JP2000028300A - スラスタ装置 - Google Patents

スラスタ装置

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JP2000028300A
JP2000028300A JP10197321A JP19732198A JP2000028300A JP 2000028300 A JP2000028300 A JP 2000028300A JP 10197321 A JP10197321 A JP 10197321A JP 19732198 A JP19732198 A JP 19732198A JP 2000028300 A JP2000028300 A JP 2000028300A
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solid propellant
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】飛しょう体の軌道制御(ダイバート)および姿
勢制御を行うためのスラスト装置の提供。 【解決手段】充填した固体推薬を常時燃焼させ、燃焼ガ
スを常時発生させる第1のチャンバ、第1のチャンバに
隣接して設けられ、固体推薬を間欠的に燃焼させ、燃焼
ガスを発生させる第2のチャンバ、第1のチャンバと第
2のチャンバとの間に設置され、第2のチャンバの再着
火時に、第1のチャンバ内の燃焼ガスを第2のチャンバ
内に噴射して、第2のチャンバ内の固体推薬を点火する
第1の弁、第2のチャンバ内の燃焼ガスが分配されて、
移動体の制御に必要な推力を発生させる第2のノズルか
らなるものとした。これにより、第2のチャンバは、移
動体の制御を必要とするときのみ、固体推進薬の再点火
を行って燃焼を行わせることができ、制御のため推力を
発生させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飛しょう体の軌道
制御(以下ダイバートという)若しくは姿勢制御等を行
うためのサイドスラスタ、特に、推力を発生させるサイ
ドスラスタ用推薬に点火を行う点火装置の使用が、通常
飛しょう初期に限定されている固体推薬サイドスラスタ
を、制御が必要となる度に、間欠的に作動させることが
できるようにしたスラスタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】遠距離、高高度を飛しょうする飛しょう
体等では、空気密度が低い高高度を飛しょうするとき、
操舵翼を操舵してダイバート若しくは姿勢制御を行うよ
うにしても、操舵翼に発生する空気力による操舵力で
は、充分な機体制御を行うことができず、運動性能の劣
るものとなるため、ダイバート若しくは姿勢制御には、
高圧ガスの噴射により推力を発生させ、この推力により
制御ができるようにしたサイドスラスタを使用するよう
にしている。
【0003】図2は、このようなサイドスラスタを搭載
し、このサイドスラスタで発生させる推力を利用して、
ダイバート若しくは姿勢制御を行うようにした飛しょう
体01を示す図である。
【0004】すなわち、このような飛しょう体01で
は、図2(a)に示すように、重心013付近に設けた
ダイバート用スラスタ04から飛しょう体01の機軸と
垂直な方向に、内部に貯留した高圧ガス又は内部で発生
させた高圧の燃焼ガスからなるガス(以下燃焼ガス01
6という)を飛しょう体01の軌道制御を行う方向と反
対側に噴射して、その反力による推力015で、飛しょ
う体01に旋回Gを発生させ、飛しょう体01のダイバ
ートを行うとともに、図2(b)に示すように、重心0
13から離れた機体012の後方に設けた姿勢制御用ス
ラスタ05から、同様に機軸と垂直な方向に燃焼ガス0
16を噴射させて、その推力015で飛しょう体01の
姿勢制御に必要な重心013まわりのモーメント014
を発生させて、飛しょう体01を飛しょう方向に対して
任意の姿勢を保持させて飛しょうさせるようにしてい
る。
【0005】このように、飛しょう体01のダイバート
および姿勢制御を行うために、飛しょう体01の直接操
舵を行うための機体012から噴射させる燃焼ガス01
6を、機体012内部で発生させるものとしては、内部
に充填した固体推薬を燃焼させて発生させるものと、液
体推薬を燃焼させて発生させるものとがあり、この燃焼
ガス016を発生させる推薬の種類によって、ダイバー
ト用スラスタ04、姿勢制御用スラスタ05等のサイド
スラスタは、固体推薬サイドスラスタと液体推薬サイド
スラスタとに分けられる。
【0006】図3は、このようなサイドスラスタのう
ち、固体推薬を燃焼させて燃焼ガス016を発生させる
ようにした、従来の固体推薬サイドスラスタ02を一部
断面図で示すようにした側面図である。このような固体
推薬サイドスラスタ02では、機体012に搭載された
チャンバ06内に固体推薬07を充填しておき、これを
燃焼させて、推力015を発生させるための高圧の燃焼
ガス016をチャンバ06内で発生させるようにしてい
る。また、このチャンバ06の両側には、前述した、燃
焼ガス016の推力015で操舵力を発生させるように
したダイバート用スラスタ04及び姿勢制御用スラスタ
05が取付けるようにしている。
【0007】ダイバート用スラスタ04は、図2
(c)、図2(d)に示すように、機軸と垂直に、機体
012の上下,左右方向に、燃焼ガス016を噴射させ
ることができるようにした4個のダイバートスラスタノ
ズル08、及びこれらのダイバートスラスタノズル08
のうちのダイバートを行わせるダイバートスラスタノズ
ル08に、チャンバ06内で固体推薬07を燃焼させて
発生させた燃焼ガス016を分配するダイバートスラス
タバルブ09からなる。
【0008】このダイバートスラスタバルブ09の操作
によって、燃焼ガス016は、機軸に垂直な機体012
上下,左右の4方向に噴射口を開口させたダイバートス
ラスタノズル08のうちで、制御を行う方向と反対側に
噴射口を開口させたダイバートスラスタノズル08に分
配され、機体012の軌道修正を行う方向と反対側に噴
射され、飛しょう体01に必要とするダイバートを行う
方向に推力015を発生させて操舵を行うようにしてい
る。
【0009】また、ダイバート用スラスタ04と対向す
るチャンバ06の反対側には、姿勢制御用スラスタ04
が取り付けられ、ダイバート用スラスタ04と同様に、
機軸と垂直に機体012の上下,左右に燃焼ガス016
を噴射させることができるように配置された、4個の姿
勢制御スラスタノズル010、及びこれらの姿勢制御ス
ラスタノズル010のうちの、姿勢制御を行わせる姿勢
制御用スラスタ05にチャンバ06内で固体推薬07を
燃焼させて発生させた燃焼ガス016を分配する姿勢制
御スラスタバルブ011が設けられている。
【0010】この姿勢制御スラスタバルブ011の操作
によって、燃焼ガス016は、機軸に垂直な機体012
上下,左右の4方向に噴射口を開口させた姿勢制御スラ
スタバルブ011のうちの姿勢制御を行う方向に噴射口
を開口させた姿勢制御スラスタバルブ011に分配さ
れ、機体012の姿勢修正を行う方向に噴射されて、図
2に示すように重心013まわりに回転モーメント01
4を発生させる推力を発生させ、飛しょう体01に必要
とする姿勢制御を行う方向に飛しょう体01を回転させ
て操舵を行うようにしている。
【0011】なお、図2(b)においては、姿勢制御用
スラスタ05は、重心013より充分離隔した重心01
3の後方に設置するようにしているが、重心013より
充分離隔させて重心013の前方に設置するようにする
こともできるものである。但し、この場合、姿勢制御ス
ラスタノズル010からは、機体012の姿勢修正を行
う方向と反対側に燃焼ガス016を噴射することにな
る。
【0012】また、このようなダイバート若しくは姿勢
制御を行うことにより実施される、飛しょう体01のミ
ッションに必要な誘導は、図4に示すような飛しょうシ
ーケンスで行われる。すなわち、飛しょう体01が発射
されてミッションを達成するまでの飛しょうシーケンス
は、プログラム操舵が行われる初期誘導A、外部からの
指令若しくは飛しょう体01にあらかじめプログラムさ
れた修正指令に従い、定期的にダイバートが行われる中
期誘導B、及び飛しょう体01に設けたシーカの誘導に
より、連続的にダイバートが行われ、ミッション達成の
ための飛しょうを行う終末誘導Cに分けることができ
る。
【0013】このうち、中期誘導Bが、図4から明らか
なように飛しょうシーケンスにおける飛しょう時間の大
半を占めるものとなっている。このように、飛しょう時
間の大部分を占める、中期誘導Bでは、一定の時間間隔
をおいて、外部又は飛しょう体012内部のプログラム
から指令されるコマンドに従い、間欠的にダイバートを
行い、経路(軌道)修正を行い、飛しょう体012は定
められた軌道を飛しょうするようにしている。すなわ
ち、飛しょう時間の大部分を占める、中期誘導B時に行
われるダイバートは、間欠的に行われるのが通常であ
り、換言すれば、ダイバートのためにガス016の噴射
を行う必要のない時間が大半である。
【0014】しかしながら、このような固体推薬サイド
スラスタ02を使用するようにした飛しょう体01で
は、上述したように、固体推薬07に点火を行う点火装
置には、固体推薬07とは異る推薬が使用されているの
が通常であり、これら等の理由から点火装置が飛しょう
初期(発射時)にしか使用できず、中期誘導B時のよう
に、ダイバートの指令信号を受ける度に、固体推薬07
の消火・再着火を行いダイバートすることは不可能であ
る。
【0015】しかも、固体推薬サイドスラスタ02にお
いては、図5に示すように、チャンバ06内の圧力が一
定以上にならないと固体推薬07の燃焼が継続して起ら
ず、推力015を発生できないという特性がある。この
ために、飛しょう時間の大部分を占める、中期誘導B時
においては、ダイバートの必要がないときは、図2
(d)に示すように、ダイバート用スラスタ04から機
軸と垂直な方向に噴射するようにした燃焼ガス016
を、逆方向にも噴射させるようにして、全体としての燃
焼ガス016の推力015により発生する機軸と垂直方
向に発生する推力を0にするようにして、チャンバ06
内の固体推薬07の燃焼を継続させるようにしている。
【0016】すなわち、チャンバ06内に充填されてい
る固体推薬07は、飛しょうシーケンス期間全体、換言
すれば、飛しょう体01の誘導を行う必要のある飛しょ
うシーケンスの全期間中、チャンバ06内の全固体推薬
07が燃焼していることとなり、しかも、誘導を行う必
要のない期間中は、対向して配置された2体のダイバー
トスラスタノズル08から燃焼ガス016が噴射されて
いることになることから、チャンバ06内に充填された
固体推薬07は、無駄に消費されることになる。
【0017】このために、飛しょう体01のダイバート
および姿勢制御に必要とする固体推薬07の量が増大
し、また、この固体推薬07の増大に伴って、固体推薬
07に充填しておくためのチャンバ06の体積が大きく
なり、飛しょう体01のペイロードが低減し、又は操舵
を行って飛しょうできる距離(時間)が小さくなるとい
う不具合がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、固体推薬サ
イドスラスタを搭載し、固体推薬サイドスラスタの作動
により、ダイバート若しくは姿勢制御を行うようにした
移動体において、従来の固体推薬サイドスラスタを使用
するようにした飛しょう体のように、中期誘導の際のダ
イバート用スラスタ作動のように、ダイバート用スラス
タによる操舵が間欠的にしか必要のないときでも、チャ
ンバ内に充填された全固体推薬が燃焼を続け、無駄に外
部へ放出されて、消費されるため、機体制御を行うため
に必要な固体推薬量が増大し、チャンバ体積及び推薬重
量が大きくなり、移動体のペイロードが低減することに
なる不具合を解消するため、固体推薬を充填してダイバ
ート時若しくは姿勢制御時に燃焼させて、それぞれ推力
を発生させる燃焼ガスを生成するチャンバを分割して設
け、分割されたチャンバの間をバルブで接続して、バル
ブ操作をすることにより、固体推薬の再着火を可能に
し、特に、飛しょう距離の長い飛しょう体のように、間
欠的にダイバート用のガスを発生させる必要のある、飛
しょう時間の大半を占める中期誘導時の固体推薬の消費
量を減少させ、移動体に搭載する固体推薬の量を低減す
るとともに、固体推薬を充填するチャンバの容積を小さ
くでき、これにより、移動体のペイロードを増加させる
ことができ、若しくは移動体の制御を可能にして飛しょ
うする距離を伸ばすことができるようにしたスラスタ装
置を提供することを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】このため、第1番目の本
発明のスラスタ装置は、次の手段とした。
【0020】(1)内部に充填した固体推薬を常時燃焼
させ、推力を発生させることのできる燃焼ガスを、常時
発生させることができるようにした第1のチャンバを設
けた。
【0021】なお、第1のチャンバは、内部で発生させ
た燃焼ガスの推力により、移動体の制御を行うことがで
きるようにしたものにすることもでき、又は、単に内部
に常時燃焼ガスを発生させるだけにした、パイロットバ
ーナ的な働きをさせるものにすることもできる。
【0022】また、第1のチャンバで発生させた燃焼ガ
スで移動体の制御を行うことができるようにしたものに
おいては、単位時間当り、少い燃焼ガスの推力により移
動体の制御を行うことができ、しかも、作動頻度の高い
スラスタ装置に燃焼ガスを供給するようにしたチャンバ
を、第1のチャンバとして採用するようにすることが好
ましい。すなわち、例えば、燃焼ガスの推力とアームの
長さとの積で発生するモーメント力により、制御が行わ
れる姿勢制御スラスタノズル等に、燃焼ガスを供給する
ようにしたチャンバを第1のチャンバとして採用し、単
位時間当りの固体燃料の燃焼量を少くできるようにする
とともに、しかも、燃焼を止める度に行われる、内部圧
を低下させるための、外部へ放出される燃焼ガスの放出
量を少くできるものにすることが好ましい。
【0023】(2)第1のチャンバに隣接して設けら
れ、第1のチャンバに発生している燃焼ガスを供給でき
るようにした連結管で第1チャンバと連結され、内部に
充填した固体推薬を、移動体に間欠的に必要となる移動
体の制御の度毎に第1のチャンバから供給される燃焼力
によって燃焼させ、この燃焼ガスの推力により、移動体
の制御を間欠的に行うことができるようにした第2のチ
ャンバを設けた。
【0024】なお、第2のチャンバには、間欠的に使用
されるものの、燃焼ガスの噴射力のみによって制御が行
われ、比較的大量の燃焼ガスを必要とし、単位時間当り
の固体燃料の燃焼量を大きくして、移動体の制御を行う
スラスタ、例えば、移動体の重心位置近傍に設置され
て、移動体の旋回運動制御を行わせるためのダイバート
スラスト等に、燃焼ガスを供給するようにしたチャンバ
を採用することが好ましい。
【0025】(3)第1のチャンバと第2のチャンバと
の間に設置された連結管に設けられ、移動体の制御のた
めに、固定推薬が消火している第2のチャンバを移動体
の制御のために起動させるとき、開放されて、連結管を
介して第1のチャンバで常時発生させている燃焼ガスを
供給して、この燃焼ガスにより第2のチャンバ内部に充
填された固体推薬を着火させて燃焼させ、第2チャンバ
内に発生する固定推薬の燃焼ガスの噴射力により、移動
体の制御を行わせることができるようにした第1の弁を
設けた。
【0026】なお、第2のチャンバ内の固定推薬の消火
は、第2のチャンバ内の圧力が低圧にされて行われるた
め、第1の弁の開放時期、すなわち、第2のチャンバの
再起動に合わせて、第2のチャンバ内の圧力を燃焼が継
続できる圧力に保持するように、例えば、後述する第2
のノズルに燃焼ガスを供給するように設けた弁の開度を
閉鎖、若しくは制御を行わせるための第2のノズル以外
の第2のノズルへの燃焼ガスの供給を止める操作を行う
ことができるものにすることが好ましい。
【0027】(4)第2のチャンバの固体推薬の燃焼で
発生した燃焼ガスの推力により移動体の制御を行うた
め、第2のチャンバで発生した燃焼ガスが供給され、制
御を必要とする各方向に推力を発生させることができる
ようにした、複数個の第2のノズルを設けた。
【0028】なお、第2のノズルは、間欠的に使用され
るものの、燃焼ガスの噴射力のみによって移動体の制御
を行うため、単位時間当りの燃焼ガスの噴射量が大きく
されて、移動体の制御を行うことができるようにした、
移動体の重心位置近傍に設置され移動体の旋回運動制御
を行うためのダイバートスラスト等に適用することが好
ましい。
【0029】本発明のスラスト装置によれば、上述
(1)〜(4)の手段により、(a)チャンバが二つに
分割されて、充填された固体推薬を常時燃焼させる第1
のチャンバと、第1の弁の開放により第1のチャンバで
発生させた燃焼ガスが供給され、充填された固体推薬を
間欠的に点火して、燃焼させた燃焼ガスの第2のノズル
からの噴射で発生する推力により、移動体の制御を行う
ようにした第2のチャンバとからなるものとしたので、
第2のチャンバによる移動体の制御は、必要とするとき
のみ固体推薬の再点火を行って燃焼を行わせてできるよ
うになり、移動体のミッション達成に必要な固体推進薬
の消費量が減少し、移動体に搭載する固体推進薬の量を
低減でき、また、固体推進薬の低減に伴い、チャンバの
容積を小さくでき、移動体のペイロードを増大させるこ
とができ、また、特定された量の固体推進薬の搭載によ
り、移動体の制御可能な移動距離を長くすることができ
る。
【0030】また、第2番目の本発明のスラスタ装置
は、上述(1)ないし(4)の手段に加え、次の手段と
した。
【0031】(5)第2のチャンバと第2のノズルとの
間に設置され、第2のチャンバの作動時、第2のチャン
バに充填された固体推進薬の燃焼で発生した燃焼ガス
を、移動体の制御を行うための第2のノズルに分配して
推力を発生させるとともに、何れの第2のノズルにも推
力を発生させる必要がない時、すなわち、第2のノズル
による移動体の制御が必要でないときには、全ての第2
のノズルを全開させて、第2のチャンバ内部の燃焼ガス
を外部に放出することにより、第2のチャンバ内の圧力
を低下させて、第2のチャンバの固体推薬の燃焼を止め
る第2の弁を設けた。
【0032】本発明のスラスト装置によれば、上述
(5)の手段により、上述(a)に加え、(b)第1の
弁を閉鎖することにより、充填された固体推薬が常時燃
焼している第1チャンバから第2チャンバへ供給される
燃焼ガスの供給が遮断されるとともに、第2のチャンバ
で発生させた燃焼ガスが、第2のチャンバから第2のノ
ズルに供給するようにした第2の弁を全て開放すること
により、第2のチャンバ内の燃焼ガスは、一斉に外部に
放出されて、第2のチャンバ内の圧力を固体推薬の燃焼
維持に必要な圧力以下に低下させることができるので、
第2のチャンバで発生させた燃焼ガスで移動体の制御が
不必要になったときには、直ちに、第2のチャンバ内で
の燃焼を止めることができ、第2のチャンバ内固体推薬
の無駄な消費量を少くすることができ、第2のチャンバ
内への固体推薬の充填量を低減することができるととも
に、第2のチャンバの容積を小さくすることができる。
【0033】これにより、移動体内部には、第2のチャ
ンバの容積を小さくしたことに伴う空間が生じ、移動体
に搭載する有効積荷、いわゆる、ペイロードを増加させ
ることができるとともに、限定された固体推薬量での移
動体の制御が長時間できるようになり、移動体の長時
間、長距離の移動が可能になる。
【0034】また、第3番目の本発明のスラスタ装置
は、上述(1)ないし(4)の手段に加え、または、上
述(1)ないし(5)の手段に加え、次の手段とした。
【0035】(6)第1のチャンバの固体推薬の燃焼に
より、第1のチャンバ内部に常時発生させている燃焼ガ
スの推力により移動体の制御を行うことができるように
した第1のノズルを設けた。
【0036】本発明のスラスト装置によれば、上述
(6)の手段により、上述(a)に加え又は上述
(a),(b)に加え、(c)第2のノズルに加え、第
1のノズルでも移動体の制御をできるようにしたので、
常時燃焼させるようにした第1のチャンバで発生させた
燃焼ガスが、移動体の制御に有効に利用できるようにな
り、移動体に搭載する固体推薬の量をさらに低減するこ
とができ、移動体のペイロードをさらに増加させること
ができるとともに、限定された固体推薬で移動体の制御
が、さらに長時間行うことができるようになる。
【0037】また、第1のノズルによる移動体の制御
を、第2のノズルにより行うようにした移動体の制御と
異る種類の制御ができるものにすることにより、移動体
の制御が多様化でき、移動体の制御を、きめの細いもの
にすることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明のスラスタ装置の実
施の一形態を図面にもとづき説明する。図1は本発明の
スラスタ装置の実施の第1形態を示す、一部断面図で示
すようにした側面図である。図において、図3に示す部
材と同一若しくは類似の部材には、同一符号を付して説
明は極力省略する。
【0039】図に示すように、本実施の形態のスラスタ
装置1は、固体推薬07を充填するチャンバ2を、第2
のチャンバとしてのダイバート用チャンバ3と第1のチ
ャンバとしての姿勢制御用チャンバ4とに分割し、その
間を、第1の弁としてのバルブ5を介して、連結管6で
連結するようにした固体推薬サイドスラスタからなるも
のとした。なお、通常は、ダイバート用チャンバ3と姿
勢制御用チャンバ4とを連通させることができる、この
バルブ5は閉じられるようにしている。
【0040】そして、このバルブ5を開放することによ
り、姿勢制御用チャンバ4内に充填された固体推薬07
を常時燃焼させることにより発生させている燃焼ガス6
を、ダイバート用チャンバ3に導入することができる。
ダイバート用チャンバ3の連結管6が接続された側と反
対側の側面には、図3で示したものと同様なダイバート
スラスタ08が取り付けられており、ダイバート用チャ
ンバ3で発生させた燃焼ガス016は、第2の弁として
のダイバートスラスタバルブ09で分配して、移動体と
しての飛しょう体01にダイバート制御を行わせる必要
のある、第2のノズルとしてのダイバートノズル08の
1つに供給して、このダイバートスラストノズル08か
ら噴射させて、飛しょう体01のダイバートを行うよう
にしている。
【0041】また、姿勢制御用チャンバ4の連結管6が
接続された側と反対側の側面には、姿勢制御用スラスタ
05が取り付けられており、この姿勢制御用チャンバ4
内で常時発生させている燃焼ガス016は、上述したよ
うに、一部は、消火させているダイバート用チャンバ3
の再着火時に、ダイバート用チャンバ3に導入されると
ともに、殆んどの燃焼ガス016は、姿勢制御スラスタ
バルブ011で分配して、飛しょう体01に姿勢制御を
行わせる必要のある第1のノズルとしての姿勢制御スラ
スタノズル011の1つに供給し、この姿勢制御スラス
タノズル011から噴射して姿勢制御を行うようにして
いる。また、ダイバート用チャンバ3内部の圧力は、ダ
イバート用チャンバ3の燃焼区間に設けた圧力センサ7
により計測できるようにしている。
【0042】次に、図1を用いて、ダイバート用チャン
バ3に充填された固体推薬07の消火・着火の方法並び
に効果を説明する。飛しょう体01の軌道修正が必要と
なり、飛しょう体01に旋回Gを発生させるダイバート
が必要なときは、姿勢制御用チャンバ3に常時発生させ
ている燃焼ガス016を、バルブ5を開放することによ
り、固体推薬07の燃焼が行われていないダイバート用
チャンバ3内に、連結管6を介して噴射し、ダイバート
用チャンバ3内に充填されている固定推薬07を着火さ
せて、ダイバート用チャンバ3内で発生させた燃焼ガス
016を、ダイバート用スラスタ04から噴射させて、
所望のダイバートを行う。
【0043】また、飛しょう体01の姿勢修正が必要と
なり、姿勢制御を行うときには、姿勢チャンバ4内で常
時発生させている燃焼ガス016を、姿勢制御スラスタ
05から噴射させて、所望の姿勢制御を行う。所望のダ
イバートを行い、飛しょう体01が、所定の軌道を飛し
ょうするようになり、ダイバートの必要がなくなったと
きには、ダイバートスラスタバルブ09をすべて開放
し、図2に示すように、飛しょう体01の重心013近
傍の上下,左右に設けた、4個のダイバートスラスタノ
ズル09のすべてから、ダイバート用チャンバ3内に発
生している燃焼ガスを外部へ噴射する。
【0044】これにより、ダイバート用チャンバ3から
外部に放出する燃焼ガスのガス流路の断面積が増大する
ため、ガス流路がチョークせず、ダイバート用チャンバ
3内の圧力は急速に低下する。すなわち、図5に示した
固体推薬の燃焼速度と圧力の関係により、ダイバートチ
ャンバ3内の固体推薬07の燃焼速度は低下し、ついに
は燃焼が維持できなくなり消火する。
【0045】再び、ダイバート用スラスタ4による制御
の必要が生じたときには、それまで開放されていたダイ
バートスラスタバルブ08を一旦すべて閉にし、ついで
バルブ5を開いて、姿勢制御用チャンバ2内に常時発生
させている燃焼ガス016をダイバート用チャンバ3へ
導入する。これにより、ダイバートチャンバ3内の圧力
と温度が上昇し、ダイバートチャンバ3内に充填された
固体推薬07は再着火する。
【0046】このときのダイバートチャンバ3内の圧力
増加を圧力センサ7にて検知しておき、再着火後のダイ
バートチャンバ3内の圧力が、ダイバートチャンバ3内
に充填された固体推薬07が一定燃焼速度以上で燃焼す
る圧力になっていることを確認した後、ダイバートスラ
スタバルブ09を開き、飛しょう体01に要求されるダ
イバートを行うように配置された、ダイバートスラスト
ノズル08から、ダイバート用チャンバ内で発生させた
燃焼ガスを噴射して、その推力によって所望のダイバー
トを行う。
【0047】本実施の形態のスラスト装置では、このよ
うにして、従来は不可能であった固体推薬07を、固体
推薬チャンバ2を分割し、その間をバルブで接続するこ
とにより、本来、再着火ができない固体推薬の任意の時
間に再着火できるようになり、必要な固体推薬の量及び
体積を低減でき、飛しょう体のペイロードを増大させる
ことができるとともに、固定推薬の単位量当りで制御で
きる飛しょう体01の制限時間を延長させることができ
る。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のスラスト
装置は、内部に充填した固体推薬を常時燃焼させ、燃焼
ガスを常時発生させることができるようにした第1のチ
ャンバ、第1のチャンバに隣接して設けられ、充填した
固体推薬を間欠的に燃焼させ、燃焼ガスを間欠的に発生
させることができるようにした第2のチャンバ、第1の
チャンバと第2のチャンバとの間に設置され、消火時の
第2のチャンバの起動時に開放することにより、第1の
チャンバ内の燃焼ガスを第2のチャンバ内に噴射して、
第2のチャンバ内の固体推薬の点火を行う第1の弁、第
2のチャンバ内に発生した燃焼ガスを分配して、移動体
の制御を行う方向に噴射させて制御を行う第2のノズル
からなるものとした。
【0049】これにより、第2のチャンバは、移動体の
制御を必要とするときのみ、固体推進薬の再点火を行っ
て燃焼を行わせることができ、制御のため推力を発生で
きるようになり、移動体のミッション達成に必要な固体
推進薬の消費量が減少し、移動体に搭載する固体推進薬
の量を低減できる。また、固体推進薬の低減に伴い、チ
ャンバの容積を小さくでき、移動体のペイロードを増大
させることができ、特定された量の固体推進薬の搭載に
より移動体の制御が長時間できるようになる。
【0050】また、本発明のスラスタ装置は、第2のチ
ャンバと第2のノズルとの間に設置され、第2のチャン
バの作動時、第2のチャンバの固体推薬の燃焼で発生し
た燃焼ガスを第2のノズルに供給して制御力を発生させ
るとともに、何れの第2のノズルにも、推力を発生させ
る必要がない時に、全開させて全ての第2のノズルから
内部の燃焼ガスを外部に放出し、第2のチャンバ内の圧
力を低下させて、第2のチャンバの固体推薬の燃焼を止
める第2の弁を設けるものとした。
【0051】これにより、第2のチャンバ内の燃焼ガス
は、第2の弁の操作により全ての第2のノズルから一斉
に外部に放出されて、第2のチャンバ内の圧力を固体推
薬の消火に必要な圧力以下に低下させることができ、第
2のチャンバで発生させた燃焼ガスで移動体の制御が不
必要になったときには、直ちに第2のチャンバ内での燃
焼を止めることができ、第2のチャンバ内に充填する固
体推薬の充填量を低減することができるとともに、第2
のチャンバの容積を小さくすることができる。また、本
発明のスラスタ装置は、第1のチャンバの固体推薬の燃
焼により、常時発生させている燃焼ガスの推力により移
動体の制御を行う第1のノズルを設けるものとした。
【0052】これにより、第2のチャンバの着火のため
に、常時燃焼させるようにしている第1のチャンバで発
生させた燃焼ガスが、移動体の制御に有効に利用できる
ようになり、移動体に搭載する固体推薬の量をさらに低
減することができ、移動体のペイロードを、さらに増加
させることができるとともに、限定された固体推薬で移
動体の制御がさらに長時間行うことができるようにな
る。さらに、第1のノズルによる移動体の制御と、第2
のノズルによる移動体の制御とを異る制御ができるもの
にすることにより、移動体の制御が多様化でき、移動体
のきめの細い制御をすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスラスタ装置の実施の第1形態を示す
一部断面図で示すようにした側面図,
【図2】スラスタ装置を設けるようにした飛しょう体を
示す図で、図2(a)はスラスタ装置によりダイバート
を行っている状態を示す側面図,図2(b)はスラスタ
装置により姿勢制御を行っている状態を示す側面図,図
2(c)はダイバート用スラスト設置部の横断面図でダ
イバートを行っている状態を示す図,図2(d)は従来
のダイバート用スラストでダイバート非制御状態を示す
図,
【図3】従来のスラスト装置を示す一部断面図で示すよ
うにした側面図,
【図4】本発明のスラスト装置等が適用される飛しょう
体の飛しょうシーケンスを示す図,
【図5】スラスト装置を構成するチャンバ内圧力とチャ
ンバ内に充填された固体推薬の燃焼速度との関係を示す
図である。
【符号の説明】
1 スラスタ装置 2 チャンバ 3 ダイバート用チャンバ 4 姿勢制御用チャンバ 5 バルブ 6 連結管 7 圧力センサ 01 飛しょう体 02 固体推薬サイドスラスタ 04 ダイバート用スラスタ 05 姿勢制御用スラスタ 06 チャンバ 07 固体推薬 08 ダイバートスラスタノズル 09 ダイバートスラスタバルブ 010 姿勢制御スラスタノズル 011 姿勢制御スラスタバルブ 012 機体 013 重心 014 モーメント 015 推力 016 燃焼ガス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャンバ内に充填した固体推薬の燃焼で
    発生した燃焼ガスの推力により移動体の制御を行うよう
    にしたスラスタ装置において、内部に充填した固体推薬
    を常時燃焼させ、燃焼ガスを発生させる第1のチャンバ
    と、前記第1のチャンバに隣接して設けられ、充填した
    固体推薬を間欠的に燃焼させ、燃焼ガスを発生させる第
    2のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第2のチャ
    ンバとの間に設置され、前記第2のチャンバの起動時、
    前記第1のチャンバで発生した燃焼ガスを供給して、前
    記第2のチャンバ内部の固体推薬を燃焼させる第1の弁
    と、前記第2のチャンバで発生した燃焼ガスを前記移動
    体の制御を行う方向に噴射させて、その推力により制御
    を行う複数個の第2のノズルとを設けたことを特徴とす
    るスラスタ装置。
  2. 【請求項2】 前記第2のチャンバと前記第2のノズル
    との間に設置され、前記第2のチャンバの作動時、前記
    第2のチャンバで発生した燃焼ガスを前記移動体の制御
    を行う方向に噴射させる前記第2のノズルに供給すると
    ともに、前記第2のノズルの非作動時に前記第2のノズ
    ルの全てから燃焼ガスを放出して、前記第2のチャンバ
    内の圧力を低下させ、前記第2のチャンバ内の燃焼を止
    める第2の弁を設けたことを特徴とする請求項1のスラ
    スタ装置。
  3. 【請求項3】 前記第1のチャンバで発生した燃焼ガス
    を前記移動体の制御を行う方向に噴射させて、その推力
    により制御を行う複数個の第1のノズルを設けたことを
    特徴とする請求項1または請求項2のスラスタ装置。
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