JP3481247B2 - 辛味増強法 - Google Patents

辛味増強法

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JP3481247B2
JP3481247B2 JP50633095A JP50633095A JP3481247B2 JP 3481247 B2 JP3481247 B2 JP 3481247B2 JP 50633095 A JP50633095 A JP 50633095A JP 50633095 A JP50633095 A JP 50633095A JP 3481247 B2 JP3481247 B2 JP 3481247B2
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隆志 大西
博昭 小磯
敏呂 田宮
敏宏 石井
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San Ei Gen FFI Inc
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    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L27/00Spices; Flavouring agents or condiments; Artificial sweetening agents; Table salts; Dietetic salt substitutes; Preparation or treatment thereof
    • A23L27/20Synthetic spices, flavouring agents or condiments
    • A23L27/204Aromatic compounds

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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、辛味増強法に関する。より詳細には、こ
の発明は、フェノキシアルカン酸誘導体もしくはその塩
の辛味増強有効量を食品、飼料、ペットフード、医薬
品、医薬部外品などの口腔内で使用される製品又は経口
的に摂取可能な製品に添加することからなる辛味増強法
に関する。また、この発明は辛味が増強された上記製品
に関する。
背景技術 辛味は、使用する原料素材から由来する場合と、人工
的に付与される場合とがある。原料素材から由来する場
合には、たとえば、食品又は飲料についていえば、山
椒、生姜、こしょう、たまねぎ、にんにく、ヤナギタデ
などが挙げられる。
一方、人工的にこれらの味を付与する場合には、呈味
物質、天然抽出物又は天然醗酵物が使用されている。た
とえば、バニールケトン、ピペリン異性体、アルキルス
ルフィド、アリルイソチオシアネート、カプサイシン、
タデオナール、ジンジャー油、からし油、オニオンエキ
ス、ガーリックオレオレジン、ワサビ油などが挙げられ
る。
これら辛味成分は、揮発性の高いものや、熱に不安定
な物質が多く、加熱工程により揮発、分解などの劣化を
生じ、望まれる強さの辛味が得られなかった。このた
め、望まれる強さの辛味を得る為には、辛味成分の添加
量を増すか、あるいは劣化の少ない他の辛味成分を添加
していた。しかしその様な方法では、辛味成分の劣化に
伴なう異味異臭の発生、あるいは他の辛味成分の添加に
よる風味の変化をきたし、根本的な改善となっていなか
った。
そこで、食品などの液性や物理化学的な性質に変化を
与えることなく、呈味性のよい辛味を増強させる方法が
望まれている。
一方、フェノキシアルカン酸誘導体を、甘味性を有す
る糖又は糖アルコールを含有する摂食性製品の甘味を抑
制するために添加することが知られている(米国特許第
4567053号及び米国特許第5045336号)。また、食塩代用
顆粒を製造するに当たって、その賦形剤としての糖又は
糖アルコールの甘味を減少させるためにフェノキシアル
カン酸誘導体が使用されている(ヨーロッパ特許第0414
550A2号)。
更に、フェノキシアルカン酸誘導体が、塩化カリウム
などの苦味抑制剤として使用されている(米国特許第52
32735号)。
発明の開示 この発明の発明者等は、上記問題点を鑑み、フェノキ
シアルカン酸誘導体について鋭意研究を進めた結果、意
外にも、糖又は糖アルコールの甘味及び苦味の抑制以外
に、フェノキシアルカン酸誘導体を口腔内で使用される
製品又は経口的に摂取可能な製品に添加することによ
り、それらの辛味を抑制することなく、かつ液性及び物
理化学的性質に変化を与えることなしに、逆に辛味が増
強されることを見出し、本発明を完成するに至った。
この発明によれば、一般式(I) (式中、Rは同一又は異なって水素原子、ハロゲン原
子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルカノイル
基又は低級アルコキシ基であり、nは0〜4の整数であ
り、Aは炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖の低級アルキレ
ン基である)で示されるフェノキシアルカン酸誘導体も
しくはその塩の辛味増強有効量を口腔内で使用される製
品又は経口的に摂取可能な製品に添加することを特徴と
する辛味増強法が提供される。
この発明における辛味増強とは、口腔内で使用される
製品又は経口的に摂取可能な製品における液性や物理化
学的性質に変化を与えることなく、人体の口腔内で、本
来感じられる辛味が増強されて感じられることを意味す
る。
上記の一般式(I)の各定義において、詳細は次の通
りである。
まず、Rの各定義について説明する。
「ハロゲン原子」の好ましい例としては、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
「低級アルキル基」の好ましい例としては、炭素数1
〜3の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基が挙げられ、具
体的には、例えばメチル、エチル、プロピル及びイソプ
ロピルなどが挙げられる。これらの中で、メチル及びエ
チル基が好ましい。
「低級アルカノイル基」の好ましい例としては、炭素
数2〜4のアルカノイル基が挙げられ、具体的には、例
えばアセチル、プロピオニル及びブチリルなどが挙げら
れる。
「低級アルコキシ基」の好ましい例としては、炭素数
1〜3の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基が挙げら
れ、具体的には、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキ
シ及びイソプロポキシなどが挙げられる。これらの中
で、メトキシ及びエトキシ基が特に好ましい。
一般式(I)において、Rとしては低級アルキル基又
は低級アルコキシ基が好ましく、特にメチル、エチル、
メトキシ又はエトキシ基が好ましい。
次に、A及びnの各定義について説明する。
「低級アルキレン基」の好ましい例としては、炭素数
1〜5の直鎖又は分枝鎖のアルキレン基が挙げられ、具
体的には、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、
テトラメチレン、ペンタメチレン、ブチレン及びアミレ
ンなどが挙げられる。これらの中で、メチレン、エチレ
ン及びトリメチレンが特に好ましい。
nは、1〜4の整数であり、nは1であるのが好まし
い。
一般式(I)においては、nが1であり、かつ置換基
Rがパラ位に結合している場合が好ましく、特にnが1
であり、Rがパラ位に結合し、かつRがメチル、エチ
ル、メトキシ又はエトキシ基である場合が好ましい。
一般式(I)で示されるフェノキシアルカン酸誘導体
の塩としては、無毒かつ食品、医薬品及び医薬部外品な
どの分野で許容される全ての塩を適用することができ、
例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カ
ルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、又
はアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中で好ま
しい塩は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩
である。
一般式(I)の化合物の多くは、カルボキシル基に隣
接する炭素にキラル中心を有するために、通常2種の光
学異性体を有する。この発明には、これら光学異性体や
ラセミ混合物も包含される。これらの異性体は、一方が
強い活性をもち、他方が弱い活性を有している場合があ
る。また、上記化合物のラセミ混合物は、通常2種の光
学異性体の中間活性を示す。この発明においては、光学
異性体を分離して、そのどちらか一方を用いてもよく、
光学分割によって活性がより強い方の化合物を分離し、
その化合物を使用することによって、辛味増強作用を強
めることができる。
一般式(I)に属する化合物の例としては、次のもの
が挙げられる。
(±)−2−フェノキシプロピオン酸、S−(−)−
2−フェノキシプロピオン酸、(±)−2−フェノキシ
酪酸、S−(−)−2−フェノキシ酪酸、(±)−2−
p−メトキシフェノキシ酪酸、(±)−2−p−メチル
フェノキシプロピオン酸、S−(−)−2−p−メチル
フェノキシプロピオン酸、(±)−2−p−エチルフェ
ノキシプロピオン酸、(±)−2−p−メトキシプロピ
オン酸、S−(−)−2−p−メトキシフェノキシプロ
ピオン酸、2−p−メトキシフェノキシ−2−メチルプ
ロピオン酸、(±)−2−p−エトキシフェノキシプロ
ピオン酸、p−メチルフェノキシ酢酸、フェノキシ酢
酸、p−メトキシフェノキシ酢酸、p−エトキシフェノ
キシ酢酸、(±)−2−p−クロロフェノキシプロピオ
ン酸、S−(−)−2−p−クロロフェノキシプロピオ
ン酸、(±)−2−フェノキシ−2−メチルプロピオン
酸、2,4−ジメチルフェノキシ酢酸、p−イソプロピル
フェノキシ酢酸、p−エチルフェノキシ酢酸、2−(p
−クロロフェノキシ)−2−メチルプロピオン酸、3,4
−ジクロロフェノキシ酢酸、p−クロロフェノキシ酢
酸、2−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)−酢
酸、2−(3−クロロフェノキシ)−プロピオン酸、4
−フルオロフェノキシ酢酸、2,3−ジクロロフェノキシ
酢酸、3−メチルフェノキシ酢酸、2−(3,4−ジメト
キシフェノキシ)−プロピオン酸、2−(2,3,4−トリ
メトキシフェノキシ)−酪酸、2−メチルフェノキシ酢
酸、2−ホルミルフェノキシ酢酸、p−エチルフェノキ
シ酢酸、2−ヒドロキシフェノキシ酢酸、4−ヨードフ
ェノキシ酢酸、2−メトキシフェノキシ酢酸、2−エチ
ルフェノキシ酢酸、ジフェニル酢酸、ジフェニルヒドロ
キシ酢酸(ジフェニルグリコール酸)、2−p−クロロ
フェニルプロピオン酸、2−p−イソプロピルフェニル
プロピオン酸、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−2
−メトキシ酢酸、2−(2,4−ジメチルフェニル)−プ
ロピオン酸、2−(2−メチルフェニル)−プロピオン
酸、2−(2−メチルフェニル)−3−メチル酪酸など
が挙げられる。
これらのうち好ましい化合物としては、フェノキシ酢
酸、2−フェノキシプロピオン酸、2−フェノキシ酪
酸、p−メチルフェノキシ酢酸、p−エチルフェノキシ
酢酸、p−メトキシフェノキシ酢酸、p−エトキシフェ
ノキシ酢酸、2−p−メチルフェノキシプロピオン酸、
2−p−エチルフェノキシプロピオン酸、2−p−メト
キシフェノキシプロピオン酸、2−p−エトキシフェノ
キシプロピオン酸、2−p−メチルフェノキシ酪酸、2
−p−エチルフェノキシ酪酸、2−p−メトキシフェノ
キシ酪酸、2−p−エトキシフェノキシ酪酸、及びそれ
らのナトリウムあるいはカリウム塩などが挙げられる。
これら化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
一般式(I)の化合物は、縮合などによる既知の方法
により合成することができる。例えばジャーナル・オブ
・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.Amer.Chem.So
c.),53,304(1931)又はジャーナル・オブ・ケミカル
・ソサエティ(J.Chem.Soc.),1891(1956)に記載の方
法で合成することができる。また、一般式(I)の化合
物の中には、アルドリッチ社から入手可能な化合物もあ
り、この発明においては、そのような市販のフェノキシ
アルカン酸誘導体を用いることもできる。
この発明における口腔内で使用される製品とは、口腔
内で使用され、使用後口中から排出されるような人体に
無毒の固形、液状又は半固形状の製品を意味し、その一
部が経口的に摂取されるようなものも口腔内で使用され
る製品の中に包含される。
口腔内で使用される製品の例としては、歯磨、薬用歯
磨、マウスウォッシュ、口中清涼剤、うがい薬及び口腔
錠などの化粧品、医薬品外品、医薬品などが挙げられ
る。
また、この発明における経口的に摂取可能な製品と
は、経口的に摂取することができる人体に無毒の固形、
液状又は半固形状の製品を意味し、例えばチューインガ
ムのような、その一部を口中から排出させるようなもの
も経口的に摂取可能な製品の中に包含される。
これらの口腔内で使用される製品又は経口的に摂取可
能な製品は、辛味を有する呈味物質(例えばバニールケ
トン、ピペリン異性体、アルキルスルフィド、カプサイ
シン、タデオナール、アリルイソチオシアネートなど)
が含有された製品であるが、人体の口腔内で辛味が感じ
られるものであってもよく、辛味がまったく又はほとん
ど感じられないものであってもよい。この発明において
は、口腔内で使用される製品又は経口的に摂取可能な製
品が辛味を呈する場合には、その辛味をさらに増強する
ように作用し、まったく又はほとんど辛味を呈さない場
合には、辛味がより感じられるように作用する。
フェノキシアルカン酸誘導体又はその塩の添加量とし
ては添加される製品によって異なるが、製品に含有され
る呈味物質100重量部に対して、フェノキシアルカン酸
誘導体又はその塩を1〜100000重量部加えることによっ
て、辛味が増強された製品を提供することができる。
特に、製品に含まれる辛味を有する呈味物質が、アリ
ルイソチオシアネートであるときは、アリルイソチオシ
アネート100重量部に対して1〜10000重量部添加するこ
とが望ましい。。また、カプサイシンであるときは、カ
プサイシン100重量部に対して100〜100000重量部添加す
ることが望ましい。
辛味を示す呈味物質を含有する製品には、練りわさ
び、練りからし、カレー、米菓、おろししょうが、豆板
醤、キムチ、しょうが糖、ハムなどの食品、種豚飼育用
配合飼料などの飼料、小型犬用ペットフードなどのペッ
トフード、滋養強壮栄養補給剤の医薬品、歯磨などの医
薬部外品、リップクリームなどの化粧品がある。
フェノキシアルカン酸誘導体もしくはその塩の使用量
は、各々の製品の辛味を増強することができる濃度とな
るように適宜設定される。一般的には、口腔内で使用さ
れる製品又は経口的に摂取可能な製品100重量部に対
し、0.00001〜0.01重量部、好ましくは0.0001〜0.005重
量部で辛味を増強することができる。
上述のように、フェノキシアルカン酸誘導体もしくは
その塩が、辛味を有する呈味物質を含有する製品100重
量部に対して0.00001〜0.01重量部の限られた範囲にお
いて液性及び物理化学的性質に変化を与えることなく辛
味を増強する作用を示し、辛味料の使用量を減じること
が可能であることを見い出したことは、全く意外なこと
であると考えられる。これはこの発明の特定範囲の使用
重量部以上を添加すると、逆に辛味が抑制されるからで
ある。従って、この発明においては、口腔内で使用され
る製品又は経口的に摂取可能な製品100重量部に対し
て、0.00001〜0.01重量部の範囲でフェノキシアルカン
酸誘導体もしくはその塩を添加することが重要である。
フェノキシアルカン酸誘導体もしくはその塩は、呈味
物質又はそれを有する製品に、通常、そのままあるいは
溶液又は懸濁液として添加することができる。
溶液又は懸濁液に使用される媒体としては、水、エタ
ノール、オリザノール及びオクタコサノールなどのアル
コール類;液糖、ホモオリゴ糖及びヘテロオリゴ糖など
のオリゴ糖類;水飴、澱粉分解物などの糖類;ソルビッ
ト、マルチトール、エリスリトール、還元パラチノー
ス、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖及び還
元乳糖などの糖アルコール類;グリセリン及びプロピレ
ングリコールなどの多価アルコール類;グリセリン、ポ
リグリセリン、ソルビタン、ポリオキシエチレン、プロ
ピレングリコール及びショ糖などの脂肪酸エステル類;
及びレシチンなどの乳化剤、アセトンなどの親水性有機
溶などが挙げられる。
フェノキシアルカン酸誘導体もしくはその塩を口腔内
で使用される製品又は経口的に摂取可能な製品に添加す
る方法は、特に限定されない。添加する段階としては、
対象とする製品を製造するときに主原料及び副原料とい
っしょに添加してもよいし、液状の主原料及び副原料に
あらかじめ溶解して使用してもよい。また、出来上った
製品に添加、混和、溶解してもよい。その添加方法とし
ては、そのままを添加してもよく、上記のような媒体に
溶解あるいは懸濁させて使用してもよい。添加方法は、
添加する製品や添加量に応じて適宜選択される。
フェノキシアルカン酸誘導体もしくはその塩が、糖又
は糖アルコールの甘味を減少させる作用機構は、恐らく
次のようであると考えられる。甘味は、AH(水素供与性
基)とB(水素受容基)を有する糖又は糖アルコール
が、味蕾の味細胞の受容膜上のAHとBを有する甘味受容
タンパク質との間で水素結合を形成することにより感じ
られる。しかしながら、フェノキシアルカン酸誘導体も
しくはその塩が甘味受容タンパク質及び/又は受容膜の
ある部位に結合すると、甘味受容タンパク質の構造が変
化して、甘味受容タンパク質と糖又は糖アルコールとの
結合が妨げられて、甘味が感じられなくなるのではない
かと考えられる。
一方、甘味受容タンパク質の構造が変化すると甘味が
感じられなくなるが、辛味の知覚には全く影響を与えな
いことから、この発明の辛味を増強させる作用機構は、
甘味を減少させる作用機構とは全く異なると考えられ
る。即ち、辛味を有する呈味物質が味細胞の受容膜に吸
着されることによって味細胞の電位が変化し、受容膜の
コンホメーションが変化すると共に、味神経に電気的信
号が発生する。この電気的信号によって、刺激情報が大
脳に伝えられて辛味が感じられる。しかしながら、受容
膜に結合しているCa2+(受容膜のコンホメーション変化
を制御している)が味受容膜に結合すると、受容膜のコ
ンホメーション変化がおこりにくくなり、辛味を感じる
感受性が著しく低下する。従って、フェノキシアルカン
酸誘導体もしくはその塩による辛味を増強させる作用機
構としては、それが、味受容膜に結合しているCa2+と結
合して味受容膜のコンホメーションを変化させ、辛味を
感じる感受性を著しく増加させるか又は改質させるので
はないかと考えられる。この点において、フェノキシア
ルカン酸誘導体もしくはその塩による甘味抑制機構と辛
味増強機構とは全く異なると考えられる。
上記のように、同一物質で、このような互いに異なる
作用が見られるということは極めて珍しい現象である。
また、この発明のフェノキシアルカン酸誘導体もしく
はその塩は、遊離酸の場合であれば、僅かに酸味を呈す
る以外は殆ど無味無臭である。従って、辛味を有する呈
味物質と併用しても呈味物質本来の風味を何など損わず
に、辛味を増強させることが可能である。
本発明の効果を試験例及び実施例で説明する。しかし
ながら、この発明はこれらに限定されない。
試験例1 アリルイソチオシアネート0.001%(w/v)溶液に0.00
0001%,0.00001%,0.0001%,0.001%,0.01%及び0.1%
(w/v)の(±)−2−p−エチルフェノキシプロピオ
ン酸を添加した混合液及び(±)−2−p−エチルフェ
ノキシプロピオン酸無添加のアリルイソチオシアネート
0.001%(w/v)単一溶液を調製した。
下記の方法により(±)−2−p−エチルフェノキシ
プロピオン酸添加によるアリルイソチオシアネートの辛
味増加度を求めた。
a:辛味標準液の調製 0.0001%(w/v)の濃度間隔で、0.0008%〜0.0014%
(w/v)のアリルイソチオシアネートの辛味を各々80,9
0,100,……130,140の辛味度であると定義した。
官能検査員は10名の男性と10名の女性で構成した。
混合試料液の辛味と同じ辛味を呈する辛味標準液を選
ぶように指示した。その結果を集計し、ペアーテストに
より検定し、p<0.05で有意であった辛味度を混合試料
液の辛味度と判定し、その結果を表1に示した。
これらの試料液を120℃20分間滅菌し、冷却後試験し
たところ、上記と類似の結果が得られた。
また、わさび、唐辛子、わさび油、からし油について
試験したところ、上記と類似の結果が得られた。
試験例2 カプサイシン0.00001%(w/v)溶液に0.000001%,0.0
0001%,0.0001%,0.001%,0.01%,0.1%の(−)−2−
パラ−メトキシフェノキシプロピオン酸を添加した混合
液及び(−)−2−パラ−メトキシフェノキシプロピオ
ン酸無添加のカプサイシン0.00001%(w/v)単一溶液を
調製した。
下記の方法により(−)−2−パラ−メトキシフェノ
キシプロピオン酸添加によるカプサイシンの辛味増加度
を求めた。
a:辛味標準液の調製 0.000001%(w/v)の濃度間隔で0.000008〜0.000014
%(w/v)の辛味標準液を調製した。
b:官能検査法 0.000008%,0.000009%,0.00001%,……0.000013%,
0.000014%(w/v)のカプサイシンの辛味を各々80,90,1
00,……130,140の辛味度であると定義した。
試験例1と同様な方法で辛味度を求め、その結果を表
2に示した。
上記表2の様に(−)−2−パラ−メトキシフェノキ
シプロピオン酸を0.00001%〜0.01%(w/v)添加するこ
とにより、カプサイシンの辛味が増強された。又、
(−)−2−パラ−メトキシフェノキシプロピオン酸を
0.1%(w/v)添加すると、逆に辛味は減少した。
試験例3 大根おろしを4枚重ねのガーゼにて絞り、大根汁を得
た。このものに(−)−2−p−エトキシフェノキシ酪
酸を以下の各重量部添加し、(−)−2−p−エトキシ
フェノキシ酪酸無添加区との辛味の比較を、10名の専門
パネラー(男性5名、女性5名平均年令30才)にて、p
<0.05で官能検査し、以下の表3に示す結果を得た。
表3中、0は弱い辛味、1は標準の辛味、2はやや強
い辛味、3は強い辛味をそれぞれ意味する。
表3に示されるように、大根汁の辛味は、(−)−2
−p−エトキシフェノキシ酪酸を0.00001%〜0.01%添
加する事により増強された。しかし0.1%添加では抑制
された。
実施例1 大豆たん白10重量部、リン酸塩1重量部、発色剤0.1
重量部、グルタミン酸0.03重量部、酵母エキス0.1重量
部、5'−グアニル酸ナトリウム0.03重量部、食塩1.5重
量部、ペパー末5重量部、粉末酢酸0.1重量部、(±)
−2−p−エトキシフェノキシ酪酸カリウム0.001重量
部、フェノキシ酪酸カリウム0.001重量部及び水82.139
重量部のピックル液を用い、肉100重量部に対しピック
ル液80重量部をインジェクションし、常法通りハムを試
作した。その結果辛味が増強されたハムが得られた。
実施例2 以下に示す配合割合(重量%)にて、常法により、ね
りわさびを製造した。
ホースラディッシュ末 17 ホースラディッシュ荒挽き 10 コーンスターチ 5 乾燥わさび葉末 2 ソルビット 20 食塩 1 クエン酸 0.05 水 44.95 合計 100% 上記配合に対し(±)−2−(4−メトキシフェノキ
シ)プロピオン酸ナトリウムを0.005%加えて混合した
練りわさびは、無添加のものより明らかに強い辛味を呈
した。
実施例3 以下に示す配合割合(重量%)にて、常法により、お
ろししょうがを製造した。
乾燥しょうがフレーク 10 しょうが 40 食塩 8 クエン酸 2 水 40 合計 100% 上記配合に対し(±)−2−(4−メトキシフェノキ
シ)プロピオン酸ナトリウムを0.005%加えて混合した
おろししょうがは、無添加のものより明らかに強い辛味
を呈した。
実施例4 以下に示す配合割合(重量%)にて、常法により、豆
板醤を製造した。
唐辛子(生) 70 食塩 20 空豆 10 合計 100% 上記配合に対し(±)−2−(4−メトキシフェノキ
シ)プロピオン酸ナトリウムを0.005%加えてエルマイ
ザーにより破砕混合した豆板醤は、無添加のものより明
らかに強い辛味を呈した。
実施例5 以下に示す配合割合(重量%)にて、常法により、キ
ムチを製造した。
トマトピューレ 18.5 水 12 唐辛子粉末 1.6 生にんにく 1.5 グルタミン酸ナトリウム 0.4 下漬け白菜 66 合計 100% 上記配合に対し(±)−2−(4−メトキシフェノキ
シ)プロピオン酸ナトリウムを0.005%加えて冷蔵庫に
3日間保存したキムチは、無添加のものより明らかに強
い辛味を呈した。
実施例6 以下に示す配合割合(重量%)にて、常法により、し
ょうが糖を製造した。
グラニュウ糖 67.7 水飴 6.8 水 23.8 しょうが汁 1.7 合計 100% 上記配合に対し(±)−2−(4−メトキシフェノキ
シ)プロピオン酸ナトリウムを0.002%加えて混合しな
がら115℃まで加熱し成形したしょうが糖は、無添加の
ものより明らかに強い辛味を呈した。
実施例7 グルクロン酸0.8重量部、アスコルビン酸1重量部、
リン酸リボフラビン0.005重量部、ニコチン酸アミド0.0
1重量部、パントテン酸カルシウム0.05重量部、カフェ
イン0.08重量部、カプサイシン0.0000005重量部、香料
0.1重量部に2−メトキシフェノキシ酢酸0.0001重量部
を加えて常法通り調製した滋養強壮栄養補給剤は、無添
加区と比べ辛味を強く感じ、嗜好性が高かった。
この発明によれば、口腔内で使用される製品又は経口
的に摂取可能な製品における辛味を、その原料素材に含
まれる辛味を有する呈味物質本来の味を阻害することな
く、かつその液性及び物理化学的性質に変化を与えるこ
となく、増強することができる。また、それによって辛
味料の使用量を減じることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 国際公開93/010677(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/22 - 1/24

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中、Rは同一又は異なって水素原子、ハロゲン原
    子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルカノイル
    基又は低級アルコキシ基であり、nは0〜4の整数であ
    り、Aは炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖の低級アルキレ
    ン基である)で示されるフェノキシアルカン酸誘導体も
    しくはその塩の辛味増強有効量を口腔内で使用される製
    品又は経口的に摂取可能な製品に添加することを特徴と
    する辛味増強法。
  2. 【請求項2】一般式(I)において、Aがメチレン、エ
    チレン又はトリメチレンである請求項1記載の辛味増強
    法。
  3. 【請求項3】一般式(I)において、nが1であり、R
    がパラ位に結合しかつRがメチル、エチル、メトキシ又
    はエトキシ基である請求項1又は2に記載の辛味増強
    法。
  4. 【請求項4】辛味増強有効量が、口腔内で使用される製
    品又は経口的に摂取可能な製品100重量部に対して0.000
    01〜0.01重量部である請求項1〜3のいずれか1つに記
    載の辛味増強法。
  5. 【請求項5】口腔内で使用される製品又は経口的に摂取
    可能な製品が、辛味物質であるアリルイソチオシアネー
    ト或はカプサイシンを含む請求項1〜4いずれか1つに
    記載の辛味増強法。
  6. 【請求項6】フェノキシアルカン酸誘導体もしくはその
    塩が、アリルイソチオシアネート100重量部に対して、
    1〜10000重量部で添加することからなる請求項4記載
    の辛味増強法。
  7. 【請求項7】フェノキシアルカン酸誘導体もしくはその
    塩が、カプサイシン100重量部に対して、100〜100000重
    量部添加することからなる請求項4記載の辛味増強法。
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AU675778B2 (en) * 1991-11-27 1997-02-20 Bioresearch Inc. Specific eatable taste modifiers

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