JP3480668B2 - 脱リン用水質浄化ポーラスコンクリート部材 - Google Patents
脱リン用水質浄化ポーラスコンクリート部材Info
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- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
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- Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
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- Biological Treatment Of Waste Water (AREA)
- Removal Of Specific Substances (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱リン用水質浄化
ポーラスコンクリート部材に関するものであり、更に詳
しくは本発明は、河川、湖沼などの水中又は水際に設置
される優れた脱リン作用を有する脱リン用水質浄化ポー
ラスコンクリート部材に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、河川、湖沼などの水質浄化用部材
としては、各種のものが知られており、ポーラスコンク
リートを使用したもの、植生コンクリートを使用したも
の、更には特開平8−229547号公報に開示されて
いる如きリン吸着剤ブロックを使用するものなどがあ
る。このポーラスコンクリートを使用したものとして
は、ポーラスコンクリートの空隙部及び表面に自然に微
生物が棲みつき生物膜が形成される。この生物膜の浄化
力を利用して水質浄化が行われる(BODを除去)。ま
た植生コンクリートは、水棲植物を利用して水中から窒
素、リンを取り込むことで水質の浄化が行われる。 【0003】更に特開平8−229547号公報に開示
されているリン吸着剤ブロックを使用するものでは、水
中にポーラスコンクリートブロックとリン吸着剤ブロッ
クとを配置して、ポーラスコンクリートブロックに付着
した生物膜による水質浄化及び火山灰と硫酸第一鉄を混
合して焼成したリン吸着剤ブロックの両者の水質浄化機
能を利用して水質の浄化を行う方法である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
開示されている水質浄化コンクリートブロックにおい
て、ポーラスコンクリートブロックは、ポーラスコンク
リート自体は、ある程度水質浄化作用を有することは知
られているが、それほど水質浄化作用は大きいものでは
ない。またこのポーラスコンクリートに生物膜が形成さ
れることにより水質浄化作用が増大するが、生物膜が形
成されるまでには時間がかかり、適正な水質浄化作用が
顕れるまでには相当の期間が必要である。植生コンクリ
ートを使用する場合には、植物を利用する関係上、定期
的な植物の維持管理が必要となる点で好ましくない。 【0005】そこで、本発明者等は、ポーラスコンクリ
ートブロックは、製造が簡単で経済的である点で、この
水質浄化作用が大きければ、優れた水質浄化材となるこ
とに注目して、種々検討したところ、ポーラスコンクリ
ートを構成するセメント水和物にトバモライトもしくは
ゾノトライトを積極的に生成させることにより、リン成
分がこれらのトバモライトもしくはゾノトライトと反応
して固定され、優れた脱リン効果が得られることを見出
し、また水質浄化作用のある酸化チタンを組み合わせて
も脱リン作用に悪影響を与えることなく水質全般の浄化
が得られることを見出し、本発明はなされたものであ
る。 【0006】したがって、本発明が解決しようとする第
1の課題は、脱リン作用の増大したポーラスコンクリー
ト部材が得られ、経済的であって、容易に製造され、か
つ容易に交換可能である脱リン用水質浄化ポーラスコン
クリート部材を提供するものである。また本発明が解決
しようとする第2の課題は、脱リン作用が増大し、かつ
酸化チタンによる有機物(BOD)の浄化ができるポー
ラスコンクリート部材が得られる脱リン用水質浄化ポー
ラスコンクリート部材を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の上記の各課題
は、以下の各発明によって達成される。 【0008】(1)石灰質原料、珪酸質原料及び光触媒
作用を有する酸化チタンの混練物が被覆された骨材で構
成されているポーラスコンクリートからなり、この被覆
物の表面にトバモライトもしくはゾノトライトが存在し
ていることを特徴とする脱リン用水質浄化ポーラスコン
クリート部材。 【0009】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンク
リート部材は、石灰質原料、珪酸質原料及び光触媒作用
を有する酸化チタンの混練物が被覆された骨材で構成さ
れているポーラスコンクリートからなり、この被覆物の
表面にトバモライトもしくはゾノトライトが存在してい
ることにより、ポーラスコンクリート部材に優れた脱リ
ン作用を付与することができるばかりでなく脱リン作用
に悪影響を与えることなく有機物(BOD)の浄化が得
られると共に製造が容易で、経済的かつ交換が容易であ
るという優れた効果を奏する。また本発明においては、
混練物の被覆表面に酸化チタンを有することにより、そ
の水質浄化作用が効率的に行われる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて更に詳しく説明するが、本発明は、これのみによっ
て限定されるものではない。 【0011】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンク
リート部材は、骨材の表面に石灰質原料及び珪酸質原料
の混練物が被覆されており、この混練物は、オートクレ
ーブ養生後は、脱リン材としての作用を有すると共に、
骨材同士を固定する結合材としての役割をも果たす。こ
こで、「混練物が被覆され」とは、少なくとも骨材の表
面に混練物が存在し、これらが混練物によって結合して
いる状態であればよく、骨材間の混練物被覆の存在形態
には、特に限定されないが、骨材間に空隙を有するもの
が好ましい。石灰質原料としては、特に限定されるもの
ではないが、主にセメントが用いられ、その種類は特に
限定されるものではないが、ポルトランドセメント、高
炉セメントやシリカセメント等の混合セメントが好まし
い。 【0012】また珪酸質原料としては、珪砂、珪石、珪
藻土、白土の微粉末等が挙げられる。また骨材として
は、粗骨材及び細骨材が用いられ、粗骨材としては、砂
利、砕石等が挙げられる。細骨材としては、砂、砕石等
が挙げられる。本発明では、主として粗骨材を用いるこ
ともでき、更に必要に応じて細骨材を添加することもで
きる。 【0013】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンク
リート部材は、石灰質原料、珪酸質原料及び骨材を水と
混練し、該混練物を蒸気養生して硬化した後、オートク
レーブ養生することにより製造される。このオートクレ
ーブ養生の条件は、特に限定されるものではなく、通常
この技術分野において用いられる範囲でよく、好ましく
は、オートクレーブ室へ前記硬化体を入れて、温度15
0℃〜240℃、養生時間は2時間〜10時間で行われ
る。この際昇温速度は50℃/h〜80℃/hで、最高
温度170℃〜220℃が好ましい。 【0014】このようにして製造された脱リン用水質浄
化ポーラスコンクリート部材は、被覆表面にトバモライ
トもしくはゾノトライトが生成しており、これが水中の
リン成分と反応して被覆物表面で結晶成長することによ
り水質の浄化が行われる。この被覆表面とは、被覆の表
面はもちろんのこと、被覆内部の細孔乃至空隙の内面を
も含む意味に使用している。図1は、本発明の脱リン用
水質浄化ポーラスコンクリート部材の組織図であり、骨
材2の表面に脱リン材である被覆物3が被覆されてお
り、かつ骨材2間には、大小さまざまな空隙5が存在し
ている。 【0015】更にこの被覆中又は表面に酸化チタン粒子
を有する場合は、この酸化チタン粒子の光触媒反応(紫
外線)により有機質の分解が行われ、脱リンと同時に有
機物(BOD)の浄化が行われる。この酸化チタンとし
ては、通常の光触媒として用いられるものであれば、特
に限定されるものではないが、いわゆる二酸化チタンが
好ましい。本発明に用いられる二酸化チタンとしては、
ルチル、及びアナターゼのどちらの結晶形態を持つもの
でも良いが、活性の高いアナターゼ型二酸化チタンが好
ましい。またこれらの二酸化チタンは、二酸化チタンを
主成分とし、更に少量の酸化チタンが含有されていても
よい(以下二酸化チタンという)。この表面に化学結合
水又は/及び親水性のOHイオン又は/及び硫酸イオン
が存在しているものであって、この二酸化チタンの表面
積は、100〜300m2 /gである。酸化チタンの添
加量は、セメント100重量部に対して、酸化チタン粉
末10重量部〜100重量部が好ましい。 【0016】このようにして得られた脱リン用水質浄化
ポーラスコンクリート部材は、各種の形態で使用するこ
とができる。この形態は、任意の形状又は構造とするこ
とができる。本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンク
リート部材は、粒状体、塊状体の場合は、球状、楕円
球、立方体形、直方体形、断面三角形、多角球、テトラ
ポット形状、ピラミット形状、円錐台形状、四角錐形状
等の任意の形状とすることができる。 【0017】また脱リン用水質浄化ポーラスコンクリー
ト部材が板状、ブロック状または特定の構造物として用
いることもできる。板状のものとしては、タイル形状で
あり、ブロック状では、任意のブロック形状でよく、例
えば、根固め用ブロックを始め、河川や湖水の水際に設
置するグラスポット、円弧法枠ブロック、床張ブロック
等が挙げられる。また脱リン部材の大きさは、任意に形
成することができる。 【0018】更に、これらの脱リン用水質浄化ポーラス
コンクリート部材の形状乃至構造体の表面は、汚染水の
接触量を多くするために表面積を大きくすることが好ま
しく、したがって、その表面には凹凸を設けることが好
ましい。本発明に用いられる脱リン用水質浄化ポーラス
コンクリート部材の形状又は構造体は、従来公知の適宜
の方法で作製することができる。板状体やブロックの製
造の場合は、型枠による成形、押出成形等が好ましい。 【0019】〔作用〕本発明においては、石灰質原料と
珪酸質原料がオートクレーブ養生により反応してトバモ
ライトもしくはゾノトライトが生成し、これらのトバモ
ライトもしくはゾノトライトとリン成分が反応し、トバ
モライトもしくはゾノトライトの表面でリン成分が結晶
成長することにより水質浄化される。また二酸化チタン
を有する場合には、この光触媒作用(紫外線)により水
中の有機質が分解されて水質の浄化が行われる。 【0020】 【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げて説明する
が、本発明は、これに限定されるものではない。 【0021】〔参考例1〕普通セメント100重量部、
珪石微粉末79重量部、6号砕石1600重量部及び水
54重量部のうち、まず水以外の成分を強制攪拌型ミキ
サに投入して、30秒間空練りした後、水を投入して9
0秒間混練した。この混練物を鋼製型枠(直径10c
m、高さ20cm)に詰め、テーブルバイブレータで3
0秒間締め固めた。その後、蒸気養生槽に入れ、蒸気養
生を行った。蒸気養生の条件は、前置き時間3時間、昇
温勾配20℃/時、最高温度×保持時間が60℃×3時
間で、その後自然放冷した。 【0022】蒸気養生し、自然放冷後、脱型し、試験体
をオートクレーブ養生槽に入れた後、最高温度×保持時
間が180℃×8時間、10気圧で養生を行い、試験体
を得た。この試験体を塩化ビニル製のカラムに挿入した
後、このカラムに人工汚水(KH2 PO4 :P量を40
mg/リットルに調整したもの)を流速25ml/mi
nで循環させ、所要時間ごとに汚水のPの残留濃度を調
べた。試験結果を以下に示す。表1の濃度はmg/リッ
トル)である。 【0023】 【表1】 【0024】表1から明らかなように、本発明の脱リン
用水質浄化ポーラスコンクリート部材の場合は、比較の
ポーラスコンクリートが35.3(30分)mg/リッ
トルであるのに対して、本発明では、1.2(30分)
mg/リットルである点で、はるかに脱リン効果に優れ
ていることがわかる。 【0025】〔実施例1〕普通セメント100重量部、
珪石微粉末79重量部、6号砕石1600重量部、二酸
化チタン50重量部及び水90重量部のうち、まず水以
外の成分を強制攪拌型ミキサに投入して、30秒間空練
りした後、水を投入して90秒間混練した。得られた混
練物を参考例1と同様にして試験体を作製した。更に実
施例1に記載の試験方法で試験したところ、優れた脱リ
ン効果と共に、二酸化チタンの光触媒作用により水中の
有機質を分解し、優れた水質浄化効果が得られた。また
脱リン材の交換も容易であった。 【0026】〔参考例2〕雨水の流路となる河川の水際
の土手に、図2で断面図で示される円弧法枠ブロックの
単位を、型枠成形により、参考例1に記載の混練物を用
いて作製した。このブロックの単位を組み合わせて形成
されたブロック体を敷設した。雨水がリンを含んで水際
に設置された脱リン用水質浄化コンクリート部材に接触
すると、ここで脱リンされ、水質浄化がなされた。 【0027】 【発明の効果】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコン
クリート部材は、石灰質原料、珪酸質原料及び光触媒作
用を有する酸化チタンの混練物が被覆された骨材で構成
されているポーラスコンクリートからなり、この被覆物
の表面にトバモライトもしくはゾノトライトが存在して
いることにより、ポーラスコンクリート部材に優れた脱
リン作用を付与することができるばかりでなく脱リン作
用に悪影響を与えることなく有機物(BOD)の浄化が
得られると共に製造が容易で、経済的かつ交換が容易で
あるという優れた効果を奏する。また本発明において
は、混練物の被覆表面に酸化チタンを有することによ
り、その水質浄化作用が効率的に行われる。
ポーラスコンクリート部材に関するものであり、更に詳
しくは本発明は、河川、湖沼などの水中又は水際に設置
される優れた脱リン作用を有する脱リン用水質浄化ポー
ラスコンクリート部材に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、河川、湖沼などの水質浄化用部材
としては、各種のものが知られており、ポーラスコンク
リートを使用したもの、植生コンクリートを使用したも
の、更には特開平8−229547号公報に開示されて
いる如きリン吸着剤ブロックを使用するものなどがあ
る。このポーラスコンクリートを使用したものとして
は、ポーラスコンクリートの空隙部及び表面に自然に微
生物が棲みつき生物膜が形成される。この生物膜の浄化
力を利用して水質浄化が行われる(BODを除去)。ま
た植生コンクリートは、水棲植物を利用して水中から窒
素、リンを取り込むことで水質の浄化が行われる。 【0003】更に特開平8−229547号公報に開示
されているリン吸着剤ブロックを使用するものでは、水
中にポーラスコンクリートブロックとリン吸着剤ブロッ
クとを配置して、ポーラスコンクリートブロックに付着
した生物膜による水質浄化及び火山灰と硫酸第一鉄を混
合して焼成したリン吸着剤ブロックの両者の水質浄化機
能を利用して水質の浄化を行う方法である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
開示されている水質浄化コンクリートブロックにおい
て、ポーラスコンクリートブロックは、ポーラスコンク
リート自体は、ある程度水質浄化作用を有することは知
られているが、それほど水質浄化作用は大きいものでは
ない。またこのポーラスコンクリートに生物膜が形成さ
れることにより水質浄化作用が増大するが、生物膜が形
成されるまでには時間がかかり、適正な水質浄化作用が
顕れるまでには相当の期間が必要である。植生コンクリ
ートを使用する場合には、植物を利用する関係上、定期
的な植物の維持管理が必要となる点で好ましくない。 【0005】そこで、本発明者等は、ポーラスコンクリ
ートブロックは、製造が簡単で経済的である点で、この
水質浄化作用が大きければ、優れた水質浄化材となるこ
とに注目して、種々検討したところ、ポーラスコンクリ
ートを構成するセメント水和物にトバモライトもしくは
ゾノトライトを積極的に生成させることにより、リン成
分がこれらのトバモライトもしくはゾノトライトと反応
して固定され、優れた脱リン効果が得られることを見出
し、また水質浄化作用のある酸化チタンを組み合わせて
も脱リン作用に悪影響を与えることなく水質全般の浄化
が得られることを見出し、本発明はなされたものであ
る。 【0006】したがって、本発明が解決しようとする第
1の課題は、脱リン作用の増大したポーラスコンクリー
ト部材が得られ、経済的であって、容易に製造され、か
つ容易に交換可能である脱リン用水質浄化ポーラスコン
クリート部材を提供するものである。また本発明が解決
しようとする第2の課題は、脱リン作用が増大し、かつ
酸化チタンによる有機物(BOD)の浄化ができるポー
ラスコンクリート部材が得られる脱リン用水質浄化ポー
ラスコンクリート部材を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の上記の各課題
は、以下の各発明によって達成される。 【0008】(1)石灰質原料、珪酸質原料及び光触媒
作用を有する酸化チタンの混練物が被覆された骨材で構
成されているポーラスコンクリートからなり、この被覆
物の表面にトバモライトもしくはゾノトライトが存在し
ていることを特徴とする脱リン用水質浄化ポーラスコン
クリート部材。 【0009】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンク
リート部材は、石灰質原料、珪酸質原料及び光触媒作用
を有する酸化チタンの混練物が被覆された骨材で構成さ
れているポーラスコンクリートからなり、この被覆物の
表面にトバモライトもしくはゾノトライトが存在してい
ることにより、ポーラスコンクリート部材に優れた脱リ
ン作用を付与することができるばかりでなく脱リン作用
に悪影響を与えることなく有機物(BOD)の浄化が得
られると共に製造が容易で、経済的かつ交換が容易であ
るという優れた効果を奏する。また本発明においては、
混練物の被覆表面に酸化チタンを有することにより、そ
の水質浄化作用が効率的に行われる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて更に詳しく説明するが、本発明は、これのみによっ
て限定されるものではない。 【0011】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンク
リート部材は、骨材の表面に石灰質原料及び珪酸質原料
の混練物が被覆されており、この混練物は、オートクレ
ーブ養生後は、脱リン材としての作用を有すると共に、
骨材同士を固定する結合材としての役割をも果たす。こ
こで、「混練物が被覆され」とは、少なくとも骨材の表
面に混練物が存在し、これらが混練物によって結合して
いる状態であればよく、骨材間の混練物被覆の存在形態
には、特に限定されないが、骨材間に空隙を有するもの
が好ましい。石灰質原料としては、特に限定されるもの
ではないが、主にセメントが用いられ、その種類は特に
限定されるものではないが、ポルトランドセメント、高
炉セメントやシリカセメント等の混合セメントが好まし
い。 【0012】また珪酸質原料としては、珪砂、珪石、珪
藻土、白土の微粉末等が挙げられる。また骨材として
は、粗骨材及び細骨材が用いられ、粗骨材としては、砂
利、砕石等が挙げられる。細骨材としては、砂、砕石等
が挙げられる。本発明では、主として粗骨材を用いるこ
ともでき、更に必要に応じて細骨材を添加することもで
きる。 【0013】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンク
リート部材は、石灰質原料、珪酸質原料及び骨材を水と
混練し、該混練物を蒸気養生して硬化した後、オートク
レーブ養生することにより製造される。このオートクレ
ーブ養生の条件は、特に限定されるものではなく、通常
この技術分野において用いられる範囲でよく、好ましく
は、オートクレーブ室へ前記硬化体を入れて、温度15
0℃〜240℃、養生時間は2時間〜10時間で行われ
る。この際昇温速度は50℃/h〜80℃/hで、最高
温度170℃〜220℃が好ましい。 【0014】このようにして製造された脱リン用水質浄
化ポーラスコンクリート部材は、被覆表面にトバモライ
トもしくはゾノトライトが生成しており、これが水中の
リン成分と反応して被覆物表面で結晶成長することによ
り水質の浄化が行われる。この被覆表面とは、被覆の表
面はもちろんのこと、被覆内部の細孔乃至空隙の内面を
も含む意味に使用している。図1は、本発明の脱リン用
水質浄化ポーラスコンクリート部材の組織図であり、骨
材2の表面に脱リン材である被覆物3が被覆されてお
り、かつ骨材2間には、大小さまざまな空隙5が存在し
ている。 【0015】更にこの被覆中又は表面に酸化チタン粒子
を有する場合は、この酸化チタン粒子の光触媒反応(紫
外線)により有機質の分解が行われ、脱リンと同時に有
機物(BOD)の浄化が行われる。この酸化チタンとし
ては、通常の光触媒として用いられるものであれば、特
に限定されるものではないが、いわゆる二酸化チタンが
好ましい。本発明に用いられる二酸化チタンとしては、
ルチル、及びアナターゼのどちらの結晶形態を持つもの
でも良いが、活性の高いアナターゼ型二酸化チタンが好
ましい。またこれらの二酸化チタンは、二酸化チタンを
主成分とし、更に少量の酸化チタンが含有されていても
よい(以下二酸化チタンという)。この表面に化学結合
水又は/及び親水性のOHイオン又は/及び硫酸イオン
が存在しているものであって、この二酸化チタンの表面
積は、100〜300m2 /gである。酸化チタンの添
加量は、セメント100重量部に対して、酸化チタン粉
末10重量部〜100重量部が好ましい。 【0016】このようにして得られた脱リン用水質浄化
ポーラスコンクリート部材は、各種の形態で使用するこ
とができる。この形態は、任意の形状又は構造とするこ
とができる。本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンク
リート部材は、粒状体、塊状体の場合は、球状、楕円
球、立方体形、直方体形、断面三角形、多角球、テトラ
ポット形状、ピラミット形状、円錐台形状、四角錐形状
等の任意の形状とすることができる。 【0017】また脱リン用水質浄化ポーラスコンクリー
ト部材が板状、ブロック状または特定の構造物として用
いることもできる。板状のものとしては、タイル形状で
あり、ブロック状では、任意のブロック形状でよく、例
えば、根固め用ブロックを始め、河川や湖水の水際に設
置するグラスポット、円弧法枠ブロック、床張ブロック
等が挙げられる。また脱リン部材の大きさは、任意に形
成することができる。 【0018】更に、これらの脱リン用水質浄化ポーラス
コンクリート部材の形状乃至構造体の表面は、汚染水の
接触量を多くするために表面積を大きくすることが好ま
しく、したがって、その表面には凹凸を設けることが好
ましい。本発明に用いられる脱リン用水質浄化ポーラス
コンクリート部材の形状又は構造体は、従来公知の適宜
の方法で作製することができる。板状体やブロックの製
造の場合は、型枠による成形、押出成形等が好ましい。 【0019】〔作用〕本発明においては、石灰質原料と
珪酸質原料がオートクレーブ養生により反応してトバモ
ライトもしくはゾノトライトが生成し、これらのトバモ
ライトもしくはゾノトライトとリン成分が反応し、トバ
モライトもしくはゾノトライトの表面でリン成分が結晶
成長することにより水質浄化される。また二酸化チタン
を有する場合には、この光触媒作用(紫外線)により水
中の有機質が分解されて水質の浄化が行われる。 【0020】 【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げて説明する
が、本発明は、これに限定されるものではない。 【0021】〔参考例1〕普通セメント100重量部、
珪石微粉末79重量部、6号砕石1600重量部及び水
54重量部のうち、まず水以外の成分を強制攪拌型ミキ
サに投入して、30秒間空練りした後、水を投入して9
0秒間混練した。この混練物を鋼製型枠(直径10c
m、高さ20cm)に詰め、テーブルバイブレータで3
0秒間締め固めた。その後、蒸気養生槽に入れ、蒸気養
生を行った。蒸気養生の条件は、前置き時間3時間、昇
温勾配20℃/時、最高温度×保持時間が60℃×3時
間で、その後自然放冷した。 【0022】蒸気養生し、自然放冷後、脱型し、試験体
をオートクレーブ養生槽に入れた後、最高温度×保持時
間が180℃×8時間、10気圧で養生を行い、試験体
を得た。この試験体を塩化ビニル製のカラムに挿入した
後、このカラムに人工汚水(KH2 PO4 :P量を40
mg/リットルに調整したもの)を流速25ml/mi
nで循環させ、所要時間ごとに汚水のPの残留濃度を調
べた。試験結果を以下に示す。表1の濃度はmg/リッ
トル)である。 【0023】 【表1】 【0024】表1から明らかなように、本発明の脱リン
用水質浄化ポーラスコンクリート部材の場合は、比較の
ポーラスコンクリートが35.3(30分)mg/リッ
トルであるのに対して、本発明では、1.2(30分)
mg/リットルである点で、はるかに脱リン効果に優れ
ていることがわかる。 【0025】〔実施例1〕普通セメント100重量部、
珪石微粉末79重量部、6号砕石1600重量部、二酸
化チタン50重量部及び水90重量部のうち、まず水以
外の成分を強制攪拌型ミキサに投入して、30秒間空練
りした後、水を投入して90秒間混練した。得られた混
練物を参考例1と同様にして試験体を作製した。更に実
施例1に記載の試験方法で試験したところ、優れた脱リ
ン効果と共に、二酸化チタンの光触媒作用により水中の
有機質を分解し、優れた水質浄化効果が得られた。また
脱リン材の交換も容易であった。 【0026】〔参考例2〕雨水の流路となる河川の水際
の土手に、図2で断面図で示される円弧法枠ブロックの
単位を、型枠成形により、参考例1に記載の混練物を用
いて作製した。このブロックの単位を組み合わせて形成
されたブロック体を敷設した。雨水がリンを含んで水際
に設置された脱リン用水質浄化コンクリート部材に接触
すると、ここで脱リンされ、水質浄化がなされた。 【0027】 【発明の効果】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコン
クリート部材は、石灰質原料、珪酸質原料及び光触媒作
用を有する酸化チタンの混練物が被覆された骨材で構成
されているポーラスコンクリートからなり、この被覆物
の表面にトバモライトもしくはゾノトライトが存在して
いることにより、ポーラスコンクリート部材に優れた脱
リン作用を付与することができるばかりでなく脱リン作
用に悪影響を与えることなく有機物(BOD)の浄化が
得られると共に製造が容易で、経済的かつ交換が容易で
あるという優れた効果を奏する。また本発明において
は、混練物の被覆表面に酸化チタンを有することによ
り、その水質浄化作用が効率的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンクリー
ト部材の組織を示す断面図である。 【図2】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンクリー
ト部材からなるブロック単位を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 脱リン用水質浄化ポーラスコンクリート部材 2 骨材 3 被覆 4 空隙 5 円弧法枠ブロック単位
ト部材の組織を示す断面図である。 【図2】本発明の脱リン用水質浄化ポーラスコンクリー
ト部材からなるブロック単位を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 脱リン用水質浄化ポーラスコンクリート部材 2 骨材 3 被覆 4 空隙 5 円弧法枠ブロック単位
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
E02B 3/14 ZAB E02B 3/14 ZAB
//(C04B 28/18 C04B 14:30
14:30)
(72)発明者 末永 博茂
埼玉県大宮市北袋町一丁目297番地 三
菱マテリアル株式会社 セメント研究所
内
(72)発明者 松本 忠司
埼玉県大宮市北袋町一丁目297番地 三
菱マテリアル株式会社 セメント研究所
内
(56)参考文献 特開 平3−114592(JP,A)
特開 平8−276198(JP,A)
特開 平6−339682(JP,A)
特開 平8−24666(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C02F 1/58
C02F 1/70 - 1/78
C02F 1/28
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】石灰質原料、珪酸質原料及び光触媒作用を
有する酸化チタンの混練物が被覆された骨材で構成され
ているポーラスコンクリートからなり、この被覆物の表
面にトバモライトもしくはゾノトライトが存在している
ことを特徴とする脱リン用水質浄化ポーラスコンクリー
ト部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36010497A JP3480668B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 脱リン用水質浄化ポーラスコンクリート部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36010497A JP3480668B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 脱リン用水質浄化ポーラスコンクリート部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11188377A JPH11188377A (ja) | 1999-07-13 |
JP3480668B2 true JP3480668B2 (ja) | 2003-12-22 |
Family
ID=18467922
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36010497A Expired - Fee Related JP3480668B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 脱リン用水質浄化ポーラスコンクリート部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3480668B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2002274965A (ja) * | 2001-03-12 | 2002-09-25 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | ポーラスコンクリート |
KR100493853B1 (ko) * | 2002-11-06 | 2005-06-08 | 동산콘크리트산업(주) | 재생골재를 이용한 접촉산화수처리조 |
JP5194249B2 (ja) * | 2004-03-29 | 2013-05-08 | 国立大学法人広島大学 | 複合多孔体およびその製造方法、並びにこれを用いた有機物質変換方法 |
JP2008246392A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Hiroshima Univ | 微粒子含有複合体及びその製造方法 |
-
1997
- 1997-12-26 JP JP36010497A patent/JP3480668B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11188377A (ja) | 1999-07-13 |
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