JP3477766B2 - 投射型陰極線管の製造方法及び投射型陰極線管の組立精度の測定装置 - Google Patents

投射型陰極線管の製造方法及び投射型陰極線管の組立精度の測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばビデオプロジェ
クタ等に用いられる投射型陰極線管の製造方法及び投射
型陰極線管の組立精度の測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、赤、緑及び青の単色陰極線管
をインラインに配置し、各単色陰極線管の前面に配した
投射レンズ系によりスクリーン上に結像させるビデオプ
ロジェクタが提案されている。図8は、従来の代表的な
プロジェクタ用の投射型陰極線管の要部構成を示すもの
である。同図に示すように、ネック管51、ファンネル
52及びパネル53から管体54が構成され、ネック管
51内に電子銃55が配される。また、パネル53の内
面には赤、緑又は青のうちいずれかの蛍光体層56が形
成される。そして、パネル53の正面に接着剤57によ
ってカプラー58が取り付けられ、このカプラー58
に、最終レンズ固定金具59によって最終レンズ60が
固定される。さらに、パネル53の前面とカプラー58
と最終レンズ60で囲まれた空間内には冷却液61が充
填される。また、カプラー58には、不図示のレンズ鏡
筒が取り付けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図8に示す
ように、この種の投射型陰極線管においては、従来、蛍
光体層56が形成されるパネル53内面が平面であっ
た。従って、管体54と液冷部とが多少ずれていてもレ
ンズ系の焦点性能上は特に問題とならなかった。しか
し、最近の背面投射型プロジェクタは奥行きが小さくな
る傾向にあり、画質もより高いものが求められるように
なったことから、レンズ系を短焦点化する必要性が生
じ、それに伴い例えば図3に示すようにパネル1内面が
球面であるものが提案されてきた。しかし、パネル内面
が平面の場合にはパネルと最終レンズとが多少ずれてい
てもレンズ系の焦点性能上は特に問題とならないのに対
し、パネル内面が球面の場合には、レンズ系の光軸と陰
極線管の中心軸(管軸)とのずれが直接レンズ系の焦点
性能に影響するようになり、液冷部ひいてはレンズ系を
より高い精度で組み立てるとともに、その精度を保証す
る必要性が生じて来た。すなわち、例えば7インチサイ
ズの投射型陰極線管の場合、従来の平面型の要求組立精
度が水平方向±2mm(原理的には無制限)、蛍光面の
傾き±0.3mmであるのに対し、球面型蛍光面を有す
る陰極線管の場合には、水平方向±0.4mm、蛍光面
の傾き±0.1mmの組立精度が要求されている。
【0004】本発明は従来例のかかる点に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、高精度の組立及び
その精度保証を可能にしうる投射型陰極線管の製造方法
及び投射型陰極線管の組立精度の測定装置を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、陰極線管
に投写用レンズの取付用の冷却部を固定する工程と、
の後、陰極線管の管軸を基準にして冷却部の位置を測定
する工程と、その測定結果に応じて、次回以降の陰極線
管と冷却部との固定のために、冷却部を陰極線管に固定
する際に用いられる陰極線管用位置決め手段を調整する
工程と、上記投写用レンズを冷却部に取り付ける工程
と、この冷却部に冷却液を注入する工程とを有すること
を特徴とする投射型陰極線管の製造方法である。第2の
発明は、陰極線管の管体を位置決めする固定位置決め手
段と、上記管体のパネル前面に取り付けられる投写用レ
ンズの取付用の冷却部を位置決めする位置決めテーブル
と、この位置決めテーブルを上記投写用レンズの光軸が
取り付けられるべき位置を中心に回転自在の状態で該回
転の回転軸と直交する方向に移動させる移動手段とを有
し、上記位置決めテーブルに上記パネル前面までの距離
を測定する測定手段を設けるとともに、上記位置決めテ
ーブルの位置を測定する位置測定手段を設けたことを特
徴とする投射型陰極線管の組立精度の測定装置である。
【0006】
【作用】かかる構成を有する第1の発明の場合、陰極線
管に投写用レンズの取付用の冷却部を固定し、その後
極線管の管軸を基準にして冷却部の位置を測定した後、
その測定結果に応じて陰極線管用位置決め手段を調整す
ることから、温度変化や経年変化によって陰極線管用位
置決め手段に変形が生じた場合でも、投写用レンズの取
付用の冷却部の位置測定に際し、測定誤差を常に微小に
保つことができる。そして、次回以降の陰極線管と冷却
部との固定において、高精度で固定することができる。
また、第2の発明の装置によれば、第1の発明の方法を
容易に実施することができ、しかも、投写用レンズの光
軸が取り付けられるべき位置を中心に回転自在の状態で
位置決めテーブルを移動させるようにしたことから、測
定の際に管体と投写用レンズとの回転成分のずれが吸収
され、測定誤差を微小にすることができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例について図1〜図7を
参照して説明する。
【0008】図3〜図4は本発明が適用される液冷付の
投写型陰極線管の全体構成を示すものである。図3に示
すように、それぞれガラスからなるパネル1、ファンネ
ル2及びネック管3から管体4が構成される。パネル1
の内面には、例えば赤、緑又は青のいずれかの色の蛍光
体層5が形成される。そして、パネル1の内面は球面状
に形成される。また、ネック管3内には電子銃6が配さ
れる。
【0009】パネル1の前面には接着剤aによって枠体
であるカプラー7が取り付けられる。そして、カプラー
7には最終レンズ固定金具8によって最終レンズ9が固
定される。尚、最終レンズ9とカプラー8との間には、
気密状態を保つためのパッキング10が配される。さら
に、図4に示すように、カプラー7の最終レンズ9側の
部分には、複数の光学レンズ15を有するレンズ鏡筒1
6が取り付けられる。この場合、カプラー7に設けた位
置基準ピン17とレンズ鏡筒16に設けた凹部18とを
はめ合わせることによりレンズ鏡筒16の位置決めを行
う。
【0010】次に、本発明に係る投射型陰極線管の製造
方法の実施例について説明する。
【0011】まず、公知の方法により陰極線管の管体4
の部分を組み立てる。そして、図5に示すような組立治
具40を用いて管体4とカプラー7とを接合する。
【0012】図5に示すように、この組立治具40は、
位置決めテーブル41上に3つの位置決めピン42,4
3,44が垂直に設けられている。これらの位置決めピ
ン42〜44は、管軸方向の位置決めを行うもので、各
々その高さの調整が可能となっている。また、位置決め
テーブル41の所定の位置には、カプラー7の位置基準
ピン17とはまり合う位置決め孔45が設けられてい
る。さらに、位置決めテーブル41の端部には突当部4
6が設けられ、その上部に2つの位置決めピン47,4
8が設けられる。これらの位置決めピン47,48は、
各々その長さが調整可能となっている。
【0013】そして、管体4とカプラー7とを接合する
場合には、カプラー7の位置基準ピン17を位置決め孔
45に挿入するとともに、カプラー7とパネル1との間
に接着剤(例えばシリコン樹脂等の紫外線硬化樹脂等)
aを介在させ、さらに管体4を位置決めピン47,48
に突き当てて固定する。その後、接着剤aを硬化させ、
管体4とカプラー7とを固定する。
【0014】このような方法によれば、高い精度で、管
体4と液冷部との組立を行うことができる。さらに、カ
プラー7と最終レンズ9、レンズ鏡筒16とは、カプラ
ー7の形状及び位置基準ピン17に基づいて容易に精度
良く組み立てることができる。
【0015】ところで、組立治具40は、組立に際し要
求される精度で調整されていなければならない。従来
は、マスターゲージを用いて組立治具40を調整するこ
とが行われていたが、球面型蛍光面を有する陰極線管で
求められている精度を100%保証するには不十分であ
る。例えば、7インチサイズの投射型陰極線管において
組立治具40に対し補正による微調整を行わない場合に
は、水平方向に±0.6mm程度、蛍光面の傾きとして
±0.3mm程度の組立精度の保証しかできない。そこ
で、本実施例においては、以下に述べるように、組立治
具40に対し補正による微調整を行いつつ、組立を行え
るようにした。
【0016】図6は、本実施例における組立精度の測定
方法の原理を示すものである。同図に示すように、位置
決めテーブル20の所定の位置に位置決め孔21が設け
られ、カプラー7に設けられた位置基準ピン17をこの
位置決め孔21に挿入することにより陰極線管の位置決
めがなされる。
【0017】そして、位置決めテーブル20の端部に設
けられた突当部22に3つの寸法測定機X,Y1,Y2
が設けられ、この寸法測定機X,Y1,Y2を図7に示
すようにパネル1に対してX及びY方向から突き当てる
ことにより管体4とカプラー7(即ちレンズ系)との
X,Y方向のずれを測定する。
【0018】さらに、位置決めテーブル20上に設けた
3つの寸法測定機Z1,Z2,Z3により管軸Z方向の
ずれ量を測定する。
【0019】しかし、この方法の場合、カプラー7を固
定して管体4の位置を測定するため、測定時に管体4が
ずれることによって測定位置がずれ、その結果、測定誤
差が大きく、測定治具40の補正に用いることはできな
い。
【0020】そこで、以下に述べるように、陰極線管を
所定の基準点で固定し、液冷部のずれ量を2つの寸法測
定機を利用して測定する方法を案出した。
【0021】図1は本発明に係る投射型陰極線管の組立
精度の測定装置の実施例を示すものである。同図に示す
ように、この装置においては、基台23上にベアリング
24を介してX−Yテーブル25が設けられる。そし
て、X−Yテーブル25上に回転台26を介して位置決
めテーブル27が設けられる。この位置決めテーブル2
7には、カプラー7の位置基準ピン17とはまり合う位
置決め孔28が設けられる。さらに、位置決めテーブル
27上には、上述の3つの寸法測定機Z1,Z2,Z3
が垂直に設けられる。この寸法測定機Z1,Z2,Z3
としては、例えばダイヤルゲージ等が用いられる。
【0022】一方、基台23の端部には、突当部29が
垂直に設けられる。そして、突当部29の上部には、水
平方向に延びる3つの位置決めピン30,31,32が
設けられる。また、突当部29の下部には、水平方向に
延びる2つの寸法測定機33,34が設けられる。
【0023】図2は、位置決めピン30,31,32及
び寸法測定機33,34,Z1,Z2,Z3の位置関係
を示すものである。同図に示すように、突当部29の上
部に設けられた位置決めピン30,31,32は、X方
向から1点、Y方向から2点でパネル1のスカート部を
突き当てて固定するように配置される。一方、突当部2
9の下部の寸法測定機33,34は、回転台26の中心
軸を通るX軸及びY軸上にそれぞれ1つずつ配され、X
−Yテーブル25に対してX及びY方向から1点ずつ突
き当たるように構成される。さらに、位置決めテーブル
27上の寸法測定機Z1,Z2,Z3は、位置決めテー
ブル27の回転中心0から等距離の位置で例えば等間隔
に配される。
【0024】次に、本実施例における陰極線管の組立精
度の測定方法を説明する。まず、測定すべき陰極線管と
同じ寸法に精密加工して作られたマスターゲージ(図示
せず)によって測定装置を調整する。すなわち、マスタ
ーゲージの位置基準ピンを位置決めテーブル27の位置
決め孔28に挿入し、X−Yテーブル25を動作してマ
スターゲージを位置決めピン30,31,32に突き当
てて固定する。これにより陰極線管の管軸Zと測定装置
の回転台26の中心軸Z0 とが一致する。そして、この
状態で各寸法測定機30〜32,Z1〜Z3をマスター
ゲージに突き当て、それぞれをリセットする。
【0025】次いで、図1に示すように、測定すべき陰
極線管の位置基準ピン17を位置決めテーブル27の位
置決め孔28に挿入し、陰極線管の管体4を各位置決め
ピン30,31,32に突き当てる。これによりX−Y
テーブル25が陰極線管と同期して動く。この場合、管
体4とカプラー7の回転成分のずれは、回転台26によ
って吸収される。そして、X−Yテーブル25に設けら
れた寸法測定機33,34によって回転台26の中心軸
0 のずれ量を測定する。この寸法測定機33,34に
よって表示される数値が、陰極線管の管軸Zとカプラー
7の中心軸即ち投写用レンズの光軸とのずれ量になる。
本実施例においては、管体4が測定の基準点で固定され
ているので、図6及び図7で説明したような測定誤差は
生じない。
【0026】一方、管軸Z方向のずれ量は、寸法測定機
Z1〜Z3をパネル1の前面に突き当てることにより行
う。そして、このようにして得られた値に応じて、組立
治具40の微調整を行う。すなわち、例えば寸法測定機
30〜32,Z1〜Z3にて得られた値が所定の値より
大きい場合には、その値に応じて組立治具40の位置決
めピン42〜44,47,48の長さを調整する。他
方、寸法測定機30〜32,Z1〜Z3にて得られた値
が所定の値以内である場合には、そのまま次の工程に移
る。そして、量産を行う場合には、同様の作業を連続し
て行う。
【0027】このような方法によって得られた値の測定
精度は、7インチサイズの投射型陰極線管の場合、±5
μmであった。ちなみに、図6に示す方法では、管体4
とカプラー7とのずれが大きくなるほど測定誤差は大き
くなり、±50μm程度した保証できなかった。
【0028】以上述べた本実施例の方法及び装置によれ
ば、7インチサイズの投射型陰極線管に対し、水平方向
で±0.2mm、蛍光面の傾きについて±0.1mmの
保証が可能となり、球面型蛍光面を有する投射型陰極線
管に要求される精度での組立が可能になった。また、本
実施例によれば、組立治具40を補正しながら測定を行
うので、常に高精度の組立を維持できるものである。
【0029】その後は、公知の工程によりレンズ系を組
み立て、冷却液の注入を行う。
【0030】尚、本発明は上述の実施例に限られること
なく、種々の変更を行うことができる。例えば、位置決
めテーブル上の寸法測定機は、それぞれ任意の位置に設
けることができ、またその数も3つ以上であれば任意と
することができる。
【0031】さらに、位置決めピンについても、管体が
確実に固定できる位置であれば任意の位置に設けること
ができ、また、その数も任意とすることができる。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように第1の発明によれば、
陰極線管に投写用レンズの取付用の冷却部を固定し、そ
の後陰極線管の管軸を基準にして冷却部の位置を測定し
た後、その測定結果に応じて陰極線管用位置決め手段を
調整することから、測定誤差を常に微小に保つことがで
き、その結果、全数の陰極線管に対し高精度の組立を行
うことができる。また、第2の発明の装置によれば、第
1の発明の方法を容易に実施できることに加え、投写用
レンズの光軸が取り付けられるべき位置を中心に回転自
在の状態で位置決めテーブルを移動させるようにしたこ
とから、測定誤差をさらに微小にすることができ、高精
度で投写用レンズの組立精度を測定することが可能にな
る。このように本発明によれば、球面型の蛍光面を有す
るレンズ一体型の投射型陰極線管を高精度で組み立て、
量産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る投射型陰極線管の組立精度の測定
装置の実施例を示す構成図である。
【図2】同実施例における管体と位置決めピンと寸法測
定機との関係を示す説明図である。
【図3】本発明が適用される液冷付投射型陰極線管の要
部断面図である。
【図4】本発明が適用される液冷付投射型陰極線管の全
体構成を示す断面図である。
【図5】本実施例における管体とカプラーとの接合を示
す説明図である。
【図6】本発明の測定原理を示す説明図である。
【図7】図6における位置決めピンと寸法測定機の位置
関係を示す説明図である。
【図8】従来の代表的なプロジェクタ用の投射型陰極線
管の要部断面図である。
【符号の説明】
1 パネル 4 管体 7 カプラー 17 位置基準ピン 23 基台 24 ベアリング 25 X−Yテーブル 26 回転台 27 位置決めテーブル 28 位置決め孔 30,31,32 位置決めピン 33,34,Z1,Z2,Z3 寸法測定機 Z 管軸 Z0 中心軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−101774(JP,A) 特開 平4−11475(JP,A) 実開 昭62−30476(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/24 H01J 9/42 H01J 31/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極線管に投写用レンズの取付用の冷却
    部を固定する工程と、 その後、上記 陰極線管の管軸を基準にして上記冷却部
    位置を測定する工程と、 その測定結果に応じて、次回以降の陰極線管と冷却部と
    の固定のために、上記冷却部を陰極線管に固定する際に
    用いられる陰極線管用位置決め手段を調整する工程と、 上記投写用レンズを上記冷却部に取り付ける工程と、上記 冷却部に冷却液を注入する工程とを有することを特
    徴とする投射型陰極線管の製造方法。
  2. 【請求項2】 陰極線管の管体を位置決めする固定位置
    決め手段と、上記管体のパネル前面に取り付けられる投
    写用レンズの取付用の冷却部を位置決めする位置決めテ
    ーブルと、該位置決めテーブルを上記投写用レンズの光
    軸が取り付けられるべき位置を中心に回転自在の状態で
    該回転の回転軸と直交する方向に移動させる移動手段と
    を有し、上記位置決めテーブルに上記パネル前面までの
    距離を測定する測定手段を設けるとともに、上記位置決
    めテーブルの位置を測定する位置測定手段を設けたこと
    を特徴とする投射型陰極線管の組立精度の測定装置。
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