JP3494970B2 - 眼用レンズの表面改質方法 - Google Patents

眼用レンズの表面改質方法

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JP3494970B2
JP3494970B2 JP2000306155A JP2000306155A JP3494970B2 JP 3494970 B2 JP3494970 B2 JP 3494970B2 JP 2000306155 A JP2000306155 A JP 2000306155A JP 2000306155 A JP2000306155 A JP 2000306155A JP 3494970 B2 JP3494970 B2 JP 3494970B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、眼用レンズの表面改質方法に係
り、特に、大気圧下で発生させたプラズマを眼用レンズ
の表面に照射せしめることによって、水濡れ性(親水
性)の向上等のレンズ表面の改質を有利に実現し得る方
法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、コンタクトレンズ等の眼用レン
ズの装用時における異物感を解消せしめて優れた装用感
を得るべく、眼用レンズの表面を改質して、その水濡れ
性を向上させ、涙液との馴染み、ひいては、角膜とレン
ズ表面の馴染みを高める各種の手法が、提案されてきて
いる。
【0003】例えば、特許第2846343号公報にお
いては、減圧下、酸素不含の雰囲気中にて、酸素透過性
硬質コンタクトレンズに対して、高周波グロー放電処理
を施すことによって、コンタクトレンズに水濡れ性を付
与する方法が明らかにされている。また、特開平3−2
20519号公報においては、常圧或いは減圧下で、コ
ンタクトレンズ基材の表面に対して放電処理を施し、か
かる表面上にラジカルを発生させ、更に、そのようなラ
ジカルの発生したコンタクトレンズ基材表面に対して、
N,N−ジメチルアクリルアミドをグラフト重合させる
ことによって、水濡れ性を向上せしめる方法が、明らか
にされている。
【0004】しかしながら、前者の方法にあっては、減
圧下、且つ、作用ガスに酸素を含有しない酸素不含の雰
囲気中にて、実施されるものであるところから、減圧容
器内にコンタクトレンズを設置した後に、減圧容器内の
ガス置換や減圧作業を行なわなければならず、そのため
に、大気中の空気をそのまま使用することが出来ないと
共に、作業効率が悪く、そのような改質処理が施される
コンタクトレンズの処理コストの高騰を招来しているの
である。一方、後者の方法においては、コンタクトレン
ズ基材に対して、放電処理を行ない、更に、かかる処理
に引き続いて、グラフト重合を実施しなければならない
ために、前者に比して、処理工程が複雑化せしめられて
いると共に、コンタクトレンズの製造コストがより一層
高くなるといった問題を惹起しているのである。
【0005】ところで、上述せるような放電処理(プラ
ズマ処理)には、水濡れ性を向上せしめる効果の他に
も、殺菌効果も存在することが、明らかにされているの
であって、例えば、特開平8−156920号公報にお
いては、対向する電極間に位置せしめられた、合成高分
子材料や天然高分子材料からなる被処理物体に対して、
大気圧グロー放電処理が行なわれることによって、細菌
胞子の効果的な滅菌が達成されているのである。
【0006】しかしながら、そのような特開平8−15
6920号公報に提案されている方法を、眼用レンズの
分野に適用して、改質処理と殺菌処理を同時に行なった
としても、依然として、限られたスペースの電極間に被
処理物体を一々設置しなければならないといった手間が
掛かり、大量生産されるコンタクトレンズを短時間に処
理することが出来ない等といった問題や、電極間の雰囲
気中での処理であるところから、その改質効果が弱い、
更には、晒されるプラズマガスの密度に偏りが発生する
ために、均一な表面処理が出来ない等といった問題が内
在しているのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、大気圧下で発生させたプラズマを眼用レンズの
表面に照射せしめることによって、均一な表面改質を、
優れた作業性と経済性をもって、有利に実現し得る、眼
用レンズの優れた表面改質方法を、提供することにあ
る。
【0008】
【解決手段】そして、本発明にあっては、そのような課
題を解決するために、大気圧下でプラズマを発生させる
一方、かかる発生したプラズマを眼用レンズに接触せし
めて、該眼用レンズの表面の改質を行なうことを特徴と
する眼用レンズの表面改質方法を、その要旨とするもの
である。
【0009】すなわち、かくの如き本発明に従う眼用レ
ンズの表面改質方法においては、大気圧下で放電せしめ
て電極間にプラズマを発生させ、そして、そのようにし
て発生せしめたプラズマを眼用レンズに接触せしめるこ
とによって、眼用レンズ表面の水濡れ性(親水性)の向
上等といった、表面改質を行なうようにしているところ
から、減圧状態にする必要がなく、以て作業性が著しく
向上すると共に、それに要する時間や処理コストの削減
が出来、また、減圧容器内の空気を所定のガスに置換す
るための、ガス導入用設備(ガス配管、ガス等)に要す
る設備コストの削減も出来るといった利点を有している
のである。
【0010】また、本発明においては、前記した課題を
より一層有利に解決するために、プラズマ発生装置の電
極間で大気圧下においてプラズマを発生せしめる一方、
かかる発生したプラズマを、該プラズマ発生装置の電極
間へのガスの導入によって、該電極間から外部に吹き出
させ、該プラズマ発生装置外に配置した眼用レンズに対
して、該吹き出させたプラズマを照射せしめることによ
り、該眼用レンズの表面の改質を行なうことを特徴とす
る眼用レンズの表面改質方法をも、その要旨としてい
る。
【0011】このような本発明に従う眼用レンズの表面
改質方法にあっては、被処理物体である眼用レンズをプ
ラズマ発生装置の電極外に配置すると共に、大気圧下で
放電せしめて、電極間にプラズマを発生させ、更に、そ
の電極間にガスを導入し、強制的に吹き付ける(ブロー
する)ことによって、発生したプラズマを電極間外に吹
き出させて、かかる眼用レンズに照射せしめるようにな
っているところから、従来の如き、電極間という限られ
たスペースに、所定数の眼用レンズを、繰り返し設置し
なければならないといった作業の煩雑さが全く解消され
得ることとなるのであり、それによって、眼用レンズの
処理スピードを飛躍的にアップせしめることが出来、優
れた作業性と経済性が有利に実現され得るのである。
【0012】しかも、電極間で発生したプラズマを、眼
用レンズに吹き付けるようにして照射するようにしてい
るところから、プラズマガスの密度に偏りが発生するよ
うなことがなく、眼用レンズのより均一な表面改質処理
を効果的に実現し得ることとなるのである。
【0013】なお、かかる本発明に従う眼用レンズの表
面改質方法の望ましい態様の一つによれば、前記プラズ
マ発生装置に対して前記眼用レンズを相対的に移動せし
める搬送手段が設けられ、該搬送手段にて該眼用レンズ
を順次移動せしめつつ、前記プラズマ発生装置からプラ
ズマが吹き付けられるようになっており、これによっ
て、表面改質処理が実施される処理位置への、眼用レン
ズの連続的な供給が有利に実現され、以て、眼用レンズ
の連続処理が可能となり、より一層優れた作業性及び経
済性が有利に達成され得るのである。
【0014】また、本発明における別の好ましい態様の
一つによれば、前記眼用レンズを可撓性の保持具に保持
せしめた状態下において、前記プラズマ照射が行なわれ
る。このような構成を採用することによって、プラズマ
ガスを眼用レンズに対して吹き付けても、眼用レンズが
吹き飛んでしまうようなことや、プラズマガスの強い流
れによって眼用レンズが大きく屈曲せしめられて、物理
的に損傷を受ける等の問題を生じるようなことが、効果
的に抑制乃至は防止され得ることとなる。
【0015】さらに、本発明に従う眼用レンズの表面改
質方法の他の好ましい態様の一つによれば、前記プラズ
マの吹出方向が前記眼用レンズの平面方向とされて、該
眼用レンズの側方よりプラズマが照射されることとが、
望ましい。これによって、眼用レンズの全面に、例え
ば、コンタクトレンズの場合にあっては、前面と後面の
両面に、プラズマが満遍なく行き渡り、均一な表面改質
を行なうことが出来るのである。
【0016】更にまた、本発明の好ましい態様によれ
ば、前記プラズマ発生装置の電極間への導入ガスとし
て、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、または
それらの2種以上の混合ガス、或いは、大気が、有利に
用いられることとなる。
【0017】加えて、本発明に従う眼用レンズの表面改
質方法の別の好ましい態様の一つによれば、前記プラズ
マが、グロー放電によって発生せしめられることが、望
ましく、更に、前記プラズマの照射時間としては、0.
5〜180秒が、有利に採用される。
【0018】また、ここにおいて、上述せるような表面
改質を行なう前記眼用レンズとしては、コンタクトレン
ズが好適に対象とされることとなる。
【0019】さらに、本発明の有利な態様の一つによれ
ば、前記眼用レンズが、二つの型間に形成される成形キ
ャビティ内におけるモールド成形操作によって成形され
た後、該二つの型の型開きを行ない、該眼用レンズを一
方の型に保持せしめた状態下において、該眼用レンズの
他方の型から開放された面に対して、前記プラズマの照
射が行なわれるようにすることも望ましく、そして、こ
のような構成を採用することによって、眼用レンズの保
持を有利に実現しつつ、所望とするレンズ面のみに改質
処理を施すことが、可能となるのである。
【0020】そして、本発明に従う表面改質方法の他の
好ましい態様によれば、前記プラズマの照射によって、
前記眼用レンズの表面改質と同時に、表面殺菌が実施さ
れることが、望ましく、更には、前記プラズマが、過酸
化水素水に接触させたガスを用いて発生せしめられるよ
うになっていることが、望ましい。このように、過酸化
水素水に接触させたガスを用いることによって、殺菌作
用が効果的に向上せしめられることとなる。
【0021】加えて、本発明は、上述せる如き優れた利
点を享受する表面改質方法によって表面処理された眼用
レンズをも、その対象とするのである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施の形態について、図面を
参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0023】先ず、図1には、本発明に従って眼用レン
ズの表面改質を行なう際に有利に用いられるプラズマ発
生装置の一例が、概略的に示されている。そして、そこ
において、10はプラズマ発生装置のヘッドであって、
全体として筐体形状を呈するチャンバ12内に、プラズ
マを発生せしめる電極14,16、及び、そのような電
極14,16間で発生したプラズマを、チャンバ12の
外部に吹き出させるための作動ガスを導入するガス導入
管18が内蔵されて、構成されており、かかる電極1
4,16間へのガスの導入によって、プラズマをプラズ
マ吹出口19から、プラズマ発生装置外に吹き出させ
て、後述するように、外部に配置せしめた眼用レンズに
対して、該吹き出させたプラズマを接触乃至は照射せし
めるようになっているのである。
【0024】より具体的には、電極14,16間おける
プラズマの発生は、ヘッド10内の電極14,16間
に、ヘッド10の外部に設置された高圧電源22より、
制御回路20を介して、所定の電圧を印加することによ
り、大気圧下に、電極間に空気乃至は所定のガスを存在
せしめて、放電せしめることによって、実現されるよう
になっているのである。なお、その際の印加電圧として
は、安定したグロー放電を得るために、一般に、10k
V〜20kVの範囲内の電圧が、好適に採用されること
となる。かかる印加電圧が10kVより小さい場合にあ
っては、電界が不安定となり、そのようにして発生した
プラズマを、眼用レンズに接触乃至は照射せしめても、
不均一な表面処理となり、また処理時間も長くなってし
まうからであり、逆に、印加電圧が20kVを超えるよ
うになると、アーク放電状態となり、表面処理される眼
用レンズにクラック等の損傷が生じる等の問題が発生す
るからである。
【0025】また、上述の如き範囲にある電圧を印加す
る際の交流電源の周波数としては、一般に、20kHz
〜30kHzの範囲が、好適に採用されるのである。尤
も、50Hz乃至は60Hzの周波数を採用することも
可能ではあるが、そのような商用の50Hz〜60Hz
の周波数にて、上述せる如き高電圧を得るには、大型の
トランスが必要となり、設備スペースや安全性におい
て、種々なる問題が惹起されることとなる。そして、こ
のような高周波(20kHz〜30kHz)に変調する
ことによって、小型トランスの使用が可能となり、高圧
電源22の小型化、ひいては、装置全体の小型化や省ス
ペース化、安全性の向上が効果的に実現されるようにな
るのである。なお、かかる小型トランスを使用した際
に、周波数が20kHz未満である場合には、上記せる
如きプラズマを発生させるために必要な10kV以上の
電圧が得られず、また逆に、周波数が30kHzを超え
るような場合には、印加電圧が20kVを超えるように
なり、安定したプラズマ(放電)状態が得られず、目的
とする表面改質処理を行なうことが不可能となるのであ
る。
【0026】しかも、上述せるような電圧の印加は、図
示されていない制御装置(コントローラ)によって制御
されるようになっており、そのような制御によって、眼
用レンズの種類や材質、サイズ等の種類に応じて、最適
な表面改質を実施することが可能となっているのであ
る。例えば、眼用レンズの表面改質処理を実施するため
には、電圧を印加する周期としては10〜50ミリ秒
(ms)の範囲、また、デューティ比(=TD /TP
但し、TD =パルス持続時間、TP =パルス繰返し周
期)としては0.1〜0.8の範囲で、それぞれ、制御
されることが望ましく、このように、電極に印加する電
圧をパルス化し、周期やデューティ比を可変にすること
により、プラズマ処理による効果を変化せしめることが
出来るのである。尤も、周期が50msよりも大、或い
は、デューティ比が0.1未満となると、プラズマ状態
を維持することが困難となる一方、周期が10msより
も小、或いは、デューティ比が0.8を超えるようにな
ると、過度の改質が惹起される恐れがあり、そのために
後述の照射時間を微妙に制御する必要があるところ、そ
のような照射時間を0.1秒ステップで制御することは
困難であるのである。
【0027】ところで、かくの如くして電圧を印加する
ことによって電極14,16間に発生せしめられたプラ
ズマは、ガス導入管18の吐出口24から供給されるガ
スによって、プラズマ吹出口19を通じて、ヘッド10
の外部に吹き出させられるのである。詳細には、ヘッド
10の外部に設けられたポンプ26によって、所定の流
量において、所定のガスが作動ガスとして供給されるよ
うになっており、そしてその供給されたガスは、ガス導
入管18を通じて、吐出口24から電極14,16間に
向って噴出せしめられるようになっている。そして、吐
出口24から噴射されたガスは、電極14,16間にて
発生したプラズマを、プラズマ吹出口19から、プラズ
マ装置外に吹き出すようになっているのである。
【0028】なお、電極14,16間に導入されるガス
としては、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、
または、それらの2種以上を組み合わせてなる混合ガ
ス、或いは、大気圧下においてプラズマ(放電)が発生
せしめられるものであるところから、大気(空気)をそ
のまま用いることも出来る。そして、それらのガスの中
でも、大気(空気)を採用することによって、表面改質
処理におけるランニングコストの大幅な削減が可能とな
り、優れた経済性を有利に実現することが出来るのであ
る。また、そのような導入ガスの吐出速度は、特に限定
されるものでなはく、必要に応じて適宜に設定されるこ
ととなるが、好ましくは、10〜20L/分が採用され
る。かかる吐出速度が10L/分未満の場合には、プラ
ズマの照射量が少なく、充分な表面改質処理が実施され
得ないのであり、また、200L/分を超えるようにな
ると、プラズマの照射量が多過ぎて、レンズ表面にクラ
ック等の損傷が発生するようになる。
【0029】そして、プラズマ吹出口19から吹き出さ
れるプラズマガスは、図2に示されるように、プラズマ
発生装置外に配置せしめられた眼用レンズ(コンタクト
レンズ28)に吹き付けられるようになっている。この
ように、発生したプラズマを電極外に吹き出させて、眼
用レンズ(28)に照射せしめるところから、従来のよ
うに、電極間の限られたスペースに、所定数の眼用レン
ズを、繰り返し設置する作業が皆無ならしめられ得、そ
れによって、眼用レンズの処理スピードが向上せしめら
れ、優れた作業性が得られることとなるのである。しか
も、かかる吹付け手法の採用によって、照射するプラズ
マガスの密度に偏りが生ずることを有利に防止すること
が出来、眼用レンズの表面改質処理をより均一とするこ
とが可能となる。
【0030】より具体的には、かかるコンタクトレンズ
28は、実開昭50−20652号公報や実公平1−4
3697号公報、実開昭62−35326号公報等に開
示されているレンズホルダーと同様な、可撓性を有する
保持具30(図3,4参照)に挿入されて、保持されて
おり、それによって、プラズマガスをコンタクトレンズ
28に対して吹き付けても、コンタクトレンズ28が飛
ばされてしまうようなことや、プラズマガスによる応力
がコンタクトレンズ28に対して過度に加わって、保持
具によってコンタクトレンズ28が屈曲せしめられて損
傷するようなこと等が、有利に防止せしめられ得るよう
になっているのである。
【0031】ここにおいて、かかる保持具30は、図3
又は図4に示されるように、コンタクトレンズを保持す
るための保持部34が、適度な弾性並びに柔軟性を有す
る樹脂材料を用いて形成されており、そのような可撓性
を有することによって、コンタクトレンズに対して応力
等が過度に加えられないようになっているのである。
【0032】詳細には、かかる保持具30は、可撓性の
保持部34と、該保持部34に一体的に形成される支持
軸40、及び、該支持軸40が固定的に立設せしめられ
る基台42から構成されている。更に、かかる保持部3
4は、外側端部が略円弧状を呈する一対の狭持アーム3
6,36が、それらの付根部分にて、一体的に連結され
るような形状をもって構成されており、また、該狭持ア
ーム36,36は、コンタクトレンズ28が該一対の狭
持アーム36,36間において狭持され得るように、そ
の外壁部35と側壁部37とからなるコ字状断面の開口
部が、所定間隔を隔てて、対向配置する状態で設けられ
ている。また、それぞれの狭持アーム36,36の先端
部は、外壁部35が互いに離隔する方向に反らされて爪
部38,38とされ、それによって、保持部34へのコ
ンタクトレンズ28の挿入が行ない易くされている。
【0033】そして、上述の如き保持具30が、プラズ
マ装置に対して相対的に移動せしめられる搬送手段30
に一定の間隔をおいて載置されているところから、コン
タクトレンズ28が、プラズマ発生装置(ヘッド10)
に対して、相対的に移動することが可能となっているの
である。なお、かかる搬送手段32としては、従来から
公知の各種の搬送手段、例えば、ベルトコンベアやチェ
ーンコンベア、インデックステーブル、ターンテーブル
等が好適に採用され得るのであり、このような搬送手段
32によって、表面改質処理が実施される処理位置へ
の、コンタクトレンズ28の連続的な供給が有利に実現
され、以て、眼用レンズの連続的な処理(ライン化)が
可能となり、優れた作業性と経済性が効果的に達成され
ることとなるのである。
【0034】また、図2において、コンタクトレンズ2
8は、その光学的中心軸乃至は幾何中心軸が水平となる
ように且つ搬送方向に対して直角となるように保持具3
0に保持されており、このようにして、立てられた状態
のコンタクトレンズ28の上方に、プラズマガスの吹出
口を設置することによって、プラズマの吹出方向がコン
タクトレンズ28の平面方向乃至はそれに平行な方向と
されて、コンタクトレンズ28の側方よりプラズマが照
射されるようになっているのである。そして、このよう
な構成を採用することによって、吹き出されるプラズマ
ガスが、コンタクトレンズ28の前面と後面に隈無く行
き渡って、均一な表面改質を行なうことが出来るのであ
る。
【0035】なお、上述せる如き表面改質処理が実施さ
れる眼用レンズとしては、従来から公知の各種の眼用レ
ンズを採用することが可能であり、例えば、シリコン含
有含水性ソフトコンタクトレンズや、シリコン含有非含
水性ソフトコンタクトレンズ、シリコン含有ガス透過性
ハードコンタクトレンズ等のコンタクトレンズ(28)
の他、エチルメタクリレートを主成分としたポリマーか
らなる眼内レンズ等を、挙げることが出来る。
【0036】ところで、上述の如き眼用レンズに対し
て、プラズマガスを吹き付けてプラズマを照射させる際
には、プラズマ発生装置のヘッド10の電極14,16
の先端部からコンタクトレンズ28までの最短距離(ワ
ークディスタンス)は、3mm〜20mmの範囲で設定
されることが、望ましい。かかるワークディスタンス
が、3mm未満である場合には、吹出口の吹き出し部分
が狭くなり、ガスの吐出が不完全となるので、所期のプ
ラズマ照射による眼用レンズの表面改質効果を得ること
が困難となる一方、ワークディスタンスが20mmを超
える場合にあっては、ワークディスタンスが大きくなる
に従って、プラズマ処理面積が小さくなるところから、
表面改質の処理幅が略0mmとなり、プラズマ処理を実
施しても、その効果は殆ど得られなくなる。
【0037】また一方、プラズマガスの照射時間として
は、充分な表面改質効果、言い換えれば、水濡れ性が充
分に付与され得るように、0.5〜180秒が、好まし
い。けだし、照射時間が0.5秒未満では、プラズマ処
理による効果が殆ど得られず、また、180秒を超える
と、眼用レンズにクラック等の損傷が発生することとな
るからである。また、照射時間を1秒以上と為すことに
よって、特に有効なプラズマ照射による表面改質効果が
得られ、また、10秒以下を採用することによって、よ
りスムーズな連続処理が可能となって、処理スピードが
飛躍的に向上するところから、上述の照射時間の範囲
(0.5〜180秒)の中でも、1〜10秒が、更に好
ましいのである。なお、かかる照射時間が10秒付近を
超えるようになると、酸素元素比の増加は、定常とな
り、プラズマによる改質効果も充分に実現されているこ
とから、10秒までの照射で十分なのである。
【0038】以上、詳述したように、上例にかかるプラ
ズマ発生装置にあっては、コンタクトレンズ28に代表
される眼用レンズに対して、大気圧下においてプラズマ
(グロー放電)処理を施すものであるところから、従来
の低圧グロー放電や、大気圧下におけるコロナ放電等に
よるコンタクトレンズの放電処理と同様乃至はそれらに
優る、コンタクトレンズ表面の改質(親水性化)効果、
つまり、水濡れ性の向上が達成されるようになったので
あり、しかも、そのようなプラズマ処理によって、コン
タクトレンズの殺菌処理をも同時に実現することが出来
るようになるのである。
【0039】また更に、大気圧下において、グロー放電
させているところから、減圧状態にする必要がなく、以
て、作業性が著しく向上すると共に、それに要する時間
やコストの削減が出来、また、減圧容器内の空気を所定
のガスに置換するための、大規模なガス導入用設備(ガ
ス配管、ガス等)等に必要とされる設備コストの削減も
出来るのである。
【0040】しかも、本実施形態においては、陰陽両極
間外に処理されるべき眼用レンズを配置し、陰陽両極間
にプラズマ(グロー放電)を発生せしめて、そのような
プラズマを、導入ガスによって強制的に、電極外の眼用
レンズに吹き付けることによって、目的とする表面改質
処理を実施しているところから、短時間での均一な表面
改質が可能となると共に、プラズマ装置を、被処理物体
である眼用レンズが一定の間隔をおいて載置されたベル
トコンベア等より成る搬送系から独立して、使用するこ
とが可能となるため、設備配置の簡便化、省スペース化
を図ることが可能となるのである。さらに、搬送系が電
極間を通過するようなことがないため、プラズマによっ
て被る搬送系のダメージが軽減されることとなる。
【0041】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
【0042】−実施例1 [表面改質効果]− 眼用レンズとして、シリコン含有ガス透過性ハード(R
GP)コンタクトレンズの12枚とシリコン含有含水性
ソフトコンタクトレンズの6枚を用いる一方、プラズマ
発生装置として、株式会社キーエンス製プラズマ照射器
[ST−7000]を用いて、かかるコンタクトレンズ
の各々に対して、表面改質処理を実施した。また、かか
る表面改質処理の条件として、ワークディスタンス:6
mm、印加電圧:10kV、周波数:20〜25kH
z、照射レベル:[周期:32ms、周波数:31.2
5Hz、デューティ比:25%]、導入ガス:大気を採
用し、可撓性保持具の使用の有無や照射時間について
は、下記表1,2に示されるように変化せしめて、表面
改質処理の施された本発明例1〜18のサンプルレンズ
を得た。
【0043】一方、比較のために、上記した本発明例1
〜18のコンタクトレンズとは別に、シリコン含有RG
Pコンタクトレンズとシリコン含有含水性ソフトコンタ
クトレンズの各1枚を準備し、プラズマ処理を施すこと
なく、比較例1及び比較例2のサンプルレンズとした。
【0044】次いで、上述の如くして準備された20枚
のサンプルレンズに対して、水濡れ性、クラックの発生
の有無、及び酸素元素比について、評価を行なった。
【0045】−水濡れ性の評価− エルマ光学株式会社製ゴニオメータ式接触角測定装置
[G−1]を用い、シリコン含有RGPコンタクトレン
ズ(実施例1〜12及び比較例1)に対しては、液適法
による接触角度の測定を行ない、得られた結果を、下記
表1に示した。一方、シリコン含有含水ソフトコンタク
トレンズ(本発明例13〜18及び比較例2)に対して
は、気泡法による接触角度の測定を行ない、その得られ
た結果を、下記表2に示した。
【0046】−クラック発生の有無の評価− 株式会社ナイツ製ステレオマイクロスコープ(実体顕微
鏡)を用いて、20倍の倍率を採用して、本発明例1〜
18、比較例1,2のコンタクトレンズにおけるクラッ
クの発生の有無を確認し、その結果を下記表1及び表2
に示した。
【0047】−酸素元素比の測定− 日本電子株式会社製X線光電子分光装置[JPS−90
00MX]を用い、励起X線としては、MgKα 非単
色X線を適用し、エネルギー分解能を0.9eVとし
て、本発明例1〜18、比較例1,2の20枚のコンタ
クトレンズに対して、それぞれ酸素元素比の測定を行な
い、その得られた結果を下記表1及び表2に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】上記表1及び表2からも明らかなように、
比較例1及び比較例2の如くプラズマ処理を行なわない
ものは、接触角が大きく、明らかに水濡れ性が悪い。そ
れに対して、本発明例1〜12、及び本発明例13〜1
8のコンタクトレンズは、何れも、クラック等の損傷が
なく、また、接触角が小さくなっており、水濡れ性が向
上せしめられていることがわかる。しかも、そのような
接触角は、プラズマガスの照射時間が長くなるにつれ
て、鋭角となっていることがわかる。
【0051】加えて、酸素元素比も、プラズマガスの照
射時間が長くなるにつれて、高くなっていることがわか
る。また、上記表1から明らかなように、可撓性の保持
具によって、コンタクトレンズ表面へのプラズマの照射
が妨害されるようなことがないことも、確認出来る。
【0052】−実施例2 [殺菌効果]− 眼用レンズとして、シリコン含有RGPコンタクトレン
ズの6枚を用いて、これらに、105 cfu/mL の Bacill
us subtilis IFO3513(枯草菌)の胞子懸濁液を、約1
3 cfu/lens となるように、10μLずつ付着させ
て、風乾させた。そして、枯草菌の付着せしめられた6
枚のコンタクトレンズのうち、3枚のコンタクトレンズ
に対して、実施例1と同様にして、プラズマガスを吹き
付けることによって表面改質処理を施し、本発明例19
〜21のサンプルレンズとした。なお、プラズマの照射
条件としては、照射時間:10秒を採用した他は、前記
の実施例1と同様な条件を採用した。
【0053】また、比較のために、残りの3枚のうちの
1枚のコンタクトレンズに対しては、何等の処理も行な
わないで、比較例3のサンプルレンズとする一方、他の
2枚に対しては、プラズマを含まない単なる空気を吹き
付けて(エアブロー)、比較例4及び比較例5のサンプ
ルレンズとした。
【0054】次いで、上述の如くして準備された本発明
例19〜21、及び比較例1,2のサンプルレンズに残
存する枯草菌の生菌数を、以下の如くして測定した。す
なわち、先ず、サンプルレンズを1枚ずつ、滅菌済みの
ガラスバイアルに入れ、そこに0.1w/v%ポリソル
ベート添加ペプトン食塩緩衝液を2mLずつ加えて、ボ
ルテックスミキサーで、最大速度で約10秒間、攪拌せ
しめた。そして、そのようにして枯草菌の溶出された溶
液を、0.1mLずつ採取し、それを、2枚のソイビー
ン・カゼイン・ダイジェスト寒天平板培地(SCDA plat
e)にそれぞれ塗沫して、32℃のインキュベーター内
で一晩、培養した。培養後、平板培地上に生育したコロ
ニーを数え、2枚のプレートの平均値を、それぞれ求め
て、サンプルレンズ1枚当たりの生菌数(cfu/lens)を
算出し、得られた結果を下記表3に示した。また、プラ
ズマ照射処理群(本発明例19〜21)、及びエアブロ
ー処理群(比較例4,5)については、その平均値(cf
u/lens)も算出し、下記表3に併せ示した。
【0055】
【表3】
【0056】上記表3から明らかなように、エアブロー
処理された比較例4及び5のコンタクトレンズにあって
は、何等の処理も為されていない比較例3と略同数の枯
草菌が付着しており、空気を吹き付けることによって、
コンタクトレンズに付着した枯草菌が飛散することが、
殆どないことがわかる。これに対して、プラズマが照射
せしめられた本発明例19〜21のコンタクトレンズに
あっては、下記計算式から導かれるように、約40%の
枯草菌が死滅し、殺菌効果が実現されているのである。 殺菌率(%)=(平均無処理生菌数−平均プラズマ照射
後生菌数)÷平均無処理生菌数×100=40.6
【0057】また、このような殺菌率は、上述の実施例
1の結果を考慮すると、プラズマの照射時間を更に延長
することで、殺菌効果はより高くなると推察され得る。
更には、プラズマ発生装置に導入されるガスとして、過
酸化水素水に接触せしめたガスを用いることによって、
OHラジカル、Oラジカルの生成が活性化され、それに
よっても、殺菌効果が向上すると推察され得るのであ
る。
【0058】以上、本発明の代表的な具体例について詳
述したが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであ
って、本発明が、上記の記載によって、何等の制約をも
受けるものではないことは、言うまでもないところであ
る。
【0059】例えば、前記の実施形態では、眼用レンズ
(コンタクトレンズ28)の表面全体に亘って、プラズ
マが照射されるようになっていたが、そのような処理面
は、目的に応じて適宜に設定されるものである。例え
ば、眼用レンズが、特開平10−315252号公報や
特開平6−208090号公報、特開平5−33795
7号公報、特開昭55−151618号公報、実開平4
−89309号公報等に提案されている如き、二つの型
間に形成される成形キャビティにおけるモールド成形操
作によって成形される場合には、二つの型の型開きを行
ない、かかる眼用レンズを一方の型に保持せしめた状態
下において、該眼用レンズの他方の型から開放された、
所望とする面に対して、プラズマが照射されるようにす
ることも、何等可能なのである。
【0060】加えて、所望とする形状やサイズの開口部
を有するマスキング用マスクを、プラズマ発生装置と眼
用レンズの間に設けることにより、マスキングを施し、
そして、眼用レンズにプラズマを照射することによっ
て、所望とする形状やサイズの、部分的な表面改質処理
を実施することも可能である。なお、そのような構成を
採用する場合には、かかるマスキング用マスクは、交換
可能であることが望ましい。
【0061】また、上記の実施形態では、眼用レンズ
(コンタクトレンズ28)は、その光学的中心軸乃至は
幾何中心軸が、水平且つ、搬送方向に垂直となるように
保持されて、プラズマが照射されていたが、何等これに
限定されることはなく、そのような眼用レンズの中心軸
が鉛直となるように保持されてもよく、このような保持
状態を採用する場合には、レンズの側面に対して、水平
方向からのプラズマの照射が有利に採用される。
【0062】さらに、眼用レンズ(コンタクトレンズ2
8)が保持される可撓性の保持具30の支持軸40を、
搬送手段32に移動不能に載置された基台42に対し
て、回転可能とすることも出来、このような構成を採用
することによって、より一層均一な表面改質を行なうこ
とが可能となる。
【0063】また、そのような保持具の構造も、例示の
構造に限定されるものではなく、眼用レンズの種類や材
質に応じて、適当な構造のものが採用され得るのであ
り、また、プラズマガスの吹き付けによって、吹き飛ぶ
等の問題が生じない限り、本発明において、何等必須の
ものではないのである。
【0064】加えて、前記実施形態においては、眼用レ
ンズ(コンタクトレンズ28)に対して、1つのヘッド
10からプラズマガスを吹き付けて、プラズマを照射し
ていたが、複数のヘッド10を用いることによって、複
数の方向からプラズマを照射するようにしてもよい。
【0065】さらに、上記の実施形態においては、眼用
レンズ(コンタクトレンズ28)が、プラズマ発生装置
(10)に対して、相対的に移動せしめられていたが、
それとは逆に、プラズマ発生装置(10)を眼用レンズ
に対して移動せしめるようにすることも可能であり、更
には、両者を相対的に移動するような構成を採用して
も、何等差支えない。
【0066】また、上記の実施形態では、電極間に導入
するガスとして、大気(空気)や、窒素、酸素、ヘリウ
ム、ネオン、アルゴン、または、それらの2種以上を組
み合わせてなる混合ガスが例示されていたが、これらの
ガスを過酸化水素に接触せしめて、用いることも可能で
あり、このような過酸化水素の接触せしめられたガスを
採用することによって、眼用レンズのより一層優れた殺
菌が実現されることとなる。
【0067】さらに、本発明においては、前述せる如き
眼用レンズの表面改質処理と同時に、眼用レンズに対し
て、UV照射処理や、オゾン改質処理等の、従来から公
知の各種の表面処理を実施するようにしても、何等差支
えない。
【0068】また、眼用レンズを保持するための保持具
や成形型等には、眼用レンズの規格等のデータを記憶す
る、IDチップやバーコード等からなるデータ媒体(実
開平6−82923号公報参照)が設けられてもよく、
このようなデータ媒体を取り付けることによって、その
データを基に、プラズマの照射時間や照射量、照射強度
等を制御することによって、製品別や規格別に表面改質
処理をコントロールことが可能となる。
【0069】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う眼用レンズの表面改質方法によれば、眼用レンズ
に対して、クラックの発生等の悪影響をもたらすことな
く、効果的な親水性(水濡れ性)の向上が有利に実現さ
れ得るのであり、また更には、眼用レンズの表面改質処
理と同時に殺菌処理も行なわれるといった利点を有して
いるのである。従って、そのような本発明に従う表面処
理が施されてなる眼用レンズは、眼用レンズ自体が本来
有する優れた特性が維持されつつ、優れた水濡れ性(親
水性)及び殺菌が付与されたものとなるのである。
【0070】しかも、そのような優れた表面改質処理
は、大気圧下において、電極間外に配置せしめられた眼
用レンズに対して実施されるようにすることによって、
優れた作業性と経済性をもって、更に有利に実現され得
るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う眼用レンズの表面改質方法を実現
し得るプラズマ発生装置の一例を概略的に示す部分断面
説明図である。
【図2】本発明手法に従って、図1に示されたプラズマ
発生装置を用いてコンタクトレンズを表面改質処理する
工程の一例を示す説明図である。
【図3】本発明手法において、コンタクトレンズを保持
するために用いられる可撓性の保持具の一例を示す一部
切欠正面図である。
【図4】図3におけるIV−IV断面図である。
【符号の説明】
10 ヘッド 12 チャンバ 14,16 電極 18 ガス導入管 19 プラズマ吹出口 20 制御回路 22 高圧電源 24 吐出口 26 ポンプ 28 コンタクト
レンズ 30 保持具 32 搬送手段 34 保持部 35 外壁部 36 狭持アーム 37 側壁部 38 爪部 40 支持軸 42 基台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C08L 101:00 C08L 101:00 (56)参考文献 特開 昭61−118136(JP,A) 特開 平5−23579(JP,A) 特開2000−266903(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02C 7/04 A01N 55/00 C08J 7/00 306 C08J 7/00 CER C08J 7/00 CEZ

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧下でプラズマを発生させる一方、
    かかる発生したプラズマを、過酸化水素水に接触させた
    ガスを用いて、眼用レンズに接触せしめて、該眼用レン
    ズの表面の改質を行なうことを特徴とする眼用レンズの
    表面改質方法。
  2. 【請求項2】 プラズマ発生装置の電極間で大気圧下に
    おいてプラズマを発生せしめる一方、かかる発生したプ
    ラズマを、該プラズマ発生装置の電極間に過酸化水素水
    に接触させたガス導入せしめることによって、該電極
    間から外部に吹き出させ、該プラズマ発生装置外に配置
    した眼用レンズに対して、該吹き出させたプラズマを照
    射せしめることにより、該眼用レンズの表面の改質を行
    なうことを特徴とする眼用レンズの表面改質方法。
  3. 【請求項3】 前記プラズマ発生装置に対して前記眼用
    レンズを相対的に移動せしめる搬送手段が設けられ、該
    搬送手段にて該眼用レンズを順次移動せしめつつ、前記
    プラズマ発生装置からプラズマが吹き付けられるように
    した請求項2に記載の眼用レンズの表面改質方法。
  4. 【請求項4】 前記眼用レンズを可撓性の保持具に保持
    せしめた状態下において、前記プラズマ照射が行なわれ
    る請求項2または請求項3に記載の眼用レンズの表面改
    質方法。
  5. 【請求項5】 前記プラズマの吹出方向が前記眼用レン
    ズの平面方向とされて、 該眼用レンズの側方よりプラズマが照射されるようにし
    た請求項2乃至請求項4の何れかに記載の眼用レンズの
    表面改質方法。
  6. 【請求項6】 前記プラズマ発生装置の電極間への導入
    ガスが、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、ま
    たはそれらの2種以上の混合ガスである請求項2乃至請
    求項5の何れかに記載の眼用レンズの表面改質方法。
  7. 【請求項7】 前記プラズマ発生装置の電極間への導入
    ガスが、大気である請求乃至請求項5の何れかに記載の
    眼用レンズの表面改質方法
  8. 【請求項8】 前記プラズマの照射時間が0.5〜18
    0秒である請求項1乃至請求項7の何れかに記載の眼用
    レンズの表面改質方法。
  9. 【請求項9】 前記眼用レンズがコンタクトレンズであ
    る請求項1乃至請求項8の何れかに記載の眼用レンズの
    表面改質方法。
  10. 【請求項10】 前記眼用レンズが、二つの型間に形成
    される成形キャビティ内におけるモールド成形操作によ
    って成形された後、該二つの型の型開きを行ない、該眼
    用レンズを一方の型に保持せしめた状態下において、該
    眼用レンズの他方の型から開放された面に対して、前記
    プラズマの照射が行なわれる請求項1乃至請求項9の何
    れかに記載の眼用レンズの表面改質方法。
  11. 【請求項11】 前記プラズマが、グロー放電によって
    発生せしめられる請求項1乃至請求項10の何れかに記
    載の眼用レンズの表面改質方法。
  12. 【請求項12】 前記プラズマの照射によって、前記眼
    用レンズの表面改質と同時に、表面殺菌が実施される請
    求項1乃至請求項11の何れかに記載の眼用レンズの表
    面改質方法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至請求項12の何れかの方
    法によって表面処理された眼用レンズ。
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