JP3484382B2 - 特定のアルカリ分布で行うパルプ蒸解方法 - Google Patents

特定のアルカリ分布で行うパルプ蒸解方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般にセルロース
繊維材を連続的にパルプ化する方法に関し、特に、広葉
樹チップを含むセルロースのクラフトパルプ製造の収率
を向上させる方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】「化学的パルプ製造
法」という術語は、細砕セルロース繊維材、例えば、針
葉樹または広葉樹木材を、その中の非セルロースとセル
ロース成分の一部分とを溶解する化学薬剤水溶液で処理
して、セルロース紙製品を製造できるセルロース繊維の
スラリーを製造する方法に適用して用いられる。20世
紀後半において商業的に重要な化学パルプ製造法は、ア
ルカリ法である。アルカリ法には二法あって、一つは
「クラフト」法、他は「ソーダ」法である。クラフト法
では、木材を処理する活性化学薬品は、水酸化ナトリウ
ム(NaOH)と硫化ナトリウム(Na 2S)である。
水酸化物と硫化物の水溶液は、「クラフト白液」と称さ
れる。ソーダ法では、硫化ナトリウムは極めて少ない
か、あるいは全く存在しない。
【0003】この処理は、100℃以上の温度で行わ
れ、この方法は、普通、大気圧を超える圧力、好ましく
は、5〜10バールの下で行われる。上記水酸化物は強
塩基であるので、プロセスは、塩基度の高い状態、つま
りアルカリ性、例えば、普通12より大きいpHで行わ
れる。現在の化学が理解しているところでは、水酸化物
がセルロース繊維を結合している木材の非セルロース成
分、すなわちリグニンを溶解し、一方、硫化物は水酸化
物によるセルロースの分解を保護する役目を果たす。
【0004】クラフトおよびソーダ法の反応速度は、反
応の温度と蒸解化学薬剤の濃度とに依存する。温度が高
ければ高いほど、また、化学薬剤の濃度が高ければ高い
ほど、水酸化ナトリウム(単にアルカリとしても知られ
る薬剤)と木材との反応は急速に進行する。蒸解薬剤の
濃度は、普通、「活性アルカリ」(AA)または「有効
アルカリ」(EA)として表される。この明細書では、
「NaOHに換算したときの有効アルカリ」という術語
を蒸解薬剤の濃度を表すのに特に用いるものとする。E
Aは、普通、以下に示されるように、NaOHの濃度に
Na2Sの1/2の濃度をプラスして得られる和で与え
られ、1リットル当たりの等量NaOHのグラム数(g
/L)で表される。
【0005】EA=[NaOH]+1/2[Na2S]
g/L NaOH クラフト法を用いる初期のパルプ製造法では、回分式に
しろ連続式にしろ、処理の最初のところで蒸解薬剤の実
質的全量が導入されるものであった。処理が進行するに
つれて蒸解薬剤がパルプ化反応で消費されるので、アル
カリ濃度は減少するものであった。例えば、普通「従来
的クラフト蒸解」と称されるものでは、セルロースが曝
露される初期EA濃度は、40g/L以上にもなり、次
いで、この初期EA濃度は、処理が行われて次第に減衰
し、蒸解が終わった段階の最終EA濃度は、5g/L以
下にも低下する。
【0006】1970年代の終りから1980年代の初
めにかけてスウェーデンのSTFI研究所の先駆的業績
によってアルカリ推移の「平準化」という技術が導入さ
れた。初期EA濃度を減少し、最終EA濃度を増加させ
ることによって便益が得られるという技術である。ヨハ
ンソン(Johanson)、ミエベルグ(Mjoeberg)、サンドスト
ローム(Sandstrom)およびテダー(Teder) (Svensk Papp
erstidning,87(10):30(1984))は、この
方法を論じ、向流処理を用いる連続蒸解缶では、EA濃
度は、蒸解の初期での10〜15g/Lと終期での5〜
10g/Lの間にあると計算した。EA濃度は、白液を
導入し、「クラフト黒液」として知られる廃蒸解薬剤を
抽出することによって一旦上昇し、次に低下する。「白
液分割添加」と向流処理とを特徴とするこの方法は、
「修正クラフト蒸解」として知られ、1980年代パル
プ工業界に広く採用された。例えば、この方法および関
連機器は、米国ニューヨーク州グレンス フォールス
(Glens Falls)のアールストローム マシーナリー社
(Ahmstrom Machinery Inc.)によって商標MCCの下
に販売された。後に、この向流方法は、ハイ・ヒート洗
浄ゾーンとして知られる向流洗浄ゾーンへの白液の添加
にも拡張され、商標EMCCの下にアールストローム
マシーナリー社から市販された方法となった。
【0007】1990年代マルコッキア(Marcoccia)
らが、ロー・ソリッド(Lo-Solids)(登録商標)蒸解
法とその関連機器を導入したが、これはクラフト蒸解法
の次の劇的な改良法となった。米国特許第5,489,
363号、第5,536,366号、第5,547,0
12号、第5,575,890号、第5,620,56
2号、第5,662,775号の各明細書を参照された
い。マルコッキアらは、溶解性反応生成物、特に溶解リ
グニン、溶解セルロース、および溶解ヘミセルロースの
濃度が悪影響を及ぼすのは、ヨハンソンらが提唱したよ
うなパルプ製造プロセスの後の段階、つまり「残留リグ
ニン除去」段階にばかりでなく、脱リグニンの主要段
階、つまり「バルク脱リグニン」として知られる段階に
も、これらの溶解性反応生成物が悪影響を及ぼすことを
認識した。このことから、早期に、つまりパルプ製造プ
ロセスの最初の段階で廃蒸解液を選択的に抜き出し、蒸
解液と希釈液、例えば、溶解物を低濃度しか含まない洗
浄機濾過液とを補給することによって、強くてきれいな
セルロースパルプを製造することが可能になった。
【0008】1990年8月7日付けの米国特許出願第
08/911,366号明細書には、より低温の蒸解温
度でクラフト蒸解を行うセルロース材の処理の利点が開
示されている。この方法は、上に引用の特許に記載のロ
ー・ソリッド(Lo-Solids)(登録商標)蒸解法および
その機器と関連して一緒に用いると、特に効果的であ
る。
【0009】木材を処理してセルロースパルプを製造す
る全ての化学処理において、セルロースと非セルロース
成分とは木材の中で分離して存在しているのではなく互
いに混ざり合って存在しているのが普通である。望まし
いセルロースをある程度溶解させることなく、望ましく
ない非セルロース成分だけを溶解することは、困難であ
る。その結果、木材の化学処理では、木材には最初望ま
しいセルロース(とヘミセルロース)が60〜70%存
在しているのが普通であるが、最終生成物には、使用可
能のセルロースが約50%しか保留されないのが普通で
ある。(パルプ製造法からの製品には木材の他の許容可
能の非セルロース成分、例えば、ある程度の残留リグニ
ンも含んでいることは、理解されねばならない)。望ま
しいセルロースも、ある程度は、望ましくない非セルロ
ースと同時に溶解してしまうのである。プロセスに導入
された木材全量に対する、残されたセルロースの量のこ
の比率(重量基準)は、プロセスの「収率」と称され
る。典型的な1000トン/日パルプ工場に対する収率
1%の上昇は、パルプが約500ドル/トンで売れるこ
とを考えれば、年間で100万ドル以上の収入増加を意
味することになる。従って、収率が1ポイント上がると
いうことは、パルプ工場の収益性に顕著な影響を与える
ことになる。
【0010】「クラフト脱リグニンにおける最適アルカ
リ推移によるパルプ収率の改良」という題名の論文(1
998年2月17〜18日開催のTAPPIシンポジウ
ム「パルプ収率の壁を破る」で発表)にて、本発明者ら
とその指導の下の数名の著者は、樺の木のチップのクラ
フト蒸解を低濃度かつ均一のアルカリ分布の下に低い温
度の分布で行うと、本発明に従ってセルロースとヘミセ
ルロースの収率が改善されることを示した。(特に、ヘ
ミセルロース「キシラン」の収率が向上する)。この刊
行物は、実験室での実験について議論し、好ましいアル
カリ並びに温度分布がどのように商業パルプ工場に効果
的であるかでなく、むしろ本発明の理論的基礎の面を示
すものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、好ましい低濃
度かつ均一のアルカリ処理を行う方法からなる。本発明
の態様の一つは、細砕セルロース繊維材を処理してセル
ロースパルプを製造する方法を提供し、以下の諸ステッ
プを包含する。すなわち、 (a)第一有効アルカリ濃度を有する第一アルカリ液で
温度は120℃以下で細砕セルロース繊維材を処理する
ステップ。 (b)第二有効アルカリ濃度を有する第二アルカリ液で
温度は120℃以上の温度に加熱して細砕セルロース繊
維材を処理するステップ。 (c)第三有効アルカリ濃度を有する第三アルカリ液で
140℃以上の温度で細砕セルロース繊維材を処理し、
脱リグニンするステップ。 (d)細砕セルロース繊維材を冷却液で120℃以下の
温度に冷却するステップ。
【0012】以上の場合、第一、第二、および第三の初
期有効アルカリ濃度はNaOHとして全て30g/L未
満、普通は25g/L未満、好ましくは20g/L未満
であり、ステップ(b)と(c)のEA濃度は25g/
L未満、好ましくは20g/L未満である。冷却液は、
普通はEA濃度0〜5g/Lで、温度が次第に下がるに
つれてEAは次第に5g/Lより下のレベルまで低下す
る。ちなみに冷却液の温度は普通は110℃以下、例え
ば、90℃以下である。
【0013】本発明の方法では、さらに(e)のステッ
プを含んでもよく、これは上記のステップ(c)と
(d)との間に第四アルカリ液で140℃以上の温度で
細砕セルロース繊維材を処理するステップである。ちな
みに第四アルカリ液は、第四有効アルカリ濃度を有す
る。この第四初期EA濃度は、NaOHとして30g/
L未満、例えば、25g/L未満または20g/L未満
(例えば、約15g/L)でよいが、本発明に従えば
この第四EA濃度は、このように低いEA濃度に限定す
る必要はない。第四初期EA濃度は、30g/Lより高
くても差し支えない。本発明の方法では、さらに(f)
のステップを含んでもよく、これは上記の(e)と
(d)との間に第五アルカリ液で温度は140℃を超え
て細砕セルロース繊維材を処理するステップである。ち
なみに、第五アルカリ液は、第五初期有効アルカリ濃度
を有する。この第五初期EA濃度は、NaOHとして3
0g/L未満、例えば、25g/L未満または20g/
L未満でよいが、本発明に従えばこの第五EA濃度
は、このように低いEA濃度に限定する必要はない。第
五初期EA濃度は、30g/Lより高くても差し支えな
い。
【0014】所望のEA濃度は、細砕セルロース繊維材
にアルカリ液を接触させる前にアルカリ液に希釈液を導
入することによって、特に、少なくともステップ(b)
の第二アルカリ液に希釈液を導入することによって達成
するのが好ましい。希釈液は、例えば、洗浄機濾過液、
蒸発器または熱交換器凝縮水、廃蒸解液、新しい水、ま
たはこれらの混合液が好ましい。当業者には理解される
が、蒸解薬剤へ希釈液を導入するのは、蒸解薬剤の調製
中、貯蔵中、または移送中に行うことが効果的である。
例えば、細砕セルロース繊維材へ導入される蒸解薬剤の
アルカリ濃度を低減するのが再苛性化プロセスの間に行
われるのも、または液調製プロセスの別のフェーズで行
われるのも本発明の範囲内である。
【0015】本発明の方法を用いると、従来の方法(例
えば、ステップ(a)において初期EA濃度が30g/
L超、温度が120℃以上であり、ステップ(b)また
は(c)において初期EA濃度が25g/L超である)
に較べて、収率が向上したセルロースパルプが得られる
ので好ましい。例えば、少なくとも1%、好ましくは少
なくとも2%向上した収率のパルプを製造することがで
きる。このことは、本方法を広葉樹チップ、例えば、樺
の木のチップの処理に適用する場合に特に当てはまる。
【0016】上に記載の方法では、第二、第四、および
第五アルカリ液は、アルカリ濃度が低いか、実質的にゼ
ロの加熱した希釈液を蒸解液に添加することによって得
ることができる。ステップ(a)を行うに際しては、E
Aが次第に減少するが、温度を実質的に同じようにする
のが好ましく、ステップ(a)〜(d)またはステップ
(a)〜(f)を連続的に、実際に同じ直立の槽で行う
のが好ましい。もっとも、これらのステップを複数の槽
で行うことも差し支えない。本明細書は、本発明を連続
処理に適用することを目的に特に議論を進めているけれ
ども、本発明が非連続式、つまり「回分式」プロセスに
も適用できることは、当業者には理解できると思われ
る。
【0017】本発明の別の態様では、処理の間にチップ
スラリーが主として下向きに流れる連続蒸解缶を用い
て、広葉樹チップを連続的に処理する方法が提供され
る。この方法は、次の諸ステップを含む。すなわち、 (a)第一段で第一アルカリ液を用いて広葉樹チップス
ラリーを浸透し、初期EAは第一段の始めでは約25g
/L以下、温度は約90〜110℃の範囲で、第一段の
間にEAが少なくとも10g/Lだけ次第に減少し、第
一段の終わりでは約10g/L以下になるようにするス
テップ。 (b)前記広葉樹チップスラリーが前記第一段に実質的
に連続的に繋がっている第二段を連続的に移動するにつ
れて、前記スラリーを約140〜180℃の蒸解温度ま
で次第に加熱し、スラリーのEAが第二段の始めで約1
5g/L未満でスタートし、第二段中で少なくとも約5
g/L増加するが、約25g/Lを超えることはないよ
うにするステップ。
【0018】(c)第三段で第三アルカリ液を用いて、
実質的に一定に保たれ140〜180℃の間にある温度
で広葉樹チップスラリーを蒸解し、初期EAは第三段の
始めでは約25g/L未満で、少なくとも約5g/Lだ
け次第に減少し、その結果第三段の終わりのEAが20
g/L未満になるようにするステップ。 (e)選択的に、第四アルカリ液を用い、第三段とほぼ
同じで、実質的に一定の温度で第四段で前記広葉樹チッ
プを少なくとも第二蒸解にかけるステップ。 (d)最後の段で、最後のアルカリ液を用いて、前記広
葉樹チップスラリーを次第に約110℃以下の温度に次
第に冷却し、最終段の始めから終わりまででスラリーの
EAを少なくとも約5g/L減少させ、スラリーの最終
EAが約5g/L未満となるようにするステップ。
【0019】以上の場合、ステップ(a)〜(d)を行
うに際して、温度は約120℃以上で初期EAは30g
/L超でステップ(a)を行い、初期EA約25g/L
超でステップ(b)または(c)を行うのに較べて、パ
ルプ収率を少なくとも2%向上させることを特徴とす
る。
【0020】上記の方法では、ステップ(e)を行うに
際して、EAは第四段の始めから終わりまでに少なくと
も5g/Lは増加するようにする。また,ステップ
(a)を行うに際して、少なくとも部分的には、第一段
と第二段との間の大略界面でスラリーから液を抽出する
ようにでき、その際、ステップ(b)を行うに際して、
少なくとも部分的には、第二段と第三段との間の大略界
面の所に加熱された蒸解液と希釈液とを合わせた液を添
加し、加熱された液がチップスラリーと実質的に向流に
流れるようにでき、ステップ(c)を行うに際して、少
なくとも部分的には、第三段と第四段との間の大略界面
で液を抽出するようにでき、それからステップ(e)を
行うに際して、少なくとも部分的には、第四段の大略終
わりの所の抽出段の下に加熱された蒸解液と希釈液とを
合わせた液を添加し、加熱された液が広葉樹チップスラ
リーと実質的に向流に流れるようにでき、ステップ
(d)を行うに際して、少なくとも部分的には、約11
0℃以下の温度で蒸解缶システムからパルプが排出され
る箇所の近くに希釈液を導入するようにできることを特
徴とする。
【0021】 本発明の方法を実施するための連続蒸解
缶システムを説明する。このシステムは、次の諸構成部
品を含む。すなわち、第一、第二、第三、第四、および
最終段を連続して備え、実質的に直立の蒸解槽であっ
て、各段が前の段と実質的に連続して繋がっており、そ
の間に界面を有している蒸解槽。第一段の頂部近くの入
口。第一段と第二段との間の大略界面の箇所の第一液抽
出装置であって、抽出スクリーンを備えた第一液抽出装
置。第二段と第三段との間の大略界面の箇所にある第一
抜き出し兼再循環システムであって、第一再循環スクリ
ーン、ポンプ、ヒーター、少なくとも一本の蒸解液/希
釈液添加導管、第一再循環スクリーンの大略同レベルの
箇所にある再循環パイプとを備えた第一抜き出し兼再循
環システム。第三段と第四段との間の大略界面の箇所に
ある第二抽出スクリーン。第四段と次の連続段との間の
大略界面の箇所にある第二抜き出し兼再循環システムで
あって、第二再循環スクリーン、ポンプ、ヒーター、少
なくとも一本の蒸解液/希釈液添加導管、第二再循環ス
クリーンの大略同レベルの箇所にある第二再循環パイプ
とを備えた第二抜き出し兼再循環システム。蒸解槽の底
部近く最終段の底部にある冷却液導入装置。蒸解槽の底
部近くにある、最終段からパルプを排出する排出口。
【0022】前記蒸解缶システムでは、第二再循環スク
リーンは、第四段と最終段、つまり第五段との間の実質
的に界面の箇所に(上のシステムに関して記載の関連再
循環システムと一緒に)第四段と第五段との間の実質的
に界面の箇所に設けることができる。前記第一段と最終
段までの各段を全て単一の直立槽(すなわち、本質的に
単槽からなる少なくとも槽1基)で行うことができる。
第一段と最終段までの各段を一つ以上の槽で行うことも
できる。例えば、第一段または第一段と第二段とを、第
一槽、例えば、前処理または浸透槽で行い、残りの段を
第二槽、つまり蒸解缶で行うことができる。
【0023】 本発明の主な目的は、広葉樹チップを含
むセルロースのクラフトパルプ製造の収率を向上させる
法を提供することである。これと他の目的は、本発明
の詳細な説明と前記の特許請求の範囲から明白になろ
う。
【0024】
【発明の実施の態様】図1は、本発明の方法の概略説明
図10である。本方法は、細砕セルロース繊維材、例え
ば、広葉樹チップ11のスラリーの一連の処理から構成
される。第一段12でスラリーは、温度120℃以下で
第一アルカリ液18で処理される。液18の初期アルカ
リ度は、有効アルカリ(EA)で表示され、NaOHと
して普通は30g/L未満、例えば、25g/L未満、
好ましくは15〜25g/L(またはこの広い範囲内
の、より狭い範囲、例えば、18〜22g/L)であ
る。この低いEAは、低EA含有希釈液を第一段12へ
導入すること、例えば、18の箇所に導入されたアルカ
リ液に希釈液を添加すること、あるいは導管18aで直
接スラリーへ希釈液を添加することによって達成するの
が好ましい。希釈液としては、洗浄機濾過液、蒸発器ま
たは熱交換器凝縮水、弱い黒液、新しい水、またはこれ
らの混合液を用いることができる。蒸解液の希釈は、蒸
解薬剤の調製中、貯蔵中、または移送中にも行うことが
可能である。第一段12の温度は、普通、80〜120
℃、好ましくは約90〜110℃である。
【0025】第一段12で処理された後、スラリーは第
二段13へ流れる。第二段13では、スラリーは、第二
アルカリ液19で処理され、一方では120℃より高い
温度へ加熱される。同じく、液19のEA濃度は、普
通、NaOHとして30g/L未満、例えば、25g/
L未満、好ましくは15〜25g/L(またはこの広い
範囲内の、より狭い範囲、例えば、18〜22g/L)
である。同様に、この低いEAは、低EA含有希釈液を
第二段13へ導入すること、例えば、19の箇所に導入
されたアルカリ液に希釈液を添加すること、あるいは導
管19aで直接スラリーへ希釈液を添加することによっ
て達成するのが好ましい。同様に、希釈液としては、洗
浄機濾過液、蒸発器または熱交換器凝縮水、弱い黒液、
新しい水、またはこれらの混合液を用いることができ
る。第二段13の間に起こる加熱は、普通、加熱された
液をスラリー内部に循環することによって達成される。
スラリーの温度は、普通、典型的なクラフトあるいはソ
ーダ蒸解温度に近い温度、例えば、少なくとも140
℃、普通は140〜180℃、好ましくは約140〜1
60℃の温度へ上げられる。
【0026】処理兼加熱の第二段13の後、スラリーは
次いで第三アルカリ液20で処理され、一方ではスラリ
ーの温度は140℃より高い温度、同様に、140〜1
80℃、好ましくは140〜160℃の温度に維持され
る。処理液20の初期EA濃度は、同じように比較的低
濃度、NaOHとして30g/L未満、例えば、25g
/L未満、好ましくは15〜25g/L(またはこの広
い範囲内の、より狭い範囲、例えば、18〜22g/
L)に維持される。この低いEAは、低EA含有希釈液
を段14へ導入すること、例えば、20の箇所に導入さ
れたアルカリ液に希釈液(例えば、以下に記載のタイ
プ)を添加すること、あるいは導管20aで直接スラリ
ーへ希釈液を添加することによって達成するのが好まし
い。段14は、普通、「バルク脱リグニン」段階と称さ
れるが、この段で主要な脱リグニン反応が起こる。
【0027】段14の後に、より一層の脱リグニンが行
われる段15がある。段15では、スラリーは、アルカ
リ液21で処理される。前の段の時とは異なって、段1
5に導入される液21は、広い範囲の濃度のEAを含ん
でいて差し支えない。例えば、段15で低EA濃度、例
えば、NaOHとして30g/L未満、または25g/
L未満、好ましくは15〜25g/Lの初期EA濃度を
用いると、ヘミセルロースの溶解が減少し、ヘミセルロ
ース含有量が高いパルプが製造される結果になる。他
方、段15でEA濃度が高いと、ヘミセルロースの溶解
が増し、得られたパルプにあるヘミセルロースが減る。
パルプ中のヘミセルロースの含有量は、得られた紙の性
状に影響するので、段15のEAを変えて、得られたパ
ルプの所望の性状を作り出すことができる。段15は、
140℃以上、普通は140〜180℃、好ましくは1
40〜160℃の温度に維持されるのが普通である。段
15としては、段14の後に複数の段を設けることがで
きる。更に、段15を、破線で示したように、無くして
しまうこともでき、段14の直ぐ後に段16が来るよう
にもできる。
【0028】段16は、冷却段である。この段では、処
理は、普通遥かに低いEA濃度を有する冷却液22を、
段14または15から排出されるスラリーに添加するこ
とによって停止される。普通、冷却液22は、スラリー
を120℃以下、普通は100℃以下の温度に冷却する
ために導入される。冷却液22は、普通、洗浄機濾過
液、蒸発器または熱交換器凝縮水、弱い黒液、新しい
水、またはこれらの混合液である。冷却液22のEA濃
度は、普通、NaOHとして10g/L未満、例えば、
0〜5g/L(またはこの広い範囲内の、より狭い範囲
の濃度)である。段16から排出されるスラリー17
は、普通、脱リグニンされたチップ、またはEAを殆ど
含まないかあるいはEA皆無のパルプであり、その温度
は100℃以下である。普通、スラリー17は、更なる
処理、例えば、所望ならばブラウンストック(粗パル
プ)の洗浄を行って薬剤の回収をしたり漂白にかけるな
どのために後段に送られる。
【0029】図1に関して記載の方法は、回分式蒸解缶
や連続式蒸解缶を含む従来の蒸解装置で実施することが
できる。連続処理を行うのに好ましい装置の一つを以下
に記載する。回分式プロセスを適用する場合は、従来の
回分式蒸解缶に共通な液循環を用いて蒸解液の濃度や温
度を変えることによって行える。
【0030】図2は、図1に開示のプロセスを評価する
のに用いられる実験手順の概略図である。段階32、3
3、34、35はそれぞれ図1の段12、13、14、
15に対応する。蒸解は、上記に引用のアクレン(Achr
en)らの論文に記載のように、ある大学の研究室で行わ
れた。具体的に言えば、広葉樹材は新鮮な樺材で、商業
的パルプ工場でチップにしてスクリーン分離した。蒸解
の前にチップ原料をスクリーン分離し、厚さの範囲2〜
6mmのものを研究に用いた。外観で認められる樹皮片
と木節とは、パルプ製造の前に取り除いた。
【0031】蒸解は、四つの段階に別けて行った。浸透
が二段階と、蒸解が二段階であった。三ケースのEAの
分布A)〜B)が、浸透段階と第一蒸解段階に適用され
た。初期EA濃度は、三ケースのEA分布に対して蒸解
段階2で4〜32g/Lの範囲内になるように調整し
た。最終目標のカッパ値が24、18、14になるよう
に各々EA分布を組み合わせて,三つの蒸解物を調製し
た。用いられたEA添加量とEA濃度は以下に総括され
る。
【0032】
【表1】
【0033】上の表で、木に対するEA添加量として示
されるEAは、処理された木材または製造されたパルプ
単位重量当たりの薬剤添加量の重量%である。チップが
図2に示される試験で処理された液のEAが、図3のカ
ーブで示されていることに注目のこと。このケースで
は、木材にEAを10%添加したのは、図3の初期ピー
クで示されているように、NaOHとして約22〜23
g/LのEAに対応する。
【0034】表1の分布で、本発明を最も良く示してい
るのは、分布Cであるけれども、分布A、Bとも従来技
術のものではなく、本発明で達成される結果がうまく示
されていないだけと考えられる。
【0035】実験室の蒸解で使用された白液は、工業グ
レードの薬剤(NaOHとNa2S)から人工的に調製
された。浸透段階1(32)に用いられた白液は、(N
aOHとして)100g/L含み、その硫化度は50%
であった。同じEAだが硫化度が低い(35%)ものを
浸透段階2(33)と蒸解段階2(35)で使用した。
蒸解段階1(34)に用いられた白液は、200g/L
含み、硫化度は35%であった。第一および第二浸透段
階に使用された樺黒液(13g/L)は、商業パルプ工
場からのものであった。蒸解段階2(35)で用いられ
た黒液は蒸解段階1(34)から得られたものであっ
た。スチーム処理並びに浸透二段階と蒸解段階1(3
4)に用いた蒸解缶は、容積25Lの強制循環ユニット
で、木材装入量は400gODチップであった。蒸解段
階2(35)は、油浴中で回転されている1Lオートク
レーブで行われた。パルプ装入量は、蒸解段階1から得
られた100gODであった。
【0036】樺チップを100℃、大気圧で20分間ス
チーム処理した。次に、スチーム処理されたチップを予
熱された黒液と白液との混合液を用いて浸透段階1(3
2)で前処理した。浸透液は、4バールのN2圧力を利
用して蒸解缶の中に強制的に押し込んだ。浸透段階1
(32)は95℃で60分間継続した。液/木チップの
比は4.5/1であった。浸透ステップ1(32)の終
りで廃液を取り出し、分析した。廃液はEAを5〜6g
/L含んでいた。
【0037】浸透段階2(33)では、液は工場からの
黒液と水(:1V/V)に適当な量の白液を加えて所望
のEA添加量とする。浸透液は、4バールのN2圧力を
利用して蒸解缶の中に強制的に押し込んだ。この段階
(33)の浸透時間は、蒸解缶を95℃から蒸解温度1
53℃へ上げる時間を含んで、約40分間であった。蒸
解温度で液のサンプルを採取し、10バールのN2圧力
を利用して蒸解缶の中に白液を強制的に押し込んで、蒸
解段階1(34)を始めた。液/木チップの比は、A)
とC)分布については4.6/1で、B)分布について
は4.5/1であった。次に、チップは、A)とB)分
布については60分間、C)分布については80分間、
温度はすべて153℃で脱リグニンを行った。蒸解段階
1(34)の後、液を取り出し、分析し、後段の蒸解段
階2(35)に用いるために保存した。パルプを最小限
の水を用いてウヱンベルグ(Wennberg)打解機で解繊維
し、遠心分離にかけ、均質化した。
【0038】浸透段階2(33)の後、廃液は、A)と
B)分布双方からはEA(NaOHとして)約10g/
L、C)分布からは約4g/Lを含んでいた。蒸解段階
1(34)の後、A)分布からの廃液は約8g/Lを含
み、B)分布からは約4g/Lを含み、C)分布からは
約2g/Lを含んでいた。蒸解段階1(34)の後のカ
ッパ価は、分布A)に対しては44.9、分布B)に対
しては57.0、分布C)に対しては55.3であっ
た。
【0039】分布A)、B)、C)に従って蒸解したパ
ルプを100g(OD)の部分に分割し、脱リグニン反
応を1Lオートクレーブ中で蒸解段階2(35)で行っ
た。蒸解液は、それぞれの蒸解段階1(34)から得ら
れた黒液0.6Lと、水と白液とを種々異なる量加えて
調製し、所望のEA濃度となるようにした。蒸解段階2
(35)のコンシステンシーは10%で、蒸解温度は1
53℃か165℃で、蒸解時間は所望のカッパ価レベル
に達するように変化させた。蒸解が終わると、オートク
レーブを水道水中で20分間冷却した。廃液を取り出
し、分析した。パルプを水で濯ぎ、遠心分離して、水2
Lと一緒にプラスチック瓶に入れた。16時間浸した
後、2L打解機で解繊維し、洗浄し、サマービルスクリ
ーンでスクリーン分離し、遠心分離し、均質化し、秤量
した。サマービルスクリーンから出た滓は105℃で乾
燥し、秤量した。
【0040】パルプの酸加水分解(100℃、4時間、
pH3)の後、ヘキセンウロン酸(HexA)含有量分
析を行った。加水分解の前と後のカッパ価を測定し、H
exA含有量は、1カッパ単位がパルプ中の10meq
/kgHexAに相当することを考慮して計算された。
【0041】 C)分布からのパルプサンプルを選び、
温水浴に浸したプラスチック袋中でECF漂白シーケン
ス(D0−E−D)によって漂白した。漂白中パルプを
手でよくかき混ぜた。パルプのコンシステンシーは、全
ての段階で10%であった。保持時間は、それぞれ60
分、90分、180分であった。ECF漂白シーケンス
(D−E−D)に用いられた条件は以下の通り。
【0042】 段階 条件 D0 保持時間=60分、温度=60℃ ClO2用量(活性Cl)=3.6% 終端pH=2.2〜2.3 E 保持時間=90分、温度=60℃ NaOH用量=1〜2.5% 終端pH=10.9〜11.7 D 保持時間=180分、温度=80℃ ClO2用量(活性Cl)=3% 終端pH=2.4〜2.8
【0043】使用された分析法は以下に総括される。 チップの乾燥固体含有量 SCAN CM:39:88 パルプの乾燥固体含有量 SCAN−C 3:78 蒸解液中の有効アルカリ SCAN−N 33:94 カッパ価 SCAN−C 1:77 ISO白色度(パルプ) SCAN−C 11:75 パルプ粘度 SCAN−CM 15:88 ヘキセンウロン酸(HexA)含有量 ヴォリネン(Vuorinen)ら/14/による パルプの炭水化物含有量 レーバー(Laver)ら/16/による
【0044】表2に、図2に関して記載の試験の蒸解条
件と結果を示す。表3に、図2に関して記載の試験で製
造されたパルプの炭水化物組成を示す。本発明の性格を
最もよく示す結果は、表2と表3各々の第一縦行の中の
分布C)にあることが認識される。図4のデータは、1
53℃での蒸解に限定される。ここでは、収率データ
は、カッパ価18に対する相当収率を計算して補正が行
われている。すなわち、表2でカッパ価18より高いカ
ッパ価、または低いカッパ価を有するデータは、カッパ
価1単位当たり収率が0.2%異なるとして調整され
た。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】図3は、図2に関して記載の蒸解試験3ケ
ースに対する有効アルカリ並びに温度分布を示すグラフ
である。図3では、上記表1記載のアルカリ分布Aにつ
いてグラフのライン40で示され、一方、表1記載の分
布BとCとについてはそれぞれグラフライン41,42
で示される。アルカリ分布全てに対する温度のグラフは
グラフライン43で示される。
【0048】図4は、図2に関して記載の試験に対する
粗パルプの全収率対EAの残留濃度を示すグラフであ
る。EAの残留濃度とは、図2の段階35の終点でのE
A濃度である。図4では、表1に記載のアルカリ分布A
〜Cは、それぞれ、グラフライン45〜47で示されて
いる。蒸解はすべて約153℃で行われた。本発明の方
法を最もよく示す実施例(グラフライン47)で製造さ
れたパルプが、参考として扱われている方法(グラフラ
イン45、46)よりも高い全収率を示していることが
明らかである。
【0049】図5は、図2に関して記載の試験に対する
全収率をカッパ価の関数として示すグラフである。図5
では、表1に記載のアルカリ分布A〜Cは、それぞれ、
グラフライン49〜51で示されている。蒸解はすべて
約153℃で行われた。同様に、本発明の方法を最もよ
く示す実施例(51)で製造されたパルプが、参考とし
て扱われている方法(グラフライン49、50)より
も、同じカッパ価では高い全収率を示している。
【0050】図6は、一連の実験室蒸解を広葉樹で行っ
た場合の別のアルカリ並びに温度分布を、本発明と従来
技術について示す。図6に示されるデータは、本発明の
アルカリ分布(53)を、「従来の」蒸解54と「高E
A」蒸解55とに対して比較するものである。(各々に
対する温度分布は56で示される。)これらの試験蒸解
で得られた収率データは、図7に示される。本発明の低
EA分布53を用いると、従来の蒸解54や高EA蒸解
55よりも全収率、セルロース収率、キシラン収率が高
い広葉樹パルプが製造される。従来の蒸解54では、図
6から分かるように、蒸解液の初期EAは、NaOHと
して約44g/Lであり、蒸解に至る段階の温度は12
0℃以上であった。
【0051】 図6の「高EA」蒸解55に対しては、
初期EA濃度は28g/Lであり、一方、本発明の蒸解
53に対しては、初期EA濃度は22g/Lであった。
図7は図5に示される分布を用いて製造されたパルプの
異なる成分の収率の結果を示すグラフである。図8は、
本発明の方法を実施するのに用いることができ連続蒸
解缶システム100を示す。図8は、また、槽105を
通過しながら処理されるスラリーのアルカリ濃度分布1
01と温度分布102とをそれぞれ示す。図8の左側の
A〜Fと符号されたゾーンは、本発明の段階(a)〜
(f)に対応する。
【0052】普通、細砕セルロース繊維材103、例え
ば、木材チップのスラリーは、蒸解槽105の頂部10
4へ導入される。槽105は、単一の槽でもよく、また
は多重槽システムの一部でもよい。例えば、スラリー1
03を、最初の前処理槽または浸透槽で処理してもよ
い。例えば、図8に示されるゾーンAまたはゾーンAと
Bとを、第一槽、例えば、浸透槽で行い、ゾーンC〜F
を第二槽、例えば、蒸解缶で行ってもよい。スラリー1
03の供給は、従来の供給システムで行ってもよく、あ
るいは米国ニューヨーク州グレンス フォールスのアー
ルストローム マシーナリー社によって販売され、米国
特許第5,476,572号、第5,622,598
号、第5,635,025号、第5,736,006
号、第5,753,075号、第5,766,418
号、および第5,795,438号に記載のロー・レベ
ル(Lo−Level)供給システム(登録商標)で行
うのも好ましい。完全処理されたパルプスラリー107
が槽105の底部106から排出される。スラリー10
7は、約80〜120℃の温度、例えば、約100℃
で、初期EA濃度20g/L(NaOHとして)未満の
濃度、例えば、約18g/Lで槽に入る。過剰な液は、
槽に導入されたスラリーから、セパレーター108を用
いて取り出され、導管109を経由して供給システムま
たは前の槽へ戻される。
【0053】スラリーは、槽105を入口から下向きに
移動するが、スラリーの温度は、分布110に示される
ように約100℃に維持される。一方、EA濃度は、ア
ルカリが木材チップの成分と反応するので、分布101
に示されるように減少する。スラリーが、ゾーンAとB
との間の界面の所に大略位置する第一抽出スクリーン1
11の所に来ると、液の一部分がスクリーンから除か
れ、導管112経由で、従来のように、薬剤回収システ
ムに送られるか、あるいは、必要に応じて他に、例え
ば、熱交換器の熱源として使われる。スクリーン111
で取り出された液の一部は、ポンプ113、ヒーター1
14、および導管115でスクリーン111の近くの槽
105へ再導入してもよい。再循環されたこの液には、
更に別の液、例えば、蒸解液(例えば、クラフト白液、
緑液または黒液)、希釈液、収率または強度向上添加
剤、例えば、アントラキノンまたはポリサルファイドま
たはこれらの同等品または誘導品またはこれらの混合物
を増分することができる。しかし、この循環は、破線で
示されていることから分かるように、本発明を完成する
には必ずしも必要ではない。スクリーン111に達する
と、スラリーのアルカリ含有量は、カーブ101で示さ
れるように、10g/L未満、普通は3〜10g/Lま
で減少する。槽の頂部104とスクリーンアセンブリ1
11との間の処理ゾーンAは、本発明の方法の段階
(a)に対応する。
【0054】スクリーンアセンブリ111は、二重スク
リーンアセンブリとすることができる。つまり、スクリ
ーン二枚を一組として備え、第二スクリーンとそれに関
連する液取り出し導管の上に第一スクリーンに関連する
液取り出し導管が配設される。スクリーン111の上部
スクリーンアセンブリは、導管112に液を抜き出すよ
うに用いることができるし、下部スクリーンアセンブリ
は、構造113、114、および115に関して上記の
ように、液を抜き出して再循環するのに用いることもで
きる。
【0055】スクリーン111を通過した後、スラリー
は、スクリーン111と第一再循環スクリーン116と
の間の加熱ゾーンまたは過熱段階Bへ入る。矢印117
はこの加熱ゾーンが向流加熱ゾーンであることを示して
いるけれども、このゾーンを、別法としては並流加熱ゾ
ーンとすることもできる。導管112経由で液を抜き出
すと、高温液117が上向きに流れるようになる。この
高温液は、スクリーン116に関連する第一循環導管/
再循環パイプ121経由で導入される。スラリーがスク
リーン116を通過するにつれて、液が抜き出され、ポ
ンプ119、ヒーター120、導管121によって再循
環される。抜き出されて再循環された液には、導管11
8経由で導入される蒸解液と希釈液とが添加・増分され
る。もっとも、蒸解液と希釈液とを、別々の導管経由で
導入することも差し支えない。スラリーがスクリーン1
11を通過するにつれて、アルカリを含む高温の液の向
流流れ117が、カーブ102で示されるように、スラ
リーを蒸解温度まで、例えば、140℃以上、好ましく
は140〜160℃の温度まで加熱する。このスラリー
は、カーブ122で示されるようにアルカリ含有量が増
加する液に同時に曝される。アルカリは、ゾーンBを上
向きに通過するにつれて、次第に消費され、カーブ12
2で示されるように減少する。
【0056】本発明によれば、スクリーン116に導入
されるアルカリの最高濃度は、前述したように30g/
L未満、好ましくは20g/L未満である。この低濃度
は、導入された蒸解液に希釈液を添加して、蒸解液を希
釈することによって確実に得られる。希釈液の性質は既
に説明した通りであり、下流側の洗浄機から得られる洗
浄機濾過液であるのが好ましく、この液は「コールドブ
ロー濾液」と称されることが多い。
【0057】スクリーン111の下の低アルカリ濃度
は、普通は10g/L未満、好ましくは5〜10g/L
である。スクリーン111直下の有効アルカリ濃度は、
図ではスクリーン111の上の濃度よりも幾分高く示さ
れているけれども、実際にはスクリーン111の上のE
A濃度よりも高くても、低くても、あるいは実質的に等
しくてもよい。図示の相違は、本発明に従って用いるこ
とができる一つの典型的なアルカリ濃度の相違を示して
いるに過ぎない。スクリーン111とスクリーン116
との間の処理ゾーンBは、本発明の方法の段階(b)に
対応する。
【0058】液の流れ117とヒーター120へのスチ
ームの導入は、スチーム116を通過した後、スラリー
が蒸解温度またはその近くの温度、すなわち、少なくと
も140℃、好ましくは約140〜160℃の温度にな
るように制御するのが好ましい。いわゆる「バルク脱リ
グニン」がスクリーン116とスクリーン123(第二
抽出スクリーン)の間で行われる。スラリーがスクリー
ン116の下に流れるにつれて、スラリー中の遊離液
も、矢印125で示されているように、セルロース材の
流れの同じ方向に、すなわち、並流に流れる。スクリー
ン123に達すると、液は導管124経由でスラリーか
ら取り出され、回収なり他の使用目的なりに送られる。
スクリーン116とスクリーン123との間のスラリー
の温度は、カーブ126に示されるように、例えば、約
150℃に比較的一定に保たれるのが好ましい。このゾ
ーンのアルカリ濃度は、カーブ127に示されるよう
に、アルカリがパルプ化反応で消費されるので、スクリ
ーン116の所のピークアルカリから次第に減少する。
この箇所のアルカリ濃度は、カーブ127に示されるよ
うに、普通、少なくとも10g/L、好ましくは5〜1
0g/Lまで減少する。スクリーン116とスクリーン
123との間の処理ゾーンCは、本発明の方法の段階
(c)に対応する。
【0059】本発明の態様の一つでは、蒸解相はスクリ
ーン123の箇所またはこの下で停止されるが、それ
は、冷却・希釈液が導入され、導管124で液が抜き出
されることによって上向きに吸引されるからである。こ
のようなことは、旧式の蒸解缶の場合、「コールドブロ
ー」として知られるケースである。このような旧式蒸解
缶では、スクリーン123から抜き出されるような抽出
段が槽の底部に配置され、その後にコールドブローによ
る希釈がある。例えば、このような構成は、蒸解缶10
5からゾーンEとゾーンFとを取り外し、スクリーン1
23の後に冷却・希釈段、すなわちゾーンDを付ければ
理解できる。しかし、本発明の好ましい態様では、少な
くとも一個の付加的な向流蒸解ゾーン、例えば、ゾーン
Eおよび/またはゾーンFがスクリーン123の下に存
在する。
【0060】好ましい態様では、例えば、新しい蒸解缶
をどのように作るかを示す構成では、スクリーン123
を通過した後、スラリーはスクリーン123とスクリー
ン128(第二再循環スクリーン)との間の向流蒸解ゾ
ーンを通過する。導管124経由で液を取り出すと、矢
印129で示されるように、遊離液の向流流れが生じ
る。上のゾーンBと同じように、ゾーンEで下に流れる
スラリーは、カーブ130で示されるように、次第に増
加する濃度のアルカリに曝される。このゾーンの温度
は、カーブ131で示されるように、蒸解温度、例え
ば、約150℃に保たれる。このアルカリは、スクリー
ン128に関連した導管135で導入される。スラリー
がスクリーン128を通過して下向きに流れるにつれ
て、液の一部が、ポンプ133,ヒーター134、およ
び第二導管/再循環パイプ135経由で取り出され、再
循環される。再循環されたこの液には、導管132経由
で蒸解液と希釈液とが添加・増分されるのが好ましい。
これは、導管118に関して記載のものと同じようなや
り方である。同様に、導管132経由で送られる蒸解液
と希釈液との流れを制御して、スクリーン123とスク
リーン128との間のアルカリ濃度を所望のように調整
し、製品として得られるパルプ中の炭水化物の含有量を
最適化する。アルカリ濃度が高ければ、例えば、15g
/Lより高ければ、より多くのヘミセルロースが溶解す
るので、製品として得られるパルプにはヘミセルロース
が少なくなってしまう。逆に、このゾーンでのアルカリ
濃度が低ければ、例えば、15g/Lより低ければ、ヘ
ミセルロースの溶解が少なくなるので、より多いヘミセ
ルロースが製品として得られるパルプに含まれる。同様
に、蒸解プロセスは、図8のゾーンDによって示される
ように、冷却/希釈液を導入することによってスクリー
ン128の後で停止することができる。
【0061】スクリーン111に関して上に議論したよ
うに、スクリーン123上下のアルカリ濃度の差は、例
示的なものにすぎない。本発明によれば、これらのアル
カリ濃度は、異なっても、あるいは比較的同じでもよ
く、要は、処理や処理される化学種の所望の性格に左右
される。スクリーン123とスクリーン128との間の
ゾーンは、本発明の方法の段階(e)に対応する。
【0062】図8に示される本発明の別の態様では、向
流ゾーンEの後に直ぐに向流ゾーンFが来る。このケー
スでは、スクリーン128を通過したスラリーは、液の
もう一つの向流流れ136に遭遇する。同様に、上のゾ
ーンEに関して記載されたように、下向きに流れるスラ
リーは、カーブ138で示されるように、次第に増加す
る濃度のアルカリに曝される。また、前と同じように、
このゾーンの温度は、カーブ139で示されるように、
蒸解温度、例えば、約150℃に保たれる。このアルカ
リは、スクリーン137に関連した導管142で導入さ
れる。スラリーがスクリーン137を通過して下向きに
流れるにつれて、液の一部が、ポンプ140,ヒーター
141、および導管142経由で取り出され、再循環さ
れる。再循環されたこの液には、導管143経由で蒸解
液と希釈液とが添加・増分されるのが好ましい。これ
は、導管118と導管132に関して記載のものと同じ
ようなやり方である。同様に、導管143経由で送られ
る蒸解液と希釈液との流れを制御して、スクリーン12
8とスクリーン137との間のアルカリ濃度を所望のよ
うに調整し、製品として得られるパルプ中の炭水化物の
含有量を最適化する。これは、上の導管132について
記載したことと同様である。同様に、スクリーン128
の上からスクリーン123の下に流れる液のアルカリ濃
度の差は、達成できるアルカリ分布の一つを示すにすぎ
ない。これらの濃度は、異なっても、あるいは比較的同
じでもよく、所望の処理や処理される化学種に左右され
る。
【0063】最後に、スクリーン137の下では、今や
完全に蒸解されたパルプが、冷却された(例えば、11
0℃以下、好ましくは90℃以下)、低アルカリ含有の
希釈液に遭遇する。この冷却・希釈液は、一本または複
数の導管144と145経由で、普通、従来のリング型
ヘッダーを用いて導入されたものである。この冷却液は
パルプ化反応を停止させ、パルプを冷却し、そのアルカ
リ濃度を低下させ、その結果、生成パルプを、導管10
7経由で、普通は従来の回転式排出装置(図8には示さ
れていないが、図9の150の箇所には概略示されてい
る)の助力を得て排出することができる。カーブ146
と147とに示されているように、パルプの温度は10
0℃以下、例えば、80〜90℃に低下されるのが好ま
しく、一方、アルカリ濃度は、5g/L未満、普通は0
〜4g/Lに低下される。
【0064】図9は、本発明に従って運転された連続蒸
解缶200と従来のように運転された蒸解缶とに対する
実際のミルでのアルカリ濃度の比較を示す。本発明のは
グラフライン61で示され、従来のはグラフライン62
で示されている。図9に示される蒸解缶200は、図8
に示される蒸解缶と同じようなものである。もっとも、
図9の蒸解缶はゾーンA,B,C,F,およびDをその
順序で備えているだけである。(図9では、図8のもの
と同じ構造は、同じ参照数字で示されるが、図9の表示
は図8のものより一層概略的である。)従来の運転モー
ドのアルカリ分布62(図9に見られるように初期EA
は30g/L以上)に比較して、本発明のアルカリ分布
61は、特に初期EAは、浸透ゾーンAと蒸解温度への
加熱ゾーンBの間は非常に低く、蒸解の最終段階、すな
わち残存リグニンの除去のゾーンFでは非常に高くなっ
ている。
【0065】本発明については、最も実際的かつ好まし
い態様であると現在考えられたものについて本明細書に
示し、かつ説明したものであるので、本発明は,開示の
態様に限定されるものでなく、反対に、前記請求項の精
神および範囲内に含まれる多くの部分的改変や等価の配
置をも包含することが意図されていることが、理解され
るべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の例示形を示す簡単なブロック
図である。
【図2】 本発明の方法を評価するのに用いることがで
きる実験手法を示すブロック図である。
【図3】 図2に示される方法の実験室試験のアルカリ
並びに温度分布を示すグラフ図である。
【図4】 図2に示される試験の収率の結果を示すグラ
フである。
【図5】 図3に示される試験の収率の結果を示すグラ
フである。
【図6】 本発明の方法の実験室試験のアルカリ並びに
温度分布の別の一組を示すグラフ図である。
【図7】 図5に示される分布を用いて製造されたパル
プの異なる成分の収率の結果を示すグラフである。
【図8】 本発明の方法を実施する例示的装置を示す図
で、これと一緒に、装置のいろいろの箇所のアルカリ分
布と温度分布をグラフ表示する図である。
【図9】 連続蒸解缶を概略示している図で、従来の操
作と比較して、本発明の方法に従って操作している連続
蒸解缶の実際のアルカリ分布を示している図である。
【符号の説明】
10…方法概要図、11…広葉樹チップ、12,13,
14,15,16,32,33,34,35…段階、1
7…生成パルプスラリー、18,18a,19,19a
…導管、20,20a,21…アルカリ液、22…冷却
液、31…チップ、37…パルプ、40,41,41,
43,45,46,47,49,50,51,53,5
4,55,56,61,62…グラフライン、100,
200…連続蒸解缶システム、101,122,12
7,130,138,146…アルカリ濃度分布カー
ブ、102,110,126,131,139,147
…温度分布カーブ、103…チップスラリー、104…
蒸解缶頂部、105…蒸解缶本体、106…蒸解缶底
部、107…パルプスラリー、108…セパレーター、
109,112,115,118,132,135,1
42,143,144,145…導管、111,11
6,123,137…スクリーン、113,119,1
33,140…ポンプ、114,120,134,14
1…ヒーター、117,125,129,136…液の
流れ、150…回転式スラリー抜き出し装置。
フロントページの続き (72)発明者 ジアン イー.ジアング フィンランド国、FIN−48600 カル フラ、ケルフンカツ 18 B12 (72)発明者 カイ オー.ヘンリックソン フィンランド国、 FIN−00330 ヘ ルシンキムンキニエメン プイストチエ 12 A 19 (56)参考文献 特開 平5−132882(JP,A) 特公 昭44−2481(JP,B1) 特表 平10−506687(JP,A) 特表 平9−504842(JP,A) 特表2001−512795(JP,A) 国際公開99/07936(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21C 1/00 - 11/14

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細砕セルロース繊維材を処理してセルロ
    ースパルプを製造する方法において、 (a)第一有効アルカリ濃度を有する第一アルカリ液で
    120℃以下の温度でセルロース繊維材を処理するステ
    ップ、 (b)120℃以上の温度に加熱しながら、第二有効ア
    ルカリ濃度を有する第二アルカリ液で細砕セルロース繊
    維材を処理するステップ、 (c)第三有効アルカリ濃度を有する第三アルカリ液で
    140℃以上の温度で細砕セルロース繊維材を処理し、
    脱リグニンするステップ、 (d)細砕セルロース繊維材を冷却液で120℃以下の
    温度に冷却するステップを含み、 第一の初期有効アルカリ濃度が30g/L未満であり、
    第二および第三の初期有効アルカリ濃度が25g/L以
    下であることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 ステップ(a)〜(c)が、第一、第二
    および第三の初期有効アルカリ濃度が全て25g/L未
    満で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 ステップ(a)〜(c)が、第一、第二
    および第三の初期有効アルカリ濃度が全て20g/L未
    満で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ステップ(c)と(d)との間にステッ
    プ(e)を含み、ステップ(e)が第四有効アルカリ濃
    度を有する第四アルカリ液で140℃以上の温度で細砕
    セルロース繊維材を処理することを特徴とする請求項1
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】 ステップ(e)が、30g/Lを超える
    第四の初期有効アルカリ濃度で行われることを特徴とす
    る請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ステップ(e)が、15g/L未満の第
    四の初期有効アルカリ濃度で行われことを特徴とする請
    求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】 ステップ(e)と(d)との間にステッ
    プ(f)を含み、ステップ(f)が25g/L未満の第
    五の初期有効アルカリ濃度、140℃以上の温度で細砕
    セルロース繊維材を処理することを特徴とする請求項4
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】 ステップ(a)〜(d)が、細砕セルロ
    ース繊維材として広葉樹チップを用いて行われることを
    特徴とする請求項2に記載の方法。
  9. 【請求項9】 第二有効アルカリ濃度が、アルカリ濃度
    が低いか、ゼロの希釈液を蒸解液に添加することによっ
    て得られることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  10. 【請求項10】 ステップ(b)が、細砕セルロース繊
    維材を加熱して、その温度を次第に増加させ、同時に細
    砕セルロース繊維材を第二アルカリ液で第二有効アルカ
    リ濃度を20g/L未満に保った状態で処理することに
    より行われることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  11. 【請求項11】 ステップ(c)を行うに際して、有効
    アルカリ濃度が次第に減少するが、一方、温度は一定に
    維持されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 ステップ(d)を行うに際して、5g
    /L未満の初期有効アルカリ濃度を有する冷却液で行わ
    れ、その結果、有効アルカリ濃度が次第に減少し、最終
    レベルの5g/L未満になるが、一方、温度は同じに維
    持されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 ステップ(a)を行うに際して、有効
    アルカリ濃度が次第に減少するが、一方、温度は同じに
    維持されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 ステップ(a)〜(d)が連続的に行
    われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 ステップ(a)〜(f)が同じ槽で連
    続的に行われることを特徴とする請求項7に記載の方
    法。
  16. 【請求項16】請求項1に記載の条件でステップ(a)
    〜(d)を行うことにより、ステップ(a)を120℃
    を超える温度で30g/L超の初期有効アルカリ濃度で
    行い、ステップ(b)または(c)を25g/L超の初
    期有効アルカリ濃度で行うのに較べて、収率が少なくと
    も1%向上することを特徴とする請求項1に記載の方
    法。
  17. 【請求項17】細砕セルロース材として広葉樹チップを
    使用して、請求項3に記載の条件でステップ(a)〜
    (d)を行うことにより、ステップ(a)を120℃を
    超える温度で30g/L超の初期有効アルカリ濃度で行
    い、ステップ(b)または(c)を25g/L超の初期
    有効アルカリ濃度で行うのに較べて、収率が少なくとも
    2%向上することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  18. 【請求項18】 処理の間に広葉樹チップスラリーが主
    として下向きに流れる連続蒸解缶を用いて、広葉樹チッ
    プを連続的に処理してクラフトパルプを製造する方法に
    おいて、 (a)第一段で第一アルカリ液を用いて広葉樹チップス
    ラリーを浸透し、初期有効アルカリ濃度は第一段の始め
    では25g/L以下、温度は90〜110℃の範囲で、
    第一段の間に有効アルカリ濃度が少なくとも10g/L
    だけ次第に減少し、第一段の終わりでは10g/L以下
    になるようにするステップ、 (b)前記広葉樹チップスラリーが前記第一段に連続的
    に繋がっている第二段を連続的に移動するにつれて、前
    記スラリーを140〜180℃の蒸解温度まで次第に加
    熱し、スラリーを第二アルカリ液で処理し、スラリーの
    有効アルカリ濃度が第二段の始めで15g/L未満でス
    タートし、第二段中で少なくとも5g/L増加するが、
    25g/Lを超えることはないようにするステップ、 (c)第三段で第三アルカリ液を用いて、一定に保たれ
    た140〜180℃の間にある温度で広葉樹チップスラ
    リーを蒸解し、初期有効アルカリ濃度は第三段の始めで
    は25g/L未満で、少なくとも5g/Lだけ次第に減
    少し、その結果第三段の終わりの有効アルカリ濃度が2
    0g/L未満になるようにするステップ、 (e)選択的に、第四アルカリ液を用い、第三段と同じ
    で一定の温度で第四段で前記広葉樹チップを少なくとも
    第二蒸解にかけるステップ、 (d)最後の段で、最後のアルカリ液を用いて、前記広
    葉樹チップスラリーを徐々に110℃以下の温度まで冷
    却し、最終段の始めから終わりまででスラリーの有効ア
    ルカリ濃度を少なくとも5g/L減少させ、スラリーの
    最終有効アルカリ濃度が5g/L未満となるようにする
    ステップを含み、 ステップ(a)〜(d)を行うことにより、温度は12
    0℃超で初期有効アルカリ濃度は30g/L超でステッ
    プ(a)を行い、初期有効アルカリ濃度が25g/L超
    でステップ(b)または(c)を行うのに較べて、パル
    プ収率が少なくとも2%向上することを特徴とする方
    法。
  19. 【請求項19】 ステップ(e)を行うに際して、有効
    アルカリ濃度が第四段の始めから終わりまでに少なくと
    も10g/Lは増加するようにすることを特徴とする請
    求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 ステップ(a)を行うに際して、少な
    くとも部分的には、第一段と第二段との間の大略界面で
    スラリーから液を抽出するようにし、ステップ(b)を
    行うに際して、少なくとも部分的には、第二段と第三段
    との間の大略界面の所に加熱された蒸解液と希釈液とを
    合わせた液を添加し、加熱された液がチップスラリーと
    向流に流れるようにし、ステップ(c)を行うに際し
    て、少なくとも部分的には、第三段と第四段との間の大
    略界面で液を抽出するようにし、それからステップ
    (e)を行うに際して、少なくとも部分的には、第四段
    の大略終わりの所の抽出段の下に加熱された蒸解液と希
    釈液とを合わせた液を添加し、加熱された液が広葉樹チ
    ップスラリーと向流に流れるようにし、ステップ(d)
    を行うに際して、少なくとも部分的には、110℃以下
    の温度で蒸解缶システムからパルプが排出される箇所の
    近くに希釈液を導入するようにすることを特徴とする請
    求項19に記載の方法。
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