JP3494071B2 - H形鋼矢板の製造方法 - Google Patents

H形鋼矢板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、H形鋼矢板の製造
方法に関し、なかでも、H形鋼矢板のうち少なくとも一
方のフランジの片端が2重爪継手部で他端が1重爪継手
部であるH形鋼矢板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大型護岸、岸壁、山留めなどの土木・建
築工事においては、連続壁を構成するために断面性能、
つまり、単位断面積当たりの曲げ剛性が高く、しかも止
水性と施工性に優れた矢板が必要とされている。このた
め、上記工事における矢板には、鋼管矢板やH形鋼矢板
が多く用いられている。
【0003】鋼管矢板は鋼管に継手を溶接したものであ
り、H形鋼矢板は直線鋼矢板とH形鋼、又は直線鋼矢板
と鋼板を別々に製造しそれらを溶接して製造したものが
主に用いられている。したがって、前記したような鋼管
矢板やH形鋼矢板は、圧延工程だけで製造できるU型鋼
矢板に比べて製造コストが高い。
【0004】一方、H形鋼矢板には圧延工程だけでH形
鋼のフランジ先端に嵌合継手部を造形したものもあり、
その製造技術が、例えば、特開昭56−109102号
公報や特開昭54−11061号公報に開示されてい
る。
【0005】特開昭56−109102号公報には、対
称H形断面形状の粗材を粗ユニバーサル圧延機及び粗整
形圧延機により略対称形状を維持してH形粗形鋼片に粗
圧延し、次いで、仕上げユニバーサル圧延機等により前
記H形粗形鋼片の一方フランジに継手部を形成するとと
もに他方フランジに重ね合わせ部片を形成して整形する
『非対称H形鋼矢板の製造方法』が提案されている。
【0006】又、特開昭54−11061号公報には、
粗H形鋼塊を製造した後、その粗H形鋼塊を粗ユニバー
サル圧延機と粗整形圧延機とによってH形粗形鋼片に粗
圧延し、次いで、前記H形粗形鋼片を中間ユニバーサル
圧延機と中間整形圧延機とにより中間圧延し、更に仕上
げユニバーサル圧延機により仕上げ圧延を行う『H形鋼
矢板の製造方法』が提案されている。
【0007】しかし、これらの公報で提案された技術に
従って圧延しても、嵌合継手部としての所望形状を確実
に付与できるというものではなく、したがって、下記の
ような離脱の問題が生ずることがあった。
【0008】つまり、H形鋼矢板は2重爪継手部に囲ま
れた部分に1重爪継手部が挿入されて鋼矢板壁を形成す
るものであるが、2重爪継手部内側の小突起部の高さが
足りないと、H形鋼矢板の壁長手方向に引っ張り力が働
いた場合に、1重爪継手部が2重爪継手部の外側継手部
と小突起部の間で引っかかることなく容易に離脱してし
まうことがあった。
【0009】これは、特開昭56−109102号公報
で提案された技術に従って、単に粗ユニバーサル圧延機
と粗整形圧延機を用いて往復圧延するだけでは、2重爪
継手部内側の小突起部に加わる塑性歪みが2重爪継手部
の外側継手部及びフランジ部に加わる塑性歪みに対して
極めて小さくなるため、フランジの圧延方向伸びに引っ
張られて2重爪継手部内側の小突起部高さが減少するこ
とが避け難いためである。
【0010】又、特開昭54−11061号公報で提案
された技術に従って、単に中間ユニバーサル圧延機と中
間整形圧延機を用いて往復圧延すれば、2重爪継手部の
小突起部造形の際にフランジ部を圧下することになるの
で、2重爪継手部の小突起部に所望の高さを確保し難い
ためである。この場合には更に、粗ユニバーサル圧延の
後半パスでは2重爪継手部の外側継手部の厚みが薄くな
るため、粗整形圧延する際に外側継手部が座屈し、圧延
方向に対して外側継手部長さを均一にすることができ
ず、したがって、次の工程である中間ユニバーサル圧延
機の水平ロールと竪ロールの間に噛み出しが生じるとい
う問題もあった。
【0011】なお、2重爪継手部の外側継手部長さが不
均一であったり、噛み出しが生じていたりすると、外側
継手部の曲げ成形ができなくなるという問題もあった。
このため、例えば、特開昭56−109102号公報に
その一実施例として述べられているように、仕上げユニ
バーサル圧延機による継手部の曲げ成形の前に、ローラ
付きガイドで2重爪継手部の外側継手部先端を予め曲げ
ておく必要があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みなされたもので、その目的は、圧延工程だけで2重
爪継手部の内側に所望形状の小突起部を得て、継手部に
必要とされる離脱強度を確保することができるH形鋼矢
板の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)〜(4)に記載のH形鋼矢板の製造方法にある。
【0014】(1)少なくとも一方のフランジの片端が
2重爪継手部で他端が1重爪継手部であるH形鋼矢板の
製造方法であって、粗圧延機でH形の粗形鋼片を造形し
た後、その粗形鋼片をユニバーサル圧延機及びエッジャ
ー圧延機からなる粗ユニバーサル圧延機群で粗圧延し、
次いで、1台以上のユニバーサル圧延機からなる中間ユ
ニバーサル圧延機群の少なくとも1台のユニバーサル圧
延機で前記粗圧延された被圧延材の継手部のみを圧下造
形し、更に、仕上げユニバーサル圧延機により前記中間
ユニバーサル圧延機群の少なくとも1台のユニバーサル
圧延機によって圧下造形された被圧延材の継手部のうち
2重爪継手部の曲げ成形を行うことを特徴とするH形鋼
矢板の製造方法。
【0015】ここで、2重爪継手部とは長い外側継手部
と短い小突起部及びその間に凹部を有する継手部を指
し、1重爪継手部とは前記凹部に嵌合する凸状の継手部
を指す。
【0016】(2)粗ユニバーサル圧延機群で粗圧延さ
れた被圧延材の2重爪継手部を中間ユニバーサル圧延機
群における少なくとも1台のユニバーサル圧延機の水平
ロールに設けた溝部で拘束しながら圧下するとともに竪
ロールにより前記被圧延材の2重爪継手部下面を押し上
げて2重爪継手部を造形することを特徴とする、上記
(1)に記載のH形鋼矢板の製造方法。
【0017】(3)中間ユニバーサル圧延機群の少なく
とも1台のユニバーサル圧延機で被圧延材の継手部を圧
下造形した後、仕上げユニバーサル圧延機の竪ロールで
継手部のうち2重爪継手部の下面を支持しながらその継
手部外側先端を水平ロールに設けた溝部で圧下して曲げ
成形を行うことを特徴とする、上記(1)に記載のH形
鋼矢板の製造方法。
【0018】(4)粗ユニバーサル圧延機群で粗圧延さ
れた被圧延材の2重爪継手部を中間ユニバーサル圧延機
群における少なくとも1台のユニバーサル圧延機の水平
ロールに設けた溝部で拘束しながら圧下するとともに竪
ロールにより前記被圧延材の2重爪継手部下面を押し上
げて2重爪継手部を造形し、且つ、仕上げユニバーサル
圧延機の竪ロールで継手部のうち2重爪継手部の下面を
支持しながらその継手部外側先端を水平ロールに設けた
溝部で圧下して曲げ成形を行うことを特徴とする、上記
(1)に記載のH形鋼矢板の製造方法。
【0019】以下、上記の(1)〜(4)に記載のもの
をそれぞれ(1)〜(4)の発明という。
【0020】粗ユニバーサル圧延機及び粗整形圧延機か
らなる粗ユニバーサル圧延機群で往復圧延する主目的
は、被圧延材の厚み圧下による延伸である。したがっ
て、上記の粗ユニバーサル圧延機群で往復圧延するだけ
では、2重爪継手部の外側継手部と内側の小突起部につ
いて同時に所望の寸法・形状を得ることはできない。
【0021】そこで、本発明者らは、2重爪継手部の外
側継手部と内側の小突起部の両方について所望の寸法・
形状を確保することを目的に、種々圧延方法を検討し
た。その結果、下記の知見を得た。
【0022】粗ユニバーサル圧延機群による圧延時に
外側継手部が圧下され、これにともなう延伸で2重爪継
手部の内側の小突起部の高さが減少するので、粗ユニバ
ーサル圧延機群で圧延した後の被圧延材の断面形状は、
例えば、図1に示すようなものとなる。なお、図1にお
ける破線は、粗ユニバーサル圧延機群による圧延前の粗
形鋼片の断面形状を示している。
【0023】2重爪継手部の内側の小突起部に所望の
寸法・形状を付与するには、粗ユニバーサル圧延機群で
圧延した後に中間ユニバーサル圧延機群の少なくとも1
台のユニバーサル圧延機によってフランジ部先端を局部
圧下して、前記小突起部の高さと厚みを増加させればよ
い。
【0024】前記の中間ユニバーサル圧延機群にお
ける少なくとも1台のユニバーサル圧延機よるフランジ
部先端の局部圧下は、例えば、図2に示すような方法で
行えばよい。つまり、フランジ部及びウェブ部は圧下せ
ずに被圧延材(材料)の圧延方向への延伸を抑えた上
で、中間ユニバーサル圧延機群における少なくとも1台
のユニバーサル圧延機の上水平ロールで2重爪継手部の
内側の小突起部を圧下し、且つ、竪ロールで2重爪継手
部を下から押し上げるように圧下すればよい。この際、
2重爪継手部の外側継手部を上水平ロールに設けた溝部
で拘束すれば、竪ロールによる押し上げで生じる外側継
手部先端の噛み出しを防止できる。なお、、図2におけ
る破線は、粗ユニバーサル圧延機群で粗圧延した後の被
圧延材の断面形状を示すものである。
【0025】2重爪継手部の外側継手部曲げ成形は、
仕上げユニバーサル圧延機で行えばよい。
【0026】前記の仕上げユニバーサルミル圧延機
による2重爪継手部の外側継手部曲げ成形は、例えば、
図3に示すような方法で行えばよい。つまり、仕上げユ
ニバーサル圧延機の竪ロールは2重爪継手部下面を支持
するだけとし、上水平ロールに設けた溝部で2重爪継手
部の外側継手部先端を圧下して曲げ成形を行えばよい。
この方法によれば、仕上げユニバーサル圧延機による継
手部の曲げ成形の前に、例えばローラ付きガイドで2重
爪継手部の外側継手部先端を予め曲げておく必要はな
い。なお、図3における破線は、中間ユニバーサル圧延
機群で圧延した後の被圧延材の断面形状を示すものであ
る。
【0027】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
ついて説明する。
【0029】先ず、本発明のH形鋼矢板の製造方法によ
れば、粗圧延機でのH形の粗形鋼片の造形、粗ユニバー
サル圧延機群での粗圧延は従来法と同様に行えばよい。
次いで、この粗圧延された被圧延材の継手部のみを中間
ユニバーサル圧延機群における少なくとも1台のユニバ
ーサル圧延機で圧下造形する。
【0030】上記の圧下造形は、例えば図2に示すよう
に、前記中間ユニバーサル圧延機群における少なくとも
1台のユニバーサル圧延機の上水平ロールで2重爪継手
部の内側の小突起部を圧下し、且つ、竪ロールで2重爪
継手部を下から押し上げるように圧下して、2重爪継手
部内側の小突起部寸法・形状を確保して2重爪継手部を
造形するとともに、通常の方法で1重爪継手部を圧下造
形することで行えばよい。この際、2重爪継手部の外側
継手部、フランジ部及びウェブ部は圧下しないことが好
ましい。なお、前記の圧下時に、2重爪継手部の外側継
手部を上水平ロールに設けた溝部で拘束すれば、竪ロー
ルによる押し上げで生じる外側継手部先端の噛み出しを
防止することができる。
【0031】前記の中間ユニバーサル圧延機群における
少なくとも1台のユニバーサル圧延機で継手部のみを圧
下造形した後、仕上げユニバーサル圧延機で2重爪継手
部の外側継手部の曲げ成形を行う。この曲げ成形は、例
えば、図3に示すように、仕上げユニバーサル圧延機の
竪ロールは2重爪継手部下面を支持するだけとし、上水
平ロールに設けた溝部で2重爪継手部の外側継手部先端
を圧下して曲げ成形を行えばよい。
【0032】図4は、粗ユニバーサル圧延機群で往復圧
延した際の2重爪継手部の小突起部高さの変化を、実機
の1/8モデルの鉛の圧延実験で調査した結果を実機寸
法に換算して示したものである。製品の2重爪継手部の
小突起部高さ25mmに対して、粗ユニバーサル圧延機
群の水平ロールの孔型の小突起部分の深さをすべて30
mmとした。なお、図4において、「UR」はユニバー
サル圧延機による圧延を、「E」はエッジャー圧延機に
よる圧延を指す。
【0033】粗ユニバーサル圧延機群での前半の圧延パ
スでは、2重爪継手部の外側継手部が圧下されないた
め、フランジ先端を局部圧下することによって2重爪継
手部の小突起部高さは粗ユニバーサル圧延機群の水平ロ
ールの孔型いっぱいまで、つまり、30mmまで増加す
る。しかし、2重爪継手部の外側継手部の圧下が始まる
後半の圧延パスでは、圧延パスごとに2重爪継手部の小
突起部高さは減少し、最終パスでは13mmまで小さく
なった。なお、図1に示したように、後半の圧延パスで
は2重爪継手部の小突起部は水平ロールと接触しなくな
るため、圧延方向に安定した寸法を得ることができな
い。
【0034】図5は、実機の1/8モデルの鉛の圧延実
験で中間ユニバーサル圧延機群での圧延における2重爪
継手部の小突起部高さと継手部の減面率の関係を調査し
た結果である。この図5においても寸法は実機寸法に換
算して示した。なお、「継手部の減面率」とは、中間ユ
ニバーサル圧延機群で圧下した継手部の面積を中間ユニ
バーサル圧延機群で圧下した後の継手部全体の面積で割
ったものである。
【0035】このモデル実験においては、フランジ部を
圧下しながら継手部の造形を行う場合及び継手部のみの
造形を行う場合の両方について、中間ユニバーサル圧延
機群の小突起部の水平ロールの孔型深さを30mmの一
定値とし、小突起部先端は圧下しないようにして小突起
部の高さを調査した。なお、中間ユニバーサル圧延機群
の水平ロールによる継手部の溝底の圧下量は深さ方向に
18mmの一定値とし、継手部の減面率は竪ロールによ
る圧下面積を変えることで変化させた。
【0036】図5に示すように、2重爪継手部の小突起
部高さは継手部の減面率の増加とともに増大していく
が、継手部の減面率を更に増加させていくと圧延材の延
伸効果が大きくなるので、小突起部高さは却って減少し
ていく。したがって、中間ユニバーサル圧延機群での圧
下によって小突起部高さを増加させるためには、継手部
の減面率は10〜20%とすることが好ましい。
【0037】又、フランジ部の圧下率の増加に伴って2
重爪継手部の小突起部高さの増加量が減少するため、中
間ユニバーサル圧延機群での圧下時にはフランジ部は圧
下しないことが好ましい。
【0038】2重爪継手部の外側継手部の造形の際、中
間ユニバーサル圧延機群の水平ロールに設けた溝部(孔
型)で先端を拘束しながら圧延すれば、噛み出しを発生
させずに外側継手部の長さを均一にすることができる。
なお、被圧延材の先後端で中間ユニバーサル圧延機群の
水平ロールと竪ロールの間の部分に厚み増加が生じたと
しても、仕上げユニバーサル圧延機による2重爪継手部
の曲げ成形には問題はない。
【0039】仕上げユニバーサル圧延機による2重爪継
手部の曲げ成形の際、水平ロールに設けた溝部(孔型)
で曲げ成形を行えば、圧延方向全長に亘って噛み出しが
生じることもないので、2重爪継手部の曲げ成形前に外
側継手部先端を予め曲げておかなくても良好な曲げ成形
が行える。
【0040】次に、実施例により本発明を更に詳しく説
明する。
【0041】
【実施例】図6のミルレイアウトに示す圧延ラインによ
って、図7に示す寸法形状のH形鋼矢板を製造した。図
7に記載した製品のウェブ厚さは15mm、フランジ厚
さは20mm、2重爪継手部の最大厚さは55mmであ
る。なお、2重爪継手部の小突起部高さは規定値が25
mmで、目標は20mm以上である。
【0042】先ず、250mm厚さ×1500mm幅の
連続鋳造スラブを圧延素材とし、これを加熱炉で128
0℃に加熱した後、粗圧延機で19パスの往復圧延を行
って、図8に示すウェブ厚さ60mmでフランジ幅62
0mmのH型の粗形鋼片(ビームブランク)を作製し
た。なお、次の工程である粗ユニバーサル圧延機群で2
重爪継手部を造形しやすいように、粗圧延でH型の粗形
鋼片のフランジ先端中央部に深さ23mmのV字状の溝
を設けた。
【0043】次いで、上記のH型の粗形鋼片を、ユニバ
ーサル圧延機及びエッジャー圧延機からなる粗ユニバー
サル圧延機群で粗圧延し、ウェブ厚さ15.2mm、フ
ランジ中央部厚さ20.2mmまで圧下した。なお、粗
圧延は13パスの往復圧延で行い、2重爪継手部の溝底
部のフランジ厚さを55.2mmとした。
【0044】粗ユニバーサル圧延機の上水平ロールの小
突起部相当部に設けた溝部(孔型)の深さは25mmと
し、粗ユニバーサル圧延機の竪ロールの形状は、図2に
示すように、中間ユニバーサル圧延機群の竪ロール形状
に対して、2重爪継手部の下方のフランジ厚さをテーパ
状に大きくした形状とした。なお、2重爪継手部の外側
継手部の外面上のテーパ始点は固定とし、テーパ終点の
位置を中間ユニバーサル圧延機群の竪ロールのテーパ終
点の位置に対して0mm、25mm、50mm下方とし
た場合について粗圧延を行った。上記の条件で粗圧延し
た結果、2重爪継手部の小突起部高さはどの条件につい
ても8〜10mmであった。
【0045】前記した各種条件で粗圧延を行った後、中
間ユニバーサル圧延機群でフランジ先端の継手部のみの
圧下を行った。すなわち、前記の各2重爪継手部の溝底
部を中間ユニバーサル圧延機群の水平ロールで18m
m、且つ、下面の竪ロールで0mm(この場合を以下、
「条件1」とする)、25mm(この場合を以下、「条
件2」とする)、50mm(この場合を以下、「条件
3」とする)押し上げた。但し、外側継手部先端は図2
に示すような中間ユニバーサル圧延機群の水平ロールに
設けた溝部(孔型)で拘束した。なお、前記条件1〜3
の場合の中間ユニバーサル圧延機群での継手部の減面率
はそれぞれ8%、16%、24%である。
【0046】前記の中間ユニバーサル圧延機群での圧延
は、12パス目まではロール開度を開いて被圧延材を通
過させるだけとし、13パス目でフランジ先端の継手部
のみの圧下を行った。
【0047】表1に、前記中間ユニバーサル圧延機群で
の圧下条件と圧下後の小突起部の高さをまとめて示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1から、(1)の発明の方法、つまり
「条件1」の方法で2重爪継手部を圧下した場合、2重
爪継手部の小突起部の高さは20〜21mmであり、目
標の値が得られることがわかる。(2)の発明の方法、
つまり「条件2」や「条件3」の方法で2重爪継手部の
下面を竪ロールで押し上げた場合、2重爪継手部の小突
起部の高さは24〜25mmで一層良好であることも明
らかである。
【0050】なお、外側継手部先端を拘束することによ
り、2重爪継手部下面の押し上げで生じる外側継手部先
端の噛み出しの問題は発生せず、外側継手部長さを均一
にすることができた。
【0051】次いで、前記の各種条件で継手部のみ圧下
造形した後、仕上げユニバーサル圧延機を用いて、2重
爪継手部の曲げ成形を行い所望のH形鋼矢板500×5
00シリーズに仕上げた。なお、仕上げユニバーサル圧
延機の上水平ロールには2重爪継手部の曲げ成形相当部
に深さ60mm、幅60mmの溝部(孔型)を設け、竪
ロールの2重爪継手部下面のテーパは中間ユニバーサル
圧延機の竪ロールと同様とし、2重爪継手部は圧下せず
下面を支持するだけとした。
【0052】上記の方法、つまり(3)の発明の方法
で、仕上げユニバーサル圧延機による2重爪継手部の曲
げ成形を行ったH形鋼矢板500×500シリーズの2
重爪継手部の外側継手部は、その先端が溝部(孔型)内
面に沿って曲げ成形されるため、中間ユニバーサル圧延
機群でのいずれの圧下(「条件1〜3」)の場合にも座
屈しておらず、しかも継手部長さは一定であった。更
に、外倒れも生じておらず圧延方向に安定した良好な形
状であった。
【0053】特に、中間ユニバーサル圧延機群での圧下
が「条件2」、「条件3」であるものに上記の仕上げユ
ニバーサル圧延機による2重爪継手部の曲げ成形を行っ
た場合、すなわち、(4)の発明の方法で製造した場合
のH形鋼矢板500×500シリーズの2重爪継手部の
形状は小突起部高さが24〜25mmで、しかも、外側
継手部は圧延方向に安定した良好な形状であった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、圧延工程だけで2重爪
継手部の内側に所望形状の小突起部を有するH形鋼矢板
が得られるので、継手部に必要とされる離脱強度を確保
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における粗ユニバーサル圧延機群で圧延
した後の被圧延材の断面形状の一例を示す図である。
【図2】本発明における中間ユニバーサル圧延機群でフ
ランジ部先端を局部圧下した状況の一例を示す図であ
る。
【図3】本発明における仕上げユニバーサルミル圧延機
による2重爪継手部の外側継手部曲げ成形の一例を示す
図である。
【図4】粗ユニバーサル圧延機群で圧延した際の2重爪
継手部の小突起部高さの変化を、実機の1/8モデルの
鉛の圧延実験で調査した結果を示す図である。
【図5】実機の1/8モデルの鉛の圧延実験で中間ユニ
バーサル圧延機群での圧延における2重爪継手部の小突
起部高さと継手部の減面率の関係を示す図である。
【図6】本発明による方法を実施するために実施例で用
いた圧延ミルのレイアウトを示す図である。
【図7】実施例で製造したH形鋼矢板の寸法形状の一例
を示す図である。
【図8】実施例で製造したH形鋼矢板の粗圧延機で造形
したH形の粗形鋼片を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−109103(JP,A) 特開 平5−146801(JP,A) 特開 昭52−68057(JP,A) 特開 昭56−126001(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/08 B21B 13/10 B21B 27/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方のフランジの片端が2重爪
    継手部で他端が1重爪継手部であるH形鋼矢板の製造方
    法であって、粗圧延機でH形の粗形鋼片を造形した後、
    その粗形鋼片をユニバーサル圧延機及びエッジャー圧延
    機からなる粗ユニバーサル圧延機群で粗圧延し、次い
    で、1台以上のユニバーサル圧延機からなる中間ユニバ
    ーサル圧延機群の少なくとも1台のユニバーサル圧延機
    で前記粗圧延された被圧延材の継手部のみを圧下造形
    し、更に、仕上げユニバーサル圧延機により前記中間ユ
    ニバーサル圧延機群の少なくとも1台のユニバーサル圧
    延機によって圧下造形された被圧延材の継手部のうち2
    重爪継手部の曲げ成形を行うことを特徴とするH形鋼矢
    板の製造方法。ここで、2重爪継手部とは長い外側継手
    部と短い小突起部及びその間に凹部を有する継手部を指
    し、1重爪継手部とは前記凹部に嵌合する凸状の継手部
    を指す。
  2. 【請求項2】粗ユニバーサル圧延機群で粗圧延された被
    圧延材の2重爪継手部を中間ユニバーサル圧延機群にお
    ける少なくとも1台のユニバーサル圧延機の水平ロール
    に設けた溝部で拘束しながら圧下するとともに竪ロール
    により前記被圧延材の2重爪継手部下面を押し上げて2
    重爪継手部を造形することを特徴とする、請求項1に記
    載のH形鋼矢板の製造方法。
  3. 【請求項3】中間ユニバーサル圧延機群の少なくとも1
    台のユニバーサル圧延機で被圧延材の継手部を圧下造形
    した後、仕上げユニバーサル圧延機の竪ロールで継手部
    のうち2重爪継手部の下面を支持しながらその継手部外
    側先端を水平ロールに設けた溝部で圧下して曲げ成形を
    行うことを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼矢板の
    製造方法。
  4. 【請求項4】粗ユニバーサル圧延機群で粗圧延された被
    圧延材の2重爪継手部を中間ユニバーサル圧延機群にお
    ける少なくとも1台のユニバーサル圧延機の水平ロール
    に設けた溝部で拘束しながら圧下するとともに竪ロール
    により前記被圧延材の2重爪継手部下面を押し上げて2
    重爪継手部を造形し、且つ、仕上げユニバーサル圧延機
    の竪ロールで継手部のうち2重爪継手部の下面を支持し
    ながらその継手部外側先端を水平ロールに設けた溝部で
    圧下して曲げ成形を行うことを特徴とする、請求項1に
    記載のH形鋼矢板の製造方法。
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