JP3476820B2 - 神経刺激による痴呆症の治療 - Google Patents

神経刺激による痴呆症の治療

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は患者の所定神経または神経束に変調電気信号
を加えて疾患、精神障害または神経障害を治療またはコ
ントロールする方法および装置に関するものであり、特
に、神経刺激装置を用いてそのような信号を患者の迷走
神経に加えることによって痴呆症患者を治療する方法に
関するものである。
痴呆症は脳疾患に起因する知的能力、推理力、記憶お
よび意志の低下または喪失と定義され、程度は違っても
混乱、失見当識、無感情および意識混濁によって特徴付
けられる。記憶と敏捷性のレベルが影響を受けることが
あっても、これらは別のプロセスであることに注意しな
ければならない。敏捷性には興奮剤を用いる治療方法が
効果がある場合もあるが、知的能力には効果がなく、従
って、痴呆症の治療には有効ではない。
痴呆症の原因としては種々のものが文献に記載されて
いるが、痴呆症全体の約半分はアルツハイマー病による
ものであるといわれている。この疾患のその他の一般的
な原因には度重なる軽い脳卒中(多梗塞性痴呆症(mult
i−infarct dementia)に到る)や脳血管疾患(cerebro
vascular disease)がある。
痴呆症患者では脳波(EEG)に変化が起こることも文
献には記載されている。研究結果にはいくらかのばらつ
きが見られるが、いくつかの所見はかなり一致してお
り、最も一般的な所見は、痴呆、特にアルツハイマー病
患者の場合には、EEGリズムが遅くなる点である。発作
性活性(paroxysmal activity)が常に見られるわけで
はないが、患者の半数に見られることもある。比較的最
近の報告を調べることによって多くの情報が得られる。
ユーグ(Hughes)達はClin.Electroencephalog.(198
9)20(2):77−85において、83人の痴呆症患者につい
て行った研究を報告している。全員が極端に遅い波の活
性を有し、拡散性の遅れの程度は痴呆の程度と相関して
いることを報告している。また、23%の患者では側頭葉
より出た鋭い波が存在することを報告している。
クーリーチェック(Kurlycheck)は、J.Clin.Psycho
l.(1989)45(1):117−123において:アルツハイマ
ー型老人性痴呆症(SDAT)患者では一般に正常なαリズ
ムが減少して拡散性の遅いθ波およびδ波がより目立つ
ことを報告している。多梗塞性痴呆症では、バックグラ
ウンドのαリズムがより保たれる傾向にあり、遅れはSD
ATの場合の拡散性よりむしろ居所的である。他の種類の
痴呆、例えば通常圧力水頭症(normal pressure hydroc
ephalus)およびピック病ではEEGは正常の範囲であるこ
とが多い。
エットリン(Ettlin)達はArch.Neurol.(1989)46:1
217−1220において、痴呆症診断でのEEGの基準は全体的
障害(拡散性のθおよびδ波の発生を伴う主要リズムの
遅れ)、不均整な所見(局所的な徐波活性、発作性活
性)およびδ波のバイフロンタル(bifrontal)な突発
であると報告している。
ヴェルマ(Verma)達は、Clin.Electroencephalog.
(1987)18(1):26−33において、皮質性の痴呆(例
えばアルツハイマー病やピック病)患者の15人中14人が
異常なEEGを有することを報告している。これに対し
て、皮下質性の痴呆(核上麻痺、ハンチントン舞踏病お
よびパーキンソン病のような状態に関連するもの)患者
の15人中14人が正常な傾向にあるという発見を報告して
いる。異常の度合いは痴呆の程度に関連する傾向があ
る。異常は主としてバックグラウンドリズムの遅れとθ
波およびδ波の過剰活性にある。このシリーズでは発作
性活性は認めらなかった。
エルキンジャンティ(Erkinjunti)達はActa Nerol.S
cand.(1988)77:36−43において、アルツハイマー病患
者ではEEG異常の程度が痴呆の程度と関係すると報告し
ている。この関係は多梗塞性痴呆や血管性と思われる痴
呆(probable vascular dementiaf)の患者には見られ
なかった。アルツハイマー病患者の18%に局所的な異常
が見られた。アルツハイマー病患者の45%で発作性活性
が観察され、その他の痴呆症ではこの数字はさらに大き
くなった。発作性活性の発生は痴呆の程度とは相関して
いなかった。
これまでの痴呆症の治療法および/または制御法はほ
とんど成功を見ていない。これまで行われてきた治療法
は興奮剤を含む各種の薬剤を使用するものである。
本発明は痴呆症の特定のケースに関連したEEGの異常
に応じた所定の方法で迷走神経(第10番目の脳神経)を
選択的に刺激することによって痴呆症を治療・制御する
方法と装置に関するものである。
本発明にはいくつかの機構が関連する。発作性活性が
存在する場合には迷走神経刺激がこの活性を抑制する。
上記文献に報告されている大部分のケースでは発作性活
性は見出されていないが、全ての痴呆症患者の深層構造
部分に存在する可能性がある。痴呆の治療で迷走神経刺
激が有効になる他の機構は網様体の形成または活性化系
すなわち敏捷性のレベルの制御に関連するニューロンの
ネットワークに対する効果である。この系を刺激するこ
とによって高度な脳中枢を覚醒させて敏捷性や認識機能
に直接影響を与えることができる。
記憶に関連する神経のプロセスは複雑であるが、記憶
プロセスには海馬構造が関連していることが知られてい
る。さらに、迷走神経刺激によって記憶の低下を防ぐま
たは抑制するように海馬活性を作用させることができる
と考えられている。
図1は人のEEGを簡略化したものを示しており、
(a)は正常な活性、(b)は過剰な徐波活性、(c)
は発作性活性を示している。EEGは数百万の脳細胞の活
性を統合して表したものであって、目覚めている機敏な
人では細胞が個々に活動しているためノイズパターンが
現れるはずである。そのような対象では眼領域から出る
規則的なα活性が正常である。しかし、脳が同期化力に
よって動かされた時にはEEGが遅くなり、高電圧が生じ
るか、高電圧の同期したスパイクまたはスパイクと徐波
が発生する。通常、正常な人のEEGは低電圧で比較的速
い活性を示す(図1(a))。睡眠中などはEEG活性が
遅くなって高電圧が生じる場合があるが、これは正常で
ある。これに対して痴呆、脳腫瘍、その他特定の疾患を
有する患者では、異常なEEG中に徐波活性およびより高
い電圧が見られる(図1(b))。発作活性は幾分後者
に似ているが、波活性は幾分速く、より高い同期スパイ
クが見られる(図1(c))。図1(b)および(c)
のEEGはいずれも図1(a)の正常なEEGに比べてより同
期化されているが、同期性は異なっている。すなわち発
作性のEEGはより高速の活性と大きな信号で同期化され
る。
年齢に対する人の知的能力の研究で、アルツハイマー
病患者の知的能力はそれより高齢の一般の人々の知的能
力よりもはるかに急速に低下することが見出されてい
る。図2には、知的能力を単純に年齢に対してプロット
した図が示されている。年齢のみではこの病気を示唆す
ることはできない。高齢が必ずしも機能低下に繋がるわ
けではなく、あらゆる機能の喪失はなんらかの異常なプ
ロセスに関連しているということができよう。
本発明の目的は迷走神経刺激によってアルツハイマー
病患者またはその他の種類の進行性痴呆症にかかった患
者を表す下降曲線1のいずれかのポイントで施され、少
なくともこのプロセスを遅くするか、可能ならば下降を
停止させる治療法を提供することにある。これは曲線2
によって示される。曲線2は一般的な人に見られる正常
な下降曲線3と平行か、それよりごくわずかに速い速度
で降下する。患者がこの降下プロセスを逆行することは
ない。効力の点から治療を受ける患者または最も好まし
い結果が得られると思われる患者は、病気の段階が進行
してしまった患者よりもそれほど進んでいない人達であ
る。
アルツハイマー病で起こるある種の解剖学上の変化は
解剖または脳生検でしか検出することができず、早期診
断は困難である。しかし、最近では神経学的および心理
的状態を利用してこの病気の早期診断が可能であること
が示唆されている。これは他のタイプの痴呆、例えば多
梗塞性痴呆症などを正確に早期診断するよりも多少難し
い。
人の神経はA、BおよびC群で表される寸法の異なる
数千の腺維で構成されており、それらが脳へ、または脳
からの信号を伝送することが知られている。例えば、迷
走神経は3つの異なる形式の約100,000本の腺維を有
し、その各々が信号を伝送する。正常な状態では神経の
各軸索は1方向にだけ伝送する。AとBの腺維はミエリ
ン化(すなわち、主に脂肪で構成されたミエリン鞘(my
elin sheath)を有する)されており、C腺維はミエリ
ン化されていない。
ミエリン化された腺維はミエリン化されていないC腺
維に比べて一般に大型で伝導速度が速く、電気刺激閾値
がはるかに低く、特定の幅と振幅とを有する刺激パルス
に対して特定の強度−時間曲線を示す。A腺維とB腺維
は比較的狭いパルス幅、例えば50〜200μsで刺激され
る。A腺維はB腺維よりもわずかに速い導電性を示し、
わずかに低い電気刺激閾値を示す。C腺維の活性化には
より幅が広く(例えば300〜1000μs)、より振幅の高
いパルスが必要になる。AとBの腺維はさらにC腺維を
刺激することなく選択的に刺激されるが、C腺維を刺激
するために必要なパルスの大きさおよび幅ではAとBの
腺維も活性化される。
通常は、神経刺激によって双方向に神経信号が活性化
される(2方向性)が、特殊な電極および波型を用いて
神経を一方へのみ選択的に刺激する(1方向性)ことも
できる。
ウッドバリー(Woodbury)は、実験的に発作を起こさ
せたラットでの迷走神経刺激作用に関する論文(Epilep
sia,1990,31(Supp 2):S7−S19)において、迷走神経
は体腔および内臓の求心性腺維(すなわちパルスを脳ま
たは脊髄などの神経中枢へ伝送する内側に向かって伝え
る神経腺維)と遠心性腺維(パルスを効果器に伝送して
それを刺激し、活性化させる外側へ向かって伝える神経
腺維)とで構成されていることを記載している。迷走神
経の大部分はC腺維であり、大部分は頸部の本体すなわ
ち神経節の所にあるセルを有する内臓の求心性腺維であ
り、その中央突起は大体、腺維を脳の各領域(例えば視
床下部、視床および扁桃体)へ送る単独路の核で終わっ
ており、他は骨髄、小脳、けつ状束核、その他の領域の
中間網状体へ続いている。
ウッドバリーはさらに、動物での迷走神経の求心性腺
維を刺激することによって検出可能なEEGの変化が全て
の領域で起こり、EEGの変化の種類および程度は刺激パ
ラメータに依存するということを記載している。チェー
ス(Chase)は迷走神経を活性化することによって脳の
ある部分のEEG活性に影響を与えることができるという
ことを見出した(Exp Neurol(1966)16:36−49)。本
出願人は、高周波数(>70Hz)の弱い刺激がミエリン化
された(AとBの)神経腺維だけを活性化した時にEEG
の同期化がおこり、刺激強度がミエリン化していない
(C)神経腺維を活性化するレベルまで大きくなった時
にはEEGの非同期化が起こると考えた。ウッドバリーは
さらに、迷走神経を刺激することによって発作および一
定の不随意運動を広範に抑制する作用が生じるというこ
とを見出した。
迷走神経を生理学的に外部から電気的に刺激すること
は癲癇や各種の不随意運動障害の治療で既に提案されて
いる。特に、1987年10月27日のザバラ(J.Zabara)の米
国特許第4,702,254号(以下、'254特許という)には、
脳の異常な神経放電パターンで特徴付けられる癲癇発作
を軽減または予防するための方法とインプラントとが記
載されている。'254特許に記載の埋め込み可能なニュー
ロサイバネティク補綴装置(Neurocybernetic prosthes
is)(NCP)はNCPジェネレータの外部電流を脳の神経網
に作用する特定の抑制神経群の電気化学的特性に併せる
ニューロサイバネティクスペクトル識別法を用いてい
る。抑制神経は他の神経束に埋め込まれていて、直接ま
たは間接的かつ選択的に活性化され、NCPを高い脳神経
放電状態に合わせて痙攣または発作を制御する。この特
許ではスペクトル識別解析法を用いることによって、活
性化しようとする神経の電気化学的特性に基づいたNCP
のパルスジェネレータの一定の電気パラメータを選択す
る。また、この特許には所望の効果を生じさせるのに最
適なNCPジェネレータの出力の印加位置は一般に脳神
経、特に迷走神経であると記載されている。
'254特許に記載されたNCPは手動または自動で活性化
されて発作期間中治療を行う。手動の場合には患者が発
作の開始時にその雰囲気を感じた時に作動させる。また
自動の場合には発作の直前または開始時にある種の状態
パラメータの瞬間的変化を検出して作動を開始させる。
また、NCPを周期的に作動して発作の発生を減らし且つ
/又は発作強度を軽減するという予防または防止法を採
用することもできる。'254特許のNCP刺激装置は患者の
胸部に埋め込まれ、選択された信号の印加位置の神経部
位に、迷走神経に沿って負の電極が脳に近く陽極が脳か
ら遠くに位置するように接続されている。
'254特許には、迷走神経刺激によって治療可能である
不随意運動障害のカテゴリーに関連してパーキンソン病
が挙げられている。本発明の1つの対象はパーキンソン
病、ハンチントン舞踏病および核上麻痺等の症状を包む
皮質下の痴呆症の治療・制御方法にある。皮質下の痴呆
症は'254特許にその治療方法および装置が述べられてい
る痙性または不随意運動障害とは違った運動機能を含ん
でいる点を指摘しておく。例えばパーキンソン病には数
種類の症状があり、その1つが震えすなわち不随意運動
である。しかし、さらにより顕著な症状は患者の反応お
よび動作が極めて緩慢になる傾向(運動緩慢といわれ
る)すなわち随意運動の減少である。皮質下の痴呆症の
治療を対象とする本発明は、'254特許に記載の不随意運
動障害とは逆に、随意運動とその制御を抑制または低下
させる脳機能を扱うことにある。すなわち、本発明によ
る痴呆症治療は、原則的に認識機能、換言すれば理解お
よび推理を行う知的プロセスの制御に関するものであ
り、ある種の痴呆症に関連する随意運動機能の制御は付
随的目的である。随意運動機能は網様体の作用を受ける
脳幹中枢によって行われ、この網様体は迷走神経刺激に
よる作用を受ける。
発明の概要 本発明は、神経刺激装置(埋め込み式が好ましいが必
ずしもそうでなくてもよい)を用いて、例えばアルツハ
イマー病やピック病のような皮質性痴呆症(cortical d
ementia)と、核上麻痺(supranuclear palsy)、ハン
チントン舞踏病およびパーキンソン病のような症状を示
す皮質下の痴呆症(surcortical dementia)と、多梗塞
痴呆症(multi−infarct dementia)とを含む痴呆症を
治療するための選択的な治療方法および装置に関するも
のである。この療法は迷走神経を刺激して患者の迷走神
経活性を所定の方法で変調させるもので、疾患の根本原
因よりもむしろ疾患の症状を治療・緩和させるものであ
る。
本発明では、患者およびそのEEG特性に応じて、2つ
の関連した治療の中のいずれかを採用することができ
る。いずれの治療もEEGを非同期化するもので、患者に
よっては2つの方法を時間をずらして行うこともでき
る。EEGが周期的成分を有する場合には同期性があり、
一方、非同期性は完全にランダムなEEG活性の出現によ
って特徴付けられる。EEGに徐波(slow wave)が存在す
るか、発作性活性(paroxysmal acitivity)が存在する
かによって治療方法を選択する。高電圧の同期性徐波活
性がEEGの大半を占める場合には、EEGを非同期化してバ
ックグラウンド活性を増加させるように設定された刺激
パラメータが選択する。同期性の発作性放電が存在する
場合には、EEGを非同期化するがバックグラウンドレー
トには影響しないように迷走神経を刺激する。いずれの
方法も、発作性活性は存在するが検出されないためにEE
Gに発作性の活性が見られないような患者にも使用する
ことができる。2つの方法は断続的に行うことができ
る。
本発明治療法の有効性に関する本出願人達が提案する
1つの理論は、異常なEEGがいずれも同期性の波型パタ
ーンと活性を示し、非同期化によって正常またはほぼ正
常なEEGパターンへ戻ることがあるということである。
脳幹でのドライブ現象が徐波活性を作り出すと仮定する
と、例えば駆動体をブロックすることによって所望の効
果を作り出すことができる。臨床的状態も迷走神経によ
って作動される脳幹駆動体の活性の異常な低下の結果で
ある。既に述べたように、本発明の治療は疾患の症状を
治療して患者の機能レベルを増加させるにすぎず、根底
にある疾患の病態生理に変化を起こすものではないが、
それでもなお非常に有益である。
いずれにせよ、所定の変調電気信号を患者の迷走神経
に加えて治療する。変調信号は一般には刺激を与えるよ
うに設定されるが、場合によって抑制信号が望ましいこ
ともある。本明細書では、「刺激」という用語は刺激お
よび抑制の両方の意味で使用される。変調信号を加える
のに明らかに最も効果的で好ましい神経部位は迷走神経
であるが、その他の神経、特に脳神経のの1つまたは複
数に信号を加えても効果的な治療ができる点も強調すべ
きことである。そのような治療も本発明の範囲に含まれ
る。本発明は全ての種類の痴呆症を迷走神経刺激という
特殊な技術で治療するものである。
特定の種類の痴呆症を治療するための迷走神経変調方
法は多くのファクタによって選択される。これらのファ
クタには(i)どの神経腺維を変調すべきかの考慮、
(ii)非同期化を行うためのモダリティ、(iii)検出
可能で変調をトリガするのに使用可能な生理学的信号が
発信されるか否か、および/または(iv)変調後に変調
の利点が保持される「キャリーオーバー」すなわち不応
期が起きるか否か等がある。これらは特定の障害を治療
するための刺激法を選択する際に考慮すべきファクタの
全てではないし、必ずしも重要な順に挙げたものでもな
い。これらのファクタはある特定の場合に適用すべき考
慮点を示したものである。
EEGを非同期化するためには加える信号の振幅と周波
数幅を適切に選択することが重要である。通常、非同期
化は信号レベルの幅を約0.1V〜約0.3V、周波数の幅を20
〜75Hz、信号レベルを約3.0V以上にし、周波数を約75Hz
にして行う。しかし、実際に必要な電圧は電極の種類と
幾何学形状および電極−組織のインターフェースのイン
ピーダンスで決まる。
本発明では痴呆症の治療において患者の迷走神経中の
種々の腺維を活性化してこれを選択的に変調させるため
に、各種の信号パラメータと閾値曲線とを使用する。神
経刺激装置から患者の迷走神経に印加される電気信号の
パルス幅と振幅とを適切に設定することによって神経腺
維を選択的に刺激することができる。しかし、選択過程
ではさまざまなファクタを考慮しなければならない。例
えば、C腺維は極めてゆっくりと信号を伝送するので、
速い刺激法に対する応答性はあまり高くない。従って、
例えば特殊な型の痴呆症の治療のために50HzでC腺維を
刺激して非同期化させたい場合には、刺激のために短い
パルス列を使用するのが賢明であろう。これは腺維が比
較的短時間内に刺激に対して無反応になるので、より長
いパルス列を辿ることは不可能なためである。適当な回
復時間後に別の短いパルス列を加えてさらに治療を行う
こともできる。使用する正確なパターン、例えばオン・
オフ時間の長さは患者と治療する特定の痴呆症の種類に
応じて決定され、調節されよう。
本発明の好ましい実施例では、網様体、海馬および皮
質を含む多くの脳構造の活性を変調させるように刺激す
る。痴呆症ではおそらく皮質がより重要な構造であり、
従って、皮質の活性化が痴呆症治療においてより重要で
あると思われる。ルテッキ(Rutecki)達のEpilepsia
(1990)31(Supp.2):S1−S6に記載のように、迷走神
経は直接および間接的に多くの脳構造へと突き出てい
る。網様体系は敏捷性のレベルの変調に関与する。まど
ろみおよび徐波がみられる睡眠中には網様体系が脳のレ
ベル活性を低下させ、EEGには高電圧で徐波の同期性活
性が見られる。この種の活性はしばしば痴呆症患者にお
いて見られるので、迷走神経の変調によって網様体を活
性化して患者のEEGをより活性な状態へと変化させ、そ
れによって臨床状態を改善することができる。発作性放
電が見られる患者では海馬の活性を変調するのが望まし
い。海馬は多くの患者において発作的活性の主要な中心
である。
発作性のEEGを示す患者では、表層または深層に設け
た電極でEEGの変化を検出し、脳の異常な活性を検出す
る回路を用いて症状の発現を感知することもできる。し
かし、痴呆症は一時的なものではなく、機能が除々に低
下するものと認識されている。多くの患者は調子の良い
日と悪い日があるが、この病気の性質からして継続的な
治療が必要である。従って、刺激方法としては、患者の
迷走神経に印加されて皮質、網様体および海馬を含む脳
構造の活性を変調させ、それによって同期性の高電圧徐
波を非同期化してバックグラウンドを増加させるような
電気信号を連続的に発生する刺激ジェネレータを用いる
のが好ましい。あるいは、一日中ランダムな時間間隔で
加える(すなわち日中のみで夜間はオフする)断続的な
刺激パターンを外部の電子装置から埋め込まれた刺激ジ
ェネレータへプログラムすることもできる。
本発明の主目的は、痴呆症の治療・制御方法および装
置を改良することにある。
特に、本発明は患者の神経腺維を刺激して脳構造の活
性を変調させることによって痴呆症を治療・制御する方
法および装置を提供する。
本発明のさらに他の目的はさらに、痴呆症の特定の種
類に応じて、患者の迷走神経を電気的に刺激し、神経腺
維群を活性化して特定の脳構造の活性を変調させて患者
のEEGを非同期化させる、痴呆症の治療・制御方法およ
び装置を提供することにある。
図面の簡単な説明 本発明の上記目的およびその他の目的、特徴および利
点は添付図面を参照した下記の好ましい実施例の詳細な
説明から明らかになろう。
図1は前記の(a)、(b)および(c)の部分で構
成した正常活性、徐波活性および発作性放電を示すEEG
パターンを単純化して表したものである。
図2は前記のアルツハイマー病患者および正常人での
知的能力を年齢に対してプロットした単純化されたチャ
ートである。
図3は本発明の痴呆症の治療で用いられる(パラメー
タは適当な範囲で設定)埋め込み可能な神経刺激装置の
電子パッケージ(刺激ジェネレータ)の単純化されたブ
ロック図である。
図4は患者の体内に埋め込まれた神経刺激装置の刺激
ジェネレータおよびリード/電極システムの一部を示す
簡略図である。
図5は迷走神経活性を変調するために患者の頸部の迷
走神経に埋め込まれる神経電極の一部分を示す詳細図で
ある。
図6は信号に関するパラメータを明らかにする上で有
用な刺激ジェネレータの理想化した電気出力信号波形図
である。
本発明の好ましい具体例および方法の説明 図3は神経刺激装置の刺激ジェネレータの基本的な構
成部品とそれらの相互関係のブロック図で、図4、5は
これをインプラントにした場合の位置とそれと組み合わ
されるリード/電極系の詳細図である。本発明の目的で
使用される神経刺激装置の電気刺激ジェネレータは、本
出願と同じ譲渡人に譲渡されたヴァリキオ(AnthonyJ.V
arrichio)達の1989年11月10日出願の米国特許出願番号
第07/434,985号(以下、'985出願という)に開示された
具体例を本明細書に記載の点で変更および追加したもの
が好ましい。この'985出願の明細書全体の内容が本発明
には含まれるが、読者の便宜のためにその一部のみを要
約する。
この神経刺激装置は通常のマイクロプロセッサおよび
その他の標準的電気・電子部品を利用する。埋込み型装
置の場合には装置の状態を制御・表示するための非同期
逐次通信手段を介して患者の体外に設けたプログラム可
能な装置および/またはモニターと通信する。この神経
刺激装置にはエネルギー保持手段(疾患の医学治療用に
埋め込まれる電池作動式の装置の場合に重要)と各種安
全機能を付与する手段(誤って装置をリセットされない
ようにする手段等)とがさらに備えられている。
刺激ジェネレータ10(図3)は外科医によって患者の
体内の図4に示す胸の皮膚のすぐ下の位置に形成された
ポケット内に埋め込むのが好ましい。この神経刺激装置
には患者の迷走神経に刺激ジェネレータの出力信号(電
気刺激)を加えるためのリード装置22を有する埋め込み
可能な刺激電極(以下で詳細に説明)が含まれる。患者
の体外の構成要素には、刺激ジェネレータへパラメータ
の変化を遠隔操作で作り、刺激ジェネレータからの信号
をモニターするためのプログラム式ワンド(光学式文字
読み取り装置)と、コンピュータと、各パラメータを調
節して刺激ジェネレータ、プログラム式ワンドおよびコ
ンピュータの間の通信を制御するためのソフトウェアと
が含まれる。これら装置外部の構成要素は図示してな
い。
刺激ジェネレータ10は、マイクロプロセッサをベース
とした論理・制御回路と共に、患者のEEGの特定の特徴
を感知して異常な活性が存在する時のみ刺激信号の自動
的な発信をトリガする検出回路を備えていてもよい。し
かし、EEGを検出するための電極は複雑で精密な埋め込
み手段を必要とし、また、連続的な治療(断続的に中断
される治療および/または患者が通常起きている時間の
み行われる治療などを含む)が好ましいので、好ましい
具体例では独立した検出システムは使用しない。刺激ジ
ェネレータは、対象となる特定のタイプの痴呆症を治療
するように迷走神経活性を変調させ、選択的にパターン
化された刺激信号を発生するように設計、実行およびプ
ログラムされる。
図3に示した刺激ジェネレータ10は電池(または電池
群)12を有しており、この電池12は埋込み式の医療用電
子装置を駆動するのに通常用いられる信頼性の高い長時
間持続型の電池、例えば単一のリチウムチオニルクロラ
イドセルにすることができる。電池12の端子は電圧調節
器13の入力側に接続されており、電圧調節器13は電池の
出力を平滑化して乱れのない一定の出力電圧を出し、特
殊用途では電圧倍増、分割等を行う。
電圧調節器13は論理、制御部15へ電力を与える。この
論理・制御部15はマイクロプロセッサ(図示せず)を備
え、装置のプログラム可能な関数を制御する。プログラ
ム可能な関数は、出力電流または電圧、出力信号周波
数、出力信号パルス幅、出力信号オン時間、出力信号オ
フ時間、迷走神経活性を連続的または周期的に変調する
ための毎日の処理時間、出力信号開始遅延時間等を含む
ジェネレータによって発信されるパルスシーケンスのパ
ラメータである。これらがプログラム可能であることに
よって、出力信号を刺激電極の組また列25(図4、図
5)に合わせて選択的に調整して印加することができ、
それによって慢性的な痛みの治療(抑制)に必要な迷走
神経の電気活性の変調を行うことができる。刺激ジェネ
レータの論理・制御関数用のタイミング信号は水晶発振
器16で作られる。
埋め込まれた刺激ジェネレータと外部電子部品(プロ
グラミング装置、モニタ装置の両方を含む)との間の通
信は組み込みアンテナ17で行われ、神経刺激装置はパラ
メータ変更用のプログラミング信号を受信でき、プログ
ラム式ワンドから(およびそれへ)の情報の転送は遠隔
操作で行うことができる。上記システムが一旦プログラ
ムされると、外部コンピュータとプログラム式ワンドと
を用いて(担当医または付随する技術者によって)再プ
ログラムされるまでプログラムされた設定で装置は連続
的に作動する。
刺激ジェネレータ10の論理・制御部15は治療の対象と
なる痛みの性質に適したレベルのプログラムされた信号
を発生する出力回路19を制御する。回路19のプログラム
された出力信号は、ジェネレータのハウジング21上の電
気接点20と、刺激電極に接続されたリード組立体22とに
送達される(図4、図5)。すなわち、刺激ジェネレー
タ10のプログラムされた出力信号は、患者の迷走神経上
に埋め込まれた一組の電極に加えられ、痴呆症を治療お
よび制御するように迷走神経活性を変調させ、痴呆によ
って冒された随意駆動機能を制御する患者の能力を強化
する。
刺激ジェネレータ10を内蔵したハウジング21は患者の
体液および組織と生物学的に適合するチタン等の材料で
作られ、密封されている。本明細書の痛みの治療とは無
関係な神経刺激装置の詳細な構造と動作は'985出願に記
載されており、それを参照することができる。
好ましい具体例では使用されないが、EEGの特徴を検
出して自動的に迷走神経刺激を開始する検出システムを
神経刺激装置と共に使用する場合には、埋め込まれた装
置の信号パラメータを遠隔操縦装置を用いて送信したデ
ータによって(プログラミングワンドを介して)各患者
で較正し、その結果をマイクロプロセッサでプログラム
して適切な処置を行う。
図4は患者の胸部の皮膚のすぐ下に外科医によって形
成されたポケット内に埋め込まれた刺激ジェネレータ10
(コネクタ20を有するケース21の内部にある)の好まし
い配置を示す図で、刺激神経電極の組25(図5)は絶縁
された電導性リード組立体22の末端部に導電的に接続さ
れている。リード組立体22の基端部はコネクタ20に接続
される。電極の組25はブッララ(Bullara)の米国特許
第4,573,481号に記載の形式のバイポーラ刺激電極にす
るのが好ましい。この電極組立体は頸部領域の迷走神経
27に外科的に埋め込まれるが、既に述べたように、一般
的には、迷走神経刺激部位は通常、患者が感じている痛
み(刺激によって抑制しようとする痛み)の場所よりも
上方の任意の点にすることができる。2つの電極25−1
と25−2とを迷走神経に巻き付け、本出願人に譲渡され
たテリー ジュニア(Reese S.Terry Jr.)の米国特許
第4,979,511号に記載の螺旋型留鎖28で電極組立体を神
経に固定するのが好ましい。リード22は胸部および頸部
が運動した時に屈曲できる状態で近くの組織に縫合接続
30などによって固定する。
上記ブッララ(Bullara)の特許に詳細に記載されて
いるように、電極組立体25は自動的にサイズが決まり且
つ可撓性のある螺旋構造をしているので、神経の物理的
破損の危険が最小になり、神経と体液との相互交換が可
能になる。電極組立体を神経の形に合った形状にするこ
とによって刺激接触領域が広くなり、刺激閾値が低くな
る。構造的には、電極組立体は電極を構成する2本のプ
ラチナリボンで構成され、各電極は3本のループ状螺旋
組立体の最初の2つの螺旋ループ25−1と25−2との内
面に接着され、各導体リボン電極には2本のリード線が
溶着されている。各ループの残りの部分はシリコンゴム
で構成され、第3のループは電極組立体用の鎖(tethe
r)28の役目をする。螺旋状バイポーラ電極組立体の典
型的な内径は約2mmであり、各螺旋の長さは約7mmである
(神経の軸線に沿って測定)。
刺激ジェネレータは、例えば本出願人の譲渡人である
サイベロニクス,インク.が著作権登録したプログラミ
ングソフトフェアと同じ種類または本明細書の記載に基
づいたその他の適当なソフトウェアを用いてIBM互換パ
ーソナルコンピュータ(図示せず)とプログラム式ワン
ド(図示せず)とを用いてプログラムすることができ
る。刺激ジェネレータを埋め込んだ後は、ワンドとソフ
トウェアとによって刺激ジェネレータと非侵略的な通信
ができる。ワンドは内部電池で駆動され、通信に十分な
電力を表示する「パワーオン」ライトを備えている。ま
た、ワンドと刺激ジェネレータとの間でデータ転送が行
われていることを示すための別の表示ライトを設けるの
が好ましい。
次に、慢性的または持続的な痛みを制御・治療するた
めの刺激ジェネレータ10の動作を図6に示した信号波型
を参照して説明する。この図6は神経刺激装置の出力部
19が電極組み立て体25へと送達する出力信号波型を理想
化して示したものである。この図は主として出力信号オ
ン時間、出力信号オフ時間、出力信号周波数、出力信号
パルス幅、出力信号電流の各パラメターを含めた用語を
明らかにするために示したものである。
痴呆の治療のための刺激パラメータの一般に適当な範
囲と、担当医によって装置にプログラムされる刺激出力
信号の各パラメータ値との代表値とを以下の表に示す: 上記装置は、一定の周期的信号パターンまたは連続的
な(断続的な中断があっても無くてもよい)信号パター
ンの代わりに日周期性のプログラミングを用いて、患者
が通常起きている時間だけに活性化が自動的に行われる
ようにする。そのような選択的な迷走神経刺激で行う治
療によって、多くの脳構造の活性が変調されてEEGを非
同期化するという所望の効果が達成され、それによって
患者に見られるはずの混乱、失見当識、意識混濁および
/または無感情等が抑制される。
患者の安全と快適性とを保つために、神経刺激装置に
各種の特色を持たせることもできる。例えば、電極に送
る電気刺激を突然に送るよりも刺激の最初の2秒間で立
ち上がるようにプログラミングすると、快適性が高くな
る。また、迷走神経に印加される最大電圧を例えば14V
に制限するためのクランプ回路を埋め込み型の刺激ジェ
ネレータに設けることもできる。この最大限度は患者の
迷走神経への損傷を避けるように設定する。
神経刺激装置のプログラム可能な関数および装置を、
埋込み後に刺激ジェネレータと非侵入通信できる状態に
することによって、活性化および関数のモニタが容易に
なる。プログラミングのソフトウェアは簡単且つ迅速に
プログラミングができるように構成されていて、装置の
主要関数の他の、ストレートフォーワードメニュドリブ
ン操作、HELP機能、プロンプトおよびメッセージを出し
てシーケンスの各段階で起きている全ての情報をプログ
ラマー(医師または医師の監督下に作業を行う技術者)
に完全に知らせるようにする。プログラミングは刺激ジ
ェネレータの可変パラメータとその出力信号を選択的に
変更でき、装置を診断テストし、遠隔操作でデータの記
憶・検索ができるようにしなければならない。また、埋
め込んだ装置を調べた時に調節可能なパラメータの現在
の状態が外部PCのモニタにディスプレイされるのが好ま
しい。プログラマーはそれらのパラメータのいずれかま
たは全てを同時に簡単に変化させることができ、特定の
パラメータを変化するように選択した時にはそのパラメ
ータの許容値の全てを表示して、プログラマが神経刺激
装置へ入力する適当な所望値を選択できるようにするの
が好ましい。
埋め込み前の診断テストでは装置が正しく動作するこ
とを確認し、通信、電池、リード/電極インピーダンス
等に問題がないかを確認する。例えばバッテリーが点燈
した時に電池の寿命が差し迫って、新しい装置を埋め込
む必要があることを示すようにする。診断テストで欠陥
または故障が見られなければ、電極は半永久的に使用す
ることができる。
以上、本発明による迷走神経変調による痴呆の治療と
制御の実施例と方法を説明したが、当業者は上記記載か
ら本発明の精神を逸脱しない限り、上記実施例を変更、
改良することができる。例えば完全に埋め込み可能な神
経刺激装置が好ましいが、必要であれば、エネルギー供
給用パッケージの大部分を体外に出すこともできる。必
要なエネルギーレベルを出すPF電力装置で刺激を与える
こともできる。埋め込む要素をリード/電極装置、コイ
ル、直流整流器に限定することもできる。所望のパラメ
ータによってプログラムされたパルスをRFキャリアで皮
膚を介して転送し、その後、信号を調整して迷走神経に
対する刺激等の印加されるパルス化された信号を再度発
生させて迷走神経活性を変調することもできる。そうす
ることによって実質的に電池の交換を無くすことができ
る。この方法の不利な点は患者が外部トランスミッタを
持って歩かなければならず、必要な作動電力が大きく、
神経に対する出力電流の安定性が低下することである。
外部刺激ジェネレータと一緒に、埋め込み型神経電極
の組に向かって皮下まで延びたリードを使用することも
できる。ここで大きな問題は感染の可能性である。患者
が患っている痴呆症の治療が成功するか否かを決定する
ための短期間の検査を行うために一時的に配置して、結
果が決定的または期待できるものであれば、恒久的に埋
め込むようにすればよい。
本発明は請求の範囲のみによって限定されるものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭59−8342(JP,U) 特表 昭60−502192(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61N 1/00 - 1/44 A61H 39/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】患者の迷走神経に出力信号を送るリード/
    電極系に連結された電気接点を出力側に有する患者の体
    内に移植可能なプログラム可能な信号発生器を有し、こ
    の信号発生器はパルス状の電気出力信号を出し、このパ
    ルス状の電気出力信号の電気的パラメータおよびタイミ
    ングパラメータを選択的に変えることができるようにプ
    ログラム可能である、痴呆患者を処置するため医療装置
    において、 患者の体内に移植した信号発生器が、患者の脳波(EE
    G)の同期的な活性に応答して、患者の脳波(EEG)を非
    同期化するように迷走神経の電気的活性を変調させるよ
    うにプログラムされたパルス状の電気出力信号を出す、 ことを特徴とする医療装置。
  2. 【請求項2】EEGの主要部が高電圧の同期性徐波活性で
    ある時に信号発生器を用い、この信号発生器のパルス状
    の電気出力信号の電気的パラメータおよびタイミングパ
    ラメータが徐波活性を非同期化し且つ患者のEEGのバッ
    クグラウンド活性を増加するようにプログラムされてい
    る請求項1に記載の医療装置。
  3. 【請求項3】EEGの主要部が同期性の発作性放電である
    時に信号発生器を用い、この信号発生器のパルス状の電
    気出力信号の電気的パラメータおよびタイミングパラメ
    ータが患者のEEGのバックグラウンドレートに影響を与
    えずに発作性活性を非同期化するようにプログラムされ
    ている請求項1に記載の医療装置。
  4. 【請求項4】患者の脳波(EEG)を非同期化するように
    迷走神経の電気的活性を変調させるために、上記のリー
    ド/電極手段は信号発生器のパルス状の電気出力信号を
    受けかつ伝えるための電気信号発生器の電気的コネクタ
    ーに接続された末端部と、パルス状の電気出力信号を患
    者の頸の迷走神経に出すように神経電極に接続された先
    端部とを有する請求項1に記載の医療装置。
  5. 【請求項5】患者の体内に移植された信号発生器がパル
    ス状の電気出力信号を連続的に出し、リード/電極手段
    に連結された信号発生器が患者の迷走神経の電気活性を
    連続的に変調する請求項1〜4のいずれか一項に記載の
    医療装置。
  6. 【請求項6】患者の体内に移植された信号発生器がパル
    ス状の電気出力信号を連続的に出し、リード/電極手段
    に連結された信号発生器が患者の迷走神経の電気活性を
    定期的に変調する請求項1〜4のいずれか一項に記載の
    医療装置。
  7. 【請求項7】患者の体内に移植された信号発生器がパル
    ス状の電気出力信号を連続的に出し、リード/電極手段
    に連結された信号発生器が患者の迷走神経の電気活性を
    間欠的に変調する請求項1〜4のいずれか一項に記載の
    医療装置。
  8. 【請求項8】プログラム可能なパルス状の電気出力信号
    のパラメータがパルス幅、出力電流、周波数、オン時間
    およびオフ時間を含む請求項1〜7のいずれか一項に記
    載の医療装置。
  9. 【請求項9】痴呆が皮質性痴呆、皮質下性痴呆または多
    梗塞性痴呆である請求項1〜8のいずれか一項に記載の
    医療装置。
  10. 【請求項10】患者の体内に移植された信号発生器が痴
    呆に関連する随意運動機能を制御する患者の能力を助け
    るように、患者の迷走神経の電気活性を選択的に変調す
    るようにプログラムされている請求項1〜9のいずれか
    一項に記載の医療装置。
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