方向の変位を抑制するので、電機子電流の通電により各
上層コイル辺が軸方向にそれぞれ熱膨張しても、整流子
をなす各上層コイル端部の相対的な軸方向位置がばらつ
かず、その結果、整流子面の凹凸を小さくでき、それに
よる整流性の悪化を回避することができる。
【0008】 請求項2記載の手段によると、抑制手段
は、複数の上層コイル辺の軸方向への熱膨張のばらつき
による複数の上層コイル端部の軸方向位置のばらつきを
抑制する。請求項記載の手段によると、上層コイル辺
熱膨張により他端側へ延びてブラシが摺接する上層コ
イル端部の軸方向位置のばらつきを抑制するので、ブラ
シが摺動する上層コイル端部、即ち整流子面が凹凸にな
ることをさらに抑制できる。さらに、請求項の手段に
よると、抑制手段が各上層コイル辺の上層コイル端部近
傍にて複数の上層コイル辺にそれぞれ係合する係合部を
有するので、各上層コイル端部の相対的な軸方向位置が
ばらつくことが、確実に抑制できる。
【0009】 さらに、請求項の手段によると、抑制
手段は上層コイル端部と下層コイル端部との間に配設さ
れて、両コイル端部を隔離するスペーサが兼用するの
で、部品点数の増大もなく、また抑制手段による各上層
コイル端部の軸方向位置のばらつきの抑制も容易にな
る。さらに、請求項の手段によると、上層コイル端部
と下層コイル端部との電気絶縁分離が容易になる。ま
た、上層コイル端部の発熱はスペーサを通じて電機子コ
アに良好に固体伝熱されることができる。
【0010】 さらに、請求項の手段によると、上層
コイル辺が上層コイル端部近傍に凹部を有し、この凹部
にスペーサの係合部を係合させることで、スペーサによ
る上層コイル端部の軸方向位置のばらつき抑制を小スペ
ースで容易に実施することができる。さらに、請求項
の手段によると、上層コイル辺は、周方向両側に一対の
凹部を有し、この凹部にスペーサの外周部に設けられた
凸部を係合させることで、確実に上層コイル端部の軸方
向位置のばらつき抑制を実施することができる。
【0011】 さらに、請求項の手段によると、スペ
ーサが上層コイル端部と下層コイル端部間に充填される
樹脂成形体からなるので、両コイル端部は容易かつ確実
にスペーサに固着される。さらに、請求項10の手段に
よると、スペーサと上層コイル端部との間に充填されて
上層コイル端部とを固定する樹脂充填部を有しているの
で、スペーサに上層コイル端部が確実に固着される。
【0012】 また、請求項1の手段によると、外周
部に多数のスロットを有して回転軸に嵌着される電機子
コアと、前記スロットにそれぞれ組み込まれた複数の上
層コイル辺及び下層コイル辺と、一端が前記複数の下層
コイル辺の一端にそれぞれ電気的に接続されるとともに
前記回転軸に向けて延びる複数の第1の下層コイル端部
と、一端が前記複数の上層コイル辺の一端に、他端が前
記複数の第1の下層コイル端部の他端にそれぞれ電気的
に接続されて前記回転軸へ向けて延びる複数の第1の上
層コイル端部と、この第1の上層コイル端部の外周面に
摺接するブラシと、前記複数の第1の上層コイル端部の
軸方向位置がばらつくのを抑制する制御手段と、前記回
転軸へ向けて延在するとともに一端が前記複数の下層コ
イル辺の他端にそれぞれ電気的に接続される複数の第2
層コイル端部と、前記回転軸へ向けて延在するとと
もに一端が前記複数の層コイル辺の他端に、他端が前
記複数の第2の下層コイル端部の他端にそれぞれ電気的
に接続される複数の第2の上層コイル端部と、前記第2
の上層コイル端部に対し所定の微小隙間を有して配設さ
れ、前記第2の上層コイル端部の拡がりを防止する防止
部材と備えるので、この微小隙間分だけ下層コイル辺の
変位を反整流子側に逃がすことができ、これにより上層
コイル辺の整流子側への変位を抑止することができる。
【0013】 さらに、請求項1の手段によると、第
1の下層コイル端部と第1の上層コイル端部との間、も
しくは第2の下層コイル端部と第2の上層コイル端部と
の間に介設されたスペーサを有し、このスペーサが、第
1または第2の上層コイル端部の周方向、もしくは径方
向の相対変位を規制する位置決め部を有し、この位置決
め部は、スペーサと第1または第2の上層コイル端部と
が軸方向に嵌合する嵌合部からなり、更に嵌合部の軸方
向嵌合長が上記微小隙間より長く形成されているので、
第1又は第2の上層コイル端部の周方向もしくは径方向
の相対変位を位置決め部で容易に規制でき、かつ第1又
は第2の上層コイル端部が遠心力を受けて上層コイル辺
との接続部からオーバーハングにより軸方向に拡がって
も、第1又は第2の上層コイル端部がスペーサに当接す
るので、位置決め部の嵌合がはずれることなく、第1又
は第2の上層コイル端部の径方向の拡がりを阻止するこ
とができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施例1)図1乃至図13に基づいて、本発明の回転
電機の実施例1を説明する。回転電機500は、図1及
び図2に示すように、シャフト(回転軸)510、この
シャフト510に固定されて一体に回転する電機子鉄心
(電機子コア)520および電機子コイル530から構
成されるアーマチュア540と、アーマチュア540を
回転させる固定磁極550とから構成され、固定磁極5
50はヨーク501の内周に固定される。
【0015】(シャフト510の説明)シャフト510
は、図示されない保持部材に設けられたメタル軸受91
1、およびエンドフレーム900の内周に嵌入、固着さ
れたメタル軸受921によって回転自在に支持される。
このシャフト510の前端部には、図示されない遊星歯
車機構のギアと噛合するギア511が形成されている。
【0016】(電機子鉄心520の説明)電機子鉄心5
20は、図3に示すリング状のコアプレート521を多
数積層して、中央に設けられた穴522内にシャフト5
10に圧入固定したものである。コアプレート521
は、薄い鋼板をプレス加工によって打ち抜いて形成され
たもので、表面に絶縁処理が施されている。コアプレー
ト521の内径側(穴522の周囲)には、コアプレー
ト521の軽量化を図る打抜き穴523が複数形成され
ている。コアプレート521の外周には、電機子コイル
530を収納する複数(例えば25個)のスロット52
4が形成されている。さらに、コアプレート521の外
周端部の各スロット524間には、スロット524内に
収納された電機子コイル530をスロット524内に固
定するための固定爪525が形成されている。この固定
爪525は、後述する電機子コイル530の固定手段に
おいて説明する。
【0017】(電機子コイル530の説明)電機子コイ
ル530は、図2に示すように本実施例では複数(例え
ば25本)の上層の電機子コイルをなす上層コイルバー
531と、この上層コイルバー531と同数の下層の電
機子コイルをなす下層コイルバー532とを用い、それ
ぞれの上層コイルバー531と下層コイルバー532と
を径方向に積層した2層巻コイルを採用する。そして、
各上層コイルバー531と各下層コイルバー532とを
組み合わせ、各上層コイルバー531の端部と各下層コ
イルバー532の端部とを電気的に接続して環状のコイ
ルを構成している。
【0018】(上層コイルの説明)上層コイルバー53
1は、電導性に優れた材質(例えば銅)よりなり、固定
磁極550に対して平行に伸びてスロット524の外周
側に保持される上層コイル辺533と、上層コイル辺5
33の両端から内側に折り曲げられてシャフト510の
軸方向に対して直角方向へ伸びる(電機子コア520の
両端面522に対し略平行にのびる)一対の上層コイル
端部534とを備える。
【0019】上層コイル辺533は、図4乃至図7に示
すように、断面矩形の直線状の棒体からなり、図7に示
すように周囲が上層絶縁フィルム540(例えばナイロ
ン等の樹脂薄膜や紙)に覆われた状態にて後述する下層
コイル辺536とともにスロット524内に強固に収容
される。図6に示す如く、一対の上層コイル端部534
のうち、一方の上層コイル端部534は、回転方向に対
して前進側に傾斜して設けられ、他方の上層コイル端部
534は、回転方向に対して後退側に傾斜して設けられ
ている。2つの上層コイル端部534の径方向に対する
傾斜角は、上層コイル辺533に対して同一の傾斜角
で、且つ一対の上層コイル端部534は同一形状に設け
られている。
【0020】一対の上層コイル端部534のうち、エン
ドフレーム900側に位置する上層コイル端部534
は、後述するブラシ910と直接当接して電機子コイル
530に通電する整流子片を兼ねているので、ブラシ9
10が当接する上層コイル端部534の表面は平滑に処
理されている。したがって、本実施例の回転電機は、電
機子コイル530を通電するための独立した整流子を設
ける必要がなく、部品点数を低減することができる。ま
た、独立した整流子をヨーク501内に配置する必要が
なくなることにより、回転電機の軸方向の体格も小型化
することができる。さらに、上層コイル端部534とブ
ラシ910との摺接による摩擦熱は、上層コイル端部5
34から上層コイル辺533や電機子鉄心520、更に
はシャフト510等に放熱される。電機子コイル53
0、電機子鉄心520、シャフト510等の熱容量は、
従来独立した整流子に比較して格段に大きいため、上層
コイル端部534とブラシ910との摺接部分の温度を
低く保つことができる。
【0021】上層コイル端部534は例えば図8に示す
ように径外方向へ向かって広がる形状をもつとともに、
各上層コイル端部534の周方向の間隔(上層コイル端
部534間の溝535)が径方向内端側から径方向外端
側までほぼ一定に設けられている。このため、ブラシ9
10と当接する上層コイル端部534とブラシ910と
の接触面積を従来より広く設定することができる。この
結果、ブラシ910の熱が上層コイル端部534に伝達
されやすくなり、ブラシ910の温度を低く抑えること
ができる。なお、図8は上層コイル端部534の形状を
分かりやすく説明するための模式図であって、上層コイ
ル端部534の数や細部形状は他の図と一致してはいな
い。ブラシ910側の各上層コイル端部534の間の溝
535の形状は、図8に示すように径方向外端側が径方
向内端側より反回転方向へ後退する形状に形成されてい
る。
【0022】また、電機子コイル530が回転すると、
各上層コイル端部534の間の溝535により生じた遠
心風が径方向内端側から径方向外端側へ向けて生じる。
この遠心風により、ブラシ910と上層コイル端部53
4との摺接による熱は良好に冷却され、更に生じたブラ
シ粉は良好に外部に排出することができる。上層コイル
端部534は、例えば図2に示すように径方向やや外周
側にて電機子鉄心520へ向けて軸方向に突出する小径
の突起534cを備える。この突起534cは、上層コ
イル端部534と後述する下層コイル端部537との間
に配されて、上層コイル端部534と下層コイル端部5
37とを絶縁する絶縁スペーサ(絶縁体)560、56
0aに設けられた穴(位置決め部)561に嵌合してい
る(図9、図13参照)。
【0023】更に、ブラシ910側の上層コイル辺53
3の周方向両側面には、図4に示すように、ブラシ91
0側の上層コイル端部534(図4中、手前側)に隣接
して細軸部533gが形成されている。 (下層コイルバー532の説明)下層の電機子コイルを
なす下層コイルバー532は、上層コイルバー531と
同様、導電性に優れた材質(例えば銅)よりなり、固定
磁極550に対して平行に伸びてスロット524の内側
に保持される下層コイル辺536と、この下層コイル辺
536の両端から径方向内側に曲り曲げられてシャフト
510の軸方向に対して直角方向へ伸びる一対の下層コ
イル端部537とを備える。
【0024】各上層コイル端部534と各下層コイル端
部537との電気絶縁は、樹脂板からなる絶縁スペーサ
560(抑制手段)によって確保され、各下層コイル端
部537と電機子鉄心520との絶縁は、樹脂製(例え
ばナイロンやフェノール樹脂)の絶縁リング590によ
って確保されている。下層コイル辺536は、図6に示
すように、断面矩形の直線状の棒体からなり、上層コイ
ル辺533とともにスロット524内に強固に収容され
ている。詳しく説明すると、下層コイル辺536は、上
層絶縁フィルム540で覆われた上層コイル辺533と
ともに、下層絶縁フィルム541(例えばナイロンや
紙)で覆われた状態で、スロット524内に収容されて
いる。
【0025】下層コイル端部537は、近接する上層コ
イル端部534の傾斜方向とは逆方向に傾斜して設けら
れている。一対の下層コイル端部537の径方向に対す
る傾斜角は、下層コイル辺536に対して同一の傾斜角
で、且つ一対の下層コイル端部537は同一の形状に設
けられている。下層コイル端部537の径方向内端部
は、例えば図2に示すように軸方向に伸びる下層内部延
長部539を備える。下層内部延長部539は、図9、
図13に示す絶縁スペーサ560、560aの内周に形
成された凹部562、562aに嵌合するとともに、後
述する上層コイル端部534の内端部の上層内部延長部
(突出部)538の内周側端に重ね合わされ、溶接等の
接合技術で電気的、且つ機械的に接続される。なお、下
層内部延長部(突出部)539の内周面は、シャフト5
10に対して離れて絶縁配置される。
【0026】また、上層コイル端部534の径方向内端
部は、例えば図2に示すように軸方向へ伸びる上層内部
延長部538を備える。上層内部延長部538の内周側
の面は前述した下層コイルバー532の内端に設けられ
た下層内部延長部539の外周側の面に重ね合わされ、
溶接等の接続技術で電気的、且つ機械的に接続される。
また、上層内部延長部538の外周側端面は、シャフト
510に圧入固定された固定部材(カラー)570の外
周環状部571の内周面に、絶縁キャップ580を介し
て当接する(図10及び図11参照)。
【0027】なお、この下層コイルバー532は、上層
コイルバー531の上層コイル辺533に設けられた後
述する一対の溝部533fを有していない。 (絶縁スペーサ560、560aの説明)絶縁スペーサ
560、560aは、樹脂製(例えばエポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ナイロン)の薄板リングで、図9、図1
3に示すように、外側から各上層コイル端部534の突
起534cが嵌め合わされる複数の穴561が形成され
ている。また、絶縁スペーサ560の内周には、下層コ
イル端部537の下層内部延長部539のくびれ部53
9aが嵌合する凹部562及び突部562aが周方向へ
交互に形成されている。この絶縁スペーサ560の穴5
61、凹部562及び突部(本発明でいう径方向突部)
562aは、後述するように、電機子コイル530の位
置決め及び固定に用いられる。絶縁スペーサ560はブ
ラシ側に配置される絶縁スペーサであり、絶縁スペーサ
560aは反ブラシ側に配置される絶縁スペーサである
(図1参照)。絶縁スペーサ560はその外周側に後述
する上層コイル辺533の細軸部533gが嵌合する凸
部(本発明でいう係合部)563が形成されている点
が、絶縁スペーサ560aと異なっている。
【0028】なお、絶縁スペーサ560には、外周側に
各上層コイル端部534の突起534cが嵌め合わされ
る複数の穴561が予め形成しているが、上層コイル端
部534の外周側から突起534cを形成するように押
圧(又は打ち出し)することで、突起534cの形成と
ともに絶縁スペーサ560にも突起534cにより穴5
61を形成するようにしてもよい。これによれば、上層
コイル端部534が塑性変形して加工硬化することで、
ブラシ910の摺動面として利用した時の摩耗を低減す
ることができる。
【0029】(固定部材570の説明)固定部材570
は鉄製の環状体からなり、図10に示すようにシャフト
510に圧入される内周環状部572と、上層コイル端
部534および下層コイル端部537が軸方向へ広がる
のを阻止する規制リング573と、上層コイル端部53
4の上層内部延長部538を内包して、電機子コイル5
30の内径が、遠心力によって広がるのを防ぐ外周環状
部571とから構成される。なお、この固定部材570
と上層コイル端部534および下層コイル端部537と
の間の電気絶縁を確保するために、上層コイル端部53
4と下層コイル端部537との間に図11に示す樹脂製
(例えばナイロン)の円盤状の絶縁キャップ580を介
在させている。
【0030】スタ−タの前側に配置された固定部材57
0は、この固定部材570の前方に隣接するフロント隔
壁800の後面に当接して、アーマチュア540の前方
への移動を規制するスラスト受け部としても作用する。
一方、スタ−タの後側に配置された固定部材570は、
この固定部材570の後方に隣接するエンドフレーム9
00の前面に当接して、アーマチュア540の後方への
移動を規制するスラスト受け部としても作用する。
【0031】このように、電機子コイル530の内側端
部を固定するそれぞれの固定部材570が、アーマチュ
ア540のスラスト受け部として作用するため、別途、
アーマチュア540のスラスト受け部を設ける必要がな
い。このため、スタ−タの部品点数を低減し、且つ組付
工数を低減することができる。 (電機子コイル530の固定の説明)電機子コイル53
0の上層コイルバー531および下層コイルバー532
を、電機子鉄心520に位置決めおよび固定する手段と
して、図7に示すように電機子鉄心520のスロット5
24および固定爪525、絶縁スペーサ560の穴56
1および凹部562、およびシャフト510に圧入固定
される固定部材570を備える。
【0032】電機子鉄心520のスロット524は、上
層コイル辺533および下層コイル辺536を収容し、
固定爪525を図7の矢印に示すように内径側に折り曲
げることにより、上層コイル辺533および下層コイル
辺536が各スロット524内に強固に固定され、スロ
ット524内から上層コイル辺533および下層コイル
辺536が遠心力を受けても外径側へ移動するのを防
ぐ。なお、上層コイル辺533の外周表面は、下層絶縁
フィルム541と上層絶縁フィルム540の2層で絶縁
されるため、固定爪525の内周側に強固に折り曲げて
も、充分な絶縁を確保できる。
【0033】絶縁スペーサ560の内周の溝部562に
は、下層コイル端部537の下層内部延長部539が嵌
め合わされて下層コイル端部537の位置決めを行うと
ともに、下層コイル端部537にかかる遠心力を受け
て、下層コイル端部537が外径側へ移動するのを防
ぐ。絶縁スペーサ560の外周側の穴561は、上層コ
イル端部534の突起534cに嵌め合わされて、上層
コイル端部534の位置決めを行うとともに、上層コイ
ル端部534にかかる遠心力を受けて、上層コイル端部
534が外径側へ移動するのを防ぐ。
【0034】固定部材570は、接合された上層内部延
長部538と下層内部延長部539を周囲から保持し、
電機子コイル530の内径部分が遠心力によって外径側
へ移動するのを防ぐ。また、固定部材570は、接合さ
れた上層内部延長部538と下層内部延長部539の軸
方向への移動を規制して電機子コイル530の軸方向寸
法が長くなることを防ぐ。なお、上層コイル端部534
および下層コイル端部537がスタ−タの使用中に軸方
向寸法が長くなると、予め変形によるスペースをスタ−
タ内に確保する必要が生じるが、固定部材570によっ
て、上層コイル端部534および下層コイル端部537
が軸方向に長くなることが防がれるため、本実施例のス
タ−タは予備スペーサを無くすことができ、この結果、
スタ−タの軸方向寸法を短くすることができる。
【0035】 また、ブラシ910側の上層コイル辺5
33の周方向両側面に形成された細軸部533gが図4
に示すようにブラシ910側の上層コイル端部534
(図4中、手前側)に隣接して形成されている。この細
軸部533gは、上層コイル辺533の周方向両側面に
径方向へ向けて一対の溝(本発明でいう凹部)533f
を個別にを凹設して形成したものであって、細軸部53
3gは、図13に示すように絶縁スペーサ(単にスペー
サ(抑圧部材)ともいう)560の外周に設けられた凸
部(本発明でいう係合部)563に嵌合している。な
お、細軸部533gの軸方向長さと絶縁板560の板厚
とは略同一寸法とされている。これにより、上層コイル
辺533の熱膨張が発生しても、絶縁スペーサ560の
外周に設けられた凸部563と上層コイル辺533の細
軸部533gとの嵌合によりブラシ910側の各上層コ
イル端部534の軸方向への変位が規制され、この結
果、各上層コイル端部534の整流子面の軸方向位置が
ばらついて火花の発生などの整流阻害動作が生じるのが
防止することが可能となる。これによりブラシ側の各上
層コイル端部534のブラシ摺接面(いわゆる整流子
面)が互いに軸方向にばらつくのを抑制している。
【0036】更に、下層コイル端部537の内周端部か
ら軸方向に延びる下層内部延長部539は図16に示す
ようにその根元部にくびれ部539aを有している。こ
のくびれ部539aは、下層内部延長部539をスペー
サ560の径方向内端面に接する部位において径方向内
側へ溝部を凹設することにより形成され、この溝部の分
だけ径方向に薄厚とされたものである。くびれ部539
aの軸方向長さと絶縁スペーサ560の板厚とは略同一
寸法とされて、上記溝部に絶縁スペーサ560が嵌入さ
れ、これにより、下層コイル端部537及びそれと溶接
された上層コイル端部534とスペーサ560との軸方
向相対変位が阻止される。また、このくびれ部539a
は図15に示すように絶縁スペーサ560の内周側の溝
部562に嵌合して両者の周方向の相対移動が規制され
る。
【0037】したがって、各上層コイル辺533が軸方
向に熱膨張しようとしても、細軸部533g及びくびれ
部539aが絶縁スペーサ560の溝部562、凸部5
63も嵌合することで、上層コイル端部534及び下層
コイル端部537の軸方向相対変位が規制される。この
結果、もしコイル530の発熱や高温下での使用により
上層コイル端部534に伸びが発生しても上層コイル端
部534が絶縁スペーサ560から軸方向外側へ浮き上
がるのが防止でき、整流子面の平滑精度及び遠心強度が
向上するという利点がある。
【0038】また、上層コイル端部534及び下層コイ
ル端部537は絶縁板560を挟んで内部延長部53
8、539で溶接固定されているので、これら3者が一
体化されて、寸法安定性、機械強度、耐遠心強度に優れ
るという利点がある。 (電機子の製作)電機子の組付手順を説明する。
【0039】まず、シャフト510の周囲にコアプレー
ト521を積層した電機子鉄心520を圧入する。次
に、電機子鉄心520の両側に絶縁リング590を配置
する。続いて、各スロット524内に、下層コイルバー
532の上層コイル辺536を、下層絶縁フィルム54
1とともに収納する。次に、下層コイルバー532の下
層コイル端部537の外側に、絶縁スペーサ560を装
着し、下層内部延長部539を各凹部562内に配置す
る。これによって、下層コイルバー532の位置決めが
完了する。
【0040】次に、上層コイルバー539の上層コイル
辺533を、上層絶縁フィルム540とともに収納す
る。この時、各上層コイル端部534の突起534c
を、絶縁スペーサ560の穴561内に嵌め合わせる。
これによって、上層コイルバー531の位置決めが完了
する。続いて、各上層内部延長部538と各下層内部延
長部539とを溶接などの接合技術によって個別に接合
する。
【0041】その後、電機子鉄心520の各固定爪52
5を内周側へ曲げて、スロット524内に上層コイル辺
533および下層コイル辺536を固定するとともに、
シャフト510の両端から固定部材570を圧入して電
機子コイル530の上層内部延長部538の外周面を覆
うことで、上層コイル端部534の径方向外周側への拡
がりを防止する。以上によって、電機子(アーマチュ
ア)540が完成する。
【0042】(固定磁極550の説明)固定磁極550
は、本実施例では内周面にスリーブが当接され、ヨーク
501に固定された永久磁石を用いている。なお、固定
磁極550として永久磁石の代わりに通電によって磁力
を発生するフィールドコイルを用いても良い。 (エンドフレーム)モータ500のヨーク501の端部
には、エンドフレーム900が固定されており、このエ
ンドフレーム900には、金属製のブラシホルダ920
が設けられている。そして、このブラシホルダ920の
内側には、ブラシ910が、軸方向に摺動自在に保持さ
れている。そして、ブラシホルダ920内に設けられた
スプリング930によって、ブラシ910は電機子コイ
ル530の上層コイル端部534に押接されている。
【0043】(電機子コイルの巻線図の説明)図12は
電機子コイル530の巻線を模式的に示したもので、上
層コイル端部534上にブラシ910が配設されている
ものが示されている。 (実施例1の効果)電機子鉄心520の外周部には、多
数のスロット524が設けられ、このスロット524内
に複数の上層コイル辺633及び下層コイル辺536が
それぞれ組み込まれ、複数の下層コイル辺536の一端
がシャフト510に向かって延びる複数の下層コイル端
部537の一端にそれぞれ電気的に接続され、また、複
数の上層コイル辺533の一端がシャフト510に向か
って延びる複数の上層コイル端部534の一端に、複数
の上層コイル端部534の他端が複数の下層コイル端部
537の他端にそれぞれ電気的に接続され、この上層コ
イル端部534の外周面にはブラシ910が摺接し、か
つブラシ910が摺動する複数の上層コイル端部534
の軸方向位置のばらつきを抑制する絶縁スペーサ560
が設けられた構成であるため、絶縁スペーサ560が各
上層コイル端部534の相対的な軸方向の変位を抑制す
るので、電機子電流の通電により各上層コイル辺533
が軸方向にそれぞれ熱膨張しても、整流子をなす各上層
コイル端部534の相対的な軸方向位置がばらつかず、
その結果、整流子面の凹凸を小さくでき、それによる整
流性の悪化を回避することができる。
【0044】さらに、絶縁スペーサ560が各上層コイ
ル辺533の上層コイル端部534近傍にて複数の上層
コイル辺533にそれぞれ係合するので、各上層コイル
端部534の相対的な軸方向位置がばらつくことが、確
実に抑制できる。また、上層コイル辺533は、周方向
両側に一対の凹部533fを有し、この凹部533fに
絶縁スペーサ560の外周部に設けられた凸部563を
係合させることで、確実に上層コイル端部534の軸方
向位置のばらつき抑制を実施することができる。
【0045】また、絶縁スペーサ560が上層コイル端
部534と下層コイル端部537間に充填される樹脂成
形体からなるので、両コイル端部は容易かつ確実に絶縁
スペーサ560に固着される。 (実施例1の変形態様)なお、モータ500のヨーク5
01の一部に貫通孔を設ければ上述した遠心ファン作用
により摩耗粉を確実にヨーク501の貫通孔から外部へ
排出することができ、この結果、モータ500の小型化
した場合に発生するブラシ910の摩耗粉によるコイル
間等のリークを防止することができる。
【0046】また、上記実施例では、上層コイル辺53
3に細軸部533gを設けてスペーサ560の外周凹部
563に係合させたが、図14に示すように突起533
hを周方向両側へ突設させて、上層コイル端部534と
突起533hとの間に外周凹部563を嵌合させてもよ
い。また、上述の突起533gは、上層コイル辺533
の一部を押しつぶしたり、打ち出したりして作製しても
よいことは当然である。
【0047】また、絶縁スペーサ560aを下層コイル
端部537と上層コイル端部534との間に挟設し、電
機子鉄心520に組付けた後、絶縁スペーサ560と上
層コイル端部534との隙間に成形樹脂を充填して上層
コイル端部534を絶縁スペーサ560に固定又は軸方
向相対変位を抑止したりすることも可能である。また、
絶縁スペーサ560無しで下層コイル端部537、上層
コイル端部534を組付け、その後、樹脂成形して絶縁
スペーサ560を形成してもよい。この充填する樹脂
は、電機子のコイル全体に渡って施してもよいが、整流
子となる側の上層コイル端部534近傍にだけ施しても
よい。この場合、コイルの延びは反整流子側に逃げるの
でさらに整流子側の平滑が保たれる。なお、絶縁スペー
サ560は絶縁体であれば板でなくてもよく、成形樹脂
品や導電体に絶縁処理したものでもよいのは言うまでも
ない。さらに、上層コイル端部534と下層コイル端部
537を絶縁処理しておけば、絶縁板560は導電性の
材料であってもよい。
【0048】(実施例2)実施例2を図15を参照して
説明する。この実施例2の電機子は上述した実施例1の
電機子に以下に説明する構成を追加したものである。た
だし、実施例1では電機子鉄心520の両側に配設され
る各構成要素の内、共通機能を有するものには同一符号
を付したが、本実施例では、反ブラシ側の構成要素に
は、’を付けて区別するものとする。
【0049】この実施例では、固定部材570、57
0’(防止部材)は、両コイルエンドの上層コイル端部
534(第1の上層コイル端部)、534’(第2の上
層コイル端部)の外側に位置してシャフト510に圧入
され、これにより、上層コイル端部534、534’及
び下層コイル端部537(第1の下層コイル端部)、5
37’(第2の下層コイル端部)が軸方向に拡がるのが
防止される。また、固定部材570の外周環状部571
の軸方向先端が絶縁キャップ580を介して上層コイル
端部534に押し付けられ、これにより、上層コイル端
部534が電機子鉄心520へ向けて押圧される。これ
らは、実施例1と同じである。但し、固定部材570’
の電機子鉄心520側には例えば接着などにより絶縁キ
ャップ580’が固着される。そして、固定部材57
0’の外周環状部571’の軸方向先端に接する絶縁キ
ャップ580’の外周部は所定の軸方向微小隙間(アキ
シャルギャップ)Δdを介して第2の上層コイル端部5
34’に対面している。この微小な隙間Δdは、上層コ
イル辺533及び下層コイル辺536が熱膨張して軸方
向反ブラシ側へ円滑に延びることができるように設けら
れているものである。このようにすれば、軸方向微小隙
間Δd分は上層コイル辺533の延びを反整流子面側で
ある第2の上層コイル端部534’側に逃がすことがで
き、整流子面である各上層コイル端部534のスペーサ
560に対する軸方向相対変位量が増大するのが抑止さ
れ、これにより上層コイル端部534、上層コイル辺5
33が高温となっても、整流子面の平滑精度が保たれる
という優れた利点がある。
【0050】また、この実施例では、以下の工夫も施し
ている。すなわち、上層コイル端部534’が電機子鉄
心520側へ向けて軸方向に突出する小突起534c’
を備える点、及び、小突起534c’が上層コイル端部
534’と下層コイル端部537’との間に設けられる
絶縁スペーサ560’に設けられた位置決め穴561’
に嵌入される点は実施例1と同じである。これにより、
上層コイル端部534’の位置決めがなされるととも
に、上層コイル端部534’が遠心力によって径方向へ
拡がるのが阻止される。
【0051】特にこの実施例では、前述の微小な隙間Δ
dは、小突起534c’の高さ(軸方向長さ)より狭く
(小さく)設定されている。このようにすれば、第2の
上層コイル端部534’が遠心力を受けることにより、
上層コイル辺531との接続部を支点としてオーバーハ
ングにより軸方向反コア側へ拡がっても、上層コイル端
部534’が絶縁キャップ580を介して規制リング5
73’に当接するので、小突起534c’は位置決め穴
561からはずれることはなく、径方向への拡がりを阻
止することができ、高信頼性の電機子を得られる。
【0052】 なお、実施例2、3では、固定部材57
0、570’は回転軸510に圧入固定したが、固定方
法は圧入に限らない。また、固定部材570、570’
はコア520に固定してもよい。この場合、微小隙間Δ
dは上層及び下層コイル辺533、536と電機子鉄心
520の熱膨張差より広くすることが好ましい。また、
小突起534c’と位置決め穴561により位置決めす
る代わりに、絶縁スペーサ560に上層コイル端部53
4’が嵌入可能な溝を設けて上層コイル端部534’を
嵌合してもよく、その他、絶縁スペーサ560に小突
起、上層コイル端部534’に穴を設けてもよい。絶縁
スペーサ560は、絶縁体であれば何でもよく、成形樹
脂品や金属などの導電体に絶縁処理したものでもよいの
は、言うまでもない。更に、下層コイル端部537と上
層コイル端部534とを絶縁処理しておけば、絶縁スペ
ーサ560は導電性のスペーサであってもよい。
【0053】(実施例3)実施例3の電機子を図16を
参照して説明する。この実施例は、上層コイル辺533
の径方向内側の面に溝533iを設け、この溝533i
に円形をなす絶縁スペーサ560の外周を嵌め込んでい
る。また、下層内部延長部539の径方向外端側の表面
には、下層内部延長部539の根元部(電機子コア52
0側の端部)に位置して溝が凹設され、それにより下層
内部延長部539の根元部には径方向に薄肉化されたく
びれ部539aが形成し、このくびれ部539aに絶縁
スペーサ560の内周を嵌め込んでいる。。
【0054】このようにしても、熱膨張による各上層コ
イル辺533の軸方向ブラシ側への変位(のび)量のば
らつきを抑止して整流障害やブラシの以上消耗などを防
止することができる。 (実施例4)実施例4の電機子を図17及び図18を参
照して説明する。図17は電機子の軸方向断面図であ
り、図18は電機子コア520aの一枚のコアプレート
521aの正面図である。この実施例は電機子コア52
0a以外は実施例1と同じ構成を有している。
【0055】電機子コア520aは図19に示すコアプ
レート521aを多数積層してなり、コアプレート52
1aは図3に示すコアプレート521の打ち抜き穴52
3に対して異なる打ち抜き穴523a、523bをもつ
点だけが異なっている。すなわち、軸心から打ち抜き穴
523aの内周面までの径方向最小寸法d1は、固定部
材570の外周環状部571の外径D1より大きく設定
され、軸心から打ち抜き穴523bの内周面までの径方
向最大寸法d2は、固定部材570の外周環状部571
の内径D2より小さく設定されている。ここで、径方向
最小寸法d1とは打ち抜き穴523aの内周面の内、最
も軸心に近い部位までの寸法を意味し、径方向最大寸法
d2とは打ち抜き穴523bの内周面の内、最も軸心か
ら遠い部位までの寸法を意味している。
【0056】このように、少なくとも第1の固定部材5
70の外周環状部571の内径から外径までの環状部分
を回避してコアプレート521aに打ち抜き穴523
a、523bを設けることにより、外周環状部571の
押圧面579により押圧される上層コイル端部534が
軸方向、電機子コア側へ撓むことがなく、その外端面か
らなるブラシ摺接面(整流子面)が変形してブラシの損
耗が増大するのが防止できる。
【0057】また、上層コイル端部534が熱膨張によ
る伸びても、この伸びにより上層コイル端部534が打
ち抜き穴523a、523bへ向けて撓むことがなく、
整流子面(ブラシ摺接面)の曲げ変形を防止することが
できる。 (実施例5)実施例5の電機子を図19及び図20を参
照して説明する。ただし、実施例1の構成要素に対して
基本的な機能が共通する構成要素には同一符号を付す。
【0058】この実施例は、上層コイルバー531の作
製、組付け方法の変形実施例であって、上層コイルバー
531はその上層コイル辺部533をスロット524に
挿入する前には、図19に示すように、まだ上層コイル
端部534が完全に径方向まで折り曲げられておらず、
斜めに形成されている。また、この実施例では、実施例
3と同様に、上層コイル辺533の径方向内側の面に絶
縁スペーサ560の外周部が嵌合可能な溝533iが設
けられている。ただしこの実施例では、溝533iは打
ち出しにより形成されている。一方、絶縁スペーサ56
0の外周面は下層コイル辺536の外径よりも径大に形
成されている。
【0059】この状態で、上層コイル端部534を折り
曲げて、その突起534cを絶縁スペーサ560の穴
(位置決め部)561に嵌め込む。次に、下層内部延長
部539と上層コイル端部534とを溶接して、電機子
コイル530を完成する。このようにすれば、電機子コ
イル530の組立が容易となる。なお、図21、図22
に示すように、上層コイル端部534の絶縁スペーサ5
60と当接する面を粗面化又は鋸歯状面とすることによ
り、上層コイル端部534と絶縁スペーサ560との結
合力を増強することができ、絶縁スペーサ560に対し
て上層コイル端部534が径方向、周方向、軸方向に変
位するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の回転電機の実施例1を示す軸方向断
面図である。
【図2】 実施例1の電機子の軸方向断面図である。
【図3】 実施例1の電機子鉄心の平面図である。
【図4】 実施例1の上層コイルバー531の斜視図で
ある。
【図5】 実施例1の上層コイルバー531の軸方向矢
視の平面図である。
【図6】 実施例1の上層コイルバー531及び下層コ
イルバー532の配置を示す模式斜視図である。
【図7】 実施例1のスロット内の上層コイル辺533
及び下層コイル辺536の断面図である。
【図8】 実施例1の電機子の平面図である。
【図9】 実施例1の反ブラシ側の絶縁スペーサ560
aの平面図である。
【図10】 実施例1の固定部材570の断面図であ
る。
【図11】 実施例1の絶縁キャップ580の断面図で
ある。
【図12】 実施例1の電機子コイル530の巻線図で
ある。
【図13】 実施例1のブラシ側の絶縁スペーサ560
の平面図である。
【図14】 実施例1の上層コイルバー531の変形態
様を示す模式斜視図である。
【図15】 実施例2の電機子の軸方向断面図である。
【図16】 実施例3のコイルエンドを示す軸方向断面
図である。
【図17】 実施例4の電機子の軸方向断面図である。
【図18】 実施例4のコア521aを示す平面図であ
る。
【図19】 実施例5の電機子の軸方向断面図(最終折
り曲げ前)である。
【図20】 実施例5の電機子の軸方向断面図(最終折
り曲げ後)である。
【図21】 実施例5の電機子の変形態様の軸方向断面
図(最終折り曲げ前)である。
【図22】 実施例5の電機子変形態様のの軸方向断面
図(最終折り曲げ後)である。
【符号の説明】
510は回転軸(シャフト)、520は電機子鉄心(電
機子コア)、533が上層コイル辺、534は上層コイ
ル端部(第1の上層コイル端部)、534aは突起、5
35は空間溝、536は下層コイル辺、537は下層コ
イル端部(第1の下層コイル端部)、538、539は
軸方向延長部、560は絶縁スペーサ(抑制手段)、5
61は位置決め部(位置決め穴)、533iはくびれ
部、539aは軸方向延長部539の溝部、590は電
気絶縁性の絶縁体、570’は第2の固定部材(防止部
材)、560’はスペーサ、561’は位置決め部、5
63は絶縁スペーサ560の凸部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平3−48371(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 3/04 H02K 3/48 H02K 13/00

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周部に多数のスロットを有して回転軸に
    嵌着される電機子コアと、 前記スロットにそれぞれ組み込まれた複数の上層コイル
    辺及び下層コイル辺と、 一端が前記複数の下層コイル辺の一端にそれぞれ電気的
    に接続されるとともに前記回転軸に向けて延びる複数の
    下層コイル端部と、 一端が前記複数の上層コイル辺の一端に、他端が前記複
    数の下層コイル端部の他端にそれぞれ電気的に接続され
    て前記回転軸へ向けて延びる複数の上層コイル端部と、 この上層コイル端部の表面に摺接するブラシと、 このブラシが摺動する前記複数の上層コイル端部の軸方
    向位置のばらつきを抑制する抑制手段と、 を備えることを特徴とする回転電機。
  2. 【請求項2】前記抑制手段は、前記複数の上層コイル辺
    の軸方向への熱膨張のばらつきによる前記複数の上層コ
    イル端部の軸方向位置のばらつきを抑制することを特徴
    とする請求項1記載の回転電機。
  3. 【請求項3】前記上層コイル辺熱膨張により他端側へ
    延びることにより、前記ブラシが摺接する前記複数の上
    層コイル端部の軸方向位置のばらつきを抑制することを
    特徴とする請求項2記載の回転電機。
  4. 【請求項4】前記抑制手段は、前記上層コイル端部近傍
    にて前記複数の上層コイル辺にそれぞれ係合する係合部
    であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載
    の回転電機。
  5. 【請求項5】前記抑制手段は、前記上層コイル端部と前
    記下層コイル端部との間に配設されたスペーサからなる
    ことを特徴とする請求項記載の回転電機。
  6. 【請求項6】前記スペーサは絶縁体からなることを特徴
    とする請求項記載の回転電機。
  7. 【請求項7】前記上層コイル辺は、前記上層コイル端部
    近傍に凹部を有し、この凹部に前記スペーサの係合部を
    係合させることを特徴とする請求項記載の回転電機。
  8. 【請求項8】前記上層コイル辺は、周方向両側に一対の
    前記凹部を有し、この凹部に前記スペーサの外周部に設
    けられた凸部を係合させたことを特徴とする請求項5乃
    至7のいづれかに記載の回転電機。
  9. 【請求項9】前記スペーサは、前記上層コイル端部と前
    記下層コイル端部との間に充填された樹脂成形体からな
    ることを特徴とする請求項記載の回転電機。
  10. 【請求項10】前記スペーサと前記上層コイル端部との
    間に充填されて前記スペーサと前記上層コイル端部とを
    固定する樹脂充填部を有することを特徴とする請求項
    記載の回転電機。
  11. 【請求項11】前記抑制手段は、前記回転軸に固定され
    て前記上層コイル端部が軸方向に拡がるのを阻止する固
    定部材であることを特徴とする請求項1又は2記載の回
    転電機。
  12. 【請求項12】前記固定部材は、環状部材であることを
    特徴とする請求項11記載の回転電機。
  13. 【請求項13】外周部に多数のスロットを有して回転軸
    に嵌着される電機子コアと、 前記スロットにそれぞれ組み込まれた複数の上層コイル
    辺及び下層コイル辺と、 一端が前記複数の下層コイル辺の一端にそれぞれ電気的
    に接続されるとともに前記回転軸に向けて延びる複数の
    第1の下層コイル端部と、 一端が前記複数の上層コイル辺の一端に、他端が前記複
    数の第1の下層コイル端部の他端にそれぞれ電気的に接
    続されて前記回転軸へ向けて延びる複数の第1の上層コ
    イル端部と、 この第1の上層コイル端部の外周面に摺接するブラシ
    と、 前記複数の第1の上層コイル端部の軸方向位置がばらつ
    くのを抑制する制御手段と、 前記回転軸へ向けて延在するとともに一端が前記複数の
    下層コイル辺の他端にそれぞれ電気的に接続される複数
    の第2の層コイル端部と、 前記回転軸へ向けて延在するとともに一端が前記複数の
    層コイル辺の他端に、他端が前記複数の第2の下層コ
    イル端部の他端にそれぞれ電気的に接続される複数の第
    2の上層コイル端部と、 前記第2の上層コイル端部に対し所定の微小隙間を有し
    て配設され、前記第2の上層コイル端部の拡がりを防止
    する防止部材と、 を備えることを特徴とする回転電機。
  14. 【請求項14】前記第1の下層コイル端部と前記第1の
    上層コイル端部との間、もしくは前記第2の下層コイル
    端部と前記第2の上層コイル端部との間に介設されたス
    ペーサを有し、 このスペーサは、前記第1または第2の上層コイル端部
    の周方向、もしくは径方向の相対変位を規制する位置決
    め部を有し、この位置決め部は、前記スペーサと前記第
    1または第2の上層コイル端部とが、軸方向に嵌合する
    嵌合部からなり、前記嵌合部の軸方向嵌合長は、前記微
    小隙間より長く形成されていることを特徴とする請求項
    13記載の回転電機。
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