JP3489079B2 - 三次元生体情報解析装置 - Google Patents

三次元生体情報解析装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体医用工学、脳
科学、大脳生理学、医療診断技術(神経科、神経内科、
脳神経外科、精神科等)に関するものである。特に、本
発明は、生体内の三次元的な情報の流れを可視化する三
次元生体情報解析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、脳内(生体内)の生理的現象の発
生部位を三次元的に可視化する方法としては、PET(ポ
ジトロン・エミッション・トモグラフィ)やfMR(ファ
ンクショナル・MR)、脳波を用いた等価ダイポール(等
価双極子)推定法などが用いられてきた。また、近年、
脳内活動を頭皮上に二次元配置された電極群によって観
測し、その各電極間の情報の流れを計測する方法が大阪
大学医学部の論文(T.Inouye etal.: Localization of
activated areas and directional EEG patterns durin
gmental arithmetic, Electroencephalography and cli
nical Neurophysiology,Vo.86, pp.224-230(1993))に
よって報告された。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】前記した従来の脳内
の生理的現象の発生部位を三次元的に可視化する方法及
び各電極間の情報の流れを計測する方法にあっては、次
のような問題点がある。 <イ>PET(ポジトロン・エミッション・トモグラフ
ィ)、fMR(ファンクショナル・MR)及び脳波を用いた等
価ダイポール推定法は、いずれもある時点における脳内
の活動の分布を推定するだけで、脳内の電気的情報の流
れを時々刻々追跡表示するような脳内の情報の流れにつ
いての情報は与えることができなかった。 <ロ>各電極間の情報の流れを計測する方法では、頭皮
上に現れる脳電位によって間接的に脳内の活動を漠然と
推測する手段を与えるのみで、脳内の三次元的な情報の
流れを明らかにすることはできない。このため、脳内の
情報処理のメカニズムを明らかにする目的や、脳内の特
定部位の疾患を検出する目的に使用するには十分なデー
タを得ることが出来なかった。
【0004】
【本発明の目的】本発明は上記したような従来の問題を
解決するためになされたもので、生体内の情報の流れに
ついて解析できる三次元生体情報解析装置を提供するこ
とを目的とする。特に、生体内の活性部位の位置を三次
元的に明示し、活性部位間を流れる情報の方向と流れ量
を定量的に評価できる三次元生体情報解析装置を提供す
ることを目的とする。また、本発明は生体内での情報処
理のメカニズムを明らかにできる三次元生体情報解析装
置を提供することを目的とする。さらに、解析結果を実
際の脳深部の活動と対応付けて評価することが可能な三
次元生体情報解析装置を提供することを目的とする。特
に、脳内の特定部位の疾患を検出できる三次元生体情報
解析装置を提供することを目的とする。本発明は、これ
らの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、本発明の三次元生体情報解析装置は、頭皮
上で測定される電位の分布である頭皮電位分布を使用
し、生体内活性部位及び活性量を複数の等価双極子であ
る等価双極子群として推定する等価双極子推定法を利用
した三次元生体情報解析装置であって、時系列の頭皮電
位分布に対応する各時点の等価双極子群を推定する等価
双極子推定部と、推定した等価双極子についてスカラー
量を計算し、等価双極子の名称毎の時系列データに変換
する変換部と、前記時系列データから各時点における等
価双極子間の情報の流れ量を計算する計算部と、前記等
価双極子の三次元的な位置を表示する位置表示部と、
等価双極子間の情報の流れ量を表示する流れ量表示部
と、から構成されることを特徴とするものである。本発
明の三次元生体情報解析装置を使用すれば、生体内部の
情報の流れを時々刻々追跡することが可能になる。
【0006】ここで、上記発明において、前記等価双極
子推定部で推定した前記等価双極子群内の各等価双極子
の名称が時系列内を通じて終始一貫するように調整する
整列部を設け、整列後の各時点の等価双極子についてス
カラー量を計算し、等価双極子の名称毎の時系列データ
に変換する変換部と、前記時系列データから各時点にお
ける等価双極子間の情報の方向と流れ量を計算する計算
部と、前記整列部で整列した後の等価双極子の三次元的
な位置を表示する位置表示部と、等価双極子間の情報の
方向と流れ量を表示する流れ量表示部と、することもで
きる。なお、前記整列部における名称が時系列内を通じ
て終始一貫するような調整とは、生体内の同じような位
置に推定される等価双極子について時系列を通じて同じ
名称となるように調整することをいう。
【0007】また、上記発明において、前記整列部にお
ける等価双極子の名称の調整を、各名称の代表的な等価
双極子の位置との距離を変数とした評価基準で行うこと
が可能である。
【0008】
【本発明の実施の形態】以下図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。
【0009】<イ>全体構成 本発明の三次元生体情報解析装置10は、演算部1と表
示部2からなる。演算部1は、三次元生体モデル4を使
用して等価双極子群の推定を行う等価双極子推定部11
と、必要に応じて等価双極子の名称を調整する整列部1
2と、等価双極子のスカラー量を計算して時系列データ
に変換する変換部13と、等価双極子間の情報の流れ量
を計算する計算部14とからなる。表示部2は、整列後
の等価双極子の三次元的な位置を表示する位置表示部2
1と、等価双極子間の情報の流れ量を表示する流れ量表
示部22と、からなる。図1に本発明の三次元生体情報
解析装置の概念図を示す。
【0010】<ロ>等価双極子推定部 等価双極子推定部11では、頭皮電位分布3から脳内活
性部位及び活性量に相当する複数の等価双極子を推定す
る。まず、公知の双極子推定法(双極子追跡法)によ
り、三次元生体モデル4で等価双極子群の推定を行う。
ここで、等価双極子群とは、ある時点の頭皮電位分布から
推定される複数の等価双極子の総称である。
【0011】三次元生体モデル4には、三層球状モデ
ル、人間の頭の形状を実測して作成する実形状モデルな
どが使用できる。三層球状モデルは、例えば頭皮と頭蓋
骨と脳を半径の異なる三種類の擬似的な球状体又は球殻
状体でモデル化したものである。ここで、各層の特性は
導電率によって表現する。また、三種類の球状モデルは、
同心球とすることも、異心球とすることもできる。ここ
では三層の場合について説明したが、層の数はモデル化
する生体の状態に合わせて任意に選択することもでき
る。人間の頭の形状を実測して作成する実形状モデルに
ついては、特開平1−256932、特開平2−317
36、特開平6−22916、特開平3−99630な
どに詳述されている。
【0012】以下、双極子推定法(双極子追跡法)につ
いて説明する。脳内の信号伝達は神経軸索の活動電位パ
ルスの伝達によって行われ、信号の内容はパルスの頻度
に符号化されていると考えられている。この活動電位パ
ルスが興奮性シナプスに到達すると、神経伝達物質の作
用で細胞膜のイオン透過性が変化し、これに伴う電流が
ニューロン内部に流れ込み、それがニューロンの外側に
流出して組織を流れ元の細胞体に戻るが、その電流の流
れ方が単一の電流双極子によるものと酷似しているの
で、1つ1つのニューロンの電気的な活動は電流双極子
で置き換えることが出来る。大脳皮質のある部分のニュ
ーロンが集団的に活動するときに、もしも活動ニューロ
ンが比較的局限された場所に集中していれば、その電気
的な活動を一つ以上の電流双極子で近似することができ
る。このように電流双極子を探し当てるため、頭蓋内の
任意の位置に任意のモーメントを持った電流双極子を一
つ以上置いたときに頭皮上に現れる電位を計算し、これ
と頭皮上に設けた脳波(脳磁)センサによって測定され
た電位(磁場)との差の二乗誤差を計算する。この二乗
誤差が基準以上である場合はシンプレックス法等によっ
て電流双極子の位置を移動させて、二乗誤差の値が収束
するまでこの動作を繰り返す。ここで、シンプレックス
法は評価関数の最大点又は最小点を探索する最適化手法
の一つであり、反復計算を行うことによって近似解を求
める方法である。そして、この二乗誤差が最も小さくな
る位置と向きと大きさを求め、これを等価双極子とす
る。なお、上記以外の最適化手法は、文献「逆問題とそ
の解き方」(岡本良夫著オーム社発行, 1992年3月)な
どに詳述されている。
【0013】ここで、上記した二乗誤差は、活動ニュー
ロンが局在しているときには非常に小さくなるが、活動
ニューロンが広がって分布している時にはあまり小さく
ならないので、推定した等価双極子がどの程度活動ニュ
ーロンの位置を表しているかを示す指標として双極子度
(Dipolarity)が用いられており、活動ニューロンが局
在していれば双極子度は100%に近くなる。以上に述
べた双極子推定法(双極子追跡法)については、特開平
7−194566、特開平7−194567、特開平7
−265275などに詳述されている。
【0014】以上の手法を用いて、時系列の頭皮電位分
布から各時点の等価双極子群を推定すると、時点毎の等
価双極子群、即ち時系列の等価双極子群が推定される。
【0015】<ハ>整列部 上記の等価双極子推定部11で推定した等価双極子に
は、各時点の等価双極子群内において、例えば等価双極子
A、等価双極子B等の名称が付けられる。しかし、これら
の名称は各時点において等価双極子推定部でランダムに
行われるため、ある時点の等価双極子群内の等価双極子
Aと、別の時点での等価双極子群内の等価双極子Aとが
生体内の同一部位またはそれに近い位置を指していると
は限らない。ところが本発明では時系列データを扱うた
め、各時点のデータ及び演算結果などに一貫性が求めら
れる。そこで必要に応じて整列部12で、等価双極子推
定部11で推定した各時点の等価双極子群を整列する。
【0016】整列部12では、基準とする双極子度(Di
polarity)以上の直前数サンプルの等価双極子(例えば
等価双極子A、等価双極子B)の平均位置を計算してお
き、その平均位置と新たなサンプルの等価双極子の位置
との「近さ」を評価して、最初にランダムに付けられた
等価双極子の名称の交換を行う。以下、図2を参照して
説明する。整列前の新たな等価双極子NDPより前の時
点で推定した等価双極子の平均位置をMA、MBとす
る。ここで、平均位置をMA、MBを算出するのに使用す
る等価双極子は、基準とする双極子度以上の等価双極子
を使用するなどしておこなう。また、新たなサンプルの
等価双極子NDPの位置と平均位置MA、MBとの距離
をrA、rBとする。そして、「近さ」の評価基準Pは以
下の式で表す。
【0017】P=rA/(rA+rB)
【0018】評価基準Pは0から1の間の値で、新たな
サンプルの等価双極子NDPが平均位置MAに近いほど
評価基準Pはより小さい値となる。
【0019】新たな時点の等価双極子群の整列では、ま
ず新たなサンプルの等価双極子NDPAと等価双極子N
DPBに対する評価基準Pを計算し、それらをそれぞれ
PA、PBとする。そして、PA≦PBならば、等価双
極子NDPAが等価双極子NDPBよりも平均位置MA
に近いと判断し、NDPAとNDPBの名称の交換を行
わず、推定時に付与された名称のままとする。また、P
A>PBならば、等価双極子DPBが等価双極子DPA
よりも平均位置MAに近いと判断し、NDPAとNDP
Bの名称の交換を行う。交換を行った場合は、等価双極
子推定部11で等価双極子Aと名付けられた等価双極子
が等価双極子Bとなり、等価双極子Bと名付けられた等
価双極子が等価双極子Aとなる。
【0020】<ニ>変換部 変換部13では、整列後の等価双極子の大きさ(スカラ
ー量)を計算して等価双極子の名称毎の時系列データに
変換する。まず、等価双極子のモーメントの大きさ(ス
カラー量)を以下の式で計算する。
【0021】
【数1】
【0022】上記の式で算定した等価双極子のスカラー
量を、整列部12で調整して決定した名称ごとに時系列
に並べる。例えば、等価双極子Aの時系列データ、等価双
極子Bの時系列データ等を作成することができる(図9
参照)。こうして求めた等価双極子のスカラー量の時系
列データは、脳内活性量を複数の等価双極子ごとの時系
列で表したものであると考えることができる。なお、整
列部12を使用しない場合は、等価双極子推定部11で
推定した等価双極子の大きさ(スカラー量)を計算して
等価双極子の名称毎の時系列データに変換する。
【0023】<ホ>情報の流れ量の計算部 情報の流れ量の計算部14では、推定した等価双極子間
(例えば等価双極子Aと等価双極子Bの間)の情報の流
れ量とその方向、即ち方向性エントロピーを算出する。
なお、情報の方向については算出を行わなくともよい場
合もある。上記で求めた等価双極子群のスカラー量の時
系列に対して、複数の波形間における情報の流れの理論
を適用して、情報の流れを計算する。以下、2つの等価
双極子(A、B)のモーメントの大きさの時系列(以下、
モーメント時系列A、Bという)を例にして説明する。
まず、2つのモーメント時系列A、Bの平均値を、それ
ぞれ0としておく。以後、この平均値0の2つのモーメ
ント時系列A、Bに対して解析を行う。次に、2つのモ
ーメント時系列A、Bに対して相関関数を計算し、これ
を用いて自己回帰モデル(ARモデル)による信号推定
を行う。そして、自己回帰係数を用いて線形生成モデル
を構築し、情報の流れ量を求める。以下に詳述する。
【0024】<ヘ>自己回帰モデル 2つのモーメント時系列A、Bに対して求められた相関
関数を用い、二次元自己回帰モデルによる信号推定を行
う。このとき、何サンプル前(何時点前)までの自己回
帰とするかを決める自己回帰次数を選択する必要があ
る。自己回帰次数の選択基準には、FPE(最終予測誤
差、Final Prediction Error criterion)やAIC(赤
池情報量基準、Akaike's Information Criterion)など
がある。2つのモーメント時系列A、Bに対して、上記
で選択した自己回帰次数で二次元自己回帰モデルによる
推定を行い、自己回帰係数を求める。なお自己回帰モデ
ルについては、文献「ダイナミックシステムの統計的解
析と制御」(赤池弘治、中川東一郎 共著、株式会社サイ
エンス社発行)に詳述されている。
【0025】<ト>線形生成モデル 上記で算出した自己回帰係数を用い、線形生成モデルを
構築する。自己回帰係数から自己回帰モデルのインパル
ス応答を求め、線形生成モデルの線形フィルタ係数から
なる行列を決定する。
【0026】<チ>情報の流れ量の計算 上記で求めた線形フィルタ係数からなる行列を用い、情
報の流れ量を計算する。なお、以上に説明した内容は、ガ
ウス性白色ノイズ源と多次元自己回帰モデルを仮定する
方法として、例えば、論文(神竹孝至、原島博、宮川洋、有
向情報量に基づく時系列解析、電子通信学会論文誌、Vol.
J67-A,pp.103-110(1984))に詳述されている。
【0027】<リ>表示部 表示部2は、整列後の等価双極子群の三次元的な位置を
表示する位置表示部21と、等価双極子間の情報の流れ
量を表示する流れ量表示部22と、からなる。位置表示
部21は、等価双極子推定部11で推定して整列部12
で名称を調整した等価双極子群の三次元座標を表示する
ものである。例えば、XY平面、ZY平面、ZX平面上に
等価双極子をプロットして表示する(図7参照)。ここ
で、等価双極子の位置の他に等価双極子のモーメントの
大きさについても線分などで表示することができる。ま
た別の表示方法として、立体的画像上に等価双極子の位
置を表示することも、三次元座標値のみを表示すること
も可能である。位置表示部21で表示された等価双極子
の位置から、生体内のどこの部位が活性化しているかを
明らかにすることができる。
【0028】情報の流れ量表示部22は、等価双極子間
を流れる情報の方向と情報の流れ量を表示する。例え
ば、XY座標上に、Y軸を境にして右側には等価双極子A
から等価双極子Bに流れる情報の流れ量を、Y軸を境に
して左側には等価双極子Bから等価双極子Aに流れる情
報の流れ量を表示する(図11参照)。この結果、どち
らの等価双極子からどちらの等価双極子にどのくらいの
量の情報が流れているかを明らかにすることができる。
さらに、その因果関係の強さを、情報量[bit/sec]の時
系列として得られることができる。なお、情報の流れ量
の計算部14で情報の方向について算出しない場合は、
情報の流れ量表示部22では、等価双極子間を流れる情
報の方向は表示しない。
【0029】
【実施例】以下図面を参照しながら本発明の実施例につ
いて説明する。
【0030】<イ>三層球状モデル 実施例では、三次元生体モデルとして三層球状モデルを
使用する。ここで使用する座標系を図3に示す。三層球
状モデルの三層球の半径はそれぞれ65[mm]、71[mm]、75[m
m]とし、3層の導電率は0.33[S/m],0.0042[S/m],0.33[S
/m]とした。また、使用した電極位置を図4及び表1に
示す。ここで、図4は半径1の球上に表1の値の位置を
示したものである。なお、第3層(半径75[mm])上に現
れる表1の値の位置が、実際に測定を行う頭皮上の電極
位置となる。
【0031】
【表1】
【0032】<ロ>時系列の頭皮電位分布 実施例では頭皮電位分布の測定データ例として、右手親
指刺激による体性感覚誘発電位(SEP、Somatosensory E
voked Potential)を用いた。図5にSEP波形を示す。こ
こで、横軸は刺激付与時を0.0[ms]、縦軸の符号は図
4に示した電極位置の符号、縦軸のスケールはチャンネ
ル間の高さが2[μV]で縦軸上側がプラスである。図5
のSEP波形は、国際10-20法標準21電極、サンプリング
周波数2kHzにより測定した、500回加算平均のものであ
る。
【0033】<ハ>等価双極子の推定 実施例では、時系列の頭皮電位分布に対して、各時点で
2つの等価双極子の推定をシンプレックス法によりおこ
なう。ここでは、ランダムな初期シンプレックス位置か
ら6回推定を行い、6つの推定結果の中で最も推定精度
の良いものを選んだ。等価双極子は、三次元ベクトルで
表される位置RとモーメントMの6変数からなり以下の
ように表せる。
【0034】
【数2】
【0035】等価双極子の推定結果を図6、図7に示
す。図6は、上段に双極子度(Dipolarity)、中段に等
価双極子Aのモーメントの大きさ、下段に等価双極子B
のモーメントの大きさを示す。ここで、双極子度は等価
双極子の推定精度を表わし、n個の電極位置(今回はn
=21)における測定電位を並べたn次元ベクトルpmeas
と、推定された等価双極子A、Bがn電極位置に発生す
る計算電位を並べたn次元ベクトルpcalとで以下のよ
うに定義される。
【0036】
【数3】
【0037】双極子度は0[%]から100[%]の値をとり、値
が大きいほど推定精度が良いことを示す。
【0038】図7には、0.5[ms]間隔で刺激からの潜時
が14.5〜16.5[ms]における等価双極子A、Bの位置を示
した。この段階での等価双極子の位置は、等価双極子A
と等価双極子Bの位置が入り混じっていて整列されてい
ない。いくつかのサンプルについて、等価双極子A、B
の名称の交換による整列が必要であることがわかる。
【0039】<ニ>等価双極子の整列 実施例では、解析範囲5[ms]〜105[ms]のデータに対し
て、双極子度95[%]以上の直前3サンプルの平均位置に
より、等価双極子の整列を行った。図8に整列後の等価
双極子A、Bの位置を示す。整列前の図7と整列後の図
8を比較すると、図8では2つの等価双極子A、Bの位
置が入り混じっておらず、整列されていることがわか
る。
【0040】<ホ>等価双極子モーメントの大きさの計
算 整列後の等価双極子モーメントの大きさ(スカラー量)
を計算した結果を図9に示す。整列前の図6と整列後の
図9とを比較すると、図9は波形の不規則な乱れがとれ
ていて、ここからも等価双極子の整列が行われているこ
とがわかる。
【0041】<ヘ>情報の流れ量の計算 上記で求めた等価双極子A、Bのスカラー量の時系列
(図9参照)に対して、2波形間における情報の流れの
理論を適用して、情報の流れを計算する。まず、2つの
モーメント時系列(図9)の平均値を、それぞれ0とし
ておく。次に、2つのモーメント時系列に対して、相関
関数を計算する。図10に相関結果を示す。ここで、横
軸(-20[ms]〜20[ms]の範囲を表示)は、モーメント時
系列Aに対するモーメント時系列Bの時間遅れを表す。
【0042】次に、求められた相関関数を用い、2つの
モーメント時系列に対して二次元自己回帰モデルによる
信号推定を行う。ここで、自己回帰次数はFPEにより計
算した。計算結果からFPEが最小となる自己回帰次数を
選ぶと3となった。ここで、情報の流れ量は、自己回帰
次数値の分だけ先のサンプルまでしか得られない。この
ため、この値が小さすぎては時系列データを使用して解
析する意味が薄れるため、実施例では別の極小値を採用
し自己回帰次数を30とした。
【0043】2つのモーメント時系列A、B(図9)に
対して、自己回帰次数を30として二次元自己回帰モデ
ルによる推定を行い、自己回帰係数を求めた。次に、求
めた自己回帰係数から自己回帰モデルのインパルス応答
を求め、それらを用い線形生成モデルを構築した。そし
て、求めた線形生成モデルの線形フィルタ係数からなる
行列を用い、情報の流れ量を計算した。図11に情報の
流れ量の計算結果を示す。ここで、横軸のプラス側が等
価双極子Aから等価双極子Bへの情報の流れを表し、マ
イナス側が等価双極子Bから等価双極子Aへの情報の流
れを表している。自己回帰次数値の30サンプル(15[m
s])先までの情報の流れ量がここでは得られる。図11
からは、主に等価双極子Aから等価双極子Bへ情報が流
れていて、等価双極子Bから等価双極子Aへはほとんど
流れていないことがわかる。
【0044】従来、時系列間の依存関係を推定する最も
一般的な方法として、相関関数法(図10参照)やクロ
ススペクトル解析が用いられてきた。しかし、相関関数
の結果である図10からわかるように、横軸のプラス側
にもマイナス側にもある程度の相関があり、時系列間の
因果関係を得ることができない。本発明では、図11に
示されるように、等価双極子Aが原因で等価双極子Bが
結果であろうという因果関係が明らかになる。さらに、
その因果関係の強さが、情報の流れ量[bit/sec]の時系
列として得られることが特徴である。また、図8から等
価双極子Aと等価双極子Bは、それぞれ視床と体性感覚
野の活動を反映していると考えられるので、等価双極子
Aから等価双極子Bへ情報が流れているという結果は、
ニューロンの活動が視床から体性感覚野へと移っていく
という知見と一致する。さらに、図11の-11.0[ms]〜-
15.0[ms]に少量の情報の流れがあることは、体性感覚野
から視床へのフィードバックがあることを示唆してい
る。
【0045】
【本発明の効果】本発明の三次元生体情報解析装置は以
上説明したようになるから次のような効果を得ることが
できる。 <イ>時系列の頭皮電位分布を使用して解析を行う。こ
のため、生体内の情報の流れを時々刻々追跡して表示す
ることができる。即ち、生体内の情報の流れについて解
析することができる。 <ロ>生体内の活性部位の位置を、等価双極子として三
次元的に明示する位置表示部を有する。また、等価双極
子間に流れる情報の方向と流れ量を定量的に示す情報の
流れ量表示部を有する。この結果、生体内の活性部位間
を流れる情報の方向と流れ量を定量的に評価することが
できる。また、生体内での情報処理のメカニズムを明ら
かにすることもできる。 <ハ>等価双極子の三次元的な位置と、時系列で等価双
極子間の情報の流れ量とを表示する。このため、実際の
脳深部の活動と対応付けて評価することが可能となる。
特に、解析結果から脳内の特定部位の疾患を検出でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三次元生体情報解析装置の概念図
【図2】整列部における評価基準の説明図
【図3】三次元座標系の説明図
【図4】電極位置の平面図
【図5】実施例で使用したSEP波形図
【図6】整列前の等価双極子の推定結果の時系列図
【図7】整列前の等価双極子の三次元的位置表示図
【図8】整列後の等価双極子の三次元的位置表示図
【図9】整列後の等価双極子の推定結果の時系列図
【図10】2つのモーメント時系列の相関関数図
【図11】等価双極子間の情報の流れ量の計算結果を表
示した図
【符号の説明】
10・・・三次元生体情報解析装置 11・・・等価双極子推定部 12・・・整列部 13・・・変換部 14・・・計算部 21・・・位置表示部 22・・・流れ量表示部 3・・・頭皮電位分布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武紀之 神奈川県川崎市高津区坂戸3−2−1 KSP東棟211 株式会社脳機能研究所 内 (72)発明者 武者利光 神奈川県川崎市高津区坂戸3−2−1 KSP東棟211 株式会社脳機能研究所 内 (56)参考文献 特開 平10−24024(JP,A) 特開 平7−194567(JP,A) 特開 平2−31736(JP,A) 武紀之 他2名,ダイポール推定法を 用いた脳内活動部位間の情報の流れの解 明,電子情報通信学会技術研究報告,日 本,社団法人電子情報通信学会,2000年 12月 1日,第100巻、第489号,103− 110 神竹孝至 他2名,有向情報量に基づ く時系列解析法,電子通信学会論文誌, 日本,社団法人電子通信学会,1984年 2月25日,J67−A,2,103−110 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/04 - 5/05

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】頭皮上で測定される電位の分布である頭皮
    電位分布を使用し、生体内活性部位及び活性量を複数の
    等価双極子である等価双極子群として推定する等価双極
    子推定法を利用した三次元生体情報解析装置であって、 時系列の頭皮電位分布に対応する各時点の等価双極子群
    を推定する等価双極子推定部と、推定した等価双極子に
    ついてスカラー量を計算し、等価双極子の名称毎の時系
    列データに変換する変換部と、 前記時系列データから各時点における等価双極子間の情
    報の流れ量を計算する計算部と、前記等価双極子の三次
    元的な位置を表示する位置表示部と、前記等価双極子間
    の情報の流れ量を表示する流れ量表示部と、から構成さ
    れることを特徴とする、 三次元生体情報解析装置。
  2. 【請求項2】頭皮上で測定される電位の分布である頭皮
    電位分布を使用し、生体内活性部位及び活性量を複数の
    等価双極子である等価双極子群として推定する等価双極
    子推定法を利用した三次元生体情報解析装置であって、 時系列の頭皮電位分布に対応する各時点の等価双極子群
    を推定する等価双極子推定部と、推定した前記等価双極
    子群内の各等価双極子の名称が時系列内を通じて終始一
    貫するように調整する整列部と、 整列後の各時点の等価双極子についてスカラー量を計算
    し、等価双極子の名称毎の時系列データに変換する変換
    部と、 前記時系列データから各時点における等価双極子間の情
    報の方向と流れ量を計算する計算部と、 前記整列部で整列した後の等価双極子の三次元的な位置
    を表示する位置表示部と、 等価双極子間の情報の方向と流れ量を表示する流れ量表
    示部と、から構成されることを特徴とする、 三次元生体情報解析装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の三次元生体情報解析装置に
    おいて、 前記整列部における等価双極子の名称の調整を、各名称
    の代表的な等価双極子の位置との距離を変数とした評価
    基準で行うことを特徴とする、 三次元生体情報解析装置。
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神竹孝至 他2名,有向情報量に基づく時系列解析法,電子通信学会論文誌,日本,社団法人電子通信学会,1984年 2月25日,J67−A,2,103−110

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