JP3498316B2 - ディジィタルハイブリダイゼーションスクリーニング - Google Patents

ディジィタルハイブリダイゼーションスクリーニング

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信義 清水
修一 浅川
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    • C12Q1/6874Methods for sequencing involving nucleic acid arrays, e.g. sequencing by hybridisation
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
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    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor

Description

【発明の詳細な説明】
技術分野 本発明は、大量の検体を効率的にスクリーニングする
方法に関する。詳細には、A群の検体とB群の検体が、
物質間の相互作用を持つときに、その対応関係を効率的
に見出すための方法に関する。例えば本発明の方法は、
特にゲノム構造解析等に有用である。 背景技術 現在のゲノム構造解析研究は、様々な手法でゲノムの
地図を作成しがなら断片化された多数のゲノムDNAの位
置決め(整列化)を行い染色体DNAの構造を再構築する
「ゲノムマッピング」と、整列化されたDNA断片の塩基
配列を決定してゲノムの塩基配列を解明する「シークエ
ンシング」とに分けることができる。本発明は特にゲノ
ムマッピングに有用である。 従来、A群の検体とB群の検体が、物質間の相互作用
を持つときに、その対応関係を見出すには、A群の中か
ら1つずつ検体を順に取り出し、それぞれに対してB群
の検体それぞれが対応するかどうかを検定しなければな
らなかった。従って、A群がm個の検体、B群がn個の
検体より成る場合、(m個)×(n個)回のスクリーニ
ングが必要であった。 このような従来のスクリーニング法の具体的な例とし
ては、例えば、STS(Sequence Tagged Site)マーカー
(A群)をBAC(Bacterial Artificial Chromosome)ク
ローン(B群)に対応づける方法を挙げることができ
る。STSはヒトゲノムに系統的に目印をつけるための概
念である(Olson M.et al.,Science 245:1434−1435,19
89)。STSは200−300bp程度の短い塩基配列で、同じ配
列がゲノムのほかの場所には見つからないものである。
複数のクローンに同じSTSが含まれていれば、それらの
クローンは重複した領域を持つことがわかる。STSに対
して設計されたプライマーを使い、ゲノムDNAを鋳型と
してPCRを行えばSTSに対応した長さの増幅生成物が単一
のバンドとして確認できる(S.B.Primrose,“Principle
s of Genome Analysis"Blackwell Science Ltd.199
5)。STSマーカー(A群)とBACクローン(B群)の組
み合わせにおいては、STSマーカー1つ1つとBACクロー
ンとをそれぞれPCRスクリーニングあるいはハイブリダ
イゼーションスクリーニングによって、STSマーカーに
対応するBACクローンを見出す方法が取られていた。 STSを使って物理地図を作成する方法は、多くの研究
者によって限られた範囲で利用されている。30のYACク
ローンでカバーされた7番染色体の嚢胞性線維症の病因
遺伝子領域が1.5Mb以上の長さを持つ1の整列化クロー
ンに統合された(Green&Olson,Science 250,94−98,19
90)。FooteらはヒトY染色体のユークロマチン領域の9
8%以上をカバーする196のクローンを整列させた(Foot
e et al.,Science 258,60−66,1992)。物理地図と遺伝
地図の両方を整合させた21番染色体長腕のYAC−STS整合
地図も作成されている(Chumakov et al.,Nature 359,3
80−387,1992)。 一方、現在ではBACライブラリーやPAC(P1−derived
artificial chromosome)ラルブラリーをSTSマーカープ
ローブと組み合わせれば、ヒトゲノムの大部分をカバー
することも可能である。ところが、このような規模の大
きなライブラリーに対して多数のSTSの対応を見出すた
めの効率的な方法は知られていない。 従来のこれらの方法では、A群の検体数およびB群の
検体数が増すと、その対応を見出すためのスクリーニン
グの回数が幾何級数的に増大するので、膨大な時間と労
力を必要とするという問題があった。 例えばゲノムマップの作成等においては、一般的にDN
Aライブラリーのスクリーニングにはフィルターハイブ
リダイゼーションの何回もの繰り返し、あるいは特有の
ライブラリーに対する一連のPCR分析(Asakawa et al.,
Gene 191:69−79,1997)を必要とする。したがってヒト
ゲノム全体をカバーするライブラリー配列を決定するた
めには膨大な組み合わせについてスクリーニングを実施
しなければならない。 ところでゲノム解析においては、DNAチップの利用に
より迅速なスクリーニングが可能となるのではないかと
期待されている。DNAチップ上には任意の塩基配列を持
つオリゴヌクレオチドを高密度に集積できることから、
1回のハイブリダイゼーションによって多数の組み合わ
せについてハイブリダイゼーションアッセイを実施する
ことができる。実際にDNAチップを利用して256種のSTS
マーカーを酵母コスミドクローンに対してマッピングし
た報告も有る(Sapolsky R.J.et al.,Genomics 33,445
−456,1996)。しかしながら従来のアプローチにしたが
えば、DNAチップを利用したとしても想定される全ての
組み合わせについて対応関係を確認しなければならない
ことにかわりは無い。つまり、多数の組み合わせについ
て効率的に対応関係を見出すことができる新たな原理を
与えるものではない。 発明の開示 本発明者らは、混合した検体を利用することによっ
て、検体間の相互作用の検出作業を軽減することができ
るのではないかと考えた。当然のことながら、無秩序に
混合したのでは最終的に検体間の相互作用に基づいた対
応関係を明らかにすることはできない。本発明者らは、
2進法に基づいてA群の検体を規則的に混合し、この混
合物を用いてB群の検体との間で相互作用を確認するこ
とで、従来の方法よりもはるかに効率的に両者の関係を
確認することができることを見出し本発明を完成した。 本発明は、A群に属する検体(Ai)が、B群に属する
検体と(Bj)と物質間の相互作用に基づく対応関係にあ
るときに、次の方法によりその対応関係を効率的に見い
出そうとするものである。すなわち本発明は、以下の方
法に関する。 〔1〕以下の工程を含む、A群とB群の各群を構成する
検体の中から検体間で、物理的、化学的または生物的な
対応関係を有する組み合わせを決定する方法。 (1)m個(2n-1≦m≦2n−1、mとnは、m≧3、
n≧2の自然数)のA群の検体Ai(3≦i≦m)、およ
びx個(xは自然数)のB群の検体Bj(1≦j≦x)を
用意し、 (2)A群の検体Aiそれぞれをg桁(n≦g)の2進
法によって番号付けし、 (3)2進法で表した番号の1桁目が1であるA群の
検体Aiを混合して混合物C1とし、同様にしてk桁目(1
≦k≦g)が1であるA群の検体Aiを混合して混合物Ck
とし、混合物C1から混合物Cgのg種類からなる混合物を
得、 (4)g種類の混合物C1からCgのそれぞれについて、
B群の検体Bjとの検体間の相互作用を検出し、 (5)混合物C1からCgを構成する各混合物について、
B群の検体Bjと相互作用が検出された場合に1を、検出
されなかった場合に0を与えることによって、k桁目を
1または0とするg桁の2進数を決定し、 (6)(5)で得た2進数に対応するA群の検体Aiを
照合することにより、A群の検体AjとB群の検体Bjの対
応関係を決定する。 〔2〕検体間の対応関係が、A群とB群の各群を構成す
る検体間における相互作用を伴う〔1〕の方法。 〔3〕A群の検体とB群の検体との、検体間の相互作用
に基づく対応関係が、1:1もしくは1:多である〔2〕の
方法。 〔4〕g=nである〔1〕の方法。 〔5〕A群検体に2n−1までの検体固有の番号を与える
〔4〕の方法。 〔6〕更に付加的に、A群の検体すべてを混合して得た
混合物Caと、B群の検体Bjとの相互作用を検出する工程
を含む〔1〕から〔5〕のいずれかの方法。 〔7〕1つのA群の検体に2シリーズ以上の番号付けを
行い、各シリーズについて〔1〕の方法を繰り返す工程
を含む、A群とB群の各群を構成する検体の中から検体
間で、物理的、化学的または生物的な対応関係を有する
組み合わせを決定する方法。 〔8〕A群の検体がオリゴヌクレオチドであり、B群の
検体がDNAである〔1〕から〔7〕のいずれかの方法。
〔9〕A群の検体としてSTSマーカーを、B群の検体と
してゲノムライブラリーを用い〔8〕の方法を実施する
ことを含むSTSマッピング方法。 本発明の原理は以下のとおりである。 (1)まずm個(2n-1≦m≦2n−1、mとnは、m≧
3、n≧2の自然数)のA群の検体Ai(3≦i≦m)、
およびx個(xは自然数)のB群の検体Bj(1≦j≦
x)を用意し、 (2)A群の検体Aiそれぞれに2進法によって番号付け
する。 10進法に基づく番号を2進法に変換することによって
番号を付与すれば、たとえば表1(p、q、r、P、Q
およびRは0または1)に示したような規則性に基づい
て番号付けが行われる。各検体に固有の番号を与えると
すれば、2n−1の番号が必要であり、それを構成する桁
数はn桁である。以下、このときA群の各検体に与えら
れた番号をID番号と呼ぶこともある。 続いて以下の工程(3)によりA群の検体を混合した
混合物を作成する。 (3)2進法で表した番号の1桁目が1であるA群の検
体Aiを混合して混合物C1とし、同様にしてk桁目が1で
あるA群の検体Aiを混合して混合物Ck(1≦k≦n)と
し、混合物C1から混合物Cnのn種類からなる混合物を得
る。 このときの混合物の作成基準を表2として示した。表
2中、Cn−C1が混合物で、各混合物に対してA群の各検
体を加える場合に1を、加えない場合を0で示した。 得られた混合物を利用し、以下の工程(4)−(5)
を実施することによってA群の検体を特定することがで
きる2進数を決定する。 (4)n種類の混合物C1からCnのそれぞれについて、B
群の検体Bjとの検体間の相互作用を検出し、 (5)混合物C1からCnを構成する各混合物Ckについて、
B群の検体Bjと相互作用が検出された場合に1を、検出
されなかった場合に0を与えることによって、k桁目を
1または0とするn桁の2進数を決定する。 2進数の決定手順を表3にまとめた。表3は、B群を
構成する各検体について、混合物Cn−C1に対する検出結
果が、相互作用の有る場合を1、無い場合を0として示
したものである。この表に基づいて、B群のある特定の
検体に対応する各A群検体混合物Ckの相互作用の検出結
果としてk桁目の数値を得ることができる。 そして最終的に、以下の工程(6)により、B群のある
特定の検体に対応するA群の検体を特定することができ
る。 (6)(5)で得た2進数に対応するA群の検体Aiを照
合することにより、A群の検体AiとB群の検体Bjの対応
関係を決定する。 本発明において、A群とB群の各群を構成する検体間
における、物理的、化学的または生物的な対応関係と
は、両者が物理的、化学的、あるいは生物的な反応によ
り相互作用する関係を意味している。この反応は、特定
の検体間においてのみ検出することができる特異的な反
応であることが望ましい。またA群の検体とB群の検体
が相互作用を持つ対応関係にあることとは、A群の検体
とB群の検体が何らかの対応関係にあり、それが検体間
の相互作用を検出することによって見出すことが可能で
あることを意味する。検体間の相互作用には、たとえば
特異的な親和性に基づく結合反応を挙げることができ
る。結合反応としては、具体的には核酸のハイブリダイ
ゼーション、抗原−抗体反応、各種のリガンド−レセプ
ター間の反応、あるいは酵素−基質間の反応等を示すこ
とができる。 この他、単に物質間の結合のみならず、シグナルの伝
達を伴った機能的な組み合わせであることもできる。機
能的な組み合わせの例としては、転写調節領域への転写
制御因子の結合や、膜受容体へのアゴニスト化合物の結
合に伴って転写の開始やシグナル伝達がトリガーされる
反応等を示すことができる。なお本発明における両者の
対応関係は、1:1に限定されない。例えば図1で示した
ような、1:多の対応関係であることもできる。本発明に
おいては、好ましくは1群に属する検体とB群に属する
検体との対応関係が1:多もしくは1:1に近いものが望ま
しい。しかしながら、たとえば後に述べるような方法に
よれば、多:1の関係にある場合であっても本発明を利用
して対応関係を正確に見出すことは可能である。 本発明の方法は、A群に属する検体(Ai)と、B群に
属する検体(Bj)との間の相互作用を検出することが可
能であれば、どのような組み合わせであっても応用する
ことができる。ただし、A群の検体を混合して用いる必
要があることから、A群に属する検体の混合によってB
群の検体との相互作用が検出できなくなることは避けな
ければならない。本発明は、2つの群の間で対応関係を
見出す必要があるときに利用することができる。この対
応関係が物質間の相互作用に基づいて検出することがで
きればより好適である。具体的には、例えばゲノム分
析、ハイスループットスクリーニング、コンビナトリア
ルケミストリー等の検体の数が多いときに特に有用であ
る。 たとえば、A群としてオリゴヌクレオチドマーカー
(例えばSTSマーカー、VNTR、RFLP、マイクロサテライ
ト等のマーカー)を、そしてB群としてDNAライブラリ
ーのクローン(例えばBAC、PAC、P1、YAC、コスミド等
のゲノムライブラリーのクローン)を用いることができ
る。また、多数の転写調節因子やそのアナログを用いた
遺伝子へのバインディングアッセイ、蛋白質と結合蛋
白、抗原と抗体、酵母と基質等にも用いられる。さらに
cDNAやESTのゲノムへのマッピング等にも利用できる。
中でも膨大なスクリーニングが必要とされ、しかも本発
明における望ましい対応関係(すなわち1:1、あるいは
1:多)であることが期待できるゲノム分析への応用は、
本発明の有用な利用分野である。ゲノム分析に用いる場
合、特に本発明者等は、本発明の方法を「ディジィタル
ハイブリダイゼーションスクリーニング」と名付けた。 本発明によれば、A群の検体の数mが3以上であれ
ば、検体のすべての組み合わせについて相互作用を確認
する場合に比べてスクリーニングの数を減らすことがで
きる。例えばmが3であればスクリーニング回数nは2
となり、mが7であればスクリーニングの回数nは3、
mが123であればスクリーニング回数nを7とすること
ができる。ここでmとnは、2n-1≦m≦2n−1、mとn
は、m≧3、n≧2の自然数である。つまり本発明によ
れば、相互作用の確認を7回行えば、123の検体のそれ
ぞれについて相互作用の確認を行うときと同じ結果を得
ることできる。A群の検体が多ければ多いほど、本発明
による効率化の程度も大きくなる。 なおB群を構成する検体が必ずA群の検体のいずれか
と対応付け可能なことが予め保証されている場合には、
理論的には、前記mとnの関係に例外的な関係が生じ
る。このような対応関係においては、オールネガティブ
(たとえば00000000)を対応付けすることができる。し
たがってmとnは、2n-1+1≦m≦2n、mとnは、m≧
3、n≧2の自然数である。 しかしながら、A群の検体数があまりに大きいと、対
応関係の検出感度が低下する場合がある。感度の低下
は、A群の検体を適当な数に分割したうえで本発明の方
法を実施することにより解決することができる。またA
群の検体数の増大にともなって、対応関係が多:1となる
可能性が増す場合がある。多:1の対応関係の増加は、正
しい対応関係の検出を妨げる恐れがある。対応関係が
多:1である可能性が大きい場合とは、例えばA群の検体
に距離が非常に近接していると予想されるDNAマーカー
を用い、これに対してB群の検体がBACクローン等のDNA
ライブラリーであるような場合が想定される。このよう
な場合には、まずA群を構成しているDNAマーカーをひ
とまとめにし、A群の1つの検体として本発明を実施す
る。ひとまとめにするとは、具体的には異なるA群の検
体に同じIDを与えることを意味する。この段階で対応関
係に無いことが明らかなBACクローンを選別し、さらに
これらを適当な方法で二次スクリーニングするのが好ま
しい。あるいはまた、化学物質の類縁体においては一群
の類縁体を1つの検体としてスクリーニングを行い、さ
らにこれらを適当な方法で二次スクリーニングするのが
好ましい。二次スクリーニングは、検体間の相互関係を
個々に確認することによって行うことができる。たとえ
ばBACクローンとSTSとの相互関係を二次スクリーニング
によって見出すには、個々のプローブを使ってハイブリ
ダイゼーションを行ったり、あるいはそのBACクローン
を鋳型としてSTSプライマーによるPCRを行えば、両者の
対応関係を決定することができる。 他方B群の検体の数xは、特に限定されない。その数
が多いほど効率化される度合いが大きい。 A群の各検体Aiに与える番号は、たとえば2n−1種類
までの適当な番号とすることにより、検体に固有の番号
とすることができる。番号は、一般的には検体ごとに固
有の番号であることが望ましい。しかしながら、先に述
べたように異なる検体に同一のID番号を与えることによ
ってひとまとめにすることも可能である。検体数が2n-1
に近いときは、1から順に番号を振るよりも、適当に番
号が分散する様に乱数等を利用して番号を決めるのが望
ましい。また、各混合物Ckに含まれるA群の検体Aiの検
体数の差を小さくするのが望ましい。たとえばAiが64検
体である場合、1から順に番号をふれば7桁目に1を含
むのはA64(1000000)のみである。したがって混合物C1
〜C6まではそれぞれ32種類の検体を含むがC7は1検体A6
4(1000000)を含むのみとなる。このこと自身は何らデ
ジタルハイブリダイゼーションスクリーニングの本質に
影響するものではない。しかし各混合物Ckを構成する検
体の数を均一化することによって、例えばラベリングの
規格化や、バックグランドレベルの均一化が期待でき
る。具体的には、各混合物Ckを構成する検体の数の差を
1以下に設定することが可能である。先に述べた64検体
の場合も、1例として次のような方法によれば検体数の
差を1とすることができる。すなわち、10進法で32番か
ら95番まで(2進法では0100000から1011111)の連続し
た番号を与えれば良いのである。この他の番号によって
も、64検体を検体数の差が1以下の混合物とすることは
可能である。 本発明においては、A群の検体Aiは番号を2進法によ
って与えられ、混合物Ckの作成に利用される。2進法を
利用することによって、相互作用の検出結果を各桁の数
値に直接関連付けることができる。一般に2進法は1と
0によって記述される。しかし本発明の実施にあたって
2進数を1と0以外の記号によって表すことも可能であ
ることは言うまでも無い。本発明における1、あるいは
0とは、2進法におけるビットの有無を意味しており、
数字の1と0の使用に限定するものではない。 A群検体Aiからなる混合物Ck(1≦k≦n)の作成に
際し、各混合物を構成するA群検体Aiの量は、特に限定
されない。たとえばAiを等量もしくは等モルを混合する
と、B群検体との相互作用の程度が均一化され、検出結
果の解釈を容易にする場合がある。一方、各Aiの間でラ
ベリング効率に差があったり、あるいはA群とB群との
相互作用の程度に組み合わせによって差があるような場
合には、適当に各Aiの量比を調整することによって相互
作用の程度を均一化することができる。たとえば本発明
においては、DNAをラジオアイソトープラベルする場合
に、カイネーション法とランダムオリゴマー伸長法とい
った異なる方法でラベリングしたプローブを混合するこ
とができる。このようなケースでは、各プローブから得
られるシグナル強度が異なることが予想され、等量を混
合したのではシグナル強度の均一化は達成できない。し
たがって、各プローブのラベリング効率とシグナル強度
を予備的に計測し、その結果に基づいて混合比を調整す
ることによってシグナル強度の均一化をはかることがで
きる。 このとき、混合物CkにはA群の検体Aiの他、スクリー
ニングに悪影響を及ぼさない薬剤や溶媒を加えることも
できる。また、A群の検体が相互作用によりスクリーニ
ングに悪影響を及ぼす可能性があるときは、その悪影響
を軽減するための薬剤を加えることもできる。 本発明の正確性を増すためにA群の検体をすべて含む
混合物Caを用いることもできる。CaとB群の検体との反
応により相互作用を示す結果が得られない場合には、両
者の間に相互作用する組み合わせが存在していないか、
あるいは相互作用の検出が不完全であることを示してい
る。 n種類の混合物C1からCnと、B群の検体Bjのそれぞれ
に対する相互作用の検出は、両者の相互作用を確認する
ことができる任意の手段によって実施することができ
る。たとえばオリゴヌクレオチドとDNAであれば、両者
の間のハイブリダイゼーションを指標として相互作用の
検出が可能である。 本発明をさらに分かりやすく説明するためにA群とし
て6つのDNAマーカーとB群として24のクローンを用い
た例を以下に模式的に示す。これらの6つのDNAマーカ
ープローブの各プローブに3ビットのID番号を与えた
(表4)。例えば、DNAプローブ1を「001」、DNAプロ
ーブ2を「010」と表した。 その後、これらのDNAプローブを、表4で示した組み
合わせで混合し、プローブ混合液M1、M2、M3およびMAと
した。ここで、「1」がその存在を示し、「0」はその
不在を示す。4つのDNAプローブ混合液(MA、M1、M2とM
3)を用意し、同一のクローンフィルターに対して各プ
ローブ混合液を別々にハイブリダイゼーションさせた
(図2)。6つの全てのDNAプローブを含んでいるプロ
ーブ混合液MAは4つのクローン(A、B、C、D)を見
つけたのに対し、他のプローブ混合液は異なる組み合わ
せでこれらの同じクローンを見つけた。そして、ハイブ
リダイゼーションシグナルパターンを、個々のクローン
について調べた。例えば、クローンAは、プローブ混合
液M1とM2がポジティブ、しかし、M3はネガティブであっ
たので、3ビットのパターンは「011」になる。このマ
トリックスパターンは、クローンAが特定のDNAプロー
ブ3(表5)と対応すると決定した。同様に、残ってい
る3つのクローンは、特定のDNAプローブと対応した。 DNAプローブを用いたDNAライブラリーのスクリーニン
グの場合、以下のようにしてその信頼性を高めることが
できる。 (1)二重オフセットフィルター、あるいは二つのレプ
リカフィルターを単一シリーズのプローブ混合物に対し
て使用することにより、疑似の陽性信号及び陰性信号に
より生じる誤まった結果を防止することができる。これ
らのフィルターは、いずれももとになるフィルターと同
じ検出結果を与えるべきフィルターとして機能する。し
たがって、同じプローブ混合物のシリーズに対しては同
じパターンの信号を生じなければならない。もしも、も
とのフィルターとの間で信号の検出パターンが相違する
場合、いずれかの結果が誤まりであると知ることができ
る。 (2)各ID番号にパリティービットを追加することによ
って、2進法によるID番号を構成する「1」の数を偶数
個に固定することできる(表6)。すなわち、ID番号を
構成する「1」の数が奇数のA群検体を集めた混合物Co
を用意し、これに対するB群の検体の信号を記録すれば
良いのである。B群の検体とこの混合物Coとの間で相互
作用が検出されれば、パリティビットとしての1が与え
られる。一方、ID番号を構成する「1」の数がもともと
偶数であるA群検体と相互作用するB群検体において
は、前記混合物Coとの相互作用は検出されないはずであ
るから、パリティビットは常に0となる。その結果、ID
番号+パリティビットを構成する「1」の数は、全ての
B群検体で必ず偶数となる。上記工程を通じて得ること
ができるIDを決定するための7桁に、パリティビットの
ための1桁を加えてA群の検体との照合を行う。 最終的に決定した8桁における1の数を計数して、信
号がいずれかのビットに関して欠落していたり、あるい
は逆に超過している場合は、「1」の数が奇数個に変わ
ってトラブルを表示する。ここではIDビットとパリティ
ビットを構成する1の数を偶数に固定する場合を想定し
て説明したが、奇数に固定することも可能であることは
言うまでも無い。奇数に固定した場合には、偶数となる
ことでデータの誤まりが示される。こうしてフィルター
をもう一つ使用するだけで本発明のスクリーニング方法
の信頼性を高めることができる。 (3)STSの各IDに逆ビットを与えて他のスクリーニン
グを行うことで本発明のスクリーニング方法の信頼性を
著しく向上させることもできる(表7)。 スクリーニング結果が正確であれば、ID(スクリーニ
ング1)プラスID(スクリーニング2)は常に1111111
である。いずれかの信号がなければID(スクリーニング
1)プラスID(スクリーニング2)は常に<1111111で
ある。2個以上のSTSが単一のクローンとハイブリダイ
ゼーションした場合は、ID(スクリーニング1)プラス
ID(スクリーニング2)は常に>1111111である。この
戦略にはスクリーニングが2シリーズ必要である。 したがってスクリーニング1、2を行った場合の最大
の利点は、プローブとクローンの対応関係が正確になさ
れているものを判別できる点である。それに対してスク
リーニング1あるいは2の一方だけによる結果では、正
確な場合、不正確な場合、および複数個のSTSが単一ク
ローンにハイブリダイズした場合を判別することができ
ず、データにそれらが混在することになる。一方だけの
スクリーニングのほとんどの結果が正確である場合には
2シリーズのスクリーニングは必要無い。しかし一般的
には、正確な結果をそうでない結果と判別できることの
意義は大きいと言える。 ところで、このように2シリーズのスクリーニングを
行う方法によれば、単に正確性が増すのみならず、多:1
対応に起因する重複したシグナルの分離が可能である。
以下にシグナルの分離について具体的に説明する。たと
えば1個のSTSプローブに対して2つの異なったシリー
ズで2進数の番号付けを行う。これらのIDをここではそ
れぞれFORWARD ID、およびREVERSE IDと称する。FORWAR
D ID、およびREVERSE IDにはそれぞれ独立したシリーズ
の2進数が与えられ、異なる組み合わせで混合物が用意
され、本発明に基づいて別々にライブラリーを構成する
クローンとの対応関係が決定される。このような態様に
おいては、FORWARD IDとREVERSE IDのそれぞれついて、
独立して2n-1≦m≦2n−1、mとnは、m≧3、n≧2
の自然数の関係が成立する。 更に、1つのSTSプローブに対応するFORWARD ID、お
よびREVERSE IDを合計したときに、かならず全ての桁が
1となるように設定する。つまりあるクローンに対して
1つのプローブが対応していれば、そのクローンについ
て決定されたFORWARD IDとREVERSE IDを合計すれば、全
ての桁で1となるはずである。すなわち、8ビットの場
合なら11111111となる。それに対して単一のクローンに
2つのSTSプローブがハイブリダイズした場合には、ハ
イブリダイゼーションの結果から導かれるFORWARD IDと
REVERSE IDの合計は8ビットの場合なら11221212のよう
に1ヶ所以上の2を含む。なおおこの場合の足し算は2
進法の表示形式に従うのではなく、便宜的に各桁ごとに
1+1=2、0+1=1、1+0=1、および0+0=
0という表示形式に従うこととする。その方が2進法に
よる表示形式よりも把握しやすいためである。しかし、
本発明がこのような表示形式に限定されるものではない
ことは言うまでも無い。各桁ごとに、FORWARD IDとREVE
RSE IDのシグナルが両方で得られたのか、一方のみであ
ったのか、あるいはいずれにもシグナルが得られなかっ
たのかを把握できればよい。さて、このようなケースで
は、以下のような考え方に基づいてSTSプローブのどの
2つがハイブリダイズしているのかを絞り込むことが可
能である。まず11121111のように2が1ケ所であれば2
となる桁が1桁であるために、STSプローブの組み合わ
せも1種類(2個)となり一意的に2個のSTSプローブ
のどちらをも決定することができる。 また“2"となる桁が、2、3、4、5、6、7、ある
いは8個と増えれば、計算上、それぞれ4、8、16、3
2、64、128、そして254種類のプローブの対応が考えら
れ、組み合わせとしては2、4、8、16、32、64、そし
て127通りのプローブペアがターゲットに対応している
ことになる。つまり、例えば、“2"が2、3、4、5個
であれば、それぞれ4、8、16、32種類(組み合わせと
してはその半分)までに可能性を絞ることができる。1
個のクローンに対応するプローブが2個までであれば、
このようにして対応関係を絞り込むことができる。 またスクリーニング1、2を行った場合、後に示すマ
ルチカラープローブではなく、ラジオアイソトープラベ
ルに基づくオートラジオグラムのような1種類のシグナ
ルのみで表された結果であっても、2個のプローブが1
個のクローンにハイブリダイズしている場合のシグナル
を分離できる場合がある。まずそれぞれのプローブによ
るシグナル強度の差が小さくても、前述のように2の数
が1個の場合はそれぞれのプローブを特定することがで
きる。それ以外にも互いのシグナル強度に明確な差が有
れば、2の個数が2個以上であってもそれぞれを特定す
ることができる。たとえばFORWARD IDが11111100でREVE
RSE IDが11111111の場合、それらの合計は22222211とな
り2個以上のプローブがハイブリダイズしていることが
わかる。このシグナルに強いシグナルと弱いシグナルあ
って、それらを識別できるものとする。2となった桁に
おいて、強いシグナルをS1、弱いシグナルをW1と記述す
ると、この結果はたとえば次のように記述することがで
きる。すなわち、FORWARD IDは(S1、W1、S1、S1、S1、
W1、0、0)、REVERSE IDは(W1、S1、W1、W1、W1、S
1、1、1)である。この結果から強いシグナルを示す
プローブのFORWARD IDは10111000、弱いシグナルを示す
FORWARD IDは01000100となる。3個以上のSTSプローブ
がハイブリダイズしている可能性も否定できいが、まず
分離して得られたID番号のプローブを用いて対応関係を
確認することができれば、不必要な2次的、あるいは3
次的なスクリーニングを省くことが可能である。なお8
ビットからなる2通りのIDを利用する方法は、16ビット
の1シリーズのIDを与えることと同義である。このよう
に、必要最小限のビットに対して付加的なビットを加え
ていくことにより、本発明の方法の正確性の向上を達成
することができる。必要最小限のビットとは、A群の検
体に固有の番号を与えるために必要なだけの番号を与え
る桁数nである。これに対して任意の桁数を加えてg桁
の番号を与えることによって付加的なビットを供給する
ことができる。 また、2個のプローブが1個のクローンに対応する場
合が多いことが想定される場合には、ビットを更に加え
ることによって想定される2個のSTSプローブの数を絞
り込むことができる。例えばnビットの付与で十分な場
合において、余分に2ビットを加えてn+2ビットのID
を付与してスクリーニング1と2を行った場合、単にn
ビットで行う場合に比べて1/4〜1/16まで組み合わせを
絞り込むことが可能である。このようなアディショナル
ビットは、多く加えるほど絞込みの効果は大きい。しか
しそれだけ余分なミックスを用意する必要があるので、
2個のプローブが1個のクローンに対応する頻度などを
考慮して必要なビット数を設定することが望ましい。 (4)第2のシリーズのオリゴヌクレオチドプローブ
(逆プライマーなど)で、本発明に基づく他のスクリー
ニングを行うことにより、疑似陽性信号の数を減少させ
ることができる。 (5)あるプローブが長反復性配列および短反復性配列
のような多重複写配列を含む場合は、このプローブは複
数のクローンとハイブリダイゼーションする可能性があ
る。これは適正なID番号の決定に障害となろう。これら
の反復性配列は、既知であればコンピュータのデータベ
ースで注意深くホモロジー検索することで排除されるべ
きである。あるいは実際のスクリーニングの前に予備実
験を行って、望ましくないSTSプローブを発見して排除
することを一般的には推奨する。長反復配列や短反復性
配列のような多重複写配列に対して親和性を持つオリゴ
ヌクレオチドがA群に含まれる場合、異なる混合物の間
で同じクローンに対して同一の反応パターンが観察され
る。したがって、この独特の反応パターンを指標とし
て、取り除くべきオリゴヌクレオチドを知ることができ
る。このような非特異的な反応の原因となるプローブ
を、本発明においては妨害バックグランドオリゴプロー
ブ(BBO:bad background oligo−probe)と呼ぶ。これ
ら(1)から(5)までの考え方は、単独ではなく適宜
組み合わせて行うこともできる。従って、本発明のスク
リーニング方法の信頼性を向上させるための多様な選択
枝がある。 STSマーカーとゲノムライブラリーの間で相互作用す
る組み合わせを見出すには、ゲノムライブラリー(B
群)を固定したフィルターやDNAチップに対して、STSマ
ーカーを標識したプローブの混合物(A群)を反応させ
ることによって実施することができる。フィルターにゲ
ノムライブラリーを固定する方法は公知である。ゲノム
ライブラリーの規模は、数万〜数十万にも及ぶ大きなも
のとなるが、1フィルター当たり数千種のクローンを固
定する高密度フィルターとすれば効率的なアッセイ系を
構成することができる。DNAを高密度に固定する技術と
しては、DNAチップも有用である。すなわちゲノムライ
ブラリーを各クローンごとにDNAチップ上の1区画に固
定し、蛍光標識したプローブの混合液と反応させ、どの
区画にハイブリダイゼーションが起きているのかを判定
する。高度に集積したライブラリーに対して混合したプ
ローブを反応させることから、1つづつ反応させる必要
のあるこれまでの方法に比べて飛躍的に処理能力が高ま
る。 さて、本発明による対応関係の決定方法においては、
A群の検体に対するB群の検体が1:1対応、あるいは1:
多対応の場合により正確な結果を得ることができること
は既に述べた。これは放射性同位元素標識を、オートラ
ジオグラフィーで検出すると、原則的にポジティブ
(1)あるいはネガティブ(0)の2種類のデータしか
得ることができないためである。2個以上のプローブが
1個のターゲットを検出する場合、シグナルが重なるた
めに的確なID番号を導くことができなくなる。しかしA
群の検体に対し、たとえば以下に述べるような特殊な標
識方法を利用するとき等には、多:1対応であっても正確
に対応関係を見出すことが可能である。同じくSTSプロ
ーブとゲノムライブラリーの関係を見出す場合を例にこ
の方法について説明する。 たとえば、STSプローブに識別可能なシグナルを生成
する複数種の標識を与えるのである。このような標識と
しては、蛍光波長の違う蛍光色素や異なった色に発色す
る着色標識などを示すことができる。全てのプローブに
同じシグナルを持つ標識を与えた場合には、あるクロー
ンに対して複数のプローブが対応している場合(すなわ
ち多:1対応)に識別は困難である。しかし複数のプロー
ブが識別可能な異なったシグナルを持つ場合には、どの
プローブが混在して反応しているのかを明らかにするこ
とができる。すなわちシグナルの分離が可能である。た
とえば、1個のクローンに対して2種のプローブが対応
した場合、5色の標識を利用していれば理論的には80%
のケースでプローブの識別が可能となる。本発明におい
て、このようにより正確な対応関係の決定を可能とする
ために多種類の標識を与えたプローブを特にマルチカラ
ープローブと呼ぶ。 マルチカラープローブを利用することによって、ID番
号を少なくすることも可能である。異なる検体に同一の
ID番号を付与しても、標識の違いによって識別が可能と
なるためである。この特徴を利用すれば、原理的には標
識の種類の分だけ混合物の種類(すなわち対応付けのた
めの反応の回数)を減らすことが可能となる。たとえ
ば、5種類の標識を利用して5つの異なるプローブに同
一のID番号を与えれば、混合物の数は1/5となる。 本発明に基づく相互作用を持つ組み合わせの決定方法
を利用すれば、ゲノム解析以外に転写調節薬や膜受容体
に対するアゴニスト化合物のスクリーニング等も効率的
に行うことができる。以下にこれらの応用について具体
的に述べる。 標的遺伝子に対応する転写調節薬のスクリーニングに
本発明を応用することができる。本発明を利用すれば、
単一ではなく、多数の標的遺伝子のそれぞれに対応する
転写調節領域について、同時に候補化合物の活性をスク
リーニングすることが可能である。各遺伝子のコーディ
ング領域をレポーター遺伝子に置換し、その5'側上流に
位置する転写調節領域と連結した構造を挿入した転写評
価プラスミドを作成する。このとき形質転換体に候補化
合物の混合物を順次接触させて転写調節活性を検出す
る。各形質転換体を複数種のプラスミドで形質転換する
ことによって、A群の検体を混合した混合物に相当する
状態を構成できる。各候補化合物について少数の形質転
換体によるスクリーニングを行うだけで、転写調節活性
を持つ候補化合物と、そのターゲットとなる転写調節領
域との対応関係を明らかにすることができる。 本発明を利用すれば、遺伝子機能解析の一環として
の、機能未知の膜受容体に対するアゴニスト化合物のス
クリーニングを効率的に行うこともできる。このスクリ
ーニングには、細胞内シグナル伝達の最終過程の転写シ
グナルを利用する。膜受容体が発生する最終転写シグナ
ルのかなりの部分がcAMPシグナルの終末CRE(cAMP resp
onsive element)、あるいはCaシグナルの終末の一つで
あるAP1に分類されると考えられる。CREあるいはAP1の
下流にレポーター遺伝子を連結した転写評価プラスミド
と、機能未知の膜受容体を発現するプラスミドを同時に
培養細胞に導入し形質転換する。アゴニスト化合物の候
補化合物をこの形質転換体に接触させてレポーター活性
の発現を検出すれば、候補化合物のアゴニスト活性を知
ることができる。このとき、同一の細胞に複数の膜受容
体遺伝子を導入して、本発明のA群の検体を混合物とす
る工程を達成することができる。各候補化合物について
少数の形質転換体によるスクリーニングを行うだけで、
アゴニスト活性を持つ候補化合物と、そのターゲットと
なる膜受容体との対応関係を明らかにすることができ
る。この方法においては、機能未知の膜受容体であって
もCREやAP1を介したシグナル伝達をトリガーするもので
あれば対応関係の検出は可能である。 本発明に基づいて、モノクローナル抗体のエピトープ
解析が可能である。エピトープ解析のためには、A群の
検体として抗原の断片を用意する。たとえばタンパク質
抗原であれば、末端から数アミノ酸づつずらしたアミノ
酸配列を持つオリゴペプチドライブラリーを合成し、こ
れにID番号を与える。B群の検体であるモノクローナル
抗体との対応関係を確認すれば、エピトープを解析する
ことができる。抗原が大きな分子であれば、数百種のオ
リゴペプチドとの対応を確認しなければならないケース
もあるが、本発明を応用すればわずか数回の検定で対応
関係を明らかにすることができる。 図面の簡単な説明 図1は、A群の検体とB群の検体の対応関係を模式的
に示す図である。 図2は、6つのDNAマーカー(A群)と24のクローン
(B群)を用いて本発明によるスクリーニング方法を実
施したときのハイブリダイゼーションパターンを示す模
式図である。4つのDNAプローブ混合液(MA、M1、M2とM
3)を用意し、同一のクローンフィルターに対して各プ
ローブ混合液を別々にハイブリダイゼーションを行っ
た。6つの全てのDNAプローブを含んでいるプローブ混
合液MAは4つのクローン(A、B、C、D)を見つけた
のに対し、他のプローブ混合液は異なる組み合わせでこ
れらの同じクローンを見つけた。 発明を実施するための最良の形態 次に実施例によって本発明をさらに具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例により制限される
ものでない。 実施例1 15,360のBACクローン(Gene191(1997)p69−79)と1
26のSTSマーカー(表8〜10)を用いて本願発明のスク
リーニングを行った。STSマーカーの個々の塩基配列や
プライマー等については、NCBIによって提供されている
dbSTS(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/dbSTS/)およびD
DBJ Accession No.C75685−C75936で知ることができ
る。この場合、表8〜10で示されるように、7ビットの
ID番号を126のプローブの各々に与えた。STSマーカー・
プローブ(FA、F1からF7)の8種類の混合液を用意し
た。混合液FAは、126の全てのSTSプローブを含んでお
り、他の混合液は特定の組み合わせの63のSTSプローブ
を含んでいる。 63(または126)のSTSマーカーオリゴヌクレオチド
(フォーワードアンプリマー)をそれぞれ0.1pmolずつ
含む反応混合液(50μl)に、31.5μCi(または63μC
i)のγ−32P−ATP(5,000Ci/mmol、AA0018、アマーシ
ャム)と1(または2)ユニットのT4ポリヌクレオチド
キナーゼ(宝酒造)を加え、37℃で30分間インキュベー
トした。結合しなかったγ−32P−ATPはセフェデックス
G−50の遠心カラムにより除いた。約50%の32Pが結合
した。プレハイブリダイゼーションは、0.1mg/mlの超音
波処理(平均200bp)により断片化した変性サケ精巣DNA
(シグマ、D1626)および変性ニシン精子DNA(平均100b
p以下)(シグマ、D3159)を含む5×SSC、5×Denhard
t's、0.5%SDS溶液中、55℃で12時間行った。プレハイ
ブリダイゼーションの後にラベルしたプローブを加え、
55℃で72時間インキューベーションした。それぞれのプ
ローブの最終濃度は0.005pmol/mlとした。フィルターは
2×SSC、0.5%SDSで室温で10分間、3回洗浄し、続い
て60℃で30分間、2回洗浄し、最後に0.1×SSC、0.1%S
DSを用いて室温で10分間洗浄した。フィルターはフジイ
メージングプレートに対し72時間露光した。オートラジ
オグラムは、BAS 2000 Bio Imaging Analyzer(フジフ
ィルム)によって得た。 上記の方法よって32Pラベルした混合液を、3072のBAC
クローンでブロットした5つのハイデンシティレプリカ
(HDR)フィルターに対してそれぞれ別々にハイブリダ
イゼーションを行った。オートラジオグラムの結果、ハ
イブリダイゼーション・シグナルがはっきりと観察され
た。126の全てのプローブを含んでいるプローブ混合液F
AはこのHDRフィルター(5つの別々のHDRフィルターで
計104のクローン)上で30のBACクローンを検出した。7
つの他のプローブ混合液は異なる組み合わせでこれらの
同じクローンを検出した。ハイブリダイゼーションシグ
ナルパターンは、明細書中で開示した方法にしたがって
検定した。例えばBAC66は、プローブ混合液F7、F5、F
4、F2とF1がポジティブであり、F6とF3がネガティブで
あった。その結果ビットパターンは「1011011」(表11
〜12参照)となった。BAC66と特異的なSTSプローブD11S
1308(表8〜10参照)は、対応すると決定した。このよ
うにして、残りのクローンの7ビット数も決定され、48
の特異的なSTSプローブのと対応を決定した。これらの4
8のSTSプローブの中で、2のプローブ(STS7とSTS23)
は、予想より多数の23のBACクローン(それぞれ8つお
よび15のクローン)を検出した。ハイブリダイゼーショ
ンにおいて、間違ったポジティブシグナルを防ぐために
できるだけユニークであるように、オリゴヌクレオチド
プローブを設計したにもかかわらず多数のクローンが固
定された。これは、おそらくこれらのプローブがマルチ
コピー反復配列を含むという事実によるものと推測され
た。ディジィタルハイブリダイゼーションスクリーニン
グの正確性を確認するために、更にPCR分析をおこなっ
た。これにより、23のBACクローンが、除去された。PCR
分析の方法を以下に述べる。 PCR分析は、上記方法で選ばれた46のSTSマーカープロ
ーブの各々のために設計された正と逆のアンプリマーを
使って81のBACクローンに対して行った。PCR分析の結果
は、DHスクリーニングのデータと共に表11〜12に示し
た。PCR分析により76のBACクローンが分析可能であり、
5つのクローンが分析不可能であった。これらの76のBA
Cクローンの中で、59のクローンは、37の特異的なSTSマ
ーカーに対応することが確認された。これらの結果は、
明らかにクローンとSTSマーカーとの対応関係の検出に
おける高い成功率(59/76=78%)を示している。 実施例2 5ビットディジィタルハイブリダイゼーション法にお
いて、ヒドゲノム反復配列対応オリゴヌクレオチドプロ
ーブの検出を行った。反復配列に対して親和性を持つオ
リゴヌクレオチドプローブは、本来目的とするクローン
以外のクローンを極端に多数検出するため、解析を煩雑
にするだけでなく、A群とB群の対応関係に多:1の対応
関係をもたらし正しい結果の判定を妨げる可能性があ
る。そこで、本発明のより望ましい態様として、このよ
うなオリゴヌクレオチドプローブを選択し除去すること
が可能であることを以下の実施例により明らかにする。 8番染色体にマップされている1014個のEST(express
ed sequence tag)をプローブとして、8番染色体のBAC
クローンをディジィタルハイブリダイゼーション法によ
り網羅的に単離することを計画した。プローブにはそれ
ぞれのESTをPCRで増幅するためのオリゴヌクレオチドプ
ライマーペアの一方を用いた。プライマーの塩基配列
は、GDBなどのデータベースに登録されているものから
選択した。これらの塩基配列には、シングルコピーの配
列をもとに設計されていることが理想的であるが、実際
にはヒトゲノム反復配列に由来するオリゴヌクレオチド
が含まれている可能性がある。これらの反復配列由来の
オリゴヌクレオチドが含まれていれば、もとのESTに該
当しないBACクローンにもハイブリダイズしてしまう。
特にそのオリゴヌクレオチドの由来する反復配列のゲノ
ム上での頻度が高ければ、実際に目的とするクローンよ
りもはるかに多数のクローンが陽性クローンとして選択
されることになる。このような状況は、特にラージスケ
ールでディジィタルハイブリダイゼーション法を行うに
は大きな障害となる恐れがある。したがって、ラージス
ケールの網羅的なスクリーニングを行う前段階として、
反復配列に由来するオリゴヌクレオチドプローブを検出
し、除去するために、スモールスケールのディジィタル
ハイブリダイゼーション法を活用した。 まず1014個のESTを31個ずつセットにして33種のプロ
ーブミックスを作成した。それぞれのプローブミックス
を実施例1と同様に32Pラベルして、6144個のBACクロー
ン(約0.2ゲノム相当)がブロットしてあるフィルター
に対してコロニーハイブリダイゼーションを行った。0.
2ゲノム相当数のクローンに対して、31個のプローブを
用いてスクリーニングすれば、理論的には平均6個程度
のポジティブシグナルが得られるはずである。しかし反
復配列由来オリゴムクレオチドプローブを含むプローブ
ミックスでは、数10〜数100個のポジティブクローンが
検出された。33セットのプローブミックス中5セット
に、反復配列に由来すると考えられるオリゴヌクレオチ
ドプローブが含まれていた。そこで、これらのセットを
構成する31個のオリゴヌクレオチドプローブについて、
5ビットのID番号を与え、ディジィタルハイブリダイゼ
ーション法を実施した。その一部を表13に示す。 表13は、反復配列に由来すると考えられるオリゴヌク
レオチドプローブが含まれていた第19セットの31個のプ
ローブに割り当てた5ビットのID番号を示す。表13にし
たがい、プローブミックスM1−M5を調製した。各プロー
ブミックスについて、各クローンがブロットされた同一
のフィルターに対してコロニーハイブリダイゼーション
を実施した。その結果、M2とM5において多数のクローン
が同一パターンで検出された。したがって、“01001"の
ID番号を与えられた661(TIGR−A008B17)が、反復配列
由来オリゴヌクレオチドプローブであると判断した。続
いて、第19セットから661(TIGR−A008B17)のみを除去
したプローブミックスによる反応パターンを確認した。
複数のクローンにハイブリダイゼーションしてしまう反
復配列由来と判定したオリゴヌクレオチドプローブを除
くことにより、明瞭な反応パターンを得ることができ
た。 同様にして、他のプローブミックスセットに含まれる
反復配列由来と考えられるオリゴヌクレオチドプローブ
も検出した。最終的に1014個のESTから5個の反復配列
由来オリゴヌクレオチドプローブを同定することができ
た。これらの5個の復配列由来オリゴヌクレオチドプロ
ーブを除いた1009個のESTをラージスケールでのディジ
ィタルハイブリダイゼーション法に用いた。 更に、ESTと同様の手法で5ビットディジィタルハイ
ブリダイゼーション法によって反復配列由来オリゴヌク
レオチドプローブを除いた、377個のSTSプローブも同じ
く8番染色体のBACクローン(10万クローン)のスクリ
ーニングに用いた。1386個のSTSプローブおよびESTプロ
ーブは、495個、490個、そして401個に分割して3セッ
トのミックスプローブとした。 ESTプローブとSTSプローブを組み合わせたラージスケ
ールでのスクリーニングにより、10万のBACクローンか
ら約4300クローンのポジティブクローンを速やかにスク
リーニングすることができた。 続いてこの約4300クローンをサブライブラリー化し、
8ビットディジィタルハイブリダイゼーションスクリー
ニングを実施することにより、各プローブとBACライブ
ラリーとの更に詳細な対応関係を明らかにした。ディジ
ィタルハイブリダイゼーション法に用いたプローブは、
1187種類のSTSプローブまたはESTプローブである。 1187種類のSTSまたはESTのシーケンスから設計された
オリゴヌクレオチドをプローブとし、5つの混合物に分
けて(236〜238本)、先にスクリーニングされた8番染
色体由来のBACクローン約4300クローンからなるサブラ
イブラリーに対して、8ビットデジタルハイブリダイゼ
ーションスクリーニングを行った。各プローブにはFORW
ARD ID、REVERSE IDを与えた。つまり、1つのプローブ
に対して2通りの番号付けを行った。各プローブのFORW
ARD IDとREVERSE IDの合計は全て(11111111)になるよ
うに番号を付与した。従って各スクリーニングはFORWAR
Dに対して8ミックス、REVERSEに対して8ミックス、そ
して全てのプローブを含んだ1ミックスの、合計17ミッ
クスのプローブ混合物によって行った。その結果、個々
のクローンに関してFORWARDミックスによる結果から導
かれるID番号と、REVERSEミックスによる結果から導か
れるID番号と合計が(11111111)であれば、そのBACク
ローンに対して1種類のプローブがハイブリダイズし、
的確に結果が得られたことがわかる。5回のスクリーニ
ングの結果、延べ670種類のSTS(あるいはEST)に関し
て1クローン以上のBACを対応させることができた。ま
た約70種類のSTS(あるいはEST)については互いに極め
て隣接するSTS(あるいはEST)が存在し1個のBACに2
種類以上のSTSプローブ(あるいはESTプローブ)がハイ
ブリダイズしていることが予想された。残る約450種類
のSTS(あるいはEST)のほとんどに関しては、サブライ
ブラリー中に対応するBACクローンが存在しないと考え
られた。 670種類のSTS(あるいはEST)を用いたスクリーニン
グに要した労力は、30人×日であった。これほど迅速に
670種類のSTSに対応するBACクローンを同定すること
は、全ての組み合わせについて順次対応関係を決定して
いく従来の方法では不可能である。 実施例3 本発明の転写調節薬スクリーニングへの応用につい
て、ステロイド受容体スーパーファミリーに属する転写
因子のアゴニスト化合物スクリーニングを例として、更
に具体的に説明する。 ステロイド受容体スーパーファミリーに属する転写因
子として、たとえば以下の10種類を選択する。本発明に
基づいて、これらのレセプターに対応する転写因子とア
ゴニスト化合物との対応関係を明らかにする。 glucocorticoid receptorα progesterone receptorα androgen receptorα estrogene receptorα retinoic acid receptorα1 retinoid X receptorα thyroid hormone receptorα1 vitamin D3 receptor peroxisome proliferator activated receptorγ1 hepatocyte nucleal factor 4−α1 形質転換体とする培養細胞には、たとえばCV−1細胞
が用いられる。10%ウシ胎児血清加DMEM培地で培養した
CV−1細胞を、PBS(−)で2回洗浄した後、Trypsine/
EDTAを添加して37℃で5分間インキュベートする。培地
を加え細胞を懸濁後に遠心し、ちんでんに培地を加えて
2×105cells/2.5mLとなるように再懸濁させる。2.5mL/
ウエルづつ6wellプレートに接種し、CO2インキュベータ
ー(37℃、5%CO2)で18時間から24時間培養する。 こうしてシードされたCV−1細胞は転写評価プラスミ
ドにより形質転換される。転写評価プラスミドは、各転
写因子の下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結した構造を
持つ。この例では、上記10種の転写因子を持つプラスミ
ドを表14に示すように混合して形質転換に用いる。各プ
ラスミドのラインを横に見ると、F4−F1に示す4桁のID
番号が示されている。また、F4−F1のカラムを縦に見る
と、各混合物に含まれるプラスミドが含まれる(1)
か、あるいは含まれない(0)のかを知ることができ
る。FAは、すべてのプラスミドを含む混合物である。こ
の混合物を用いたときに、プラスミドと転写調節因子の
候補化合物の対応関係を示すシグナルが検出されない場
合には、すべての化合物に転写調節活性を期待できない
か、あるいはオペレーションのミスが考えられる。 なお各プラスミドの使用量は0.3μgとし、150μLの
Opti−MEMで希釈して用いる。この評価プラスミド含有
溶液にLipofect AMINE試薬7.0μLを加えて室温で15分
−45分インキュベートする。インキュベート後のプラス
ミド溶液を更に1.5mLのOpti−MEMで希釈し、1mLのPBS
(−)で2回洗浄したCV−1細胞に加える。 CO2インキュベーターで4時間培養後、形質転換液を
除いてTrypsine/EDTAを200μL加え、37度で5分間放置
する。10%活性炭処理ウシ胎児血清を加えたDMEM培地
(フェノールレッド不含)を1mL加え、遠心チューブに
回収する。1000rpmで3分間の遠心により細胞を回収
し、細胞数が1.6×104cell/50μLとなるように再懸濁
させて50μL/wellとなるように96wellのプレートに播種
する。CO2インキュベーターで1時間以上培養後に適当
な濃度の候補化合物を50μL/well添加する。添加後にCO
2インキュベーターで40−48時間培養した後に、以下の
操作によりルシフェラーゼアッセイで転写調節活性を確
認する。 96wellプレオートから培養液を除去し、100μLのPBS
(−)で洗浄後に、1×Passivelysis buffer(Promeg
e)20μLを添加し、室温で15分間以上インキュベート
して細胞を溶解する。得られる溶解液を試料としてMLX
(DYNAX Technologies)のようなルミノメーターで発光
反応させ発光強度を計測する。 産業上の利用の可能性 A群の検体とB群の検体が、相互作用する対応関係に
有るときに、その対応関係を決定する方法が提供され
る。本発明は、2進法を利用した規則に基づいて混合し
たA群の検体を利用することによって、スクリーニング
のための反応操作を著しく減らすことができる。理論的
にはA群の検体は7以上であれば、スクリーニングの回
数は減少する。そしてA群の数は大きほど、その減少効
果が大きくなる。 本発明に基づく対応関係の決定方法を応用可能な分野
として、STSやESTのゲムライブラリーへのマッピングを
示すことができる。これらの作業は、A群(すなわちST
S)とB群(ゲノムライブラリー)との対応関係を両者
のハイブリダイゼーションに基づいて明らかにしていく
作業に他ならない。しかも、両者の集団規模がたいへん
大きいため、本発明によるスクリーニング数の減少効果
が期待される。ヒューマンゲノムプロジェクトをはじめ
とする大規模なゲノム解析プロジェクトの推進に、本発
明はスクリーニングの効率化を通じて大きく貢献するも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/68 C12N 15/09 G01N 33/53 CA/BIOSIS/MEDLINE/W PIDS(STN)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の工程を含む、A群とB群の各群を構
    成する検体の中から検体間で、物理的、化学的または生
    物的な対応関係を有する組み合わせをスクリーニングす
    るための方法。 (1) m個(2n-1≦m≦2n−1、mとnは、m≧3、
    n≧2の自然数)のA群の検体Ai(3≦i≦m)、およ
    びx個(xは自然数)のB群の検体Bj(1≦j≦x)を
    用意し、 (2) A群の検体Aiそれぞれをg桁(n≦g)の2進
    法によって番号付けし、 (3) 2進法で表した番号の1桁目が1であるA群の
    検体Aiを混合して混合物C1とし、同様にしてk桁目(1
    ≦k≦g)が1であるA群の検体Aiを混合して混合物Ck
    とし、混合物C1から混合物Cgのg種類からなる混合物を
    得、 (4) g種類の混合物C1からCgのそれぞれについて、
    B群の検体Bjとの検体間の相互作用を検出し、 (5) 混合物C1からCgを構成する各混合物について、
    B群の検体Bjと相互作用が検出された場合に1を、検出
    されなかった場合に0を与えることによって、k桁目を
    1または0とするg桁の2進数を決定し、 (6) (5)で得た2進数に対応するA群の検体Aiを
    照合することにより、A群の検体AjとB群の検体Bjの対
    応関係を決定する。
  2. 【請求項2】検体間の対応関係が、A群とB群の各群を
    構成する検体間における相互作用を伴う請求項1の方
    法。
  3. 【請求項3】A群の検体とB群の検体との、検体間の相
    互作用に基づく対応関係が、1:1もしくは1:多である請
    求項2の方法。
  4. 【請求項4】g=nである請求項1の方法。
  5. 【請求項5】A群検体に2n−1までの検体固有の番号を
    与える請求項4の方法。
  6. 【請求項6】更に付加的に、A群の検体すべてを混合し
    て得た混合物Caと、B群の検体Bjとの相互作用を検出す
    る工程を含む請求項1から5のいずれかの方法。
  7. 【請求項7】1つのA群の検体に2シリーズ以上の番号
    付けを行い、各シリーズについて請求項1の方法を繰り
    返す工程を含む、A群とB群の各群を構成する検体の中
    から検体間で、物理的、化学的または生物的な対応関係
    を有する組み合わせをスクリーニングするための方法。
  8. 【請求項8】A群の検体がオリゴヌクレオチドであり、
    B群の検体がDNAである請求項1から7のいずれかの方
    法。
  9. 【請求項9】A群の検体としてSTSマーカーを、B群の
    検体としてゲノムライブラリーを用い請求項8の方法を
    実施することを含むSTSマッピング方法。
  10. 【請求項10】A群の検体として転写評価プラスミド
    を、B群の検体として転写調節活性を持つ候補化合物を
    用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】A群の検体として膜受容体を、B群の検
    体としてアゴニスト化合物を用いる、請求項1〜7のい
    ずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】A群の検体として抗原の断片を、B群の
    検体としてモノクローナル抗体を用いる、請求項1〜7
    のいずれかに記載の方法。
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