JP3500428B2 - アンテナ指向性制御装置 - Google Patents

アンテナ指向性制御装置

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JP3500428B2
JP3500428B2 JP2001258835A JP2001258835A JP3500428B2 JP 3500428 B2 JP3500428 B2 JP 3500428B2 JP 2001258835 A JP2001258835 A JP 2001258835A JP 2001258835 A JP2001258835 A JP 2001258835A JP 3500428 B2 JP3500428 B2 JP 3500428B2
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wave
waves
angular spread
directivity control
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宏之 辻
博世 小川
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独立行政法人通信総合研究所
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  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)
  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)
  • Radio Transmission System (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マルチパス環境
下で最も品質のよい到来波にアレイ・アンテナ・ビーム
を指向制御する場合の通信品質の評価手法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、陸上移動通信では周辺の建物や地
形での反射、散乱、回折により多重伝搬(マルチパス)
が生じ、該多重伝搬環境下において、基地局にはいくつ
かの遅延波や反射波が到来し、多重波による干渉により
信号が劣化する。特に、高ビットレートの高速通信の場
合には干渉による影響が大きくなるので、これに対する
対策が重要である。
【0003】代表的なものとして、受信される信号波形
に関する情報を事前情報として用意するものである。M
MSE(Minimum Mean Square Error )は参照信号とア
レー合成出力の誤差を最小にするものであるが、受信信
号と参照信号のシンボルを同期させる等の作業が高い伝
送速度では負担となる。また、CMA(Constant Modul
us Algorithm)は、受信信号が定包絡線であることを条
件とするので、適用できる変調方式が限られてしまう。
さらに、これらの手法には、送信時の周波数と受信時の
周波数が異なる場合、受信時に導出した各素子の重み係
数をそのまま送信時に用いることができないという欠点
がある。
【0004】2つ目は、事前情報として到来方向(以
下、DOAという。)を用いるビーム形成法である。フ
ェーズドアレーや拘束条件としてアレーの出力電力を最
小化するDCMP(Directionally Constrained Minimi
zation of Power )、LCMV(Linearly Constant Mi
nimum Variance)がそれに当たる。事前情報はDOAの
みであるため、受信信号の波形に依存せず、多くの変調
方式に適用可能であり、さらにシンボル同期処理の必要
もないので高い伝送速度には有効である。送受信時の周
波数が異なる通信でも適用できる。ただし、ビーム形成
前に前情報として必要な信号のDOAは、MUSIC
(Multiple Signal Classification)、ESPRIT
(Estimation of Signal Parameters via Rotational I
nvariance Techniques)等のDOA推定技術を用いる必
要がある。
【0005】DOAに基づいたビーム形成法の場合、マ
ルチパスの多重波環境下において、どの到来波にビーム
を形成するか、すなわちアレーアンテナのビーム指向性
をどの到来波に向けたらよいかが問題となる。
【0006】通常受信電力が大きい到来波ほど、高SN
比が期待できるため、受信電力最大の到来波にビーム形
成するのが一般的である。例えば、図2においては、端
末9から基地局アンテナ8に到達する直接波11が反射
波12より受信電力が大きいので、直接波11にビーム
を向ければよい。しかし、例えば図1に示す如く、端末
2がビル陰に入っていて上記直接波がなく、反射波4,
5あるいは建物3等の回折波が多重受信されている場
合、これらの受信電力がほぼ同じであれば、ビームを受
信波4,5等のいずれに向けたら受信品質が最大かが不
明である。上記受信品質を判定するのにBER(ビット
エラー レイト)をそれぞれの到来波について測定す
れば、受信品質は評価できる。
【0007】しかし、例えば携帯電話の基地局を想定す
ると、上記基地局1には複数の端末2から常時時分割で
受信信号があり、上記ビーム形成は各端末との送受信の
タイムスロット毎に切り替える必要があるが、このよう
な状況では上記BERを測定する時間的余裕はないの
で、BER計測によりビームを形成する方法は事実上不
可能である。すなわち、リアルタイムの制御はできな
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、マルチパ
スの多重波受信環境下で、高品質の到来波にリアルタイ
ムでビームを形成するための有効な方法及び装置を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本願発明の移動無線基地局アレーアンテナのビーム
形成方法または装置は、マルチパスによる多重波伝搬環
境において、各到来波の角度広がりを計測し、最も角度
広がりの小さい到来波にビームを形成し、他の到来波を
抑圧することを特徴とする。
【0010】さらに、前記基地局が携帯電話の基地局で
あって、前記ビーム形成を基地局が各移動端末と接続す
るタイムスロット毎にリアルタイムで切り替えることを
特徴とする。
【0011】また、前記到来波の角度広がりを示すパラ
メータが、散乱波が散乱点を中心とする散乱円円周上の
散乱点から生じるものと想定した場合の散乱波の入射角
の分布とその強度分布から定まるパラメータであって、
最尤推定、最小2乗法によって求めることを特徴とす
る。なお、上記「分布」とは、統計で扱う分布ではな
く、多くの散乱波がアレーアンテナに入射する場合、中
心から広がりを持った角度で入射するという意味であ
り、その強度も乱数であり、多くの散乱波が入射した場
合の積算された結果がそのパラメータの値となる。
【0012】
【発明の実施の形態】本願発明をより詳細に説明するた
めに、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、本文
中において文字の表記を以下の表1の通り置換えて表記
する。
【0013】
【表1】
【0014】前述の如く、DOAに基づいたビーム形成
法の場合、マルチパスの多重波環境下において、どの到
来波にビームを形成するか、すなわちアレーアンテナの
ビーム指向性をどの到来波に向けたらよいかが問題とな
る。直接波が存在しない受信環境下でも、通常受信電力
が大きい到来波ほど高SN比が期待できるため、受信電
力最大の到来波にビーム形成するのが一般的である。し
かし、各到来波がビーム幅の範囲内で角度広がりを持っ
ている場合、角度広がりのために生じる信号波形の劣化
によるビット誤り率(BER)の増加は必ずしも受信電
力のみの評価では推定できない。
【0015】例えば、図1において基地局1に受信され
る到来波5には建物による散乱6を受け、散乱波の各成
分は、反射位置により必ずしも同相ではなくある角度広
がりを持ったものとなる。また、ある場合は、基地局の
反射波の同一ビーム方向に建物3の回折波が重畳されて
いることもある。この場合は、到来方向の受信電力は大
きいが、2波重畳されており信号品質は非常に悪い。い
ずれにしても、角度広がりは到来波の時間差となり、こ
の角度広がりが大きければ大きいほど到来波の時間差が
大きくなるので符号間干渉が大きくなる。また、高速デ
ータ伝送であればあるほどビットの間隔は小さくなるの
でこの影響が大きくなり、BERを劣化させることにな
る。
【0016】そこで、この発明では角度広がりが小さい
ほど信号波形の劣化の原因となる遅延成分が小さいと仮
定し、角度広がりが最小で波形劣化が最も少ないと推定
される到来波にビーム方向を向け、該到来波のみを選択
して受信する方法を提案するものである。
【0017】図1に示すように、市街地における高い伝
送速度の見通し外通信を想定する。基地局アンテナは建
物の屋上に設置し、基地局への到来波は周辺散乱(Loca
l Scattering)等の影響により、それぞれ角度広がりを
持っているものとする。
【0018】角度広がりを持った到来波の様々な伝搬モ
デルが提案されており、その一例が図2に示される。図
2は、基地局周辺での散乱のための角度広がりを持った
直接波、端末から離れた地点にある反射物周辺での散乱
(Distant Scattering)のための角度広がりを持った散
乱波の到来するモデルである。なお、本願発明は直接波
は存在せず、すべて反射波のみを想定しており、基地局
周辺での散乱は基地局アンテナ高が高いので影響は少な
いとしている。なお、直接波が存在する受信環境におい
ても、直接波は散乱波を有せず角度広がりも最も小さい
ものとなるので、この発明は直接波が存在する受信環境
にも適用可能である。
【0019】以下、この発明の手法を説明する。図3に
反射物周辺での散乱を散乱円20を用いてモデル化す
る。図3において、到来波の中心に主波21が発生する
波源を設定し、この波源を中心とした半径ri の円周上
に(Ni −1)個の波源を一様に分布させる。すなわ
ち、合計Ni波の散乱波を発生させたことになる。基地
局における各散乱波のDOAをそれぞれθi +〜θi ,
k (k=1,…,Ni )、各散乱波の複素振幅をβi ,
k 、散乱円中心の主波の信号をsi (t) 、θ方向のアレ
ー応答ベクトルをa(θ)、散乱波中心を基準とした散
乱波の遅延時間差τi ,k とすると、基地局アレーアン
テナの入射信号yi (t) は、Ni 波の散乱波の和になる
ので、
【0020】
【数1】
【0021】と表せる。なお、n(t) は各アレー素子の
観測雑音である。基地局に角度広がりを持ったd波の多
重波が到来する場合を図4に示す。到来波iの伝搬遅延
時間をτi とすると、基地局のアレーアンテナの入射信
号は、yi (t) 、…、yd (t) の和になるので、
【0022】
【数2】
【0023】となる。式(2)の右辺の1項目は雑音を
含まない項なので、これをx(t) とおくと、
【0024】
【数3】
【0025】となる。τi ,k が十分小さいとき、搬送
周波数をfc とおくと、
【0026】
【数4】
【0027】と近似される。ここで新たに散乱波の複素
振幅を 外1 、si (t)=s(t−
【0028】
【外1】
【0029】τi )とおくと、
【0030】
【数5】
【0031】となる。式(5)を一次のテーラー展開で
近似すると、
【0032】
【数6】
【0033】
【数7】
【0034】となる。ただし、d(θ)=∂a(θ)/
∂θ、
【0035】
【数8】
【0036】である。さらに、〜si (t) =γi si
(t) 、ρi =φi /γi とおくと、
【0037】
【数9】
【0038】となる。|ρi |は到来波iの角度広がり
の度合いを表し、角度広がりが0に近づけば|ρi |は
0に近づき、角度広がりが大きければ|ρi |も大きく
なる。従って、|ρi |は角度広がりを示すパラメータ
と考えられる。
【0039】以下、この発明では、角度広がりが小さい
到来波ほど信号劣化となる遅延成分が少ないと考え、上
記ρi が最小の到来波をビーム形成により空間的に他の
到来波と分離し、基地局での受信品質を改善する方法を
提案する。その手順は以下の通りである。 (1)MUSIC,ESPRIT等のアルゴリズムを用
いて多重波の到来方向を推定する。(推定結果;^θ1
、…、^θd ) (2)^θ1 、…、^θd から到来する信号の角度広が
りパラメータを推定する。(推定結果;^ρ1 、…、
ρd ) (3)推定結果より|^ρi |の最小値|^ρi min |
を探す。 (4)LCMV法を用いたアレービームの形成により、
角度広がりが最小の^θmin 方向にビーム形成し、角度
広がりの大きい信号が到来する^θi 方向にヌル形成す
る。
【0040】従来、このρi の推定法として、MUSI
C,NSF(Noise Subspace Fitting )を用いたもの
が提案されている。しかし、これらの手法は、固有値分
解が必要で演算が複雑となり、高い伝送速度には向かな
い。
【0041】この発明においては、演算の高速化のため
ρi の推定に以下の最尤推定、最小2乗法を用いた推定
法を提案している。この手法によれば、逆行列演算でお
こない固有値分解は用いないので、演算の高速化が達成
できる。その手法は、以下のとおりである。 1.^ρi の初期値として^ρi =0を与える。 2.^ρi を用いて〜si (t) を最尤推定する。(推定
結果:^〜s1 (t) 、−、^〜sd (t) ) 3.^〜si (t) を用いて^ρi を最小2乗法により推
定する。 4.^ρi が収束するまで、上記2,3を繰り返す。 以下、N素子直線アレーアンテナにおける送信信号〜s
i (t) の最尤推定法、最小2乗法を用いたρi の推定法
について説明する。
【0042】これらの詳細な計算式は以下のとおりであ
る。最尤推定法により、送信信号〜s(t) を推定する。
【0043】
【数10】
【0044】と定義すると、式(10)は、
【0045】
【数11】
【0046】と表せる。時刻tにおける送信信号の最尤
推定値^〜s(t) は、以下のようになる。
【0047】
【数12】
【0048】式(9)は、
【0049】
【数13】
【0050】
【数14】
【0051】とおくと、x(t) の推定値^x(t) は、
【0052】
【数15】
【0053】
【数16】
【0054】と表せる。ここで、eは要素のすべて1の
d行の列ベクトルである。^x(t) とアレー受信信号y
(t) の2乗誤差の期待値は、
【0055】
【数17】
【0056】となる。これを評価関数として最小2乗法
によりρi を推定する。式(17)に代入すると、
【0057】
【数18】
【0058】となる。ここで、
【0059】
【数19】
【0060】である。Jはρの2次式なので、∂J/∂
ρ=0を満たすρが評価関数を最小化する∂J/∂ρ=
0を代入すると、
【0061】
【数20】
【0062】となる。ここで
【0063】
【数21】
【0064】Bは要素すべてが1のN×N行列であり、
外2 は行列の要素同士の掛け算を
【0065】
【外2】
【0066】表す演算子である。Rは^〜s1 (t) 、…
^〜sd ( t ) の相関行列である。式(20)より、ρ
の推定値^ρが以下のように求まる。
【0067】
【数22】
【0068】次に、ビーム形成方法の一例を説明する。
^ρi を比較することにより得られたDOAである^θ
min にビームを形成し、残りのDOAである^θi は干
渉波として抑圧する。到来方向の応答を拘束条件とし
て、ビーム形成、ヌル形成が可能なLCMV法を用い
る。なお、LCMV法は公知である。(「適応フィルタ
理論」参照。Haykin著、科学技術出版、2001年1月
10日発行。))以下に重み係数の導出式を示す。
【0069】
【数23】
【0070】なお、
【0071】
【数24】
【0072】は、アレー入力信号の相関行列、c,f
は、それぞれ拘束条件を与える方向を表す行列、その方
向の応答を表すベクトルである。^θにビーム形成する
ので、拘束条件として
【0073】
【数25】
【0074】には、ヌルを形成するので、
【0075】
【数26】
【0076】を与える。従って、
【0077】
【数27】
【0078】を代入する。最後に、以上の本願発明の手
法によるビーム形成の有効性をシミュレーションによっ
て示す。
【0079】すなわち、角度広がりのパラメータとして
|ρi |を用い、該|ρi |が通話品質を示すものと想
定しているが、前述のようにこのパラメータ|ρi |
は、図3の如く、到来波の中心に主波21が発生する波
源を設定し、この波源を中心とした半径ri の円周上に
(Ni −1)個の波源を一様に分布させた、すなわち、
合計Ni 波の散乱波を発生させたモデルに基づくもので
ある。実際の散乱波はこのようにきれいな散乱をするも
のではないので、これを実際の散乱波に用いた場合、果
たしてこのパラメータ|ρi |の大小が通話品質と相関
があるかどうかを検証しておく必要がある。なお、受信
信号の信号品質はBERで評価する。この時のシミュレ
ーション諸元を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】散乱波k(k≠1)の複素振幅αi,k は、
振幅bi,k 、位相δi,k とおくと、外3 とする。DO
Aは既知として、^θi =θi (i=1,…,d)とす
【0082】
【外3】
【0083】。y(t) は、定常信号なので、式(22)
の期待値には有限個のサンプルの平均値を用いる。最初
に到来波の広がりと|ρi |(真値)と|^ρi |(推
定値)、受信時のBERの関係を調べる。
【0084】端末から送信された100bitのデータ
を基地局で受信する動作を100回施行した場合のri
に対する平均値|ρi |、平均|^ρi |、平均値BE
Rをシミュレーションにより求めた。その結果を図5,
図6に示す。図5,図6より、散乱波半径ri を大きく
すると、|ρi |も大きくなり、BERも劣化してい
る。すなわち、散乱波の半径ri が大きくなると通信品
質が劣化し、該劣化は|ρi |をモニターすることによ
り評価できることが理解できる。 (イ)シミュレーションの例(2波入射の場合) 2波到来の場合について、シミュレーションを行ったも
のの結果を図7〜図9に示す。到来波1,2はθ1 =−
30°、θ2 =30°から到来し、到来波1の散乱円半
径をr1 を0m から1.5m に変化させ、到来波2の散
乱円半径をr2を0.5m に固定する。到来波遅延時間
差はシンボル周期をTs とすると、r2−r1 =0.5
Ts とする。この発明の手法によりLCMV法を用いて
形成した指向性パターンを図9に示す。図7,図8によ
り、到来波1については1波の場合と同様、散乱半径r
1 を増加させると、| ρi|、| ^ρi|、BERは増加し
ている。到来波2は散乱半径ri =0.5mで固定され
ているので|ρi |、|^ρi |、BERの変化は少な
い。
【0085】注目する点は、ri =0.5mで散乱波の
半径r1 、r2 の大小関係が入れ替わるので、|ρi |
の大小関係、BERの大小関係も入れ替わっている点で
ある。すなわち、|ρi |の小さい到来波方向にビーム
を形成すれば、より小さいBERの受信をすることがで
きることが分かる。図9は、到来波1方向にビーム形成
し、到来波2方向にビームがヌルとなり、到来波2が抑
圧されている例を示す。図8により、r1 =1.0mの
θ1 方向にビーム形成した場合と無指向性アンテナ単体
の場合の結果が示されており、ビーム形成した方がBE
Rが改善されていることが分かる。 (ロ)シミュレーションの例(3波入射の場合) 3波到来の場合について、同様にシミュレーションを行
ったものの結果を図10〜図11に示す。到来波1,
2,3はθ1 =0°、θ2 =−30°、θ3 =30°か
ら到来し、到来波1の散乱円半径をr1 を0mから1.
5mに変化させ、到来波2,3の散乱円半径をr2 =
0.5m、r3 =1.5mに固定する。到来波遅延時間
差はシンボル周期をTs とすると、r2 −r1 =r3 −
r1 =0.5Ts とする。この発明の手法によりLCM
V法を用いて形成した指向性パターンを図10,図11
に示す。
【0086】図10,図11により、2波の場合と同
様、3波でも|ρi |が小さい到来波方向にビーム形成
すればBERが改善できることが分かる。なお、この発
明のビーム形成方法を携帯電話の基地局に応用する場
合、タイムスロット毎に各携帯電話向けにビームの方向
を制御する必要がある。この発明のビーム形成方法は従
来より高速処理が可能にはなったが、短時間のタイムス
ロット毎にビーム形成の計算をすることは難しい。
【0087】しかし、自動車等で急速に移動している環
境下は別として、通常の携帯電話の通話状況は殆ど移動
していない状態なので複数のタイムスロット間に到来方
向の変化がない状態となる。この場合、実質的に到来方
向は既知と扱えるので、各タイムスロットの最初のトレ
ーニング信号を用いることにより本発明の手法を用いた
リアルタイムでのビーム形成が可能である。
【0088】
【発明の効果】以上述べたように、本願発明のビーム形
成方法によれば、マルチパスの多重波受信環境下で、高
品質の到来波にリアルタイムでビームを形成することが
できるという顕著な効果を奏する。
【0089】このことにより、直接波が存在しないよう
なマルチパスによる受信状態においても、どの到来波に
ビームを合わせたら最も通信品質がよいが瞬時に制御で
き、さらに、このことにより通信の信頼性や通信可能地
域の拡大、あるいは通信容量の増大といった通信の基本
的な効果にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】角度広がりをもった多重波環境の模式図であ
る。
【図2】図1の伝搬モデルを示す図である。
【図3】本発明に用いる散乱波モデルを示す図である。
【図4】多重波の場合の散乱波モデルを示す図である。
【図5】散乱円の半径を変えたときの角度広がりのパラ
メータの変化を示す図である。
【図6】散乱円の半径を変えたときのBERの変化を示
す図である。
【図7】2波到来時の本願発明のビーム形成法を用いた
場合の角度広がりのパラメータの変化のシミュレーショ
ン計算結果を示す図である。
【図8】2波到来時の本願発明のビーム形成法を用いた
場合のBERの変化のシミュレーション計算結果を示す
図である。
【図9】2波到来時の本願発明のビーム形成法を用いた
場合の指向性特性の例を示す図である。
【図10】3波到来時の本願発明のビーム形成法を用い
た場合の角度広がりのパラメータの変化のシミュレーシ
ョン計算結果を示す図である。
【図11】3波到来時の本願発明のビーム形成法を用い
た場合のBERの変化のシミュレーション計算結果を示
す図である。
【符号の説明】
1 基地局 2 端末 3 建物 4,5 到来波 6,7 散乱点 11 直接波 12 反射波 21 散乱点 22 散乱円
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 特許法第30条第1項適用申請有り 電子情報通信学会技 術研究報告,信学技報Vol.100,No.659,AP 2000−201〜221,pp85〜90に発表 特許法第30条第1項適用申請有り 電子情報通信学会技 術研究報告,信学技報Vol.100,No.662,RCS 2000−201〜221,pp85〜90に発表 特許法第30条第1項適用申請有り 電子情報通信学会技 術研究報告,信学技報Vol.100,No.665,MW 2000−192〜212,pp85〜90に発表 (56)参考文献 特開 平5−41607(JP,A) 特開2002−16534(JP,A) 特開 平11−298388(JP,A) 特開 平1−202036(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 7/24 - 7/26 H04Q 7/00 - 7/38

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マルチパスによる多重波伝搬環境におい
    て、各到来波の角度広がりを計測し、最も角度広がりの
    小さい到来波にビームを形成し、他の到来波を抑圧する
    ことを特徴とする移動無線基地局アレーアンテナの指向
    性制御装置。
  2. 【請求項2】前記基地局が携帯電話の基地局であって、
    前記ビーム形成を基地局が各移動端末と接続するタイム
    スロット毎にリアルタイムで切り替えることを特徴とす
    る前記請求項1記載の移動無線基地局アレーアンテナの
    指向性制御装置。
  3. 【請求項3】前記到来波の角度広がりを示すパラメータ
    が、散乱波が散乱点を中心とする散乱円円周上の散乱点
    から生じるものと想定した場合の散乱波の入射角の分布
    とその強度分布から定まるパラメータであって、最尤推
    定、最小2乗法によって求めることを特徴とする前記請
    求項1または2記載の移動無線基地局アレーアンテナの
    指向性制御装置。
  4. 【請求項4】マルチパスによる多重波伝搬環境におい
    て、各到来波の角度広がりを計測し、最も角度広がりの
    小さい到来波にビームを形成し、他の到来波を抑圧する
    ことを特徴とする移動無線基地局アレーアンテナの指向
    性制御方法。
  5. 【請求項5】前記基地局が携帯電話の基地局であって、
    前記ビーム形成を基地局が各移動端末と接続するタイム
    スロット毎にリアルタイムで切り替えることを特徴とす
    る前記請求項1記載の移動無線基地局アレーアンテナの
    指向性制御方法。
  6. 【請求項6】前記到来波の角度広がりを示すパラメータ
    が、散乱波が散乱点を中心とする散乱円円周上の散乱点
    から生じるものと想定した場合の、散乱波の入射角の分
    布とその強度分布から定まるパラメータであって、最尤
    推定、最小2乗法によって求めることを特徴とする前記
    請求項4または5記載の移動無線基地局アレーアンテナ
    の指向性制御方法。
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