JP3484794B2 - 超音波アクチュエータ - Google Patents

超音波アクチュエータ

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JP3484794B2
JP3484794B2 JP00439095A JP439095A JP3484794B2 JP 3484794 B2 JP3484794 B2 JP 3484794B2 JP 00439095 A JP00439095 A JP 00439095A JP 439095 A JP439095 A JP 439095A JP 3484794 B2 JP3484794 B2 JP 3484794B2
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隆利 芦沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、移動子母材や固定子の
材料を改良した超音波アクチュエータに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の超音波アクチュエータ
は、その代表的な構造として、進行波型超音波アクチュ
エータが知られている(特公平1−17354等)。こ
の進行波型超音波アクチュエータは、電気−機械変換素
子である圧電体(以下、圧電体と記述する)の伸縮を利
用して、弾性体の駆動面に進行波を発生させ、この進行
波によって駆動面に加圧接触した移動体を駆動させてい
る。この超音波アクチュエータは、低回転で高トルクが
得られるという特徴があるので、被駆動体をダイレクト
に駆動できる。
【0003】また、超音波アクチュエータは、特開平5
−146174号の図12に開示されているように、そ
の移動子に歯車等の減速部を設けて、被駆動体を駆動さ
せたいという要求がある。この場合に、一種類の超音波
アクチュエータによって、様々な駆動力や駆動速度を得
ることができるという利点がある。しかし、超音波アク
チュエータは、移動子に歯車等を設けた場合に、形状が
複雑になるという問題がある。そこで、移動子を樹脂材
によって1工程で成形すると、短時間で多量に製作でき
るので、低コスト化を可能にするという利点がある。移
動子を樹脂材によって1工程で成形する方法は、特開平
4−117181号に開示されている。
【0004】また、進行波型超音波アクチュエータは、
特開昭63−87182号に開示されているように、移
動子を励振させることにより、弾性体と移動子の接触面
積を増加させ、駆動力や駆動効率を向上させている。
【0005】一方、超音波アクチュエータの弾性体は、
駆動効率を向上するために、櫛歯形状などの複雑な形状
をしているので、製作に膨大な費用がかかるという問題
点があった。この問題点を解決するために、複雑な形状
の弾性体を粉末冶金により1工程で成形することによっ
て、製作コストを低下させる方法が特開平4−1098
78号により開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の技術では、移動子の全体を樹脂材によって製作した場
合に、長時間高湿の場所や高温の場所に放置したとき
に、移動子が変形してしまうことがあった。このため
に、移動子は、その摺動面の平面度が劣化して、固定子
の駆動面との当たり具合が悪化してしまい、性能が低下
するという問題点があった。また、移動子は、樹脂材に
よって作製された場合に、歯車の強度が小さく疲労破壊
しやすいので、長時間の駆動に耐える耐久性がなかっ
た。
【0007】さらに、移動子は、歯車などを有する複雑
な形状である場合には、型に樹脂材を注入したときに、
樹脂材が全体に行き渡らない場合があった。このため
に、移動子は、部品内に空孔や欠損部が発生することが
あり、製作の歩留まりが低下してしまうという問題点が
あった。
【0008】さらにまた、進行波型超音波アクチュエー
タは、移動子を励振させることにより、弾性体と移動子
の接触面積を増加させ、駆動力や駆動効率を向上させて
いるが、樹脂材は、振動の減衰性が大きいので、移動子
の励振を減衰させてしまうことがあり、性能向上の妨げ
となる可能性があった。
【0009】一方、特開平4−109878号による
と、粉末冶金で製作した弾性体は、相対密度の上限が約
95%であり、合金内の空孔は、少なくとも約5%存在
していた。この合金内の空孔は、振動を減衰させる作用
があるので、移動子の駆動効率が大きく低減していた。
超音波アクチュエータは、電源容量などに限度のある場
合が多いので、高効率が要求される弾性体に適用するこ
とはできなかった。
【0010】本発明の目的は、高温や高湿の悪環境下で
の使用や長時間駆動に耐えられ、製作の歩留まりがよく
製作コストの低減が可能であり、しかも、振動減衰が小
さく駆動性能の向上が可能な超音波アクチュエータを提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1の発明は、駆動信号により励振される電気
−機械変換素子と,前記電気−機械変換素子が接合さ
れ、前記励振により駆動面に超音波振動を生ずる弾性体
と,前記弾性体の駆動面に加圧接触し、その駆動面の駆
動力により駆動される移動子と,を含む超音波アクチュ
エータにおいて、前記移動子の母材は、鉄を含む金属粉
末を射出成形および焼結し、溶性材に対しての相対密度
95%以上、内部摩擦(Q -1 )0.008以下とした
結合金により作製されていることを特徴としている。
【0012】
【0013】 請求項の発明は、請求項1に記載の超
音波アクチュエータにおいて、前記移動子の母材は、そ
の結晶粒径を20μm以下としたことを特徴としてい
る。
【0014】 請求項の発明は、請求項1〜請求項
のいずれか1項に記載の超音波アクチュエータにおい
て、前記移動子は、微細形状の駆動力伝達部が形成され
ていることを特徴としている。
【0015】 請求項の発明は、請求項1〜請求項
のいずれか1項に記載の超音波アクチュエータにおい
て、前記弾性体は、金属粉末を射出成形して焼結した焼
結合金により作製されていることを特徴としている。
【0016】
【0017】 請求項の発明は、請求項1〜請求項
のいずれか1項に記載の超音波アクチュエータにおい
て、前記弾性体は、その結晶粒径を20μm以下とした
ことを特徴としている。
【0018】
【作用】本発明によれば、電気−機械変換素子の励振に
より弾性体の駆動面に超音波振動が発生し、その振動波
によって移動子が駆動される。この移動子又は弾性体
は、金属粉末を焼結しているために、長時間高湿の場所
や高温の場所に放置した場合でも変形してしまうことが
低減される。また、移動子又は弾性体は、機械的な強度
を大きくすることができ、疲労破壊を防止することがで
きる。さらに、移動子又は弾性体は、射出成形時の加圧
により、型全体に金属粉末が行き渡るので、部品内部に
発生する空孔や欠損部をなくすことができ、歩留まりを
向上させることができる。さらにまた、移動子又は弾性
体は、金属粉末を射出成形して焼結させた焼結合金であ
るので、振動の減衰性が少なく、移動子の励振の減衰を
防止することができ、駆動性能を向上させることができ
る。
【0019】
【実施例】
(第1実施例)以下、図面等を参照しながら、実施例を
あげて、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明によ
る超音波モータの第1実施例を示した図である。固定子
1は、駆動信号により励振する圧電体212と、この圧
電体212に接合され前記励振により駆動面211aに
進行性振動波を生ずる弾性体211とから構成されてお
り、弾性体211の外周面にフランジ213が形成され
ている。このフランジ213は、弾性体211と連接さ
れる薄肉部213aと、この薄肉部213aの外縁に連
接される肉厚部213bとからなる。肉厚部213b
は、固定子支持体203に接合され、その固定子支持体
203は、超音波アクチュエータを搭載する機器(不図
示)に固定される。
【0020】移動子202は、移動子母材221と、移
動子母材221に接合され、摺動面222aによって弾
性体211の駆動面211aに加圧接触されている摺動
材222とから構成されている。移動子母材221の外
周面には、フランジ221aが形成され、その外縁部に
肉厚部221bが連接されている。この肉厚部221b
は、不図示の加圧部材による加圧力が加えられており、
摺動面222aと駆動面211aとが加圧接触される。
【0021】また、肉厚部221bには、出力伝達部材
である歯車223が設けられており、その出力は被駆動
体(不図示)と同軸の歯車241に伝達される
【0022】第1実施例の超音波アクチュエータは、以
上のように構成されているので、弾性体211の駆動力
は、移動子202に摩擦的に伝達され、その駆動力は、
肉厚部221bに設けられた歯車223から被駆動体と
同軸の歯車241に伝達され、その被駆動体が駆動され
る。
【0023】弾性体211は、相対密度95%以上の材
料により構成されている。従来の粉末冶金では、相対密
度95%位が上限であったが、金属粉末を射出成形して
焼結させること(メタルインジェクションモ−ルディン
グ)によって、相対密度95%以上の合金を得ることが
できるようになった。このように相対密度が大きいと、
空孔率が少なくなり、振動減衰が小さくなる。
【0024】移動子母材221は、同様に、金属粉末を
射出成形して焼結させた合金により構成されているの
で、長時間高湿の場所や高温の場所に放置した場合で
も、変形してしまうことが低減される。また、移動子2
02は、機械的な強度を大きくすることができるので、
歯車等の駆動力伝達部の疲労破壊も防止することができ
る。さらに、移動子202は、射出成形時の加圧によ
り、複雑な形状でも型全体に金属粉末が行き渡るので、
部品内部に発生する空孔や欠損部をなくすことができ、
歩留まりを向上させることができる。
【0025】さらにまた、進行波型超音波アクチュエー
タは、弾性体211の他に移動子202も励振させるこ
とにより、弾性体211と移動子202の接触面積を増
加させ、駆動力や駆動効率を向上させているために、弾
性体211及び/又は移動子202が金属粉末を射出成
形して焼結させた合金であると、振動の減衰を防止する
ことができ、駆動力や駆動効率等の性能向上させること
ができる。
【0026】ここで、金属粉末を射出成形して焼結させ
た合金は、振動減衰を小さくできることについては、本
出願人の実験結果によっても明らかにすることができ
る。供試材は、前記合金を短冊状に加工したものを用
い、加振器により振動させてみた。この供試材は、固有
周波数によって共振するので、この共振時の周波数(約
20kHz)の内部摩擦を測定してみた。材料は、超音
波アクチュエータの弾性体又は移動子として、特開平2
−290171に開示されているインバー材(鉄系Ni
合金)を用いた。
【0027】図2は、金属粉末を射出成形して焼結させ
た合金の相対密度と内部摩擦の関係を測定した図であ
る。内部摩擦Q-1は、次の(1)式によって示される。 内部摩擦Q-1=(f1−f2)/fr …(1) ここで、frは、供試材の共振周波数、f1とf2は、
共振曲線でfr時の振幅値の20.5 倍になるfrの下と
上の周波数を表している。
【0028】図2によれば、相対密度が大きいほど、内
部摩擦Q-1が小さくなっていることがわかる。従って、
このような材料を超音波アクチュエータの弾性体211
又は移動子母材221に使用した場合に、内部摩擦が小
さい(相対密度が大きい)ほどエネルギ−の損失が少な
くなる。特に、相対密度が95%以上になると、超音波
アクチュエータの弾性体211又は移動子母材221と
して用いても、駆動効率が低下することがなく好適であ
る。
【0029】図3は、第1実施例にかかる超音波アクチ
ュエータ(金属粉末を射出成形して焼結させた弾性体を
用いたもの)の共振抵抗及び駆動性能について測定した
結果を示す図である。弾性体211は、インバ−材の金
属粉末を射出成形して焼結させたものであり、その相対
密度は98.2%である。移動子母材221は、通常の
インバー材によって作製した。これらの弾性体211、
移動子母材221を用いて、図1に示したような超音波
アクチュエータに組み立てた。このときに、固定子1の
共振抵抗値は90(Ω)、移動子2を定格駆動(ある負
荷与えた場合にある回転速度を保たせた)させたときの
消費電流は1.05(W)となった。このように、弾性
体211を射出成形して焼結させる方法は、相対密度が
95%以上が得られるために、超音波アクチュエータと
しては、好適な結果が得られることがわかる。
【0030】(第2実施例)次に、第2実施例について
説明する。なお、前述した第1実施例と機械的な構造は
同様であるので、図示は省略する。第2実施例は、弾性
体11を相対密度95%以上で結晶粒径の小さな材料よ
り構成されている。具体的には、平均結晶粒径20μm
以下としている。平均結晶粒径20μm以下といった数
値は、次に説明する本発明者の実験による。まず、供試
材は、短冊状に溶製材のインバ−材を加工したものを用
い、これを加振器により振動させてみた。この供試材
は、固有周波数で共振するのであるが、この共振時の周
波数(約20kHz)の内部摩擦を測定してみた。
【0031】また、供試材のインバ−は、二種類を用意
し、一方は、再結晶温度を越えた焼き鈍し(1350
℃、1時間)を行い、他方は、焼き鈍しを行わなかっ
た。この二種類の供試材の平均結晶粒径を測定したとこ
ろ、焼き鈍しを行わなかった方は20μm、行った方は
70μmであった。実験の結果を図4に示した。20μ
mと70μmを比較すると、20μmの方は内部摩擦Q
-1が低くなっている。このように、結晶粒径が小さくな
ると、一定体積当たりの結晶粒界の密となり、内部摩擦
-1が小さくなることがわかる。
【0032】この原因として、転位の挙動が関与してい
るものと考えられる。弾性体の振動は、弾性体内にある
周期的な応力が生じている状態と考えると、その応力に
応じて材料内に存在する転位が動くことができる。一般
的な材料内には、必ず結晶格子の点欠陥である転位が存
在し、材料の降伏応力以下でも応力に応じて動くことが
できる。この転位が動くということは、エネルギ−がそ
こで消費されるということであり、これが振動エネルギ
−の損失の主原因と考えられる。従って、転位が動きに
くいような工夫を加えれば、振動エネルギ−の損失が抑
えられ、振動の減衰性の小さい材料が得られる。転位が
動きにくい状態とは、複数の方向から動いてきた転位が
障害物により幾つも堆積し、複雑にもつれた状態が知ら
れている。転位を堆積する障害物には、結晶粒界があ
る。つまり、一定体積の中で結晶粒界が多ければ、転位
の動きにくい状態が発生されやすく、内部摩擦が低減す
ると考えられる。
【0033】本発明では、平均結晶粒径を20μm以下
にすることによって、内部摩擦がさらに小さくなり、超
音波アクチュエータの弾性体としてさらに好適となっ
た。金属粉末を射出成形して焼結する方法において、結
晶粒径を小さくする方法としては、金属粉末の粒径を小
さくする方法、射出成形するときの圧力を高めることに
より加工硬化させる方法等とがある。特に、金属粉末を
射出成形して焼結する方法では、金属粉末の径を数μm
というように、従来の粉末冶金より粉末の径を極めて小
さくできるために、結晶粒径を小さくすることに対して
は有効である。この実施例では、弾性体について説明し
たが、移動子母材についても同様な効果が得られ、弾性
体と移動子母材の双方に使用すれば、より優れた効果が
得られる。
【0034】(第3実施例)図5は、本発明による超音
波アクチュエータの第3実施例を示す図である。第1、
2実施例では、本発明の弾性体を円環状の進行波型超音
波アクチュエータに使用した場合を示したが、本発明
は、自走式のリニア型超音波アクチュエータの振動子等
にも適用できる。このような超音波アクチュエータは、
特開平1−315282等に駆動原理が開示されている
ので、ここでは概略的に述べる。
【0035】移動子102は、弾性体121と圧電体1
22とから構成されている。弾性体121は、端面が駆
動面121dとなる互いに平行な駆動部121aと、こ
の駆動部121aを連結する連結部121bとから成
り、駆動部121aと連結部121bとの結合部が面取
りされた面取り部121cを有している。圧電体122
は、弾性体121の面取り部121cに設けられ、駆動
信号により励振され、圧電体122の励振により、駆動
面121dに振動波を発生する。固定子101は、弾性
体121の駆動面121dに加圧接触されているレ−ル
材等から構成されている。このような構成によると、圧
電体122の駆動信号により弾性体121の駆動面12
1dに振動波が生じ、固定子101からの反力により移
動子102が駆動される。
【0036】弾性体121は、金属粉末を射出成形して
焼結した相対密度95%以上の材料により構成されてい
る。従って、振動減衰が小さくなり、エネルギ−の損出
を少なくすることができる。また、1工程で成形できる
ので、切削工程が省略され、製作費を低減することがで
きる。
【0037】(第4実施例)図6は、本発明による超音
波アクチュエータの第4実施例を示す断面図、図7は、
図6の超音波アクチュエータの固定子を示した斜視図で
ある。固定子1は、駆動信号により励振され、電気エネ
ルギーを機械エネルギーに変換する電気−機械変換素子
である圧電体4、5と、それらの圧電体4、5が接合さ
れており、その圧電体4、5の励振により1次の縦振動
と1次のねじり振動が生じることによって、駆動面Dに
駆動力が発生する弾性体2、3とから構成されている。
【0038】弾性体2、3は、厚肉の円筒を縦に2つに
分割した形状の部材であり、その分割面に圧電体4、5
が挟み込まれいる。圧電体4、5は、合計4層から成っ
ており、2層の圧電体4は、圧電定数d15が大きいねじ
り振動用の圧電体であり、残り2層の圧電体5は、圧電
定数d31が大きい縦振動用の圧電体である。
【0039】弾性体2、3は、高さ方向のほぼ中心に、
圧電体4、5の積層方向と平行に貫通孔2b、3bが形
成されている(図7参照)。この弾性体2、3は、その
孔2b、3bを用いてボルト13とナット14で固定さ
れることにより、圧電体4、5を挟み込むと共に、軸方
向の中心に挿入された固定軸7に固定される。
【0040】移動子6は、移動子母材6−1と、固定子
1の駆動面Dに接触する摺動材6−2とから構成されて
おり、内周部に嵌合されたベアリング等の位置決め部材
8により、固定軸7に対して位置決めされている。移動
子母材6−1には、駆動力取出部となる歯車6aが設け
られており、その出力は、被駆動体と同軸の歯車20に
伝達される。この移動子母材6−1は、アルミニウムや
鉄系合金等の金属粉末を射出成形して焼結させた(メタ
ルインジェクションモ−ルディング)合金によって作製
されている。また、移動子6は、皿バネやスプリングバ
ネや板バネ等の加圧部材9により、固定子1の駆動面D
に加圧接触させられている。
【0041】固定軸7は、弾性体2、3の軸方向に形成
された中空部2a、3aに貫通しており、弾性体2、3
等からなる固定子1を固定すると同時に、移動子6を半
径方向に位置決めするためのものである。この固定軸7
は、先端にネジ部が形成されており、加圧部材9の加圧
量を調整するナットなどの調整部材10が設けられてい
る。
【0042】次に、本実施例の超音波アクチュエータに
よって、弾性体のねじり振動と縦振動とを組み合わせ
て、駆動面に楕円運動を生ずる駆動原理を説明する。図
8は、第4実施例による超音波アクチュエータの固定子
を底面方向からと側面方向からと見た図である。圧電体
4、5は、2つの弾性体2、3に挟まれた2群から成っ
ており、圧電体4、5の各群は、それぞれ4層から成っ
ていて、2層は圧電定数d15が大きい圧電体4から、残
り2層が圧電定数d31が大きい圧電体5から構成されて
いる。
【0043】前者の圧電体4は、圧電定数d15が大き
く、弾性体2、3の長手方向に対してせん断変位を発生
させる。圧電体4は、図8の底面から見た図(A)にお
いて、円周方向に対してせん断変形が手前方向Xとその
反対方向Yとが交互になるように配置されている。この
ときに、手前側に最大にせん断変形する位置が点対称に
なり、その反対側に最大にせん断変形する位置が点対称
になると好適である。圧電体4は、このように配置され
ることによって、それぞれせん断変形したときに、固定
子1にねじり変位が発生し、底面がねじれる。
【0044】後者の圧電体5は、圧電定数d31が大き
く、弾性体2、3の長手方向に対して伸縮変位を発生さ
せる。4つの縦振動用の圧電体5は、全てある電位が印
加された場合に、同じ方向に変位が生じるように配置さ
れている。
【0045】以上のように、圧電定数d15が大きいねじ
り振動用の圧電体4と、圧電定数d31が大きい縦振動用
の圧電体5とを配置した場合に、ねじり振動用の圧電体
4に正弦波電圧を入力することによって、それに応じ
て、固定子1にねじり運動が発生し、縦振動用の圧電体
5に正弦波電圧を入力することによって、それに応じ
て、固定子1に伸縮運動が発生する。
【0046】図9は、第4実施例による超音波アクチュ
エータの固定子に発生する縦振動とねじり振動を組み合
わせて、駆動面に楕円運動を生じさせることを説明する
図である。図9に示すように、ねじり運動の周期と、伸
縮運動の周期の位相差を(1/4)λずらすと、駆動面
D上の点Aには楕円運動が生じる。
【0047】t=(6/4)πの時点では、ねじり運動
Tの変位は、左側に最大であり、縦振動Tの変位はゼロ
である。この状態では、移動子6は、加圧部材9によっ
て固定子1の駆動面Dに接触している。この状態から、
t=(7/4)π〜0〜(2/4)πまでは、ねじり運
動Tは、左側の最大から右側の最大まで変位し、縦振動
Tは、ゼロから上側の最大に変位し再びゼロに戻る。従
って、固定子1の駆動面Dの点Aは、移動子6を押しな
がら、右方向に回転し、移動子6は駆動される。次に、
t=(2/4)π〜(6/4)πまでは、ねじり運動T
は、右側の最大から左側の最大まで変位し、縦振動T
は、ゼロから下側の最大に変位し再びゼロに戻る。従っ
て、固定子1の駆動面Dの点Aは、移動子6から離れな
がら、左方向に回転するので、移動子6は駆動されな
い。このときに、移動子6は、加圧部材9により加圧さ
れているが、加圧部の固有振動数を駆動信号の周波数よ
り小さくすると、固定子1の縮みに追従できない。この
ねじり振動及び縦振動を発生させる駆動信号の周波数
を、ねじり振動及び縦振動の共振周波数にほぼ一致させ
たると、共振するために、楕円運動は拡大する。ねじり
振動の共振周波数は、弾性体の材質や寸法等によって決
まる。一方、縦振動の共振周波数は、弾性体と移動子の
材質や寸法等によって決まる。従って、移動子の材質や
寸法等を変えて行くことによって、縦振動の共振周波数
のみを変えて行くことが可能である。これにより、ねじ
れ振動の共振周波数と縦振動の共振周波数とをほぼ一致
させることができる。
【0048】以上のような構成によると、駆動信号が入
力された固定子1は、圧電体4、5の励振により1次の
縦振動と1次のねじり振動が生じ、その振動を合成した
楕円運動が駆動面Dに生じる。移動子6は、駆動面Dに
加圧されており、摩擦的に固定子1から駆動力を伝達さ
れ、駆動される。その駆動は、移動子6に設けられた出
力取り出し用歯車6aから被駆動体と同軸の歯車20に
伝達され、その被駆動体が駆動される。
【0049】移動子母材6−1は、アルミニウムや鉄系
合金等の金属粉末を射出成形して焼結させた合金によっ
て作製されているので、第1実施例などと同様に、耐湿
性、耐温性、耐久性、歩留まり向上、振動減衰を防止す
るという効果が生じる。特に、第4実施例のように、縦
振動とねじり振動との異形モ−ド縮退型振動子を用いた
超音波アクチュエータに適用した場合では、減衰性が小
さい本実施例のメタルインジェクションモ−ルディング
合金を用いることにより、縦振動の減衰が防止でき、性
能が向上する。さらに、相対密度約95%以上となり、
粉末合金で製作した場合と比較して、相対密度を大きく
することができ、駆動性能を向上させることができる。
【0050】(他の実施例)以上説明した実施例に限定
されることなく、種々の変形や変更が可能であって、そ
れらも本発明に含まれる。例えば、移動子の減衰性によ
り性能が変わってくるものならば、弾性体及び/又は移
動子母材を金属粉末を射出成形して焼結させた(メタル
インジェクションモ−ルディング)合金により作製すれ
ば、耐湿性、耐温性、耐久性、歩留まり向上、振動減衰
を防止することができる。また、圧電体の振動を振動子
で励振して、その弾性体の振動により駆動力を発生させ
る超音波アクチュエータであれば、相対密度95%以上
にし、及び/又は平均結晶粒径20μm以下の材料を弾
性体に用いることによって、内部摩擦が小さくなる。従
って、他のリニア型超音波アクチュエータや定在波型超
音波アクチュエータであっても、超音波アクチュエータ
の弾性体又は移動子母材として好適となるという点にお
いては、本発明の効果が生じる。
【0051】また、本発明の実施例では、電気的エネル
ギ−を機械的なエネルギ−に変換する電気−機械変換素
子に圧電素子を用いたが、電歪素子や磁歪素子を用いて
もよい。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
移動子又は弾性体を金属粉末を射出成形した焼結合金に
より作製したので、超音波アクチュエータを長時間高湿
の場所や高温の場所に放置した場合でも、変形してしま
うことが低減される。また、移動子は、微細形状を有す
る駆動力取出部の機械的な強度を大きくすることがで
き、疲労破壊も防止することができる。さらに、移動子
又は弾性体は、射出成形時の加圧により、型全体に金属
粉末が行き渡るので、部品内部に発生する空孔や欠損部
をなくすことができ、歩留まりを向上させることができ
る。さらにまた、移動子又は弾性体は、金属粉末を射出
成形して焼結させた焼結合金であるので、振動の減衰を
防止することができ、駆動性能を向上させることができ
る。特に、溶製材に対しての相対密度を95%以上にす
ることによって、振動の減衰をより防止することがで
き、性能を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波アクチュエータの第1実施
例を説明する概略図である。
【図2】相対密度と損失係数の関係を示した図である。
【図3】第1実施例にかかる超音波アクチュエータ(金
属粉末を射出成形して焼結させた弾性体を用いたもの)
の共振抵抗及び駆動性能について測定した結果を示す図
である。
【図4】第2実施例に係る超音波アクチュエータの実験
の結果を示した図である。
【図5】本発明による超音波アクチュエータの第3実施
例を示す図である。
【図6】本発明による超音波アクチュエータの第4実施
例を示す断面図である。
【図7】図6の超音波アクチュエータの固定子を示した
斜視図である。
【図8】第4実施例による超音波アクチュエータの固定
子を底面方向からと側面方向からと見た図である。
【図9】第4実施例による超音波アクチュエータの固定
子に発生する縦振動とねじり振動を組み合わせて、駆動
面に楕円運動を生じさせることを説明する図である。
【符号の説明】
201 固定子 211 弾性体 212 圧電体 213 フランジ 202 移動子 221 移動子母材 222 摺動材 223 歯車 203 固定子支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−190270(JP,A) 特開 平3−293978(JP,A) 特開 平5−244784(JP,A) 特開 平5−331501(JP,A) 特許3252539(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 2/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動信号により励振される電気−機械変
    換素子と, 前記電気−機械変換素子が接合され、前記励振により駆
    動面に超音波振動を生ずる弾性体と, 前記弾性体の駆動面に加圧接触し、その駆動面の駆動力
    により駆動される移動子と, を含む超音波アクチュエータにおいて、 前記移動子の母材は、鉄を含む金属粉末を射出成形およ
    焼結し、溶性材に対しての相対密度95%以上、内部
    摩擦(Q -1 )0.008以下とした焼結合金により作製
    されていることを特徴とする超音波アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の超音波アクチュエータ
    において、 前記移動子の母材は、その結晶粒径を20μm以下とし
    たことを特徴とする超音波アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項1〜請求項のいずれか1項に記
    載の超音波アクチュエータにおいて、 前記移動子は、微細形状の駆動力伝達部が形成されてい
    ることを特徴とする超音波アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項のいずれか1項に記
    載の超音波アクチュエータにおいて、 前記弾性体は、金属粉末を射出成形して焼結した焼結合
    金により作製されていることを特徴とする超音波アクチ
    ュエータ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項のいずれか1項に記
    載の超音波アクチュエータにおいて、 前記弾性体は、その結晶粒径を20μm以下としたこと
    を特徴とする超音波アクチュエータ。
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