JP3478025B2 - 内燃機関組立不良検査方法 - Google Patents

内燃機関組立不良検査方法

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JP3478025B2 JP29255396A JP29255396A JP3478025B2 JP 3478025 B2 JP3478025 B2 JP 3478025B2 JP 29255396 A JP29255396 A JP 29255396A JP 29255396 A JP29255396 A JP 29255396A JP 3478025 B2 JP3478025 B2 JP 3478025B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組み立てられた内
燃機関の組立状態を検査する内燃機関組立検査方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関(以下、単に、エンジンと称す
る)の組立てが完了した時点において、エンジン各部の
欠品,各構成要素間の作動タイミングのずれ等の組立不
良が発生していないことが、そのエンジンに設計通りの
性能を発揮させるために必要である。このようなエンジ
ンの組立状態における検査方法の一つが米国特許明細書
第5,355,713号に記載されている。この検査方
法は、内燃機関を燃料の燃焼を伴うことなく回転させ、
排気側または吸気側の圧力波形を検出し、その検出した
圧力波形を正常な内燃機関の対応する圧力波形と比較す
ることにより、組立不良の有無を検査するものである。
圧力波形の比較を、圧力波形の特徴の比較によって行う
ことが記載されており、その特徴として、圧力波形の正
圧を示す部分と負圧を示す部分との少なくとも一方の振
幅を採用することが記載されている。また、正常な内燃
機関の排気側の圧力が、予め定められた値を超えるクラ
ンクシャフトの回転位相(クランク角と称する)と同じ
回転位相における検査すべき内燃機関の排気側の圧力が
同じ値を超えない場合には、クランクシャフトの組立不
良が発生したとすることも記載されている。以上に例示
したように、上記米国特許明細書に記載された内燃機関
の検査方法は、排気側または吸気側の圧力の極大値,極
小値や特定のクランク角における値等の特定値を正常な
内燃機関の対応する特定値と比較することにより、内燃
機関の組立不良を発見する方法なのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】また、上記米国特許明
細書には、内燃機関の個々のシリンダの排気側と吸気側
とのいずれか一方の圧力波形に基づいて組立不良を検出
することが記載されているのみである。さらに、1種類
の組立不良が発見された場合には、検査が終了させられ
るようになっており、したがって、1台の内燃機関に複
数種類の組立不良が発生した場合に、それら複数種類の
組立不良を検出することができない。
【0004】本発明は、以上の事情を背景としてなされ
たものであり、請求項1に係る第一発明の課題は、上記
米国明細書に記載された方法とは異なる方法により組立
状態にある内燃機関の組立不良を発見することを可能に
することである。請求項2に係る第二発明の課題は、第
1バンクと第2バンクとを備えた内燃機関において、そ
れら両バンクのそれぞれに独立に発生し得る組立不良を
良好に検出することであり、請求項3に係る第三発明
と、請求項4に係る第四発明との課題は、組立不良を容
易かつ正確に検出することである。また、請求項5に係
る第五発明の課題は、特に発生し易い組立不良を容易に
検出することである。
【0005】
【課題を解決するための手段,作用および発明の効果】
第一発明に係る内燃機関の組立不良検査方法は、上記課
題を解決するために、各々吸気バルブと排気バルブとを
有する複数のシリンダを備えた内燃機関を回転させ、各
吸気バルブより外においてその吸気バルブと連通する吸
気側空間と各排気バルブより外においてその排気バルブ
と連通する排気側空間との少なくとも一方の圧力の予め
定められた変化状態における圧力値とその変化状態の発
生時期との少なくとも一方を、前記複数のシリンダのう
ちの少なくとも2つについて検出し、その少なくとも2
つのシリンダの圧力値と発生時期との少なくとも1つ同
士を比較し、不一致のときに当該内燃機関に組立不良が
存在すると判定するものとされる。
【0006】吸気側空間と排気側空間との圧力(それぞ
れ、単に、吸気側圧力,排気側圧力と称する)の予め定
められた特定の変化状態の発生時期は、ピストンのシリ
ンダ内における直線往復運動に伴って変動するシリンダ
内の圧力と、吸気および排気バルブが開閉する時期とに
よって変わる。シリンダ内の圧力は、ピストンが上死点
に近づくほど高圧になり、逆に、下死点に近づくほど低
圧になる。レシプロカルエンジンでは、吸気および排気
バルブが閉じられている状態から、まず、排気バルブが
開きはじめ、続いて、吸気バルブが開きはじめる。そし
て、排気バルブが閉じられた後に、吸気バルブが閉じら
れる。この1サイクル内において、例えば、後に発明の
実施の形態において説明するように、吸気バルブが開き
始める時期が正常な内燃機関におけるよりも早まる(ク
ランク角が小さい)場合には、排気側圧力の極大値が小
さくなるとともにその極大値に達する時期が早まる(ク
ランク角が小さくなる)。逆に、吸気バルブが開き始め
る時期が正常な内燃機関におけるよりも遅れる(クラン
ク角が大きい)場合には、排気側圧力の極大値が大きく
なるとともにその極大値に達する時期が遅れる。したが
って、例えば、排気側圧力が極大値に達する時期を知れ
ば、クランク角と吸気バルブの開閉時期との相対関係を
知ることができる。組立不良によりクランクシャフトと
カムシャフトとの位相ずれが発生したことが判るのであ
る。また、例えば、排気バルブの開閉時期がクランク角
に対して相対的に変化すれば、吸気側圧力の変化状態に
影響するため、特定の変化状態の発生時期からクランク
シャフトとカムシャフトとの位相ずれの発生を検出する
ことができる。このように、吸気側圧力と排気側圧力と
の少なくとも一方の圧力の予め定められた変化状態にお
ける圧力値とその変化状態の発生時期との少なくとも一
方を知ることによって、エンジンを分解することなく、
その組立不良の発生を検出することができる。
【0007】本発明の内燃機関組立不良検査方法におい
ては、予め定められた変化状態における圧力値とその変
化状態の発生時期との少なくとも一方を、少なくとも2
つのシリンダ同士で比較することにより、エンジンの組
立不良が検出される。例えば、ある1つのシリンダに組
立不良が発生している場合は、正常に組み立てられてい
るシリンダとの間に、予め定められた変化状態における
圧力値に差異が生じる場合がある。その差異が検出され
た場合は、少なくともそれら2つのうちのいずれかに組
立不良が発生していると判定できる。さらに、より多く
のシリンダ同士で対応する圧力値の比較を行えば、各シ
リンダの組立状態に関する情報がより多く得られること
となり、組立不良が発生しているシリンダを正しく特定
できる可能性が大きくなる。このような方法によれば、
クランク角の値を知る必要がないので、検査装置の構成
を簡略化できる。なお、ここでいう比較は、各シリンダ
毎に取得される複数の検出値の組からなるパターンと、
他のシリンダのそれとの間に差異があるか否かを判定す
ることも含む概念であり、この場合の一致とは、それら
各パターンを構成する各検出値の対応するもの同士のす
べてに差異が認められないことである。
【0008】なお、本発明の内燃機関組立不良検査方法
において、予め定められた特定の変化状態における個々
のシリンダに関する吸気側圧力や排気側圧力の値を、正
常組立状態におけるそれらの値と比較して組立不良を検
出することが排除されるわけではない。例えば、排気側
圧力の極大値の値と、正常組立状態である場合の値との
比較結果が参酌されてもよい。また、検査すべき内燃機
関はそれ自体における燃料の燃焼により回転させること
も、別の回転駆動装置に連結して回転させることも可能
である。前者をファイアリング検査、後者をモータリン
グ検査と称する。一般に、モータリングによる方がファ
イアリングによるより容易である。エンジン自身の爆発
のエネルギによる運転を行わせるには、燃料の供給や、
排気ガスの処理等の手間がかかる。また、取得される吸
気側および排気側圧力の値により多くのノイズが含まれ
る。別の回転駆動装置によってエンジンを回転させる場
合にはこのような問題が軽減され、組立状態の検査をよ
り簡単に行うことができる。
【0009】第二発明においては、前記課題が、前記内
燃機関が第1バンクと第2バンクとを備える場合に、第
一発明における前記比較を第1バンクの少なくとも1つ
のシリンダと第2バンクの少なくとも1つのシリンダと
の間で行うことにより解決される。例えば、2つのバン
クを備えるV型エンジンの一方のバンクのカムシャフト
の位相ずれが発生すると、カムシャフトの位相ずれが生
じているバンクに含まれるシリンダとそのバンクに含ま
れないシリンダとでは、予め定められた変化状態におけ
る圧力値およびその変化状態の発生時期の少なくとも一
方への影響の仕方が異なる。本発明の内燃機関組立不良
検査方法によれば、このような各バンクごとに発生する
可能性がある組立不良の検出を良好に行うことができ
る。
【0010】第三発明においては、前記課題が、第一ま
たは第二発明に係る組立不良検査方法において、前記比
較を、前記圧力値と発生時期との少なくとも一方の検出
値の平均値と各シリンダの圧力値と発生時期との少なく
とも一方との間で行うことにより解決される。また、第
四発明においては、前記課題が、第一ないし第三発明の
いずれかに係る組立不良検査方法を、前記圧力値と発生
時期との少なくとも一方の検出値について、互いに近い
ものをそれぞれ一群とする群分けを行い、前記比較をそ
れら群間で行うものとすることにより解決される。各シ
リンダごとに検出される前記圧力値と発生時期とは、い
ずれも大小様々な大きさで変動する可能性がある。これ
ら変動は、何らかの組立不良の影響によるものと、単な
る検出誤差によるものとを共に含み得る。それらのう
ち、後者による影響はできる限り除去されることが望ま
しい。第三発明および第四発明の内燃機関組立不良検査
方法によれば、これらの影響を低減でき、組立状態の検
査を精度良く行い得る。
【0011】第五発明においては、前記課題が、第一な
いし第四発明のいずれかに係る組立不良検査方法におい
て、前記複数のシリンダのすべてについて前記予め定め
られた変化状態の発生時期を検出し、それら複数のシリ
ンダの爆発順序において互いに相前後するもの同士の発
生時期の間隔同士を比較することにより解決される。後
に発明の実施の形態において説明するように、複数のシ
リンダの爆発順序において互いに相前後するもの同士の
発生時期の間隔同士を比較するという簡単な方法によっ
て、特に発生しやすい組立不良を容易に検出することが
できる。このような組立不良としては、例えば、吸排気
バルブのバルブクリアランス不良がある。また、被検査
エンジンが第1バンクと第2バンクとを含む場合は、さ
らに、カムプーリ検査,ドリブンギヤ検査等が可能とな
る。
【0012】
【発明の望ましい実施態様】本発明は上記各請求項に記
載の態様の外に、下記の態様でも実施可能である。実施
の態様は、便宜上、請求項と同じ形式の実施態様項とし
て記載する。ただし、複数の請求項または実施態様項に
従属する実施態様項にさらに従属する実施態様項は、そ
れら複数の請求項または実施態様項のすべてについて読
み得るとは限らず、論理的に矛盾を生じない項のみにつ
いて読まれるべきものとする。 (1)前記圧力値と発生時期との少なくとも一方の検出
を前記複数のシリンダのすべてについて行う請求項1な
いし5のいずれか1つに記載の内燃機関組立不良検査方
法。 (2)前記圧力値と発生時期との少なくとも一方の検出
値について、互いに近いものをそれぞれ一群とする群分
けを行い、前記比較をそれら各群に含まれる前記検出値
同士で行うことを特徴とする請求項1ないし5,実施態
様項1のいずれか1つに記載の内燃機関組立不良検査方
法。 (3)前記複数のシリンダのすべてについて前記予め定
められた変化状態における圧力値を検出し、それら複数
のシリンダの爆発順序において互いに相前後するもの同
士の前記圧力値同士を比較することを特徴とする請求項
1ないし5,実施態様項1または2のいずれか1つに記
載の内燃機関組立不良検査方法。 (4)前記予め定められた変化状態が、前記排気側空間
の圧力値が極大となる状態である排気側圧力極大状態,
前記排気側空間の圧力値が変化しない状態である排気側
圧力不変化状態,前記排気側空間の圧力値が変化しない
状態から減少し始める状態である排気側圧力減少開始状
態,前記吸気側空間の圧力値が極大値となる状態である
吸気側圧力極大状態および前記吸気側空間の圧力値が変
化しない状態から増大し始める状態である吸気側圧力増
大開始状態のうちの少なくとも1つを含むことを特徴と
する請求項1ないし5,実施態様項1ないし3のいずれ
か1つに記載の内燃機関組立不良検査方法。 (5)前記予め定められた変化状態における圧力値が、
前記排気側圧力極大状態における排気側圧力である排気
側圧力極大値と前記排気側圧力不変化状態における排気
側圧力である排気側圧力不変化値との少なくとも一方を
含むことを特徴とする実施態様項4に記載の内燃機関組
立不良検査方法。 (6)前記予め定められた変化状態の発生時期が、前記
排気側圧力極大状態の発生時期である排気側圧力極大値
到達時期,前記排気側圧力不変化状態の発生時期である
排気側圧力不変化状態移行時期,前記排気側圧力減少開
始状態の発生時期である排気側圧力減少開始時期,前記
吸気側圧力極大状態の発生時期である吸気側圧力極大値
到達時期および前記吸気側圧力増大開始状態の発生時期
である吸気側圧力増大開始時期のうちの少なくとも1つ
を含むことを特徴とする実施態様項4または5に記載の
内燃機関組立不良検査方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本願の各発明の実施形態で
あるエンジン組立不良検査方法を、その実施に好適なエ
ンジン検査装置と共に説明する。図1は、エンジンの一
例としてのV型6気筒DOHCガソリンエンジン(以
下、単にV6エンジンと称する)の主たる作動部を示す
透視図である。この種のエンジンにおいては、ピストン
10,12等の図示しないシリンダ内における往復運動
が、それぞれ対応するコネクティングロッド14を介し
てクランクシャフト18の回転運動に変換され、そのク
ランクシャフト18の回転力が動力として外部に取り出
される。このエンジンの運転を継続させるために、クラ
ンクシャフト18の回転角に連携して各排気および吸気
バルブを含む動弁系が作動させられる。なお、ピストン
10およびピストン12は、V6エンジンの第1バンク
たる左側バンクおよび第2バンクたる右側バンクのそれ
ぞれ3つずつのピストンを代表して図示されている。
【0014】本実施形態のV6エンジンにおいては、ク
ランクシャフト18に取り付けられたクランクプーリ2
0、タイミングベルト22、左側および右側バンクのカ
ムプーリ24,26、カムプーリ24,26がそれぞれ
取り付けられた排気側カムシャフト28,30、吸気側
カムシャフト32,34、排気側カムシャフト28,3
0にそれぞれ取り付けられたドライブギヤ36,38、
吸気側カムシャフト32,34にそれぞれ取り付けられ
たドリブンギヤ40,42等を主たる構成要素としてカ
ムシャフト回転機構44が構成されている。また、各カ
ムシャフトの複数のカム46と、その回転によって開閉
させられる排気バルブ48および吸気バルブ50を主た
る要素として動弁系52が構成されている。
【0015】クランクシャフト18が回転させられる
と、クランクプーリ20、タイミングベルト22、左側
および右側バンクのカムプーリ24,26および排気側
カムシャフト28,30等を介して排気バルブ48およ
び吸気バルブ50が作動させられる。したがって、タイ
ミングベルト22が弛むと、各バルブの開閉タイミング
が変動することとなり、これを抑えるため、図示しない
オートテンショナを備えたベルトアイドラ54が設けら
れている。また、オートテンショナを備えないベルトア
イドラ56,58も取り付けられている。これらベルト
アイドラ54〜58は、タイミングベルト22と、クラ
ンクプーリ20およびカムプーリ24,26との歯の噛
合い数を多くする上で有効である。各吸気側カムシャフ
ト32,34には、それぞれ所謂シザーズギヤ60,6
2が相対回転可能に取り付けられている。シザーズギヤ
60,62はそれぞれドリブンギヤ40,42と組み合
わされ、図示しないばね部材によりドリブンギヤ40,
42に対して相対回転するように付勢されており、ドリ
ブンギヤ40,42とドライブギヤ36,38との噛合
いのバックラッシュを抑え、エンジンの騒音を低減させ
る。
【0016】クランクシャフト18の回転角と、各排気
バルブ48および吸気バルブ50の開閉時期とは、正確
に対応させられる必要がある。本実施形態における被検
査エンジンとしてのV6エンジンは4サイクルのガソリ
ンエンジンであるので、クランクプーリ20の歯数と各
カムプーリ24,26の歯数とが、1対2とされてい
る。クランクプーリ20の歯数が24枚、各カムプーリ
の歯数が48枚とされているのである。また、ドライブ
ギヤ36,38とドリブンギヤ40,42との歯数は1
対1であり、それぞれ40枚とされている。
【0017】エンジン組立時において、クランクシャフ
ト18の回転角と各排気バルブ48および吸気バルブ5
0の開閉のタイミングとを整合させるために、クランク
プーリ20およびカムプーリ24,26と、タイミング
ベルト22とに、位相合わせ用のマークを設けて、これ
らの位相合わせマークを、図1の拡大部に示すように一
致させて組立てが行われるようにされている。ドライブ
ギヤ36,38と、ドリブンギヤ40,42とについて
も同様である。この位相合わせが正しく行われていない
と、クランクシャフト18の回転角と、各バルブの開閉
タイミングとの関係が崩れる。例えば、クランクプーリ
20とタイミングベルト22との位相合わせマークが1
歯分ずれて、図2の拡大図に示すように、クランクプー
リ20が1歯進んだ位相ずれの状態(以下、クランクプ
ーリ1歯進みと称する)では、ピストン10,12等の
シリンダ内における位置と、各バルブの開閉タイミング
との関係が崩れ、クランクシャフト18の回転角で36
0/24=15度だけ各バルブの開閉タイミングが、ピ
ストン10,12等の位置に対して遅れることとなる。
【0018】カムプーリ24と、タイミングベルト22
とが1歯分ずれて、図2の拡大図に示すように、カムプ
ーリ24が1歯進んだ位相ずれの状態(以下、カムプー
リ1歯進みと称する)では、排気側カムシャフト28の
回転角で360/48=7.5度だけ各バルブの開閉タ
イミングが、ピストン10,12等の位置に対して進む
こととなる。また、ドライブギヤ38と、ドリブンギヤ
42とが1歯分ずれて、図2の拡大図に示すように、ド
リブンギヤ42が1歯進んだ位相ずれの状態(以下、ド
リブンギヤ1歯進みと称する)では、吸気側カムシャフ
ト34の回転角で360/40=9度だけ各バルブの開
閉タイミングが、ピストン10,12等の位置に対して
進むこととなる。上述の位相合わせ不良は、カムプーリ
20等の1歯進みについてのみ例示したが、これらが遅
れることもある。また、2歯以上の進み/遅れが生じる
ことも極めてまれにある。本願の発明は、このような2
歯以上の進み/遅れに対しても適用可能であるが、以下
においては説明を簡潔にするために1歯進み/遅れのみ
が生じるものとる。なお、クランクシャフト18とクラ
ンクプーリ20とが接続されている部分の構造は、相対
位相がずれた状態で組み立てられることがないようにさ
れるのが普通である。したがって、クランクプーリ1歯
進み/遅れ状態においても、クランクシャフト18とク
ランクプーリ20との相対位相がずれる訳ではない。各
排気側カムシャフトとカムプーリとの相対位相、各吸気
側カムシャフトとドリブンギヤとの相対位相も同様であ
る。
【0019】エンジンが所期の性能を発揮するために
は、クランクシャフト18の回転角と、各排気バルブ4
8および吸気バルブ50の開閉タイミングとが、設計通
りの関係となっていなければならない。このために、上
記位相合わせマークによるカムシャフト回転機構44の
組立整合に加えて、動弁系52を構成する排気側カムシ
ャフト28,30の回転角と、対応する各排気バルブ4
8の開閉タイミングとが、また、吸気側カムシャフト3
2,34の回転角と、対応する各吸気バルブ50の開閉
タイミングとが、設計通りの関係でなければならない。
これらの関係は、バルブクリアランスによって左右され
る。エンジン組立不良によるバルブクリアランスの異常
は、厚さが正しくないシム72が装着されたり、弁座部
材74がシリンダヘッド76に正しくはめ込まれていな
かったり等によって生じる。バルブクリアランスとは、
図3に示すように、カム46と、リフタ70との間に装
着されるシム72との最大クリアランスである。例え
ば、バルブクリアランスが正常品に対して大きい場合に
は、各バルブが開かれるタイミングが正常品に対して遅
くなり、閉じるタイミングが早くなる。バルブクリアラ
ンスが正常品に比して小さい場合には、その逆となる。
【0020】つぎに、第一ないし第五発明の内燃機関組
立不良検査方法の実施に共通に使用されるエンジン検査
装置の構成を説明する。図4はエンジン検査装置の概念
図である。検査の対象となる被検査エンジン90(簡単
化のため、左側バンクのみ図示されている)は、シリン
ダヘッド76に取り付けられ、シリンダヘッド76内部
の各シリンダ毎の吸気ポート92とそれぞれ連通する左
側および右側バンクにそれぞれ設けられた吸気マニホー
ルド94と、それら2つの吸気マニホールド94と連通
する1つのサージタンク96とを備えており、本検査装
置は、サージタンク96内の圧力を計測する圧力センサ
98と、シリンダヘッド76の内部に形成された各シリ
ンダ毎の排気ポート100を外部から遮断するために取
り付けられるカバー部材102と、遮断をより確実にす
るために用いられるシール部材としてのOリング104
と、排気ポート100の内部の圧力を計測する圧力セン
サ106と、それら圧力センサ98,106の出力信号
をそれぞれ増幅するアンプを含むA/D変換器110,
112と、クランク角センサ114と、検査制御装置1
19とを主たる構成要素として構成されている。
【0021】検査制御装置119は、図示しないマイク
ロコンピュータと表示器118とを備えている。マイク
ロコンピュータが、上記A/D変換器110,112お
よびクランク角センサ114からの信号に基づいてエン
ジンの組立状態を判定する判定器117を構成してお
り、その判定器117の判定結果が表示器118に表示
されるようになっているのである。なお、吸気側の圧力
を計測する圧力センサ98は、すべてのシリンダに共通
のサージタンク96に1つ取り付けられているのに対し
て、排気側の圧力を計測する圧力センサ106は、各シ
リンダに独立に取り付けられる。したがって、A/D変
換器110は1つでよいが、A/D変換器112は、被
検査エンジン90のシリンダ数と同数だけ必要である。
このように本実施形態においては、吸気ポート92,吸
気マニホールド94およびサージタンク96の内部の空
間が、吸気側空間とされ、排気ポート100の内部が排
気側空間とされて、排気側空間が、排気ポート100の
シリンダヘッド76の外部へ開口する部分を閉塞位置と
して閉塞されている。吸気側空間は閉塞されていない
が、吸気側空間が閉塞される形態としてもよい。また、
吸気ポート92のみや、吸気ポート92と吸気マニホー
ルド94との内部の空間を吸気側空間とすることも可能
である。前者の場合には、各シリンダ毎に圧力センサ9
8が必要となり、後者の場合には、吸気マニホールド9
4の数だけ圧力センサ98が必要となる。
【0022】被検査エンジン90は、図5に示すよう
に、ベース120上に固定され、駆動用カップリング1
22、駆動軸124を介してクランクシャフト18に連
結されるモータ125によって正確に一定速度で回転さ
せられる。駆動軸124は、ベアリング126,128
によって支持されており、それら2つのベアリング12
6,128とモータ125とは、ベース120に固定さ
れている。このモータ125が検査制御装置119によ
って回転させられることによる上記圧力センサ98,1
06の出力の変動を検出することによってエンジンの組
立状態が検査される。
【0023】上述のように被検査エンジン90がモータ
125によって回転させられると、クランク角の変化に
伴って各バルブが開閉させられる。モータ125の回転
速度が一定となり、各シリンダ内の圧力の変化が定常的
になると、各圧力センサ98,106の出力(それぞれ
単に、吸気側圧力PIN,排気側圧力PEXと称する)は、
被検査エンジン90が良品であるものとすれば、図6に
示すように変化する。図6は、ある1つのピストン、例
えばピストン10のシリンダ内における位置(単に、ピ
ストン位置PPと称する)、そのピストンの排気側圧力
EX、各ピストンに共通の吸気側圧力PINの変化を示し
たものである。このピストン10を、単に、ピストン#
1と称する。被検査エンジン90はV6エンジンであ
り、左側バンクの3つのピストンはピストン#1,#
3,#5、右側バンクの3つのピストンはピストン#2
(ピストン12に相当する),#4,#6の順に、それ
ぞれ各バンク内において並んでいる。このV6エンジン
がシリンダ内の爆発エネルギによって自力回転させられ
る際には、例えばピストン#1〜#6の順に爆発させら
れる。
【0024】まず、排気側圧力PEXの変化を説明する。
クランクシャフト18がモータ125の作動によって回
転させられて、クランク角θcrank が角度θEXopenにな
ると、ピストン#1に対応する排気バルブ48が開きは
じめる。このとき、ピストン#1は下死点BDCに向か
って移動中であり、排気ポート100内の空気がシリン
ダに吸入されはじめるので、一定の圧力であった排気側
圧力PEXが減少しはじめる。この一定の圧力を排気側圧
力不変化値PEXconst 、排気側圧力PEXが減少しはじめ
るクランク角θcrank =θEXopenを排気側圧力減少開始
角θEXdec と称する。ピストン#1が下死点BDCを通
過し、排気バルブ48が開かれた時点と同じ位置にまで
戻された後は、シリンダおよび排気ポート100内の空
気が圧縮されるので、排気側圧力PEXは上昇しはじめ、
クランク角θcrank がθINopenとなって吸気バルブ50
が開きはじめる時点で排気側圧力極大値PEXmax とな
る。このときのクランク角θcrank =θINopenを排気側
圧力極大値到達角θEXmax と称する。吸気バルブ50が
開かれると排気側圧力PEXが急激に減少するが、この減
少はクランク角θcrank =θEXclose において排気バル
ブ48が閉じられることにより停止し、排気側圧力PEX
は変化しなくなる。その意味で、クランク角θ crank
θEXclose を排気側圧力不変化状態移行角θEXconst
称し、排気バルブ48が閉じられている期間中の排気側
圧力PEXを排気側圧力不変化値PEXcons t と称する。ク
ランク角θcrank がさらに進んで、θINclose となると
吸気バルブ50が閉じられる。なお、以下の説明の便宜
上、図6に示した正常組立状態での排気側圧力極大値P
EXmax の大きさを100として、他の圧力を相対値で表
す。例えば、正常組立状態での排気側圧力不変化値P
EXconst は、約10となる。なお、モータ125の回転
数は任意であり、必要に応じて回転数を変化させてエン
ジン組立検査を行ってもよい。
【0025】排気側圧力PEXが各シリンダ毎に独立に取
得されるのに対して、吸気側圧力P INは1つの圧力セン
サ98によって全シリンダの共通データとして取得され
る。図6に示した例において、ピストン#1〜#6の各
吸気バルブ50の状態変化に起因して吸気側圧力PIN
変化している箇所を、ピストン番号#1〜#6で示す。
これら6つの箇所は、クランク角θcrank が0〜720
度である1サイクル内において1回ずつ等間隔で出現す
る。以下、ピストン#1に対応する吸気バルブ50の状
態変化に起因する吸気側圧力PINの変化を代表的に説明
する。
【0026】クランク角θcrank がθINopenになると、
吸気バルブ50が開きはじめるのでシリンダおよび排気
ポート100内の圧縮状態にある空気が吸気マニホール
ド94へ流れ、吸気マニホールド94内の圧力が上昇し
はじめる。この時期には、吸気マニホールド94内の空
気がピストン#6に対応するシリンダに吸入されつつあ
るが、この吸入流量よりシリンダおよび排気ポート10
0からの空気の流出流量の方が大きいため、吸気マニホ
ールド94内の圧力が上昇しはじめるのであり、この上
昇開始時点のクランク角θcrank を吸気側圧力増大開始
角θINinc と称する。そして、ピストン#1の位置PP
が上死点TDCに達する時点近傍で、シリンダおよび排
気ポート100内の圧力低下と排気バルブ48のバルブ
クリアランス減少とにより空気の流出流量が減少して、
ピストン#6のシリンダへの吸入流量とバランスし、そ
れ以後吸入流量より小さくなるため、吸気側圧力PIN
極大値が現れる。この時点のクランク角θcrank を吸気
側圧力極大値到達角θINma x と称する。ピストン#1の
位置PPが上死点TDCに達した後は、ピストン#1の
シリンダ容積が増加しはじめることも吸気側圧力PIN
減少を促進する。図6に示した吸気側圧力PINの変化
は、概略以上に説明した変化が等間隔(クランク角θ
crank で120度毎)で繰り返されたものである。
【0027】図7は、被検査エンジン90が正常に組み
立てられている場合において、上述の各シリンダ毎に独
立に取得された排気側圧力PEXとクランク基準信号との
変化を、クランク角θcrank を横軸として示したグラフ
である。なお、クランク基準信号は、クランク角センサ
114から出力される信号であり、本実施形態の被検査
エンジン90においては、1サイクルに2回、つまり、
クランク角θcrank が720度変化する毎に2回出力さ
れるパルス信号である。なお、本実施形態の被検査エン
ジン90のクランク角センサ114は、クランクプーリ
20と一体的に構成された図示を省略するタイミングロ
ータの外周1か所に形成された被検出部とその被検出部
の通過を検出する電磁ピックアップ等のピックアップと
を含むものである。ただし、クランク角センサ114が
このような形態とされることは、本願の発明のエンジン
検査方法を実施するにあたって必須の事項ではない。最
近の殆どのエンジンには、取付個所は種々に異なるもの
のクランク角センサ114に相当するセンサが設けられ
ているが、このようなセンサが設けられていない場合に
は、例えば、反射型光電スイッチや近接スイッチ等を用
いて、回転中のクランクプーリ20,クランクシャフト
18の特定位相を検出し得る構成としてもよい。なお、
クランク基準信号は、クランク角の値をさらに精度よく
検出できる信号とされてもよい。例えば、クランクシャ
フト18にエンコーダやレゾルバ等の回転角検出用セン
サを取り付け、その出力をクランク基準信号としてもよ
い。このようなセンサの出力と、時々刻々変化する排気
側圧力PEXおよび吸気側圧力P INの値とが対応付けられ
た状態で取得されるようにするのである。このことによ
り、モータ125により回転させられるクランクシャフ
ト18の回転速度がばらつくことがあっても、圧力の測
定精度を良好に保つことができる。図7から明らかなよ
うに、各排気側圧力PEXは、クランク角θcrank で12
0度ずつずれているが、ほとんど同じ変化を示す。これ
が、前記クランクプーリ進み/遅れ,カムプーリ進み/
遅れ,ドリブンギヤ進み/遅れ,バルブクリアランス大
/小およびコンプレッションリングの欠落が、いずれも
発生していない状態である。
【0028】前記判定器117は、クランク角センサ1
14からのクランク基準信号の発生時間間隔を計測し、
時間間隔が実質的に一定になることにより被検査エンジ
ン90の回転速度が一定になったことを検出する機能を
有している。また、一定微小時間毎にA/D変換器11
0,112を介して圧力センサ98,106の圧力検出
値を読み込み、その圧力検出値の変化状態を解析して、
上記排気側圧力不変化値PEXconst ,その排気側圧力不
変化値PEXconst の減圧開始,排気側圧力極大値P
EXmax ,排気側圧力PEXの排気側圧力不変化値P
EXconst への移行,吸気側圧力PINの増圧開始,吸気側
圧力PINの極大値等、特定圧力変化状態を検出するとと
もに、それら特定圧力変化状態の発生時期を検出する機
能と、各特定圧力変化状態の発生時点に対応するクラン
ク角θcrank を特定する機能、すなわち、クランク基準
信号の発生時間間隔の2倍がクランクシャフト18の7
20度の回転角度に対応するとして、排気側圧力減少開
始角θEXdec ,排気側圧力極大値到達角θEXmax ,排気
側圧力不変化状態移行角θEXconst ,吸気側圧力増大開
始角θ INinc ,吸気側圧力極大値到達角θINmax 等を特
定する機能とを有している。これらの機能は、波形解析
技術としてよく知られているものであり、かつ、その詳
細は本発明を理解する上で不可欠ではないため、詳細な
説明は省略する。
【0029】つぎに、前記各組立不良が発生した場合の
排気側圧力PEXまたは吸気側圧力P INの変化を説明す
る。なお、以下の説明において上記各組立不良が発生し
た場合の圧力およびクランク角の値を示す記号に
は”′”を付して、正常組立状態における圧力およびク
ランク角と区別することとする。まず、吸気バルブのバ
ルブクリアランス不良について説明する。図8は、1つ
のシリンダの2つの吸気バルブ50のバルブクリアラン
スが共に正常である場合と、一方のバルブクリアランス
が小さい場合との排気側圧力PEXの変化を重ねて示すグ
ラフである。実線で示した方が吸気バルブクリアランス
が正常な状態であり、破線が吸気バルブクリアランスが
小さい状態である。前者を正常組立状態、後者を吸気バ
ルブクリアランス小状態と称する。吸気バルブクリアラ
ンス小状態においては、吸気バルブ50が早く開き始め
るため、排気側圧力極大値到達角θ EXmax ′が、正常組
立状態のそれ(θEXmax )に比して小さくなる。正常組
立状態と吸気バルブクリアランス小状態とにおける排気
側圧力極大値到達角の差(θ EXmax ′−θEXmax )を排
気側圧力極大値到達角差Γと称することとする。排気側
圧力極大値到達角差Γは、バルブクリアランスが正常組
立状態に比して小さいほど小さく(負の値であるから絶
対値が大きく)なる。
【0030】また、吸気バルブクリアランス小状態で
は、上記のように吸気バルブ50が早く開き始めるた
め、ピストンによって圧縮されるシリンダ内の圧力が正
常組立状態のそれよりも小さくなり、そのシリンダの排
気側圧力極大値PEXmax ′は正常組立状態の排気側圧力
極大値PEXmax より小さくなる。また、排気側圧力極大
値PEXmax ′が小さく、かつ、吸気バルブ50の一方が
開かれてから排気バルブ48が閉じられるまでの期間が
長いため、排気側圧力不変化値PEXconst ′も正常組立
状態のそれ(PEXconst )に比して小さくなる。その結
果、図8の例では排気側圧力不変化値PEXconst ′が負
圧になっている。上記組立不良発生状態(ここではバル
ブクリアランス小状態)と正常組立状態とにおける排気
側圧力極大値の差(PEXmax ′−PEXmax )を排気側圧
力極大値差αと称し、排気側圧力不変化値の差(P
EXconst ′−PEXconst )を排気側圧力不変化値差βと
称することとする。これら排気側圧力極大値差αおよび
排気側圧力不変化値差βも、排気側圧力極大値到達角差
Γと同様、バルブクリアランスが小さいほど小さくな
る。なお、これら排気側圧力極大値差α,排気側圧力不
変化値差β,排気側圧力極大値到達角差Γ等は正,負両
方の値を取り得るものであるため、煩雑さを避けるため
に事情が許す限り絶対値で説明することとする。他の圧
力値やクランク角の差についても同様とする。
【0031】図9は、1つのシリンダの2つの吸気バル
ブ50のバルブクリアランスが共に正常である正常組立
状態と、一方のバルブクリアランスが大きい吸気バルブ
クリアランス大状態との排気側圧力PEXの変化を重ねて
示すグラフである。この吸気バルブクリアランス大状態
では、吸気バルブ48が排気側圧力極大値到達角差Γの
絶対値だけ遅く開きはじめるので、シリンダ内の圧力が
吸気バルブクリアランス正常組立状態よりも高くなり、
排気側圧力極大値PEXmax ′は排気側圧力極大値P
EXmax に比して排気側圧力極大値差αの絶対値だけ大き
くなる。また、排気側圧力極大値PEXmax ′が大きく、
かつ、吸気バルブ50の一方が開かれてから排気バルブ
48が閉じられるまでの期間が短いため、排気側圧力不
変化値PEXco nst ′もPEXconst に比して排気側圧力不
変化値差βの絶対値だけ大きくなる。
【0032】図10は、クランク角θcrank の変化に対
する正常組立状態,吸気バルブクリアランス小状態およ
び吸気バルブクリアランス大状態における、吸気側圧力
INの変化を示すグラフである。ピストン#1の2つの
吸気バルブ50の一方が開かれる時期の変化に対応し
て、吸気側圧力PINが極大となるクランク角である吸気
側圧力極大値到達角θINmax ′が、正常組立状態のそれ
に対して変化している。この変化を吸気側圧力極大値到
達角差Λ(=θINmax ′−θINmax )で表す。また、吸
気側圧力PINが増加を開始するクランク角である吸気側
圧力増大開始角θ INinc ′も、吸気側圧力極大値到達角
差Λと同様の変化を示す。この変化を吸気側圧力増大開
始角差Ψ(=θINinc ′−θINinc )で表す。これら吸
気側圧力極大値到達角差Λおよび吸気側圧力増大開始角
差Ψも、上記排気側圧力極大値到達角差Γ等と同様に、
バルブクリアランスが小さく(大きく)なるほど小さく
(大きく)なる。
【0033】つぎに、排気バルブのバルブクリアランス
不良について説明する。図11は、正常組立状態である
場合と、2つの排気バルブ48の一方が排気バルブクリ
アランス小状態である場合との排気側圧力PEXの変化を
示すグラフである。排気クリアランス小状態において
は、一方の排気バルブ48が早く開きはじめるので、排
気側圧力減少開始角θEXdec ′が正常組立状態のそれに
比して小さくなる。このずれを、図11において排気側
圧力減少開始角差Φ(=θEXdec ′−θEXdec )で示
す。また、早く開きはじめた方の排気バルブ48は、完
全に閉じられる時期が正常組立状態のそれよりも遅くな
る。これを排気側圧力不変化状態移行角差Σで示す。こ
れら排気側圧力減少開始角差Φおよび排気側圧力不変化
状態移行角差Σの大きさはほぼ同じ値となる。排気バル
ブ48が閉じられる時期が遅いため、排気側圧力不変化
値PEXconst ′が排気側圧力不変化値差βの絶対値だけ
小さくなり、排気ポート100内に封じ込められる空気
の量が少ないため、排気側圧力極大値PEXmax ′が正常
組立状態のそれより排気側圧力極大値差αの絶対値だけ
小さくなる。
【0034】図12は、正常組立状態である場合と、2
つの排気バルブの一方が排気クリアランス大状態である
場合との排気側圧力PEXの変化を示すグラフである。こ
の場合には、排気クリアランス大状態にある一方の排気
バルブ48が、他方に比して開きはじめるのが遅く、か
つ、完全に閉じられるのが早いのであるが、他方の排気
バルブの開閉が正常組立状態と同じ時期になされるた
め、排気側圧力減少開始角θEXdec ′,排気側圧力極大
値到達角θEXmax ′および排気側圧力不変化状態移行角
θEXconst ′は正常組立状態のそれらとほとんど同じで
ある。しかし、排気クリアランス大状態にある一方の排
気バルブ48が早く閉じられるため、排気側圧力不変化
値PEXconst ′が高くなり、排気ポート100内に封じ
込められる空気の量が多くなるため、排気側圧力極大値
EXmax ′も高くなる。なお、排気バルブのバルブクリ
アランスの異常は、吸気側圧力増大開始角θINinc や吸
気側圧力極大値到達角θINmax には殆ど影響しない。
【0035】つぎに、コンプレッションリングの欠落に
ついて説明する。ピストンリング134は、図4に示す
ように、トップリング136,セカンドリング138お
よびオイルリング140とからなる。これらのうち、ト
ップリング136とセカンドリング138とは、ピスト
ンとシリンダとの気密を保ち、エンジンの性能を確保す
る上で重要な部品であるコンプレッションリング144
を構成する。トップリング136とセカンドリング13
8との少なくとも一方が欠落していれば、気密保持機能
が低下するため、正しく取り付けられている場合に比し
て上記排気側圧力PEXの絶対値が小さくなり、一方、排
気側圧力極大値到達角θEXmax ′,排気側圧力不変化状
態移行角θEXconst ′等は、正常組立状態のそれらとほ
とんど変わらない。図13は、正常組立状態である場合
と、トップリング136とセカンドリング138とのい
ずれか一方が欠落している場合との排気側圧力PEXの変
化を示したグラフである。後者の場合には、排気側圧力
極大値PEXmax ′が、排気側圧力極大値差αの絶対値だ
け小さくなっている。なお、トップリング136とセカ
ンドリング138とが共に欠落している状態において
は、上記排気側圧力P EXがさらに小さくなるので、この
ような組立不良を検出することも可能である。しかし、
少なくとも一方が欠落していれば、エンジンを分解して
修正の上組み立てなおすこととなるので、このような検
査は事実上必要ない。
【0036】つぎに、カムプーリ進み/遅れ、クランク
プーリ進み/遅れの影響について説明する。図14およ
び図15は、右側バンクのカムプーリ26が、それぞれ
カムプーリ1歯進みおよびカムプーリ1歯遅れである状
態における各ピストンに対応する排気側圧力PEXの変化
を示すグラフである。これらの図においては、対応する
ピストン番号で示す値が偶数であるシリンダの排気側圧
力減少開始角θEXdec′,排気側圧力極大値到達角θ
EXmax ′,排気側圧力不変化状態移行角θEXcons t ′等
が、正常組立状態のそれらに対してずれている。このよ
うに、左右のバンクの一方のみのカムプーリの進み/遅
れの異常が発生した状態では、ピストン番号が奇数また
は偶数であるシリンダの排気側圧力極大値到達角θ
EXmax ′等がすべて変化する。
【0037】また、クランクプーリ進み/遅れが生じた
場合には、左右両バンクにおいて上記カムプーリ進みま
たは遅れが同時に発生した場合の変化と同じになる。た
だし、クランクプーリ進みは左右カムプーリの同時進み
と効果が逆であり、左右カムプーリの同時遅れと同じで
ある。具体的には、クランクプーリ1歯遅れが生じた場
合は、すべてのシリンダの排気側圧力PEXが、図14に
示したピストン番号が偶数であるシリンダの排気側圧力
EXと同様の変化を示す。また、クランクプーリ1歯進
みが生じた場合は、全シリンダの排気側圧力PEXが、図
15に示したピストン番号が偶数であるシリンダの排気
側圧力PEXと同様の変化を示す。また、クランクプーリ
進みまたは遅れが生じた場合の、排気側圧力減少開始角
θEXdec′,排気側圧力極大値到達角θEXmax ′,排気
側圧力不変化状態移行角θEXcons t ′等の値も、それぞ
れ、カムプーリ遅れまたは進みが左右両バンクにおいて
同時に発生した場合の変化と同じになる。
【0038】なお、右側バンクのカムプーリ1歯進み/
遅れ,クランクプーリ1歯進み/遅れが生じた場合に、
吸気側圧力PINは図16に示すように変化する。この図
において、右側カムプーリ1歯進み/遅れの場合には、
正常組立状態に対して、ピストン番号が偶数であるシリ
ンダの吸気側圧力PINがずれている。一方、クランクプ
ーリ1歯進み/遅れの場合には、すべてのシリンダの吸
気側圧力PINがずれることとなる。
【0039】図17は、クランクプーリ1歯遅れ、また
は、カムプーリ1歯進みが生じた場合の、排気側圧力P
EXの変化の一例を示すグラフである。ただし、後者にお
いては、カムプーリ1歯進みが生じているバンクに含ま
れるシリンダの排気側圧力P EXである。この場合には、
排気側圧力減少開始角θEXdec ′,排気側圧力極大値到
達角θEXmax ′および排気側圧力不変化状態移行角θ
EXconst ′が正常組立状態のそれらθEXdec ,θEXmax
およびθEXconst に対して、それぞれ排気側圧力減少開
始角差Φ,排気側圧力極大値到達角差Γおよび排気側圧
力不変化状態移行角差Σ等の絶対値だけ小さい値とな
る。これら排気側圧力減少開始角差Φ,排気側圧力極大
値到達角差Γ,排気側圧力不変化状態移行角差Σ等の値
は、ほぼ同じとなる。また、吸気バルブ50が開きはじ
める時期が正常組立状態に比して早まることになるた
め、図6から明らかなように、ピストンの位置が正常組
立状態に比して下死点BDCに近い位置で開きはじめる
こととなり、排気側圧力極大値P EXmax ′は排気側圧力
極大値差αの絶対値だけ小さくなる。一方、排気側圧力
不変化値PEXconst ′は排気側圧力極大値PEXmax ′の
ようには小さくならず、正常組立状態とほぼ同じ大きさ
となる。
【0040】排気側圧力減少開始角差Φ,排気側圧力極
大値到達角差Γおよび排気側圧力不変化状態移行角差Σ
の大きさは、カムプーリ1歯進みが生じた場合には、カ
ムプーリ24,26の1歯に相当する角度となる。つま
り、カムプーリ24,26の回転角で360度/48枚
=7.5度となるのであり、この角度はクランクプーリ
20の15度の回転角度に対応する。一方、クランクプ
ーリ20で1歯遅れが生じた場合には、排気側圧力極大
値到達角差Γ等の大きさは、クランクプーリ20の回転
角度で360度/24枚=15度となる。このように、
例えば右側カムプーリ26で1歯進みが生じたことと、
クランクプーリ20で1歯遅れが生じたこととは、右側
バンクのシリンダに関しては実質的に同じことであり、
右側バンクに含まれるシリンダの排気側圧力極大値P
EXmax ′,排気側圧力極大値到達角差Γ等も実質的に同
じとなる。
【0041】クランクプーリ1歯進み、または、カムプ
ーリ1歯遅れが生じた場合は、(後者においてはそれが
生じているバンクに含まれる)ピストンによる圧縮の開
始時期が正常組立状態に比して相対的に早まるため、図
18に示すように、排気側圧力減少開始角θEXdec ′,
排気側圧力極大値到達角θEXmax ′および排気側圧力不
変化状態移行角θEXconst ′が正常組立状態のそれらθ
EXdec ,θEXmax およびθEXconst に対して、それぞれ
排気側圧力減少開始角差Φ,排気側圧力極大値到達角差
Γおよび排気側圧力不変化状態移行角差Σの絶対値だけ
大きい値となる。これら排気側圧力減少開始角差Φ,排
気側圧力極大値到達角差Γ,排気側圧力不変化状態移行
角差Σの値は、ほぼ同じ大きさとなる。吸気バルブ50
が開きはじめる時期は、正常組立状態に比して遅れる。
そのため、図6より明らかなように、ピストンの位置が
正常組立状態に比して上死点TDCに近い位置で開きは
じめることとなり、排気側圧力極大値PEXmax ′は排気
側圧力極大値差αの絶対値だけ大きくなる。一方、排気
側圧力不変化値PEXcons t ′は排気側圧力極大値P
EXmax ′のようには大きくならず、正常組立状態とほぼ
同じ大きさとなる。
【0042】排気側圧力極大値到達角差Γ等の大きさ
は、上述のクランクプーリ1歯遅れまたはカムプーリ1
歯進みが生じた場合と同様に、カムプーリ24,26の
回転角で360度/48枚=7.5度、あるいは、クラ
ンクプーリ20の回転角度で360度/24枚=15度
となる。例えば、右側カムプーリ26で1歯遅れが生じ
たのと、クランクプーリ20で1歯進みが生じたのと
は、右側バンクのシリンダにとっては実質的に同じこと
であり、右側バンクのシリンダの排気側圧力極大値P
EXmax ′,排気側圧力極大値到達角差Γ等も実質的に同
じとなる。
【0043】つぎに、ドリブンギヤ進み/遅れの影響に
ついて説明する。図19および図20は、それぞれ右側
ドリブンギヤ1歯進みおよび遅れが生じた場合の各シリ
ンダの排気側圧力PEXの変化をクランク基準信号と共に
示すグラフである。これらのグラフから明らかなよう
に、右側バンクに含まれるピストンの排気側圧力PEX
変化が、正常組立状態のそれと異なっている。詳細につ
いては後述する。右側ドリブンギヤ1歯進み/遅れが生
じると、吸気側圧力PINも図21のように変化する。こ
の図から明らかなように、右側ドリブンギヤ1歯進みの
場合には、偶数番号で示したものの吸気側圧力極大値到
達角θINmax および吸気側圧力増大開始角θINinc が、
正常組立状態のそれに対して小さい値となる。右側ドリ
ブンギヤ1歯遅れの場合には、逆に、吸気側圧力極大値
到達角θINmax が正常組立状態よりも大きくなる。左側
ドリブンギヤ1歯進み/遅れが生じる場合には、ピスト
ン番号が奇数であるシリンダに対応するものの吸気側圧
力PINが変化する。
【0044】図22は、正常組立状態と、右側ドリブン
ギヤ1歯進みが生じた場合との、右側バンクに含まれる
シリンダの排気側圧力PEXの変化を示すグラフである。
ドリブンギヤ42は、右側バンクの吸気バルブ50の開
閉時期を決定するものであり、それが1歯進むため、排
気側圧力極大値到達角θEXmax ′が、ドリブンギヤ42
の1歯分に相当する角度だけ小さい値となる。本実施形
態においては、ドリブンギヤ40,42の歯数は40枚
であるから、ドリブンギヤ42の回転角で、360度/
40枚=9度程度となる。この角度はクランクプーリ2
0の18度の回転角度に対応する。この角度変化に伴っ
て、排気側圧力極大値PEXmax ′および排気側圧力不変
化値PEXconst ′が、それぞれ排気側圧力極大値差αお
よび排気側圧力不変化値差βの絶対値だけ小さくなる。
また、排気側圧力不変化状態移行角θEXconst ′が、排
気側圧力不変化状態移行角差Σの絶対値だけ、正常組立
状態における排気側圧力不変化状態移行角θEXconst
比して小さくなる。通常は、排気側圧力不変化状態移行
角θEXconst は排気バルブ48が閉じるタイミングで決
まるのであるが、ドリブンギヤ1歯進みの場合には排気
側圧力極大値到達角θEXmax ′が低いため、排気バルブ
48が閉じる前に排気側圧力PEXが平衡状態に達するか
らである。
【0045】図23は、正常組立状態と、右側ドリブン
ギヤ1歯遅れが生じた場合との、右側バンクに含まれる
シリンダの排気側圧力PEXの変化を示すグラフである。
この場合には、図22に示した場合とは逆に、排気側圧
力極大値到達角θEXmax ′が、排気側圧力極大値到達角
差Γの絶対値だけ、正常組立状態における値よりも大き
くなる。なお、排気側圧力不変化状態移行角
θEXconst ′および排気側圧力不変化状態移行角差Σの
大きさは変化しない。排気側圧力極大値到達角
θEXmax ′の角度変化に伴って、排気側圧力極大値P
EXmax ′および排気側圧力不変化値P EXconst ′が、そ
れぞれ排気側圧力極大値差αおよび排気側圧力不変化値
差βの絶対値だけ大きくなる。
【0046】図24は、以上説明した各種の組立不良の
1つのみが発生した場合における上記排気側圧力極大値
到達角差Γ,排気側圧力不変化状態移行角差Σ,排気側
圧力極大値差α,排気側圧力不変化値差β等の値の一例
を示すものである。図24において、各圧力差の値は、
上述のように正常組立状態における排気側圧力極大値P
EXmax を100とした相対値で表されており、クランク
角センサ114が出力するクランク基準信号を基準とし
て計測されている。また、クランクプーリ1歯進み/遅
れが生じた場合には、左右の両バンクに関する各値が同
じ大きさを示すのに対して、カムプーリ1歯進み/遅れ
およびドリブンギヤ1歯進み/遅れの場合には、それが
生じた側のバンクのみの圧力および角度が変化を示すこ
ととなる。なお、非常に稀なことであるが、カムプーリ
1歯進み/遅れまたはドリブンギヤ1歯進み/遅れが左
右の両バンクに共に生じる場合もあり得る。また、吸気
側バルブクリアランスや排気側バルブクリアランスが過
小あるいは過大である場合の各値は、クリアランスの大
きさに従って連続的に変化するものであり、図24内の
値はクリアランスが過小あるいは過大であることを検出
し得る値の一例に過ぎない。
【0047】図24に示した排気側圧力極大値到達角差
Γ,排気側圧力不変化状態移行角差Σ,排気側圧力減少
開始角差Φ等の角度の値は、クランク角センサ114の
出力に基づいてその基準となる角度(例えば、クランク
角ゼロ)が決定され、その基準角度と現在のクランク角
との差を計算しなければ取得できない値であって、各シ
リンダごとに取得される排気側圧力極大値到達角差Γ等
同士の比較(例えば、爆発順序において互いに相前後す
るシリンダ同志の差,偶数番目のシリンダ同志の差等)
に基づいて取得できるものではない。このことは、図
8,図11等を参照して前述した排気側圧力極大値到達
角差Γ,排気側圧力不変化状態移行角差Σ,排気側圧力
減少開始角差Φ等の定義からも明らかである。しかし、
図24に示した各値は、各シリンダ毎に取得される値同
志の比較により得られる情報と密接に関係しており、各
シリンダごとの比較に基づいて取得される情報を利用す
れば、クランク角センサ114の出力を基準とするクラ
ンク角の値そのものはわからなくとも、エンジンの組立
状態の検査ができる場合がある。以下、その説明を行
う。
【0048】各シリンダ同志の比較に基づいて取得され
る情報の一例として、排気側圧力極大値到達角
θEXmax ,排気側圧力減少開始角θEXdec および排気側
圧力不変化状態移行角θEXconst の爆発順序において相
前後するシリンダ同志の差である、排気側圧力極大値到
達角相対値ΔΓi ,排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi
および排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi (i=
1〜6)を利用して行い得るエンジン組立状態の検査に
ついて説明する。なお、排気側圧力極大値到達角相対値
ΔΓi は、第i+1番目のシリンダの排気側圧力極大値
到達角θEXmax から第i番目のシリンダのそれを差し引
いた値であり、排気側圧力減少開始角相対値ΔΦ i ,排
気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi についても同様
である(ただし、i+1の値が6を越える場合は、その
値から6を減じた値に読み代えるものとする。以下の説
明においても同様)。
【0049】図25は、各シリンダの排気側圧力PEX
波形における排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓi ,排
気側圧力減少開始角相対値ΔΦi および排気側圧力不変
化状態移行角相対値ΔΣi の大きさを示す図である。こ
れらの値を取得するために、クランク角センサ114の
出力は不要である。例えば、排気側圧力極大値到達角相
対値ΔΓi を取得するには、まず、圧力センサ106の
出力が極大値となる時刻をすべてのシリンダごとに取得
し(この時刻は、本実施形態においては、判定器117
に含まれる図示しないタイマにより取得されるものとす
る)、隣接するシリンダ間でそれらの値の差を取る。こ
の差は、タイマにより取得された時刻の差であり、これ
をクランク角の差に変換するには、各時刻の差を6つの
時刻の差の総和で除した値に720度(1サイクルのク
ランク角)にかければよい。排気側圧力減少開始角相対
値ΔΦi を取得するには、圧力センサ106の出力値
(排気側圧力PEX)が一定であると見なし得る状態(図
6から明らかなように、本実施形態の被検査エンジン9
0においては、1サイクルの6割以上の期間がこの状態
である)から、急激に減少しはじめる時刻を各シリンダ
ごとに特定すれば、あとは上記排気側圧力極大値到達角
相対値ΔΓi と同様にして取得できる。また、排気側圧
力不変化状態移行角相対値ΔΣi を取得するには、排気
側圧力減少開始角相対値ΔΦi とは逆に、排気側圧力P
EXが変動していると見なし得る状態から、一定であると
見なし得る状態に移行する時刻を各シリンダごとに特定
すればよい。これら排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓ
i ,排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi および排気側圧
力不変化状態移行角相対値ΔΣi の取得方法を、時刻差
依拠角相対値取得方法と称する。
【0050】排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓi ,排
気側圧力減少開始角相対値ΔΦi および排気側圧力不変
化状態移行角相対値ΔΣi の値は、それぞれ排気側圧力
極大値到達角差Γi ,Γi+1 ,排気側圧力減少開始角差
Φi ,Φi+1 および排気側圧力不変化状態移行角差
Σi ,Σi+1 の値に影響されるため、エンジンの組立状
態に依存して変化する。例えば、右側バンクのカムプー
リが1歯進んだ状態(図25に示した状態である)にお
ける排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓi は、図26に
示すようになる。この図において、円周上に配された1
〜6の数字は、シリンダ番号を示しており、それらの数
字の位置は、正常組立状態において排気側圧力PEXが極
大となる位相を示している。また、この円周の1周が7
20度に対応している。なお、本実施形態においては、
クランク角ゼロの位置は不要であるので、図示を省略し
た。正常組立状態における排気側圧力極大値到達角相対
値ΔΓ i は、720度/6気筒=120度となり、これ
を排気側圧力極大値到達角相対値平均ΔΓm で表す。
【0051】右側バンクのカムプーリ1歯進みが生じて
いる場合、奇数番目のシリンダの排気側圧力極大値到達
角差Γはゼロであるのに対して、偶数番目のシリンダの
排気側圧力極大値到達角差Γはゼロではなくなり、図2
4によれば、Γ1 =Γ3 =Γ 5 =0,Γ2 =Γ4 =Γ6
=−15となる。これらの値に基づいて、各シリンダに
対応する排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓi は、排気
側圧力極大値到達角差Γi を用いて、次式のように表す
ことができる。 ΔΓi =ΔΓm +Γi+1 −Γi ・・・(1) 具体的には以下の値となる。 ΔΓ1 =ΔΓm +Γ2 −Γ1 =120+(−15)−0
=105 ΔΓ2 =ΔΓm +Γ3 −Γ2 =120+0−(−15)
=135 ΔΓ3 =ΔΓm +Γ4 −Γ3 =120+(−15)−0
=105 ΔΓ4 =ΔΓm +Γ5 −Γ4 =120+0−(−15)
=135 ΔΓ5 =ΔΓm +Γ6 −Γ5 =120+(−15)−0
=105 ΔΓ6 =ΔΓm +Γ1 −Γ6 =120+0−(−15)
=135 なお、上記規約にしたがって、変数iの値が6の場合の
i+1は、1に読み代えた。このように、正常組立状態
では2,4,6で示される位相は、右側バンクのカムプ
ーリ1歯進み状態においては、それぞれ2′,4′,
6′で示す位相にずれることとなる。
【0052】排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi ,排気
側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣ i についても(1)
式と同様の式が成立する。 ΔΦi =ΔΦm +Φi+1 −Φi ・・・(2) ΔΣi =ΔΣm +Σi+1 −Σi ・・・(3) なお、排気側圧力減少開始角相対値平均ΔΦm =排気側
圧力不変化状態移行角相対値平均ΔΣm =排気側圧力極
大値到達角相対値平均ΔΓm =120度である。いまも
し、図24に示した各値が既知であれば、それらの値を
(1),(2)および(3)式に代入すれば、各組立不
良が発生している状態における排気側圧力極大値到達角
相対値ΔΓi ,排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi およ
び排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi の値を取得
することができる。そして、複数の組立不良が発生する
場合には、(1),(2)および(3)式におけるΓ
i+1 −Γi ,Φi+1 −Φi およびΣi+1 −Σi を、それ
ぞれの組立不良について取得し、加え合わせれば、複数
の組立不良が発生した場合の排気側圧力極大値到達角相
対値ΔΓi ,排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi および
排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi の値を取得す
ることができる。しかし、逆は必ずしも真ではない。複
数の不特定の組立不良が発生する可能性がある場合に、
前述の時刻差依拠角相対値取得方法により排気側圧力極
大値到達角相対値ΔΓi ,排気側圧力減少開始角相対値
ΔΦi および排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi
を取得しても、それら取得した値から組立不良の内容を
特定し得ない場合があるのである。
【0053】例えば、図24から明らかなように、クラ
ンクプーリ1歯進み/遅れが生じている場合、また、カ
ムプーリ1歯進み/遅れやドリブンギヤ1歯進み/遅れ
が左右両バンクで同時に発生している場合は、すべての
シリンダの排気側圧力極大値到達角差Γ,排気側圧力減
少開始角差Φおよび排気側圧力不変化状態移行角差Σが
同じ値となるため、(1),(2)および(3)式に代
入してもΔΓi =ΔΓ m =ΔΦi =ΔΦm =ΔΣi =Δ
Σm =120度となり、正常組立状態と区別できない。
また、右側バンクでカムプーリ1歯進みが生じ、かつ、
左側バンクが正常組立状態である場合と、右側バンクが
正常組立状態で、かつ、左側バンクがカムプーリ1歯遅
れである場合とも区別できない。さらに、吸気バルブク
リアランスや排気バルブクリアランスの状態が、すべて
のシリンダで同じ組立不良状態(例えば、全シリンダ吸
気バルブクリアランス小状態)であれば、やはり正常組
立状態と区別できない。このように、排気側圧力極大値
到達角相対値ΔΓi 等に基づく検査は、正常組立状態で
あるか否かを常に確実に検査し得るものではないが、以
下に説明するように、何らかの組立不良が複数同時に生
じている可能性があることがわかっている場合に、それ
ら複数の組立不良の、少なくとも候補を特定することは
できるものである。付言すれば、この組立不良の候補
に、実際に生じている組立不良のすべてが含まれるとい
う保証はない。しかし、少なくともそれら複数の組立不
良の候補が特定できれば、それらの組立不良を解消した
後に、さらに本実施形態のエンジン組立不良検査を行な
うことによって、組立不良が存在するにも係わらず、検
査結果が良品となってしまうという事態の発生は回避す
ることができる。
【0054】図27は、判定器117内の図示しないR
OMに格納されており、CPUおよびRAMにより実行
される組立状態検査プログラムのメイン処理の一例を示
すフローチャートである。このメイン処理においては、
被検査エンジン90のピストン#1〜#6のそれぞれに
対応する排気側圧力極大値PEXmax 等の値に基づいて組
立不良の有無が検査され、組立不良箇所が存在しない場
合には、表示器118(図28参照)に検査合格を示す
表示を行い、組立不良箇所が存在する場合には、不良箇
所の推定を行った後に、その推定結果に基づいて、表示
器118に検査不合格を示す表示と、その不良箇所を示
す表示とが行われる。
【0055】まず、ステップ102(単に、S102と
記す。他のステップについても同じ)で、変数coun
tがゼロに初期化される。そして、S104で、変数i
にピストン#1に対応するゼロが代入される。この変数
iの値に1を加えた値が、ピストン番号を示す。つぎ
に、S106において、第i+1番目のピストンの排気
側圧力極大値差αi および排気側圧力不変化値差βi
絶対値がすべて3未満であるか否かが判定され、結果が
NOであれば、S108において変数countの値が
インクリメントされた後に、また、YESであれば直
接、S110において、変数iの値が5(ピストン#6
に対応する)に等しいか否かが判定され、5でなければ
S111において変数iの値に1が加えられてS106
からの処理が繰り返される。
【0056】S106において、排気側圧力極大値差α
i および排気側圧力不変化値差βiの絶対値が、3と比
較されるのは、図24から明らかなように、排気側圧力
極大値差α等の絶対値が3未満であれば、被検査エンジ
ン90が、正常組立状態であるということができるから
である。S110の判定結果がYESであれば、S11
2において変数countの値が0に等しいか否かが判
定され、結果がYESであれば、S114で、表示器1
18に検査合格を示す表示を行う処理が実行された後
に、メイン処理が終了する。S112における判定結果
がNOであれば、被検査エンジン90が検査不合格であ
ることとなり、S116において、表示器118に検査
不合格を示す表示を行う処理が実行された後に、S11
8において、サブルーチンである不良箇所推定処理が実
行され、その推定結果に基づいて、S120において、
表示器118の推定された不良箇所に対応する表示ラン
プが点灯されて、メイン処理が終了する。
【0057】上記表示器118としては、例えば図28
に示すものが使用できる。図28において、200は検
査結果が合格である場合に点灯されるOKランプであ
り、202は検査不合格の場合に点灯されるNGランプ
である。検査結果が不合格である場合には、その内容を
示す以下のランプ群が点灯される。すなわち、クランク
プーリ進みランプ204,クランクプーリ遅れランプ2
06,左側バンクカムプーリ進みランプ208,左側バ
ンクカムプーリ遅れランプ210,右側バンクカムプー
リ進みランプ212,右側バンクカムプーリ遅れランプ
214,左側バンクドリブンギヤ進みランプ216,左
側バンクドリブンギヤ遅れランプ218,右側バンクト
リブンギヤ進みランプ220,右側バンクドリブンギヤ
遅れランプ222がそれぞれ独立に点灯可能であり、さ
らに、各ピストン番号毎に、吸気バルブクリアランス小
ランプ224,吸気バルブクリアランス大ランプ22
6,排気バルブクリアランス小ランプ228,排気バル
ブクリアランス大ランプ230,コンプレッションリン
グ欠落ランプ232の各ランプがそれぞれ独立に点灯可
能なのである。また、後述するように検査結果が不明確
な場合、すなわち組立不良が発生している可能性がある
が必ずしも発生しているとは言えない場合には、その不
明確な箇所のランプが点滅させられる。組立不良箇所を
示すこれらのランプ群を組立不良箇所表示ランプ群と総
称する。
【0058】図29は、図27のS118に示した不良
箇所推定処理の内容の一例を示すフローチャートであ
る。本不良箇所推定ルーチンにおいてはまず、S200
において、上述の各組立不良の有無を示すフラグに0x
00がセット(ゼロクリア)される。これらのフラグを
不良箇所フラグと総称する。本実施形態における不良箇
所フラグは、図30に示すように定められた8つの1バ
イトデータからなるものであり、これらの値がすべて0
x00であれば、組立不良がないことを示す。flag
drvnおよびflagcam は、下位4ビットが左右のバン
クのドリブンギヤ進み/遅れおよびカムプーリ進み/遅
れが生じているか否かを示す不良箇所フラグである。不
良箇所フラグflagcrnkは、下位2ビットでクランク
プーリ進み/遅れの有無を示す。また、flagins
flaginl ,flagexs ,flagexl ,flag
ringは、吸気バルブクリアランス小,吸気バルブクリア
ランス大,排気バルブクリアランス小,排気バルブクリ
アランス大,コンプレッションリング欠落の各組立不良
の有無を、各シリンダにそれぞれ対応する下位6ビット
の状態によって示す不良箇所フラグである。
【0059】なお、各不良箇所フラグのビット番号7
(最上位)とビット番号6の2つのビットは、エラー可
能性表示ビットであり、それぞれエラー1およびエラー
2ビットと称する。エラー1ビットが0とされる場合
は、エラー2ビットも必ず0とされ、各不良箇所フラグ
のその他のビットの状態が、検査結果を示すこととな
る。しかし、エラー1ビットが1とされる場合は、エラ
ー2ビットは、0または1の値となる。まず、エラー
2ビットが0である場合は、各不良箇所フラグのその他
のビット(ただし、“−”で示した意味がないビットは
除く)のうち、0とされているビットに対応するものの
組立状態が不良である可能性を含んでいることを示すよ
うにされている。そして、下位6ビットの0とされてい
るビットに対応する上記各表示ランプのそれぞれが点滅
させられることとなる。また、エラー2ビットが1で
ある場合は、下位6ビットのうちの1とされているビッ
トに対応する組立状態が不良である可能性を含んでいる
ことを示すようにされている。そして、その下位6ビッ
トの1とされているビットに対応する上記各表示ランプ
のそれぞれが点滅させられることとなる。換言すれば、
の場合には、1とされたビットに対応する組立不良が
生じていると特定されたこととなり、の場合には、0
とされたビットに対応する組立不良が生じていないと特
定されたこととなる。さらに付言すれば、の場合に
は、0とされたビットに対応するランプが点滅させら
れ、1とされたビットに対応するランプは点灯される。
また、の場合には、1とされたビットに対応するラン
プが点滅させられ、0とされたビットに対応するランプ
は消灯したままとなるのである。
【0060】前記S200に続いて、S202におい
て、左右の各バンクのいずれか一方がドリブンギヤ1歯
進みの状態であるか否かを検査するサブルーチンである
ドリブンギヤ1歯進み検査が実行される。その後に、S
204において、各シリンダの排気バルブが排気バルブ
クリアランス小の状態であるか否かを検査するサブルー
チンである排気バルブクリアランス小検査が実行された
後に、S206において、左右の各バンクのいずれか一
方がカムプーリ1歯進み/遅れの状態であるか否かを検
査するサブルーチンであるカムプーリ検査が実行され
る。続いて、S208において、左右の各バンクのいず
れか一方がドリブンギヤ1歯遅れの状態であるか否か
と、各シリンダの吸気バルブのバルブクリアランスの状
態とを検査するサブルーチンであるドリブンギヤ1歯遅
れおよび吸気バルブクリアランス検査が実行される。つ
ぎに、S210において、排気バルブクリアランス大検
査が実行された後に、S212においてコンプレッショ
ンリング欠落検査が実行される。そして、最後に、S2
14において、補助処理が実行された後に不良箇所推定
処理が終了する。なお、本実施形態の不良箇所推定処理
においては、クランクプーリ1歯進み/遅れを特定する
検査は実行されない。したがって、図27のS112の
判定結果がNOである場合は、不良箇所フラグflag
crnkの最上位ビットには常に1がセットされる(後
述)。
【0061】図31は、図29のS202においてコー
ルされるサブルーチンであるドリブンギヤ1歯進み検査
の内容を示すフローチャートである。この処理は、排気
側圧力減少開始角相対値ΔΦi と排気側圧力不変化状態
移行角相対値ΔΣi との値に基づいて、他の組立不良が
発生しているか否かに係わらず、左右いずれかのバンク
のドリブンギヤが1歯進みの状態であるか否かを検査す
るものである。なお、前述のように、左右のバンクにお
いて、ドリブンギヤ1歯進みが同時に発生している場合
と正常組立状態との区別はできない。したがって、この
事実が、後述のように左側バンクドリブンギヤ進みラン
プ216および右側バンクドリブンギヤ進みランプ22
0が共に点滅させられることによって表示される。
【0062】まず、S300において、左右の各バンク
に含まれるシリンダに関する排気側圧力不変化状態移行
角相対値ΔΣi と排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi
に基づいて、各シリンダごとの変数ζi の値が次式によ
り算出される。 ζi =(ΔΣi +ΔΦi )%30 ・・・(4) 排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi と排気側圧力
減少開始角相対値ΔΦ i とは、前述のように、各シリン
ダの排気側圧力PEXの変化状態の解析により取得され
る。また、“%”は所謂モジュロ演算子であり、“a%
b”は、aをbで割った余りを示す。なお、変数iの値
が奇数である場合(変数iで示されるシリンダが左側バ
ンクに含まれる場合)の変数ζi をζodd ,偶数である
場合(右側バンクに含まれる場合)をζevenで示す。
【0063】このように、変数ζi に排気側圧力不変化
状態移行角相対値ΔΣi と排気側圧力減少開始角相対値
ΔΦi との和に基づく値がセットされるのは、第i番目
のシリンダが排気バルブクリアランス小状態である場合
に、排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi および排
気側圧力減少開始角相対値ΔΦi にそれぞれ符号が異な
るほぼ同じ大きさの影響を及ぼすため、和を取ることに
よってその影響を打ち消すことができるためである。な
お、排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣiと排気側
圧力減少開始角相対値ΔΦi とに影響する排気バルブク
リアランスの組立状態の影響の大きさは、常に一定であ
るわけではない。実際に、排気バルブクリアランス小で
ある場合は、正常組立状態に比して、排気側圧力不変化
状態移行角差Σが2〜10の範囲内のいずれかの値だけ
大きくなるのであり、図24に示した排気側圧力不変化
状態移行角差Σの値(6.4)は、この2〜10の範囲
内の値の一例に過ぎない。排気側圧力不変化状態移行角
差Σ(ひいては排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣ
i )への影響は大きさは変動するのであるが、排気側圧
力減少開始角差Φ(ひいては排気側圧力減少開始角相対
値ΔΦi )への影響の大きさも同様に変動し、しかも、
それらの影響の仕方は符号が逆であるために、排気側圧
力不変化状態移行角相対値ΔΣi と排気側圧力減少開始
角相対値ΔΦ i との和の値は、排気バルブクリアランス
小状態の影響を受けないのである。ただし、ΔΣodd
ΔΦodd およびΔΣeven+ΔΦevenの計算は、それぞれ
同一のシリンダにおける値を用いる必要がある。このこ
とは、実際のエンジン検査の過程で計算される(4)式
の一部であるΔΣi +ΔΦi の計算が、同一のシリンダ
に関する排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi およ
び排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi に基づいて行なわ
れる必要があることを示している。なお付言すれば、排
気バルブクリアランス大状態は、排気側圧力不変化状態
移行角差Σおよび排気側圧力減少開始角差Φに影響を及
ぼさないため、結局、排気側圧力不変化状態移行角相対
値ΔΣi と排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi との和
は、排気バルブクリアランス大,小いずれの影響も受け
ないこととなる。
【0064】そして、変数ζi に、排気側圧力不変化状
態移行角相対値ΔΣi と排気側圧力減少開始角相対値Δ
Φi との和(排気バルブクリアランス小状態の影響を除
去された値)を30によって除した余りがセットされる
のは、カムプーリの組立状態が、排気側圧力不変化状態
移行角相対値ΔΣi と排気側圧力減少開始角相対値ΔΦ
i との和の値に、30を単位とする値(15+15=3
0等)が加減算されるという形態で影響し、一方、ドリ
ブンギヤ1歯進みの影響は、30より小さいため、この
ような演算によってカムプーリの組立状態の影響のみを
除去できるためである。結局、(4)式に基づいてセッ
トされる変数ζi の値は、排気バルブクリアランスの状
態とカムプーリの組立状態との影響を受けず、かつ、左
右いずれかのバンクのドリブンギヤが1歯進み状態であ
るか否かの影響を受ける値なのである。
【0065】さて、(4)式に、(2)式および(3)
式で表される排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi ,排気
側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi を代入すると次式
を得る。 ζi =(ΔΣm +Σi+1 −Σi +ΔΦm +Φi+1
Φi )%30 ここで、排気側圧力減少開始角相対値平均ΔΦm =排気
側圧力不変化状態移行角相対値平均ΔΣm =120度で
ある。この式は、変数ζi の値が、図24に示した排気
側圧力減少開始角差Φおよび排気側圧力不変化状態移行
角差Σの値とからも計算できることを示している。実際
のエンジン検査時には図24の排気側圧力減少開始角差
Φおよび排気側圧力不変化状態移行角差Σの値は不明で
あり、変数ζi は(4)式によって計算されるのである
が、図24の値を使用して、上式(ΔΣm +Σi+1 −Σ
i +ΔΦm +Φi+1 −Φi )%30により計算される場
合の方が理解し易いため、以下の説明はこの計算式を用
いて行うこととする。
【0066】つぎに、S302において、S300で計
算され、変数ζi の値の組とされた(ζodd ,ζeven
の値が、(0,0),(8.4,21.6)および(2
1.6,8.4)の3つのうちのいずれであるかが判定
される。(ζodd ,ζeven)の値は、これら3つのいず
れかとなるのである。以下、その理由を説明する。ま
ず、ドリブンギヤが正常に組み立てられており、他の組
立不良も生じていない状態である場合は、排気側圧力不
変化状態移行角相対値ΔΣodd およびΔΣev enの値と、
排気側圧力減少開始角相対値ΔΦodd およびΔΦeven
値とは、以下の値となる。 ΔΣodd =ΔΣm +Σeven−Σodd =120+0−0=
120 ΔΣeven=ΔΣm +Σodd −Σeven=120+0−0=
120 ΔΦodd =ΔΦm +Φeven−Φodd =120+0−0=
120 ΔΦeven=ΔΦm +Φodd −Φeven=120+0−0=
120 これらの値より、変数ζodd およびζevenの値は、以下
のようになる。 ζodd =(ΔΣodd +ΔΦodd )%30=(120+1
20)%30=0 ζeven=(ΔΣeven+ΔΦeven)%30=(120+1
20)%30=0
【0067】それに対し、左側バンクのドリブンギヤが
1歯進みの状態であり、他の組立不良が生じていない場
合は、以下の値となる。 ΔΣodd =ΔΣm +Σeven−Σodd =120+0−(−
8.4)=128.4 ΔΣeven=ΔΣm +Σodd −Σeven=120+(−8.
4)−0=111.6 ΔΦodd =ΔΦm +Φeven−Φodd =120+0−0=
120 ΔΦeven=ΔΦm +Φodd −Φeven=120+0−0=
120 これらの値より、変数ζodd およびζevenの値は、以下
のようになる。 ζodd =(ΔΣodd +ΔΦodd )%30=(128.4
+120)%30=8.4 ζeven=(ΔΣeven+ΔΦeven)%30=(111.6
+120)%30=21.6
【0068】また、右側バンクのドリブンギヤが1歯進
みのみが生じている状態である場合は、以下の値とな
る。 ΔΣodd =ΔΣm +Σeven−Σodd =120+(−8.
4)−0=111.6 ΔΣeven=ΔΣm +Σodd −Σeven=120+0−(−
8.4)=128.4 ΔΦodd =ΔΦm +Φeven−Φodd =120+0−0=
120 ΔΦeven=ΔΦm +Φodd −Φeven=120+0−0=
120 これらの値より、変数ζodd およびζevenの値は、以下
のようになる。 ζodd =(ΔΣodd +ΔΦodd )%30=(111.6
+120)%30=21.6 ζeven=(ΔΣeven+ΔΦeven)%30=(128.4
+120)%30=8.4 以上の理由により、他の組立不良が生じていない場合に
は、(ζodd ,ζeven)の値は、ドリブンギヤが正常に
組み立てられている状態では(0,0)、左側バンクの
ドリブンギヤが1歯進みの状態では(8.4,21.
6)、右側バンクのドリブンギヤが1歯進みのみが生じ
ている状態では(21.6,8.4)となるのである。
【0069】そのため、これらのいずれであるかがS3
02において判定され、(ζodd ,ζeven)の値が
(0,0)である場合は、S304において不定処理が
行われた後に、(8.4,21.6)である場合は、S
306で左側バンクのドリブンギヤが1歯進みの状態で
あることを示す処理が実行された後に、また、(21.
6,8.4)である場合は、S308で右側バンクのド
リブンギヤが1歯進みであることを示す処理が行われた
後に、ドリブンギヤ1歯進み検査が終了する。S304
の処理内容は、不良箇所フラグflagdrvnに、左側バ
ンクのドリブンギヤ1歯進みであることを示す0x01
と右側バンクのドリブンギヤ1歯進みを示す0x04と
の論理和である0x05と、0xC0との論理和(0x
C5)をセットする処理である。0xC0との論理和を
とることは、左右のバンクのドリブンギヤが1歯進みで
あるとすると同時に、上位2ビットからなるエラー可能
性表示ビットを共に1とすることであり、これに応じ
て、前述のように、左側バンクドリブンギヤ進みランプ
216および右側バンクドリブンギヤ進みランプ220
が共に点滅させられることとなる。S306の処理内容
は、不良箇所フラグflagdrvnに左側バンクのドリブ
ンギヤ1歯進みであることを示す0x01を代入するこ
とであり、S308の処理内容は、不良箇所フラグfl
agdrvnに右側バンクのドリブンギヤ1歯進みを示す0
x04を代入することである。
【0070】上述の説明においては、(ζodd
ζeven)の値が、(0,0),(8.4,21.6)お
よび(21.6,8.4)の3つのうちのいずれかとな
るものとしたが、これは厳密には正しくない。実際に
は、変数ζodd ,ζevenは共に誤差を含むからである
が、この誤差の大きさは、実測により知ることができ、
例えば、高々±2程度の値となる。したがって、上記
(ζodd ,ζeven)の値は、それぞれ(−2〜2,−2
〜2),(6.4〜10.4,19.6〜23.6)お
よび(19.6〜23.6,6.4〜10.4)のいず
れかの範囲に含まれることとなる。(ζodd ,ζeven
の値が、これらの範囲のいずれに含まれているかは、容
易に区別できる。上記(ζodd ,ζeven)は単独で用い
てもよいが、それらの値を取得したシリンダとは別のシ
リンダの変数ζi の値を参酌しながら用いてもよい。各
バンクの3つのシリンダについてそれぞれ得られる変数
ζodd ,ζevenの値の平均値を用いて検査を行うことは
その一例である。したがって、図31に示したドリブン
ギヤ1歯進み検査においては、左右のバンクにそれぞれ
含まれる少なくとも1つずつのシリンダ間で比較が行わ
れるものと解することができる。また、この検査は、各
シリンダ毎に得られる変数ζi の値を、変数iの値が奇
数のものと偶数のものとに群分けし、それら各群間で比
較が行われるものと解することもできる。
【0071】つぎに、S204においてコールされるサ
ブルーチンである排気バルブクリアランス小検査を説明
する。図32は、その内容を示すフローチャートであ
る。まず、S400において、変数iで示される各シリ
ンダごとの変数ηi の値が次式により算出される。 ηi ={ΔΦi −ΔΣi −f(ζi )}/2 ・・・(5) 排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi および排気側圧力不
変化状態移行角相対値ΔΣi の値は、前述のように、各
シリンダの排気側圧力PEXの変化状態の解析によって取
得される。また、関数f(ζi )は排気側圧力不変化状
態移行角相対値ΔΣi の値に含まれ得る左右いずれか一
方のバンクがドリブンギヤ1歯進みである場合の影響を
除去するために用いられるものであり、前記(4)式に
より得られる変数ζi に応じて、変数iが示すシリンダ
を含むバンクがドリブンギヤ1歯進みである場合に−
8.4を、変数iが示すシリンダを含まないバンクがド
リブンギヤ1歯進みである場合に8.4を、左右両バン
クともドリブンギヤ1歯進みでない(あるいは共に1歯
進みである)場合に0をそれぞれ返す関数である。な
お、関数f(ζi )の値は、変数ζi と同様に、左右両
バンクともドリブンギヤ1歯進みである場合と左右両バ
ンクともドリブンギヤ1歯進みでない場合とで同じ値を
示すが、このことは排気バルブクリアランスが小状態で
あるか否かの検査には影響しない。
【0072】上記(5)式に、(2)式および(3)式
で表される排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi および排
気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi を代入すれば、
次式が得られる。 ηi ={(ΔΦm +Φi+1 −Φi )−(ΔΣm +Σi+1
−Σi )−f(ζi )}/2={Φi+1 −Φi −(Σ
i+1 −Σi )−f(ζi )}/2 ここで、排気側圧力減少開始角相対値平均ΔΦm =排気
側圧力不変化状態移行角相対値平均ΔΣm =120度で
あることを用いた。この式に図24に示した排気側圧力
減少開始角差Φおよび排気側圧力不変化状態移行角差Σ
の値と、上記関数f(ζi )の値を代入すれば、以下に
例示するように変数ηi が求まる。この計算は、実際の
エンジン検査時において(5)式で行われる計算と同じ
結果を与える。
【0073】例えば、第1番目のシリンダが排気バルブ
クリアランス小状態であり、左右のバンクが共にドリブ
ンギヤ1歯進みでないとすると、各シリンダごとの変数
ηiの値は以下のようになる。 η1 ={Φ2 −Φ1 −(Σ2 −Σ1 )−f(ζ1 )}/
2={0−(−6.4)−(0−6.4)−0}/2=
6.4 η2 ={Φ3 −Φ2 −(Σ3 −Σ2 )−f(ζ2 )}/
2={0−0−(0−0)−0}/2=0 η3 ={Φ4 −Φ3 −(Σ4 −Σ3 )−f(ζ3 )}/
2={0−0−(0−0)−0}/2=0 η4 ={Φ5 −Φ4 −(Σ5 −Σ4 )−f(ζ4 )}/
2={0−0−(0−0)−0}/2=0 η5 ={Φ6 −Φ5 −(Σ6 −Σ5 )−f(ζ5 )}/
2={0−0−(0−0)−0}/2=0 η6 ={Φ1 −Φ6 −(Σ1 −Σ6 )−f(ζ6 )}/
2={−6.4−0−(6.4−0)−0}/2=−
6.4
【0074】また、例えば、第1番目と第2番目とのシ
リンダが排気バルブクリアランス小状態であり、左右の
バンクが共にドリブンギヤ1歯進みでないとすると、各
シリンダごとの変数ηi の値は以下のようになる。 η1 ={Φ2 −Φ1 −(Σ2 −Σ1 )−f(ζ1 )}/
2={−6.4−(−6.4)−(6.4−6.4)−
0}/2=0 η2 ={Φ3 −Φ2 −(Σ3 −Σ2 )−f(ζ2 )}/
2={0−(−6.4)−(0−6.4)−0}/2=
6.4 η3 ={Φ4 −Φ3 −(Σ4 −Σ3 )−f(ζ3 )}/
2={0−0−(0−0)−0}/2=0 η4 ={Φ5 −Φ4 −(Σ5 −Σ4 )−f(ζ4 )}/
2={0−0−(0−0)−0}/2=0 η5 ={Φ6 −Φ5 −(Σ6 −Σ5 )−f(ζ5 )}/
2={0−0−(0−0)−0}/2=0 η6 ={Φ1 −Φ6 −(Σ1 −Σ6 )−f(ζ6 )}/
2={−6.4−0−(6.4−0)−0}/2=−
6.4
【0075】また、例えば、第1番目と第2番目と第5
番目とのシリンダが排気バルブクリアランス小状態であ
り、かつ、右側バンクのドリブンギヤが1歯進みである
とすると、各シリンダごとの変数ηi の値は、図24に
示した排気側圧力減少開始角差Φおよび排気側圧力不変
化状態移行角差Σの値を用いて以下のように計算される
値と同じとなる。 η1 ={Φ2 −Φ1 −(Σ2 −Σ1 )−f(ζ1 )}/
2=〔−6.4−(−6.4)−{(6.4−8.4)
−6.4}−8.4〕/2=0 η2 ={Φ3 −Φ2 −(Σ3 −Σ2 )−f(ζ2 )}/
2=〔0−(−6.4)−{0−(6.4−8.4)}
−(−8.4)〕/2=6.4 η3 ={Φ4 −Φ3 −(Σ4 −Σ3 )−f(ζ3 )}/
2=〔0−0−{(−8.4)−0}−8.4〕/2=
0 η4 ={Φ5 −Φ4 −(Σ5 −Σ4 )−f(ζ4 )}/
2=〔0−0−{0−(−8.4)}−(−8.4)〕
/2=0 η5 ={Φ6 −Φ5 −(Σ6 −Σ5 )−f(ζ5 )}/
2=〔0−(−6.4)−{(−8.4)−6.4}−
8.4〕/2=6.4 η6 ={Φ1 −Φ6 −(Σ1 −Σ6 )−f(ζ6 )}/
2=〔−6.4−0−{6.4−(−8.4)}−(−
8.4)〕/2=−6.4
【0076】このように、変数ηi の値が6.4である
(変数iで示される)シリンダは、排気バルブクリアラ
ンス小状態であり、さらに、その変数iの値から1を繰
り返し減じていったときに、最初に変数ηi の値が−
6.4となる変数iの値より1大きい値で示されるシリ
ンダまでが排気バルブクリアランス小状態であることが
わかる。例えば、η5 =6.4,η4 =η3 =η2
0,η1 =−6.4,η6=0であれば、第5シリン
ダ,第4シリンダ,第3シリンダおよび第2シリンダが
排気バルブクリアランス小状態であり、第1シリンダお
よび第6シリンダは排気バルブクリアランス小状態では
ないこととなる。S402は、以上に説明した手順に沿
って算出された変数ηi の値に基づいて、変数iで示さ
れる各シリンダが排気バルブクリアランス小状態である
か否かの判定を行い、その結果を、不良箇所フラグfl
agexs に反映させる。なお、以上の説明においては、
説明を簡単にするために、変数ηi の値は、0と6.4
と−6.4とに限られるものとして説明したが、実際に
は、それぞれ、−2〜2と2〜10と−2〜−10との
いずれかの範囲に属する値となる。
【0077】なお付言すれば、排気バルブクリアランス
が小さい状態が、少なくとも各バンクに含まれるすべて
のシリンダに同時に生じることはないという仮定が成り
立つと見なせる場合は、例えば、次式で定義される変数
ΔΔΦi の値に基づいて、排気バルブクリアランスが小
さいか否かが判定されるようにしてもよい。 ΔΔΦi =ΔΦi +ΔΦi+1 −2・ΔΦm ・・・(6) 変数ΔΔΦi の値は、排気側圧力減少開始角相対値ΔΦ
i の変数iの値が奇数であるものと偶数であるものとの
和に基づく値であるため、カムプーリおよびドリブンギ
ヤの組立不良の影響を相殺する。したがって、排気バル
ブクリアランス小の状態であるか否かのみに影響される
値である。なお、(6)式に(2)式で表される排気側
圧力減少開始角相対値ΔΦi およびΔΦi+1 を代入する
と、ΔΔΦ i =Φi+2 −Φi となる。したがって、この
変数ΔΔΦi の値を用いた検査は、6個のシリンダを変
数iの値が偶数であるものとの奇数であるものとの2つ
の群に群分けし、個々の群に含まれる値同士の比較に基
づいて検査が行われるものと解することができる。
【0078】上式ΔΔΦi =Φi+2 −Φi は、図24に
示した排気側圧力減少開始角差Φの値に基づいて計算で
き、その結果は、実際の検査において行なわれる(6)
式を用いた計算結果と一致する。以下、この式を用いて
行なわれるいくつかの計算例を示す。例えば、変数i=
1で示されるシリンダが排気バルブクリアランス小であ
る場合は、ΔΔΦ1 =Φ3 −Φ1 =6.4,ΔΔΦ5
Φ1 −Φ5 =−6.4,ΔΔΦ2 (=Φ4 −Φ2 )=Δ
ΔΦ3 (=Φ5 −Φ3 )=ΔΔΦ4 (=Φ6 −Φ4 )=
ΔΔΦ6 (=Φ2 −Φ6 )=0となる。変数iの値が偶
数である変数ΔΔΦiの値は、すべて0となり、このこ
とが右側バンクには排気バルブクリアランス小状態のシ
リンダがないことを表している。また、変数i=1と変
数i=3とで示される2つのシリンダの排気バルブクリ
アランスが小状態である場合は、ΔΔΦ1 =ΔΔΦ2
0,ΔΔΦ3 =6.4,ΔΔΦ4 =0,ΔΔΦ5 =−
6.4,ΔΔΦ6 =0となる。以下、いちいち例示しな
いが、左右の各バンクに存在し得る排気バルブクリアラ
ンス小状態であるシリンダが高々2つであると仮定でき
る場合は、変数ΔΔΦ i の各値の組のパターンにより排
気バルブクリアランスが小であるシリンダを特定し得る
のである。同様の検査は、排気側圧力不変化状態移行角
相対値ΔΣi の各値から導かれる変数ΔΔΣi (=ΔΣ
i +ΔΣi+1 −2・ΔΣm )を用いても実施できる。な
お、以上の例示において、排気バルブクリアランス小状
態における排気側圧力減少開始角差Φi の値を図24に
示した値(−6.4)として計算したが、この値は−2
〜−10の範囲で変化し得るので、変数ΔΔΦi の値の
組のパターンを取得する際には、各変数iの値に対する
変数ΔΔΦi の値が、−2〜2,2〜10,−2〜−1
0のいずれの範囲に属するかの判定が行われることとな
る。
【0079】つぎに、S206においてコールされるサ
ブルーチンであるカムプーリ検査について説明する。図
33は、その内容を示すフローチャートである。まず、
S500において、変数iで示される各シリンダごとに
変数ρi の値が次式により算出される。 ρi =ΔΦi −ΔΦm −{gi+1 (ηj )−gi (ηj )} ・・・(7) ここで、排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi は実際に取
得される値であり、排気側圧力減少開始角相対値平均Δ
Φm は120度である。関数gi (ηj )は排気側圧力
減少開始角相対値ΔΦi の値に含まれる可能性のある排
気バルブクリアランス小状態の影響を除去するために用
いられる関数であり、前述の変数ηj の値に応じて、変
数iの値が示すシリンダが排気バルブクリアランス小状
態でない場合に0を、排気バルブクリアランス小状態で
ある場合に−6.4を返す関数である。なお、変数ηj
の添字は、ρi の添字と区別するために“j”で示され
ているが、これは、変数iで示されるシリンダが排気バ
ルブクリアランス小状態であるか否かが、変数ηi だけ
では特定できず、前述のようにすべてのシリンダに対応
する変数ηj の値を勘案して判定しなければならないこ
とに対応している。なお、(2)式を参照することによ
り、(7)式の左辺中のΔΦi −ΔΦm は、Φ i+1 −Φ
i に等しいことがわかる。つまり、(7)式は、次式の
ように変形できる。 ρi =Φi+1 −Φi −{gi+1 (ηj )−g
i (ηj )} 後述する変数ρi の具体的な計算例は、この式と図24
に示した排気側圧力減少開始角差Φの値とに基づいて計
算されるものである。ただし、実際にエンジン検査が行
なわれる際には、(7)式を用いた計算が行なわれる。
【0080】なお、排気バルブクリアランスが小さいこ
とが排気側圧力減少開始角差Φi に、ひいては排気側圧
力減少開始角相対値ΔΦi に及ぼす影響の大きさは、前
述のように変動する。したがって、変数ηj に応じて関
数gi (ηj )が返す値の大きさも、その影響の大きさ
を反映するようにされることが望ましい。そのため、例
えば、実際に取得された排気側圧力減少開始角相対値Δ
Φi の値から、その排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi
の値に最も近い15の倍数を減じた値を、関数gi (η
j )の値とすれば、この変動の影響を除去できる。この
ようにして計算される各シリンダに対応する変数ρi
取り得る値は、排気バルブクリアランスが正常であるか
否かに影響されない値(0,±15,±30のいずれ
か)となる。
【0081】変数iの値が奇数である場合の変数ρi
値ρodd と、偶数の場合の値ρevenとの組(ρodd ,ρ
even)は、(0,0),(15,−15),(−15,
15),(30,−30)および(−30,30)の5
つに限られる。これら5つの組のそれぞれは、以下に示
すカムプーリの組立状態に対応する。 (0,0)左右両バンク正常、または、左右両バンク
共1歯進み若しくは遅れ (15,−15)(左側バンク1歯進み、かつ、右側
バンク正常)、または、(左側バンク正常、かつ、右側
バンク1歯遅れ状態) (−15,15)(左側バンク正常、かつ、右側バン
ク1歯進み)、または、(左側バンク1歯遅れ、かつ、
右側バンク正常) (30,−30)左側バンク1歯進み、かつ、右側バ
ンク1歯遅れ (−30,30)左側バンク1歯遅れ、かつ、右側バ
ンク1歯進み このように、(ρodd ,ρeven)の組が、上記または
である場合は、カムプーリの組立状態を完全に特定で
きるが、上記〜のいずれかである場合は、左右両バ
ンクのカムプーリの組立状態を完全には特定できない。
しかし、少なくとも、2つ(,の場合)または3つ
(の場合)の組立状態のうちの1つであることは特定
できるのであり、実際のエンジン検査に続く修正処理に
おいて有用な情報となる。なお、の場合において、左
右の両バンクが共にカムプーリ1歯進みまたは遅れであ
ることは、極めて稀にしか生じないことである。
【0082】S502は、(ρodd ,ρeven)の値に基
づいて、不良箇所フラグflagca m に値をセットする
処理である。上記5つの組のうち、「である場合は、
不良箇所フラグflagcam に0xCf(110011
11)がセットされる。この値は、図30から明らかな
ように、左右のバンクが共にカムプーリ1歯進みの場合
にセットされる0x05(00000101)と、左右
のバンクが共にカムプーリ1歯遅れの場合にセットされ
る0x0a(00001010)との論理和の上位2ビ
ットに1をセットした値である。エラー1ビットおよび
エラー2ビットに1がセットされるので、1とされたす
べてのビットが点滅させられるととなる。なお、例え
ば、不良箇所フラグflagcam に0x80(1000
0000)がセットされてもよい。また、である場合
は、不良箇所フラグflagcam に0xC9(1100
1001)がセットされる。この値は、左側バンクがカ
ムプーリ1歯進みであり、右側バンクが正常である場合
にセットされる0x01(00000001)と、左側
バンクが正常であり、右側バンクがカムプーリ1歯遅れ
の場合にセットされる0x08(00001000)と
の論理和の上位2ビットに1をセットした値である。
【0083】である場合は、不良箇所フラグflag
cam に0x86(10000110)がセットされる。
この値は、左側バンクがカムプーリ1歯遅れであり、右
側バンクが正常である場合にセットされる0x02(0
0000010)と、左側バンクが正常であり、右側バ
ンクがカムプーリ1歯進みの場合にセットされる0x0
4(00000100)との論理和の上位2ビットに1
をセットした値である。また、である場合は、不良箇
所フラグflagcam に0x09(00001001)
がセットされる。この値は、左側バンクがカムプーリ1
歯進みであり、右側バンクがカムプーリ1歯遅れである
ことを示している。である場合は、不良箇所フラグf
lagcam に0x06(00000110)がセットさ
れる。この値は、左側バンクがカムプーリ1歯遅れであ
り、右側バンクがカムプーリ1歯進みであることを示し
ている。不良箇所フラグflagcam の上位2ビット
(エラー可能性表示ビット)が1とされる場合は、不良
箇所フラグflagcam の上位2ビット以外で1がセッ
トされたビットに対応するランプ(図28参照)が点滅
させられる。
【0084】上記(ρodd ,ρeven)は、それらの値を
取得したシリンダとは別のシリンダの変数ρi の値を参
酌して、あるいはそれらに代えて用いられるようにして
もよい。例えば、3つずつ得られる変数ρodd ,ρeven
の値の平均値が用いられるようにすることができるので
ある。したがって、図33に示したカムプーリ検査にお
いては、左右のバンクにそれぞれ含まれる少なくとも1
つのシリンダとの間で比較が行われると解することがで
きる。また、この検査は、各シリンダ毎に得られる変数
ρi の値を、変数iの値が奇数のものと偶数のものとに
群分けし、それら各群間で比較が行われる検査であると
解することもできる。
【0085】つぎに、図29のS208においてコール
されるサブルーチンであるドリブンギヤ1歯遅れおよび
吸気バルブクリアランス検査について説明する。図34
は、その内容を示すフローチャートである。まず、S6
00において、変数iで示される各シリンダ毎に変数λ
i の値が次式により算出される。 λi =ΔΓi −ρi −hi (ζj ) ・・・(8) ここで、関数hi (ζj )は、前述の変数ζj の関数で
あって、左右両バンクが共にドリブンギヤ1歯進みの状
態であるか、共にドリブンギヤ1歯進みの状態でない場
合に0を、変数iが示すシリンダを含むバンクがドリブ
ン1歯進みの状態である場合に18を、変数iが示すシ
リンダを含まないバンクがドリブン1歯進みの状態であ
る場合に−18を、それぞれ返すものであり、実際に計
測される排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓi が含み得
るドリブンギヤ1歯進みの影響を除去するために用いら
れる。なお、変数ζj の添字がiではなくjとされてい
るのは、着目しているシリンダに対応する変数ζi (添
字がi)のみでは、変数iで示されるシリンダを含むバ
ンクがドリブンギヤ1歯進みであるか否かを特定でき
ず、少なくとも図31に示した方法による限り、変数ζ
odd と変数ζevenとの組(ζodd ,ζeven)によらなけ
ればならないことに対応している。また、変数ρi の値
を排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓi から減じること
によって、カムプーリ1歯進み/遅れの影響を除去でき
る。
【0086】(8)式に基づいて算出される変数λi
値は、上記組立不良の影響が除去された後に、ドリブン
ギヤ1歯遅れと、吸気バルブクリアランス小または吸気
バルブクリアランス大との影響を含む可能性があるもの
である。(8)式に(1)式を代入し、変形すると、
(8)式に代わる次式を得る。 λi −ΔΓm =Γi+1 −Γi −ρi −hi (ζj ) この式の右辺は、図24に示した排気側圧力極大値到達
角差Γの値に基づいて計算できる。この計算は、実際の
エンジン検査において行なわれる(8)式による計算と
は異なるのであるが、被検査エンジンが同じ組立状態に
あれば同じ結果を与える計算である。上式の左辺の値
(変数λi から排気側圧力極大値到達角相対値平均ΔΓ
m =120を減じた値)は、ドリブンギヤ1歯遅れと、
吸気バルブクリアランス小または大との発生状況に対応
して、以下に示す範囲(1) 〜(11)のいずれかに属するこ
ととなる。 範囲(1): −30≦λi −ΔΓm <−20 範囲(2): −20≦λi −ΔΓm <−16 範囲(3): −16≦λi −ΔΓm <−12 範囲(4): −12≦λi −ΔΓm < −6 範囲(5): −6≦λi −ΔΓm < −2 範囲(6): −2≦λi −ΔΓm < 2 範囲(7): 2≦λi −ΔΓm < 6 範囲(8): 6≦λi −ΔΓm < 12 範囲(9): 12≦λi −ΔΓm < 16 範囲(10): 16≦λi −ΔΓm < 20 範囲(11): 20≦λi −ΔΓm < 30
【0087】図35は、これらの範囲(1) 〜(11)を数直
線上に示した図である。ドリブンギヤ1歯遅れの状態
は、λi −ΔΓm の値に離散的に影響する。その影響の
大きさは、具体的には、変数iで示されるシリンダが含
まれるバンクがドリブンギヤ1歯遅れである場合は−1
8であり、変数iで示されるシリンダが含まれないバン
クがドリブンギヤ1歯遅れである場合は18であり、ま
た、左右のバンクが共にドリブンギヤ1歯遅れである
か、正常組立状態である場合は0である。一方、吸気バ
ルブクリアランスが正常とされる場合でも排気側圧力極
大値到達角差Γは−2以上2未満の範囲でばらつく可能
性がある(換言すれば、±2の範囲に入っているか否か
によって、吸気バルブクリアランスが正常であるか否か
を判定できる)。また、吸気バルブクリアランス小状態
においても排気側圧力極大値到達角差Γが正常な場合よ
り−10を越えて小さくなることはなく、吸気バルブク
リアランス大状態においても排気側圧力極大値到達角差
Γが正常な場合より10を越えて大きくなることはな
い。このように、λi −ΔΓm の値の領域が、−18±
(10+2),−18±2,0±(10+2),0±
2,18±(10+2),18±2の値を境界値とする
複数の範囲に区分されるのである。
【0088】これらの範囲は、変数iで示されるシリン
ダを含むバンクのドリブンギヤ1歯遅れが生じているか
否かと、変数iで示されるシリンダの吸気バルブクリア
ランスの組立状態との以下に示す状態に対応する。 範囲(1): ドリブンギヤ1歯遅れ、かつ、吸気バルブク
リアランス大 範囲(2): ドリブンギヤ1歯遅れ、かつ、吸気バルブク
リアランス正常 範囲(3): ドリブンギヤ1歯遅れ、かつ、吸気バルブク
リアランス小 範囲(4): (ドリブンギヤ1歯遅れ、かつ、吸気バルブ
クリアランス小)、または、(両バンクのドリブンギヤ
正常、かつ、吸気バルブクリアランス大)、または、
(両バンクのドリブンギヤ1歯遅れ、かつ、吸気バルブ
クリアランス大) 範囲(5): (両バンクのドリブンギヤ正常、かつ、吸気
バルブクリアランス大)、または、(両バンクのドリブ
ンギヤ1歯遅れ、かつ、吸気バルブクリアランス大) 範囲(6): (両バンクのドリブンギヤ正常、かつ、吸気
バルブクリアランス正常)、または、(両バンクのドリ
ブンギヤ1歯遅れ、かつ、吸気バルブクリアランス正
常) 範囲(7): (両バンクのドリブンギヤ正常、かつ、吸気
バルブクリアランス小)、または、(両バンクのドリブ
ンギヤ1歯遅れ、かつ、吸気バルブクリアランス小) 範囲(8): (両バンクのドリブンギヤ正常、かつ、吸気
バルブクリアランス小)、または、(両バンクのドリブ
ンギヤ1歯遅れ、かつ、吸気バルブクリアランス小)、
または、(他方のバンクのドリブンギヤ1歯遅れ、か
つ、吸気バルブクリアランス大) 範囲(9): 他方のバンクのドリブンギヤ1歯遅れ、か
つ、吸気バルブクリアランス大 範囲(10): 他方のバンクのドリブンギヤ1歯遅れ、か
つ、吸気バルブクリアランス正常 範囲(11): 他方のバンクのドリブンギヤ1歯遅れ、か
つ、吸気バルブクリアランス小
【0089】このように、λi −ΔΓm の値が、範囲
(1) 〜範囲(3) ,範囲(9) 〜範囲(11)のいずれかに属す
る場合は、変数iで示されるシリンダの吸気バルブクリ
アランスの組立状態が特定でき、かつ、そのシリンダが
含まれるバンクのドリブンギヤの組立状態が1歯遅れの
状態であるか否かが判定できる。一方、範囲(4) 〜範囲
(8) のいずれかに属する場合は、変数iが示すシリンダ
に関する組立状態の複数の候補が示される。なお、変数
iで示されるシリンダに対応するλi −ΔΓm の値が範
囲(4) 〜範囲(8) のいずれかに属する場合においても、
そのシリンダの組立状態が1つに特定できる場合もあ
る。例えば、あるシリンダのλi −ΔΓm の値が範囲
(8) に属する場合に、そのシリンダと同じバンクに含ま
れる別のシリンダのλi −ΔΓm の値に範囲(9) に属す
るものがあるならば、そのシリンダの吸気バルブクリア
ランスが大の状態であり、かつ、そのシリンダが含まれ
るバンクはドリブンギヤ1歯遅れの状態ではないことが
明確になる。このように、左右2つのバンクを有するエ
ンジンの場合は、左右のバンクの組立状態を独立に取得
することができ、これら2つの情報を利用すれば、組立
状態に関するより多くの情報が得られることとなる。S
602においては、以上の手順に基づく判定結果が不良
箇所フラグflagdrvn,flaginl ,flagins
の値に反映させられる。ただし、複数の組立状態の候補
が示される場合は、対応する不良箇所フラグの上位2ビ
ットに1がセットされて、組立不良を明確に特定できな
いことが示される。
【0090】つぎに、図29のS210においてコール
されるサブルーチンである排気バルブクリアランス大検
査について説明する。なお、この検査は、カムプーリ,
ドリブンギヤ,吸気バルブクリアランス等の他の組立状
態が正常でない場合には、正しく検査できない場合があ
るが、カムプーリ等の組立状態がすべて正常であり、か
つ、排気バルブクリアランスが大の状態であるシリンダ
が存在する場合には、そのシリンダを特定し得る検査で
ある。したがって、以上に述べた各検査において、組立
不良が発見された場合には実行されず、各シリンダの排
気バルブクリアランスが大の状態であるか否かは不明で
あると判定され、不良箇所フラグflagexl の最上位
ビット(エラー可能性表示ビット)に1がセットされて
処理が終了する。その結果、すべてのシリンダに対応す
るランプが点滅させられる。
【0091】図36は、変数iの値を1ないし6として
(各シリンダ毎に)順次実行される排気バルブクリアラ
ンス大検査の一例を示すフローチャートである。まず、
S700において、各シリンダ毎に取得される排気側圧
力不変化値差βi の値の最大値が変数βMAX に、最小値
が変数βMIN にセットされる。つぎに、S702におい
て、変数βMAX から変数βMIN を減じた値がしきい値β
thを越えているか否かが判定され、越えていれば、S7
04において、S700で最大値(変数βMAXの値)と
された排気側圧力不変化値差βi の値が取得された変数
iで示されるシリンダが、排気バルブクリアランス大状
態であるとして、不良箇所フラグflagexl のそのシ
リンダに対応するビットに1がセットされ、排気バルブ
クリアランス大検査が終了させられる。しきい値βth
値は、予め定められた定数である。S702の判定結果
がNOであれば、そのまま排気バルブクリアランス大検
査が終了させられる。
【0092】なお、上記図36の処理は、排気バルブク
リアランスが大きいシリンダは、存在しても1つだけで
あるとの仮定に基づく処理である。この仮定が成り立た
ない可能性がある場合でも、少なくとも1つのシリンダ
の排気バルブクリアランスは正常であるとの仮定が成り
立つと考えてよい場合、換言すれば、すべてのシリンダ
の排気バルブクリアランスが同時に大きくなることはな
いと考えてよい場合は、本排気バルブクリアランス大検
査は意味を持つ。ただし、その場合には、本排気バルブ
クリアランス大検査は、最も排気バルブクリアランスの
大きいシリンダを見出すために行なわれる処理であるこ
ととなる。そして、本排気バルブクリアランス大検査に
おいて排気バルブクリアランスが大きいと判定されたシ
リンダが存在する場合は、他にも(すべてではないが)
排気バルブクリアランスが大きいシリンダが存在する可
能性があることとなる。したがって、この場合は、不良
箇所フラグflagexl の排気バルブクリアランスが大
きいと判定されたシリンダに対応するビットに1がセッ
トされると共に、最上位ビット(エラー1ビット)に1
がセットされて、そのシリンダに対応するランプ(図2
8参照)が点灯させられるとともに、他のシリンダに対
応するランプが点滅させられる。それにより、すべての
シリンダではないが、他にも排気バルブクリアランスが
大きいシリンダが存在する可能性があることが示され
る。
【0093】さらに、すべてのシリンダの排気バルブク
リアランスが大きい可能性が否定できない場合には、本
排気バルブクリアランス大検査において、すべてのシリ
ンダの排気バルブクリアランスが正常であると判定され
た場合に、逆に、すべてのシリンダの排気バルブクリア
ランスが大きい可能性があることを示す必要がある。し
たがって、各シリンダの排気バルブクリアランスがすべ
て正常であると判定された場合に、不良箇所フラグfl
agexl の最上位ビット(エラー可能性表示ビット)に
1がセットされ、かつ、不良箇所フラグflagexl
第1ないし第6ビットに0がセットされて(これによ
り、すべてのシリンダに対応するランプが点滅させられ
る)、すべてのシリンダの排気バルブクリアランスが大
きい状態である可能性が示されるようにすることが必要
となる。
【0094】図37は、図36に示した排気バルブクリ
アランス大検査とは別の態様の排気バルブクリアランス
大検査を示すフローチャートである。この処理は、各シ
リンダ毎に取得される排気側圧力不変化値差βi の値
と、それらの平均値との比較に基づく検査処理である。
まず、S800において、各シリンダ毎に取得される排
気側圧力不変化値差βi の平均値が変数βMEANにセット
される。つぎに、S802において、各排気側圧力不変
化値差βi の値から変数βMEANの値を減じた値が、しき
い値βth(予め定められた定数)を越えているか否かが
判定される。S802の判定結果がYESであれば、S
804において、変数iが示すシリンダの排気バルブク
リアランスが大状態であるとして、不良箇所フラグfl
agexl の対応するビットに1がセットされて、排気バ
ルブクリアランス大検査が終了させられる。S802の
判定結果がNOであれば、そのまま排気バルブクリアラ
ンス大検査が終了させられる。なお、本排気バルブクリ
アランス大検査は、排気バルブクリアランスが大の状態
となるシリンダは、存在しても少ない(1つまたは2つ
程度)との仮定が成り立つ場合に適した検査である。し
たがって、このような仮定が成り立たない可能性がある
場合は、上述の図36の説明に付随して説明した3つの
可能性に基づく検査のうち、後者2つの可能性に基づく
検査のいずれかが行なわれるようにすべきである。
【0095】図38は、図36および図37に示したも
のとはさらに別の態様の排気バルブクリアランス大検査
を示すフローチャートである。この処理は、各シリンダ
毎に取得される排気側圧力不変化値差βi の値を2つの
群に分ける群分けを行い、それら2つの群間の比較に基
づいて行われる検査処理である。まず、S900におい
て、変数Δβk に、各シリンダ毎に取得された排気側圧
力不変化値差βi の、大きさが隣合う値同士の差がそれ
ぞれセットされる。この値は5つ存在する。したがっ
て、変数Δβk の添字kは1〜5の値となる。つぎに、
S902において、変数Δβk の値の最大値が変数Δβ
MAX にセットされ、S904において、その変数Δβ
MAX の値がしきい値Dthを越えているか否かが判定され
る。しきい値Dthの値は、例えば、変数ΔβMAX の値の
算出に使用された2つの排気側圧力不変化値差βi の値
のうち、小さい方の値(βS と記す。また、大きい方を
βL と記す)以下の排気側圧力不変化値差βi の値のば
らつきの大きさとすることができる。この判定結果がY
ESであれば、S906において、前記βL 以上の大き
さの排気側圧力不変化値差βi が取得された変数iで示
されるシリンダが、排気バルブクリアランス大の状態で
あると判定されて、不良箇所フラグflagexlの対応
するビットに1がセットされた後に、排気バルブクリア
ランス大検査が終了させられる。S904の判定結果が
NOであれば、そのまま排気バルブクリアランス大検査
が終了させられる。
【0096】このように、各シリンダ毎に取得される排
気側圧力不変化値差βi の値から得られる変数ΔβMAX
の値が、やはり排気側圧力不変化値差βi の値から算出
されるしきい値Dthより大きい場合は、βL 以上の排気
側圧力不変化値差βi が取得されたシリンダと、βS
下の排気側圧力不変化値差βi が取得されたシリンダと
が、それぞれ別の群を構成すると判定される。そして、
それら2つの群のうち、前者に含まれる排気側圧力不変
化値差βi が取得されたシリンダが、排気バルブクリア
ランス大の状態であると判定されるのである。なお、図
38に示した排気バルブクリアランス大検査は、排気バ
ルブクリアランスが正常であるシリンダの排気側圧力不
変化値差βi の値のばらつきは充分小さいとの仮定に基
づくものである。この仮定が成り立たない可能性がある
場合は、図36または図37に示した処理(または、そ
れ以外の排気バルブクリアランス大検査)が行なわれる
ようにすべきである。
【0097】図38に示した排気バルブクリアランス大
検査においては、各シリンダ毎に取得される排気側圧力
不変化値差βi 自身から算出される変数Δβk ,変数Δ
βMA X ,しきい値Dth等の値に基づいて排気バルブクリ
アランスが大きいか否かの検査が行われる。この場合に
は、排気側圧力不変化値差βi の値と、あるしきい値
(定数)との比較に基づく検査にしばしば必要とされる
しきい値の調整を省略することができる。図36ないし
図38に示した排気バルブクリアランス大検査は、それ
ぞれ独立に実行し得るが、これらのうち2つ以上が実行
されるようにしてもよい。その場合は、それぞれの排気
バルブクリアランス大検査の結果が一致しない場合もあ
り得る。その場合には、例えば、それら複数の検査のう
ち、少なくとも1つの検査において排気バルブクリアラ
ンスが大きいと判定されたシリンダは、排気バルブクリ
アランス大の状態である可能性があるという判定が行わ
れるようにすることができる。
【0098】つぎに、図29のS212においてコール
されるサブルーチンであるコンプレッションリング欠落
検査について説明する。なお、この検査は、カムプー
リ,ドリブンギヤ,吸気バルブクリアランス等の他の組
立状態が正常でない場合には、正しく検査できない場合
がある。しかし、他の組立状態がすべて正常であり、か
つ、コンプレッションリングが欠落しているシリンダが
存在する場合は、そのシリンダを特定し得る検査であ
る。したがって、以上に述べた各検査において、組立不
良が特定された場合には、各シリンダのコンプレッショ
ンリングが欠落しているか否かが不明であると判定さ
れ、不良箇所フラグflagringの最上位ビットに1が
セットされ、さらに、すべてのシリンダに対応する不良
箇所フラグflagringのビットに0がセットされた後
に処理が終了させられる。これによって、すべてのシリ
ンダに対応するランプが点滅させられることとなる。
【0099】図39は、コンプレッションリング欠落検
査の内容の一例を示すフローチャートである。まず、S
1000において、各シリンダ毎に取得される排気側圧
力極大値差αi の値の最大値を変数αMAX に、最小値を
変数αMIN にセットする。つぎに、S1002におい
て、変数αMAX から変数αMIN を減じた値がしきい値α
thを越えているか否かが判定され、越えていれば、S1
004において、S1000で最小値(変数αMIN
値)とされた排気側圧力極大値差αi の値が取得された
変数iで示されるシリンダが、コンプレッションリング
が欠落している状態であるとされて、不良箇所フラグf
lagringのそのシリンダに対応するビットに1がセッ
トされた後に、コンプレッションリング欠落検査が終了
させられる。ここで、しきい値αthは予め定められた定
数である。S1002の判定結果がNOであれば、その
まま排気バルブクリアランス大検査が終了させられる。
【0100】なお、以上に説明した処理は、コンプレッ
ションリングが欠落しているシリンダは、存在しても1
つだけであるとの仮定に基づく処理である。この仮定が
成り立たない可能性がある場合でも、少なくとも1つの
シリンダのコンプレッションリングは正常に取り付けら
れているとの仮定が成り立つと考えてよい場合、換言す
れば、すべてのシリンダのコンプレッションリングが同
時に欠落していることはないとしてよい場合は、本コン
プレッションリング欠落検査は意味を持つ。ただし、そ
の場合には、本コンプレッションリング欠落検査は、コ
ンプレッションリングが欠落しているシリンダのうちの
いずれか1つを見出すために行なわれる処理であること
となる。そして、本コンプレッションリング欠落検査に
おいてコンプレッションリングが欠落していると判定さ
れたシリンダが存在する場合は、他にも(すべてではな
いが)コンプレッションリングが欠落しているシリンダ
が存在する可能性があることとなる。したがって、この
場合は、不良箇所フラグflagringのコンプレッショ
ンリングが欠落していると判定されたシリンダに対応す
るビットに1がセットされると共に、最上位ビット(エ
ラー可能性表示ビット)に1がセットされ、そのシリン
ダに対応するランプ(図28参照)が点灯させられると
ともに、他のシリンダに対応するランプが点滅させられ
るようにすることとなる。それにより、すべてのシリン
ダではないが、他にもコンプレッションリングが欠落し
ているシリンダが存在する可能性があるということが示
される。
【0101】さらに、すべてのシリンダのコンプレッシ
ョンリングが欠落している可能性が否定できない場合
は、本コンプレッションリング欠落検査において、すべ
てのシリンダのコンプレッションリングが正常に取り付
けられていると判定された場合に、逆に、すべてのシリ
ンダのコンプレッションリングが欠落している可能性が
あることを示す必要がある。したがって、各シリンダの
コンプレッションリングがすべて正常に取り付けられて
いると判定された場合においても、不良箇所フラグfl
agringの最上位ビット(エラー可能性表示ビット)に
1がセットされ、かつ、不良箇所フラグflagring
第1ないし第6ビットに0がセットされて、すべてのシ
リンダのコンプレッションリングが欠落している可能性
があることが示されるようにすることとなる。
【0102】以上の説明から明らかなように、図39に
示した処理は、図36に示した排気バルブクリアランス
大検査における排気側圧力不変化値差βi を排気側圧力
極大値差αi に置き換えるとともに、図36のS702
に相当する処理であるS1002におけるしきい値をし
きい値αthに変更し、さらに、S704に相当するS1
004の内容を若干変更したものである。また、図36
に示した処理と図39に示した処理との類似性を考慮し
た演繹により、図37と図38とに示した排気バルブク
リアランス大検査に類似の、別のコンプレッションリン
グ欠落検査を得る。ただし、その場合は、上記の置き換
えを行った上で、図37のS802に相当する処理の内
容を、αMEAN−αi >αthが判定されるように変更する
必要があり、図38のS906に相当する処理において
は、αS (前記βS に相当する)以下の大きさの排気側
圧力極大値差αi が取得された変数iで示されるシリン
ダが、コンプレッションリングが欠落している状態であ
ると判定されるようにする必要がある。
【0103】つぎに、図29のS214において実行さ
れる補助処理について説明する。S214の補助処理
は、不良箇所フラグflagcrnkの最上位ビットに1を
セットする処理である。本実施形態の不良箇所推定処理
においては、クランクプーリ1歯進み/遅れを特定する
検査は実行されない。したがって、図27のS112の
判定結果がNOである場合には、常にクランクプーリ1
歯進み/遅れが生じている可能性がある。このことを示
すために行なわれる処理なのである。
【0104】つぎに、本願の発明のエンジン組立不良検
査方法の別の実施形態を説明する。本実施形態のエンジ
ン組立不良検査方法は、前述の、カムプーリ1歯進み/
遅れ,ドリブンギヤ1歯進み/遅れ,吸気バルブクリア
ランス小/大,排気バルブクリアランス小/大およびコ
ンプレッションリング欠落のうち、いずれか1つのみの
組立不良が生じている場合に、その検査が可能な方法の
一例である。なお、本実施形態においては、吸気バルブ
クリアランス小/大,排気バルブクリアランス小/大お
よびコンプレッションリング欠落のそれぞれの状態は、
高々1つのシリンダに生じるものと仮定する。また、本
実施形態のエンジン組立不良検査方法においては、クラ
ンクプーリに関する検査は行われない。
【0105】カムプーリ1歯進み/遅れ,ドリブンギヤ
1歯進み/遅れ,吸気バルブクリアランス小/大,排気
バルブクリアランス小/大およびコンプレッションリン
グ欠落の各組立不良は、以下に示す各シリンダごとに取
得される排気側圧力極大値差分δPEXmaxi,排気側圧力
不変化値差分δPEXconsti,排気側圧力極大値到達角相
対値差分δΓi ,排気側圧力不変化状態移行角相対値差
分δΣi ,排気側圧力減少開始角相対値差分δΦi ,吸
気側圧力極大値到達角相対値差分δΛi および吸気側圧
力増大開始角相対値差分δΨi の各値を用いて検出され
る。これらの値は、各シリンダごとの前述の排気側圧力
極大値PEXmaxi,排気側圧力不変化値P EXconsti(添字
の最後にiを付して、各シリンダごとの値であることを
示した),排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓi ,排気
側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi ,排気側圧力減少
開始角相対値ΔΦi ,吸気側圧力極大値到達角相対値Δ
Λ i および吸気側圧力増大開始角相対値ΔΨi の値に基
づいて、それぞれ以下に示す(9)式ないし(15)式
により算出される。
【0106】 δPEXmaxi=PEXmaxi+1−PEXmaxi ・・・(9) δPEXconsti=PEXconsti+1−PEXconsti ・・・(10) δΓi =ΔΓi −ΔΓm ・・・(11) δΣi =ΔΣi −ΔΣm ・・・(12) δΦi =ΔΦi −ΔΦm ・・・(13) δΛi =ΔΛi −ΔΛm ・・・(14) δΨi =ΔΨi −ΔΨm ・・・(15) ここで、吸気側圧力極大値到達角相対値ΔΛi および吸
気側圧力増大開始角相対値ΔΨi は次式で表される。 ΔΛi =ΔΛm +Λi+1 −Λi ・・・(16) ΔΨi =ΔΨm +Ψi+1 −Ψi ・・・(17) また、吸気側圧力極大値到達角相対値平均ΔΛm =吸気
側圧力増大開始角相対値平均ΔΨm =120度である。
添字i+1の値が6を越える場合は、その値から6を減
じた値に読み換えるものとする。
【0107】実際のエンジン検査時には、上記(9)式
ないし(15)式により排気側圧力極大値差分δP
EXmaxi,排気側圧力不変化値差分δPEXconsti,排気側
圧力極大値到達角差差分δΓi ,排気側圧力不変化状態
移行角差差分δΣi ,排気側圧力減少開始角差差分δΦ
i ,吸気側圧力極大値到達角差差分δΛi および吸気側
圧力増大開始角差差分δΨi 等の値が計算されのである
が、以下の説明においては、図24に示されている値を
利用する都合上、以下に示す7つの式により計算した値
を使用する。 δPEXmaxi=αi+1 +αi δPEXconsti=βi+1 +βi δΓi =Γi+1 −Γi δΣi =Σi+1 −Σi δΦi =Φi+1 −Φi δΛi =Λi+1 −Λi δΨi =Ψi+1 −Ψi
【0108】上記7つの式の右辺の変数の各値は、各組
立不良ごとに図24に示されている。つまり、実際のエ
ンジン検査時に(9)式ないし(15)式により算出さ
れる値と同じ値が、上記7つの式を用いることにより、
図24の値から各組立不良ごとに算出できるのである。
例えば、正常組立状態の場合の排気側圧力極大値PEX
max をPEXmaxSTDとすれば、 αi =PEXmaxi−PEXmaxSTD αi+1 =PEXmaxi+1−PEXmaxSTD と書け、これらの式を(9)式に代入することにより、
上記7つの式の最初のものが得られる。つまり、(9)
式と、上記7つの式の最初の式とは等価なのである。排
気側圧力不変化値差分δPEXconstiについても、上記7
つの式の第2のものと(10)式とが等価であることが
容易に導ける。また、(11)式ないし(15)式の右
辺に含まれる、排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓi
排気側圧力不変化状態移行角相対値ΔΣi ,排気側圧力
減少開始角相対値ΔΦi ,吸気側圧力極大値到達角相対
値ΔΛi および吸気側圧力増大開始角相対値ΔΨi に、
(1)式ないし(3)式,(16)式および(17)式
の右辺をそれぞれ代入することにより、上記7つの式の
うち、後の5つの式が導かれる。このように、以下に例
示する値は、実際の検査において行なわれる(9)式な
いし(15)式を用いた計算とは計算過程が異なる。し
かし、上記7つの式による計算結果と、(9)式ないし
(15)式による計算結果とは一致し、かつ、上記7つ
の式による計算は、図24の値から計算できる。したが
って、上記7つの式に基づいて計算した結果を、実際の
検査において計算される値として使用するのである。
【0109】まず、カムプーリ1歯進み/遅れについて
説明する。左側バンクにカムプーリ1歯進みが生じてい
る場合と、右側バンクにカムプーリ1歯遅れが生じてい
る場合とにおいては、排気側圧力極大値差分δ
EXmaxi,排気側圧力不変化値差分δPEXconstii ,排
気側圧力極大値到達角相対値差分δΓi ,排気側圧力不
変化状態移行角相対値差分δΣi ,排気側圧力減少開始
角相対値差分δΦi ,吸気側圧力極大値到達角相対値差
分δΛi および吸気側圧力増大開始角相対値差分δΨi
の各値は、上記の7つの式によれば、それぞれ以下に示
す値となる。なお、添字“odd ”および添字“even
は、それぞれ、変数iの値が奇数である場合と、偶数で
ある場合とを示している。また、以下に示す計算過程
は、左側バンクにカムプーリ1歯進みが生じている場合
におけるもののみを示している。 δPEXmaxodd=αeven−αodd =0−(−17)=17 δPEXmaxeven =αodd −αeven=−17−0=−17 δPEXconstodd=βeven−βodd =0−0=0 δPEXconsteven =βodd −βeven=0−0=0 δΓodd =Γeven−Γodd =0−(−15)=15 δΓeven=Γodd −Γeven=−15−0=−15 δΣodd =Σeven−Σodd =0−(−15)=15 δΣeven=Σodd −Σeven=−15−0=−15 δΦodd =Φeven−Φodd =0−(−15)=15 δΦeven=Φodd −Φeven=−15−0=−15 δΛodd =Λeven−Λodd =0−(−14)=14 δΛeven=Λodd −Λeven=−14−0=−14 δΨodd =Ψeven−Ψodd =0−(−15)=15 δΨeven=Ψodd −Ψeven=−15−0=−15
【0110】また、左側バンクにカムプーリ1歯遅れが
生じている場合と、右側バンクにカムプーリ1歯進みが
生じている場合とにおいては、それぞれ以下に示す値と
なる。下記の計算過程は、左側バンクにカムプーリ1歯
遅れが生じている場合の計算過程である。 δPEXmaxodd=αeven−αodd =0−17=−17 δPEXmaxeven =αodd −αeven=17−0=17 δPEXconstodd=βeven−βodd =0−0=0 δPEXconsteven =βodd −βeven=0−0=0 δΓodd =Γeven−Γodd =0−15=−15 δΓeven=Γodd −Γeven=15−0=15 δΣodd =Σeven−Σodd =0−15=−15 δΣeven=Σodd −Σeven=15−0=15 δΦodd =Φeven−Φodd =0−15=−15 δΦeven=Φodd −Φeven=15−0=15 δΛodd =Λeven−Λodd =0−14=−14 δΛeven=Λodd −Λeven=14−0=14 δΨodd =Ψeven−Ψodd =0−15=−15 δΨeven=Ψodd −Ψeven=15−0=15
【0111】また、左側バンクにドリブンギヤ1歯進み
が生じている場合は、それぞれ以下に示す値となる。 δPEXmaxodd=αeven−αodd =0−(−42)=42 δPEXmaxeven =αodd −αeven=−42−0=−42 δPEXconstodd=βeven−βodd =0−(−10)=1
0 δPEXconsteven =βodd −βeven=−10−0=−1
0 δΓodd =Γeven−Γodd =0−(−18)=18 δΓeven=Γodd −Γeven=−18−0=−18 δΣodd =Σeven−Σodd =0−(−8.4)=8.4 δΣeven=Σodd −Σeven=−8.4−0=−8.4 δΦodd =Φeven−Φodd =0−0=0 δΦeven=Φodd −Φeven=0−0=0 δΛodd =Λeven−Λodd =0−(−17)=17 δΛeven=Λodd −Λeven=−17−0=−17 δΨodd =Ψeven−Ψodd =0−(−18)=18 δΨeven=Ψodd −Ψeven=−18−0=−18
【0112】また、左側バンクにドリブンギヤ1歯遅れ
が生じている場合は、それぞれ以下に示す値となる。 δPEXmaxodd=αeven−αodd =0−42=−42 δPEXmaxeven =αodd −αeven=42−0=42 δPEXconstodd=βeven−βodd =0−36=−36 δPEXconsteven =βodd −βeven=36−0=36 δΓodd =Γeven−Γodd =0−18=−18 δΓeven=Γodd −Γeven=18−0=18 δΣodd =Σeven−Σodd =0−0=0 δΣeven=Σodd −Σeven=0−0=0 δΦodd =Φeven−Φodd =0−0=0 δΦeven=Φodd −Φeven=0−0=0 δΛodd =Λeven−Λodd =0−17=−17 δΛeven=Λodd −Λeven=17−0=17 δΨodd =Ψeven−Ψodd =0−18=−18 δΨeven=Ψodd −Ψeven=18−0=18
【0113】また、右側バンクにドリブンギヤ1歯進み
が生じている場合は、それぞれ以下に示す値となる。 δPEXmaxodd=αeven−αodd =−42−0=−42 δPEXmaxeven =αodd −αeven=0−(−42)=4
2 δPEXconstodd=βeven−βodd =−10−0=−10 δPEXconsteven =βodd −βeven=0−(−10)=
10 δΓodd =Γeven−Γodd =−18−0=−18 δΓeven=Γodd −Γeven=0−(−18)=18 δΣodd =Σeven−Σodd =−8.4−0=−8.4 δΣeven=Σodd −Σeven=0−(−8.4)=8.4 δΦodd =Φeven−Φodd =0−0=0 δΦeven=Φodd −Φeven=0−0=0 δΛodd =Λeven−Λodd =−17−0=−17 δΛeven=Λodd −Λeven=0−(−17)=17 δΨodd =Ψeven−Ψodd =−18−0=−18 δΨeven=Ψodd −Ψeven=0−(−18)=18
【0114】さらに、右側バンクにドリブンギヤ1歯遅
れが生じている場合は、それぞれ以下に示す値となる。 δPEXmaxodd=αeven−αodd =42−0=42 δPEXmaxeven =αodd −αeven=0−42=−42 δPEXconstodd=βeven−βodd =36−0=36 δPEXconsteven =βodd −βeven=0−36=−36 δΓodd =Γeven−Γodd =18−0=18 δΓeven=Γodd −Γeven=0−18=−18 δΣodd =Σeven−Σodd =0−0=0 δΣeven=Σodd −Σeven=0−0=0 δΦodd =Φeven−Φodd =0−0=0 δΦeven=Φodd −Φeven=0−0=0 δΛodd =Λeven−Λodd =17−0=17 δΛeven=Λodd −Λeven=0−17=−17 δΨodd =Ψeven−Ψodd =18−0=18 δΨeven=Ψodd −Ψeven=0−18=−18
【0115】図40は、以上に算出した各値((9)式
ないし(15)式に基づいて計算される値に等しい)
を、それらが算出される条件である組立不良の内容と共
に示す図表である。なお、図40における変数δ(Γ−
Φ)i は、次式で表されるものである。 δ(Γ−Φ)i =ΔΓm −ΔΦm −(ΔΓi −ΔΦi )=ΔΦi −ΔΓi ・・ ・(18) ここで、排気側圧力極大値到達角相対値平均ΔΓm =排
気側圧力減少開始角相対値平均ΔΦm (=120)を用
いた。(18)式に、(1)式および(2)式を代入す
ると、次式を得る。 δ(Γ−Φ)i =Γi −Φi −(Γi+1 −Φi+1 ) 図40に示した値は、(18)式ではなく、この式と、
図24に示した値とに基づいて計算した値である。実際
のエンジン検査において、変数δ(Γ−Φ)i の値が参
照される場合は、(18)式に基づいて計算された値が
参照されることとなる。なお、変数δ(Γ−Φ)i の値
は、(18)式において、ΓとΨとを交換してみれば明
らかなように、別の変数δ(Ψ−Φ)i と同じ値となる
ことが、図40の各値から明らかである。そこで、変数
δ(Γ−Φ)i の代わりに、変数δ(Ψ−Φ)i を用い
てもよい。
【0116】図40によれば、排気側圧力極大値差分δ
EXmaxi,排気側圧力不変化値差分δPEXconsti,排気
側圧力極大値到達角相対値差分δΓi ,排気側圧力不変
化状態移行角相対値差分δΣi ,排気側圧力減少開始角
相対値差分δΦi ,吸気側圧力極大値到達角相対値差分
δΛi および吸気側圧力増大開始角相対値差分δΨi
の値の組合わせ、すなわち差分値のパターンが、各組立
不良ごとに異なっている場合が多い。例えば、ドリブン
ギヤ1歯進み/遅れが左右のバンクのいずれかに生じて
いる場合は、他の組立不良と明確に区別できる。ただ
し、カムプーリ1歯進み/遅れについては、左側バンク
のカムプーリ1歯進みと右側バンクのカムプーリ1歯遅
れ、左側バンクのカムプーリ1歯遅れと右側バンクのカ
ムプーリ1歯進みとが、それぞれ差分値パターンが同じ
であって区別できない。
【0117】つぎに、吸気バルブクリアランス小/大,
排気バルブクリアランス小/大およびコンプレッション
リング欠落が生じている場合について説明する。図24
に示した各値によれば、第i番目のシリンダのみが、吸
気バルブクリアランス小の状態である場合は、その第i
番目のシリンダに対する上記(9)式ないし(15)式
の計算結果に相当する前記7つの式の値と、δ(Γ−
Φ)i の値とは、それぞれ以下に示すようになる。 δPEXmaxi=αi+1 −αi =0−(−47)=47 δPEXconsti=βi+1 −βi =0−(−16)=16 δΓi =Γi+1 −Γi =0−(−6.4)=6.4 δΣi =Σi+1 −Σi =0−0=0 δΦi =Φi+1 −Φi =0−0=0 δΛi =Λi+1 −Λi =0−(−6)=6 δΨi =Ψi+1 −Ψi =0−(−6.4)=6.4 δ(Γ−Φ)i =−6.4−0−(0−0)=−6.4
【0118】また、第i番目のシリンダのみが、吸気バ
ルブクリアランス大の状態である場合は、それぞれ以下
に示す値となる。 δPEXmaxi=αi+1 −αi =0−18=−18 δPEXconsti=βi+1 −βi =0−20=−20 δΓi =Γi+1 −Γi =0−5.4=−5.4 δΣi =Σi+1 −Σi =0−0=0 δΦi =Φi+1 −Φi =0−0=0 δΛi =Λi+1 −Λi =0−5=−5 δΨi =Ψi+1 −Ψi =0−5.4=−5.4 δ(Γ−Φ)i =5.4−0−(0−0)=5.4
【0119】第i番目のシリンダのみが、排気バルブク
リアランス小の状態である場合は、それぞれ以下に示す
値となる。 δPEXmaxi=αi+1 −αi =0−(−8)=8 δPEXconsti=βi+1 −βi =0−(−10)=10 δΓi =Γi+1 −Γi =0−0=0 δΣi =Σi+1 −Σi =0−6.4=−6.4 δΦi =Φi+1 −Φi =0−(−6.4)=6.4 δΛi =Λi+1 −Λi =0−0=0 δΨi =Ψi+1 −Ψi =0−0=0 δ(Γ−Φ)i =0−(−6.4)−(0−0)=6.
【0120】第i番目のシリンダのみが、排気バルブク
リアランス大の状態である場合は、それぞれ以下に示す
値となる。 δPEXmaxi=αi+1 −αi =0−12=−12 δPEXconsti=βi+1 −βi =0−14=−14 δΓi =Γi+1 −Γi =0−0=0 δΣi =Σi+1 −Σi =0−0=0 δΦi =Φi+1 −Φi =0−0=0 δΛi =Λi+1 −Λi =0−0=0 δΨi =Ψi+1 −Ψi =0−0=0 δ(Γ−Φ)i =0−0−(0−0)=0
【0121】さらに、第i番目のシリンダのみが、コン
プレッションリング欠落状態である場合は、それぞれ以
下に示す値となる。 δPEXmaxi=αi+1 −αi =0−(−10)=10 δPEXconsti=βi+1 −βi =0−(−1)=1 δΓi =Γi+1 −Γi =0−0=0 δΣi =Σi+1 −Σi =0−0=0 δΦi =Φi+1 −Φi =0−0=0 δΛi =Λi+1 −Λi =0−0=0 δΨi =Ψi+1 −Ψi =0−0=0 δ(Γ−Φ)i =0−0−(0−0)=0 図41は、以上の結果をまとめた図表である。ただし、
図41に示した各値のうち、吸気バルブクリアランスと
排気バルブクリアランスとに関する値は、連続的にばら
つく可能性がある。図3に示したシム72の厚さを連続
的に変えることができる場合がその一例である。したが
って、図41における吸気バルブクリアランスと排気バ
ルブクリアランスとに関する値は、あくまでも一例を示
すものであって、実際にエンジンの検査を行なった場合
には、連続的にばらついた値が取得され得るのである。
【0122】図40および図41に示したように、排気
側圧力極大値差分δPEXmaxi,排気側圧力不変化値差分
δPEXconsti,排気側圧力極大値到達角相対値差分δΓ
i 等の各値は、各組立不良ごとに異なる値を示す。以
下、このことを利用した検査の一例を説明する。なお、
正常組立状態にあるか否かの判定は、排気側圧力極大値
差分δPEXmaxi,排気側圧力不変化値差分δ
EXconsti,排気側圧力極大値到達角相対値差分δ
Γi ,排気側圧力不変化状態移行角相対値差分δΣi
排気側圧力減少開始角相対値差分δΦi ,吸気側圧力極
大値到達角相対値差分δΛi ,吸気側圧力増大開始角相
対値差分δΨi および変数δ(Γ−Φ)i の各値が、す
べて0であるか否かに基づいてなされる。しかし、これ
らの値の計測結果には誤差が含まれるため、正常組立状
態であっても、0でない小さい値となる場合が多い。そ
こで、本実施形態においては、多数(例えば、1000
台)の正常に組み立てられたエンジンに対する上記各値
から、それら各値の標準偏差σを計算しておき、実際の
エンジン検査において、上記各値がすべて0±3σ以内
の値である場合に、正常組立状態であると判定するよう
にされている(後述)。なお、上記各値の標準偏差σの
値は、排気側圧力極大値差分δPEXmaxi,排気側圧力不
変化値差分δPEXcons ti等の各値ごとに異なる値となる
ことが普通であるが、以下においては説明を簡略化する
ために、すべて同じ表示(σ)を用いることとする。
【0123】まず、カムプーリに関する検査について説
明する。左側バンクのカムプーリ1歯進みまたは右側バ
ンクのカムプーリ1歯遅れの状態にあるか否かは、つぎ
の判定式群の演算結果がすべてTRUEとなるか否かに
基づいて判定される(図40参照)。なお、添
字“odd ”および添字“even”は、前述のように、それ
ぞれ、変数iの値が奇数である場合と、偶数である場合
とを示している。また、以下に示す各判定式の演算結果
がTRUEとなるためには、添字が“odd ”である場合
には、左側バンクに含まれるシリンダすべてに対する演
算結果がTRUEでなければならないものとする。添字
が“even”である場合については、右側バンクに含まれ
るシリンダすべてに対してTRUEである必要があるも
のとする。 0+3σ<δPEXmaxodd δPEXmaxeven <0−3σ 0−3σ≦δPEXconstodd≦0+3σ 0−3σ≦δPEXconsteven ≦0+3σ 0+3σ<δΓodd δΓeven<0−3σ 0+3σ<δΣodd δΣeven<0−3σ 0+3σ<δΦodd δΦeven<0−3σ 0+3σ<δΛodd δΛeven<0−3σ 0+3σ<δΨodd δΨeven<0−3σ 0−3σ≦δ(Γ−Φ)odd ≦0+3σ 0−3σ≦δ(Γ−Φ)even≦0+3σ
【0124】ただし、この判定式群の代わりに、つぎの
判定式群を用いてもよい。つぎの判定式群は、図40に
示した各値をより積極的に利用して、カムプーリの組立
状態を特定するものである。以下に説明するカムプーリ
およびドリブンギヤに関する他の検査についても、いち
いち記載することはしないが、同様の判定式群を使用す
ることが可能である。 17−3σ≦δPEXmaxodd≦17+3σ −17−3σ≦δPEXmaxeven ≦−17+3σ 0−3σ≦δPEXconstodd≦0+3σ 0−3σ≦δPEXconsteven ≦0+3σ 15−3σ≦δΓodd ≦15+3σ −15−3σ≦δΓeven≦−15+3σ 15−3σ≦δΣodd ≦15+3σ −15−3σ≦δΣeven≦−15+3σ 15−3σ≦δΦodd ≦15+3σ −15−3σ≦δΦeven≦−15+3σ 14−3σ≦δΛodd ≦14+3σ −14−3σ≦δΛeven≦−14+3σ 15−3σ≦δΨodd ≦15+3σ −15−3σ≦δΨeven≦−15+3σ 0−3σ≦δ(Γ−Φ)odd ≦0+3σ 0−3σ≦δ(Γ−Φ)even≦0+3σ
【0125】左側バンクのカムプーリ1歯遅れまたは右
側バンクのカムプーリ1歯進みの状態にあるか否かは、
つぎの判定式群の演算結果がすべてTRUEとなるか否
かに基づいて判定される(図40参照)。 δPEXmaxodd<0−3σ 0+3σ<δPEXmaxeven 0−3σ≦δPEXconstodd≦0+3σ 0−3σ≦δPEXconsteven ≦0+3σ δΓodd <0−3σ 0+3σ<δΓeven δΣodd <0−3σ 0+3σ<δΣeven δΦodd <0−3σ 0+3σ<δΦeven δΛodd <0−3σ 0+3σ<δΛeven δΨodd <0−3σ 0+3σ<δΨeven 0−3σ≦δ(Γ−Φ)odd ≦0+3σ 0−3σ≦δ(Γ−Φ)even≦0+3σ
【0126】左側バンクのドリブンギヤ1歯進みの状態
にあるか否かは、つぎの判定式群の演算結果がすべてT
RUEとなるか否かに基づいて判定される(図40参
照)。 0+3σ<δPEXmaxodd δPEXmaxeven <0−3σ 0+3σ<δPEXconstodd δPEXconsteven <0−3σ 0+3σ<δΓodd δΓeven<0−3σ 0+3σ<δΣodd δΣeven<0−3σ 0−3σ≦δΦodd ≦0+3σ 0−3σ≦δΦeven≦0+3σ 0+3σ<δΛodd δΛeven<0−3σ 0+3σ<δΨodd δΨeven<0−3σ δ(Γ−Φ)odd <0−3σ 0+3σ<δ(Γ−Φ)even
【0127】左側バンクのドリブンギヤ1歯遅れの状態
にあるか否かは、つぎの判定式群の演算結果がすべてT
RUEとなるか否かに基づいて判定される(図40参
照)。 δPEXmaxodd<0−3σ 0+3σ<δPEXmaxeven δPEXconstodd<0−3σ 0+3σ<δPEXconsteven δΓodd <0−3σ 0+3σ<δΓeven 0−3σ≦δΣodd ≦0+3σ 0−3σ≦δΣeven≦0+3σ 0−3σ≦δΦodd ≦0+3σ 0−3σ≦δΦeven≦0+3σ δΛodd <0−3σ 0+3σ<δΛeven δΨodd <0−3σ 0+3σ<δΨeven 0+3σ<δ(Γ−Φ)odd δ(Γ−Φ)even<0−3σ
【0128】右側バンクのドリブンギヤ1歯進みの状態
にあるか否かは、つぎの判定式群の演算結果がすべてT
RUEとなるか否かに基づいて判定される(図40参
照)。 δPEXmaxodd<0−3σ 0+3σ<δPEXmaxeven δPEXconstodd<0−3σ 0+3σ<δPEXconsteven δΓodd <0−3σ 0+3σ<δΓeven δΣodd <0−3σ 0+3σ<δΣeven 0−3σ≦δΦodd ≦0+3σ 0−3σ≦δΦeven≦0+3σ δΛodd <0−3σ 0+3σ<δΛeven δΨodd <0−3σ 0+3σ<δΨeven 0+3σ<δ(Γ−Φ)odd δ(Γ−Φ)even<0−3σ
【0129】右側バンクのドリブンギヤ1歯遅れの状態
にあるか否かは、つぎの判定式群の演算結果がすべてT
RUEとなるか否かに基づいて判定される(図40参
照)。 0+3σ<δPEXmaxodd δPEXmaxeven <0−3σ 0+3σ<δPEXconstodd δPEXconsteven <0−3σ 0+3σ<δΓodd δΓeven<0−3σ 0−3σ≦δΣodd ≦0+3σ 0−3σ≦δΣeven≦0+3σ 0−3σ≦δΦodd ≦0+3σ 0−3σ≦δΦeven≦0+3σ 0+3σ<δΛodd δΛeven<0−3σ 0+3σ<δΨodd δΨeven<0−3σ δ(Γ−Φ)odd <0−3σ 0+3σ<δ(Γ−Φ)even
【0130】つぎに、吸気バルブクリアランスの検査に
ついて説明する。まず、変数iで示されるシリンダが吸
気バルブクリアランス小状態にあるか否かは、つぎの判
定式群の演算結果がすべてTRUEとなるか否かに基づ
いて判定される(図41参照)。 0+3σ<δPEXmaxi 0+3σ<δPEXconsti 0+3σ<δΓi 0−3σ≦δΣi ≦0+3σ 0−3σ≦δΦi ≦0+3σ 0+3σ<δΛi 0+3σ<δΨi δ(Γ−Φ)i <0−3σ
【0131】各シリンダが吸気バルブクリアランス大状
態にあるか否かは、つぎの判定式群の演算結果がすべて
TRUEとなるか否かに基づいて判定される(図41参
照)。 δPEXmaxi<0−3σ δPEXconsti<0−3σ δΓi <0−3σ 0−3σ≦δΣi ≦0+3σ 0−3σ≦δΦi ≦0+3σ δΛi <0−3σ δΨi <0−3σ 0+3σ<δ(Γ−Φ)i
【0132】つぎに、排気バルブクリアランスの検査に
ついて説明する。変数iで示されるシリンダが排気バル
ブクリアランス小状態にあるか否かは、つぎの判定式群
の演算結果がすべてTRUEとなるか否かに基づいて判
定される(図41参照)。 0+3σ<δPEXmaxi 0+3σ<δPEXconsti 0−3σ≦δΓi ≦0+3σ δΣi <0−3σ 0+3σ<δΦi 0−3σ≦δΛi ≦0+3σ 0−3σ≦δΨi ≦0+3σ 0+3σ<δ(Γ−Φ)i
【0133】また、各シリンダが排気バルブクリアラン
ス大状態にあるか否かは、つぎの判定式群の演算結果が
すべてTRUEとなるか否かに基づいて判定される(図
41参照)。 δPEXmaxi<0−3σ δPEXconsti<0−3σ 0−3σ≦δΓi ≦0+3σ 0−3σ≦δΣi ≦0+3σ 0−3σ≦δΦi ≦0+3σ 0−3σ≦δΛi ≦0+3σ 0−3σ≦δΨi ≦0+3σ 0−3σ≦δ(Γ−Φ)i ≦0+3σ
【0134】つぎに、コンプレッションリング欠落検査
について説明する。変数iで示されるシリンダがコンプ
レッションリング欠落状態にあるか否かは、つぎの判定
式群の演算結果がすべてTRUEとなるか否かに基づい
て判定される(図41参照)。 0+3σ<δPEXmaxi 0+3σ<δPEXconsti 0−3σ≦δΓi ≦0+3σ 0−3σ≦δΣi ≦0+3σ 0−3σ≦δΦi ≦0+3σ 0−3σ≦δΛi ≦0+3σ 0−3σ≦δΨi ≦0+3σ 0−3σ≦δ(Γ−Φ)i ≦0+3σ
【0135】以上に示した各組立不良を検査するための
判定式は、ある仮定が正しい場合にのみ、正しい結論を
導くことができる。その仮定は、図40および図41に
示した0以外の各値の絶対値が、それぞれの正常組立状
態における対応する値のばらつきの範囲の実質的な端を
表す前記3σよりも十分に大きい(上記「0以外の各値
のばらつきの範囲と正常組立状態における対応する値の
ばらつきの範囲とが部分的にもせよ重なり合うことがな
い)という仮定である。図40および図41に示した0
以外の各値の絶対値は、正常組立状態におけるそれぞれ
対応する3σよりも概ね大きい値となることがわかって
いる。しかし例外もある。例えば、図41に示したコン
プレッションリング欠落状態における排気側圧力不変化
値差分δPEXconstiの大きさは“1”であり、3σの大
きさより小さくなる場合がある。そのような場合に、排
気側圧力不変化値差分δPEXconstiに関する判定式がT
RUEであることを、コンプレッションリング欠落検査
に用いると、コンプレッションリングが欠落しているに
も係わらず、欠落していないと誤判定してしまうことと
なる。このような不具合をなくすためには、図40およ
び図41に示した各値の絶対値が、それぞれの正常組立
状態における3σよりも小さくなる可能性がある場合に
は、その値に関する判定式を、検査に用いないようにす
る必要がある。排気側圧力不変化値差分δPEXconsti
値が参酌されなくとも、図41に示したその他の値に基
づいて、コンプレッションリング欠落状態と他の状態
(正常組立状態を含む)とを誤判定してしまうことはな
い。なお、上記判定式群のすべてを用いて検査すること
は、冗長性を含む場合がある。例えば、図40および図
41より、排気側圧力極大値到達角相対値差分δΓi
吸気側圧力増大開始角相対値差分δΨi とは、各組立不
良が生じている場合において、まったく同じ値となるこ
とがわかる。したがって、これらの値のいずれか一方に
基づく処理は省略してもよい。
【0136】図42は、以上に説明した処理を行なうた
めのプログラムの内容を示すフローチャートである。こ
のプログラムは、図4に示した判定器117に含まれる
図示しないROMに格納され、マイクロコンピュータに
よってRAMを用いつつ実行される。この処理は、上記
各判定式群に基づいて、その判定式群に対応する組立不
良ごとに実行させられる処理である。具体的には、S1
100ないしS1114のぞれぞれにおいて、上述のエ
ンジン検査装置を用いて取得された排気側圧力極大値差
分δPEXmaxi,排気側圧力不変化値差分δPEXconsti
排気側圧力極大値到達角相対値差分δΓi ,排気側圧力
不変化状態移行角相対値差分δΣi ,排気側圧力減少開
始角相対値差分δΦi ,吸気側圧力極大値到達角相対値
差分δΛ i ,吸気側圧力増大開始角相対値差分δΨi
よび変数δ(Γ−Φ)i の各値に基づいて、上記各判定
式群による演算結果がTRUEであるかFALSEであ
るかが判定される。
【0137】ある判定式群による演算結果がすべてTR
UEであった場合は、その判定式群に対応する組立不良
が生じていると判定される。この場合は、続くS111
6において、上記判定式群に対応する組立不良が生じて
いることを示す処理が行われた後に、組立不良検査が終
了させられる。なお、上述のように、組立不良の内容に
よっては、それに対応する判定式群に含まれる判定を省
略する必要がある場合がある。例えば、排気バルブクリ
アランス小状態であるか否かの検査においては、排気側
圧力極大値差分δPEXmaxiの値に基づく判定式が省略さ
れる必要がある場合がある。この場合は、S1100の
処理が省略される。
【0138】S1116の処理内容は、例えば、前述の
実施形態において行なわれる処理と同様に、図28に示
した表示器118の各ランプのうち、検出された組立不
良に対応するものを点灯させる処理とすることができ
る。S1100ないしS1114のいずれかの処理の結
果がNOである場合は、なにも行われずにそのまま組立
不良検査が終了させられる。以上の処理を、各組立不良
ごとに、上述の各判定式群を用いて行なうことにより、
各組立不良が生じているか否かを検査することができ
る。なお、付言すれば、図40に示した各値から明らか
なように、左側バンクが1歯進みである状態と、右側バ
ンクが1歯遅れである状態とは区別ができない。また、
左側バンクが1歯遅れである状態と、右側バンクが1歯
進みである状態とは区別ができない。したがって、これ
らの組立不良は、2つの組立不良のうち、いずれか1つ
が生じている状態であるとのみ特定できることとなる。
【0139】図42に示した処理は、正常組立状態であ
るか否かのみを判定するために使用することもできる。
この場合の判定式群を以下に示す。 0−3σ≦δPEXmaxi≦0+3σ 0−3σ≦δPEXconsti≦0+3σ 0−3σ≦δΓi ≦0+3σ 0−3σ≦δΣi ≦0+3σ 0−3σ≦δΦi ≦0+3σ 0−3σ≦δΛi ≦0+3σ 0−3σ≦δΨi ≦0+3σ 0−3σ≦δ(Γ−Φ)i ≦0+3σ この場合には、S1116の処理は、正常組立状態にあ
ることを示す処理に変更される必要がある。
【0140】以上に説明したように、図42に示した処
理は、正常組立状態にある複数のエンジンに関する排気
側圧力極大値差分δPEXmax ,排気側圧力不変化値差分
δP EXconst ,排気側圧力極大値到達角相対値差分δ
Γ,排気側圧力不変化状態移行角相対値差分δΣ,排気
側圧力減少開始角相対値差分δΦ,吸気側圧力極大値到
達角相対値差分δΛ,吸気側圧力増大開始角相対値差分
δΨおよび変数δ(Γ−Φ)の各値に基づいて、それら
の標準偏差σを予め取得しておく必要がある。このこと
を回避するために、図42に示した処理を、以下のよう
に変更してもよい。
【0141】まず、カムプーリ検査およびドリブンギヤ
検査が行なわれる場合には、排気側圧力極大値差分δP
EXmax ,排気側圧力不変化値差分δPEXconst および吸
気側圧力極大値到達角相対値差分δΛに関する判定、つ
まり、図42におけるS1100,S1102およびS
1110の処理は省略されるようにする。言い換えれ
ば、排気側圧力極大値到達角相対値差分δΓ,排気側圧
力不変化状態移行角相対値差分δΣ,排気側圧力減少開
始角相対値差分δΦ,吸気側圧力増大開始角相対値差分
δΨおよび変数δ(Γ−Φ)の各値のみに基づく検査が
行なわれるようにする。これらの値は、実際に各組立不
良ごとの計測を行わなくてもわかる値(理論的に知るこ
とができる値)である。例えば、カムプーリ1歯進み/
遅れが生じている場合は、排気側圧力極大値到達角相対
値差分δΓ,排気側圧力不変化状態移行角相対値差分δ
Σ,排気側圧力減少開始角相対値差分δΦ,吸気側圧力
増大開始角相対値差分δΨの値は、+15または−15
だけ変化するが、このことは測定しなくても理論的にわ
かることなのである。一方、排気側圧力極大値差分δP
EXmax ,排気側圧力不変化値差分δPEXconst および吸
気側圧力極大値到達角相対値差分δΛの値は、実際にエ
ンジンを製造し、値を計測してみなければわからない値
なので、これらの値に基づく処理を省略するのである。
【0142】つぎに、吸気バルブクリアランス小/大の
状態にあるか否か、または、排気バルブクリアランス小
の状態にあるか否かの検査が行なわれる場合には、排気
側圧力極大値到達角相対値差分δΓ,排気側圧力不変化
状態移行角相対値差分δΣ,排気側圧力減少開始角相対
値差分δΦ,吸気側圧力極大値到達角相対値差分δΛ,
吸気側圧力増大開始角相対値差分δΨおよび変数δ(Γ
−Φ)の各値の符号に基づく判定が行なわれるように、
図42に示した処理を変更する。なお、通常の意味にお
ける符号は、正または負のいずれかを示すが、この場合
における“符号”には0程度を追加し、正,負または0
程度のいずれの値であるかを示すものとする。ここで、
0程度の値とは、具体的には、例えば、−2より大き
く、2より小さい値とする。この2という数値は、経験
的に知られる値であり、個々のエンジンの検査において
取得される値から直接導かれる値ではない。また、排気
側圧力極大値到達角相対値差分δΓ,排気側圧力不変化
状態移行角相対値差分δΣ等の値のそれぞれに対して、
互いに異なる値とされてもよい。このことに伴って、上
記正の値は、0程度より大きい値(この場合は、2以上
の値)であり、また、負の値は、0程度より小さい値
(この場合は、2以下の値)であるものとされる。図4
1に示した各値の数値そのものは、実際に計測してみな
ければ知ることができない。しかし、各組立状態におい
て、少なくとも上記正,負または0程度のいずれの値と
なるかは、エンジンの構造等の情報に基づいて、理論的
に導き出せることが多いのである。なお、図41に示し
た各値のうち、上記符号が判定に用いられるもの(後述
する排気バルブクリアランス大およびコンプレッション
リング欠落の検査において用いられるものも含む)に
は、その符号の状態(正,負および0程度のいずれか)
を付記した。
【0143】吸気バルブクリアランス小であるか否かの
検査が行なわれる場合には、上述のカムプーリ検査およ
びドリブンギヤ検査が行なわれる場合と同様に、図42
におけるS1100およびS1102の処理は省略され
る。そして、S1104ないしS1114の各判定処理
は、それぞれ、以下の論理式の演算結果がTRUEであ
るか否かという判定処理に置き換えられる。 δΓi ≧2(S1104) δΣi 〜0(S1106) δΦi 〜0(S1108) δΛi ≧2(S1110) δΨi ≧2(S1112) δ(Γ−Φ)i ≦−2(S1114) ここで、例えばδΓi ≧2は、排気側極大値到達角相対
値差分δΓi の値が0程度より大きいこと(正であるこ
と)を示し、δΣi 〜0は、排気側圧力不変化状態移行
角相対値差分δΣi の値が0程度であることを示し、ま
た、δ(Γ−Φ) i ≦−2は、変数δ(Γ−Φ)i の値
が0程度より小さいこと(負であること)を示してい
る。
【0144】吸気バルブクリアランス大状態であるか否
かが検査される場合は、S1104ないしS1114の
処理は、それぞれ、以下の論理式の演算結果がTRUE
であるか否かという判定処理に置き換えられる。 δΓ≦−2(S1104) δΣ〜0(S1106) δΦ〜0(S1108) δΛ≦−2(S1110) δΨ≦−2(S1112) δ(Γ−Φ)≧2(S1114)
【0145】排気バルブクリアランス小状態であるか否
かを検査する場合は、S1104ないしS1114の処
理は、それぞれ、以下の論理式の演算結果がTRUEで
あるか否かという判定処理に置き換えられる。 δΓ〜0(S1104) δΣ≦−2(S1106) δΦ≧2(S1108) δΛ〜0(S1110) δΨ〜0(S1112) δ(Γ−Φ)≧2(S1114)
【0146】つぎに、排気バルブクリアランス大の状態
とコンプレッションリング欠落の状態にあるか否かの検
査が行なわれる場合には、上述の吸気バルブクリアラン
ス小/大の状態にあるか否か、または、排気バルブクリ
アランス小の状態にあるか否かの検査に用いられる上記
符号に基づく判定に加えて、排気側圧力極大値差分δP
EXmax の符号に基づく処理が追加される(S1100の
処理として追加されるものとする)。具体的には、排気
バルブクリアランス大状態であるか否かが検査される場
合は、図42のS1100およびS1104ないしS1
114の処理は、それぞれ、以下の論理式の演算結果が
TRUEであるか否かという判定処理に置き換えられ
る。 δPEXmax ≦−2(S1100) δΓ〜0(S1104) δΣ〜0(S1106) δΦ〜0(S1108) δΛ〜0(S1110) δΨ〜0(S1112) δ(Γ−Φ)〜0(S1114)
【0147】コンプレッションリング欠落状態であるか
否かが検査される場合は、S1100およびS1104
ないしS1114の処理は、それぞれ、以下の論理式の
演算結果がTRUEであるか否かという判定処理に置き
換えられる。 δPEXmax ≧2(S1100) δΓ〜0(S1104) δΣ〜0(S1106) δΦ〜0(S1108) δΛ〜0(S1110) δΨ〜0(S1112) δ(Γ−Φ)〜0(S1114) 図42に示した処理の内容のこのような変更によれば、
正常組立状態である場合における前記標準偏差σの値を
取得しておく必要がなくなる。
【0148】以上に説明したように、本実施形態のエン
ジン組立不良検査方法においては、(9)式ないし(1
5)式に示したように、隣接するシリンダ同士の比較に
基づいて組立不良の検査が行われるのであるが、本実施
形態の被検査エンジン90のように、左右2つのバンク
を有するエンジンに対しては、本検査方法は、左側バン
クに含まれるシリンダ(変数iの値が奇数)と、右側バ
ンクに含まれるシリンダ(変数iの値が偶数)との比較
に基づく検査であると解することもできる。
【0149】また、検査対象となるエンジンの種類が別
のものとされても、排気側圧力極大値到達角相対値差分
δΓ,排気側圧力不変化状態移行角相対値差分δΣ,排
気側圧力減少開始角相対値差分δΦ,吸気側圧力極大値
到達角相対値差分δΛ,吸気側圧力増大開始角相対値差
分δΨおよび変数δ(Γ−Φ)の符号が前記正,負また
は0程度のいずれに属するかには影響しない場合があ
り、その場合には、本実施形態のエンジン組立不良検査
方法は、複数種類のエンジンの組立不良の検査に適用で
きることとなる。
【0150】以上説明した各実施形態においては、各シ
リンダ毎に取得される排気側圧力極大値PEXmax や排気
側圧力極大値到達角相対値ΔΓi 等およびそれらの値に
基づいて算出される値同士が比較されることによって検
査が行われるため、各変化状態におけるクランク角の値
自体を知る必要がない。したがって、図4に示したクラ
ンク角センサ114は実際の検査においては不要とな
り、検査装置の構成を簡略化できる。
【0151】なお付言すれば、以上の各実施形態におい
ては、吸気側圧力はサージタンクにおいて取得されるよ
うになっていたが、各吸気ポート92毎に取得されるよ
うにしてもよい。この場合は、個々のシリンダに対応し
た吸気側圧力を取得できることとなり、これら吸気側圧
力の特定の変化状態に基づいて組立状態を検査すること
が可能となる。また、吸気ポート92,吸気マニホール
ド94およびサージタンク96の内部の空間が吸気側空
間とされていたが、例えば、吸気ポート92の内部の空
間のみを吸気側空間とすることもできる。この場合は、
排気側空間に加えて、あるいはそれに代えて、吸気側空
間が閉塞され、エンジンの組立不良検査が行われること
となる。
【0152】例えば、吸気側空間が吸気ポート92の内
部の空間のみとされる場合は、吸気側圧力について、図
4のエンジン検査装置における排気側圧力と同様に、排
気側圧力極大値PEXmax や排気側圧力不変化値P
EXconst に相当する圧力値や、排気側圧力減少開始角相
対値ΔΦi 等に相当する角度差を取得し得るので、これ
らの値を参酌して組立状態を検査することができる。
【0153】また、以上に説明した各実施形態において
は、V6DOHCガソリンエンジンが検査対象とされて
いたが、本願の発明は、他の形式のエンジンの検査にも
適用可能である。例えば、SOHCエンジンにおいて
は、上述のドリブンギヤに関する検査を省略すればよ
い。また、吸気側カムシャフト32,34を別のカムプ
ーリによって駆動する形式のDOHCエンジンにおいて
は、ドリブンギヤに関する検査の代わりに、その別のカ
ムプーリに関する検査を実施することができる。また、
排気側圧力PEXの変化についての特徴的な値である排気
側圧力極大値PEXma x ,排気側圧力極大値到達角θ
EXmax 等の値から導かれる値(例えば、排気側圧力極大
値到達角相対値ΔΓ等)に基づいてエンジン組立検査を
行っているが、図24に示した他の値や、さらに図8等
のグラフに示した曲線の別の特徴量に基づいて検査を行
ってもよい。例えば、上記曲線の勾配の最大値やそれが
生じる時期,上記曲線の変化率があらかじめ設定された
設定変化率以上である区間の長さおよび位置等をさらに
参酌して、検査を行うことができる。また、ガソリンエ
ンジンに限らず、ディーゼルエンジンにも適用可能であ
る。
【0154】また、上記各組立不良の複数が同時に生じ
る場合に、それら同時に生じる組立不良をより確実に特
定するために、さらに多くの情報を用いて検査を行って
もよい。例えば、あらかじめすべての組合せで上記組立
不良が生じている状態を意図的に生じさせ、それら各組
立不良状態における排気側圧力極大値PEXmax ,排気側
圧力極大値到達角相対値ΔΓi ,排気側圧力減少開始角
相対値ΔΦi 等の値の組を取得し、それらの値の組と、
検査対象であるエンジンから得られた値の組とを比較
し、互いに最も近い値の組に相当する状態を、その検査
対象のエンジンの組立状態と判定する。また、上記各実
施形態においては、クランクプーリ,カムプーリおよび
ドリブンギヤの組立不良が、1歯のみの進み/遅れとさ
れているが、2歯以上の進み/遅れを検出できる構成と
してもよい。この場合には、上述の各判定に用いられた
排気側圧力極大値PEXmax ,排気側圧力極大値到達角相
対値ΔΓi ,排気側圧力減少開始角相対値ΔΦi 等の値
を、さらに多くの段階で分類する等の処理を行うことが
できる。以上のような場合には、排気側圧力極大値P
EXmax などの値の微妙な差異が明確であることが必要で
あるが、本発明の各実施形態のエンジン検査装置におい
ては、上記各値に対して数多くのデータを迅速に取得す
ることができるので、統計処理を施す等により、より信
頼性の高い検査を行なうこともできるのである。以上、
本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらは文
字通りの例示であり、本発明は特許請求の範囲を逸脱す
ることなく種々の変形,改良を施した態様で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】V6ガソリンエンジンの内部構成を一部省略し
て示す斜視図である。
【図2】図1のV6ガソリンエンジンにおいて、クラン
クプーリおよびカムプーリの組立不良が生じている状態
を示す斜視図である。
【図3】一般的なエンジンの動弁系の一部を拡大して示
す断面図である。
【図4】本願の第一ないし第八発明に共通の一実施形態
であるエンジン検査方法の実施に使用されるエンジン検
査装置の要部を示す系統図である。
【図5】上記エンジン検査装置の全体を概略的に示す正
面図である。
【図6】上記エンジン検査装置により取得された、正常
組立状態におけるピストン位置PPと、排気側圧力PEX
および吸気側圧力PINの変化とを、クランク角θcrank
との関係で示すグラフである。
【図7】上記エンジン検査装置により取得された、正常
組立状態におけるクランク基準信号および各シリンダの
排気側圧力PEXの変化を、クランク角θcrank との関係
で示すグラフである。
【図8】上記エンジン検査装置により取得された、正常
組立状態および吸気バルブクリアランス小状態における
排気側圧力PEXの変化を、クランク角θcrank との関係
で示すグラフである。
【図9】上記エンジン検査装置により取得された、正常
組立状態および吸気バルブクリアランス大状態における
排気側圧力PEXの変化を、クランク角θcrank との関係
で示すグラフである。
【図10】上記エンジン検査装置により取得された、正
常組立状態,吸気バルブクリアランス小状態および吸気
バルブクリアランス大状態における吸気側圧力PINの変
化を、クランク角θcrank との関係で示すグラフであ
る。
【図11】上記エンジン検査装置により取得された、正
常組立状態および排気バルブクリアランス小状態におけ
る排気側圧力PEXと、クランク角θcrank との関係を示
すグラフである。
【図12】上記エンジン検査装置により取得された、正
常組立状態および排気バルブクリアランス大状態におけ
る排気側圧力PEXと、クランク角θcrank との関係を示
すグラフである。
【図13】上記エンジン検査装置により取得された、正
常組立状態およびコンプレッションリング欠落状態にお
ける排気側圧力PEXと、クランク角θcrank との関係を
示すグラフである。
【図14】上記エンジン検査装置により取得された、カ
ムプーリ1歯進み状態におけるクランク基準信号および
各シリンダの排気側圧力PEXと、クランク角θcrank
の関係を示すグラフである。
【図15】上記エンジン検査装置により取得された、カ
ムプーリ1歯遅れ状態におけるクランク基準信号および
各シリンダの排気側圧力PEXと、クランク角θcrank
の関係を示すグラフである。
【図16】上記エンジン検査装置により取得された、正
常組立状態,カムプーリ1歯進み状態およびカムプーリ
1歯遅れ状態におけるクランク基準信号および吸気側圧
力PINと、クランク角θcrank との関係を示すグラフで
ある。
【図17】上記エンジン検査装置により取得された、正
常組立状態およびカムプーリ1歯進み状態における排気
側圧力PEXと、クランク角θcrank との関係を示すグラ
フである。
【図18】正常組立状態およびカムプーリ1歯遅れ状態
における排気側圧力PEXと、クランク角θcrank との関
係を示すグラフである。
【図19】ドリブンギヤ1歯進み状態におけるクランク
基準信号および排気側圧力PEXと、クランク角θcrank
との関係を示すグラフである。
【図20】ドリブンギヤ1歯遅れ状態におけるクランク
基準信号および排気側圧力PEXと、クランク角θcrank
との関係を示すグラフである。
【図21】正常組立状態,ドリブンギヤ1歯進み状態お
よびドリブンギヤ1歯遅れ状態におけるクランク基準信
号および吸気側圧力PINと、クランク角θcrank との関
係を示すグラフである。
【図22】正常組立状態およびドリブンギヤ1歯進み状
態における排気側圧力PEXと、クランク角θcrank との
関係を示すグラフである。
【図23】正常組立状態およびドリブンギヤ1歯遅れ状
態における排気側圧力PEXと、クランク角θcrank との
関係を示すグラフである。
【図24】各組立不良が独立に生じた場合の、排気側圧
力極大値差α,排気側圧力不変化値差β,排気側圧力極
大値到達角差Γ,排気側圧力不変化状態移行角差Σ,排
気側圧力減少開始角差Φ,吸気側圧力極大値到達角差
Λ,吸気側圧力増大開始角差Ψの値の一例を示す図表で
ある。
【図25】上記エンジン検査装置により取得されたカム
プーリ1歯進み状態における各シリンダの排気側圧力P
EXの、排気側圧力極大値到達角相対値ΔΓi ,排気側圧
力減少開始角相対値ΔΦi および排気側圧力不変化状態
移行角相対値ΔΣi を示すグラフである。
【図26】カムプーリ1歯進み状態における排気側圧力
極大値到達角相対値ΔΓi を示す図である。
【図27】前記エンジン検査装置の判定器に含まれるR
OMに格納されている組立状態検査のメイン処理を表す
フローチャートである。
【図28】前記エンジン検査装置の表示器の構成を示す
正面面である。
【図29】図25のS118において実行される不良箇
所推定処理を表すフローチャートである。
【図30】前記判定器に含まれるRAMの内部に記憶さ
れる不良箇所フラグのビット構成を示す図である。
【図31】図29のS202において実行されるドリブ
ンギヤ1歯進み検査を表すフローチャートである。
【図32】図29のS204において実行される排気バ
ルブクリアランス小検査を表すフローチャートである。
【図33】図27のS206において実行されるカムプ
ーリ検査を表すフローチャートである。
【図34】図27のS208において実行されるドリブ
ンギヤ1歯遅れおよび吸気バルブクリアランス検査を表
すフローチャートである。
【図35】図34のS602の判定に用いられるλi
ΔΓm の値の範囲を示すグラフである。
【図36】図27のS210において実行される排気バ
ルブクリアランス大検査を表すフローチャートである。
【図37】図27のS210において実行される排気バ
ルブクリアランス大検査の別の例を表すフローチャート
である。
【図38】図27のS210において実行される排気バ
ルブクリアランス大検査のさらに別の例を表すフローチ
ャートである。
【図39】図27のS212において実行されるコンプ
レッションリング欠落検査を表すフローチャートであ
る。
【図40】カムプーリおよびドリブンギヤ組立不良がそ
れぞれ独立に生じた場合の、排気側圧力極大値差分δP
EXmax ,排気側圧力不変化値差差分δPEXconst ,排気
側圧力極大値到達角相対値差分δΓ,排気側圧力不変化
状態移行角相対値差分δΣ,排気側圧力減少開始角相対
値差分δΦ,吸気側圧力極大値到達角相対値差分δΛ,
吸気側圧力増大開始角相対値差分δΨ等の値の一例を示
す図表である。
【図41】吸気バルブクリアランス,排気バルブクリア
ランスおよびコンプレッションリング欠落の組立不良が
それぞれ独立に生じた場合の、排気側圧力極大値差分δ
EXmax ,排気側圧力不変化値差分δPEXconst ,排気
側圧力極大値到達角相対値差分δΓ,排気側圧力不変化
状態移行角相対値差分δΣ,排気側圧力減少開始角相対
値差分δΦ等の値の一例を示す図表である。
【図42】前記エンジン検査装置の判定器に含まれるR
OMに格納される、図27に示した処理とは別の実施形
態を示す組立不良検査の内容を表すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
10,12:ピストン 20:クランクプーリ 2
4,26:カムプーリ 40,42 ドリブンギヤ 48:排気バルブ 5
0:吸気バルブ 60,62:シザーズギヤ 7
6:シリンダヘッド 90:被検査エンジン 92:吸気ポート 94:吸気マニホールド 9
6:サージタンク 98,106:圧力センサ 1
00:排気ポート 102:カバー部材 110,112:A/D変換器 114:クランク角
センサ 117:判定器 118 表示器 11
9:検査制御装置 120:ベース 122:駆動
用カップリング 124:駆動軸 125:モータ
134:ピストンリング 136:トップリング
138:セカンドリング 140:オイルリング
144:コンプレッションリング 200:OK
ランプ 202:NGランプ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−203539(JP,A) 実開 昭63−105841(JP,U) 実開 昭58−47147(JP,U) 実開 平1−125130(JP,U) 米国特許5355713(US,A) 英国特許1167292(GB,B) 国際公開96/00943(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 15/00 F01L 1/00 - 35/04 F02B 31/00 - 31/08 F02D 35/00 - 35/02 G01L 23/22 - 23/24

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々吸気バルブと排気バルブとを有する
    複数のシリンダを備えた内燃機関を回転させ、各吸気バ
    ルブより外においてその吸気バルブと連通する吸気側空
    間と各排気バルブより外においてその排気バルブと連通
    する排気側空間との少なくとも一方の圧力の予め定めら
    れた変化状態における圧力値とその変化状態の発生時期
    との少なくとも一方を、前記複数のシリンダのうちの少
    なくとも2つについて検出し、その少なくとも2つのシ
    リンダの圧力値と発生時期との少なくとも1つ同士を比
    較し、不一致のときに当該内燃機関に組立不良が存在す
    ると判定することを特徴とする内燃機関組立不良検査方
    法。
  2. 【請求項2】 前記内燃機関が第1バンクと第2バンク
    とを備え、前記比較を第1バンクの少なくとも1つのシ
    リンダと第2バンクの少なくとも1つのシリンダとの間
    で行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関組立
    不良検査方法。
  3. 【請求項3】 前記比較を、前記圧力値と発生時期との
    少なくとも一方の検出値の平均値と各シリンダの圧力値
    と発生時期との少なくとも一方との間で行うことを特徴
    とする請求項1または2のいずれか1つに記載の内燃機
    関組立不良検査方法。
  4. 【請求項4】 前記圧力値と発生時期との少なくとも一
    方の検出値について、互いに近いものをそれぞれ一群と
    する群分けを行い、前記比較をそれら群間で行うことを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の内
    燃機関組立不良検査方法。
  5. 【請求項5】 前記複数のシリンダのすべてについて前
    記予め定められた変化状態の発生時期を検出し、それら
    複数のシリンダの爆発順序において互いに相前後するも
    の同士の発生時期の間隔同士を比較することを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれか1つに記載の内燃機関組
    立不良検査方法。
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