JP3486344B2 - スラスタ装置 - Google Patents

スラスタ装置

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JP3486344B2
JP3486344B2 JP19732198A JP19732198A JP3486344B2 JP 3486344 B2 JP3486344 B2 JP 3486344B2 JP 19732198 A JP19732198 A JP 19732198A JP 19732198 A JP19732198 A JP 19732198A JP 3486344 B2 JP3486344 B2 JP 3486344B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飛しょう体の軌道
制御(以下ダイバートという)若しくは姿勢制御等を行
うためのサイドスラスタ、特に、推力を発生させるサイ
ドスラスタ用推薬に点火を行う点火装置の使用が、通常
飛しょう初期に限定されている固体推薬サイドスラスタ
を、制御が必要となる度に、間欠的に作動させることが
できるようにしたスラスタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】遠距離、高高度を飛しょうする飛しょう
体等では、空気密度が低い高高度を飛しょうするとき、
操舵翼を操舵してダイバート若しくは姿勢制御を行うよ
うにしても、操舵翼に発生する空気力による操舵力で
は、充分な機体制御を行うことができず、運動性能の劣
るものとなるため、ダイバート若しくは姿勢制御には、
高圧ガスの噴射により推力を発生させ、この推力により
制御ができるようにしたサイドスラスタを使用するよう
にしている。
【0003】図2は、このようなサイドスラスタを搭載
し、このサイドスラスタで発生させる推力を利用して、
ダイバート若しくは姿勢制御を行うようにした飛しょう
体01を示す図である。
【0004】すなわち、このような飛しょう体01で
は、図2(a)に示すように、重心013付近に設けた
ダイバート用スラスタ04から飛しょう体01の機軸と
垂直な方向に、内部に貯留した高圧ガス又は内部で発生
させた高圧の燃焼ガスからなるガス(以下燃焼ガス01
6という)を飛しょう体01の軌道制御を行う方向と反
対側に噴射して、その反力による推力015で、飛しょ
う体01に旋回Gを発生させ、飛しょう体01のダイバ
ートを行うとともに、図2(b)に示すように、重心0
13から離れた機体012の後方に設けた姿勢制御用ス
ラスタ05から、同様に機軸と垂直な方向に燃焼ガス0
16を噴射させて、その推力015で飛しょう体01の
姿勢制御に必要な重心013まわりのモーメント014
を発生させて、飛しょう体01を飛しょう方向に対して
任意の姿勢を保持させて飛しょうさせるようにしてい
る。
【0005】このように、飛しょう体01のダイバート
および姿勢制御を行うために、飛しょう体01の直接操
舵を行うための機体012から噴射させる燃焼ガス01
6を、機体012内部で発生させるものとしては、内部
に充填した固体推薬を燃焼させて発生させるものと、液
体推薬を燃焼させて発生させるものとがあり、この燃焼
ガス016を発生させる推薬の種類によって、ダイバー
ト用スラスタ04、姿勢制御用スラスタ05等のサイド
スラスタは、固体推薬サイドスラスタと液体推薬サイド
スラスタとに分けられる。
【0006】図3は、このようなサイドスラスタのう
ち、固体推薬を燃焼させて燃焼ガス016を発生させる
ようにした、従来の固体推薬サイドスラスタ02を一部
断面図で示す側面図である。このような固体推薬サイド
スラスタ02では、機体012に搭載されたチャンバ0
6内に固体推薬07を充填しておき、これを燃焼させ
て、推力015を発生させるための高圧の燃焼ガス01
6をチャンバ06内で発生させるようにしている。ま
た、このチャンバ06の両側には、前述した、燃焼ガス
016の推力015で操舵力を発生させるようにしたダ
イバート用スラスタ04及び姿勢制御用スラスタ05が
取付けるようにしている。
【0007】ダイバート用スラスタ04は、図2
(c)、図2(d)に示すように、機軸と垂直に、機体
012の上下,左右方向に、燃焼ガス016を噴射させ
ることができるようにした4個のダイバートスラスタノ
ズル08、及びこれらのダイバートスラスタノズル08
のうちのダイバートを行わせるダイバートスラスタノズ
ル08に、チャンバ06内で固体推薬07を燃焼させて
発生させた燃焼ガス016を分配するダイバートスラス
タバルブ09からなる。
【0008】このダイバートスラスタバルブ09の操作
によって、燃焼ガス016は、機軸に垂直な機体012
上下,左右の4方向に噴射口を開口させたダイバートス
ラスタノズル08のうちで、制御を行う方向と反対側に
噴射口を開口させたダイバートスラスタノズル08に分
配され、機体012の軌道修正を行う方向と反対側に噴
射され、飛しょう体01に必要とするダイバートを行う
方向に推力015を発生させて操舵を行うようにしてい
る。
【0009】また、ダイバート用スラスタ04と対向す
るチャンバ06の反対側には、姿勢制御用スラスタ05
が取り付けられ、ダイバート用スラスタ04と同様に、
機軸と垂直に機体012の上下,左右に燃焼ガス016
を噴射させることができるように配置された、4個の姿
勢制御スラスタノズル010、及びこれらの姿勢制御ス
ラスタノズル010のうちの、姿勢制御を行わせる姿勢
制御用スラスタ05にチャンバ06内で固体推薬07を
燃焼させて発生させた燃焼ガス016を分配する姿勢制
御スラスタバルブ011が設けられている。
【0010】この姿勢制御スラスタバルブ011の操作
によって、燃焼ガス016は、機軸に垂直な機体012
上下,左右の4方向に噴射口を開口させた姿勢制御ス
ラスタバルブ011のうちの姿勢制御を行う方向に噴射
口を開口させた姿勢制御スラスタバルブ011に分配さ
れ、機体012の姿勢修正を行う方向に噴射されて、図
2に示すように重心013まわりに回転モーメント01
4を発生させる推力を発生させ、飛しょう体01に必要
とする姿勢制御を行う方向に飛しょう体01を回転させ
て操舵を行うようにしている。
【0011】なお、図2(b)においては、姿勢制御用
スラスタ05は、重心013より充分離隔した重心01
3の後方に設置するようにしているが、重心013より
充分離隔させて重心013の前方に設置するようにする
こともできるものである。但し、この場合、姿勢制御ス
ラスタノズル010からは、機体012の姿勢修正を行
う方向と反対側に燃焼ガス016を噴射することにな
る。
【0012】また、このようなダイバート若しくは姿勢
制御を行うことにより実施される、飛しょう体01のミ
ッションに必要な誘導は、図4に示すような飛しょうシ
ーケンスで行われる。すなわち、飛しょう体01が発射
されてミッションを達成するまでの飛しょうシーケンス
は、プログラム操舵が行われる初期誘導A、外部からの
指令若しくは飛しょう体01にあらかじめプログラムさ
れた修正指令に従い、定期的にダイバートが行われる中
期誘導B、及び飛しょう体01に設けたシーカの誘導に
より、連続的にダイバートが行われ、ミッション達成の
ための飛しょうを行う終末誘導Cに分けることができ
る。
【0013】このうち、中期誘導Bが、図4から明らか
なように飛しょうシーケンスにおける飛しょう時間の大
半を占めるものとなっている。このように、飛しょう時
間の大部分を占める、中期誘導Bでは、一定の時間間隔
をおいて、外部又は飛しょう体012内部のプログラム
から指令されるコマンドに従い、間欠的にダイバートを
行い、経路(軌道)修正を行い、飛しょう体012は定
められた軌道を飛しょうするようにしている。すなわ
ち、飛しょう時間の大部分を占める、中期誘導B時に行
われるダイバートは、間欠的に行われるのが通常であ
り、換言すれば、ダイバートのためにガス016の噴射
を行う必要のない時間が大半である。
【0014】しかしながら、このような固体推薬サイド
スラスタ02を使用するようにした飛しょう体01で
は、上述したように、固体推薬07に点火を行う点火装
置には、固体推薬07とは異る推薬が使用されているの
が通常であり、これら等の理由から点火装置が飛しょう
初期(発射時)にしか使用できず、中期誘導B時のよう
に、ダイバートの指令信号を受ける度に、固体推薬07
の消火・再着火を行いダイバートすることは不可能であ
る。
【0015】しかも、固体推薬サイドスラスタ02にお
いては、図5に示すように、チャンバ06内の圧力が一
定以上にならないと固体推薬07の燃焼が継続して起ら
ず、推力015を発生できないという特性がある。この
ために、飛しょう時間の大部分を占める、中期誘導B時
においては、ダイバートの必要がないときは、図2
(d)に示すように、ダイバート用スラスタ04から機
軸と垂直な方向に噴射するようにした燃焼ガス016
を、逆方向にも噴射させるようにして、全体としての燃
焼ガス016の推力015により発生する機軸と垂直方
向に発生する推力を0にするようにして、チャンバ06
内の固体推薬07の燃焼を継続させるようにしている。
【0016】すなわち、チャンバ06内に充填されてい
る固体推薬07は、飛しょうシーケンス期間全体、換言
すれば、飛しょう体01の誘導を行う必要のある飛しょ
うシーケンスの全期間中、チャンバ06内の全固体推薬
07が燃焼していることとなり、しかも、誘導を行う必
要のない期間中は、対向して配置された2体のダイバー
トスラスタノズル08から燃焼ガス016が噴射されて
いることになることから、チャンバ06内に充填された
固体推薬07は、無駄に消費されることになる。
【0017】このために、飛しょう体01のダイバート
および姿勢制御に必要とする固体推薬07の量が増大
し、また、この固体推薬07の増大に伴って、固体推薬
07に充填しておくためのチャンバ06の体積が大きく
なり、飛しょう体01のペイロードが低減し、又は操舵
を行って飛しょうできる距離(時間)が小さくなるとい
う不具合がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、固体推薬サ
イドスラスタを搭載し、固体推薬サイドスラスタの作動
により、ダイバート若しくは姿勢制御を行うようにした
移動体において、従来の固体推薬サイドスラスタを使用
するようにした飛しょう体のように、中期誘導の際のダ
イバート用スラスタ作動など、ダイバート用スラスタに
よる操舵が間欠的にしか必要のないときでも、チャンバ
内に充填された全固体推薬が燃焼を続け、無駄に外部へ
放出されて、消費されるため、機体制御を行うために必
要な固体推薬量が増大し、チャンバ体積及び推薬重量が
大きくなり、移動体のペイロードが低減することになる
不具合を解消するため、固体推薬を充填してダイバート
時若しくは姿勢制御時に燃焼させて、それぞれ推力を発
生させる燃焼ガスを生成するチャンバを分割して設け、
分割されたチャンバの間をバルブで接続して、バルブ操
作をすることにより、固体推薬の再着火を可能にし、特
に、飛しょう距離の長い飛しょう体のように、間欠的に
ダイバート用のガスを発生させる必要のある、飛しょう
時間の大半を占める中期誘導時の固体推薬の消費量を減
少させ、移動体に搭載する固体推薬の量を低減するとと
もに、固体推薬を充填するチャンバの容積を小さくで
き、これにより、移動体のペイロードを増加させること
ができ、若しくは移動体の制御を可能にして飛しょうす
る距離を伸ばすことができるようにしたスラスタ装置を
提供することを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】このため、第1番目の本
発明のスラスタ装置は、次の手段とした。
【0020】(1)チャンバ内に充填した固体推薬の燃
焼で発生した燃焼ガスをダイバート用スラスタの複数個
のノズルと姿勢制御用スラスタの複数個のノズルとに導
いてその燃焼ガスの推力により移動体の制御を行うよう
にしたスラスタ装置において、前記チャンバを、内部に
充填した固体推薬を常時燃焼させ前記姿勢制御用スラス
タの複数個のノズルに導く燃焼ガスを発生させる第1の
チャンバと、前記第1のチャンバに隣接して設けられ充
填した固体推薬を間欠的に燃焼させ前記ダイバート用ス
ラスタの複数個のノズルに導く燃焼ガスを発生させる第
2のチャンバとに分離し、前記第1のチャンバと前記第
2のチャンバとの間に設置され、前記第2のチャンバの
起動時、前記第2のチャンバ内部の固体推薬を燃焼させ
るため前記第1のチャンバで発生した燃焼ガスを前記第
2のチャンバに供給するバルブを設けた。
【0021】発明のスラスト装置によれば、上述の
段により、ャンバが二つに分割されて、充填された固
体推薬を常時燃焼させ、姿勢制御用スラスタの複数個の
ノズルに導く燃焼ガスを発生させる第1のチャンバと、
バルブの開放により第1のチャンバで発生させた燃焼ガ
スが供給され、充填された固体推薬を間欠的に点火し
て、燃焼させ、ダイバート用スラスタの複数個のノズル
に導く燃焼ガスを発生させる第2のチャンバとからなる
ものとしたので、第2のチャンバによるダイバート用ス
ラスタの制御は、必要とするときのみ第2のチャンバ内
固体推薬の再点火を行って燃焼を行わせてできるよう
になり、移動体のミッション達成に必要な固体推進薬の
消費量が減少し、移動体に搭載する固体推進薬の量を低
減でき、また、固体推進薬の低減に伴い、チャンバの容
積を小さくでき、移動体のペイロードを増大させること
ができ、また、特定された量の固体推進薬の搭載によ
り、移動体の制御可能な移動距離を長くすることができ
る。
【0022】また、第2番目の本発明のスラスタ装置
は、上述の第1番目の発明で採用した手段に加え、次の
手段とした。
【0023】(前記第2のチャンバと前記ダイバー
ト用スラスタの複数個のノズルとの間に設置され、前記
第2のチャンバの作動時は前記第2のチャンバに充填さ
れた固体推進薬の燃焼で発生した燃焼ガスを前記ダイバ
ート用スラスタの複数個のノズルに分配して推力を発生
させるとともに、前記ダイバート用スラスタの複数個の
ノズルを非作動にする時は前記ダイバート用スラスタの
複数個のノズルの全てから燃焼ガスを外部に放出するこ
とにより、前記第2のチャンバ内の圧力を低下させ前記
第2のチャンバの固体推薬の燃焼を止めるダイバート
スラスタバルブを設けた。
【0024】第2番目の本発明のスラスト装置によれ
ば、上述()の手段により、上述の第1番目の発明の
作用に加え、1のチャンバで発生した燃焼ガスを第2
のチャンバに供給するバルブを閉鎖することにより、充
填された固体推薬が常時燃焼している第1チャンバから
第2チャンバへ供給される燃焼ガスの供給が遮断される
とともに、第2のチャンバで発生させた燃焼ガスが、第
2のチャンバからダイバート用スラスタの複数個のノズ
ルに供給するようにしたダイバートスラスタバルブを全
て開放することにより、第2のチャンバ内の燃焼ガス
は、一斉に外部に放出されて、第2のチャンバ内の圧力
を固体推薬の燃焼維持に必要な圧力以下に低下させるこ
とができるので、第2のチャンバで発生させた燃焼ガス
で移動体の制御が不必要になったときには、直ちに、第
2のチャンバ内での燃焼を止めることができ、第2のチ
ャンバ内固体推薬の無駄な消費量を少くすることがで
き、第2のチャンバ内への固体推薬の充填量を低減する
ことができるとともに、第2のチャンバの容積を小さく
することができる。
【0025】これにより、移動体内部には、第2のチャ
ンバの容積を小さくしたことに伴う空間が生じ、移動体
に搭載する有効積荷、いわゆる、ペイロードを増加させ
ることができるとともに、限定された固体推薬量での移
動体の制御が長時間できるようになり、移動体の長時
間、長距離の移動が可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明のスラスタ装置の実
施の一形態を図面にもとづき説明する。図1は本発明の
スラスタ装置の実施の第1形態を示す、一部断面図で示
すようにした側面図である。図において、図3に示す部
材と同一若しくは類似の部材には、同一符号を付して説
明は極力省略する。
【0027】図に示すように、本実施の形態のスラスタ
装置1は、固体推薬07を充填するチャンバ2を、第2
のチャンバとしてのダイバート用チャンバ3と第1のチ
ャンバとしての姿勢制御用チャンバ4とに分割し、その
間を、バルブ5を介して、連結管6で連結するようにし
た固体推薬サイドスラスタからなるものとした。なお、
通常は、ダイバート用チャンバ3と姿勢制御用チャンバ
4とを連通させることができる、このバルブ5は閉じら
れるようにしている。
【0028】そして、このバルブ5を開放することによ
り、姿勢制御用チャンバ4内に充填された固体推薬07
を常時燃焼させることにより発生させている燃焼ガス6
を、ダイバート用チャンバ3に導入することができる。
ダイバート用チャンバ3の連結管6が接続された側と反
対側の側面には、図3で示したものと同様なダイバート
スラスタ08が取り付けられており、ダイバート用チャ
ンバ3で発生させた燃焼ガス016は、ダイバートスラ
スタバルブ09で分配して、移動体としての飛しょう体
01にダイバート制御を行わせる必要のある、ダイバー
トノズル08の1つに供給して、このダイバートスラス
トノズル08から噴射させて、飛しょう体01のダイバ
ートを行うようにしている。
【0029】また、姿勢制御用チャンバ4の連結管6が
接続された側と反対側の側面には、姿勢制御用スラスタ
05が取り付けられており、この姿勢制御用チャンバ4
内で常時発生させている燃焼ガス016は、上述したよ
うに、一部は、消火させているダイバート用チャンバ3
の再着火時に、ダイバート用チャンバ3に導入されると
ともに、殆んどの燃焼ガス016は、姿勢制御スラスタ
バルブ011で分配して、飛しょう体01に姿勢制御を
行わせる必要のある姿勢制御スラスタノズル011の1
つに供給し、この姿勢制御スラスタノズル011から噴
射して姿勢制御を行うようにしている。また、ダイバー
ト用チャンバ3内部の圧力は、ダイバート用チャンバ3
の燃焼区間に設けた圧力センサ7により計測できるよう
にしている。
【0030】次に、図1を用いて、ダイバート用チャン
バ3に充填された固体推薬07の消火・着火の方法並び
に効果を説明する。飛しょう体01の軌道修正が必要と
なり、飛しょう体01に旋回Gを発生させるダイバート
が必要なときは、姿勢制御用チャンバ3に常時発生させ
ている燃焼ガス016を、バルブ5を開放することによ
り、固体推薬07の燃焼が行われていないダイバート用
チャンバ3内に、連結管6を介して噴射し、ダイバート
用チャンバ3内に充填されている固定推薬07を着火さ
せて、ダイバート用チャンバ3内で発生させた燃焼ガス
016を、ダイバート用スラスタ04から噴射させて、
所望のダイバートを行う。
【0031】また、飛しょう体01の姿勢修正が必要と
なり、姿勢制御を行うときには、姿勢チャンバ4内で常
時発生させている燃焼ガス016を、姿勢制御スラスタ
05から噴射させて、所望の姿勢制御を行う。所望のダ
イバートを行い、飛しょう体01が、所定の軌道を飛し
ょうするようになり、ダイバートの必要がなくなったと
きには、ダイバートスラスタバルブ09をすべて開放
し、図2に示すように、飛しょう体01の重心013近
傍の上下,左右に設けた、4個のダイバートスラスタノ
ズル09のすべてから、ダイバート用チャンバ3内に発
生している燃焼ガスを外部へ噴射する。
【0032】これにより、ダイバート用チャンバ3から
外部に放出する燃焼ガスのガス流路の断面積が増大する
ため、ガス流路がチョークせず、ダイバート用チャンバ
3内の圧力は急速に低下する。すなわち、図5に示した
固体推薬の燃焼速度と圧力の関係により、ダイバートチ
ャンバ3内の固体推薬07の燃焼速度は低下し、ついに
は燃焼が維持できなくなり消火する。
【0033】再び、ダイバート用スラスタ4による制御
の必要が生じたときには、それまで開放されていたダイ
バートスラスタバルブ08を一旦すべて閉にし、ついで
バルブ5を開いて、姿勢制御用チャンバ2内に常時発生
させている燃焼ガス016をダイバート用チャンバ3へ
導入する。これにより、ダイバートチャンバ3内の圧力
と温度が上昇し、ダイバートチャンバ3内に充填された
固体推薬07は再着火する。
【0034】このときのダイバートチャンバ3内の圧力
増加を圧力センサ7にて検知しておき、再着火後のダイ
バートチャンバ3内の圧力が、ダイバートチャンバ3内
に充填された固体推薬07が一定燃焼速度以上で燃焼す
る圧力になっていることを確認した後、ダイバートスラ
スタバルブ09を開き、飛しょう体01に要求されるダ
イバートを行うように配置された、ダイバートスラスト
ノズル08から、ダイバート用チャンバ内で発生させた
燃焼ガスを噴射して、その推力によって所望のダイバー
トを行う。
【0035】本実施の形態のスラスト装置では、このよ
うにして、固体推薬07を、固体推薬チャンバ2を分割
し、その間をバルブで接続することにより、本来、再着
火ができない固体推薬の任意の時間に再着火できるよう
になり、必要な固体推薬の量及び体積を低減でき、飛し
ょう体のペイロードを増大させることができるととも
に、固定推薬の単位量当りで制御できる飛しょう体01
の制限時間を延長させることができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のスラスト
装置は、チャンバ内に充填した固体推薬の燃焼で発生し
た燃焼ガスをダイバート用スラスタの複数個のノズルと
姿勢制御用スラスタの複数個のノズルとに導いてその燃
焼ガスの推力により移動体の制御を行うようにしたスラ
スタ装置において、前記チャンバを、内部に充填した固
体推薬を常時燃焼させ前記姿勢制御用スラスタの複数個
のノズルに導く燃焼ガス発生させる第1のチャンバ
前記第1のチャンバに隣接して設けられ充填した固
体推薬を間欠的に燃焼させ前記ダイバート用スラスタの
複数個のノズルに導く燃焼ガスを発生させる第2のチャ
ンバとに分離し、前記第1のチャンバと前記第2のチャ
ンバとの間に設置され、前記第2のチャンバの起動時
前記第2のチャンバ内の固体推薬を燃焼させるため前
記第1のチャンバで発生した燃焼ガスを前記第2のチャ
ンバに供給するバルブからなるものとした。
【0037】これにより、第2のチャンバは、移動体の
制御を必要とするときのみ、固体推進薬の再点火を行っ
て燃焼を行わせることができ、制御のため推力を発生で
きるようになり、移動体のミッション達成に必要な固体
推進薬の消費量が減少し、移動体に搭載する固体推進薬
の量を低減できる。また、固体推進薬の低減に伴い、チ
ャンバの容積を小さくでき、移動体のペイロードを増大
させることができ、特定された量の固体推進薬の搭載に
より移動体の制御が長時間できるようになる。
【0038】また、本発明のスラスタ装置は、前記第2
のチャンバと前記ダイバート用スラスタの複数個のノズ
との間に設置され、前記第2のチャンバの作動時は前
第2のチャンバの固体推薬の燃焼で発生した燃焼ガス
前記ダイバート用スラスタの複数個のノズルに供給す
るとともに、前記ダイバート用スラスタの複数個のノズ
ルを非作動にする時は前記ダイバート用スラスタの複数
個のノズルの全てから燃焼ガスを外部に放出して前記
2のチャンバ内の圧力を低下させ前記第2のチャンバ
固体推薬の燃焼を止めるダイバートスラスタバルブ
設けものとした。
【0039】これにより、第2のチャンバ内の燃焼ガス
は、ダイバートスラスタバルブの操作により全てのダイ
バート用スラスタノズルから一斉に外部に放出されて、
第2のチャンバ内の圧力を固体推薬の消火に必要な圧力
以下に低下させることができ、第2のチャンバで発生さ
せた燃焼ガスで移動体の制御が不必要になったときに
は、直ちに第2のチャンバ内での燃焼を止めることがで
き、第2のチャンバ内に充填する固体推薬の充填量を低
減することができるとともに、第2のチャンバの容積を
小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスラスタ装置の実施の第1形態を示す
一部断面図で示すようにした側面図,
【図2】スラスタ装置を設けるようにした飛しょう体を
示す図で、図2(a)はスラスタ装置によりダイバート
を行っている状態を示す側面図,図2(b)はスラスタ
装置により姿勢制御を行っている状態を示す側面図,図
2(c)はダイバート用スラスト設置部の横断面図でダ
イバートを行っている状態を示す図,図2(d)は従来
のダイバート用スラストでダイバート非制御状態を示す
図,
【図3】従来のスラスト装置を示す一部断面図で示すよ
うにした側面図,
【図4】本発明のスラスト装置等が適用される飛しょう
体の飛しょうシーケンスを示す図,
【図5】スラスト装置を構成するチャンバ内圧力とチャ
ンバ内に充填された固体推薬の燃焼速度との関係を示す
図である。
【符号の説明】
1 スラスタ装置 2 チャンバ 3 ダイバート用チャンバ 4 姿勢制御用チャンバ 5 バルブ 6 連結管 7 圧力センサ 01 飛しょう体 02 固体推薬サイドスラスタ 04 ダイバート用スラスタ 05 姿勢制御用スラスタ 06 チャンバ 07 固体推薬 08 ダイバートスラスタノズル 09 ダイバートスラスタバルブ 010 姿勢制御スラスタノズル 011 姿勢制御スラスタバルブ 012 機体 013 重心 014 モーメント 015 推力 016 燃焼ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F42B 10/66 F02K 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャンバ内に充填した固体推薬の燃焼で
    発生した燃焼ガスをダイバート用スラスタの複数個のノ
    ズルと姿勢制御用スラスタの複数個のノズルとに導いて
    その燃焼ガスの推力により移動体の制御を行うようにし
    たスラスタ装置において、前記チャンバを、内部に充填
    した固体推薬を常時燃焼させ前記姿勢制御用スラスタの
    複数個のノズルに導く燃焼ガスを発生させる第1のチャ
    ンバと、前記第1のチャンバに隣接して設けられ充填し
    た固体推薬を間欠的に燃焼させ前記ダイバート用スラス
    タの複数個のノズルに導く燃焼ガスを発生させる第2の
    チャンバとに分離し、前記第1のチャンバと前記第2の
    チャンバとの間に設置され、前記第2のチャンバの起動
    時、前記第2のチャンバ内部の固体推薬を燃焼させる
    め前記第1のチャンバで発生した燃焼ガスを前記第2の
    チャンバに供給するバルブを設けたことを特徴とするス
    ラスタ装置。
  2. 【請求項2】 前記第2のチャンバと前記ダイバート用
    スラスタの複数個のノズルとの間に設置され、前記第2
    のチャンバの作動時前記第2のチャンバで発生した燃
    焼ガスを前記ダイバート用スラスタの複数個のノズルに
    供給するとともに、前記ダイバート用スラスタの複数個
    のノズルを非作動にする前記ダイバート用スラスタ
    の複数個のノズルの全てから燃焼ガスを放出して前記第
    2のチャンバ内の圧力を低下させ前記第2のチャンバ内
    の燃焼を止めるダイバートスラスタバルブを設けたこと
    を特徴とする請求項1のスラスタ装置。
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