JP3490905B2 - 骨補填材の成形方法 - Google Patents
骨補填材の成形方法Info
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Description
あった顆粒を一時的に結合させ、かつ容易に顆粒状に戻
すことができる骨補填材の成形方法に関する。
填材が開発されているが、実際に手術現場でこれらの顆
粒状骨補填材を骨欠損部に埋入する際に、不必要な部位
に顆粒が飛散するといった問題がある。一方、ブロック
状の骨補填材は、手術現場で骨欠損部の形状に適合させ
る成形加工が煩雑であるという問題がある。これらの問
題点を解決するため、本発明者は、粒径100μm以上
のリン酸カルシウム系化合物顆粒と粒径1〜40μmの
微小リン酸カルシウム系化合物粒子と水とを混合し、こ
の混合物を型に入れて乾燥し、焼成することによって、
人の指などでの押圧力で容易に崩壊し、崩壊時には顆粒
自体の形状を保持する程度の強度で結合している焼結接
合体からなる骨補填材を製造することを提案した(特願
平9−278757号)。
の途中で詰まる、顆粒を密に充填できない等の欠点があ
った。顆粒は、湿式で充填するには形状が不均一で、か
つ大きすぎ、流動性を損ねてしまうため、成形型の途中
で詰まってしまうものと考えられる。このような顆粒の
詰まりを解消するため、分散剤など、流動性のあるもの
を多量に添加すると、必然的に顆粒の量が少なくなり、
密な充填ができなくなる。さらに、上記の方法で得られ
る焼結体に湾曲が起こることがあり、その原因は未焼成
の微小粒子及び未焼成の顆粒が焼結するときの収縮によ
るものと考えられる。
型中にできるだけ密に充填し、微小粒子の使用量を必要
最小限にでき、得られる焼結成形体の湾曲を防止でき、
人の指などでの押圧力で容易に崩壊し、崩壊時には顆粒
自体の形状を保持する程度の強度で結合している焼結接
合体からなる骨補填材の成形方法を提供することを目的
とする。
タッピングなどの乾式法で充填すれば、型の体積のほと
んどを顆粒で充填することができ、顆粒充填後に微小粒
子を水に分散して充填することにより、顆粒と顆粒をつ
なぐ微小粒子を必要最小限の量で済ますことができ、焼
結体の湾曲を防止することができる、との知見に基づい
て完成したものである。
0μm以上のリン酸カルシウム系化合物顆粒の粒子同士
が粒径1〜40μmの微小リン酸カルシウム系化合物粒
子によって結合された焼結接合体からなる骨補填材を成
形するため、前記顆粒を所望形状の成形型に充填した
後、前記微小粒子を水又は分散剤及び/又は結合剤の水
溶液中に分散して添加し、乾燥し、焼成することを特徴
とする。
は、Ca/P比が1.0〜2.0のリン酸カルシウム系
化合物、例えば、ハイドロキシアパタイト、フッ素アパ
タイト、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、
リン酸四カルシウムなどから選ばれた1種又は2種以上
を使用することができる。これらのうちハイドロキシア
パタイトを主成分とするものが最も好ましい。顆粒の粒
径は、「顆粒状骨補填材」の範疇に属する程度のもので
あればよく、通常、100μm以上である。また、リン
酸カルシウム系化合物顆粒は、緻密質であっても、多孔
質であってもよく、公知の任意の方法で製造することが
できるが、球状の形状を有するものが好ましい。
化合物顆粒だけを焼結によって粒子同士が単純に接触し
た状態の顆粒接合体を得ることは困難であり、本発明に
おいては、顆粒の結合を補助する目的で微小リン酸カル
シウム系化合物粒子を用いる。この微小粒子は、焼結過
程において、顆粒粒子よりも容易に焼結するため、これ
らの微小粒子同士が焼結する際に大きな顆粒粒子同士の
接合に寄与する。このような微小粒子は、1〜40μm
の粒径のものが好ましい。粒径がこの範囲外であると、
顆粒の結合補助作用、すなわち、バインダー効果が低く
なる。このような微小リン酸カルシウム系化合物粒子
も、公知の任意の方法で製造することができる。
が、未焼成のものを使用すると、焼結収縮による湾曲が
起こる恐れがあるため、焼成したものを用いるのが好ま
しい。焼成温度は、800〜1200℃とするのが好ま
しい。焼成温度が800℃より低温であると、得られた
焼結体は顆粒及び微小粒子同士の結合力が強く、容易に
崩壊するものとなり難く、1200℃より高温である
と、リン酸カルシウム系化合物が分解する恐れがある。
また、微小粒子は、未焼成であることが好ましい。微小
粒子が焼成したものであると、顆粒同士を結合するバイ
ンダーとしての効果が得られ難くなる。
タッピングなどの方法で成形型の体積のほとんどを顆粒
で充填し、その後微小粒子を水に分散してから添加す
る。本発明により得られる骨補填材は、粒径100μm
以上のリン酸カルシウム系化合物顆粒と粒径1〜40μ
mの微小リン酸カルシウム系化合物粒子とを重量比で
1:0.1〜1の割合で含むのが好ましい。微小粒子の
割合が少ないと、バインダー効果が発揮されず、また、
1:1より多いと顆粒の焼結強度が強くなり、崩壊時に
顆粒の形状を有しなくなる。
の水溶液を添加して微小粒子と混合すると、微小粒子を
均一に分散させることができ、顆粒の隙間に入り込みや
すくなる。微小粒子と、分散剤及び/又は結合剤を必要
に応じて含む水との混合重量比は、0.1:1.0〜1
0:1の範囲とすることが好ましい。この範囲より微小
粒子が多いと流動性がなくなり、微小粒子が充填しにく
くなり、微小粒子が少ないと顆粒と顆粒をつなぐ役割を
果たせないからである。
ソプロピルアルコール等の低級アルコールなどを使用す
ることができる。また、結合剤としては、メチルセルロ
ース等のセルロース誘導体、カードラン等の多糖類、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルア
ミド、ポリビニルピロリドン等の合成重合体などを使用
することができる。結合剤は、一般に0.1〜10.0
重量%の水溶液となるように用いる。結合剤の濃度が
0.1重量%より低いとバインダー効果が得られず、ま
た、10.0重量%より高いと粘度が高くなりすぎ、流
動性が悪くなり、微小粒子を均一に混合し難くなり、好
ましくない。また、本発明の方法において、必要に応じ
て、上記のような分散剤と結合剤の両方を添加すること
もできる。
び/又は結合剤を含む水):顆粒の重量比は、0.1:
1.0〜10:1の範囲とすることが好ましい。この範
囲は、成形型と顆粒間の隙間体積の範囲である。
形型中に顆粒を充填し、次いで微小粒子を湿式で充填し
た後、乾燥し、焼成する。乾燥は、通常、50〜120
℃の温度範囲で行うのが好ましい。乾燥後、成形型から
成形体を取り出し、焼成する。焼成は、通常、800〜
1200℃の温度範囲で行うのが好ましい。焼成温度が
800℃より低いと、焼結強度が弱すぎて崩れやすいの
で、骨補填材として取り扱い難く、また、焼結温度が1
200℃を超えると、焼結強度が強すぎて手術時に骨欠
損部に骨補填材を埋入しようとしたときに顆粒状に崩れ
ないので、骨欠損部の形状に適合させ難くなり、本発明
の目的に合致しなくなる。
シウム系化合物の接合体の構造は、顆粒粒子が非常に大
きいため、顆粒同士は点で接合しており、顆粒の形状を
留めている。接合体の力学的強度は非常に弱く、人の指
などで押圧すれば容易に崩壊するが、崩壊時にも顆粒自
体の形状は保たれる程度である。また、固定用のネジを
骨に挿入する場合に、予め作製したネジ穴中に、本発明
の方法で得られた接合体を入れておき、そこにネジを挿
入すれば、その時接合体が顆粒状に崩壊し、ネジの固定
力を増加させることができる。
に説明するが、本発明はこれによって制限されるもので
はない。
の焼成顆粒(焼成温度1200℃)1gを乾燥条件下で
成形型にタッピング充填した後、平均粒径3μmの未焼
成ハイドロキシアパタイト粉体0.5gと水1gを混合
したものをシリンジで圧入し、100℃で5時間乾燥さ
せた。乾燥後、型から取り出し、1200℃で4時間焼
成したところ、湾曲もなく、真っ直ぐな焼結体が得られ
た。焼結体の寸法、形状は、成形型とほぼ同じであっ
た。
の未焼成顆粒1gを乾燥条件下で成形型にタッピング充
填した後、平均粒径3μmの未焼成ハイドロキシアパタ
イト粉体0.5gと水1gを混合したものをシリンジで
圧入し、100℃で5時間乾燥させた。乾燥後、型から
取り出し、1200℃で4時間焼成したところ、全体的
に収縮はしたが、湾曲もなく、真っ直ぐな焼結体が得ら
れた。焼結体の寸法、形状は、成形型とほぼ同じであっ
た。
の焼成顆粒(焼成温度1200℃)1gを乾燥条件下で
成形型にタッピング充填した後、平均粒径3μmの未焼
成ハイドロキシアパタイト粉体0.5gと1%メチルセ
ルロース水溶液1gを混合したものをシリンジで圧入
し、100℃で5時間乾燥させた。乾燥後、型から取り
出し、1200℃で4時間焼成したところ、湾曲もな
く、真っ直ぐな焼結体が得られた。焼結体の寸法、形状
は、成形型とほぼ同じであった。
の焼成顆粒(焼成温度1200℃)1gを乾燥条件下で
成形型にタッピング充填した後、平均粒径3μmの未焼
成ハイドロキシアパタイト粉体1gと水1gを混合した
ものをシリンジで圧入し、100℃で5時間乾燥させ
た。乾燥後、型から取り出し、1200℃で4時間焼成
したところ、実施例1よりも強固に顆粒が接合されてい
た。また、湾曲もなく、真っ直ぐな焼結体が得られた。
焼結体の寸法、形状は、成形型とほぼ同じであった。
鉢で粉砕し、さらに100〜400μmに粒度を整え、
粒径100〜400μmのリン酸三カルシウムの未焼成
顆粒を得た。この顆粒1gに平均粒径3μmの未焼成リ
ン酸三カルシウム粉体1gと水1gを混合したものをシ
リンジに圧入し、100℃で5時間乾燥させた。乾燥
後、型から取り出し、1200℃で4時間焼成したとこ
ろ、実施例1よりも強固に顆粒が接合されていた。ま
た、湾曲もなく、真っ直ぐな焼結体が得られた。焼結体
の寸法、形状は、成形型とほぼ同じであった。
の焼成顆粒(焼成温度1200℃)1gと平均粒径3μ
mの未焼成ハイドロキシアパタイト粉体0.5gと水1
gを予め混合した後、成形型にシリンジで圧入し、10
0℃で5時間乾燥させた。乾燥後、型から取り出し、1
200℃で4時間焼成したところ、弓状に湾曲した形で
焼結していた。
の未焼成顆粒1.0gと平均粒径3μmの未焼成ハイド
ロキシアパタイト粉体1.0gと水1.5gを予め混合
した後、成形型にシリンジで圧入し、100℃で5時間
乾燥させた。乾燥後、型から取り出し、1200℃で4
時間焼成したところ、比較例1で得られたものより激し
く湾曲していた。
の焼成顆粒(焼成温度1200℃)1gと平均粒径3μ
mの未焼成ハイドロキシアパタイト粉体1.5gと1%
メチルセルロース水溶液1gを予め混合した後、成形型
にシリンジで圧入し、100℃で5時間乾燥させた。乾
燥後、型から取り出し、1200℃で4時間焼成したと
ころ、湾曲した形で焼結していた。
詰まった状態で成形型に充填でき、顆粒粒子に対してバ
インダーの作用をする微小粒子の使用量を必要最小限で
済ますことができ、湾曲のない焼結接合体からなる骨補
填材が得られる。本発明により得られる骨補填材は、顆
粒状リン酸カルシウムをその顆粒の形状を残した状態で
互いに接合させた接合体から成り、ブロック状で取り扱
いうるが、手術時に埋入する際に人の指などでの押圧力
で容易に崩壊し、崩壊時には顆粒自体の形状を保持する
程度の強度で結合しているので、周囲への飛散のおそれ
がなく、骨欠損部の形状に容易に適合させることができ
る。また、固定用のネジを骨に挿入する場合に、予め作
製したネジ穴中に、本発明の方法で得られた接合体を入
れておき、そこにネジを挿入すれば、その時接合体が顆
粒状に崩壊し、ネジの固定力を増加させることができ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 粒径100μm以上のリン酸カルシウム
系化合物顆粒の粒子同士が粒径1〜40μmの微小リン
酸カルシウム系化合物粒子によって結合された焼結接合
体からなる骨補填材を成形するため、前記顆粒を所望形
状の成形型に充填した後、前記微小粒子を水又は分散剤
及び/又は結合剤の水溶液中に分散して添加し、乾燥
し、焼成することを特徴とする骨補填材の成形方法。 - 【請求項2】 顆粒を成形型にタッピング充填する請求
項1記載の骨補填材の成形方法。 - 【請求項3】 微小粒子が未焼成のものであり、顆粒が
800〜1200℃で焼成したものである請求項1記載
の骨補填材の成形方法。
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JP25965698A JP3490905B2 (ja) | 1998-09-14 | 1998-09-14 | 骨補填材の成形方法 |
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JP25965698A JP3490905B2 (ja) | 1998-09-14 | 1998-09-14 | 骨補填材の成形方法 |
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Family Applications (1)
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-
1998
- 1998-09-14 JP JP25965698A patent/JP3490905B2/ja not_active Expired - Fee Related
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