JP3486666B2 - セラミックスの加工方法 - Google Patents
セラミックスの加工方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックスに形状を
付与し、機械構造用部材として利用するための加工方法
に関するものであり、さらに詳しくは、熱伝導率の小さ
い、焼結前のセラミックス圧粉体、または焼結度が10
0%より小さいセラミックス仮焼体をレーザ加工法によ
り高能率、低損傷で所定の形状に加工したのち、完全に
焼結させることにより構造用部材とするためのセラミッ
クスの加工方法に関するものである。
付与し、機械構造用部材として利用するための加工方法
に関するものであり、さらに詳しくは、熱伝導率の小さ
い、焼結前のセラミックス圧粉体、または焼結度が10
0%より小さいセラミックス仮焼体をレーザ加工法によ
り高能率、低損傷で所定の形状に加工したのち、完全に
焼結させることにより構造用部材とするためのセラミッ
クスの加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ファインセラミックスは、硬度が
高く、高温強度、耐磨耗性に優れることから、新しい構
造用新素材として注目されている。一般に、セラミック
ス部材は、原料粉末を圧粉成形し高温で焼結して得られ
るが、焼結体は、典型的な脆性材料となる。このため、
セラミックス部材の場合、通常の金属材料において広く
行われているように、通常工具による塑性加工や切削加
工によって形状を創製することは非常に困難である。
高く、高温強度、耐磨耗性に優れることから、新しい構
造用新素材として注目されている。一般に、セラミック
ス部材は、原料粉末を圧粉成形し高温で焼結して得られ
るが、焼結体は、典型的な脆性材料となる。このため、
セラミックス部材の場合、通常の金属材料において広く
行われているように、通常工具による塑性加工や切削加
工によって形状を創製することは非常に困難である。
【0003】このため、現在では、セラミックス部材の
加工方法としては、ダイヤモンド砥粒を埋め込んだ砥石
を用いた切削・研削加工法および放電加工法が主流とな
っている。しかしながら、これらの加工法のうち、切削
・研削加工法は、1)使用する砥石が高価であること、
2)加工能率が非常に低いこと、3)工具磨耗が大きい
こと、4)一般に、複雑な形状のものを得ることは困難
であり、加工中の割れの危険や特殊な形状の砥石を必要
とすること、などの欠点を持っている。一方、放電加工
法は、加工形状の自由度は大きいが、1)被加工材が導
電性を有するセラミックスに限られること、2)加工速
度および加工能率がダイヤモンド砥石を用いた加工法よ
りもさらに低いこと、などの問題点がある。
加工方法としては、ダイヤモンド砥粒を埋め込んだ砥石
を用いた切削・研削加工法および放電加工法が主流とな
っている。しかしながら、これらの加工法のうち、切削
・研削加工法は、1)使用する砥石が高価であること、
2)加工能率が非常に低いこと、3)工具磨耗が大きい
こと、4)一般に、複雑な形状のものを得ることは困難
であり、加工中の割れの危険や特殊な形状の砥石を必要
とすること、などの欠点を持っている。一方、放電加工
法は、加工形状の自由度は大きいが、1)被加工材が導
電性を有するセラミックスに限られること、2)加工速
度および加工能率がダイヤモンド砥石を用いた加工法よ
りもさらに低いこと、などの問題点がある。
【0004】これに対し、近年、金属材料の加工におい
て注目されているレーザ加工法は、原理上、1)加工形
状の自由度が大きいこと、2)被加工材の導電性の有無
を問わないこと、3)大きなエネルギーを投入できるた
め放電加工に比べて加工速度が大きいこと、などの特長
がある。現在のところ、レーザを用いたセラミックスの
加工例としては、電子部品・集積回路の基板用に、低強
度の多孔質アルミナを中心とする薄板(0.6mm程
度)の穴開け、スクライビング加工が行われている。
て注目されているレーザ加工法は、原理上、1)加工形
状の自由度が大きいこと、2)被加工材の導電性の有無
を問わないこと、3)大きなエネルギーを投入できるた
め放電加工に比べて加工速度が大きいこと、などの特長
がある。現在のところ、レーザを用いたセラミックスの
加工例としては、電子部品・集積回路の基板用に、低強
度の多孔質アルミナを中心とする薄板(0.6mm程
度)の穴開け、スクライビング加工が行われている。
【0005】ところが、レーザ加工法を一般構造用の緻
密で高強度なセラミックスへ適用した研究によると、
1)加工中の熱応力によって加工部周辺に微細な割れや
変質層などが生じて部材の強度を低下させること〔重松
一典,中村 守,金山公三,平井幸男,高温学会誌,Vo
l.18,No.1,36(1992)〕、2)微細な割れや変質層を減
少させるためにはレーザのエネルギーを低くせざるを得
ず、結果的に加工能率の低下を招いてしまうこと、など
の問題があることが分かっており、従って、かかる状況
から、従来、これらの分野においてレーザ加工法を適用
することは技術的、コスト的に困難なものであった。
密で高強度なセラミックスへ適用した研究によると、
1)加工中の熱応力によって加工部周辺に微細な割れや
変質層などが生じて部材の強度を低下させること〔重松
一典,中村 守,金山公三,平井幸男,高温学会誌,Vo
l.18,No.1,36(1992)〕、2)微細な割れや変質層を減
少させるためにはレーザのエネルギーを低くせざるを得
ず、結果的に加工能率の低下を招いてしまうこと、など
の問題があることが分かっており、従って、かかる状況
から、従来、これらの分野においてレーザ加工法を適用
することは技術的、コスト的に困難なものであった。
【0006】これらのことから、一般に、セラミックス
の加工コストは非常に高いものとなり、このことがセラ
ミックスの各種構造用部材への適用を阻害する大きな要
因の一つとなっている。従って、当業界においては、セ
ラミックスの工業的利用を拡大するために、加工の自由
度が大きく、かつ低加工損傷で、省コスト化が可能な新
しいセラミックスの加工方法の導入が望まれている状況
にあった。
の加工コストは非常に高いものとなり、このことがセラ
ミックスの各種構造用部材への適用を阻害する大きな要
因の一つとなっている。従って、当業界においては、セ
ラミックスの工業的利用を拡大するために、加工の自由
度が大きく、かつ低加工損傷で、省コスト化が可能な新
しいセラミックスの加工方法の導入が望まれている状況
にあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このよ
うな状況を踏まえ、上記のような従来技術における諸問
題を解決すると共に、加工の自由度が大きく、加工損傷
の低い、省コスト化が可能な新しいセラミックスの加工
方法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた
結果、焼結前のセラミックス圧粉体もしくはセラミック
ス仮焼体にレーザ加工法を適用することにより所期の目
的を達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至
った。
うな状況を踏まえ、上記のような従来技術における諸問
題を解決すると共に、加工の自由度が大きく、加工損傷
の低い、省コスト化が可能な新しいセラミックスの加工
方法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた
結果、焼結前のセラミックス圧粉体もしくはセラミック
ス仮焼体にレーザ加工法を適用することにより所期の目
的を達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至
った。
【0008】すなわち、本発明は、上記の点に鑑み、従
来法より加工能率が高く、微細な割れなどの変質層の発
生の少ない、レーザによるセラミックスの加工方法を提
供することを目的とするものである。
来法より加工能率が高く、微細な割れなどの変質層の発
生の少ない、レーザによるセラミックスの加工方法を提
供することを目的とするものである。
【0009】また、本発明は、レーザ加工法を従来適用
することが困難とされていた一般構造用の緻密で高強度
なセラミックスへの適用を可能にする新しいセラミック
スの加工方法を提供することを目的とするものである。
することが困難とされていた一般構造用の緻密で高強度
なセラミックスへの適用を可能にする新しいセラミック
スの加工方法を提供することを目的とするものである。
【0010】また、本発明は、窒化ケイ素、炭化ケイ
素、ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合セラミ
ックス等のセラミックスの構造用材料としての優れた性
能を生かすことが可能な新しいセラミックスの加工方法
を提供することを目的とするものである。
素、ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合セラミ
ックス等のセラミックスの構造用材料としての優れた性
能を生かすことが可能な新しいセラミックスの加工方法
を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミックスの
加工方法は、熱伝導率の小さい、焼結度が50〜80%
のセラミックス焼結体(以下、仮焼体と記すことがあ
る。)を被加工材とし、これをレーザ加工法により所定
の寸法、形態に加工すること、そして当該所定の寸法、
形態に加工後、さらに電気炉等で完全に焼結させること
により所定の最終製品形状をもつ焼結体を得るようにす
ることを特徴とするものである。本発明におけるレーザ
加工の加工手段としては、YAGレーザを使用し、パル
ス周波数3〜10kHzの条件でレーザ加工することが
できる。
加工方法は、熱伝導率の小さい、焼結度が50〜80%
のセラミックス焼結体(以下、仮焼体と記すことがあ
る。)を被加工材とし、これをレーザ加工法により所定
の寸法、形態に加工すること、そして当該所定の寸法、
形態に加工後、さらに電気炉等で完全に焼結させること
により所定の最終製品形状をもつ焼結体を得るようにす
ることを特徴とするものである。本発明におけるレーザ
加工の加工手段としては、YAGレーザを使用し、パル
ス周波数3〜10kHzの条件でレーザ加工することが
できる。
【0012】そして、本発明は、さらに、セラミックス
が、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、アルミナ、
またはこれらの複合セラミックスであることを一つの態
様とするものであるが、本発明のセラミックスの加工方
法は、上記の如き被加工材であれば、セラミックスの種
類には限定されることなく適用することが可能であり、
例えば、従来適用することが困難とされていた窒化ケイ
素、炭化ケイ素、ジルコニア、アルミナ、またはこれら
の複合セラミックス等のセラミックスに代表される如き
一般構造用材料の緻密で高強度なセラミックスの加工に
好適に適用されるものである。また、本発明で言うとこ
ろの構造用部材とは、例えば、窒化ケイ素、炭化ケイ
素、ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合セラミ
ックス焼結体等からなる各種セラミックス構造用部材を
意味するものであるが、その種類は特に限定されるもの
ではない。
が、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、アルミナ、
またはこれらの複合セラミックスであることを一つの態
様とするものであるが、本発明のセラミックスの加工方
法は、上記の如き被加工材であれば、セラミックスの種
類には限定されることなく適用することが可能であり、
例えば、従来適用することが困難とされていた窒化ケイ
素、炭化ケイ素、ジルコニア、アルミナ、またはこれら
の複合セラミックス等のセラミックスに代表される如き
一般構造用材料の緻密で高強度なセラミックスの加工に
好適に適用されるものである。また、本発明で言うとこ
ろの構造用部材とは、例えば、窒化ケイ素、炭化ケイ
素、ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合セラミ
ックス焼結体等からなる各種セラミックス構造用部材を
意味するものであるが、その種類は特に限定されるもの
ではない。
【0013】ところで、発明者らによる、セラミックス
焼結体のレーザ加工に関するこれまでの研究から、被加
工材の破損は、レーザ照射によって生じた熱応力が、被
加工材の強度を上回るときに生じることが分かってい
る。なお、被加工材の強度は、温度の関数であり、一般
に、温度が高くなるほど強度は急激に低下することが知
られている。
焼結体のレーザ加工に関するこれまでの研究から、被加
工材の破損は、レーザ照射によって生じた熱応力が、被
加工材の強度を上回るときに生じることが分かってい
る。なお、被加工材の強度は、温度の関数であり、一般
に、温度が高くなるほど強度は急激に低下することが知
られている。
【0014】ここで、レーザ加工における被加工材の材
料特性と被加工性の関係に関する検討結果を示すと、図
1は、熱伝導率が大きい材料と小さい材料の、レーザビ
ーム照射部近傍の温度分布を模式的に示したものであ
る。図1に示されるように、レーザビーム照射点の温度
が被加工材の分解温度もしくは溶融温度に達した時、熱
伝導率が小さい材料では温度上昇はレーザ照射点付近に
限られている。これに対し、熱伝導率が大きい材料では
照射点から比較的離れた地点でも温度が上昇している。
ここで、熱応力の大きさは温度勾配に比例するため、熱
伝導率が大きな材料の方が熱応力の値は小さいと言え
る。しかし、熱伝導率が大きい材料ではレーザ照射部周
辺まで温度が上昇しているため材料強度が低下し、結果
として熱応力が強度を上回るため被加工材が破損する確
率が高くなる。一方、熱伝導率が小さい材料では局部的
にみると大きな熱応力が生じているが、周辺部の温度は
低く材料強度は高いためにビーム照射点で発生した割れ
が周辺へ進展するのが抑制され、結果としてダメージの
少ないレーザ加工が可能になる。
料特性と被加工性の関係に関する検討結果を示すと、図
1は、熱伝導率が大きい材料と小さい材料の、レーザビ
ーム照射部近傍の温度分布を模式的に示したものであ
る。図1に示されるように、レーザビーム照射点の温度
が被加工材の分解温度もしくは溶融温度に達した時、熱
伝導率が小さい材料では温度上昇はレーザ照射点付近に
限られている。これに対し、熱伝導率が大きい材料では
照射点から比較的離れた地点でも温度が上昇している。
ここで、熱応力の大きさは温度勾配に比例するため、熱
伝導率が大きな材料の方が熱応力の値は小さいと言え
る。しかし、熱伝導率が大きい材料ではレーザ照射部周
辺まで温度が上昇しているため材料強度が低下し、結果
として熱応力が強度を上回るため被加工材が破損する確
率が高くなる。一方、熱伝導率が小さい材料では局部的
にみると大きな熱応力が生じているが、周辺部の温度は
低く材料強度は高いためにビーム照射点で発生した割れ
が周辺へ進展するのが抑制され、結果としてダメージの
少ないレーザ加工が可能になる。
【0015】また、被加工材の熱伝導率が大きい場合、
周囲に熱が拡散するために、レーザ照射部の温度を材料
の分解温度あるいは溶融温度まで上昇させるためには多
くのエネルギーを必要とする(図1の斜線部)。これに
対し、熱伝導率が低い材料では、周囲への熱の拡散が少
ないため、わずかなエネルギーで照射点の温度が容易に
分解温度あるいは溶融温度まで達する(図1の陰影
部)。このことは、熱伝導率の小さい材料の方が、より
少ないレーザパワーで高能率に加工できることを示して
いる。
周囲に熱が拡散するために、レーザ照射部の温度を材料
の分解温度あるいは溶融温度まで上昇させるためには多
くのエネルギーを必要とする(図1の斜線部)。これに
対し、熱伝導率が低い材料では、周囲への熱の拡散が少
ないため、わずかなエネルギーで照射点の温度が容易に
分解温度あるいは溶融温度まで達する(図1の陰影
部)。このことは、熱伝導率の小さい材料の方が、より
少ないレーザパワーで高能率に加工できることを示して
いる。
【0016】ここまで述べてきたように、レーザ加工の
被加工材に及ぼす影響、すなわち被加工性は、被加工材
の特性によって大きく異なるものであることが明らかと
なっており、特に、本発明者らが研究したところによれ
ば、周囲への損傷が少なく、加工能率が高いレーザ加工
を実現するためには、被加工材の熱伝導率が小さいこと
が必要であることが分かった。さらに、割れの進展は材
料中の空孔(ポア)によって押さえられることが知られ
ているため、ある程度低密度で、多孔質のものが望まし
いことが分かる。
被加工材に及ぼす影響、すなわち被加工性は、被加工材
の特性によって大きく異なるものであることが明らかと
なっており、特に、本発明者らが研究したところによれ
ば、周囲への損傷が少なく、加工能率が高いレーザ加工
を実現するためには、被加工材の熱伝導率が小さいこと
が必要であることが分かった。さらに、割れの進展は材
料中の空孔(ポア)によって押さえられることが知られ
ているため、ある程度低密度で、多孔質のものが望まし
いことが分かる。
【0017】ところで、現在、一般的に用いられている
多孔質の焼結体(多孔質アルミナ、コーディエライト系
セラミックス等)は、上記の条件を満たしており、優れ
た被レーザ加工性を示す〔重松一典,金山公三,平井幸
男,中村 守,Journal of Ceramic Society of Japan
,vol.101 , No.5 , 604(1993)〕が、これらの多孔
質の焼結体は、構造用材料として必要な高温強度、靱
性、耐磨耗特性等の性能が低く、今後需要が増えるとみ
られる高温、高圧環境等で用いられる材料としては使用
できない。
多孔質の焼結体(多孔質アルミナ、コーディエライト系
セラミックス等)は、上記の条件を満たしており、優れ
た被レーザ加工性を示す〔重松一典,金山公三,平井幸
男,中村 守,Journal of Ceramic Society of Japan
,vol.101 , No.5 , 604(1993)〕が、これらの多孔
質の焼結体は、構造用材料として必要な高温強度、靱
性、耐磨耗特性等の性能が低く、今後需要が増えるとみ
られる高温、高圧環境等で用いられる材料としては使用
できない。
【0018】そこで、上記従来技術を踏まえ、かつ上記
の如き検討結果を前提として、本発明のセラミックスの
加工方法が確立されたものであり、本発明の加工方法
は、構造用材料として優れた性能をもつ窒化ケイ素、炭
化ケイ素、ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合
セラミックス等のセラミックスを、熱伝導率が低く、空
孔を多く含む焼結前のセラミックス圧粉体あるいは焼結
度が100%より小さいセラミックス仮焼体の状態でレ
ーザ加工を行い、高能率、低損傷で部品形状を付与する
こと、さらに当該部品形状を付与したのち、電気炉等で
完全に再焼結することを特徴としている。
の如き検討結果を前提として、本発明のセラミックスの
加工方法が確立されたものであり、本発明の加工方法
は、構造用材料として優れた性能をもつ窒化ケイ素、炭
化ケイ素、ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合
セラミックス等のセラミックスを、熱伝導率が低く、空
孔を多く含む焼結前のセラミックス圧粉体あるいは焼結
度が100%より小さいセラミックス仮焼体の状態でレ
ーザ加工を行い、高能率、低損傷で部品形状を付与する
こと、さらに当該部品形状を付与したのち、電気炉等で
完全に再焼結することを特徴としている。
【0019】このような構成を採用することにより、非
常に高い加工速度および加工能率でレーザ加工すること
を可能にするものであり、また低損傷で部品形状を付与
することを可能にするものである。このため、最終製品
は、緻密かつ高強度であり、窒化ケイ素、炭化ケイ素、
ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合セラミック
ス等のセラミックスの構造用材料としての優れた性能を
生かすことができる。上記の如く、本発明の加工方法
は、上記のような焼結前のセラミックス圧粉体あるいは
セラミックスの仮焼体を被加工材とした場合に上記のよ
うな効果が得られるものであり、完全焼結体を被加工材
とした場合には所期の目的を達成することはできない。
常に高い加工速度および加工能率でレーザ加工すること
を可能にするものであり、また低損傷で部品形状を付与
することを可能にするものである。このため、最終製品
は、緻密かつ高強度であり、窒化ケイ素、炭化ケイ素、
ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合セラミック
ス等のセラミックスの構造用材料としての優れた性能を
生かすことができる。上記の如く、本発明の加工方法
は、上記のような焼結前のセラミックス圧粉体あるいは
セラミックスの仮焼体を被加工材とした場合に上記のよ
うな効果が得られるものであり、完全焼結体を被加工材
とした場合には所期の目的を達成することはできない。
【0020】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は、当該実施例に限定されるものでは
ない。
明するが、本発明は、当該実施例に限定されるものでは
ない。
【0021】窒化ケイ素の仮焼体にYAGレーザを用い
て溝彫り加工を行った。被加工材の焼結度は50%、8
0%、および比較のために焼結度100%、すなわち完
全に焼結が完了した状態の試料(以下、完全焼結体と記
す。)を用意した。
て溝彫り加工を行った。被加工材の焼結度は50%、8
0%、および比較のために焼結度100%、すなわち完
全に焼結が完了した状態の試料(以下、完全焼結体と記
す。)を用意した。
【0022】図2は、単位時間当たりの除去量すなわち
加工能率を比較したものである。図2において、縦軸
は、加工能率、横軸は周波数であり、図2に示される条
件にてレーザ加工を行った。図2から明らかなように、
本発明の加工方法である、焼結度50%、80%の仮焼
体を対象としてレーザ加工を行った場合には、焼結度1
00%の完全焼結体を対象としてレーザ加工を行った場
合の10倍以上の加工速度を示した。これらの結果、本
発明の加工方法によれば、完全焼結体を被加工材とした
場合と比較して、高加工能率でレーザ加工し得ることが
分った。
加工能率を比較したものである。図2において、縦軸
は、加工能率、横軸は周波数であり、図2に示される条
件にてレーザ加工を行った。図2から明らかなように、
本発明の加工方法である、焼結度50%、80%の仮焼
体を対象としてレーザ加工を行った場合には、焼結度1
00%の完全焼結体を対象としてレーザ加工を行った場
合の10倍以上の加工速度を示した。これらの結果、本
発明の加工方法によれば、完全焼結体を被加工材とした
場合と比較して、高加工能率でレーザ加工し得ることが
分った。
【0023】さらに、顕微鏡観察の結果、完全焼結体を
被加工材とした場合には加工部周辺に微細な割れが観察
された。一方、本発明の、仮焼体を対象とした加工方法
の場合にはこのような割れは観察されなかった。これら
のことは、仮焼体が多く含んでいる孔(ポア)によって
微細な割れの進展が抑えられると同時に、被加工材の熱
伝導率が小さいため周囲に熱が伝わり難く、熱によるダ
メージが広がらなかったことを示している。これらの結
果、本発明の加工方法によれば、完全焼結体を被加工材
とした場合と比較して、低損傷で部品形状を付与し得る
ことが分った。なお、セラミックス材料として、炭化ケ
イ素、ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合セラ
ミックスを使用した場合、さらに、焼結前のセラミック
ス圧粉体を被加工材として同様にレーザ加工を行った場
合についても、同様の結果が得られた。
被加工材とした場合には加工部周辺に微細な割れが観察
された。一方、本発明の、仮焼体を対象とした加工方法
の場合にはこのような割れは観察されなかった。これら
のことは、仮焼体が多く含んでいる孔(ポア)によって
微細な割れの進展が抑えられると同時に、被加工材の熱
伝導率が小さいため周囲に熱が伝わり難く、熱によるダ
メージが広がらなかったことを示している。これらの結
果、本発明の加工方法によれば、完全焼結体を被加工材
とした場合と比較して、低損傷で部品形状を付与し得る
ことが分った。なお、セラミックス材料として、炭化ケ
イ素、ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合セラ
ミックスを使用した場合、さらに、焼結前のセラミック
ス圧粉体を被加工材として同様にレーザ加工を行った場
合についても、同様の結果が得られた。
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の加工方
法は、完全に焼結を完了したセラミックスを対象とした
従来の方法、すなわちダイヤモンド工具による加工法、
放電加工法およびレーザ加工法を完全焼結体に適用する
加工法に比べ、非常に高い加工速度および加工能率を有
している。また、本発明の加工方法によれば、従来のレ
ーザ加工法で問題となっていた加工部周辺の微細な割れ
や変質層の発生を抑えつつ低損傷で部品形状を付与し、
加工を行うことが可能である。さらに、本発明の加工方
法は、加工形状の自由度が非常に大きく、かつ従来の方
法に比べて加工コストの低減が可能なため、これにより
セラミックスの各種構造用部材への適用が促進され、セ
ラミックスの工業的利用が大きく拡大される。
法は、完全に焼結を完了したセラミックスを対象とした
従来の方法、すなわちダイヤモンド工具による加工法、
放電加工法およびレーザ加工法を完全焼結体に適用する
加工法に比べ、非常に高い加工速度および加工能率を有
している。また、本発明の加工方法によれば、従来のレ
ーザ加工法で問題となっていた加工部周辺の微細な割れ
や変質層の発生を抑えつつ低損傷で部品形状を付与し、
加工を行うことが可能である。さらに、本発明の加工方
法は、加工形状の自由度が非常に大きく、かつ従来の方
法に比べて加工コストの低減が可能なため、これにより
セラミックスの各種構造用部材への適用が促進され、セ
ラミックスの工業的利用が大きく拡大される。
【図1】被加工材の熱伝導率が大きい材料と小さい材料
の、レーザビーム照射部近傍の温度分布を模式的に示し
た説明図である。
の、レーザビーム照射部近傍の温度分布を模式的に示し
た説明図である。
【図2】焼結度が50%、80%、および完全に焼結し
たセラミックスに対し、YAGレーザを用いて同条件で
溝彫り加工を行った場合の、それぞれの加工速度(単位
時間当たりの除去量)を示した説明図である。
たセラミックスに対し、YAGレーザを用いて同条件で
溝彫り加工を行った場合の、それぞれの加工速度(単位
時間当たりの除去量)を示した説明図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 齋藤 清隆
愛知県知多郡武豊町字六貫山1丁目65番
地
(72)発明者 榊原 康司
愛知県半田市宮本町1丁目9の1
(72)発明者 山下 雅行
愛知県知多郡武豊町字嶋田58の170
(56)参考文献 特開 平4−282203(JP,A)
特開 平6−8226(JP,A)
特開 平5−33809(JP,A)
特開 平4−203616(JP,A)
特開 昭62−142609(JP,A)
特開 昭59−21490(JP,A)
特開 昭62−99113(JP,A)
特開 昭61−63405(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C04B 41/80 - 41/91
B28B 11/00 - 19/00
Claims (4)
- 【請求項1】 構造用材料としてセラミックス焼結体を
溝彫り加工する方法であって、 (1)焼結度が50〜80%のセラミックス焼結体を被
加工材とする、 (2)加工手段としてYAGレーザを使用する、 (3)パルス周波数3〜10kHzの条件でレーザ加工
する、 (4)上記(1)〜(3)により、セラミックス焼結体
の溝彫り加工を行い、低損傷で部品形状を付与する、 ことを特徴とするセラミックスの加工方法。 - 【請求項2】 パルス周波数3〜7kHzの条件でレー
ザ加工する、請求項1記載のセラミックスの加工方法。 - 【請求項3】 上記被加工材の溝彫り加工を行い、低損
傷で部品形状を付与した後、完全に焼結することを特徴
とする請求項1記載のセラミックスの加工方法。 - 【請求項4】 セラミックスが、窒化ケイ素、炭化ケイ
素、ジルコニア、アルミナ、またはこれらの複合セラミ
ックスである請求項1から3のいずれかに記載のセラミ
ックスの加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04319094A JP3486666B2 (ja) | 1994-02-17 | 1994-02-17 | セラミックスの加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04319094A JP3486666B2 (ja) | 1994-02-17 | 1994-02-17 | セラミックスの加工方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH07232981A JPH07232981A (ja) | 1995-09-05 |
JP3486666B2 true JP3486666B2 (ja) | 2004-01-13 |
Family
ID=12657011
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04319094A Expired - Lifetime JP3486666B2 (ja) | 1994-02-17 | 1994-02-17 | セラミックスの加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3486666B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
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CN101905481B (zh) * | 2010-07-08 | 2012-11-14 | 山东大学 | 用于陶瓷坯体制备的多孔陶瓷负压注浆成型装置及方法 |
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-
1994
- 1994-02-17 JP JP04319094A patent/JP3486666B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH07232981A (ja) | 1995-09-05 |
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