JP3501062B2 - 飲料水の充填装置 - Google Patents

飲料水の充填装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、近年、特に需要が
急速に拡大しているミネラルウォーター等の清涼飲料水
を無菌充填するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、清涼飲料水はペットボト
ル、ガラス瓶、缶、BIB、紙、アルミフィルム、ビニ
ールフィルム等、様々な包装容器に充填されて販売され
ている。充填される飲料水は無菌状態であることが必要
とされ、このため、充填される飲料水を精密濾過(M
F)膜処理や紫外線照射処理、或いはこれらの組み合わ
せにより殺菌すること、そして、殺菌された飲料水を無
菌下でパウチ(ビニールパック)に充填する方法等が提
案されている(特開平2−95491号公報、同3−2
49987号公報、同6−98731号公報)。
【0003】この製品の製造の際には、容器内の飲料水
の無菌化を実現するため、容器は飲料水を充填する前に
滅菌され、この滅菌された容器に殺菌処理された飲料水
が充填され、更に、その後多くの場合は加熱滅菌工程を
経て製品とされる。なお、一部の清涼飲料水について
は、高度に管理された無菌充填設備等による非加熱無菌
充填設備により製品化されているが、非加熱無菌充填に
は、高価な機械設備と厳格な衛生管理が必要とされると
共に、非常に特殊な運転管理を行う必要があることか
ら、一般的には加熱による滅菌処理が行われているのが
実状である。
【0004】なお、現状提供されている各種の飲料水の
容器のうちビニールフィルムパックは、ペットボトル、
ガラス瓶等の他の容器に比べて取り扱い性に優れ、軽量
かつ安価で、しかも、充填設備も構造が簡易で小型かつ
コンパクトであるという利点があることから、今後の拡
充が有望視されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の充填設備では、
飲料水を容器に充填する工程において、その充填環境を
完全に無菌化することが困難であるために、飲料水が充
填中に外部からの菌で汚染される恐れがあった。このた
め、容器に飲料水を充填した製品について、更に加熱殺
菌する必要があり、このことが工程数の増大、それに伴
う生産性の低下、コスト高騰の原因となっていた。
【0006】また、飲料水を充填した後の製品について
加熱殺菌する場合には、用いる容器に耐熱性が要求さ
れ、特に、近年有望視されているビニールフィルムパッ
クにおいては、フィルム材料として、耐熱性の高い高価
なフィルムが必要とされるという問題点もあった。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、飲料
水の充填部において外部からの菌の混入を防止し、充填
後の加熱殺菌を不要とすることができる、飲料水の非加
熱完全無菌充填装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の飲料水の充填
装置は、飲料水を無菌充填する装置において、充填部を
陽圧雰囲気にして外部空気の混入を防止する手段と、該
飲料水の充填容器材料及び/又は充填容器の接液面を殺
菌する紫外線照射手段とを有することを特徴とする。
求項3の飲料水の充填装置は、飲料水をビニールフィル
ムパックに無菌充填する装置において、充填部を陽圧雰
囲気にして外部空気の混入を防止する手段と、ビニール
フィルムを該充填部に送り出すと共に該ビニールフィル
ムの飲料水が充填される接液面を紫外線照射して殺菌処
理する手段とを有することを特徴とする。なお、充填部
の圧力は大気圧よりも0.01〜0.1MPa程度高い
ことが好ましい。
【0009】この飲料水の充填装置であれば、無菌状態
の充填部を陽圧(正圧)にして、菌が含まれている空気
が外部から混入するのを防止することにより、非加熱に
て無菌化処理を確実に行うことができる。即ち、例え
ば、飲料水をパックに充填する際、充填部において飲料
水は外部雰囲気と接触することとなるため、該充填部を
密封できる構造としておき、当該充填部内を常に陽圧状
態として外気の混入を防止する。この場合、陽圧状態と
するために充填部に供給する気体としては、無菌の窒素
ガスや塩素又はオゾンを含んだ殺菌性のある空気を供給
するのが好ましい。これにより、飲料水を容器に充填し
た後の加熱殺菌処理を不要とすることができる。
【0010】なお、充填される飲料水は無菌状態である
ことが必要とされ、従って、本発明の装置では、充填さ
れる飲料水を無菌化する手段を備えることが好ましい。
この無菌化手段としては、飲料水をMF膜分離処理して
除菌する手段と、その後紫外線を照射して殺菌する手段
との組み合わせが好適である。
【0011】 また、飲料水を充填する容器及び容器材
料、例えば、ビニールフィルムパックについても無菌状
態であることが必要とされることから、請求項1の装置
は充填容器材料及び/又は充填容器の接液面を殺菌する
紫外線照射手段を備える。また、請求項3の装置は、ビ
ニールフィルムを充填部に送り出すと共に、このビニー
ルフィルムの飲料水が充填される接液面を紫外線照射し
て殺菌処理する手段を有する。
【0012】即ち、ビニールフィルムパックの場合、通
常、フィルムは製造時にロール状に巻かれるが、完全無
菌の環境で製造されていないため、フィルム表面は無菌
状態ではない。一般的には、このフィルムロールを更に
ビニールフィルムに包み、パウチ化し、段ボール箱に入
れた状態でγ線照射して無菌化処理が行われる。しか
し、このようにして無菌化されたフィルムロールを充填
装置に充填する際は、人手で行うため、無菌環境が崩れ
る。これを再度無菌状態にするために、フィルムの接液
する表面を紫外線無菌灯で紫外線照射して滅菌を行うよ
うにすることが望ましい。
【0013】ところで、このような充填装置は、フィル
ムロールの交換、メンテナンス、夜間停止等の様々な理
由で運転が停止される。従って、このように飲料水の無
菌化処理及び容器や容器材料の殺菌を行っても、装置の
運転停止期間中に装置内部が微生物により汚染される恐
れがあり、これにより飲料水の無菌化手段から充填部に
到る配管機器類が一旦汚染されると無菌状態を維持し得
なくなる。従って、本発明の装置では、無菌化手段のM
F膜分離手段と、このMF膜分離手段から飲料水の充填
部に到るまでの配管を殺菌洗浄する手段を設け、装置の
再起動時に或いは定期的に、これらを自動的に殺菌洗浄
できるようにすることが好ましい。
【0014】この殺菌手段としては、装置の再起動時に
遊離塩素含有水で装置内を自動的に殺菌洗浄する手段
と、この殺菌洗浄或いは定期的に熱水を供給して装置内
を熱殺菌する手段との併用が好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の飲
料水の充填装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】図1は本発明の飲料水の充填装置の実施の
形態を示す系統図である。
【0017】この実施の形態では、図示されない製造プ
ロセスで製造された飲料水は、貯留槽1からポンプP
によりMF除菌膜装置2に移送され、飲料水中に含まれ
た菌体が除去される。このMF除菌膜装置2としては、
0.01〜0.5ミクロンの細孔径を有するMF膜を装
填したものを用いることができる。このMF除菌膜装置
2で除菌された飲料水は圧力調整槽3を経て紫外線殺菌
装置4に送られ、ここで更に滅菌された後、縦ピロー液
体充填装置5に送られる。
【0018】縦ピロー液体充填装置5内ではフィルムロ
ール6から一定長さのフィルム6Fが送り出され一定量
の飲料水が密封され製品化される。
【0019】このフィルムとしては、γ線又は電子線等
で滅菌されたビニールフィルム等が用いられ、このよう
なビニールフィルムのロール6を縦ピロー液体充填装置
5のハンガーに装填し、フィルム6Fを送り出すと共に
紫外線殺菌灯7でフィルム6Fの飲料水が充填される面
を更に殺菌処理することにより、より一層完全な無菌化
充填を行える。
【0020】この際、フィルム6Fは、紫外線殺菌灯7
により照射殺菌された後、充填部8にて袋状になり、こ
の袋状容器内に飲料水が充填される。この充填部8には
シールガス供給装置9から無菌窒素や殺菌性のある塩素
又はオゾンを含有するガス(空気)が加圧状態で供給さ
れ、充填部8を飲料水の出入りに係わらず装置の停止時
以外は常に陽圧状態に維持し、外部空気の混入を防止し
ている。なお、この縦ピロー液体充填装置5は、例えば
ヘパ又はウルパ型の空気清浄機を有する無菌ブース10
内に設置される。
【0021】この実施の形態では、液体充填装置5を常
に無菌状態に維持するために、装置の長期停止時、フィ
ルムロール交換充填時、及び充填部8のメンテナンス時
には、塩素水貯槽11からポンプPにより圧力調整槽
3を経て塩素水を供給し、MF除菌膜装置2と液体充填
装置5を、自動弁V,Vを自動的に一定のシーケン
スに基づき作動させることにより滅菌洗浄する。なお、
塩素水貯槽11から圧力調整槽3を経てMF除菌膜装置
2に逆流された塩素水は、この膜装置2の原水側から自
動弁Vを経て系外へ排出される。一方、紫外線殺菌装
置4及び充填装置5の充填部8に送給された塩素水は、
ビニールフィルムパック化されて系外へ排出される。ま
た、熱水殺菌装置12と縦ピロー液体充填装置5の充填
部8の配管とMF膜除菌装置2の入り口とを配管接続
し、熱水殺菌装置12からポンプP により、系内に8
0〜90℃の熱水を30分以上循環させることにより、
塩素水では十分な殺菌効果が得られないMF除菌膜装置
2や配管継ぎ手のパッキン部等の滅菌を行う。このよう
にMF除菌膜装置2と、この装置以降の配管類を滅菌洗
浄する手段を設けることにより、装置の稼動、停止に係
らず、装置内を無菌状態に維持することが可能となる。
【0022】このような飲料水の充填装置であれば、飲
料水の完全無菌充填が可能となる。
【0023】なお、図1に示す飲料水の充填装置は本発
明の実施の形態の一例であって、本発明はその要旨を超
えない限り、何ら図示のものに限定されるものではな
い。
【0024】例えば、図1では、縦ピロー型の液体充填
装置で飲料水をビニールフィルムパックに充填して製品
とする装置に本発明を適用しているが、本発明の飲料水
の充填装置は、これに限らず、飲料水をペットボトル、
ガラス瓶、缶、BIB、紙、アルミフィルム等の容器に
充填する装置にも有効に適用可能である。ただし、完全
無菌化が困難な縦ピロー液体充填装置に適用した場合に
は工業的価値が著しく高められる。
【0025】また、図1の装置では、充填する飲料水を
無菌状態とするために、MF除菌膜装置と紫外線殺菌装
置とを組み合わせて用いているが、飲料水の無菌化手段
は、これに限らず、加熱殺菌装置、電子線殺菌装置、高
エネルギー−光パルス殺菌装置等の1種又は2種以上の
組み合わせでも良い。
【0026】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の飲料水の充
填装置によれば、非加熱にて飲料水の完全無菌充填を行
うことができ、 非加熱完全無菌状態であるため、賞味期限の長い製
品を作ることができる。 非加熱で完全無菌化できるため、パック後の熱殺菌
処理が不要となることから、ビニールフィルムパックの
場合、パック材料のビニールフィルムの耐熱性は低くて
良く、安価なフィルムを使用できる。といった優れた効
果が奏される。
【0027】特に、ビニールフィルムパックに本発明の
飲料水の充填装置を適用した場合には、 ペットボトル、ガラス瓶又は缶に比較して取り扱い
が容易で軽量で安価な包装容器で製品化できる。 ペット、瓶、又は缶等の包装容器を使用した充填設
備に比較して構造が簡単でコンパクトな設備となるた
め、設置スペースや設備費が安価となり、製品も安価と
なる。といった効果が奏され、工業的に極めて有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の飲料水の充填装置の実施の形態を示す
系統図である。
【符号の説明】
1 貯留槽 2 MF除菌膜装置 3 圧力調整槽 4 紫外線殺菌装置 5 縦ピロー液体充填装置 6 フィルムロール 6F フィルム 7 紫外線殺菌灯 8 充填部 9 シールガス供給装置 10 無菌ブース 11 塩素水貯槽 12 熱水殺菌装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 2/00 A23L 3/00 - 3/26 C02F 1/32 - 1/44 B65B 55/00 - 55/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 飲料水を無菌充填する装置において、 充填部を陽圧雰囲気にして外部空気の混入を防止する手
    と、 該飲料水の充填容器材料及び/又は充填容器の接液面を
    殺菌する紫外線照射手段と を有することを特徴とする飲
    料水の充填装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記外部空気の混入
    を防止する手段が、前記充填部へ殺菌性のあるガスを供
    給する手段であることを特徴とする飲料水の充填装置。
  3. 【請求項3】 飲料水をビニールフィルムパックに無菌
    充填する装置において、充填部を陽圧雰囲気にして外部空気の混入を防止する手
    段と、 ビニールフィルムを該充填部に送り出すと共に該ビニー
    ルフィルムの飲料水が充填される接液面を紫外線照射し
    て殺菌処理する手段とを有す ることを特徴とする飲料水
    の充填装置。
  4. 【請求項4】 請求項において、前記外部空気の混入
    を防止する手段が、前記充填部へ殺菌性のあるガスを供
    給する手段であることを特徴とする飲料水の充填装置。
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