JP3485418B2 - 光学機器の解像度評価のための標準片 - Google Patents

光学機器の解像度評価のための標準片

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JP3485418B2 JP18411096A JP18411096A JP3485418B2 JP 3485418 B2 JP3485418 B2 JP 3485418B2 JP 18411096 A JP18411096 A JP 18411096A JP 18411096 A JP18411096 A JP 18411096A JP 3485418 B2 JP3485418 B2 JP 3485418B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学機器による像
の鮮鋭度を簡単に比較評価可能な光学機器の解像度評価
のための標準片に関する。
【0002】
【背景技術】レンズ単体またはレンズが組み込まれてい
る投影機や顕微鏡等の光学機器において、レンズを通し
て被観察物体を照明するいわゆる落射照明を行うと、レ
ンズ面や反射鏡枠などからの不要な反射光によるフレア
光が被観察物体の像に重なり被観察物体の像の鮮鋭度、
すなわち解像度が悪くなる。また、被観察物体の焦点が
合っていない部分からの不要な反射光により同様に解像
度が悪くなる。通常、不要な反射光を軽減するためにレ
ンズ面に反射防止のためのコーティングが施され非常に
効果はあるが、上記の不要な反射光を完全に消すことは
できない。
【0003】一般的にレンズ単体の解像度の検査には、
MTF(Modulation Transfer Function)を測定するレ
ンズ評価装置により、レンズの空間周波数特性の解析を
行い、レンズの解像度を理論的に求めている。しかし、
レンズを実際に前述の投影機や顕微鏡等の光学機器に組
み込むと、前述したような不要な反射光によるフレア光
の影響により、レンズ単体の時よりも解像度が低下する
ことがしばしば発生する。また、レンズを実際に光学機
器に組み込んだ場合は、装置の大きさ等の物理的制約が
あり、MTFを測定するレンズ評価装置を使用すること
ができない。さらに、この装置自体非常に高価である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、レンズが組み
込まれた光学機器の解像度を上記のMTFを測定するレ
ンズ評価装置よりも簡易的に評価するために、解像力チ
ャートを使った目視による検査評価が行われている。こ
の解像力チャートとは、透明な薄いガラス基板上に所定
間隔からなる格子縞パターンが写真法等により描かれて
いるもので、この格子縞の間隔や縞の向きを変えた複数
種類の格子縞パターンが並んでいる。これらの格子縞パ
ターンの中で、格子縞の像がレンズを通してつぶれるこ
となくはっきりと見られる最も細かい格子縞パターンの
間隔をこのレンズの解像度として評価している。しか
し、この解像力チャートは平面的であり、実際の立体的
な被観察物体を観察する時は解像力チャートを使って求
めた解像度よりも低下することがある。従って、この解
像力チャートを使った解像度評価は簡易的ではあるが、
実際の被測定物を観察するときの解像度を正確に捕える
ことができない。
【0005】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたもので、実際の被観察物体を観察したときの
光学機器の解像度に近い解像度を簡易に評価する光学機
器の解像度評価のための標準片を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、ステンレスまたは黒色ABS樹脂で構成
された板状部材の表面内に互いに一定間隔を保って、溝
の底部が前記板状部材の表面に平行でかつ平面である複
数の溝が刻設されると共に前記表面および前記底部が垂
直落射による照明光を反射する標準片の一組からなり、
各標準片に刻設される複数の溝の間隔が各標準片毎に夫
々異なっていることを特徴とする。
【0007】また、本発明は上記手段に加え、ステンレ
スまたは黒色ABS樹脂で構成された板状部材の表面内
に互いに所定間隔を保って、溝の底部が前記板状部材の
表面に平行でかつ平面である複数の溝が刻設されると共
に前記表面および前記底部が垂直落射による照明光を反
射する標準片であって、表面を分割する複数の帯状領域
内の溝の間隔が各帯状領域毎に異なった一定間隔とされ
ていることでも構成可能である。
【0008】また、本発明は上記手段に加え、ステンレ
スまたは黒色ABS樹脂で構成された板状部材の表面内
に互いに所定間隔を保って、溝の底部が前記板状部材の
表面に平行でかつ平面である複数の溝が刻設されると共
に前記表面および前記底部が垂直落射による照明光を反
射する標準片であって、一端の溝から他端の溝へ向かう
に従って順次隣接する溝の間隔が長く変化させても構成
可能である。
【0009】上記板状部材をステンレスで構成した場合
は高反射率標準片、黒色ABS樹脂で構成した場合は低
反射率標準片を構成可能である。
【0010】複数の溝が刻設された標準片を光学機器で
観察して、この溝がはっきりと見える最も細かい溝の幅
の寸法を用いて光学機器の解像度評価が可能である。さ
らにこの溝の底部を上面に平行な平面とすることで、合
焦位置以外からの不要な光を故意に観察像に混入させ、
より実際の立体的な被観察物を観察した状態に近い状態
で解像度を容易に評価可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を用いた好適な実施
の形態について図面を用いて説明する。なお、全図中に
おいて同一符号を付したものは同一構成要素を表わして
いる。図1に本発明に基づく光学機器の解像度評価のた
めの標準片1を示す。この標準片1は、材質が金属また
は樹脂の基台10で構成されていて、この基台10は所
定の厚みを有する円筒形状を成している。さらにこの基
台10の上面2と下面3は略平行平面となっている。さ
らに上面2と下面3のどちらか一方または両方に一定間
隔で多数の連続した溝が付けられている。この多数の連
続した溝は完全な平行になっていなくても構わず、例え
ばフライス盤等の加工方法によっては図1に示すように
溝が円弧状であっても標準片として問題なく使用でき
る。また、同様に旋盤等により加工を行い、溝が同心円
を描くように付けられていても構わない。また、光学機
器に使われるレンズのほとんどは円形状を成しているの
で、この標準片1の基台10を円筒形状としているが、
特に円筒形状に限られるものではなく、直方体等の他の
形状であっても構わない。
【0012】次に基台10の上面2の断面の一部を図2
に示す。上端部11は標準片1の上面2を形成すると共
に平面となっていて、さらに各溝の底を成す底部12は
上面2と平行でかつ平面を形成している。従って、垂直
落射による照明光は図2に示すように上端部11および
底部12でそれぞれ反射され観察像の中に混入される。
また、図2では、上端部11から底部12にかけて傾斜
部13を有するが、この傾斜角度が90度すなわち図4
に示す溝形状のように断面が方形波状となるように溝を
形成しても構わない。
【0013】この標準片1を用いた光学機器の解像度評
価の方法を説明すると、まず、解像度を評価する対象と
なる投影機や顕微鏡等の光学機器で、前記標準片1を観
察すると共にこの標準片1の上端部11に焦点を合わせ
る。次に図2に示すように上端部11および底部12に
垂直落射による照明光を照射する。照射された照明光は
それぞれ上端部11および底部12で反射され観察像の
中に混入される。このとき上端部11に焦点を合わせて
いるので、本来、底部12からの光は不要であり、この
不要な光が解像度を劣化させるように影響している。通
常、実際の被観察物体は立体形状を成している場合が多
いので、このような焦点の合っていない部分からの不要
な反射光が存在することは、前記解像力チャートを使っ
た評価に比べ、より実際の被観察物体を観察した状態に
近い。従ってより実際の被観察物体を観察したときの解
像度に近い解像度を評価できる。このように溝の幅と間
隔を変えた種々の標準片をそれぞれ観察して、この溝が
はっきりと見える最も細かい溝の幅の寸法を用いて光学
機器の解像度評価が可能である。
【0014】このようにして溝の深さおよび間隔を種々
異なった標準片1を複数種類用意してレンズ単体はもち
ろん光学機器を簡易に評価可能である。また、図3に示
すように標準片20の上面22に、幅、深さ、間隔のそ
れぞれ異なる複数種類の溝パターンを形成することで、
1つの標準片で複数種類の条件でレンズ単体または光学
機器を評価可能である。さらに基台21の下面23にも
同様に3種類の条件で溝を形成することも当然可能であ
る。例えば図3の標準片20では溝の深さは一定で、細
溝パターン24、中溝パターン25、粗溝パターン26
の3種類の幅と間隔からなる溝パターンが1つの標準片
に備えられているので、レンズまたは光学機器の評価が
効率良く行える。この細溝パターン24、中溝パターン
25、粗溝パターン26の断面の概略図を図4に示す。
このような溝の加工方法は、例えばフライス盤を使い溝
の深さを一定にして、溝の幅と間隔を徐々に変化させて
加工することが容易に可能である。また、逆に溝の幅と
間隔を一定にして溝の深さを徐々に変化させて加工する
ことも容易に可能である。
【0015】前記標準片の材質をアルミ、ステンレス、
鉄等の金属として、表面に特に何も処理を施さなければ
光の反射率が高い標準片を構成可能である。また、通常
光学部品等に施される表面処理、例えば材質がアルミの
場合はアルマイト処理を施して表面を黒色にして光の反
射率が低い標準片を構成することも可能である。また、
材質そのものを黒色のABS樹脂とすることで、黒色の
光の反射率が低い標準片を構成することも可能である。
また、材質が樹脂の基台に溝加工を施して、その後にメ
ッキを施して高反射率の標準片を構成することも容易に
可能である。
【0016】次にこの標準片を用いた光学機器の解像度
評価の方法について説明する。基本的には相対的な比較
でレンズ単体または光学機器を評価可能である。例え
ば、評価したい投影機を2台用意しておいて、同じ標準
片を用いてこの標準片が最も鮮明に見えるようにそれぞ
れの投影機の垂直落射照明の光量等を調節して、どちら
の投影機の方がより鮮明に標準片の前記溝が見えるかを
目視により評価する。また、溝の幅と間隔を変えた種々
の標準片を用意して、それぞれの投影機で目視検査を行
いこれらの溝の内、はっきりと見える最も細かい溝の幅
の寸法を用いて比較評価が可能である。当然この幅が細
ければ細いほど解像度が高いといえる。
【0017】次に、前記標準片を用いた効果的なフレア
光の評価方法について説明する。一般的に被観察物体が
低反射率のものであるときにフレア光による画像の解像
度の劣化が顕在化することが知られている。これを利用
して前記の表面を黒色に処理した標準片または材質が黒
色ABS樹脂である標準片、即ち光の反射率の低い標準
片を使い、画像に含まれるフレア光の影響を一層明確に
して容易に比較評価可能である。例えば、評価したい投
影機について同じ照明条件で、材質がステンレス等の高
反射率標準片と材質が前記黒色ABS樹脂等の低反射率
標準片とについて、それぞれ溝の幅と間隔を変えた種々
の標準片を用意して、それぞれについて投影機で目視検
査を行い前記溝がはっきりと見える最も細かい溝の幅の
寸法を求め、この寸法の差が小さいほどフレア光による
画像解像度の劣化が少ないと判断できる。
【0018】次に、上記で説明した光学機器の解像度の
評価方法をさらに発展させ、個人差をなくし定量的に解
像度を捕えるために、CCDカメラ等の撮像装置とコン
ピュータを使って評価するように構成することも可能で
ある。すなわち標準片の画像をCCDカメラで撮像して
ADコンバータにより濃淡値に変換して、この濃淡値を
マトリックス状に配列された多数の画素からなる画像メ
モリに記憶して、この画像をコンピュータ画像処理して
定量的に解像度を評価することができる。例えば、前記
コンピュータ画像処理において前記画素の中の任意の1
つの画素に注目して、この画素とこの画素の左側及び下
側に隣接する画素との濃淡値の差をそれぞれ自乗して合
計する。さらにこの計算を画像中の全ての画素について
行い求めた各値を全て合算した値をコントラスト値とす
る。このコントラスト値が高い画像ほど解像度の高い画
像であると判断することができる。このようにして前記
標準片を種々取り替えながらこのコントラスト値を求め
比較することで、光学機器の解像度を定量的に比較評価
可能である。また、上記のコントラスト値を計算する画
像の大きさを、画像の任意の一部分、例えば中心部や周
辺部に限って計算することも可能である。この場合、中
心部と周辺部で画像の解像度の違いを簡単に比較評価可
能であるので、比較的レンズが大きい投影機の解像度を
評価するのに適している。
【0019】通常、上記の標準片1または標準片20の
溝形状は、材質がアルミ、ステンレス、鉄等の金属また
は黒色ABS樹脂等の樹脂材料である場合は、フライス
盤により加工が可能であるが、これ以外に金型を用いて
も成形可能である。特に材質が樹脂の場合は金型により
成形することで、簡単で安価に製作できる。ただし、金
型を用いた成形のときは固まった樹脂を金型から引き剥
がすときに剥がしやすいように、図2に示すように溝形
状の断面は上端部11から底部12にかけて傾斜部13
を設けるようにする必要がある。この傾斜部13はフラ
イス盤を用いることで比較的簡単に形成することができ
る。
【0020】以上、本発明について好適な実施例を挙げ
て説明したが、本発明は、この実施例に限られるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更が可能
である。たとえば、上記実施例では、溝の断面が矩型波
状の形状または傾斜部のある矩型波状の形状に限って説
明したが、溝の断面がサイン波状の滑らかな形状であっ
ても本発明を実施可能である。溝の底部が曲面であって
も、垂直落射による照明光を光軸に平行に反射する部分
が必ず存在するので、本発明の標準片として利用可能で
ある。
【0021】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
実際の被観察物体を観察したときの光学機器の解像度に
近い解像度を簡易に評価するレンズおよび光学機器評価
用標準片を容易にして安価に構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る標準片の斜視図である。
【図2】本発明に係る標準片の上面部分の断面図であ
る。
【図3】本発明に係る標準片の斜視図である。
【図4】本発明に係る標準片の上面部分の断面図であ
る。
【符号の説明】
1,20 標準片 2,22 上面 3,23 下面 10,11 基台 11,27 上端部 12,28 底部 13 傾斜部 24 細溝パターン 25 中溝パターン 26 粗溝パターン
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 11/00 - 11/02 G01J 1/00 - 1/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレスまたは黒色ABS樹脂で構成
    された板状部材の表面内に互いに一定間隔を保って、溝
    の底部が前記板状部材の表面に平行でかつ平面である複
    数の溝が刻設されると共に前記表面および前記底部が垂
    直落射による照明光を反射する標準片の一組からなり、
    各標準片に刻設される複数の溝の間隔が各標準片毎に夫
    々異なっていることを特徴とする光学機器の解像度評価
    のための一組の標準片。
  2. 【請求項2】 ステンレスまたは黒色ABS樹脂で構成
    された板状部材の表面内に互いに所定間隔を保って、溝
    の底部が前記板状部材の表面に平行でかつ平面である複
    数の溝が刻設されると共に前記表面および前記底部が垂
    直落射による照明光を反射する標準片であって、表面を
    分割する複数の帯状領域内の溝の間隔が各帯状領域毎に
    異なった一定間隔とされていることを特徴とする光学機
    器の解像度評価のための標準片。
  3. 【請求項3】 ステンレスまたは黒色ABS樹脂で構成
    された板状部材の表面内に互いに所定間隔を保って、溝
    の底部が前記板状部材の表面に平行でかつ平面である複
    数の溝が刻設されると共に前記表面および前記底部が垂
    直落射による照明光を反射する標準片であって、一端の
    溝から他端の溝へ向かうに従って順次隣接する溝の間隔
    が長く変化することを特徴とする光学機器の解像度評価
    のための標準片。
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