JP3476191B2 - 部品実装順序最適化方法 - Google Patents

部品実装順序最適化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部品実装機によっ
て電子部品をプリント配線基板等の基板に実装するとき
の最適な順序を決定する方法等に関し、特に、複数の部
品を吸着して基板に装着する作業ヘッドを備える部品実
装機を対象とする部品実装順序の最適化に関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品をプリント配線基板等の基板に
実装する部品実装機では、より短いタクト(実装時間)
を実現するために、対象部品の実装順序について、最適
化が行われる。具体的には、実装順序の最適化の一つと
して、例えば、部品実装機が装備する部品カセット群に
おける各部品カセットの配列順序を最適化しておく必要
がある。そのための従来の技術として、例えば、特開平
05−104364号公報に開示された部品装着順序最
適化方法がある。この方法では、(1)部品カセット群
を、その部品に適用される装着スピ−ドによってグル−
プ分けし、同一グループ内の部品カセットを、2個ずつ
組み合わせたときの装着点数の和が均等化されるよう
に、同一基板に対する装着点数の多いものと少ないもの
を適宜組み合わせてペア群を構成し、(2)このカセッ
トグル−プを装着スピード順に配置し、かつ、同一グル
−プ内においては前記ペア毎に並べることによって、カ
セットの配列順序を決定し、(3)その後に、部品の装
着順序のみをパラメータとして最適化処理を行う。これ
によって、カセット配列順序と部品の装着順序という2
つのパラメータによる複雑な最適化が回避され、単一の
パラメータによる短時間での最適化が実現される、とい
うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の最適化方法は、作業ヘッドが部品カセットか
ら1個の部品だけを吸着して基板に装着することを前提
にしているために、複数(例えば、10個)の部品を吸
着して基板に装着していく高機能な作業ヘッド(マルチ
装着ヘッド)を備える部品実装機に適用することができ
ないという問題がある。特に、最近の携帯電話機やノー
トパソコン等の電子機器の急激な需要の増大に伴い、複
数の部品を吸着して基板に装着していく生産性の高いマ
ルチ装着ヘッドを備える部品実装機が開発されており、
そのような高機能な部品実装機に対応した新たな部品実
装順序の最適化方法が望まれている。そこで、本発明
は、生産性の高い部品実装機に対応した部品実装順序の
最適化、つまり、より高い生産性を可能にする部品実装
順序の最適化方法を提供することを目的とする。具体的
には、例えば、複数の部品を吸着して基板に装着するマ
ルチ装着ヘッドを備える部品実装機に対応した部品実装
順序の最適化方法等を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、部品を基板に実装する以上の部品実装
機からなる生産ラインを対象とし、コンピュータにより
部品の実装順序を最適化する方法であって、最適化の対
象となる複数の部品を、同一又は一定範囲の高さの部品
の集まりを1つの部品グループとする複数の部品グルー
プに分類する分類ステップと、上流の部品実装機から下
流の部品実装機に向けて、高さの小さい部品グループか
ら順に並ぶように部品グループ単位で振り分けるソート
ステップとを含むことを特徴とする。ここで、本発明
は、部品を基板に実装する2以上の部品実装機からなる
生産ラインを対象とし、コンピュータにより部品の実装
順序を最適化する方法であって、最適化の対象となる複
数の部品を、同一又は一定範囲の高さの部品の集まりを
1つの部品グループとする複数の部品グループに分類す
る分類ステップと、前記部品実装機それぞれが、当該部
品実装機の下流に位置する部品実装機により実装される
部品が属する部品グループと同一又は高さの小さい部品
グループに属する部品を実装するように、上流の部品実
装機から下流の部品実装機に向けて、高さの小さい部品
グループから順に並ぶように部品グループ単位で振り分
けるソートステップとを含むように構成することもでき
る。
【0005】また、本発明は、部品を収納した部品カセ
ットの並びから、最大n(≧2)個の部品を吸着し、基
板に実装していく装着ヘッドを有する2つの独立した第
1及び第2設備を備える部品実装機を対象とし、コンピ
ュータにより部品の実装順序を最適化する方法におい
て、前記第1及び第2設備による部品実装における処理
負荷が平準化されるように部品カセットを前記第1及び
第2設備のいずれかに振り分ける方法であって、最適化
の対象となる複数の部品を一定規則に従って前記第1及
び第2設備のいずれかに振り分けた後に、振り分けられ
た部品それぞれを対象として、装着ヘッドがn個の部品
を吸着する回数が多くなるように、関連する複数の部品
テープを山とする複数の山を特定する初期振り分けステ
ップと、割り当てられた全ての部品を実装するための処
理の大きさを示す負荷レベルが前記第1設備と前記第2
設備とで略等しくなるように、部品テープ又は山の単位
で、前記第1及び第2設備間での振り分けを変更する変
更ステップとを含むように構成してもよい。
【0006】また、本発明は、図21に示されるよう
に、最大n(ここでは、「4」)個の部品を同時に吸着
するマルチ装着ヘッドを備える部品実装機を対象とした
場合に、(i)まず、最適化の対象となる全ての部品
を、同一種類の部品の集まりを1つの部品テープとする
部品テープの単位で、部品数の多い順に並べることによ
り、部品ヒストグラムを生成し、(ii)次に、生成され
た部品ヒストグラムから、その一部である部分ヒストグ
ラムを取り出して、部品カセットの並びを横軸(Z
軸)、作業ヘッドによる吸着回数を縦軸とする2次元座
標に配置することにより、横軸方向の幅(部品数)がn
(「4」)となるダイヤグラムが生成されるように部品
テープを並べていくような部品実装順序最適化方法とし
てもよい。さらに、本発明は、上記最適化方法のステッ
プを機能手段として備える最適化装置として実現した
り、上記最適化方法のステップによって最適化された実
装順序で部品を実装する部品実装として実現したり、
複数の部品実装機の並びからなる生産ラインとして実現
したり、上記最適化方法のステップをコンピュータに実
行させるプログラム及びそのようなプログラムを格納し
たコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現する
こともできる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、以
下の目次に従って、図面を用いて詳細に説明する。な
お、ここで用いられる主な技術用語の意味は、本文中及
び「5 用語の説明」に記載されている。
【0008】1 部品実装システム 1.1 部品実装機の構成 1.2 部品実装機における制約 1.2.1 マルチ装着ヘッド 1.2.2 部品認識カメラ 1.2.3 部品供給部 1.2.4 部品カセット 1.2.5 その他の制約 1.3 最適化装置 1.3.1 最適化装置のハードウェア構成 1.3.2 最適化装置のソフトウェア構成 2 最適化装置の動作(概要編) 2.1 部品グループの作成 2.2 ラインバランス処理 2.3 小部品に対する最適化 2.4 タスクグループ生成法 2.5 刈り上げ法 2.6 ランダム選択法(「貪欲法」) 2.7 交差解消法 2.8 戻り最適化法 2.9 汎用部品に対する最適化 3 最適化装置の動作(詳細編) 3.1 「刈り上げ法」 3.1.1 「タスクグループ生成法」の概要 3.1.2 「タスクグループ生成法」の課題 3.1.3 「刈り上げ法」 3.1.4 「刈り上げ法」による小部品の最適化 3.1.5 関連する個別処理 3.2 「交差解消法」 3.2.1 「貪欲法」の概要 3.2.2 「貪欲法」の課題 3.2.3 「交差解消法」 3.2.4 関連する個別処理 3.3 「戻り最適化法」 3.3.1 部品実装動作の検討 3.3.2 「戻り」行程の最適化の必要性 3.3.3 「戻り最適化法」 3.3.4 関連する個別処理 3.4 配列固定処理 3.4.1 概要 3.4.2 関連する個別処理 3.5 LLサイズ基板への対応 3.5.1 概要 3.5.2 Z軸上の部品テープの入れ替え 3.5.3 吸着方法の変更 3.5.4 関連する個別処理 3.6 XLサイズ基板への対応 3.6.1 概要 3.6.2 関連する個別処理 3.7 負荷バランス処理 3.7.1 概要 3.7.2 バランス調整方法のレベル 3.7.3 関連する個別処理 3.8 ラインバランス処理 3.8.1 概要 3.8.2 バランス調整方法のレベル 3.8.3 関連する個別処理 3.9. 最適化装置による個別処理の詳細 3.9.1 「刈り上げ法」 3.9.2 平行四辺形によるカセット分割 3.9.3 長方形によるカセット分割 3.9.4 与えられたカセット本数でのコア処理方法 3.9.5 小部品のタスク生成処理 3.9.6 「交差解消法」 3.9.7 「戻り最適化法」 3.9.8 全体の流れ(ヒストグラムからスタート) 3.9.9 カセットブロック内の固定部品と「山」の配
置関係 3.9.10 配列固定:固定先の使用可否判断 3.9.11 ダブルカセットの配列固定について 3.9.12 LL制約:吸着方法の変更(1) 3.9.13 LL制約:吸着方法の変更(2) 3.9.14 LL制約:Z軸上の部品テープの入れ替え
(1) 3.9.15 LL制約:Z軸上の部品テープの入れ替え
(2) 3.9.16 XLサイズ基板への対応(XL制約) 3.9.17 負荷レベルバランス調整処理(「山」単
位) 3.9.18 負荷レベルバランス調整処理(部品テー
プ単位) 3.9.19 前サブ設備から後サブ設備へ山を移動す
る処理 3.9.20 前サブ設備から後サブ設備へ部品テープ
を移動する処理 3.9.21 前サブ設備から後サブ設備へ実装点を移
動する処理 3.9.22 ラインバランス処理でのスワップ処理 3.9.23 ダブルカセットの「刈り上げ法」 3.9.24 ノズル交換のアルゴリズム 3.10 画面表示例 3.10.1 メイン画面 3.10.2 開く画面 3.10.3 最適化詳細情報画面 3.10.4 カセット個数設定画面 3.10.5 部品分割数設定画面 3.10.6 ノズル本数設定画面 3.10.7 ノズルステーション選択画面 3.10.8 オプション設定画面 3.10.9 Z軸情報画面 3.10.10 ノズルステーション情報画面 4 最適化装置の動作(応用編) 4.1 小部品の最適化 4.1.1 部品分割しないZ配列の最適化 4.1.2 左右ブロックへの振り分け処理における最
適化 4.1.3 ダブルカセットの使用本数の見積もり 4.1.4 ダブルカセットのペア固定 4.1.5 NGヘッドを考慮した最適化アルゴリズム 4.2 複数NCデータの同時最適化 4.3 汎用部品の最適化(ルールベースの導入) 4.3.1 横取り法 4.3.2 タスク分割 4.3.3 タスク融合 4.3.4 タスク入替 4.4 ノズル制約を考慮した最適化 4.4.1 ノズルステーション上のノズル配置を固定
した場合への対応 4.4.2 使用ノズルが10本未満の場合の小部品の
最適化 5 用語の説明
【0009】以上の目次に示された各項目の説明は以下
の通りである。 1 部品実装システム 図1は、本発明に係る部品実装システム10全体の構成
を示す外観図である。この部品実装システム10は、上
流から下流に向けて回路基板20を送りながら電子部品
を実装していく生産ラインを構成する複数の部品実装機
100、200と、生産の開始等にあたり、各種データ
ベースに基づいて必要な電子部品の実装順序を最適化
し、得られたNCデータを部品実装機100、200に
ダウンロードして設定・制御する最適化装置300とか
らなる。部品実装機100は、同時かつ独立して、又
は、お互いが協調して(又は、交互動作にて)部品実装
を行う2つのサブ設備(前サブ設備110及び後サブ設
備120)を備える。各サブ設備110(120)は、
直交ロボット型装着ステージであり、部品テープを収納
する最大48個の部品カセット114の配列からなる2
つの部品供給部115a及びbと、それら部品カセット
114から最大10個の部品を吸着し基板20に装着す
ることができる10個の吸着ノズル(以下、単に「ノズ
ル」ともいう。)を有するマルチ装着ヘッド112(1
0ノズルヘッド)と、そのマルチ装着ヘッド112を移
動させるXYロボット113と、マルチ装着ヘッド11
2に吸着された部品の吸着状態を2次元又は3次元的に
検査するための部品認識カメラ116と、トレイ部品を
供給するトレイ供給部117等を備える。なお、「部品
テープ」とは、現実は、同一部品種の複数の部品がテー
プ(キャリアテープ)上に並べられたものであり、リー
ル(供給リール)等に巻かれた状態で供給される。主
に、チップ部品と呼ばれる比較的小さいサイズの部品を
部品実装機に供給するのに使用される。ただし、最適化
処理においては、「部品テープ」とは、同一の部品種に
属する部品の集合(それら複数個の部品が仮想的なテー
プ上に並べられたもの)を特定するデータであり、「部
品分割」と呼ばれる処理によって、1つの部品種に属す
る部品群(1本の部品テープ)が複数本の部品テープに
分割される場合がある。また、部品テープによって供給
される部品をテーピング部品と呼ぶ。この部品実装機1
00は、具体的には、高速装着機と呼ばれる部品実装機
と多機能装着機と呼ばれる部品実装機それぞれの機能を
併せもつ実装機である。高速装着機とは、主として□1
0mm以下の電子部品を1点あたり0.1秒程度のスピ
ードで装着する高い生産性を特徴とする設備であり、多
機能装着機とは、□10mm以上の大型電子部品やスイ
ッチ・コネクタ等の異形部品、QFP・BGA等のIC
部品を装着する設備である。つまり、この部品実装機1
00は、ほぼ全ての種類の電子部品(装着対象となる部
品として、0.6mm×0.3mmのチップ抵抗から2
00mmのコネクタまで)を装着できるように設計され
ており、この部品実装機100を必要台数だけ並べるこ
とで、生産ラインを構成することができる。
【0010】1.1 部品実装機の構成 図2は、本発明に係る部品実装順序最適化の対象となる
部品実装機100の主要な構成を示す平面図である。シ
ャトルコンベヤ118は、トレイ供給部117から取り
出された部品を載せて、マルチ装着ヘッド112による
吸着可能な所定位置まで運搬するための移動テーブル
(回収コンベア)である。ノズルステーション119
は、各種形状の部品種に対応するための交換用ノズルが
置かれるテーブルである。各サブ設備110(又は12
0)を構成する2つの部品供給部115a及びbは、そ
れぞれ、部品認識カメラ116を挟んで左右に配置され
ている。したがって、部品供給部115a又は115b
において部品を吸着したマルチ装着ヘッド112は、部
品認識カメラ116を通過した後に、基板20の実装点
に移動し、吸着した全ての部品を順次装着していく動作
を繰り返す。ここで、マルチ装着ヘッド112による部
品の吸着・移動・装着という一連の動作の繰り返しにお
ける1回分の動作(吸着・移動・装着)、又は、そのよ
うな1回分の動作によって実装される部品群)を「タス
ク」と呼ぶ。例えば、10ノズルヘッド112によれ
ば、1個のタスクによって実装される部品の最大数は1
0となる。なお、ここでいう「吸着」には、ヘッドが部
品を吸着し始めてから移動するまでの全ての吸着動作が
含まれ、例えば、1回の吸着動作(マルチ装着ヘッド1
12の上下動作)で10個の部品を吸着する場合だけで
なく、複数回の吸着動作によって10個の部品を吸着す
る場合も含まれる。図3は、マルチ装着ヘッド112と
部品カセット114の位置関係を示す模式図である。こ
のマルチ装着ヘッド112は、「ギャングピックアップ
方式」と呼ばれる作業ヘッドであり、最大10個の吸着
ノズル112a〜112bを装着することが可能であ
り、このときには、最大10個の部品カセット114そ
れぞれから部品を同時に(1回の上下動作で)吸着する
ことができる。なお、「シングルカセット」と呼ばれる
部品カセット114には1つの部品テープだけが装填さ
れ、「ダブルカセット」と呼ばれる部品カセット114
には2つの部品テープ(ただし、送りピッチ(2mm又
は4mm)が同一の部品テープに限られる)が装填され
る。また、部品供給部115a及びbにおける部品カセ
ット114(又は、部品テープ)の位置を「Z軸上の
値」又は「Z軸上の位置」と呼び、部品供給部115a
の最左端を「1」とする連続番号等が用いられる。した
がって、テーピング部品についての実装順序を決定する
ことは、部品種(又は、部品テープ、又は、その部品テ
ープを収納した部品カセット114)の並び(Z軸上の
位置)を決定することに等しい。
【0011】図4(a)は、サブ設備110及び120
それぞれの部品供給部115a、b及び215a、bの
具体的な構成例を示し、図4(b)は、その構成におけ
る各種部品カセット114の搭載本数及びZ軸上の位置
を示す表である。図4(a)に示されるように、各部品
供給部115a、115b、215a、215bは、そ
れぞれ、最大48個の部品テープを搭載することができ
る(それぞれの位置は、Z1〜Z48、Z49〜Z9
6、Z97〜Z144、Z145〜Z192)。具体的
には、図4(b)に示されるように、テープ幅が8mm
の部品テープを2つ収納したダブルカセットを用いるこ
とで、各部品供給部(Aブロック〜Dブロック)に最大
48種類の部品を搭載することができる。テープ幅の大
きい部品(部品カセット)ほど、1つのブロックに搭載
できるカセット本数は減少する。なお、各サブ設備に向
かって左側の部品供給部115a、215a(Aブロッ
ク、Cブロック)を「左ブロック」、各サブ設備に向か
って右側の部品供給部115b、215b(Bブロッ
ク、Dブロック)を「右ブロック」とも呼ぶ。図5
(a)及び(b)は、10ノズルヘッドが吸着可能な部
品供給部の位置(Z軸)の例を示す図及び表である。な
お、図中のH1〜10は、10ノズルヘッドに搭載され
たノズル(の位置)を指す。ここでは、10ノズルヘッ
ドの各ノズルの間隔は、1つのダブルカセットの幅(2
1.5mm)に相当するので、1回の上下動により吸着
される部品のZ番号は、1つおき(奇数のみ又は偶数の
み)となる。また、10ノズルヘッドのZ軸方向におけ
る移動制約により、図5(b)に示されるように、各部
品供給部の一端を構成する部品(Z軸)に対しては、吸
着することができないノズル(図中の「−」)が存在す
る。
【0012】次に、図6〜図8を用いて、部品カセット
114の詳細な構造を説明する。図6(a)、(b)、
(c)、(d)に示すような各種チップ形電子部品42
3a〜423dを図7に示すキャリアテープ424に一
定間隔で複数個連続的に形成された収納凹部424aに
収納し、この上面にカバーテープ425を貼付けて包装
し、供給用リール426に所定の数量分を巻回したテー
ピング形態(部品テープ)でユーザに供給されている。
このようなテーピング電子部品423dは図8に示すよ
うな部品カセット114に装着されて使用されるもので
あり、図8において供給用リール426は本体フレーム
427に結合されたリール側板428に回転自在に取り
付けられている。この供給用リール426より引き出さ
れたキャリアテープ424は送りローラ429に案内さ
れ、この電子部品供給装置が搭載された電子部品自動装
着装置(図示せず)の動作に連動し、同装置に設けられ
たフィードレバー(同じく図示せず)により電子部品供
給装置の送りレバー430が図中の矢印Y1方向に移動
し、送りレバー430に取り付けられているリンク43
1を介してラチェット432を定角度回転させる。そし
てラチェット432に連動した前記送りローラ429を
定ピッチ(たとえば、2mm又は4mmの送りピッチ)
だけ動かす。また、キャリアテープ424は送りローラ
429の手前(供給用リール426側)のカバーテープ
剥離部433でカバーテープ425を引き剥がし、引き
剥がしたカバーテープ425はカバーテープ巻取りリー
ル434に巻取られ、カバーテープ425を引き剥がさ
れたキャリアテープ424は電子部品取り出し部435
に搬送され、前記送りローラ429がキャリアテープ4
24を搬送するのと同時に前記ラチェット432に連動
して開口する電子部品取り出し部435より真空吸着ヘ
ッド(図示せず)により収納凹部424aに収納された
チップ形電子部品423dを吸着して取り出す。その
後、送りレバー430は上記フィードレバーによる押し
力を解除されて引張りバネ436の付勢力でもって同Y
2方向に、すなわち元の位置にもどる。上記一連の動作
が繰り返されると使用済のキャリアテープ424は電子
部品供給装置の外部へ排出され、上記電子部品自動供給
装置の動作と連動しているカッター(図示せず)で細か
く切断して廃棄されるように構成されている。なお、部
品カセット114は、2つのキャリアテープ424を収
納するダブルカセットのタイプである場合には、収納し
ている2つのキャリアテープ424を同一の送りピッチ
でのみ供給していくことができるものとする。
【0013】この部品実装機100の動作上の特徴をま
とめると、以下の通りである。 (1)ノズル交換 次の装着動作に必要なノズルがマルチ装着ヘッド112
にないとき、マルチ装着ヘッド112は、ノズルステー
ション119へ移動し、ノズル交換を実施する。ノズル
の種類としては、吸着できる部品のサイズに応じて、例
えば、タイプS、M、L等がある。 (2)部品吸着 マルチ装着ヘッド112が部品供給部115a及びbに
移動し、電子部品を吸着する。一度に10個の部品を同
時に吸着できないときは、吸着位置を移動させながら複
数回、吸着上下動作を行うことで、最大10個の部品を
吸着することができる。 (3)認識スキャン マルチ装着ヘッド112が部品認識カメラ116上を一
定速度で移動し、マルチ装着ヘッド112に吸着された
全ての電子部品の画像を取り込み、部品の吸着位置を正
確に検出する。 (4)部品装着 基板20に、順次電子部品を装着する。上記(1)から
(4)の動作を繰り返し行うことで、全ての電子部品を
基板20に搭載する。上記(2)から(4)の動作は、
この部品実装機100による部品の実装における基本動
作であり、「タスク」に相当する。つまり、1つのタス
クで、最大10個の電子部品を基板に装着することがで
きる。
【0014】1.2 部品実装機における制約 部品の実装順序を最適化する目的は、部品実装機100
による単位時間当たりの基板の生産枚数を最大化するこ
とである。したがって、好ましい最適化方法(最適化ア
ルゴリズム)とは、この部品実装機100が有する上述
の機能上及び動作上の特徴から分かるように、基板上に
効率よく装着できる10個の電子部品を選び、それらを
同時に部品供給部から吸着し、最短経路で順次装着する
ようなアルゴリズムである。このような最適化アルゴリ
ズムで決定された部品実装順序は、理想的には、1本の
ノズルだけによる部品実装の場合と比較し、約10倍の
生産性を向上することができる。ところが、いかなる部
品実装機であっても、機構上、コスト上、運用上などの
面から、部品の実装順序の決定に対する制約要因を持っ
ている。したがって、現実的には、部品の実装順序の最
適化とは、様々な制約を遵守したうえで、単位時間当た
りの基板の生産枚数を可能な限り最大化することであ
る。以下、この部品実装機100における主な制約を列
挙する。なお、制約の詳細については、個々の最適化ア
ルゴリズムを説明している箇所においても説明してい
る。
【0015】1.2.1 マルチ装着ヘッド マルチ装着ヘッド112は、独立して吸着・装着動作を
する10個の装着ヘッドが一列に並べられたものであ
り、最大10本の吸着ノズルが着脱可能であり、それら
一連の吸着ノズルによって、1回の吸着上下動作で最大
10個の部品を同時に吸着することができる。なお、マ
ルチ装着ヘッドを構成している個々の作業ヘッド(1個
の部品を吸着する作業ヘッド)」を指す場合には、単に
「装着ヘッド(又は、「ヘッド」)」と呼ぶ。マルチ装
着ヘッド112を構成する10本の装着ヘッドが直線状
に並ぶという構造上、部品吸着時と部品装着時のマルチ
装着ヘッド112の可動範囲に関して制約がある。具体
的には、図5(b)に示されるように、部品供給部の両
端(左ブロック115aの左端付近及び右ブロック11
5bの右端付近))で電子部品を吸着するときには、ア
クセスできる装着ヘッドが制限される。また、電子部品
を基板に装着する時にも、マルチ装着ヘッド112の可
動範囲は制限を受ける。後述する「LLサイズ基板」や
「XLサイズ基板」と呼ばれる通常よりも縦又は横方向
に大きいサイズの基板に対して、部品を実装する場合に
生じる制約である。
【0016】1.2.2 部品認識カメラ この部品実装機100には、部品認識カメラ116とし
て、2次元画像を撮像する2Dカメラと、高さ情報も検
出できる3Dカメラが搭載されている。2Dカメラに
は、撮像できる視野の大きさによって、2DSカメラと
2DLカメラがある。2DSカメラは視野は小さいが高
速撮像が可能で、2DSカメラは最大60×220mm
までの大きな視野を特徴としている。3Dカメラは、I
C部品の全てのリードが曲がっていないかどうかを3次
元的に検査するために用いられる。電子部品を撮像する
際の認識スキャン速度は、カメラによって異なる。2D
Sカメラを使用する部品と3Dカメラを使用する部品が
同じタスクに存在する場合には、認識スキャンはそれぞ
れの速度で2度実施する必要がある。
【0017】1.2.3 部品供給部 電子部品のパッケージの状態には、電子部品をテープ状
に収納するテーピングと呼ばれる方式と、部品の大きさ
に合わせて間仕切りをつけたプレートに収納するトレイ
と呼ばれる方式がある。テーピングによる部品の供給
は、部品供給部115a及びbにより行われ、トレイに
よる供給は、トレイ供給部117により行われる。電子
部品のテーピングは規格化されており、部品の大きさに
応じて、8mm幅から72mmまでのテーピング規格が
存在する。このようなテープ状の部品(部品テープ)を
テープ幅に応じた部品カセット(テープ・フィーダ・ユ
ニット)にセットすることで、電子部品を安定した状態
で連続的に取り出すことが可能となる。部品カセットを
セットする部品供給部は、12mm幅までの部品テープ
を21.5mmピッチで隙間なく搭載できるように設計
されている。テープ幅が16mm以上になると、テープ
幅に応じて必要分だけ隙間をあけてセットすることにな
る。複数の電子部品を同時に(1回の上下動作で)吸着
するためには、装着ヘッドと部品カセットそれぞれの並
びにおけるピッチが一致すればよい。テープ幅が12m
mまでの部品に対しては、10点同時吸着が可能であ
る。なお、部品供給部を構成する2つの部品供給部(左
ブロック115a、右ブロック115b)それぞれに
は、12mm幅までの部品テープを最大48個搭載する
ことができる。
【0018】1.2.4 部品カセット 部品カセットには、1つの部品テープだけを収納するシ
ングルカセットと、最大2つの部品テープを収納するこ
とができるダブルカセットとがある。ダブルカセットに
収納する2つの部品テープは、送りピッチ(2mm又は
4mm)が同一の部品テープに限られる。
【0019】1.2.5 その他の制約 部品実装機100における制約には、以上のような部品
実装機100の構造から生じる制約だけでなく、部品実
装機100が使用される生産現場における事情から生じ
る以下のような運用面での制約もある。 (1)配列固定 例えば、人手による部品テープの交換作業を削減するた
めに、特定の部品テープ(又は、それを収納した部品カ
セット)については、セットする部品供給部での位置
(Z軸上の位置)が固定される場合がある。 (2)リソース上の制約 同一部品種について準備できる部品テープの本数、部品
テープを収納する部品カセットの数、ダブルカセットの
数、吸着ノズルの数(タイプごとの数)等が、一定数に
制限される場合がある。
【0020】1.3 最適化装置 最適化装置300は、生産の対象(基板及びその上に実
装すべき部品)と生産の道具(限られたリソースを備え
た部品実装機、サブ設備)が与えられた場合に、可能な
限り短い時間で基板を製造する(単位時間あたりに製造
できる基板の枚数を多くする)ための部品実装順序を決
定する装置である。具体的には、基板あたりの実装時間
を最小化するためには、どの部品実装機(サブ設備)の
どの位置(Z軸)にいかなる部品テープを収めた部品カ
セットを配置しておき、各部品実装機(サブ設備)のマ
ルチ装着ヘッドがいかなる順序で部品カセットから可能
な限り多くの部品を同時に吸着し、吸着した複数の部品
を基板上のどの位置(実装点)にどのような順序で装着
すればよいかをコンピュータ上で決定する(最適解を探
索する)装置である。このときに、対象の部品実装機
(サブ設備)が有する上述の制約を厳守することが要求
される。
【0021】1.3.1 最適化装置のハードウェア構
成 最適化装置300は、本発明に係る最適化プログラムを
パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータシステ
ムが実行することによって実現され、現実の部品実装機
100と接続されていない状態で、スタンドアロンのシ
ミュレータ(部品実装順序の最適化ツール)としても機
能する。図9は、図1に示された最適化装置300のハ
ードウェア構成を示すブロック図である。この最適化装
置300は、生産ラインを構成する各設備の仕様等に基
づく各種制約の下で、対象となる基板の部品実装におけ
るラインタクト(ラインを構成するサブ設備ごとのタク
トのうち、最大のタクト)を最小化するように、部品実
装用CAD装置等から与えられた全ての部品を対象とし
て、各サブ設備で実装すべき部品及び各サブ設備におけ
る部品の実装順序を決定し、最適なNCデータを生成す
るコンピュータ装置であり、演算制御部301、表示部
302、入力部303、メモリ部304、最適化プログ
ラム格納部305、通信I/F(インターフェース)部
306及びデータベース部307等から構成される。な
お、「タクト」とは、対象の部品を実装するのに要する
総時間である。
【0022】演算制御部301は、CPUや数値プロセ
ッサ等であり、ユーザからの指示等に従って、最適化プ
ログラム格納部305からメモリ部304に必要なプロ
グラムをロードして実行し、その実行結果に従って、各
構成要素302〜307を制御する。表示部302はC
RTやLCD等であり、入力部303はキーボードやマ
ウス等であり、これらは、演算制御部301による制御
の下で、本最適化装置300と操作者とが対話する等の
ために用いられる。具体的なユーザインターフェース
は、後述の画面表示例で説明している通りである。通信
I/F部306は、LANアダプタ等であり、本最適化
装置300と部品実装機100、200との通信等に用
いられる。メモリ部304は、演算制御部301による
作業領域を提供するRAM等である。最適化プログラム
格納部305は、本最適化装置300の機能を実現する
各種最適化プログラムを記憶しているハードディスク等
である。データベース部307は、この最適化装置30
0による最適化処理に用いられる入力データ(実装点デ
ータ307a、部品ライブラリ307b及び実装装置情
報307c)や最適化によって生成された実装点データ
等を記憶するハードディスク等である。
【0023】図10〜図12は、それぞれ、実装点デー
タ307a、部品ライブラリ307b及び実装装置情報
307cの例を示す。実装点データ307aは、実装の
対象となる全ての部品の実装点を示す情報の集まりであ
る。図10に示されるように、1つの実装点piは、部
品種ci、X座標xi、Y座標yi、制御データφiからな
る。ここで、「部品種」は、図11に示される部品ライ
ブラリ307bにおける部品名に相当し、「X座標」及
び「Y座標」は、実装点の座標(基板上の特定位置を示
す座標)であり、「制御データ」は、その部品の実装に
関する制約情報(使用可能な吸着ノズルのタイプ、マル
チ装着ヘッド112の最高移動速度等)である。なお、
最終的に求めるべきNCデータとは、ラインタクトが最
小となるような実装点の並びである。部品ライブラリ3
07bは、部品実装機100、200が扱うことができ
る全ての部品種それぞれについての固有の情報を集めた
ライブラリであり、図11に示されるように、部品種ご
との部品サイズ、タクト(一定条件下における部品種に
固有のタクト)、その他の制約情報(使用可能な吸着ノ
ズルのタイプ、部品認識カメラ116による認識方式、
マルチ装着ヘッド112の最高速度比等)からなる。な
お、本図には、参考として、各部品種の部品の外観も併
せて示されている。実装装置情報307cは、生産ライ
ンを構成する全てのサブ設備ごとの装置構成や上述の制
約等を示す情報であり、図12に示されるように、マル
チ装着ヘッドのタイプ等に関するヘッド情報、マルチ装
着ヘッドに装着され得る吸着ノズルのタイプ等に関する
ノズル情報、部品カセット114の最大数等に関するカ
セット情報、トレイ供給部117が収納しているトレイ
の段数等に関するトレイ情報等からなる。これらの情報
は、以下のように呼ばれるデータである。つまり、設備
オプションデータ(サブ設備毎)、リソースデータ(設
備毎で利用可能なカセット本数とノズル本数)、ノズル
ステーション配置データ(ノズルステーション付きのサ
ブ設備毎)、初期ノズルパターンデータ(サブ設備
毎)、Z軸配置データ(サブ設備毎)等である。また、
リソースに関して、SX,SA,S等の各タイプのノズ
ル本数は10本以上とする。
【0024】1.3.2 最適化装置のソフトウェア構
成 最適化プログラム格納部305に格納された最適化プロ
グラムの特徴の1つは、電子部品を「小部品」と「汎用
部品」に大別し、それぞれに異なった最適化アルゴリズ
ムを適用した点である。基板に搭載する電子部品の数
は、例えば、多い場合で1000点程度になるが、その
90パーセントは部品サイズが□3.3mm以下のチッ
プ部品である(以下、このような小さいサイズの部品を
「小部品」と呼ぶ。)。小部品は抵抗やコンデンサ等の
部品で、部品サイズもいくつかのパターンに限定でき
る。テーピングは、すべて8mm幅で、10点同時吸着
可能な部品である。小部品の満たすべき条件は、例え
ば、以下の通りである。 ・部品サイズが□3.3mm以下である。 ・部品高さが4.0mm以下である。 ・部品認識カメラが2DSである。 ・部品テープ幅が8mmである。 一方、残りの10%の部品は、コネクタやIC等の異形
部品である(以下、小部品の条件を満たさない大きいサ
イズの部品を「汎用部品」と呼ぶ。)。部品によって
は、トレイで供給されたり、特殊なノズルが必要であっ
たりするために、最適化時に考慮すべきパラメータが多
い。そこで、小部品に対しては、10点同時吸着タスク
が最大限に生成でき、高速に最適化処理が実行できるア
ルゴリズムを目標としている。一方、汎用部品に対して
は、タスク単位での装着時間を評価関数として、状態
(とり得る実装順序の1つ)を変化させながら最適な実
装順序を導き出す、柔軟性に富んだアルゴリズムで最適
化レベルを高めることを目標としている。
【0025】図13は、図9に示された最適化プログラ
ム格納部305に格納されている最適化プログラムの機
能ブロック図である。最適化プログラムは、大きく分け
て、部品グループ生成部314、ラインバランス最適化
部315及び状態最適化部316から構成される。な
お、図示されていないが、最適化プログラムには、ユー
ザと対話するためのGUI(グラフィカル・ユーザ・イ
ンターフェース)の機能も含まれている。部品グループ
生成部314は、データベース部307に格納された実
装点データ307aによって特定される全ての実装部品
を、部品厚みの点から、例えば、9つの部品グループに
分類する。具体的には、実装点データ307aが示す全
ての部品種を参照することで、同一部品種ごとの部品数
を示す部品表を作成し、部品ライブラリ307bにおけ
る部品サイズを参照することで、全ての部品種それぞれ
を複数の部品グループのいずれかに対応づける。そし
て、その分類結果(各部品グループに属する部品種及び
部品数等)をラインバランス最適化部315に通知す
る。ラインバランス最適化部315は、部品グループ生
成部314から通知された部品グループの情報に基づい
て、部品厚みの薄い部品グループから順に実装すること
を遵守しつつ、ラインタクトが最小となるように、ライ
ンバランスを最適化(サブ設備ごとのタクトを平準化)
する。そのために、状態最適化部316と連携しながら
動作する3つの機能モジュール(第1LBM部315
a、第2LBM部315b及び第3LBM部315c)
を有する。なお、部品厚みの薄い部品グループを優先し
て実装することとしているのは、基板に部品を装着する
際のマルチ装着ヘッド112の移動を円滑にさせ、実装
の品質を高めるためである。
【0026】第1LBM部315aは、部品グループ生
成部314から通知された複数の部品グループをタスク
グループの単位で各サブ設備でのタクトがほぼ等しくな
るようにラフに振り分ける。つまり、粗い調整によるラ
インバランスの最適化を行う。ここで、「タスクグルー
プ」とは、タスクの集まりをいい、最適化のために部品
の実装順序を入れ替えることが可能な部品群の範囲と一
致する。第2LBM部315bは、第1LBM部315
aによってラフに振り分けられた各サブ設備ごとのタス
クグループをサブ設備間で移動させることによりライン
タクトを最小化する。つまり、細かい調整によるライン
バランスの最適化を行う。第3LBM部315cは、第
2LBM部315bにより最適化された状態(タスクグ
ループの振り分け)に対して、部品種(部品テープ)を
単位として、第2LBM部315bと同様の手順でライ
ンバランスの最適化を行う。状態最適化部316は、部
品グループ生成部314で生成された複数の部品グルー
プそれぞれについて、各部品グループを構成するタスク
グループを決定したり、決定したタスクグループごとの
最適状態(各部品テープのZ軸上の値、各部品テープに
おける部品(実装点)の実装順序)を決定するものであ
り、小部品(例えば、9個の部品グループのうちの5つ
に属する部品)を対象として最適化を行う小部品最適化
部316aと、汎用部品(例えば、9個の部品グループ
のうちの残る4つに属する部品)を対象として最適化を
行う汎用部品最適化部316bと、それら小部品最適化
部316aおよび汎用部品最適化部316bにおける最
適化に共通する計算処理を実行する最適化エンジン部3
16cとから構成される。なお、「状態」とは、対象と
なっている部品又は部品種(部品テープ)がとり得る個
々の実装順序をいう。
【0027】なお、小部品最適化部316aは、簡易で
高速処理に向いたアルゴリズムを用いてタスクグループ
を決定したり状態の最適化を行い、一方、汎用部品最適
化部316bは、緻密でインテリジェントなアルゴリズ
ムを用いて状態の最適化を行う。これは、一般に、携帯
電話機等の基板に実装される小部品の総数は、上述した
ように、汎用部品に比べて極めて多い(例えば、9:1
の比率)ことが分かっているので、それぞれに対応した
アルゴリズムを用いて最適化を行うことで、トータルと
して、より短時間で、より最適な解を求めるためであ
る。最適化エンジン部316cは、小部品最適化部31
6a及び汎用部品最適化部316bから与えられたパラ
メータに基づいて、ヒューリスティックであるが確定的
なアルゴリズム(山登り法)に基づく最適化計算と、確
率的ではあるがグローバルに最適解を探索するアルゴリ
ズム(マルチカノニカル法)に基づく最適化計算を実行
する。図14は、図9に示された最適化プログラム格納
部305に格納されている最適化プログラムが演算制御
部301によって実行されたときの概略フロー図であ
る。つまり、本図は、図13に示された各機能ブロック
による代表的な処理の流れであり、最適化装置300に
よる主な処理に対応するフローチャートに相当する。こ
こでは、基本的に、上方のステップ(矩形の枠内の処
理)から下方に向けて順に実行される。ネスティング表
示された箇所は、親のステップが、ネストして配置され
た子供のステップ(又は、その繰り返し)によって実現
されることを示している。
【0028】本図に示されるように、最適化処理全体S
310は、以下の6つの大きなステップS311〜S3
16からなる。 (1)実装点データの読込み(S311) 最初に、データベース部307から全ての実装点データ
307aをメモリ部304等へ読み込む。必要に応じ
て、関連するデータ(部品ライブラリ307b、実装装
置情報307c)も読み込んでおく。 (2)部品リストの作成(S312) 各実装点データ307aには、装着する部品の情報(部
品ライブラリ307b)がリンクされているので、全て
の実装点データ307aを読み込めば、どのような部品
を何点装着するかを記した部品リストを作成することが
できる。 (3)部品グループの生成(S313) 次に、部品リストから部品グループを生成する。「部品
グループ」とは、部品リストを部品の大きさによってグ
ループ化したもので、大きくは小部品と汎用部品の分類
である。小部品は、例えば、大きさによって、さらに以
下のような3つの部品グループに細分化される。 G1:0.6mm×0.3mmサイズの部品 G2:1.0mm×0.5mmサイズの部品 G3:1.6mm×0.8mmサイズ以上の部品 (4)前後サブ設備への初期振り分け(S314) 電子部品ごとに標準装着時間を決定しておき、各設備に
振り分けられた部品に対する標準装着時間の累算値がほ
ぼ同じになるように、前後サブ設備110、120に部
品種(部品テープ)を振り分ける。なお、前後サブ設備
110、120に部品を振り分けた後、部品グループ等
を単位として、さらに、左右ブロックのいずれかに部品
テープを振り分ける。
【0029】(5)ラインバランス処理(S315) 小部品の最適化処理と汎用部品の最適化処理を、順次実
行する(S320、S321)。そして、配列固定を考
慮したうえで、部品テープを部品供給部115a及びb
に配置する(S322)。続いて、装着時間を前後サブ
設備110、120ごとに計算し、その結果、前後のバ
ランスが悪ければ、前後サブ設備110、120間で部
品を移動させ(S323)、再び、小部品と汎用部品の
最適化処理を実施する。また、実装点(基板上の部品の
装着位置)を考慮した最適化、つまり、後述する交差解
消法による最適化(S324)や、戻り最適化法による
最適化(S325)を施す。なお、図14のフローチャ
ートには、小部品に対する最適化については(S32
0)、複数の手法の中から選択された代表的なもの
(「刈り上げ法」)が採用された場合の処理手順が示さ
れている。 (6)最適化結果の出力(S316) 上記全ての処理を終えると以下のデータを出力する。 ・電子部品の実装順序とタスク構成 ・部品供給部115a及びbのレイアウト(部品テープ
の並び) ・フィーダ、ノズル等のリソース利用状況 ・前後サブ設備110、120ごとの実装予測時間 これらのステップと図13に示された各機能ブロックと
の対応は、次の通りである。つまり、ステップS311
〜S313、主に部品グループ生成部314による処理
であり、ステップS314は、主にラインバランス最適
化部315の第1LBM部315a及び第2LBM部3
15bによる処理であり、ステップS315は、主にラ
インバランス最適化部315の第3LBM部315c及
び状態最適化部316による処理であり、ステップS3
16は、主にラインバランス最適化部315及び図示さ
れていないユーザ・インターフェース部による処理であ
る。これらステップの詳細は、後述の「最適化装置の動
作(概要編)」、「最適化装置の動作(詳細編)」及び
「最適化装置の動作(応用編)」で説明している通りで
ある。なお、図中の「HC法」は、山登り法を意味し、
ヒューリスティックであるが確定的に最適解を求めるア
ルゴリズムであり、「MC法」は、マルチカノニカル法
を意味し、確率的ではあるがグローバルに最適解を探索
するアルゴリズムである。
【0030】より詳しくは、部品実装順序の最適化と
は、有限個数のとり得る実装順序の中から、一定条件
(上述の制約等)を満たし、かつ、実装時間が最短とな
る実装順序を探し出す処理であり、数学的には、最適化
問題において一定条件下で解(最適解)を求める処理に
相当する。「山登り法(HC法)」は、局所的探索法と
呼ばれる解法の1つであり、まずとにかく条件を満たす
解を1つ選び、以降、その解に、一定順序に従った変形
(ここでは、実装順序の変更)を加え、条件を満たしな
がら結果(ここでは、実装時間)が改善されるならばそ
れに移ることを繰り返し、変形を加えても結果が改善さ
れなくなったら終わりにする手法である。また、「マル
チカノニカル法(MC法)」は、大局的探索法と呼ばれ
る解法の1つであり、まず条件を満たす解を1つ選び、
そして、その解に、偏りのない様々な変形を加え、条件
を満たしながら結果が改善される(エントロピーが低く
なる)確率を変形の種類ごとに評価し、それらの変形の
中から最も高い確率で結果を改善するものを採用すると
いう処理を繰り返し、変形を加えても結果が改善されな
くなったら終わりにする手法である。なお、これら「山
登り法」及び「マルチカノニカル法」は、いずれも、直
前の解に対して貪欲的に変形を加えることを試み、結果
が改善され、かつ、一定条件を満たすならばその解を採
用するという点で共通し、「貪欲法」と呼ばれるアプロ
ーチの1つに属する。また、最適化装置300は、専用
のプログラムに基づくコンピュータ上での情報処理によ
って部品の実装順序を最適化する装置であるので、この
明細書においては、最適化装置が物(部品、タスク、タ
スクグループ、部品カセット、部品テープ等)を「移動
する」とは、「メモリやハードディスク等の記憶装置に
保持されているデータ(部品の実装順序を特定するデー
タ等)を書き換える」ことを意味する。
【0031】2 最適化装置の動作(概要編) 次に、以上のように構成された部品実装システム10に
おける最適化装置300の基本的な動作を説明する。
【0032】2.1 部品グループの作成 部品グループ生成部314は、データベース部307に
格納された実装点データ307aによって特定される全
ての実装部品を、部品厚みの点から、図15(a)に示
されるような9つの部品グループG[1]〜G[9]に分類す
る。この処理は、図14のステップS313に相当す
る。具体的には、実装点データ307aが示す全ての部
品種を参照することで、図15(b)に示されるよう
な、同一部品種ごとの部品数を示す部品表を作成し、部
品ライブラリ307bにおける部品サイズを参照するこ
とで、全ての部品種それぞれを9つの部品グループG
[1]〜G[9]のいずれかに対応づける。そして、その分類
結果(各部品グループに属する部品種及び部品数等)を
ラインバランス最適化部315に通知する。
【0033】2.2 ラインバランス処理 図16は、ラインバランス最適化部315の第1LBM
部315aによるタスクグループのサブ設備への振り分
け処理の様子を示す図である。この処理は、図14のス
テップS314aに相当する。第1LBM部315a
は、部品厚みの薄い部品グループが先となるように全て
のタスクグループを一列に並べ、その並びに対して、先
頭から順に、サブ設備ごとのタクトが以下の式で示され
る値θに近くなるように、各タスクグループを上流のサ
ブ設備から順に振り分けていく。 θ=(全部品グループを対象とした総タクト)/サブ設
備の総数N なお、「全部品グループを対象とした総タクト」は、実
装点データ307a及び部品ライブラリ307bを参照
することにより特定され、「サブ設備の総数N」は、実
装装置情報307cを参照することにより特定される。
図17は、第2LBM部315bによるラインバランス
の最適化(タスクグループの移動)の様子を示す図であ
り、グラフ405aは、最適化前におけるタクト分布
(各サブ設備へのタスクグループの振り分け状態)を示
し、グラフ405bは、最適化によるタスクグループの
移動の様子を示し、グラフ405cは、最適化後におけ
るタクト分布を示す。この処理は、図14のステップS
314bに相当する。ここで、本図に示されるタクト分
布において、縦軸は、タクトの大きさを示し、横軸は、
生産ラインを構成する全てのサブ設備(ここでは6台)
の並び(上流から下流に向けた並び)を示し、タスクグ
ループは、そのタクトを高さとするブロック「TGn−
m」として示されている。nは、そのタスクグループが
属する部品グループの番号1〜9を示し、mは、同一の
部品グループに属するタスクグループを区別する番号で
ある。なお、各サブ設備は、振り分けられた複数のタス
クグループに対して、部品厚みの薄い部品グループに属
するものを先に実装する。ただし、同一の部品グループ
に属する複数のタスクグループに対しては、その順序の
制約を受けないものとする。例えば、サブ設備[3]
は、TG3−3→TG3−1→TG3−2の順で実装し
てもよい。
【0034】図18は、図17に示された第2LBM部
315bによるラインバランスの最適化手順を示すフロ
ーチャートである。第2LBM部315bは、まず、第
1LBM部315aが生成した図17のグラフ405a
に示される初期状態(タスクグループの振り分け)に対
して、サブ設備ごとのタクトが最大であるサブ設備[S
max]と最小であるサブ設備[Smin]を特定する(S5
00)。例えば、Smax=5、Smin=2と特定する。そ
して、サブ設備[Smax]のタクトをラインタクトLT
として記憶する(S501)。例えば、LT=サブ設備
[5]として記憶する。次に、サブ設備[Smin]から
サブ設備[Smax−1]までのサブ設備[i]について
順に、隣接する2つのサブ設備間で、移動可能なタスク
グループを移動させていく(S502〜S507)。つ
まり、サブ設備[i+1]からサブ設備[i]に、一つ
タスクグループを仮移動し(S503)、それでもな
お、サブ設備[i]のタクトがラインタクトLTよりも
小さいか否かを確認する(S504)。その結果、小さ
いことを確認できた場合にだけ、そのタスクグループを
実際に移動させる(S505)。つまり、サブ設備
[i]及びサブ設備[i+1]のタクトを更新する。例
えば、タスクグループTG3−1をサブ設備[3]から
サブ設備[2]に移動させる。なお、移動させる候補と
なるタスクグループは、部品厚みの薄い部品グループに
属するものを優先して選択するものとする。このような
タスクグループの移動を、サブ設備[Smin]からサブ
設備[Smax−1]について順に繰り返し終えると(S
502〜S506)、最後に、サブ設備[Smax]のタ
クトが減少したか否か、つまり、サブ設備[Smax]か
らサブ設備[Smax−1]に1つ以上のタスクグループ
が移動されたか否かを判断する(S507)。その結
果、減少している場合には、まだ最適化の余地が残され
ていると判断し、再び、同様の最適化(S500〜S5
07)を繰り返し、そうでない場合には、これ以上の最
適化は困難であると判断し、終了する(S507)。な
お、移動可能なタスクグループが複数個存在する場合に
は、移動対象の選択について自由度があるので、計算時
間の許される範囲で、移動させるタスクグループの組合
せを各種試みることとする。このようにして、最小タク
トのサブ設備と最大タクトのサブ設備間において、タス
クグループの移動を順次試みることで、最大タクト(ラ
インタクト)の減少化、つまり、ラインバランスの最適
化が実現される。以上の最適化が完了すると、次に、第
3LBM部315cは、第2LBM部315bにより最
適化された状態(タスクグループの振り分け)に対し
て、部品種(部品テープ)を単位として、第2LBM部
315bと同様の手順でラインバランスの最適化を行
う。つまり、第2LBM部315bは、タスクグループ
を単位として、隣接するサブ設備間を移動させたが(S
503、S505)、第3LBM部315cは、タスク
グループに代えて、各タスクグループを構成する部品種
(部品テープ)を単位として、サブ設備間を移動させ
る。したがって、2つのサブ設備間でのタクトの増減の
刻みは、第2LBM部315bによる場合よりも小さく
なり、よりきめ細かい最適化が行われる。これによっ
て、ラインタクトLTがさらに減少され得る。
【0035】2.3 小部品に対する最適化 図19は、状態最適化部316の小部品最適化部316
aによる小部品の実装順序最適化の概略手順を示すフロ
ーチャートであり、2つの大きなステップからなる。小
部品最適化部316aは、まず、全ての実装部品を対象
として、吸着パターンを生成する(S520)。これ
は、部品種(部品テープ)を単位とした配列、即ち、部
品カセット114の並び(Z軸)を決定することに相当
する。ここで、「吸着パターン」とは、図20に示され
るような2次元のダイヤグラムであり、縦軸をマルチ装
着ヘッド112による部品の吸着順とし、横軸を部品カ
セット114(部品テープ)の配列(Z軸)とした場合
における、マルチ装着ヘッド112が同時に吸着する1
組以上の部品群を示す。吸着の対象となる個々の部品
(実装点)は単位矩形(正方形又は長方形)で示され
る。なお、この図20には、説明の便宜のため、4ノズ
ルヘッドを対象とした吸着パターンが示されており、最
大4個の単位矩形が横に繋がったものが実装(吸着・移
動・装着)の1回分(つまり、タスク)に相当し、丸で
囲まれた一繋がりのタスクの集合がタスクグループに相
当する。したがって、本図には、合計3つの独立したタ
スクグループが示されている。このような吸着パターン
の生成は、マルチ装着ヘッドができるだけ多くの部品を
同時吸着することができるように、部品テープの相対的
な配列を決定する作業にに相当し、言い換えると、全て
の部品テープを、互いに独立した複数の配列グループ
(タスクグループ)に分割することに相当する。次に、
小部品最適化部316aは、図19に示されるように、
上記ステップS520で決定されたタスクグループ(配
列が固定された部品テープ群)ごとに、その総タクトが
小さくなるように、各部品テープを構成する部品の装着
順序を決定する(S521)。これは、同一の部品カセ
ット114から取り出した(吸着した)部品であって
も、どの実装点に装着するかによって、同一タスクにお
ける直前の実装点からの距離が異なるので、装着時にお
けるマルチ装着ヘッド112の移動距離(実装時間)を
短縮化することに相当する。
【0036】2.4 タスクグループ生成法 図19における吸着パターンの生成(S520)のため
の第1の具体的なアルゴリズムが「タスクグループ生成
法」である。この方法は、一定範囲内(吸着ノズル数の
2倍以下)の個数の部品種(部品テープ)の並びからな
るタスクグループの生成を繰り返していく手法であり、
基本的には、以下の2つの大きなステップ(第1及び第
2ステップ)からなる。なお、図21は、これら第1及
び第2ステップを説明するための図であり、部品ヒスト
グラム406aは、対象となる部品を部品数の多い部品
テープの順に並べた(ソートした)部品ヒストグラムで
あり、ダイヤグラム406bは、これら第1及び第2ス
テップによって生成される吸着パターンである。 [第1ステップ]このステップでは、1つのタスクグル
ープを生成する前半処理、つまり、部品数の多い部品テ
ープの順に右方向(Z軸方向)に部品ヒストグラムを並
べる。具体的には、 (i)まだ配置されていない部品テープの中で部品数が最
大の部品テープ(1部品テープ)をZ軸上に置く。 (ii)その右隣に2番目の部品数の部品テープ(2部品テ
ープ)を置く。 (iii)2部品テープの右隣に3番目の部品数の部品テー
プ(3部品テープ)を置く。 (iv)以下、これをマルチ装着ヘッド112の吸着ノズル
数L(ここでは「4」)まで繰り返す。 この結果、部品ヒストグラム406aから4つの部品テ
ープ400が取り出され、ダイヤグラム406bに示さ
れる箇所400に配置される。
【0037】[第2ステップ]このステップでは、前半
処理で生成されたダイヤグラムに対して、同時吸着数が
Lに満たないタスクの同時吸着数がLとなるように、左
方向に部品ヒストグラムを配置していく。具体的には、 (i)1部品テープの部品数からL部品テープの部品数を
引く。 (ii)得られた部品数差以下であって、その部品数差に最
も近い部品数を持つ部品テープ(L+1部品テープ)を
1部品テープの左隣に置く。 (iii)2部品テープから(L−1)部品テープの部品数
を引く。 (iv)その部品数差以下であって、その部品数に最も近い
部品数を持つ部品テープを(L+1)部品テープの左隣
に置く。 (v)以下、これを(L−1)回繰り返す。 この結果、部品ヒストグラム406aにおける2つの部
品テープ401a及び401bが取り出され、ダイヤグ
ラム406bに示される箇所401に配置される。これ
によって、部品テープ400及び部品テープ401から
なる1つの吸着パターンが完成する。これによって、こ
れら6種の部品テープからなるタスクグループについ
て、相対的なZ軸が決定されたことになる。以上の第1
及び第2ステップによるタスクグループの生成を、対象
の部品テープが無くなるまで繰り返す。ここで、もし、
上記第2ステップの条件を満たす未配置の部品テープが
無くなってしまった場合には、上記第1及び第2ステッ
プに代えて、以下の3つのステップ(第3〜第5ステッ
プ)を実行する。図22は、これら第3〜第5ステップ
を説明するための図であり、部品ヒストグラム415a
は、全体の部品ヒストグラムのうち未配置の部分(実線
で囲まれた部分)を示し、ダイヤグラム415bは、こ
れら第3〜第5ステップによって生成される吸着パター
ンを示す。 [第3ステップ]このステップでは、未配置の部品ヒス
トグラムを整形して部分ヒストグラムを生成する。具体
的には、 (i)まだ配置されていない部品テープの部品数の最小値
を求める。 (ii)まだ配置されていない部品テープそれぞれの部品数
から(最小値−1)を引く。 このような減算処理の結果、未配置の部品ヒストグラム
における部品数は、太い実線で囲まれた部品ヒストグラ
ム415aとなり、以下、この部品ヒストグラム415
aにおける部品数を用いて、以下の第4及び第5ステッ
プを進める。
【0038】[第4ステップ]このステップは、上述の
第1ステップに相当する。具体的には、 (i)まだ配置されていない部品テープの中で部品数最大
の部品テープ(1部品テープ)をZ軸上に置く。 (ii)その右隣に2番目の部品数の部品テープ(2部品テ
ープ)を置く。 (iii)2部品テープの右隣に3番目の部品数の部品テー
プ(3部品テープ)を置く。 (iv)以下、これをマルチ装着ヘッド112の吸着ノズル
数L(ここでは「3」)まで繰り返す。 この結果、部品ヒストグラム415aから3つの部品テ
ープ410が取り出され、ダイヤグラム415bに示さ
れる箇所410に配置される。 [第5ステップ]このステップは、上述の第2ステップ
に相当する。具体的には、 (i)1部品テープの部品数から、(L部品テープの部品
数−1)の値を引く。 (ii)その部品数差以下であって、その部品数差に最も近
い部品数を持つ部品テープ(L+1部品テープ)を1部
品テープの左隣に置く。 (iii)(L+1)部品テープからL部品テープの部品数
を引く。 (iv)その部品数差以下であって、その部品数差に最も近
い部品テープを(L+1)部品テープの左隣に置く。 (v)以下、これをL回繰り返す。 この結果、部品ヒストグラム415aにおける3つの部
品テープ411が取り出され、ダイヤグラム415bに
示される箇所411に配置される。これによって、部品
テープ410及び部品テープ411からなる1つの吸着
パターンが完成する。これによって、上記第1及び第2
ステップで取り残された部品テープ、つまり、部品数の
差が小さい部品テープについても、同時吸着が可能なタ
スクの集まりからなるタスクグループが生成され、それ
らの部品テープについて相対的なZ軸が決定されたこと
になる。
【0039】2.5 刈り上げ法 図19における吸着パターンの生成(S520)のため
の第2の具体的なアルゴリズムが「刈り上げ法」であ
る。この処理は、図14のステップS320a〜dに相
当する。この方法は、部品数の多い部品テープの順に並
べた部品ヒストグラムをそのままZ軸に配置することを
基本とし、最大個数(L個)の部品を同時吸着すること
ができない箇所についてだけ、上述の吸着パターン生成
法を適用する手法であり、以下の2つの大きなステップ
(第1及び第2ステップ)からなる。 [第1ステップ]このステップでは、部品ヒストグラム
から、L個の部品並びからなるタスクを取り出すること
を繰り返す(刈り上げていく)。図23及び図24は、
刈り上げ法における第1ステップを説明するための図で
あり、図23は、実装の対象となる全ての部品を部品数
の多い部品テープの順に並べた部品ヒストグラム450
であり、図24は、図23の部品ヒストグラム450か
ら、L個(ここでは、10個)の部品並び(最大個数の
部品を同時吸着した場合のタスク)の単位で部品を取っ
ていく(刈り上げていく)様子を示す図である。これら
の図23及び図24は、それぞれ、図14のステップS
320a、bに相当する。刈り上げにおいては、部品数
の少ない部品テープが先に無くなるように、つまり、部
品ヒストグラムにおける右端の部品テープから部品が無
くなっていくように、L個の部品並び(〇、△及び×の
いずれかを含む10個の矩形並び)を取り除いていく。
これを、L個の部品並びの単位で取る除くことができな
くなるまで繰り返す。
【0040】[第2ステップ]このステップでは、上述
の刈り上げ後における残り部品からなる部品ヒストグラ
ムに対して、上述のタスクグループ生成法に準じたダイ
ヤグラムを生成する。図25及び図26は、刈り上げ法
における第2ステップを説明するための図であり、図2
5は、第1ステップでの刈り上げ後に残された部品を対
象として、部品数の多い順に再構築された部品ヒストグ
ラム451であり、図26は、再構築された部品ヒスト
グラム451に対して、上述のタスクグループ生成法に
準じたダイヤグラムの生成を行っている様子を示す図で
ある。これらの図25及び図26は、図14のステップ
S320dに相当する。なお、再構築された部品ヒスト
グラム451の幅(部品テープの数)は、上記第1ステ
ップの処理内容より、必ず、(L−1)以下となる。こ
の第2ステップでは、具体的には、以下の処理を行う。 (i)刈り上げ後に残った部品について、図25に示され
た部品ヒストグラム451を生成するとともに、合計部
品数(ここでは、100個)を算出する。 (ii)算出した合計部品数をL(ここでは、10)で割
り、得られた値(ここでは、10)をタスク数とする吸
着パターンの作成を目指す。 (iii)そのために、図26に示されるように、得られた
タスク数(10)よりも大きな部品数を持つ部品テープ
について、その超過分451aの部品(又は、超過部分
の部品を分割したもの)だけ切り取り、部品ヒストグラ
ム451の左側に補完して置いていく。
【0041】図27は、以上の第1及び第2ステップに
よる刈り上げ法によってZ軸が決定された部品テープに
ついての吸着パターン452である。この図に示される
ように、全ての部品は、最大個数(10個)の部品が同
時吸着されるタスクだけから構成され、最大の同時吸着
率で効率よく実装され得る。図28は、図27に示され
た吸着パターン452に対応する(Z軸を変化させない
再構築した)部品ヒストグラム453である。このヒス
トグラム453から分かるように、刈り上げ法によれ
ば、部品数の多い部品テープが左位置に配列されるとい
う傾向が維持される。このことは、刈り上げ法が、マル
チ装着ヘッド112の移動軌跡(右ブロック115bに
対しては、部品を吸着した後に、必ず、右ブロック11
5bの左端に置かれた2次元カメラの前を通過するこ
と)を考慮した(総移動距離を小さくする、即ち、総タ
クトを小さくする)部品配置の決定方法であることを意
味する。なお、左ブロック115aに対しては、上述の
処理において、Z軸方向に対称な処理を施せばよい。つ
まり、部品数の小さい順に部品テープを並べた後に、同
様の手順でタスクを刈り上げていくことで、ダイヤグラ
ムを生成すればよい。
【0042】2.6 ランダム選択法(「貪欲法」) 図19における装着順序の最適化(S521)のための
第1の具体的なアルゴリズムがランダム選択法である。
この処理は、図14のステップS320eに相当する。
この方法は、1つのタスクグループにおいて、ランダム
に選択した2つの実装点を入れ替えた場合の総タクトが
小さくなるならば、それら2つの実装点を入れ替える、
という処理を繰り返す貪欲的な手法である。図29は、
ランダム選択法による部品の装着順序の最適化の手順を
示すフローチャートであり、図30は、ランダム選択法
によって2つの実装点が入れ替えられる様子を示すであ
る。まず、小部品最適化部316aは、初期状態での総
タクトを算出する(S530)。なお、ここでの状態
は、1つのタスクグループを構成する全ての部品(実装
点)について実装順序が一定のパターンに定められた状
態である。したがって、一つの状態に対する総タクト
は、データベース部307に記憶された情報307a〜
cから一義的に決定される。次に、それら全ての実装点
の中からランダムに2つを選択し(S531)、選択し
た2つの実装点の順序を入れ替えた場合の総タクト(仮
タクト)を算出する(S532)。図30には、実装点
B2とB4とが入れ替えられた場合の状態例が示されて
いる。そして、いま算出された仮タクトが、直前の状態
におけるタクトよりも小さいか否か判断する(S53
3)。その結果、小さい場合には、それら2つの実装点
の入れ替えを実施する(S534)。つまり、現在の状
態と総タクトについて、それら実装点を入れ替えた場合
のものに更新して記憶する。そして、その時点での終了
条件(その状態でのタクトが操作者によって予め指定さ
れた目標タクトよりも小さいか、又は、一定の処理時間
に達した等)を満たすか否か判断し(S535)、満た
す場合に処理を終了する。一方、2つの実装点の入れ替
えによってもタクトが小さくならない場合(S533で
No)、及び、終了条件を満たさない場合(S535で
No)には、終了条件が満たされるまで、再び、同様の
処理を繰り返す(S531〜S533〜S535)。こ
のようにして、ランダム選択法により、費やした実行時
間に応じて、タスクグループごとのタクトが小さくな
り、部品実装順序が最適化され。
【0043】2.7 交差解消法 図19における装着順序の最適化(S521)のための
第2の具体的なアルゴリズムが交差解消法である。この
処理は、図14のステップS324に相当する。この方
法は、入れ替える2つの実装点をランダムに選択するの
ではなく、一定の基準、即ち、タスクごとの実装点を直
線で接続して得られる折れ線(パス)どうしの交差があ
ればそれを解消するという基準を満たす実装点を選択し
て入れ替える手法である。図31は、5個の実装点から
なる3つのタスク455a〜cについて、交差解消法に
より部品の装着順序を最適化する様子を示す図であり、
ダイヤグラム457は、折れ線の交差が解消される前の
装着順序(タスクごとの折れ線の分布)を示し、ダイヤ
グラム458は、折れ線の交差が解消された後の装着順
序を示す。なお、同一部品種(部品テープ)の実装点
は、同一模様の丸印で示されている。まず、小部品最適
化部316aは、データベース部307の実装点データ
307a等を参照することによって、初期状態における
全ての交差を特定する。ただし、ここでの交差は、同一
タスクに属する連続して装着する2つの実装点を結ぶ線
分と、他のタスクに属する同様の線分との交差であっ
て、それら線分の両端の実装点に用いられる部品の部品
種(部品テープ)がそれら線分同士で同一であるものに
限られる。次に、特定した全ての交差について、順次、
交差を解消するように線分の接続を変更する。なお、解
消の前後において、各線分の両端に位置する部品の部品
種は変更されないので、この線分の接続変更は一義的に
定まり、かつ、その接続変更によって各タスクを構成す
る部品種の並びが変化することはない。このような交差
解消法によって、タスク間におけるマルチ装着ヘッド1
12の無駄な移動が解消される。つまり、一つの部品を
装着した後に移動すべき実装点は、マルチ装着ヘッド1
12の移動に伴う無駄なタクトの増加が抑えられた部品
の実装順序が決定される。
【0044】2.8 戻り最適化法 図19における装着順序の最適化(S521)のための
第3の具体的なアルゴリズムが戻り最適化法である。こ
の処理は、図14のステップS325に相当する。この
方法は、1つのタスクグループにおいて、1つのタスク
の部品装着を完了した後に、次のタスクの部品を吸着す
るために移動するマルチ装着ヘッド112の戻り軌跡に
着目し、そのタスクグループを構成するタスクの並び
(タスク単位での順序)を最適化する手法である。図3
2は、戻り最適化法によりタスクの順序を最適化する手
順を説明するための図である。ここには、Z軸における
部品供給部115a及びbそれぞれに10個のタスクが
配置されている場合における基板と部品供給部間を行き
来するマルチ装着ヘッド112の移動軌跡(実装経路)
が矢印線で示されている。ここで、丸印は、マルチ装着
ヘッド112の代表的な位置を示す。つまり、基板上の
丸印は、1つのタスクにおいて最後の部品を装着し終え
た直後のマルチ装着ヘッド112の位置(最終実装点)
を示し、Z軸における丸印は、20個のタスクそれぞれ
において最初に部品を吸着するときのマルチ装着ヘッド
112の位置(以下、「吸着位置」という。)を示す。
なお、丸印に付された数値は、各吸着位置(タスク)を
区別する番号である。
【0045】[第1ステップ]このステップでは、以下
のルールに従って、実装経路を描く。 (i)各タスクの最終実装点から最短距離にある吸着位置
に戻る、つまり、戻り軌跡を最小にする。 (ii)1番吸着位置を始点にして実装経路を順次描いてい
く。なお、1つの吸着位置は1つのタスクに相当するの
で、その吸着位置に対応する最終実装点は一義的に特定
される。図32では、1→5→14→2→8→3→17
→12→16→1の順で吸着位置と最終実装点とを接続
する実装経路が描かれる。 (iii)最初の吸着位置(1番吸着位置)に戻ったら、そ
れを最短巡回部分経路1とする。 (iv)次に、これまで見つかった最短巡回部分経路に含ま
れない吸着位置を探す。図32では、4番吸着位置が見
つけられる。 (v)上記(ii)に戻り、未だ使用されていない吸着位置が
無くなるまで、繰り返す。図32では、5つの最短巡回
部分経路が描かれている。 このような第1ステップにより、特定の吸着位置から開
始した場合における、マルチ装着ヘッド112の戻り軌
跡が最短となるような吸着位置の順序、即ち、タスクの
順序が決定されたことになる。
【0046】[第2ステップ]次に、第1ステップで描
かれた全ての最短巡回部分経路それぞれにおいて、どの
吸着位置から開始すればよいかを特定する。具体的に
は、1つの最短巡回部分経路に属する全ての部品の実装
を終えてから次の最短巡回部分経路を開始するのに移動
させるマルチ装着ヘッド112の戻り軌跡が最短となる
ように、各最短巡回部分経路における最初の吸着位置及
びそれら最短巡回部分経路の順序を決定する。これによ
って、1つのタスクグループを構成する全てのタスクを
対象として、タスク間におけるマルチ装着ヘッド112
の戻り軌跡が短くなるように、タスクの実行順序が決定
されたことになる。なお、図32は、20個の吸着位置
が異なる位置となるタスクグループにおける実装経路で
あったが、図33に示されるように、同一位置の複数の
吸着位置が含まれるタスクグループについても同様の最
適化をすることができる。このときには、同一位置の吸
着位置に対応する最終実装点の選択において自由度があ
るので、複数の選択パターンに対応するタスクグループ
の総タクトを算出し、それらの中からタクトが最小とな
る最終実装点を選択し、最短巡回部分経路を作成すれば
よい。以上のように、ランダム選択法及び交差解消法に
よって、タスクの形を変えずに、(i)タスク内の実装順
序の最適化、及び、(ii)全タスクを考慮した実装順序の
最適化が行われ、一方、戻り最適化法によって、全ての
タスクがフィックスされた後に(つまり、各タスクのメ
ンバが決まった状態で)、タスクの順序についての最適
化が行われる。
【0047】2.9 汎用部品に対する最適化 汎用部品は、部品の大きさ、ノズル、部品認識カメラ、
供給形態(テープ、トレイ)がバラエティに富んでお
り、タスクを生成するときに、いろいろな部品の組み合
わせが可能である。ここでは、タスクの状態を効率的に
変化させながら、最適な状態を探索するという手法を採
用している。この処理は、図14のステップS321に
相当する。最適化を行うための評価指標は装着時間であ
り、このため、部品実装機100の動作時間を正確にシ
ミュレートする装着時間シミュレートを搭載している。
汎用部品に最適化アルゴリズムは以下の通りである。 (1)ループ回数の設定 現実問題として、全ての組み合わせを評価することはで
きないので、予め終了条件を設定しておく。所定のルー
プ回数処理を続けても装着時間が減少しない場合、最適
化処理を終了することにしている。 (2)初期状態の生成 まず、全ての汎用部品を対象として初期状態を生成す
る。初期状態は、汎用部品の全ての実装点をタスク単位
でまとめたものであり、部品実装機100の制約条件の
全てを満たしていれば、どのような状態でもかまわな
い。 (3)状態の変化 タスクの状態を変化させながら最適なタスクの状態を探
索する。状態を変化させるための手続としては、 ・別々のタスクに存在する2つの実装点を入れ替える、 ・同一タスク内の2つの実装点の実装順序を入れ替え
る、 ・2つの部品テープを入れ替える、 等がある。ここでは、タスクの状態を柔軟に変化させる
ために、空の実装点との入替えも可能にしている。たと
えば、あるタスクの実装点を余裕があるタスクへ移動す
る処理は、前者の実装点と後者の実装点との入替えにな
る。この処理を繰り返すと、タスク数を減らすことがで
きる。変化後の状態を採用するかどうかは、装着時間が
減少するかどうかで判断するが、常に装着時間減少する
状態を採用していると、ローカル・ミニマムに捕まって
しまう。そこで、ある確率で装着時間が増加する状態を
採用するようにしている。
【0048】以下、汎用部品に対する最適化の具体的な
内容を説明する。図34(a)は、汎用部品最適化部3
16bによる汎用部品の実装順序を最適化する際の手順
を示すフローチャートであり、図34(b)は、その最
適化による最適解の探索アプローチを説明するための図
(とり得る全ての状態それぞれのタクトを示す図)であ
る。図34(a)に示されるように、汎用部品最適化部
316bは、部品グループG[6]〜G[9]に属する全ての
部品(汎用部品)を対象として、初期状態Xを生成した
後に(S550)、初期状態Xに対して、山登り法によ
る最適化を最適化エンジン部316cに実行させること
によって、最適状態Xoptを求めた後に(S551)、
初期状態Xに対して、マルチカノニカル法による最適化
を最適化エンジン部316cに実行させることによっ
て、上記ステップS551で求められた最適状態Xopt
を更新し(S552)、最後に、更新された最適状態X
optに対して、再び、山登り法による最適化を最適化エ
ンジン部316cに実行させることによって、上記ステ
ップS552で得られた最適状態Xoptを更新する(S
553)。このように、局所的な最適解を確実に求める
山登り法による最適化(S551、S553)の途中過
程に、グローバルな始点で最適解を探索するマルチカノ
ニカル法による最適化(S552)が挿入されているの
で、局所的には最適状態であるがグローバル的には最適
状態でない状態(図34(b)に示される状態等)の
探索で終わってしまうことが回避され、グローバルな最
適状態(図34(b)に示される状態)が求められ
る。
【0049】図35は、図34(a)に示された山登り
法による最適化(S551、S553)の詳細な手順を
示すフローチャートである。つまり、初期状態Xや終了
条件等についての通知を受けた最適化エンジン部316
cは、その初期状態Xを生成した後に(S560)、外
部ループ終了条件が満たされるまで(S561)、内部
ループを繰り返す(S562〜S568)。ここで、外
部ループ終了条件とは、それ以上の最適解が存在しない
ことを確認するための条件であり、例えば、状態変化を
起こす全ての種類のパラメータを変化させた(探索し
た)こと等であり、内部ループ終了条件とは、1つの種
類のパラメータについて、一定範囲の変化をさせた(探
索した)こと等である。内部ループにおいて、最適化エ
ンジン部316cは、まず、後述する9種類の状態変更
から汎用部品最適化部316bが選択した1つを用い
て、状態候補Xtmpを生成し(S563、S564)、
その候補状態Xtmpが、後述するフィージビリティ(実
現可能性)を有し(S565)、かつ、その候補状態Xt
mpのタクトが直前の状態のタクトよりも小さい場合に
(S566、S567)、それら状態とタクトを更新す
る(S568)。これによって、局所的に最適な状態が
確定的に得られる。図36は、図34(a)に示された
マルチカノニカル法による最適化(S552)の詳細な
手順を示すフローチャートである。本図において、ビン
番号は、例えば、図34(b)に示された横軸(とり得
る状態の全て)をN個に均等分割して得られる各区間
(ビン)を示す番号であり、ヒストグラムH[i]は、ビ
ン番号iのビンに属する候補状態Xtmpが選択され(S
576、S577)、その候補状態Xtmpが実現可能性
を有し(S578)、かつ、エントロピーを減少させる
状態であると判断された(S579〜S581)総回数
を記憶する変数である。
【0050】本図に示されたフローチャートと図35に
示された山登り法によるものとを比較して分かるよう
に、状態Xをベースに状態候補Xtmpを生成し、それを
受理するかどうかを決定するという一連の処理を繰り返
す点で、これらの処理は共通する。異なる点は、受理決
定の方法であり、図35に示された山登り法では、状態
候補Xtmpのタクトの方が状態Xよりも小さい場合に
(確定的に)受理しているのに対し、図36に示された
マルチカノニカル法では、タクトにおけるエントロピー
を参照して状態候補Xtmpを確率的に受理していること
である(S580〜S582)。ここで、図35及び図
36に示されたフローチャートにおける9種類の状態変
更と実現可能性の詳細を説明するために、まず、汎用部
品最適化部316bが用いている中間表現について説明
する。汎用部品最適化部316bは、最適化を容易にす
るために、Z軸配列の中間表現として以下の3種類を導
入し、それらの表現を用いて状態を記憶したり、最適化
エンジン部316cに指示したりする。 (i)Gorder[i](i=1,...,L) 入力されたL個の部品グループ(タスクグループTG
[i](i=1,...,L)をZ軸に配置する際の優先順序を指定す
る変数であり、優先順序番号1〜Lを値にとる。i!=
jの場合、Gorder[i]!=Gorder[j]となる。 (ii)block[i](i=1,...,L) タスクグループTG[i](i=1,...,L)を左・右のZブロッ
ク(部品供給部115a及びb)のどちらに配置するか
を指定する変数であり、"左"又は"右"のシンボル値をと
る。 (iii)Corder[i][j](i=1,...,L, j=1,...,M[i]) タスクグループTG[i](i=1,...,L)に属する部品テープ
j(=1,...,M[i])のZ軸における配置順序を指定する数
であり、順序番号1〜M[i]を値にとる。j!=kの場
合、Corder[i][j]!=Corder[i][k]である。なお、C
order[i][j]<Corder[i][k]の場合、「部品テープjの
Z番号<部品テープkのZ番号」なる関係を持ってい
る。
【0051】図37は、汎用部品最適化部316bが用
いる中間表現の例を示す。テーブル460は、汎用部品
最適化部316bが用いている中間表現の具体例を示
し、テーブル461〜464は、テーブル460に示さ
れた中間表現の意味(Z軸配列への変換)を示す。テー
ブル460に示された中間表現が示すZ軸配列は、具体
的には、以下の変換を経ることによって特定される。ま
ず、Gorder[i]=1、つまり、Z軸配列決定において最
優先するタスクグループTG[2]を配置する(テーブル
461)。このTG[2]は、block[2]="右"であるた
め、右ブロックの部品認識カメラ116寄り左詰で配置
される。その際、TG[2]に属している計M[i=2]=6つ
の部品テープj(i=1,...,6)を収納している部品カセッ
ト114は、Corder[i=2][j]の若いものが左になるよ
うに、右ブロックの部品認識カメラ寄り左詰で配置され
る。次に、Gorder[i]=2であるTG[4]を配置する
(テーブル462)。block[4]="左"であるため、左ブ
ロックの部品認識カメラ寄り右詰で配置される。その
際、計M[i=4]=3つの部品テープj(i=1,...,3)を収納
している部品カセット114は、Corder[i=2][j]の若
いものが左になるように、部品認識カメラ寄り右詰で配
置される。同様に、Gorder[i]=3であるTG[3]、Go
rder[i]=4であるTG[1]の順で配置すればよい(テー
ブル463、464)。
【0052】次に、汎用部品最適化部316bによる選
択(図35におけるステップS564、図36における
ステップS577)の対象となる9種類の状態変更を示
す。以下の通りである。 (1)同一汎用部品グループの2実装点をランダムに選
択し、それらのタスク番号とヘッド番号(マルチ装着ヘ
ッド112における吸着ノズル112a〜112bの位
置)をスワップする。 (2)同一タスク内の2実装点をランダムに選択し、そ
れらの実装順序をスワップする。 (3)2タスクグループ(2汎用部品グループ)をラン
ダムに選択し、それらのGorderをスワップする。 (4)1タスクグループ(1汎用部品グループ)をラン
ダムに選択し、そのblockの値("左"又は"右")を変更
する。 (5)同一タスクグループの2部品テープをランダムに
選択し、それらのCorderをスワップする。 (6)同一タスクグループにおいて、連続したCorder
部分区間をランダムに選択し、シフトする。 (7)同一タスクグループにおいて、連続したCorder
部分区間をランダムに選択し、対応する部品テープが実
装点の平均X座標値に従ってZ軸に配置されるようにC
orderを変更する。 (8)1タスクをランダムに選択し、当該タスクの実装
点のZ番号に基づいてヘッド番号を変更する。 (9)シャトル運用可能なトレイ部品の運用モード(ダ
イレクトモード、シャトルモード)をランダムに変更す
る。 ここで、「トレイ部品の運用モード」とは、トレイ供給
部117が内蔵するエレベータ(複数の段を持つ)を用
いてトレイ部品を供給する(マルチ装着ヘッド112が
吸着できる位置まで移動させて置く)ときの方式であ
り、「ダイレクトモード」は、部品が載せられた1つの
トレイごと直接差し出す方式であり、「シャトルモー
ド」は、シャトルコンベヤ118を用いた往復移動によ
って複数のトレイから取り出して集めた複数の部品を1
列に並べて差し出す方式である。これらの運用モードに
ついての各種情報は、実装装置情報307cに含まれて
おり、必要な部品を所定位置に移動させるのに要する時
間等に影響を与える。
【0053】また、汎用部品最適化部316bによる実
現可能性のチェック(図35におけるステップS56
5、図36におけるステップS578)については、以
下の5つのチェック項目が同時に満たされている場合に
のみ、状態Xtmpが可能解とみなされる。 (1)各タスクにおいて、ダイレクトモードの実装点の
Z番号が同じ段であること。つまり、ダイレクトモード
では、一つの段に置かれたトレイ部品だけが同時に供給
され得ることを考慮する。 (2)各タスクにおいて、吸着時の部品点間に干渉がな
いこと。つまり、隣接して吸着される2つの部品の形状
によっては、部品どうしが接触してしまうので、それを
回避することを考慮する。 (3)各タスクにおいて、実装点が吸着可能であること
(実装点のヘッド番号とZ番号との組が適切であるこ
と)。つまり、マルチ装着ヘッド112に装着された吸
着ノズルのいずれもが、96個の部品カセット114の
いずれの位置にも移動できる(部品を吸着できる)とは
限らないことを考慮する。 (4)各タスクにおいて、実装点が装着可能であること
(実装点のヘッド番号と座標値との組が適切であるこ
と)。マルチ装着ヘッド112を構成する全ての吸着ノ
ズルが基板上のあらゆる箇所に移動できるとは限らない
ことを考慮する。 (5)全タスクグループの全タスクの吸着ノズルパター
ンが実現可能なようにノズルステーション119におけ
る吸着ノズルの配列を決定できること。つまり、ノズル
ステーション119に配置しておくことができる交換用
の吸着ノズルの配置位置や数等に制限があることを考慮
する。 (6)マルチ装着ヘッド112とZ軸上の部品とが同一
ピッチで並んでいること。つまり、マルチ装着ヘッド1
12が同時吸着できるような部品(又は、部品カセッ
ト)がZ軸に配置されていることを確認する。 以上のように、汎用部品最適化部316bは、ローカル
な(局所的な)最適化だけでなく、確率的な探索を混ぜ
た最適化を行っているので(図34(a)におけるステ
ップS550〜S553)、ローカルミニマムが最適解
として算出されてしまう不具合が回避される。
【0054】3 最適化装置の動作(詳細編) 次に、以上のような最適化装置300の動作について、
さらに詳細な説明をする。つまり、これまで説明してき
た個々の最適化アルゴリズムの詳細な内容や、様々な制
約下における最適化装置300の動作について説明す
る。
【0055】3.1 「刈り上げ法」 「刈り上げ法」は、上述の「タスクグループ生成法」の
欠点を補うアルゴリズムである(図14のステップS3
20a〜d)。以下、「刈り上げ法」の詳細について、
「タスクグループ生成法」における課題を明らかにしな
がら、説明する。
【0056】3.1.1 「タスクグループ生成法」の
概要 「タスクグループ生成法」における小部品用最適化アル
ゴリズムの基本的な考え方は、図38に示される通りで
あり、ヘッドの上のノズル数をnとして、対象の全ての
実装部品に対して、「部品数が同じ部品テープをn本集
め、それらn本の部品テープから1点ずつ同時に吸着し、
n点同時吸着タスクを作る」というものである。本実施
の形態における対象の部品実装機では、nは10(又
は、4)である。図38は、タスクグループ生成法を説
明するための部品ヒストグラムであり、横軸はZ軸(部
品カセット、部品種)を示し、縦軸は、その部品種に属
する部品の総数を示す。ところが、上述のアルゴリズム
では、実際には部品数が同じ部品テープばかりではない
ので、部品分割によって、部品数が同じ部品テープを作
り出すようにしている。そのようにしても、集められた
n本の部品テープの部品数が不揃いになる場合には(図
38における部品A〜J)、そのばらつきを埋め合わせ
る部品テープを作り、そのn本の部品テープに追加す
る。追加する部品テープは、最大で(n-1)本である(図
38における左部分506)。このようにしてできたn
〜n+(n-1)本の部品テープの集合を「タスクグループ」
としている(それらの部品テープから部品を吸着してタ
スクを生成するので、生成されるタスクの集合に着目し
た命名になっている)。通常、複数個のタスクグループ
が生成される。タスクグループ数は部品種の総数に依存
する。タスクグループが1つだけの場合もある。Z軸上へ
のカセットの配置は、タスクグループの単位で行う。
【0057】3.1.2 「タスクグループ生成法」の
課題 「タスクグループ生成法」のアルゴリズムでは、次のよ
うな課題がある。 (1)タスクグループ単位でZ軸に配置するので、Z軸の空
きが最小でも10以上でないと、タスクグループを配置す
ることができない。そのため、Z軸に未使用の部分が生
じることがある。 (2)タスクグループの配置の自由度が低く、前サブ設備
110と後サブ設備120との間での部品種(部品テー
プ、カセット)を移動しにくいため、前サブ設備110
と後サブ設備120の実装時間のバランスを調整しにく
くなっていた。 (3)タスクグループ毎に部品分割を行い、部品分割によ
り生じた部品テープを収めるカセットを使用するので、
全タスクグループを考えると、部品分割のために使用す
るカセットが多く必要となる傾向がある。このような課
題は、タスクグループを構成する部品テープの本数(10
ノズルヘッドであれば、10〜19本)と、Z軸上に配置で
きる部品テープの本数(シングルカセットで最大48本、
ダブルカセットで最大96本)が同程度のオーダーになっ
ていることに起因する。そのため、タスクグループをZ
軸に配置する際の自由度が低くなっている。たとえば、
Z軸上に配置できる部品テープの最大本数が、タスクグ
ループを構成する部品テープ本数の10倍程度であれば、
自由度の低さは低減されると考えられる。
【0058】3.1.3 「刈り上げ法」 「刈り上げ法」は、「部品ヒストグラム作成処理」(図
14のステップS320a)、「刈り上げ処理」(図1
4のステップS320c)、「コア処理」(図14のス
テップS320d)の3つの処理から構成されている。
これらの処理は、「タスクグループ生成法」における課
題を踏まえて、考案したものである。以下の説明では、
ヘッドの上のノズル数をnとする。 (1)部品ヒストグラム作成処理(図14のステップS3
20a) 部品ヒストグラム作成処理は、部品テープを部品数の大
きい順に並べたヒスグラム(部品ヒストグラム)を作成
する処理であり、部品ヒストグラムは「刈り上げ処理」
の前提となる。「タスクグループ生成法」では、部品テ
ープは、タスクグループという複数のグループに分かれ
るの対して、「刈り上げ法」では、部品テープは、部品
ヒストグラムという1つのグループになっている点が異
なる。部品ヒストグラムを部品テープ単位で分割し、分
割されたものを前サブ設備110と後サブ設備120に
配置することができるので、「タスクグループ生成法」
と比較して、小さな単位での部品移動が可能となってい
る。
【0059】(2)刈り上げ処理(図14のステップS3
20c) 刈り上げ処理は、部品ヒストグラムから吸着パターンを
生成する処理であり、部品ヒストグラムの部品数の残数
の少ない側からn本の部品テープについて、各1個ずつ実
装点を吸着し、n点同時吸着の吸着パターンを生成する
ことを基本とする。刈り上げ処理の結果、吸着されない
実装点が残っている部品テープが存在する。この部品テ
ープを「コア部品テープ」と呼ぶ。また、コア部品テー
プが収められている部品カセットを「コアカセット」と
呼ぶ。コア部品テープの本数は、初期の部品ヒストグラ
ムを構成する部品テープ数が何本であっても、必ず(n-
1)本以下になる。刈り上げ処理の利点は、「部品ヒスト
グラムを構成する全部品テープに対して、部品分割を行
い、n点同時吸着タスクを生成するという問題」を、
「コア部品テープだけに対して、部品分割を行い、n点
同時吸着タスクを生成するという問題」に縮小できるこ
とである。部品ヒストグラムのコア部品テープ以外の部
分については、既にn点同時吸着が実現されているの
で、コア部品テープについてのみ、n点同時吸着の吸着
パターンが実現できるように、部品分割を行えばよく、
この処理を「コア処理」と呼ぶ。
【0060】(3)コア処理(図14のステップS320
d) 「コア処理」は、「タスクグループ生成法」において
「n点同時吸着を実現するために、実装点の不足分を補
完する部品テープを作る」というアイデアを発展させた
ものである。コア部品テープは1〜(n-1)本であるから、
実装点の不足分を補完する部品テープ(補完部品テー
プ)の本数は、(n-1)〜1本となる。「タスクグループ生
成法」では、タスクグループ毎に補完部品テープが必要
である。一方、「刈り上げ法」では、部品テープのグル
ープは1つしかなく、さらに、それに対して最大(n-1)
本の補完部品テープしか必要としないので、「タスクグ
ループ生成法」よりも使用するカセット本数が少なくて
すむ。「タスクグループ生成法」では、各部品テープを
最大分割数で部品分割した際に、最も部品数が多くなる
部品テープを求め、その部品数と同数のn点同時吸着の
吸着パターンを生成する。それに対して、「コア処理」
では、コア部品テープの部品数の合計を求め、それをn
で割り算した値から、n点同時吸着の吸着パターンの個
数を見積もる。
【0061】3.1.4 「刈り上げ法」による小部品
の最適化 次に、以上のような利点をもつ「刈り上げ法」を用いた
典型的な小部品の最適化処理を説明する。図39は、
「刈り上げ法」による小部品の最適化処理(図14のス
テップS320に相当)のフロー図である。小部品を最
適化するための指標の一つは、部品吸着時におけるマル
チ装着ヘッド112の吸着上下動作の回数(以下、「吸
着上下回数」と呼ぶ。)を最小化することと、部品装着
時のヘッド移動距離を最小にすることである。すなわ
ち、10点同時吸着を最大にする部品吸着パターンの決
定(S331)と、マルチ装着ヘッド112の移動距離
を最小にする実装点データの割当て(S335)であ
る。 (1)部品吸着パターンの決定(図39のS331) 部品吸着パターンを決定することは、部品テープの並び
とマルチ装着ヘッド112による吸着順序とを決定する
こと、即ち、対象となる部品テープをどのような順序で
部品供給部115a及びbに並べてセットしておけばよ
いか、さらに、セットされた部品テープ群に対してどの
ような順序でマルチ装着ヘッド112が吸着すればよい
かを決定することである。 (i)部品ヒストグラムの作成(図39のS332) 各電子部品を部品数でソーティングし、部品ヒストグラ
ムを作成する。横軸は部品テープの並び(「Z配列」)
であり、このヒストグラムは部品が部品供給部115a
及びbにセットされたイメージを表している。小部品
は、全て8mmテーピングなので、10点同時吸着が可
能である。したがって、部品ヒストグラムのZ軸方向の
つながりを見れば、同時吸着が可能かどうかを簡単に判
断することができる。図40(a)は、部品テープが2
1、最小部品数が1、最大部品数が15の部品ヒストグ
ラム500を示している。 (ii)刈り上げ処理(図39のS333) 図40(a)に示された部品ヒストグラム500におい
て、部品数の少ない右端からZ軸方向に10個連続で部
品が並んでいる部品を探し出す。この処理は、部品ヒス
トグラム500を、部品10個単位で、下から順に刈り
上げていく処理に相当するので、ここでは「刈り上げ処
理」と呼んでいる。その結果、図40(b)に示される
ように、4つの10点同時吸着タスク500a〜dが生
成される。
【0062】(iii)コア処理(図39のS334) 図40(b)に示された部品ヒストグラム500から、
刈り上げられた10点同時吸着タスク500a〜dを取
り除くと、図41に示されるように、裾の狭い部品ヒス
トグラム501が残る。この残された部品ヒストグラム
501を「コア」と呼ぶ。コア501のZ軸方向の広が
りは10未満であるので、そのままでは、コア501か
ら10点同時吸着タスクを生成することができない。そ
こで、コア501を切り崩して10点同時吸着タスクを
生成する「コア処理」を行う。まず、コア501を構成
する部品の個数をカウントし、目標を設定する。図41
に示された部品ヒストグラム501には、合計36の装
着点があるので、3つの10点同時吸着タスクと1つの
6点同時吸着タスクを作ることにする。図41に示され
たコア501に対して、部品10個単位で刈り上げよう
とすると、コア501の一番下の段で3種類の部品が不
足し、下から2番目の段では、5種類の部品が、下から
3段目の段では6種類の部品が、それぞれ不足する。刈
り上げた部品数が36になるまでコア501を刈り上げ
ると、図41に示されるパターン501bが完成する。
このパターン501bに部品を割り当てれば、目標のタ
スクが生成できることになる。このパターン501bに
含まれる部品の個数は、部品ヒストグラムの5段目から
上に存在するパターン501aの部品の数に等しい。し
たがって、パターン501aの部品を部品テープ類ごと
に切り出して、パターン501bに縦方向に埋めてやれ
ばよい。図41に示されるように、部品1は、パターン
501aに11点の部品を残しているので、4+4+2
+1の小さな縦棒に分割して、パターン501bに順に
埋め込む。部品2、部品3は、分割せずにそのままパタ
ーン501bに埋め込めばコア処理は完成する。このよ
うな刈り上げ処理とコア処理の結果を併せると、部品ヒ
ストグラムは図42の部品ヒストグラム504のように
なる。この部品ヒストグラム504は、刈り上げ処理で
生成されたタスク群503とコア処理で生成されたタス
ク群502とを併せたものである。この部品ヒストグラ
ム504は、理想的な部品吸着パターンであり、7回の
10点同時吸着と1回の6点同時吸着で、全ての部品が
効率よく吸着され得る。
【0063】(2)実装点データの割当て(図39のS
335) 実装点データの割当ては、部品数の少ない部品を含むタ
スクから始める。図42に示された部品ヒストグラム5
04では、部品数が1の部品21を含むタスクから実装
点を割り当てる。タスク1では、部品15から部品21
までの7つの部品の部品数が1であるので、実装点デー
タは存在しているデータをそのまま割り当てればよい。
部品14は部品数が2であるので、2つのうちのどちら
の実装点データを選ぶかという問題が発生する。この場
合は、既に決定している部品15の実装点装着後、マル
チ装着ヘッド112の移動が最も小さくなる実装点デー
タを選ぶ。ただし、部品15を装着ヘッドH4で、部品
14を装着ヘッドH3で装着するので、装着ヘッドH4
とH3のオフセットを考慮して実装点を選択しなければ
ならない。部品13の実装点選択に関しても、同じ考え
方で行う。例えば、部品14aと部品14bのうち、部
品14aが実装点データに選ばれたなら、部品14aか
らの距離を計算して、部品13の実装点を選択する。以
降同様にして、部品12の実装点が選択され、タスク1
の全ての実装点が決定する。
【0064】3.1.5 関連する個別処理 「刈り上げ法」は、小部品に分類される部品グループの
部品種から、タスク(正確には吸着パターン)を生成す
るための処理である。詳細については、下記の個別処理
で説明している通りである。 ・「刈り上げ法」 ・「小部品のタスク生成処理」
【0065】3.2 「交差解消法」 「交差解消法」は、「貪欲法」の欠点を補うアルゴリズ
ムである。この処理は、図14のステップS324に相
当する。以下、「交差解消法」の詳細について、「貪欲
法」における課題を明らかにしながら、説明する。
【0066】3.2.1 「貪欲法」の概要 タスクに実装点を割り当てる際、各ノズルが実装する実
装点の間の距離が最小となるように部品種の中から実装
点を選んでいる。距離を計算する際には、ノズル間のピ
ッチを考慮している。この実装点選択方法は、「貪欲(g
reedy)法」に分類される方法である。この処理は、図1
4のステップS320eに相当する。「貪欲法」では、
あるタスクについては実装点間の距離が最小になったと
しても、他のタスクの実装点間の距離を考慮して実装点
を選択しているわけではないので、全タスクについて考
えると、必ずしも最適にはなっていない。
【0067】3.2.2 「貪欲法」の課題 「貪欲法」により吸着パターンに実装点を割り当てる場
合、特に、図43の上側の実装経路図(タスクごとに、
対応する基板位置に配置された実装点を装着順に線分で
接続した図)に示されるような実装経路の場合が問題と
なる。この図43では、実装点数が5のタスクが3個あ
る場合を示している。図43において、丸印は実装点を
示し、矢印は実装経路(順序)を示す。実装点の添え字
は部品種を示す。例えば、A1、A2、A3は、部品種Aに属
する3つの実装点である。また、同じ色の矢印で結ばれ
ている実装点が1つのタスクを構成する。まず、図43
の上側の「交差解消前」の状態では、部品種A1が存在す
る実装点から最も近い実装点として、部品種B1が存在す
る実装点が選択され、部品種B1に最も近い実装点とし
て、部品種C1ではなく、部品種C2が存在する実装点が選
択されている。これは、「貪欲法」では、最も距離の近
い実装点を次に実装するべき実装点として選択するため
である。さらに、「貪欲法」を繰り返し適用して実装点
を選択していくと、結果として、図43の上側の「交差
解消前」の状態のように、部品種B3が存在する実装点
と、部品種C1が存在する実装点を結ぶ経路が他の実装点
間を結ぶ経路と交差してしまう。
【0068】3.2.3 「交差解消法」 もしも、人間が実装順路を決めるのであれば、おそら
く、図43の下側の「交差解消後」のように、実装経路
が交差しないタスクをつくるはずである。そこで、「貪
欲法」による実装点の選択の後で、経路が交差している
個所を見つけ、それを解消する処理を行えばよい。この
処理が「交差解消法」である。その結果、図43の下側
の「交差解消後」のようになり、交差を解消する前と比
較して、経路の距離の合計が小さくなることが期待でき
る。具体的に、この図43の例では、部品種B1〜B3の中
から、2つを選んで入れ替えることにより、実装経路を
組み換え、それを繰り返すことで、実装経路が短くなる
タスクを作り出すことができる。なお、実際には、ノズ
ル間の間隔を考慮する必要があるが、ここでは考え方を
示すことが目的なので、省略した。「交差解消法」の詳
細は、後述の個別処理で説明している通りである。
【0069】3.2.4 関連する個別処理 「交差解消法」は、「貪欲法」による実装点の選択の後
で、実装経路が交差している個所を見つけ、それを解消
する処理である。その結果、実装経路の交差を解消する
前と比較して、実装経路の距離の合計が小さくなること
が期待できる。詳細については、下記の個別処理で説明
している通りである。 ・「交差解消法」
【0070】3.3 「戻り最適化法」 以下、「戻り最適化法」の詳細について、その着想プロ
セスを明らかにしながら、説明する。なお、この処理
は、図14のステップS325に相当する。
【0071】3.3.1 部品実装動作の検討 部品を実装する動作は、図44に示されるように、マク
ロな視点からは、次の3つの行程に分解される。 (1)部品吸着 → 部品認識カメラ (2)認識 → 部品装着 (3)部品装着 → 次の部品吸着 ・・・「戻り」
【0072】3.3.2 「戻り」行程の最適化の必要
性 まず上記工程(1)については、部品数の多い部品テープ
が部品認識カメラに近いZ軸上に配置されるようにする
ことにより、最適化される。次に上記(2)については、
ほぼ一定の距離と考え、最適化の対象としていない。な
ぜなら、部品認識カメラと基板の位置は固定であり、装
着時のヘッドの基板上での移動量は、Z軸の長さと比較
して、かなり小さく、すべての実装点が基板の中心に存
在すると考えられるからである。しかし、上記(3)につ
いては、「戻り」の行程は、上記(2)の距離と同程度で
あり、最適化が可能である。つまり、この工程に対して
最適化を行うことで、実装時間の短縮が期待できる。
【0073】3.3.3 「戻り最適化法」 上記(3)の「戻り」の行程についての最適化アルゴリズ
ムを考案した。この最適化アルゴリズムの基本的な考え
方は、「あるタスクの最終実装点の座標から、最短距離
で戻ることのできるZ軸上の位置にある、未実装のタス
クを探し、それを次に実装するタスクとする」というこ
とである。たとえば、図において、最終実装点からの距
離を調べると、タスクAよりもタスクBが短いので、次に
実装するべきタスクはタスクBとなる。
【0074】3.3.4 関連する個別処理 部品を実装する動作は、マクロな視点からは、次の3つ
の行程に分解される。 (1)部品吸着 → 部品認識カメラ (2)認識 → 部品装着 (3)部品装着 → 次の部品吸着 ・・・「戻り」 「戻り最適化法」は、(3)についてのヘッドの移動距離
を最適化するものであり、実装時間の短縮が期待でき
る。詳細については、下記の個別処理で説明している通
りである。 ・「戻り最適化法」
【0075】3.4 配列固定処理
【0076】3.4.1 概要 ユーザにより、複数の部品種について、それを配置する
Z番号が指定されている場合がある。これはZ軸上での部
品種の配列を指定するものであり、「配列固定」と呼ば
れている。一方、最適化アルゴリズムでは、Z軸上の部
品テープの配列も最適化対象となるので、ユーザによる
配列固定を考慮した最適化アルゴリズムを実現する必要
がある。しかし、ユーザによる配列固定のバリエーショ
ンは非常に多くなると考えられる。もしも、アルゴリズ
ム設計段階で幾つかの配列固定のバリエーションを想定
し、それらに対応した最適化アルゴリズムを考案できた
としても、想定外の配列固定のバリエーションに対応で
きるとは限らない。なぜなら想定した配列固定のバリエ
ーションに特化したアルゴリズムになってしまう傾向が
あり、想定外の配列固定には効果がない危険性があるか
らである。更に、そのアルゴリズムを想定外の配列固定
のバリエーションに対応させるように改造することがで
きても、それは例外処理的なアルゴリズムの追加となる
ため、プログラムの可読性が低下し、メンテナンス上で
問題となりうる。
【0077】そこで、最も確実で安全な方法として、図
45に示されるように、次のような方法を採用した。図
45は、配列固定の制約下における最適化の概要を示す
部品ヒストグラムである。 (1)仮のZ軸(仮Z軸)を用意し、配列固定を考慮せずに
仮Z軸上で部品種の配列を最適化する。つまり、理想的
な部品テープの配列を作成する(同時吸着を優先した部
品ヒストグラムを作成する)。 (2)仮Z軸から実際のZ軸(実Z軸)へ部品テープを移動す
る。このとき、配列固定を考慮し、配列固定の対象とな
っている部品テープを先に配置する。 (3)次に、配列固定の対象でない部品テープを仮Z軸から
実Z軸へ移動する。このとき、配列固定された部品テー
プの隙間に配列固定の対象でない部品テープを配置して
いく。最後に、実Z軸上の部品テープから、刈り上げ処
理により、吸着パターンを生成する。この方法によれ
ば、ユーザによって、どのような配列固定がなされて
も、1つのアルゴリズムで対応できる。また、今回考案
した配列固定のアルゴリズムでは、配列固定がない条件
下でアルゴリズムが生成した理想的な部品テープの配列
を崩す形で、ユーザが指定した配列固定に対応してい
る。そのため、理想的な部品テープ配列を使用する場合
と、配列固定がある部品テープ配列を使用する場合との
実装時間の比較を行うことができる。これは、配列固定
が持つ、機種切り替えの容易さという運用上の利点と、
配列固定がない場合の実装時間の短さを比較し、それら
のトレードオフについて再検討するための情報をユーザ
に提供するものである。
【0078】3.4.2 関連する個別処理 「配列固定」では、ユーザにより、複数の部品テープに
ついて、それを配置するZ番号が指定されている。その
ために、最適化アルゴリズムでは、Z軸上の部品テープ
の配列も最適化対象となるので、ユーザによる配列固定
を考慮した最適化アルゴリズムを実現する必要がある。
今回考案した配列固定のアルゴリズムでは、配列固定が
ない条件下でアルゴリズムが生成した理想的な部品テー
プの配列を崩す形で、ユーザが指定した配列固定に対応
している。詳細については、下記の個別処理で説明して
いる通りである。 ・「全体の流れ(ヒストグラムからスタート)」 ・「カセットブロック内の固定部品と「山」の配置関
係」 ・「配列固定:固定先の使用可否判断」 ・「ダブルカセットの配列固定について」 ・「ダブルカセットの配列固定(補足)」
【0079】3.5 LLサイズ基板への対応
【0080】3.5.1 概要 LLサイズ基板は、実装領域の制約がない通常の基板より
も搬送方向にサイズが大きい基板である。そのために、
図46に示されるように、LLサイズ基板には、特定のヘ
ッド(ノズル)でしか部品を装着できない実装領域(LL
制約領域)が存在する。また、それらのヘッドは、ある
範囲のZ番号に配置された部品テープ(カセット)から
は、部品を吸着できない。そこで、図47に示されるよ
うに、下記の2つの方法により、LL制約を回避する。 (1)Z軸上の部品テープの入れ替え (2)吸着方法の変更 上記(1)の処理は、LL制約領域の実装点を実装できるヘ
ッドで吸着できるZ軸の範囲に、LL制約領域の実装点を
含む部品テープを配置する処理である。Z軸上の全てのZ
番号に部品テープが配置されている場合、部品テープの
入れ替えを行う。上記(2)の処理では、まず、LL制約領
域に存在する実装点を含んだ部品ヒストグラムを仮想的
に次の2つの部品ヒストグラムに分割する。 ・LL制約領域に存在する実装点から構成される部品ヒス
トグラム ・LL制約領域に存在しない実装点から構成される部品ヒ
ストグラム そして、吸着時には、それぞれの部品ヒストグラムを実
装可能なヘッドで刈り上げて、その刈り上げた結果を合
成して、1つのタスクとする。
【0081】3.5.2 Z軸上の部品テープの入れ替
え (1)ヘッド1〜6は、LL制約領域には、部品を装着できな
い。 (2)ヘッド7〜10は、LL制約領域にも、部品を装着でき
る。 (3)機構上の制約により、各ヘッド毎に吸着できるZの範
囲が制限されている。 (4)Z=1〜11にLL制約領域の実装点を持つ部品テープが存
在すれば、その部品テープを、Z=12〜に存在し、かつ、
LL制約領域の実装点を持たない部品テープと入れ替え
る。
【0082】3.5.3 吸着方法の変更 (1)各Zにある実装点を「LL制約領域にある実装点」と
「LL制約領域にない実装点」に分ける。処理の上で扱い
を分けるだけであり、部品分割はしない。 (2)ヘッド1〜6とヘッド7〜10に分割し、仮想的に6ヘッ
ドと4ヘッドの2つを考える。 (3)LL制約領域にない実装点については、6ヘッドで刈り
上げを行い、6点タスクを作る。 (4)LL制約領域にある実装点については、4ヘッドで刈り
上げを行い、4点タスクを作る。 (5)6点タスクと4点タスクを組み合わせて、10点タスク
とする。
【0083】3.5.4 関連する個別処理 LLサイズ基板に対応するためには、吸着方法の変更とZ
軸上の部品テープの入れ替えが必要であり、それらにつ
いて、2案ずつのアルゴリズムを作成した。詳細につい
ては、下記の個別処理で説明している通りである。 ・「LL制約:吸着方法の変更(1)」 LLサイズ基板に対応するため、実装点をLL制約領域に存
在するものと存在しないものにわけ、LL制約領域に存在
する実装点をヘッド7〜10で吸着し、LL制約領域に存
在しない実装点をヘッド1〜6で吸着する。「山」のすそ
野側にある部品テープから順次、部品を吸着するが、左
ブロックであれば、ヘッド1〜6で吸着したZ範囲より
も、Z番号が大きいZから、つまりカメラに近づく方向に
進みながら、ヘッド1〜4で吸着するようにしたもので
ある。右ブロックでも同様である。 ・「LL制約:吸着方法の変更(2)」 LL制約領域に存在しない実装点を、「山」のすそ野側にあ
る部品テープから順次、ヘッド1〜6で吸着した後、同様
にLL制約領域に存在する実装点を、実装点を、「山」のす
そ野側にある部品テープから順次、ヘッド1〜6で吸着す
る。つまり、上記「LL制約:吸着方法の変更(1)」と
は異なり、必ずしも、カメラ方向に近づく方向に進みな
がら吸着を行うわけではない。 ・「LL制約:Z軸上の部品テープの入れ替え(1)」 Z番号が1〜11の部品テープについて、X座標が400mmより
も大きい実装点を含む部品テープを探し、それをX座標
が400mmよりも大きい実装点を含まない部品テープを入
れ替える。 ・「LL制約:Z軸上の部品テープの入れ替え(2)」 上記「LL制約:Z軸上の部品テープの入れ替え(1)」
よりも、実装点のX座標の扱いを細かくしたものであ
る。
【0084】3.6 XLサイズ基板への対応
【0085】3.6.1 概要 XLサイズ基板は、実装領域の制約がない通常の基板より
も搬送方向と直交する方向にサイズが大きい基板であ
る。そのために、図46に示されるように、XLサイズ基
板には、特定の設備(前サブ設備110又は後サブ設備
120)でしか部品を装着できない実装領域が存在す
る。図46は、特殊なサイズ(XL,LL)の基板における
基板上の制約領域(ヘッドが移動できないために実装で
きない領域)を示す図である。XLサイズ基板は、次の3
つの実装領域から構成されている。 ・前サブ設備110でしか部品を装着できない領域 ・後サブ設備120でしか部品を装着できない領域 ・前サブ設備110と後サブ設備120の両方で部品を
装着できる領域 更にLLサイズ基板と同様に特定のヘッド(ノズル)でし
か部品を装着できない領域が存在する。図46に示され
た制約を踏まえて、XLサイズ基板への対応を次に示す。 (1)実装点座標による前サブ設備110/後サブ設備1
20への割り当て (2)実装点座標による部品分割 (3)前サブ設備110と後サブ設備120の両方で実装
できる領域を利用した初期振り分け (4)LL制約の回避 詳細は、後述の個別処理で説明している通りである。
【0086】3.6.2 関連する個別処理 XLサイズ基板への対応を、実装点毎に実装可能なサブ設
備が前サブ設備110と後サブ設備120のどちらであ
るかを判断し、前サブ設備110と後サブ設備120に
実装点を振りわけることで、実現した。なお、XLサイズ
基板が持っている制約は、LLサイズ基板が持っている制
約を含んでいるので、XLサイズ基板に対応する処理に
は、LLサイズ基板に対応する処理が含まれる。詳細につ
いては、下記の個別処理で説明している通りである。 ・「XL制約」
【0087】3.7 負荷バランス処理
【0088】3.7.1 概要 負荷バランス処理は、初期振り分け処理において、負荷
レベルを指標として、前サブ設備110と後サブ設備1
20のバランスを調整する処理である。この処理は、図
14のステップS314bに相当する。
【0089】3.7.2 バランス調整方法のレベル バランスを調整する方法として、前サブ設備110と後
サブ設備120との間での部品の移動を行う。部品の移
動については、次の2つのレベルがある。 (1)「山」単位 (2)部品テープ単位 上記の「山」とは、最適化の結果、作成される部品テー
プのグループ、つまり、一定順序で並べられた部品テー
プ群又はその部品テープ群に対応する部品ヒストグラム
を意味する。上述のタスクグループの概念に近い。負荷
バランス処理とラインバランス処理では、実行する部品
移動のレベルが異なる。 負荷バランス処理:「山」、部品テープ ラインバランス処理:「山」、部品テープ、実装点 現在、負荷バランス処理で使用している負荷レベル計算
は、汎用部品から構成されるタスクに対する負荷レベル
の値の精度が悪い。そのため、負荷バランス処理では、
部品移動の単位を細かくしても効果が薄いと判断して、
実装点単位の部品移動は行っていない。詳細は、後述の
個別処理で説明している通りである。
【0090】3.7.3 関連する個別処理 「負荷バランス処理」は、前サブ設備110と後サブ設
備120の負荷レベルのバランスを調整する処理であ
る。部品テープを前サブ設備110と後サブ設備120
に振り分ける際に必要となる。まず、前サブ設備110
から順に部品テープを詰めて配置し、前サブ設備110
に配置できなかった部品テープを後サブ設備120に配
置する。これを初期状態として、前サブ設備110と後
サブ設備120の負荷バランスを計算し、その負荷バラ
ンスの差がOKになるまで、前サブ設備110に配置され
た部品テープを順番に後サブ設備120に移動する。な
お、各サブ設備の負荷バランスの計算方法は、「最適化
装置の動作(概要編)」での説明の通りである。詳細に
ついては、下記の個別処理で説明している通りである。 ・「負荷レベルバランス調整(「山」単位)」 ・「負荷レベルバランス調整(部品テープ単位)」
【0091】3.8 ラインバランス処理
【0092】3.8.1 概要 ラインバランス処理は、タスクが生成された後、実装時
間を指標として、前サブ設備110と後サブ設備120
のバランスを調整する処理である。この処理は、図14
のステップS323に相当する。ラインバランス処理と
負荷バランス処理と違いは、バランスの指標が異なるだ
けであり、互いに類似した処理である。
【0093】3.8.2 バランス調整方法のレベル バランスを調整する方法として、前サブ設備110と後
サブ設備120との間での部品の移動を行う。部品の移
動については、次の3つのレベルがある。 (1)「山」単位 (2)部品テープ単位 (3)実装点単位 ラインバランス処理では、実装点単位の部品移動を行う
点が、負荷バランス処理と異なる。
【0094】3.8.3 関連する個別処理 「ラインバランス処理」は、前サブ設備110と後サブ
設備120の実装時間のバランスを調整する処理であ
る。前サブ設備110と後サブ設備120のタスクを生
成した後、各サブ設備の実装時間をタクトシミュレータ
で計算し、実装時間の長いサブ設備から、実装時間の短
いサブ設備へ、部品を移動することにより、前サブ設備
110と後サブ設備120の実装時間のバランスを調整
する。バランスの指標などに違いがあるが、前述の負荷
バランス処理と類似の処理である。詳細については、下
記の個別処理で説明している通りである。 ・「前サブ設備110から後サブ設備120へ山を移動
する処理」 ・「前サブ設備110から後サブ設備120へ部品テー
プを移動する処理」 ・「前サブ設備110から後サブ設備120へ実装点を
移動する処理」 ・「ラインバランス処理でのスワップ処理」
【0095】3.9. 最適化装置による個別処理の詳
【0096】3.9.1 「刈り上げ法」 以下の手順により、タスクを生成する。 (1)部品ヒストグラム510を作成する(図48)。 (2)部品ヒストグラム510に対して、刈り上げ、コア
部分を残す(図49)。 本図において、四角形で囲まれた枠は、10点同時吸着
の吸着パターンである。 (3)刈り上げた部分511a(図50(a))と、コア
部分511b(図50(b))とを分離する。 (4)コア部分511bにテンプレート512を割り当て
る(図51)。本図において、四角枠で囲まれた黒色の
四角形(実装点)は、テンプレートでカバーできなかっ
た実装点を示し、これらをテンプレートの左側513
(「*」で示される箇所)を補完するために使用する。 (5)テンプレートの左側を補完する実装点514を決め
る(図52)。 (6)テンプレートの左側513を補完する(図53)。
本図において、白抜きの四角形は、補完に用いられた実
装点を示し、四角枠で囲まれた黒色の四角形は、補完に
用いられなかった実装点を示し、四角枠で囲まれた
「*」は、補完できなかった実装点を示す。 (7)コア部分とテンプレートにより補完された部分につ
いて、「山」515を作り直す(図54)。 (8)上記(2)において刈り上げにより作られたタスク51
1aも「山」516の形に作り直す(図55)。 (9)刈り上げによる「山」516とコア部分の「山」5
15とを合成し、「山」517を得る(図56)。 (10)「山」517全体を刈り上げ、吸着パターン518
を得る(図57)。本図において、第24のタスク(タ
スク24)は、吸着時のヘッドの上下回数(吸着上下回
数)が3回となることが示されている。 (11)制約が全くない場合は、そのままZ軸に配置する
(図58)。なお、制約を考慮した場合については、以
下((12)以降)の通りである。 (12)「刈り上げ法」によりタスク(四角枠で囲まれた部
品群)を生成する(図59)。 ここでは、コア部分の処理を行う。ただし、この段階で
は、最大分割数、カセットリソース、使用可能なZ番号
の個数は考慮しない。この例では、カセット番号1〜6
が分割されるので、カセット番号=1:部品A カセット番号=2:部品B カセット番号=3:部品C カセット番号=4:部品D カセット番号=5:部品E カセット番号=6:部品F とし、分割の様子を、例えば、部品Aは5分割されるの
で、それぞれ A1,A2,A3,A4,A5 と表現する。部品B,C,D,E,Fについても同様で
ある。また、その他の部品については黒色の四角形で表
現している。
【0097】(13)最大分割数を考慮し、カセット分割数
を適正化する(図60)。ここでは、部品Aの最大カセ
ット分割数が4であるとして、部品Aについて、カセッ
ト分割数を適正化している。部品Aは、5分割されてい
るので、A2〜A5のうちの1つをA1〜A5に統合す
る。このとき、A2〜A5の中で部品数が最小のものを
選択すれば、この統合の影響を受けるタスクの個数が最
小になる。この場合、A5の部品数が最小(3個)であ
るので、A5を選び、それらA5をA1〜A4に分散さ
せる。その結果、A5があった位置が空くので、A5の
左側にあるF2,E2,D2を右に1つ分移動する。 (14)このような適正化後におけるカセット配列は、図6
1に示される吸着パターン518b通りである。ここ
で、タスク21〜22は、吸着上下回数が2回となって
いる。 (15)続いて、ダイヤグラム518cのように、カセット
使用数を適正化する(図62)。ここでは、カセット使
用数がカセットリソースよりも1本だけ多いとする。部
品A2〜4,B2,C2,D2,E2,F2の中で部品
数が最小のものを選び、それを統合する。具体的には、
部品数が最小(1個)のF2を選び、これをF1に統合
する。
【0098】(16)このような適正化後におけるカセット
配列は、図63に示される吸着パターン518dの通り
である。カセット数が1本減っていることが分かる。 (17)続いて、ダイヤグラム518eのように、Z軸占有
数を適正化、つまり、使用可能なZ軸の範囲を考慮する
(図64)。ここでは、Z軸使用数がZ軸の空よりも1
本だけ多いとする。部品A2〜4,B2,C2,D2,
E2の中で部品数が最小のものを選び、それを統合す
る。具体的には、部品数が最小(2個)のE2を選び、
これをE1に統合する。 (18)このような適正化後におけるカセット配列は、図6
5に示される吸着パターン518fの通りである。ここ
で、タスク24は、吸着上下回数が4回のまま変ってい
ないが、タスク23は、吸着上下回数が3回となる。 (19)Z軸に配置する。ここでは、ダイヤグラム518g
に示されるように、B1は、本来Z番号=15に固定す
る部品であると仮定する(図66)。 (20)最初に固定カセット519をZ軸に配置する(図6
7)。 (21)非固定カセットをZ軸に配置する。その結果は、吸
着パターン520となる(図68)。このとき、非固定
カセットは、上記(19)で決まったカセット配列の順序
で、固定カセットを避けるようにしてZ軸に配置する。 (22)「山」521の形に戻す(図69)。 (23)再度、「刈り上げ法」によりタスクを生成し、吸着
パターン522を得る(図70)。ただし、コア部分の
処理は行わない。ここで、タスク24は、吸着上下回数
が3回に、タスク22〜23は、吸着上下回数が2回
に、タスク17〜19は、吸着上下回数が2回となる。
【0099】3.9.2 平行四辺形によるカセット分
割 コア部品に対する平行四辺形のテンプレートを用いたカ
セット分割の方法は、以下の通りである。 (1)ここでは、対象のコア部品525の合計部品数が3
0とする(図71の上段)。つまり、10点吸着のタス
クを3個つくることにする。 (2)まず、カセット数が9なので、それに対応する平行
四辺形(テンプレート)523を作る(図71の中段の
右)。なお、平行四辺形526の各段の右端は、10点
カット×9本の場合に、この平行四辺形526へ部品を
割り当てた場合の部品の種類を示す文字(A〜I)とな
っている。 (3)対象部品525の1段目(最下段)525aに着目
し、その右端が「I」なので、これを、右端が同一文字
(「I」)である平行四辺形526の段(ここでは、平
行四辺形526の最下段)に配置する(図71の下
段)。 (4)同様に、対象部品525の2段目525bに着目
し、その右端が「F」なので、これを、右端が同一文字
(「F」)である平行四辺形526の段(ここでは、平
行四辺形526の4段目)に配置する(図72の上
段)。 (5)同様に、対象部品525の3段目525cに着目
し、その右端が「C」なので、これを、右端が同一文字
(「C」)である平行四辺形526の段(ここでは、平
行四辺形526の7段目)に配置する(図72の中
段)。 (6)これ以上、右端の文字が一致する段が存在しないの
で、残った部品525cを配置済みの各段(1,4,7
段目)の空き位置(「X」)に配置する(図72の下
段)。
【0100】(7)そのとき、残り部品数の多い部品52
5e、525fから割り当てていく(図73の上段、中
段)。 (8)もし、残り部品数が同数の場合は、部品の文字の順
序で部品525gを割り当てる(図73の下段)。 (9)以上の規則に従って、残る全ての部品525h〜k
をテンプレート526に置く(図74、図75の上
段)。 (10)全ての部品をテンプレート526に置き終えた結
果、テンプレート526の1,4,7段目は部品で埋ま
るので(図75の中段)、最後に、それら1,4,7段
目の隙間を詰めることで、カセット分割が完了する(図
75の下段)。
【0101】3.9.3 長方形によるカセット分割 コア部品に対する長方形のテンプレートを用いたカセッ
ト分割の方法は、以下の通りである。 (1)30個の対象のコア部品527の下部に、長方形の
テンプレート(ここでは、幅10×高さ3のテンプレー
ト)528を当てる(図76の上段)。 (2)補完すべき領域(白抜き四角形)528aを、補完
できた領域の左側に配置する(図76の中段)。 (3)残り部品数の多い部品527a、527bから、テ
ンプレートの補完領域528aに置いていく(図76の
下段、図77の上段)。 (4)もし、残り部品数が同数の場合は、部品の文字の順
序で部品527cを割り当てる(図77の中段)。 (5)以上の規則に従って、残る全ての部品527d〜g
をテンプレート528aに置く(図77の下段、図7
8、図79)。配置を完了した時点で、カセット分割が
終了する。
【0102】3.9.4 与えられたカセット本数での
コア処理方法 基本のコア処理を行って、理想の「山」の形を作ってか
ら、補完カセットを圧縮し、与えられたカセットリソー
ス内に納める。コア処理を行う際、与えられたカセット
本数分だけ補完カセットができるように、補完カセット
へ部品数を割り当てる処理を行って、最後にコア部分に
残っている、本来、部品分割に使う部品種(部品テー
プ)の部品数を同一部品種に均等に配分する方法も可能
と考えられる。ダブルカセットについては、奇数Z番号
上にコアが残るので、シングルカセットのコア処理と同
様にして、補完カセットをつくることができる。この場
合、補完カセットは、ダブルカセットの奇数側(奇数Z
番号の分)のみを使用する。また、カセットを圧縮する
処理も、シングルカセットと同様に行えばよい。
【0103】具体的には、 (1)コア部分に対してコア処理を行い、理想の「山」を
作る。この時、補完カセットが作られる。 (2)補完カセットの本数Nを求める。 (3)補完カセット数Nと与えられたカセット本数Mを比
較する。 (4)N≦Mであれば、終了する。 戻り値はNとする。コア処理では、与えられたカセット
本数を全部使わなくてもよい場合があるので、Nを戻り
値とした。補完カセットは最大で9本なので、10本以
上のカセットを与えても意味がない。戻り値Nでカセッ
トリソースの管理を行う。 (5)N>Mであれば、カセットを1本分だけ圧縮する。 (5.1)「山」の中から部品数が最も小さいカセットCを
探す。 (5.2)カセットCと同じ部品テープを持つカセットDを
「山」の中から探す。カセットDは複数存在する場合が
ある。カセットCは、カセットDに含めない。 (5.3)カセットCの部品数をカセットDへ均等に配分す
る。均等に配分できない場合には、「山」のコア側に行
くほどカセットの部品数が多くなるようにする。たとえ
ば、カセットCの部品数が5で、カセットDが3本あれ
ば、2、2、1というように分割し、「山」のコア側の
カセットから順に、2、2、1と分配する。 (6)補完カセット数Nから1を引く。 (7)(3)へ戻る。
【0104】3.9.5 小部品のタスク生成処理 ノズル番号とZ番号の対応を決定し、各タスクの吸着パ
ターンを生成する処理を行う。ノズルと実装点の対応
は、「貪欲法」により決定される。「山」の「すそ野」
側からスキャンして吸着パターンを生成する。そのた
め、「すそ野」がZ番号の小さい側に存在する左ブロッ
クと、「すそ野」がZ番号の大きい側に存在する右ブロ
ックとでは、ヘッドとZ軸のスキャン方向が反対になる
が、基本的には同じ処理となる。ダブルカセットの場
合、偶数Z番号側にある部品テープの全ての部品数を吸
着パターンに割り当ててから、奇数Z番号側にある部品
テープの部品数を吸着パターンに割り当てる。偶数Z番
号側に存在する部品テープから作られる最後のタスクの
吸着点数が10未満の場合、10に満たない分を奇数Z
番号に存在する部品テープから吸着する。 ・プログラミングにおけるポイント 以下に説明する処理では、実Z軸上に配置された部品テ
ープが吸着すべき部品テープか否かを判定するため、そ
の部品テープが処理対象となる「山」に属するものかど
うかを判定している。そこで、部品テープの属性とし
て、「山」番号などの「山」を識別するための情報を用
意し、事前に設定しておくと便利である。1つの部品グ
ループから2以上の「山」が作り出されることがあるの
で、部品グループ番号は「山」の識別に使わないほうが
よい。左ブロックの場合(シングルカセットの「山」) (8)タスク番号tに1を設定する。 (9)この「山」を構成する部品テープに属する実装点の
個数の合計を求め、実装点数合計とする。 (9.1)実装点数合計がゼロの場合、以下の処理を行う。 (9.1.1)(15)へ進む。 全く実装点が無い「山」は存在しないので、エラーとす
る。
【0105】(10)タスク番号tのタスクが持つノズルの
うち、Z番号が対応付けられていないノズルの中から、
ノズル番号が最小のものを見つけ、そのノズル番号をNv
acとする。ノズル番号は1〜10とする。Z番号が対応
付けられているノズルが全く無い場合、Nvacは1とな
る。 (10.1)すべてのノズルにZ番号が対応付けられている場
合、以下の処理を行う。 (10.1.1)(13)へ進む。次のタスクの吸着パターンの生
成へ進むことになる。このタスクの吸着点数は10点に
なる。 (11)「山」を構成する部品テープが存在するZ番号につ
いて、ノズル番号Nvacのノズルで吸着できるZ番号の中
から最小のZ番号を求め、Zvacとする。Z番号は、前サブ
設備110であれば、「1〜 48の範囲にある奇数」
である。Z番号は、後サブ設備120であれば、「97
〜144の範囲にある奇数」である。 (11.1)そのようなZ番号が見つからない場合、以下の処
理を行う (11.1.1)(13)へ進む。次のタスクの吸着パターンの生
成へ進むことになり、このタスクは吸着点数が10未満
となる。たとえば、Z=1だけに部品テープが存在する場
合、ノズル1でしか吸着できず、ノズル2〜10が吸着
できる部品テープが存在しないため、Zvacが決まらな
い。 (12)実装点数合計が正であり、かつ、 Nvacが10以下
である場合、以下の処理を行う。 (12.1)ノズル番号がNvacであるノズルにZ番号が対応付
けられておらず、かつ、Zvacに存在する部品テープがこ
の「山」に属する場合、以下の処理を行う。 (12.1.1)ノズル番号がNvacであるノズルにZvacを対応付
ける。 (12.1.2)Zvacに存在する部品テープの実装点の個数から
1を減算する。 (12.1.3)実装点数合計から1を減算する。 たとえば、1回目の吸着で「歯抜け」状に吸着した場
合、2回目の吸着では、すぐ隣のノズルが空いていると
は限らないので、この条件判定(前半部分)を入れた。
また、「山」の途中に、この「山」に無関係な部品テー
プ(固定カセットの部品テープなど)が存在する可能性
があるので、この条件判定(後半部分)を入れた。 (12.2)Nvacに1を加算する。 (12.3)Zvacに2を加算する。 (12.4)(12)に戻る。 (13)タスク番号に1を加算する。 (14)(10)へ戻る。
【0106】(15)吸着パターン生成処理を終了する。 右ブロック の場合(シングルカセットの「山」) (16)タスク番号tに1を設定する。 (17)この「山」を構成する部品テープに属する実装点の
個数の合計を求め、実装点数合計とする。 (17.1)実装点数合計がゼロの場合、以下の処理を行う。 (17.1.1)(23)へ進む。 全く実装点が無い「山」は存在しないので、エラーとす
る。 (18)タスク番号tのタスクが持つノズルのうち、Z番号が
対応付けられていないノズルの中から、 ノズル番号が
最大のもの を見つけ、そのノズル番号をNvacとする。
ノズル番号は1〜10とする。Z番号が対応付けられて
いるノズルが全く無い場合、 Nvacは10 となる。 (18.1)すべてのノズルにZ番号が対応付けられている場
合、以下の処理を行う。 (18.1.1)(21)へ進む。次のタスクの吸着パターンの生
成へ進むことになる。このタスクの吸着点数は10点に
なる。 (19)「山」を構成する部品テープが存在するZ番号につ
いて、ノズル番号Nvacのノズルで吸着できるZ番号の中
から最大のZ番号を求め、Zvacとする。Z番号は、前サブ
設備110であれば、「49〜 96の範囲にある奇
数」である。Z番号は、後サブ設備120であれば、
「145〜192の範囲にある奇数」である。 (19.1)そのようなZ番号が見つからない場合、以下の処
理を行う (19.1.1)(21)へ進む。 次のタスクの吸着パターンの生成へ進むことになり、こ
のタスクは吸着点数が10未満となる。たとえば、Z=1
だけに部品テープが存在する場合、ノズル1でしか吸着
できず、ノズル2〜10が吸着できる部品テープが存在
しないため、Zvacが決まらない。
【0107】(20)実装点数合計が正であり、かつ、Nvac
が1以上である場合、以下の処理を行う。 (20.1)ノズル番号がNvacであるノズルにZ番号が対応付
けられておらず、かつ、Zvacに存在する部品テープがこ
の「山」に属する場合、以下の処理を行う。 (20.1.1)ノズル番号がNvacであるノズルにZvacを対応付
ける。 (20.1.2)Zvacに存在する部品テープの実装点の個数から
1を減算する。 (20.1.3)実装点数合計から1を減算する。 たとえば、1回目の吸着で「歯抜け」状に吸着した場
合、2回目の吸着では、すぐ隣のノズルが空いていると
は限らないので、この条件判定(前半部分)を入れた。
また、「山」の途中に、この「山」に無関係な部品テー
プ(固定カセットの部品テープなど)が存在する可能性
があるので、この条件判定(後半部分)を入れた。 (20.2)Nvacから1を減算する。 (20.3)Zvacから2を減算する。 (20.4)(20)に戻る。 (21)タスク番号に1を加算する。 (22)(18)へ戻る。 (23)吸着パターン生成処理を終了する。 左ブロック(ダブルカセットの「山」) (24)ダブルカセットの偶数Z番号側について、前述の左
ブロックの場合(シングルカセットの「山」)」と同様に
して、吸着を行う。ただし、奇数Z番号からではなく、
偶数Z番号からの吸着動作になる点のみが異なる。 (25)ダブルカセットの偶数Z番号側から吸着したタスク
の中の最後のタスクが10点未満のタスクであれば、そ
のタスクをダブルカセットの奇数Z番号側を吸着する際
のタスクの初期値とする。その最後のタスクは、ノズル
1から順に吸着していて、ノズル番号の大きい側が空き
になっている。これをそのまま奇数Z番号側を吸着する
際のタスクの初期値としてしまうと、たとえば、Z=1付
近からの吸着ができない。そこで、ノズル番号の小さい
ノズルが空きになるように、既に吸着している実装点を
ノズル番号の大きいノズルのほうへ移動しておく。
【0108】(26)ダブルカセットの奇数Z番号側につい
て、前述の「右ブロックの場合(シングルカセットの
「山」)」と同様にして、吸着を行う。ただし、奇数Z番
号からではなく、偶数Z番号からの吸着動作になる点の
みが異なる。ダブルカセットの偶数側のZ番号を吸着し
た結果、その最後のタスクの吸着点数が10点未満の場
合、ダブルカセットの奇数Z番号側の吸着の最初のタス
クが初期値を持っている点が異なる。右ブロック(ダブ
ルカセットの「山」) (27)ダブルカセットの偶数Z番号側について、前述の
「右ブロックの場合(シングルカセットの「山」)」と同
様にして、吸着を行う。ただし、奇数Z番号からではな
く、偶数Z番号からの吸着動作になる点のみが異なる。 (28)ダブルカセットの偶数Z番号側から吸着したタスク
の中の最後のタスクが10点未満のタスクであれば、そ
のタスクをダブルカセットの奇数Z番号側を吸着する際
のタスクの初期値とする。その最後のタスクは、ノズル
10から順に吸着していて、ノズル番号の小さい側が空
きになっている。これをそのまま奇数Z番号側を吸着す
る際のタスクの初期値としてしまうと、たとえば、Z=9
6付近からの吸着ができない。そこで、ノズル番号の大
きいノズルが空きになるように、既に吸着している実装
点をノズル番号の小さいノズルのほうへ移動しておく。 (29)ダブルカセットの奇数Z番号側について、前述の
「右ブロックの場合(シングルカセットの「山」)」と同
様にして、吸着を行う。ただし、奇数Z番号からではな
く、偶数Z番号からの吸着動作になる点のみが異なる。
ダブルカセットの偶数側のZ番号を吸着した結果、その
最後のタスクの吸着点数が10点未満の場合、ダブルカ
セットの奇数Z番号側の吸着の最初のタスクが初期値を
持っている点が異なる。
【0109】3.9.6 「交差解消法」 「交差解消法」は、全ての吸着パターンが決まり、各吸
着パターンに「貪欲法」(+HC法)などで実装点の割振
りが行われ仮のタスクが決まった後に、実装点の割振り
の最適化を行うアルゴリズムの一つである。図80
(a)は、交差解消法を適用する前の実装経路図(貪欲
法により決定した実装経路図)530aを示し、図80
(b)は、交差解消法を適用した後の実装経路図530
bを示す。本図に示されるように、このアルゴリズム
は、ヘッドの移動軌跡が無駄にクロスする箇所を減少さ
せるものである。なお、処理対象となるタスクの実装点
が、LL基板、XL基板におけるヘッド制限に引っかかる場
合は、「組替えの対象となる部分タスクの全ての実装点
が、ヘッド番号がhead1=head2を満たしている」場合の
み、交差解消アルゴリズムの対象としてよい。その他の
場合に、「交差解消法」を強行すると、極めて高い確率
でヘッドが実装点に届かない場合が発生する。図81
(a)は、交差解消法のアルゴリズムを説明する実装経
路図であり、図81(b)は、4つの実装点による1つ
の交差(線Aと線Bによる交差)の例を示す図である。
具体的なアルゴリズムは、以下の通りである。 (0)それぞれのタスクの実装点を打つ際のヘッドの移動
量を計算し、全タスクに対する総和を求める (1)実装点の組替えを行うZ座標、切断点(cutpoint)に
1を代入する (2)組替えを行うタスク1に1を代入する(task1=1) (3)組替えを行うタスク2に(task1+1)を代入する
(task2=task1+1)。 (4)cutpointに対応するヘッド番号(head1,head2)をそ
れぞれのタスクについて求める (5)2つのヘッド番号がともに適正か? (5.1)適正でない場合(指定したZ座標に対応する実装点
がない)、(13)へ (5.2)適正である場合、(6)へ (6)それぞれのタスクの実装点を打つ際のヘッドの移動
量を計算し、その和(olength)を求める (7)cutpointより左側の部分タスクの組替えを行う (8)それぞれのタスクの実装点を打つ際のヘッドの移動
量を計算し、その和(nlengthL)を求める (9)cutpointより右側の部分タスクの組替えを行う
【0110】(10)それぞれのタスクの実装点を打つ際の
ヘッドの移動量を計算し、その和(nlengthR)を求める (11)3つの移動量、olength,nlengthL、nlengthRを比較
し、最小のものを求める (12)最小の移動量を与えるタスクを新しいタスクとして
を採用する (13)タスク2をインクリメントする(task2=task2+
1) (14)タスク2(task2)とタスク数を比較する (14.1)タスク2がタスク数を超えていない場合、(4)へ
戻る (14.2)その他の場合、(15)へ (15)タスク1をインクリメントする(task1=task1+1) (16)タスク1(task1)とタスク数を比較する (16.1)タスク1がタスク数を超えていない場合、(3)へ
戻る (16.2)その他の場合、(17)へ (17)切断点をインクリメントする(coutpoint=cutpoint
+1) (18)切断点と最大Z座標を比較する (18.1)切断点が最大Z座標を超えていない場合、(2)へ (18.2)その他の場合、(19)へ (19)それぞれのタスクの実装点を打つ際のヘッドの移動
量を計算し、全タスクに対するヘッド移動量の総和を求
める (20)ヘッド移動量の総和が減少しているか否かを調べる (20.1)減少している場合、(0)へ (20.2)その他の場合、終了 図82は、このようなアルゴリズムによる交差解消法の
適用例を示す実装経路図であり、図82(a)は、適用
前の実装経路図(貪欲法による実装経路図)531aを
示し、図82(b)は、適用後の実装経路図531bを
示す。実装経路がクロスしている箇所の数が減少し、総
実装経路が短縮化されているのがわかる。
【0111】3.9.7 「戻り最適化法」 「戻り最適化法」は、全てのタスクへの実装点の割振り
が決まった後に、タスクの実装順序の最適化を行うアル
ゴリズムである。その詳細は、以下の通りである。 (1)各タスクの最終実装点のX座標を求める (2)最終実装点のX座標の大きい順に従って並べたタスク
番号リスト(up[])を作る (3)各タスクの部品テープの最大Z座標を求める(吸着時
にヘッド10番が取るZ座標の最大値) (4)最大Z座標の大きい順に並べたタスク番号リスト(p
oint[].task)を作る (5)実装順序1番に、最終実装点のX座標が最大のタスク
を割り当てる (6)その次に実装するタスクとして、残っているタスク
の内最も大きな最大Z座標を持つタスクを割り当てる (7)実装順序が決まっていないタスクが残っているか? (7.1)残っている場合、(8)へ (7.2)その他の場合、(10)へ (8)残っているタスクのうち最終実装点のX座標が最大の
ものを、その次に実装するタスクとして割り当てる (9)実装順序が決まっていないタスクが残っているか? (9.1)残っている場合、(6)へ (9.2)その他の場合、(9)へ (10)それぞれのタスクの実装点を打つ際のヘッドの移動
量を計算し、全タスクに対するヘッド移動量の総和を求
める (11)実装順序の入替えを行うタスク1に1を代入する
(task1=1) (12)実装順序の入替えを行うタスク2に(task1+1)
を代入する(task2=task1+1) (13)それぞれのタスクの実装点を打つ際のヘッドの移動
量を計算し、全タスクに対する総和(olength)を求め
る (14)タスク1の次に実装するタスクをタスク2の次に実
装し、タスク2の次に実装するタスクをタスク1の次に
実装する新しいタスクの実装順序を求める (15)それぞれのタスクの実装点を打つ際のヘッドの移動
量を計算し、全タスクに対する総和(nlength)を求め
る (16)2つの移動量、olength,nlengthを比較し、最小の
ものを求める (17)最小の移動量を与える実装順序を新しい実装順序と
してを採用する (18)タスク2をインクリメントする(task2=task2+
1) (19)タスク2(task2)とタスク数を比較する (19.1)タスク2がタスク数を超えていない場合、(11)へ
戻る (19.2)その他の場合、(19)へ
【0112】(20)タスク1をインクリメントする(task
1=task1+1) (21)タスク1(task1)とタスク数を比較する (21.1)タスク1がタスク数を超えていない場合、(10)へ
戻る (21.2)その他の場合、(21)へ (22)それぞれのタスクの実装点を打つ際のヘッドの移動
量を計算し、全タスクに対するヘッド移動量の総和を求
める (23)ヘッド移動量の総和が減少しているか否かを調べる (23.1)減少している場合、(0)へ (23.2)その他の場合、終了 以上のように、このアルゴリズムは、大きく、以下の2
つのパートからなる。 (パート1) (i)図83に示されるように、各タスクの最終実装点か
ら最短距離にある吸着位置(タスク)を見つける(図中
の実線矢印)。図83は、図44における「戻り」動作
を示す図であり、基板上の最終実装点(四角形内の丸
印)と次に吸着すべき部品カセットのZ軸上の位置(横
一列に並んだ丸印1〜19)を示す。 (ii)1番吸着位置を始点にして実装経路を順次書いてい
く(図中の点線矢印)。 (iii)経路が1番吸着位置に戻ったら、それを最短巡回
部分経路1とする。 (iv)これまで見つかった最短巡回部分経路に含まれない
吸着位置を探す(図83に示された例では、「4」とな
る)。 (v)上記(ii)に戻る。 その結果、図83に示された例では、最短巡回経路は5
つとなる。 (パート2)どの吸着位置から実装を始めれば、複数の
最短巡回経路を実装順序が最適化できるかを求める。こ
れは、右から順に実装するので問題ない。戻ることがな
ければよいからである。図84(a)は、同一の部品カ
セットに複数の実装点がある場合における「戻り」動作
を示す図であり、図84(b)は、この「戻り最適化
法」を適用した場合のヘッドの戻り軌跡を示すシミュレ
ーション結果であり、適用前の移動軌跡532aにおけ
る無駄なクロス(左図)が適用後の移動軌跡532bの
ように減少しているのがわかる。
【0113】3.9.8 全体の流れ(ヒストグラムか
らスタート) (1)実装点データから、部品グループを作成する。 (2)小部品の各部品グループについて、「山」を作る。 (2.1)使用するカセットによって、部品テープを次の3
つに分類する。 1.シングルカセットを使う部品テープ 2.ダブルカセットを使う部品テープ(送りピッチ2m
m) 3.ダブルカセットを使う部品テープ(送りピッチ4m
m) (2.2)シングルカセットを使う部品テープについて、仮
Z軸上に「山」を作る。 (2.2.1)仮Z軸上に部品ヒストグラムを作成する。部品
数の多い順に部品テープを並べる。最も部品数の多い部
品テープをZ=1に配置する。 (2.2.2)部品ヒストグラムを構成する部品テープの個数
をNとする。 (2.2.3)仮Z軸から実Z軸へ変換する。仮Z軸上のZ=
1からNまでの部品テープを、その順番で、実Z軸上の
Z=1〜2Nの範囲の奇数Z番号に配置する。 (2.3)送りピッチが2mmのダブルカセットを使う部品
テープについて、仮Z軸上に「山」を作る。 (2.3.1)仮Z軸上に部品ヒストグラムを作成する。部品
数の多い順に部品テープを並べる。最も部品数の多い部
品テープをZ=1に配置する。 (2.3.2)部品ヒストグラムを構成する部品テープの個数
をNとする。 (2.3.3)Nを2で割った値(小数点以下切り上げ)をM
とする。 (2.3.4)ダブルカセットをM本用意する。 (2.3.5)第2仮Z軸を用意する。 (2.3.6)M本のダブルカセットを第2仮Z軸上のZ=1
からNまで、間を詰めて配置する。 (2.3.7)仮Z軸のZ=1からMまでの部品テープを第2
仮Z軸のZ=1、3、5、…、N−1の奇数Z番号に配
置する。ダブルカセットの奇数側に配置することにな
る。 (2.3.8)仮Z軸のZ=(M+1)からNまでの部品テー
プを、第2仮Z軸のZ=2、4、6、…、Nの偶数Z番
号に配置する。ダブルカセットの偶数側に配置すること
になる。Nが奇数の場合は、第2仮Z軸上のZ=(N−
1,N)に配置されるダブルカセットは、偶数側が空き
になるが、そのままとする。 (2.3.9)第2仮Z軸を改めて仮Z軸とする。 (2.4)送りピッチが4mmのダブルカセットを使う部品
テープについて、仮Z軸上に「山」を作成する。送りピ
ッチの違いを除いて、前述の「送りピッチが2mmのダ
ブルカセットを使う部品テープについて、仮Z軸上に
「山」を作る」処理と同じである。 (2.5)送りピッチが2mmと4mmのダブルカセットの
部品ヒストグラムを融合する。 (2.5.1)送りピッチが2mmのダブルカセットの「山」
と、送りピッチが4mmのダブルカセットの「山」を同
じ仮Z軸上に配置する。送りピッチが2mmのダブルカ
セットの「山」をZ=1から配置し、それに続けて、送
りピッチが4mmのダブルカセットの「山」を配置す
る。次の処理でカセットの並べ替えをするので、配置順
序は逆でもかまわない。 (2.5.2)仮Z軸上のダブルカセットを、その奇数Z番号
側の部品テープの部品数の大きい順に並べ替える。部品
数が最も大きい部品テープを持つダブルカセットをZ=
1に配置する。ダブルカセットのペアは崩さない。送り
ピッチが2mmと4mmのダブルカセットが混在した
「山」ができる。奇数Z番号の部品テープの部品数を見
ると、単調減少するヒストグラムになる。偶数Z番号の
部品テープの部品数を見ると、単調減少するヒストグラ
ムになっていない場合がある。
【0114】(3)実Z軸上にすべての「山」を[強制的
に]配置する。「山」を前サブ設備110から詰めて配
置していき、すべての「山」が実Z軸上に載り切るかど
うかを調べる。部品グループの順に「山」単位で配置す
る。前後サブ設備120にまたがる「山」は分割し、前
後サブ設備120へ振り分ける。小部品は、1つの部品
グループが「シングルカセットを使用する山」と「ダブ
ルカセットを使用する山」に分かれる。どちらか一方の
「山」しかない部品グループもある。小部品で1つの部
品グループが「シングルカセットを使用する山」と「ダ
ブルカセットを使用する山」に分かれた場合、それぞれ
を独立した「山」として扱う。汎用部品は、部品グルー
プ単位で「山」になっているとする。汎用部品は、ユー
ザの指定通りに分割されているものとする。・配置ルー
ル小部品については、シングルカセットとダブルカセッ
トがあるので、次のような順序で配置する。隣接条件を
考慮して、シングルカセットとダブルカセットが隣接し
にくくなるような、配置順序とした。 前サブ設備110にダブルカセットを配置する。 (i)AブロックのZ番号=(47,48)から、Z番号
の小さいほうへ順に空きを探して配置する。 (ii)Aブロックに空きがなくなったら、BブロックのZ
番号=(95,96)へ移動し、Z番号の小さいほうへ
順に空きを探して配置する。 前サブ設備110にシングルカセットを配置する。 (i)BブロックのZ番号=49から、Z番号の大きいほ
うへ順に空きを探して配置する。 (ii)Bブロックに空きがなくなったら,AブロックのZ
番号=1へ移動し,Z番号の大きい方へ順に空きを探し
て配置する。 後サブ設備120にダブルカセットを配置する。 (i)CブロックのZ番号=(143,144)から、Z
番号の小さいほうへ順に空きを探して配置する。 (ii)Cブロックに空きがなくなったら、DブロックのZ
番号=(191,192)へ移動し、Z番号の小さいほ
うへ順に空きを探して配置する。 後サブ設備120にシングルカセットを配置する。 (i)DブロックのZ番号=145から、Z番号の大きい
ほうへ順に空きを探して配置する。 (ii)Dブロックに空きがなくなったら、CブロックのZ
番号=97へ移動し,Z番号の大きいほうへ順に空きを
探して配置する。配列固定の対象である部品テープが存
在する場合、それらの部品テープを固定先のZ番号へ配
置した後、配列固定の対象でない部品テープを配置す
る。ダブルカセットの配列固定については、「ダブルカ
セットの配列固定について」で詳述する。 (3.1)部品グループ番号をnで表し、n = 0とする。 (3.2)nが部品グループ番号の最大値よりも大きい場合、
(3.7)へ進む。 (3.3)部品グループnに属するシングルカセットの「山」
が存在する場合、以下の処理を行う。 (3.3.1)前サブ設備110に配置する。 (3.3.2)その結果、前サブ設備110に載りきらないの
であれば、「山」を部品テープ単位で分割し、前サブ設
備110に載りきらない部品テープを後サブ設備120
に配置する。 (3.3.3)その結果、後サブ設備120に載りきらないの
であれば、エラーとする。小部品の「山」を配置する場
合は上記の配置ルールに従う。 (3.4)部品グループnに属するダブルカセットの「山」が
存在する場合、以下の処理を行う。 (3.4.1)前サブ設備110に配置する。 (3.4.2)その結果、前サブ設備110に載りきらないの
であれば、「山」を部品テープ単位で分割し、前サブ設
備110に載りきらない部品テープを後サブ設備120
に配置する。 (3.4.3)その結果、後サブ設備120に載りきらないの
であれば、エラーとする。小部品の「山」を配置する場
合は上記の配置ルールに従う。 (3.5)nに1を加算する。 (3.6)(3.2)へ戻る。 (3.7)前サブ設備110と後サブ設備120の「山」の
状態を記憶する。最も詰め込んだ状態で、すべての
「山」を配置できたことになる。
【0115】(4)前サブ設備110から順に「山」を詰
めて配置する。負荷レベルを尺度とした前サブ設備11
0と後サブ設備120のバランス調整を行う際の「山」
の配置の初期状態を作る。前サブ設備110→後サブ設
備120の順に、前サブ設備110から詰めて、部品グ
ループの小さい「山」から順に配置し、「山」の配置の
初期状態とする。配列固定の対象である部品テープが存
在する場合、配列固定の対象である部品テープを固定先
のZ番号へ配置した後、配列固定の対象でない部品テー
プを配置する。配列固定の対象である部品テープと、そ
れが属している「山」が同じブロックに配置された場
合、配列固定の対象である部品テープを「山」に含め
て、1つの「山」とし、その「山」に「刈り上げ法」を
適用する。配列固定の対象である部品テープと、それが
属している「山」が異なるブロックに配置された場合、
別々の「山」とし、それぞれの「山」に「刈り上げ法」
を適用する。 (4.1)部品グループ番号をnで表し、n = 0とする。 (4.2)nが部品グループ番号の最大値よりも大きい場合、
(4.8)へ進む。 (4.3)部品グループnに属するシングルカセットの「山」
が存在する場合、以下の処理を行う。 (4.3.1)前サブ設備110に配置する。 (4.3.2)その結果、前サブ設備110に載りきらないの
であれば、「山」を部品テープ単位で分割し、前サブ設
備110に載りきらない部品テープを後サブ設備120
に配置する。 (4.3.3)その結果、後サブ設備120に載りきらないの
であれば、エラーとする。左右ブロックのうち、Zの空
きが多いほうに「山」を配置する。左右ブロックのZの
空きが同じ場合には、右ブロックに配置する。左ブロッ
クのZに空きがあるが、「山」が収まりきらない場合に
は、「山」を部品テープ単位に2分割して、左右のブロ
ックへ配置する。 (4.4)部品グループnに属するダブルカセットの「山」が
存在する場合、以下の処理を行う。 (4.4.1)前サブ設備110に配置する。 (4.4.2)その結果、前サブ設備110に載りきらないの
であれば、「山」を部品テープ単位で分割し、前サブ設
備110に載りきらない部品テープを後サブ設備120
に配置する。 (4.4.3)その結果、後サブ設備120に載りきらないの
であれば、エラーとする。左右ブロックのうち、Zの空
きが多いほうに「山」を配置する。左右ブロックのZの
空きが同じ場合には、右ブロックに配置する。左ブロッ
クのZに空きがあるが、「山」が収まりきらない場合に
は、「山」を部品テープ単位に2分割して、左右のブロ
ックへ配置する。 (4.5)前サブ設備110と後サブ設備120の「山」を
負荷レベルを使って再配置する。各ブロック毎に、負荷
レベルの大きい「山」がカメラ(センサ)に近くなるよ
うに、負荷レベル順で「山」を並べ替える。 (4.6)nに1を加算する。 (4.7)(4.2)へ戻る。 (4.8)前サブ設備110と後サブ設備120の「山」の
状態を記憶する。 (5)「負荷レベル」を使って前後バランスをとる。 (5.1)「負荷レベルバランス調整処理(「山」単位移
動)」を行う。詳細は、後述の「負荷レベルバランス調
整処理(「山」単位)」で説明している通りである。
「負荷レベルバランス調整処理(「山」単位)」の中
で、最終的には、実装点単位の負荷レベルバランス調整
を行う。
【0116】(6)小部品に対して「刈り上げ法」を適用
する。現在の商品版における、カセット分割処理の流れ
と合わせた。 (6.1)各「山」について刈り上げ処理を行い、コア部分
を残す。 (6.1.1)シングルカセットの「山」の場合奇数Z番号
(Z=大→小)の順に刈り上げを行う。10点同時吸着
ができなくなったら、刈り上げ処理を終了する。 (6.1.2)ダブルカセットの「山」の場合偶数Z番号(Z
=大→小)→奇数Z番号(Z=大→小)の順に刈り上げ
を行う。偶数側Z番号に1点でも部品数が残っていれ
ば、それを起点して刈り上げ処理を行う。たとえば、偶
数Z番号側で1点しか吸着できなければ、奇数Z番号側
で残りの9点を吸着する。奇数Z番号側で、10点同時
吸着ができなくなったら、刈り上げ処理を終了する。奇
数Z番号側にコア部分が残る。 (6.2)「山」にフラグを設ける。フラグの初期値をTRUEと
する。 (6.3)前サブ設備110と後サブ設備120の「山」の状
態を記憶しておく。 (6.4)カセットリソースの状態を記憶しておく。 (6.5)フラグがTRUEである「山」の中から、コア部分の
高さが最も高い「山」Mを探す。 (6.5.1)「山」Mが見つからなければ、(7)へ進む。つ
まり、すべての「山」に対するコア処理が終了したこと
になる。 (6.6)「山」Mが使用するカセット種Kと同種のカセッ
ト1本がリソースに残っているかを調べる。 (6.7)残っていれば、以下の処理を行う。 (6.7.1)「山」Mが使用するカセット数にカセット種K
を1本だけ追加して、コア処理を行う。別紙「与えられ
たカセット本数でのコア処理方法」を参照。 (6.7.2)コアの高さが変化しなければ、(6.6)へ戻る。 (6.7.3)コアの高さが低くなれば、(6.9)へ進む。(6.
8)残っていなければ、以下の処理を行う。 (6.8.1)前サブ設備110と後サブ設備120の「山」
の状態を1つの前の状態に戻す。 (6.8.2)カセットリソースの状態を1つ前の状態に戻
す。 (6.8.3)「山」MのフラグをFLASEにする。 (6.8.4)(6.3)へ戻る。コア部分の高さが次に高い
「山」を探すため、 (6.9)すべての「山」を実Z軸上に配置する。 (6.10)配置できれば、(6.1)へ戻る。 (6.11)配置できなければ、以下の処理を行う。 (6.11.1)前サブ設備110と後サブ設備120の「山」
の状態を1つの前の状態に戻す。 (6.11.2)カセットリソースの状態を1つ前の状態に戻
す。 (6.11.3)「山」MのフラグをFLASEにする。 (6.11.4)(6.3)へ戻る。 (7)小部品のタスクを生成する。 (7.1)「小部品のタスク生成処理」を行う。詳細は、後
述の「小部品のタスク生成処理」で説明している通りで
ある。 (8)汎用部品に対して最適化を行う。 (9)実装時間を使って前後バランスを取る。 (9.1)「前サブ設備110から後サブ設備120への山
を移動する処理」を行う。詳細は、後述の「前サブ設備
110から後サブ設備120への山を移動する処理」で
説明している通りである。
【0117】3.9.9 カセットブロック内の固定部
品と「山」の配置関係 仮Z軸上の「山」は、配列固定の対象となっている部品テ
ープと、配列固定の対象となっていない部品テープから
構成されている。配列固定の対象となっている部品テー
プを「固定部品テープ」と呼ぶ。配列固定の対象なって
いない部品テープを「非固定部品テープ」と呼ぶ。カセ
ットブロックを単に「ブロック」と呼ぶことがある。左
カセットブロックを「左ブロック」と呼び、右カセット
ブロックを「右ブロック」と呼ぶ。固定部品テープを固
定するZ番号を「固定先」と呼ぶ。ある部品テープ(あ
る部品種の部品群)から部品分割により複数の部品テー
プが作られ、それら部品テープが「カセット」に収めら
れて、そのカセットがZ軸に配置される…というように
考える。ある部品テープ(ある部品種の部品群)に対し
て部品分割を行わない場合は、分割数を1と考え、その
部品テープ(その部品種の部品群)から部品テープが1
本作られた…というように考える。 (10)右ブロックに存在する固定先の個数を数え、NRとす
る。この「山」に属する固定部品テープに関係する固定先
のみを数える。この「山」に属する固定部品テープが複数
存在する場合がある。1つの部品テープの固定先が複数
存在する場合がある。 (11)左ブロックに存在する固定先の個数を数え、NLとす
る。右ブロックの場合と同様にして、数える。
【0118】(12)NR>NLの場合、以下の処理を行う。右
ブロックの固定先が多い場合である。 (12.1)その「山」を右ブロックに配置する。「山」をブロッ
クに配置する処理については、下記を参照。詳細は、後
述の「配列固定:固定先の使用可否判断」で説明してい
る通りである。 (12.2)右ブロックに配置できない場合は、左ブロックに
配置する。右ブロックには、既に他の「山」が配置されて
おり、この「山」を配置できるだけのZの空きが存在しな
いような場合である。この結果、右ブロックに固定部品
テープが存在し、左ブロックに「山」が存在することなる
が、左右ブロックをまたいだ吸着動作は行わない。右ブ
ロックに存在する固定部品テープと、左ブロックに存在
する「山」は、別々の「山」として扱う。 (12.2.1)左ブロックに配置できない場合は、「山」を部品
テープ単位で2つに分割して、左右ブロックに配置す
る。「山」を2分割するので、固定部品テープと同じブロ
ックに存在する「山」と、固定部品テープと異なるブロッ
クに存在する「山」ができる。固定部品テープと同じブロ
ックに存在する「山」は、「刈り上げ法」において、仮Z
軸上で1つの「山」(ヒストグラム)として扱う。 (13)NR=NLの場合、以下の処理を行う。左右ブロックの
固定先が同数である場合である。 (13.1)左右ブロックのZの空きが大きいほうに、その
「山」を配置する。 (13.2)左右ブロックのZの空きが同数である場合、その
「山」を右ブロックに配置する。 (13.3)右ブロックに配置できない場合は、左ブロックに
配置する。右ブロックには、既に他の「山」が配置されて
おり、この「山」を配置できるだけのZの空きが存在しな
いような場合である。この結果、右ブロックに固定部品
テープが存在し、左ブロックに「山」が存在することなる
が、左右ブロックをまたいだ吸着動作は行わない。右ブ
ロックに存在する固定部品テープと、左ブロックに存在
する「山」は、別々の「山」として扱う。 (13.3.1)左ブロックに配置できない場合は、「山」を部品
テープ単位で2つに分割して、左右ブロックに配置す
る。「山」を2分割するので、固定部品テープと同じブロ
ックに存在する「山」と、固定部品テープと異なるブロッ
クに存在する「山」ができる。固定部品テープと同じブロ
ックに存在する「山」は、「刈り上げ法」において、仮Z
軸上で1つの「山」(ヒストグラム)として扱う。
【0119】(14)NR<NLの場合、以下の処理を行う。左
ブロックの固定先が多い場合である。 (14.1)その「山」を左ブロックへ配置する。 (14.2)左ブロックに配置できない場合は、右ブロックに
配置する。左ブロックには、既に他の「山」が配置されて
おり、この「山」を配置できるだけのZの空きが存在しな
いような場合である。この結果、左ブロックに固定部品
テープが存在し、右ブロックに「山」が存在することなる
が、左右ブロックをまたいだ吸着動作は行わない。左ブ
ロックに存在する固定部品テープと、右ブロックに存在
する「山」は、別々の「山」として扱う。 (14.2.1)左ブロックに配置できない場合は、「山」を部品
テープ単位で2つに分割して、左右ブロックに配置す
る。「山」を2分割するので、固定部品テープと同じブロ
ックに存在する「山」と、固定部品テープと異なるブロッ
クに存在する「山」ができる。固定部品テープと同じブロ
ックに存在する「山」は、「刈り上げ法」において、仮Z
軸上で1つの「山」(ヒストグラム)として扱う。
【0120】3.9.10 配列固定:固定先の使用可
否判断 固定部品テープの元になる部品テープの最大分割可能数
をNDとする。その部品テープから「刈り上げ法」(コア
処理)により作り出された部品テープの本数をNTとす
る。必ずNT≦NDである。その部品テープに関係するブロ
ック内の固定先の個数をNZとする。具体的には、 (1)「山」を構成する部品テープについて、「山」の一端か
ら順に、以下の処理を行う。 (1.1)部品テープを1つ選択する。 (1.2)その部品テープについてNT≦(ND−NZ)である場
合、以下の処理を行う。 (1.2.1)その部品テープに関係する固定先を全く使用し
ないで、「山」を構成する部品テープ(NT本)をZ軸上に
配置する。「山」の形に沿って、部品テープを配置する。
結果的に、部品テープが固定先に配置されることがある
が、それでもかまわない。 (1.2.2)固定先には、その部品種の部品テープを配置す
る。最適化対象となっている基板については、この固定
先から部品を吸着することはないが、他の基板で吸着す
ると考えて、ユーザの指定通りに配置しておく。 (1.3)その部品テープについてNT>(ND−NZ)である場
合、以下の処理を行う。 (1.3.1)その部品テープから作られ、「山」を構成する部
品テープのうち、部品数の少ないほうから{NT−(ND−
NZ)}本の部品テープを固定先に配置する。固定先とし
て、実Z軸上で「山」に近い固定先を選ぶ。 (1.3.2)残りの部品テープを、その部品テープに関係す
る固定先を全く使用しないで、Z軸上に配置する。結果
的に、部品テープが固定先に配置されることがあるが、
それもでかまわない。 (1.4)(1.1)へ戻る。
【0121】3.9.11 ダブルカセットの配列固定
について ダブルカセットを対象とした配列固定の制約に対する最
適化は以下の通りである。 (1)送りピッチが2mmのダブルカセットを使う部品テ
ープについて、仮Z軸上に「山」を作る(図85)。つ
まり、部品数の多い順に並べた部品ヒストグラム535
を中間点(折り返し位置)で切断して折り返し、それら
前半部及び後半部の各部品が交互に入れ違いとなるよう
に合成し、部品ヒストグラム536を得る(折り返すこ
とでペアを作成する)。 (2)同様にして、送りピッチが4mmのダブルカセット
を使う部品テープについて、仮Z軸上に「山」を作る
(図86)。つまり、部品数の多い順に並べた部品ヒス
トグラム537を中間点(折り返し位置)で切断して折
り返し、それら前半部及び後半部の各部品が交互に入れ
違いとなるように合成し、部品ヒストグラム538を得
る(折り返すことでペアを作成する)。 (3)送りピッチが2mmと4mmのダブルカセットの部
品ヒストグラム536、538を融合し、部品ヒストグ
ラム539を得る(図87)。つまり、ダブルカットの
ペアを維持したまま、奇数Z番号側の部品テープの部品
数が多い順に並べ替える。 (4)奇数Z番号とヒストグラム539a(図88
(a))と偶数Z番号のヒストグラム539b(図88
(b))に分離する。
【0122】(5)配列固定の制約がない場合には、それ
らヒストグラム539a、539bを、そのまま実Z軸
に配置すればよい(図89(a)、(b))。 (6)配列固定の制約がある場合には(図90(a)に示
される奇数Z番号の部品A〜C及び図90(b)に示さ
れる偶数Z番号の部品D、Eが配列固定の対象部品とす
る)、以下の通りとなる。 (7)配列固定の対象となっている部品を、奇数Z番号及
び偶数Z番号それぞれについて、それを収めたダブルカ
セット単位で抜き取り、右端に置く(図91(a)、
(b))。 (8)奇数側だけについて、非固定の部品テープ540を
実Z軸上に戻す(図92(a))。偶数側はそのまま
(図92(b))。 (9)「山」の隙間を詰め、奇数側及び偶数側それぞれの
部品ヒストグラム541a、541bを得る(図93
(a)、(b))。このとき、奇数側の「山」について
は、ダブルカセットの単位で隙間を詰めることができる
が(図93(a))、偶数側の「山」については、奇数
側の「山」541aに合わせて詰めることとするため、
隙間は残ることがある(図93(b))。 (10)偶数側の部品テープを送りピッチ毎に並べ直し、部
品ヒストグラム541cを得る(図94(b))。奇数
側はそのまま(図94(a))。具体的には、偶数側に
おいて、送りピッチが2mmの部品テープについて、実
Z軸上に存在する部品テープと、配列固定対象の部品テ
ープと一緒に抜かれた配列固定対象でない部品テープと
を合わせて、部品数の大きい順に並べ直し、送りピッチ
が2mmのダブルカセットの偶数側に収める。偶数側の
送りピッチが4mmの部品テープについても、送りピッ
チが2mmの部品テープと同様に処理を行う。その結
果、ダブルカセット(43,44)、(45,46)、
(47,48)が不要となる。
【0123】3.9.12 LL制約:吸着方法の変更
(1) (2)Z(Z番号)と同数のフラグを設け、Zとフラグを1対
1に対応させる。 (3)左ブロック内の実装点について下記の処理を行う。 (3.1)Zに配置された部品テープについて、以下の処理を
行う。 ・Zに部品テープが配置されていない場合、フラグをFAL
SEとする。 ・LL制約領域に含まれる実装点を持たない場合、フラグ
をFALSEとする。 ・LL制約領域に含まれる実装点を持つ場合、フラグをTR
UEにする。 (3.2)LL制約領域に含まれない実装点の個数を数え、Nf
とする( fはfreeの意味)。 (3.3)LL制約領域に含まれる実装点の個数を数え、Nrと
する( rはrestrictedの意味)。 (3.4)NfとNrのどちらかがゼロでない場合、以下の処理
を繰り返す。 (3.4.1)NfとNrの両方がゼロでない場合 (i) LL制約領域に含まれない実装点を対象として、6点
吸着の刈り上げを行い、Z番号の順にヘッド1〜6に割り
当てる。吸着した実装点の数をPfとする。ヘッド1〜6に
満載できるように、複数回、吸着を行う。吸着した実装
点が存在したZ番号のうち、最大のZ番号をZmaxとする。 (ii) PfをNfから引く。 (iii)Zmaxよりも大きいZに存在し、かつ、LL制約領域に
含まれる実装点を対象として、4点吸着の刈り上げを行
い、Z番号の順にヘッド7〜10に割り当てる。吸着した実
装点の数をPrとする。ヘッド7〜10に満載できるよう
に、複数回、吸着を行う。 (iv)PrをNrから引く。 (3.4.2)Nfがゼロでなく、Nrがゼロである場合 (i)すべての実装点を対象として、10点吸着の刈り上げ
を行い、Z番号の順にヘッド1〜10に割り当てる。吸着し
た実装点の数をPfとする。ヘッド1〜10に満載できるよ
うに、複数回、吸着を行う。 (ii)吸着した実装点数PfをNfから引く。(3.4.3)Nfがゼ
ロであり、Nrがゼロでない場合 (ii)すべての実装点を対象として、4点吸着の刈り上げ
を行い、Z番号の順にヘッド7〜10に割り当てる。吸着し
た実装点の数をPrとする。ヘッド7〜10に満載できるよ
うに、複数回、吸着を行う。ヘッド1〜6には、吸着しな
い。 (ii)吸着した実装点数PrをNrから引く。 (3.4.4)NfとNrがゼロである場合 左ブロックに対する処理を終了する。
【0124】(4)右ブロック内の実装点について下記の
処理を行う。 (4.1)Zに配置された部品テープについて、以下の処理を
行う。 ・Zに部品テープが配置されていない場合、フラグをFAL
SEとする。 ・LL制約領域に含まれる実装点を持たない場合、フラグ
をFALSEとする。 ・LL制約領域に含まれる実装点を持つ場合、フラグをTR
UEにする。 (4.2)LL制約領域に含まれない実装点の個数を数え、Nf
とする( fはfreeの意味) (4.3)LL制約領域に含まれる実装点の個数を数え、Nrと
する( rはrestrictedの意味)。 (4.4)NfとNrのどちらかがゼロでない場合、以下の処理
を繰り返す。 (4.4.1)NfとNrの両方がゼロでない場合 (i)LL制約領域に含まれる実装点を対象として、4点吸着
の刈り上げを行い、Z番号の順にヘッド7〜10に割り当て
る。吸着した実装点の数をPrとする。ヘッド7〜10に満
載できるように、複数回、吸着を行う。吸着した実装点
が存在したZ番号のうち、最大のZ番号をZminとする。 (ii)PrをNrから引く。 (iii)Zminよりも小さいZに存在し、かつ、LL制約領域に
含まれない実装点を対象として、6点吸着の刈り上げを
行い、Z番号の順にヘッド1〜6に割り当てる。吸着した
実装点の数をPfとする。ヘッド1〜6に満載できるよう
に、複数回、吸着を行う。 (iv)PfをNfから引く。 (4.4.2)Nfがゼロでなく、Nrがゼロである場合 (i)すべての実装点を対象として、10点吸着の刈り上げ
を行い、Z番号の順にヘッド1〜10に割り当てる。吸着し
た実装点の数をPfとする。ヘッド1〜10に満載できるよ
うに、複数回、吸着を行う。 (ii)吸着した実装点数PfをNfから引く。 (4.4.3)Nfがゼロであり、Nrがゼロでない場合 (i)すべての実装点を対象として、4点吸着の刈り上げを
行い、Z番号の順にヘッド7〜10に割り当てる。吸着した
実装点の数をPrとする。ヘッド7〜10に満載できるよう
に、複数回、吸着を行う。ヘッド1〜6には、吸着しな
い。 (ii)吸着した実装点数PrをNrから引く。 (4.4.4)NfとNrがゼロである場合 右ブロックに対する処理を終了する。 (5)終了
【0125】3.9.13 LL制約:吸着方法の変更
(2) (1)Z(Z番号)と同数のフラグを設け、Zとフラグを1対
1に対応させる。 (2)左ブロック内の実装点について下記の処理を行う。 (2.1)Zに配置された部品テープについて、以下の処理を
行う。 ・Zに部品テープが配置されていない場合、フラグをFAL
SEとする。 ・LL制約領域に含まれる実装点を持たない場合、フラグ
をFALSEとする。 ・LL制約領域に含まれる実装点を持つ場合、フラグをTR
UEにする。 (2.2)LL制約領域に含まれない実装点の個数を数え、Nf
とする( fはfreeの意味)。 (2.3)LL制約領域に含まれる実装点の個数を数え、Nrと
する( rはrestrictedの意味)。 (2.4)NfとNrのどちらかがゼロでない場合、以下の処理
を繰り返す。 (2.4.1)NfとNrの両方がゼロでない場合 (i)LL制約領域に含まれない実装点を対象として、6点吸
着の刈り上げを行い、Z番号の順にヘッド1〜6に割り当
てる。吸着した実装点の数をPfとする。ヘッド1〜6に満
載できるように、複数回、吸着を行う。吸着した実装点
が存在したZ番号のうち、最小のZ番号をZfとする。 (ii)PfをNfから引く。 (iii)LL制約領域に含まれる実装点を対象として、4点吸
着の刈り上げを行い、Z番号の順にヘッド7〜10に割り当
てる。吸着した実装点の数をPrとする。ヘッド7〜10に
満載できるように、複数回、吸着を行う。吸着した実装
点が存在したZ番号のうち、最小のZ番号をZrとする。 (iv)PrをNrから引く。 (v)Zf ≦ Zrであれば、ヘッド1〜6、ヘッド7〜10の順
にNCデータを並べる。ヘッド1〜6、ヘッド7〜10の順に
吸着する。吸着順序は実装順序と一致し、実装順序は、
NCデータの順序である。 (vi)Zf > Zrであれば、ヘッド7〜10、ヘッド1〜6の
順にNCデータを並べる。ヘッド7〜10、ヘッド1〜6の順
に吸着する。吸着順序は実装順序と一致し、実装順序
は、NCデータの順序である。 (2.4.2)Nfがゼロでなく、Nrがゼロである場合 (i)すべての実装点を対象として、10点吸着の刈り上げ
を行い、Z番号の順にヘッド1〜10に割り当てる。吸着し
た実装点の数をPfとする。ヘッド1〜10に満載できるよ
うに、複数回、吸着を行う。 (ii)吸着した実装点数PfをNfから引く。 (2.4.3)Nfがゼロであり、Nrがゼロでない場合 (i)すべての実装点を対象として、4点吸着の刈り上げを
行い、Z番号の順にヘッド7〜10に割り当てる。吸着した
実装点の数をPrとする。ヘッド7〜10に満載できるよう
に、複数回、吸着を行う。4点吸着タスクが多数できて
しまう場合がある。 (ii)吸着した実装点数PrをNrから引く。 (2.4.4)NfとNrがゼロである場合 左ブロックに対する処理を終了する。
【0126】(3)右ブロック内の実装点について下記の
処理を行う。 (3.1)Zに配置された部品テープについて、以下の処理を
行う。 ・Zに部品テープが配置されていない場合、フラグをFAL
SEとする。 ・LL制約領域に含まれる実装点を持たない場合、フラグ
をFALSEとする。 ・LL制約領域に含まれる実装点を持つ場合、フラグをTR
UEにする。 (3.2)LL制約領域に含まれない実装点の個数を数え、Nf
とする( fはfreeの意味) (3.3)LL制約領域に含まれる実装点の個数を数え、Nrと
する( rはrestrictedの意味)。 (3.4)NfとNrのどちらかがゼロでない場合、以下の処理
を繰り返す。 (3.4.1)NfとNrの両方がゼロでない場合 (i)LL制約領域に含まれる実装点を対象として、4点吸着
の刈り上げを行い、Z番号の順にヘッド7〜10に割り当て
る。吸着した実装点の数をPrとする。ヘッド7〜10に満
載できるように、複数回、吸着を行う。吸着した実装点
が存在したZ番号のうち、最小のZ番号をZrとする。 (ii)PrをNrから引く。 (iii)LL制約領域に含まれない実装点を対象として、6点
吸着の刈り上げを行い、Z番号の順にヘッド1〜6に割り
当てる。吸着した実装点の数をPfとする。ヘッド1〜6に
満載できるように、複数回、吸着を行う。吸着した実装
点が存在したZ番号のうち、最小のZ番号をZfとする。 (iv)PfをNfから引く。 (v)Zf ≦ Zrであれば、ヘッド7〜10、ヘッド1〜6の順
にNCデータを並べる。ヘッド7〜10、ヘッド1〜6の順に
吸着する。吸着順序は実装順序と一致し、実装順序は、
NCデータの順序である。 (vi)Zf > Zrであれば、ヘッド1〜6、ヘッド7〜10の
順にNCデータを並べる。ヘッド1〜6、ヘッド7〜10の順
に吸着する。吸着順序は実装順序と一致し、実装順序
は、NCデータの順序である。 (3.4.2)Nfがゼロでなく、Nrがゼロである場合 (i)すべての実装点を対象として、10点吸着の刈り上げ
を行い、Z番号の順にヘッド1〜10に割り当てる。吸着し
た実装点の数をPfとする。ヘッド1〜10に満載できるよ
うに、複数回、吸着を行う。 (ii)吸着した実装点数PfをNfから引く。 (3.4.3)Nfがゼロであり、Nrがゼロでない場合 (i)すべての実装点を対象として、4点吸着の刈り上げを
行い、Z番号の順にヘッド7〜10に割り当てる。吸着した
実装点の数をPrとする。ヘッド7〜10に満載できるよう
に、複数回、吸着を行う。4点吸着タスクが多数できて
しまう場合がある。 (ii)吸着した実装点数PrをNrから引く。 (3.4.4)NfとNrがゼロである場合 右ブロックに対する処理を終了する。 (4)終了
【0127】3.9.14 LL制約:Z軸上の部品テー
プの入れ替え(1) (1)この段階までに、「刈り上げ法」により、すべての
山が確定しているものとする。 (2)Aブロックについて、位置Z = 1〜11について、以
下の処理を行う。 (2.1)位置Zに存在する部品テープを部品テープKとし、
部品テープKに属する実装点のX座標の最大値Xmaxを求め
る。位置Zに部品テープが存在しなければ、Xmax = 0
とする。 (2.2)Xmax ≦ 400.0[mm]である場合 (部品テープKがLL制約領域に存在する実装点を持たな
い場合) (2.2.1)何もしない。ノズル1で実装できる実装点のX座
標の最大値が400.0[mm]である。 (2.3)Xmax > 400.0[mm]である場合 (部品テープKがLL制約領域に存在する実装点を持つ場
合) (2.3.1)部品テープKを含む山Mを構成し、かつ、Z = 1
2以降に存在する部品テープの中から、LL制約領域に実
装点を持たず、かつ、部品テープKと部品数が近い部品
テープを見つけ、それと部品テープKを入れ替える。ダ
ブルカセットを使用する部品テープの場合は、送りピッ
チが一致することも必要である。 (2.3.2)見つからない場合、Aブロックに存在し、かつ、
山Mではない山を構成し、かつ、Z = 12以降に存在す
る部品テープの中から、LL制約領域に実装点を持たず、
かつ、部品数が最小の部品テープを見つけ、それと入れ
替える。異なる部品グループの部品テープとの入れ替え
となる場合がある。ダブルカセットを使用する部品テー
プの場合は、送りピッチが一致することも必要である。 (2.3.3)見つからない場合、Bブロックに存在する山を構
成する部品テープの中から、LL制約領域に実装点を持た
ず、かつ、部品数が最小の部品テープを見つけ、それと
入れ替える。異なる部品グループの部品テープとの入れ
替えとなる場合がある。1つのタスクについて、Aブロ
ックとBブロックの両方から吸着する場合がある。ダブ
ルカセットを使用する部品テープの場合は、送りピッチ
が一致することも必要である。 (2.3.4)見つからない場合、実装不可能とする。 (3)終了する。
【0128】3.9.15 LL制約:Z軸上の部品テー
プの入れ替え(2) (1)この段階までに、「刈り上げ法」により、すべての
山が確定しているものとする。 (2)タスクを生成する。 (3)各タスクのヘッド番号と位置Zの対応を調べて、位置
Zのそれぞれについて、そこから実装点を吸着するヘッ
ド番号の最小値を求める。
【0129】(4)Aブロックについて、位置Z = 1〜11
について、以下の処理を行う。 (4.1)位置Zに存在する部品テープを部品テープKとし、
部品テープKに属する実装点のX座標の最大値Xmaxを求め
る。位置Zに部品テープが存在しなければ、Xmax = 0
とする。 (4.2)位置Zから実装点を吸着する、最小のヘッド番号で
装着できるX座標の最大値をXhとする。 (4.3)Xmax ≦ Xhである場合 (部品テープKがLL制約領域に存在する実装点を持たな
い場合) (4.3.1)何もしない。 (4.4)Xmax > Xhである場合 (部品テープKがLL制約領域に存在する実装点を持つ場
合) (4.4.1)部品テープKを含む山Mを構成し、かつ、Z = 1
2以降に存在する部品テープの中から、LL制約領域に実
装点を持たず、かつ、部品テープKと部品数が近い部品
テープを見つけ、それと部品テープKを入れ替える。ダ
ブルカセットを使用する部品テープの場合は、送りピッ
チが一致することも必要である。 (4.4.2)見つからない場合、Aブロックに存在し、かつ、
山Mではない山を構成し、かつ、Z = 12以降に存在す
る部品テープの中から、LL制約領域に実装点を持たず、
かつ、部品数が最小の部品テープを見つけ、それと入れ
替える。異なる部品グループの部品テープとの入れ替え
となる場合がある。ダブルカセットを使用する部品テー
プの場合は、送りピッチが一致することも必要である。 (4.4.3)見つからない場合、Bブロックに存在する山を構
成する部品テープの中から、LL制約領域に実装点を持た
ず、かつ、部品数が最小の部品テープを見つけ、それと
入れ替える。異なる部品グループの部品テープとのm入
れ替えとなる場合がある。1つのタスクについて、Aブ
ロックとBブロックの両方から吸着する場合がある。ダ
ブルカセットを使用する部品テープの場合は、送りピッ
チが一致することも必要である。 (4.4.4)見つからない場合、実装不可能とする。 (5)終了する。
【0130】3.9.16 XLサイズ基板への対応(XL
制約) 下記の方法により、XL制約を回避する。 (1)実装点座標による前サブ設備110/後サブ設備1
20への割り当て (2)実装点座標による部品分割 (3)前サブ設備110と後サブ設備120の両方で実装
できる領域を利用した初期振り分け (4)LL制約の回避 具体的には、以下の通りである。 (1)実装点座標による前サブ設備110/後サブ設備1
20への割り当て いま、実装点座標による前サブ設備110/後サブ設備
120への割り当ては、図46に示されるテーブルとす
る。 (2)実装点座標による部品分割 (2.1)部品テープが持つ実装点座標によって、次の3通
りがある。 (i)部品テープを前サブ設備110へ割り当てる。 (ii)部品テープを後サブ設備120へ割り当てる。 (iii)部品テープを前サブ設備110と後サブ設備12
0の分割して割り当てる。 (2.2)上記(3)の場合、部品分割が必要となる。部品数を
前サブ設備110/後サブ設備120へ配分するのでは
なく、実装点そのものを前サブ設備110/後サブ設備
120へ配分する。
【0131】(3)前サブ設備110と後サブ設備120
の両方で実装できる領域を利用した初期振り分け (3.1)図46に示された領域に対応する部品テープ
を前サブ設備110に振り分ける。 (3.1.1)領域に対応する部品テープ毎に負荷レベル
を計算し、その合計を前サブ設備110の負荷レベルと
する。 (3.2)領域に対応する部品テープを後サブ設備12
0に振り分ける。 (3.2.1)領域に対応する部品テープ毎に負荷レベル
を計算し、その合計を前サブ設備110の負荷レベルと
する。 (3.3)領域に対応する部品テープを、部品グルー
プの順に、部品数の多い順に、置けるだけ、前サブ設備
110のZに配置する。 (3.3.1)置いた部品テープの負荷レベルを計算し、前サ
ブ設備110の負荷レベルに加算する。 (3.4)領域に対応する部品テープの中で、前サブ
設備110に配置できなかった部品テープは、後サブ設
備120のZに配置する。 (3.4.1)置いた部品テープの負荷レベルを計算し、後サ
ブ設備120の負荷レベルに加算する。もしも、後サブ
設備120に置ききれなかったら、エラーとする。 (3.5)(前サブ設備110の負荷レベル)<(後サブ設
備120の負荷レベル)である場合 (3.5.1)これ以上、バランスは良くならないので、終了
する。 (3.6)(前サブ設備110の負荷レベル)>(後サブ設
備120の負荷レベル)である場合、以下の処理を繰り
返す。 (3.6.1)前サブ設備110にある領域に対応する
部品テープの中で、最大の部品グループ番号であり、か
つ、部品数が最小の部品テープを後サブ設備120へ送
る。もしも、後サブ設備120に送れなくなったら(=
後サブ設備120のZの空きがなくなったら)、これ以
上、バランスは良くならないので、終了とする。 (3.6.2)前サブ設備110の負荷レベルと後サブ設備1
20の負荷レベルを再計算する。 (4)LL制約の回避 (4.1)前サブ設備110における領域は、LL制約領
域なので、LL制約に対応した処理を行う。 (4.2)後サブ設備120における領域は、LL制約領
域なので、LL制約に対応した処理を行う。
【0132】3.9.17 負荷レベルバランス調整処
理(「山」単位) 特徴は以下の通りである。 (i)前サブ設備110の負荷レベルが後サブ設備120
の負荷レベルよりも高い状態を初期状態として、前サブ
設備110から後サブ設備120へ「山」種単位で移動
することにより、負荷レベルバランスを調整する。 (ii)バランス点上に存在する「山」について、部品テー
プ単位で負荷レベルバランス調整を行う。詳細は、後述
の「負荷レベルバランス調整処理(部品テープ単位)
(A)」で説明している通りである。具体的な手順は以下
の通りである。 (1)すべての山にフラグを設ける。フラグの初期値はTRU
Eとする。 (2)前サブ設備110に配置された、すべての山のフラ
グがFALSEである場合、以下の処理を行う。 (2.1)(15)へ進む。前サブ設備110に配置されてい
たすべての山が後サブ設備120に移動された場合にな
る(これはありえないはず)。 (3)現在の前サブ設備110と後サブ設備120の山の
配置状態を記憶する。 (4)移動対象となる山Mを選ぶ処理を以下のように行う。 (4.1)前サブ設備110に配置された山を構成する部品
テープについて、その部品グループ番号の最大値を求
め、PGmaxとする。 (4.2)部品グループ番号がPGmaxである部品テープを収め
たシングルカセットまたはダブルカセットから構成され
た山について、すべての山のフラグがFALSEである場
合、以下の処理を行う。 (4.2.1)前サブ設備110から後サブ設備120への山
を移動する処理を終了する。移動対象となる山が残って
いないので、前サブ設備110から後サブ設備120へ
の山を移動する処理を終了する。ラインバランスが取れ
ているとは限らない。 (4.3)「部品番号がPGmaxである部品テープを収めたシン
グルカセットから構成される山」と、「部品番号がPGma
xである部品テープを収めたダブルカセットから構成さ
れる山」の両方が存在する場合 (4.3.1)シングルカセットから構成される山を山Mとす
る。 (4.4)「部品番号がPGmaxである部品テープを収めたシン
グルカセットから構成される山」と「部品番号がPGmax
である部品テープを収めたダブルカセットから構成され
る山」のどちらか一方だけが存在する場合 (4.4.1)その山を山Mとする。
【0133】(5)前サブ設備110に配置されている山
の中から山Mを取り除き、残りの山を再配置する。(6)後
サブ設備120に配置されている山に山Mを加えて、そ
れらの山を再配置する。 (7)前サブ設備110あるいは後サブ設備120におい
て、ノズル関係の制約を満足できない場合、以下の処理
を行う。 (7.1)前サブ設備110と後サブ設備120の山の配置
状態を記憶しておいた状態へ戻す。 (7.2)山MのフラグをFALSEに設定する。 この山Mは、これ以降、移動の対象にならない。 (7.3)(14)へ進む。 (8)前サブ設備110あるいは後サブ設備120におい
て、山をZ軸に置ききれない場合、以下の処理を行う。 (8.1)前サブ設備110と後サブ設備120の山の配置
状態を記憶しておいた状態へ戻す。 (8.2)(15)へ進む。移動できる山は、山Mしかないの
で、山Mを部品テープ単位に分割し、前サブ設備110
と後サブ設備120へ振り分けることで、ラインバラン
スを改善することを試みる。この山Mはラインバランス
点上にあるとは限らないので、ラインバランスを改善で
きても、ラインバランスを完全にすることはできない可
能性がある。 (9)前サブ設備110の負荷レベルを計算する。 (9.1)小部品について負荷レベルを計算する。 (9.2)汎用部品について負荷レベルを計算する。 (9.3)小部品の負荷レベルと汎用部品の負荷レベルを加
算し、前サブ設備11 0の負荷レベルとる。
【0134】(10)後サブ設備120の負荷レベルを計算
する。 (10.1)小部品について負荷レベルを計算する。 (10.2)汎用部品について負荷レベルを計算する。 (10.3)小部品の負荷レベルと汎用部品の負荷レベルを加
算し、後サブ設備120の負荷レベルとする。 (11)前サブ設備110の実装時間と後サブ設備120の
負荷レベルが一致した場合、以下の処理を行う。 (11.1)(15)へ進む。前サブ設備110と後サブ設備1
20の負荷レベルのバランスが完全に取れたことになる (12)前サブ設備110の負荷レベルが後サブ設備120
の負荷レベルよりも小さい場合、以下の処理を行う。 (12.1)前サブ設備110と後サブ設備120の山の配置
状態を記憶しておいた状態へ戻す。 (12.2)山Mに対して「負荷レベルバランス調整処理(部
品テープ単位)」を行う。バランス点上に存在する
「山」について、部品テープ単位で負荷レベルバランス
調整を行う。詳細は、後述の「負荷レベルバランス調整
処理(部品テープ単位)(A)」で説明している通りであ
る。 (12.3)(15)へ進む。山Mがラインバランス点上にある
ことになる。山Mが前サブ設備110に配置された状態
に戻す。これ以降、山Mを部品テープ単位に分割し、前
サブ設備110と後サブ設備120へ振り分けること
で、ラインバランスを改善することを試みる。 (13)前サブ設備110の負荷レベルが後サブ設備120
の負荷レベルよりも長い場合、以下の処理を行う。 (13.1)山MのフラグをFALSEに設定する。山Mは移動済み
とする。 (13.2)(14)へ進む。更に山単位での移動を行う。 (14)上記(2)へ戻る。 (15)「負荷レベルバランス調整処理(「山」単位)」を
終了する。
【0135】3.9.18 負荷レベルバランス調整処
理(部品テープ単位) 特徴は以下の通りである。 (i)前サブ設備110の負荷レベルが後サブ設備120
の負荷レベルよりも高い状態を初期状態として、前サブ
設備110から後サブ設備120へ部品テープ単位で移
動することにより、負荷レベルバランスを調整する。 (ii)負荷レベルの精度が良くないので、実装点単位の負
荷レベルバランス調整は行わない。 具体的な手順は以下の通りである。 (1)山Mを構成する部品テープにフラグを設ける。フラグ
の初期値はTRUEとする。 (2)山Mの部品(種)リストを作成する。 (3)部品リストにある、すべての部品テープのフラグがF
ALSEである場合、以下の処理を行う。 (3.1)(13)へ進む。「負荷レベルバランス調整処理
(部品テープ単位)」を終了する。 (4)前サブ設備110と後サブ設備120の山の配置状
態を記憶する。 (5)部品リストにある、フラグがTRUEである部品テープ
の中から、部品数が最小の部品テープKを選ぶ。 (6)部品テープKを後サブ設備120に割り当てる。 (7)部品リストに残っている、フラグがTRUEであり、か
つ、前サブ設備110にも後サブ設備120にも割り当
てられていない部品テープを前サブ設備110に割り当
てる。山M以外の山は、前サブ設備110あるいは後サ
ブ設備120に割り当てられている。 (8)前サブ設備110について、負荷レベルを計算す
る。 (8.1)小部品の負荷レベルを計算する。 (8.2)汎用部品の負荷レベルを計算する。 (8.3)小部品の負荷レベルと汎用部品の負荷レベルを加
算し、前サブ設備110の負荷レベルとする。 (9)後サブ設備120について、負荷レベルを計算す
る。 (9.1)小部品の負荷レベルを計算する。 (9.2)汎用部品の負荷レベルを計算する。 (9.3)小部品の負荷レベルと汎用部品の負荷レベルを加
算し、後サブ設備120の負荷レベルとする。
【0136】(10)前サブ設備110の負荷レベルと後サ
ブ設備120の負荷レベルが同じ場合、以下の処理を行
う。 (10.1)(13)へ進む。前サブ設備110と後サブ設備1
20の負荷レベルのバランスが完全に取れたことにな
る。 (11)前サブ設備110の負荷レベルが後サブ設備120
の負荷レベルよりも低い場合、以下の処理を行う。 (11.1)部品テープKのフラグをFALSEに設定する。部品テ
ープKは移動済みとする。 (11.2)(13)へ進む。部品テープKを前サブ設備110
から後サブ設備120へ移動したことにより、前サブ設
備110よりも後サブ設備120の負荷レベルが高くな
ったので、部品テープ単位の移動による、負荷レベルバ
ランス調整を終了する。 (12)前サブ設備110の負荷レベルが後サブ設備120
の負荷レベルよりも高い場合、以下の処理を行う。 (12.1)部品テープKのフラグをFALSEに設定する。部品テ
ープKは移動済みとする。 (12.2)(3)に戻る。更に部品テープ単位での移動を行
う。 (13)「負荷レベルバランス調整処理(部品テープ単
位)」を終了する。
【0137】3.9.19 前サブ設備から後サブ設備
へ山を移動する処理 (1)すべての山にフラグを設ける。フラグの初期値はTRU
Eとする。 (2)前サブ設備110に配置された、すべての山のフラ
グがFALSEである場合、以下の処理を行う。 (2.1)(16)へ進む。前サブ設備110に配置されてい
たすべての山が後サブ設備120に移動された場合にな
る(これはありえないはず)。 (3)現在の前サブ設備110と後サブ設備120の山の
配置状態を記憶する。 (4)移動対象となる山Mを選ぶ処理を以下のように行う。 (4.1)前サブ設備110に配置された山を構成する部品
テープについて、その部品グループ番号の最大値を求
め、PGmaxとする。 (4.2)部品グループ番号がPGmaxである部品テープを収め
たシングルカセットまたはダブルカセットから構成され
た山について、すべての山のフラグがFALSEである場
合、以下の処理を行う。 (4.2.1)前サブ設備110から後サブ設備120への山
を移動する処理を終了する。移動対象となる山が残って
いないので、前サブ設備110から後サブ設備120へ
の山を移動する処理を終了する。ラインバランスが取れ
ているとは限らない。 (4.3)「部品番号がPGmaxである部品テープを収めたシン
グルカセットから構成される山」と、「部品番号がPGma
xである部品テープを収めたダブルカセットから構成さ
れる山」の両方が存在する場合 (4.3.1)シングルカセットから構成される山を山Mとす
る。 (4.4)「部品番号がPGmaxである部品テープを収めたシン
グルカセットから構成される山」と「部品番号がPGmax
である部品テープを収めたダブルカセットから構成され
る山」のどちらか一方だけが存在する場合 (4.4.1)その山を山Mとする。 (5)前サブ設備110に配置されている山の中から山Mを
取り除き、残りの山を再配置する。(6)後サブ設備12
0に配置されている山に山Mを加えて、それらの山を再
配置する。 (7)前サブ設備110あるいは後サブ設備120におい
て、ノズル関係の制約を満足できない場合、以下の処理
を行う。 (7.1)前サブ設備110と後サブ設備120の山の配置
状態を記憶しておいた状態へ戻す。 (7.2)山MのフラグをFALSEに設定する。この山Mは、これ
以降、移動の対象にならない。 (7.3)(15)へ進む。 (8)前サブ設備110あるいは後サブ設備120におい
て、山をZ軸に置ききれない場合、以下の処理を行う。 (8.1)前サブ設備110と後サブ設備120の山の配置
状態を記憶しておいた状態へ戻す。 (8.2)(16)へ進む。移動できる山は、山Mしかないの
で、山Mを部品テープ単位に分割し、前サブ設備110
と後サブ設備120へ振り分けることで、ラインバラン
スを改善することを試みる。この山Mはラインバランス
点上にあるとは限らないので、ラインバランスを改善で
きても、ラインバランスを完全にすることはできない可
能性がある。 (9)前サブ設備110について、タスクを生成する。 (9.1)小部品についてタスクを生成する。 (9.2)汎用部品についてタスクを生成する。
【0138】(10)後サブ設備120について、タスクを
生成する。 (10.1)小部品についてタスクを生成する。 (10.2)汎用部品についてタスクを生成する。 (11)前サブ設備110と後サブ設備120について、実
装時間を計算する。前サブ設備110と後サブ設備12
0の両方で山が配置できている場合である。 (12)前サブ設備110の実装時間と後サブ設備120の
実装時間が一致した場合、以下の処理を行う。 (12.1)(16)へ進む。前サブ設備110と後サブ設備1
20のバランスが完全に取れたことになる (13)前サブ設備110の実装時間が後サブ設備120の
実装時間よりも短い場合、以下の処理を行う。 (13.1)前サブ設備110と後サブ設備120の山の配置
状態を記憶しておいた状態へ戻す。 (13.2)山Mに対して「前サブ設備110から後サブ設備
120へ部品テープを移動する処理」を行う。 (13.3)(16)へ進む。山Mがラインバランス点上にある
ことになる。山Mは、前サブ設備110に配置された状
態に戻す。これ以降、山Mを部品テープ単位に分割し、
前サブ設備110と後サブ設備120へ振り分けること
で、ラインバランスを改善することを試みる。 (14)前サブ設備110の実装時間が後サブ設備120の
実装時間よりも長い場合、以下の処理を行う。 (14.1)山MのフラグをFALSEに設定する。 (14.2)(15)へ進む。前サブ設備110から後サブ設備
120へ更に山を移動する必要がある場合である。 (15)上記(2)へ戻る。 (16)「前サブ設備110から後サブ設備120への山を
移動する処理」を終了する。
【0139】3.9.20 前サブ設備から後サブ設備
へ部品テープを移動する処理 特徴は以下の通りである。 (i)前サブ設備110の実装時間が後サブ設備120の
実装時間よりも長い状態を初期状態として、前サブ設備
110から後サブ設備120へ部品テープ単位で移動す
ることにより、実装時間のバランスを調整する。 (ii)移動する部品テープの個数は少ないとはいえない。
後サブ設備120に移動する部品テープが多い。部品テ
ープを前サブ設備110と後サブ設備120に配置する
ことがある。部品分割を行う。 (iii)バランスは良い。具体的な手順は以下の通りであ
る。 (1)山Mを構成する部品テープにフラグを設ける。フラグ
の初期値はTRUEとする。 (2)山Mの部品(種)リストを作成する。 (3)部品リストにある、すべての部品テープのフラグがF
ALSEである場合、以下の処理を行う。 (3.1)(14)へ進む。「前サブ設備110から後サブ設
備120へ部品テープを移動する処理」を終了する。 (4)前サブ設備110と後サブ設備120の山の配置状
態を記憶する。 (5)部品リストにある、フラグがTRUEである部品テープ
の中から、部品数が最小の部品テープKを選ぶ。 (6)部品テープKを後サブ設備120に割り当てる。 (7)部品リストに残っている、フラグがTRUEであり、か
つ、前サブ設備110にも後サブ設備120にも割り当
てられていない部品テープを前サブ設備110に割り当
てる。山M以外の山は、前サブ設備110あるいは後サ
ブ設備120に割り当てられている。 (8)前サブ設備110について、タスクを生成する。 (8.1)小部品のタスクを生成する。コア処理により部品
分割が行われる。 (8.2)汎用部品のタスクを生成する。ユーザの指定通り
に部品分割を行う。 (9)後サブ設備120について、タスクを生成する。 (9.1)小部品のタスクを生成する。コア処理により部品
分割が行われる。 (9.2)汎用部品のタスクを生成する。ユーザの指定通り
に部品分割を行う。
【0140】(10)前サブ設備110の実装時間と後サブ
設備120の実装時間を計算する。 (11)前サブ設備110の実装時間と後サブ設備120の
実装時間が同じ場合、以下の処理を行う。 (11.1)(14)へ進む。前サブ設備110と後サブ設備1
20のバランスが完全に取れたことになる。 (12)前サブ設備110の実装時間が後サブ設備120の
実装時間よりも短い場合、以下の処理を行う。 (12.1)部品テープKのフラグをFALSEに設定する。部品テ
ープKは、移動済みとする。 (12.2)部品テープKに対して「前サブ設備110から後
サブ設備120へ実装点を移動する処理」を行う。部品
テープKを前サブ設備110から後サブ設備120へ移
動したことにより、前サブ設備110よりも後サブ設備
120の実装時間が長くなったので、部品テープKを分
割し、前サブ設備110と後サブ設備120に振り分け
て、ラインバランスを改善する。 (12.3)(14)へ進む。 (13)前サブ設備110の実装時間が後サブ設備120の
実装時間よりも長い場合、以下の処理を行う。 (13.1)部品テープKのフラグをFALSEに設定する。部品テ
ープKは、移動済みとする。 (13.2)(3)に戻る。更に部品テープ単位での移動を行
う。 (14)「前サブ設備110から後サブ設備120へ部品テ
ープを移動する処理」を終了する。
【0141】3.9.21 前サブ設備から後サブ設備
へ実装点を移動する処理 部品テープKを実装点単位で分割し、前サブ設備110
と後サブ設備120に振り分ける処理を以下のように行
う。 (1)実装点をy座標の小さい順に並べる。 (1.1)y座標が同じ場合はx座標の小さい順に並べる。こ
れを実装点リストを呼ぶ。部品テープKを実装点単位で
分割し、前サブ設備110と後サブ設備120に振り分
けた場合、前サブ設備110または後サブ設備120
に、部品テープKが1つだけ配置される可能性がある。
そのような場合、実装点の近い実装点が集まっていたほ
うが有利と考えられるので、ここでは実装点をその座標
で並べ替えた。もしも「貪欲法」において、前サブ設備
110と後サブ設備120に在る同じ部品テープについ
て、共通に適用されるのであれば、この並べ替えは不要
である。前サブ設備110と後サブ設備120とで独立
に「貪欲法」を適用するのであれば、この並べ替えが有
効である。 (2)前サブ設備110に割り当てる実装点の個数を示す
値nに1を設定する。 (3)nが部品テープKの実装点数よりも大きい場合、以下
の処理を行う。 (3.1)(12)へ進む。「前サブ設備110から後サブ設
備120へ実装点を移動する処理」を終了する。 (4)実装点リストの先頭からn番目までの実装点を前サブ
設備110へ割り当てる。 (5)実装点リストの(n+1)番目から最後までの実装点を後
サブ設備120へ割り当てる。 (6)前サブ設備110について、タスクを生成する。 (6.1)小部品のタスクを生成する。コア処理により部品
分割が行われる。 (6.2)汎用部品のタスクを生成する。ユーザの指定通り
に部品分割を行う。 (7)後サブ設備120について、タスクを生成する。 (7.1)小部品のタスクを生成する。コア処理により部品
分割が行われる。 (7.2)汎用部品のタスクを生成する。ユーザの指定通り
に部品分割を行う。 (8)前サブ設備110の実装時間と後サブ設備120の
実装時間を計算する。 (9)前サブ設備110の実装時間と後サブ設備120の
実装時間が同じ場合、以下の処理を行う。 (9.1)(12)へ進む。「前サブ設備110から後サブ設
備120へ実装点を移動する処理」を終了する。前サブ
設備110と後サブ設備120のバランスが完全に取れ
たことになる。 (10)前サブ設備110の実装時間が後サブ設備120の
実装時間よりも短い場合、以下の処理を行う。 (10.1)(12)へ進む。「前サブ設備110から後サブ設
備120へ実装点を移動する処理」を終了する。前サブ
設備110と後サブ設備120のバランスは、かなり良
くなっているが、完全ではない。 (11)前サブ設備110の実装時間が後サブ設備120の
実装時間よりも長い場合、以下の処理を行う。 (11.1)nに1を加算する。 (11.2)(3)に戻る。 前サブ設備110から後サブ設備120へ更に実装点を
移動する。 (12)「前サブ設備110から後サブ設備120へ実装点
を移動する処理」を終了する。
【0142】3.9.22 ラインバランス処理でのス
ワップ処理 次に、移動先のZ軸に空きがない場合におけるラインバ
ランス処理(スワップ処理)について、Z軸に空きがあ
る場合と比較しながら説明する。図95(a),(b)
は、Z軸に空きがある場合における前サブ設備110と
後サブ設備120の実装時間の例、及び、そのときのラ
インバランス処理を示す説明図であり、図95(c),
(d)は、Z軸に空きがない場合における前サブ設備1
10と後サブ設備120の実装時間の例、及び、そのと
きのラインバランス処理(スワップ処理)を示す説明図
である。Z軸に空きがある場合は、図95(a),
(b)に示されるように、上述(3.9.19〜3.
9.21)の移動処理の通りであり、この例では、両実
装時間の差を解消するために、7.5秒分の部品545
を前サブ設備110から後サブ設備120に移動するこ
とによってバランスをとる。一方、Z軸に空きがない場
合は、図95(c),(d)に示されるように、前サブ
設備110に振り分けられている部品数の多い部品54
7と、後サブ設備120に振り分けられている部品数の
少ない部品546とを、部品カセット(部品テープ)の
単位で、スワップする。これによって、それら部品数の
差に相当する実装時間が前サブ設備110から後サブ設
備120に移動することとなり、実装時間が平準化され
る。
【0143】3.9.23 ダブルカセットの「刈り上
げ法」 ダブルカセットを対象とした「刈り上げ法」は以下の通
りである。 (1)送りピッチが2mmのダブルカセットを使う部品テ
ープについて、仮Z軸上に「山」を作る(図96)。つ
まり、部品数の多い順に並べた部品ヒストグラム550
を中間点(折り返し位置)で切断して折り返し、それら
前半部及び後半部の各部品が交互に入れ違いとなるよう
に合成する(折り返すことでペアを作成する)ことで、
部品ヒストグラム551を得る。 (2)同様にして、送りピッチが4mmのダブルカセット
を使う部品テープについて、仮Z軸上に「山」を作る
(図97))。つまり、部品数の多い順に並べた部品ヒ
ストグラム552を中間点(折り返し位置)で切断して
折り返し、それら前半部及び後半部の各部品が交互に入
れ違いとなるように合成する(折り返すことでペアを作
成する)ことで、部品ヒストグラム553を得る。 (3)送りピッチが2mmと4mmのダブルカセットの部
品ヒストグラム551、553を融合し、部品ヒストグ
ラム554を得る(図98)。つまり、ダブルカットの
ペアを維持したまま、奇数Z番号側の部品テープの部品
数が多い順に並べ替える。 (4)奇数Z番号のヒストグラム554a(図99
(a))と、偶数Z番号のヒストグラム554b(図9
9(b))に分離する。 (5)各ヒストグラム554a、554bにおいて、部品
数の小さい部品テープから刈り上げていくことで、10
点同時吸着の吸着パターンを作っていく(図100
(a)、(b))。その結果、それぞれのヒストグラム
において、コア部分555a、555bが残る。 (6)奇数側のコア部分555a及び偶数側のコア部分5
55bそれぞれについて、補完パターン556a、55
6bを作る(図101(a)、(b))。つまり、コア
部分の実装点数は、奇数側が92点、偶数側が12点で
あり、合計で104点となっているので、10点タスク
を10個作る(4点タスクが1つ残す)。ここでは、偶
数側のコア555bの部品数は最大で3なので、偶数側
に10点タスクを3個作り、残りのタスクは奇数側に作
る。 (7)奇数側及び偶数側の補完部品テープ557a、55
7bを並べる(図102(a)、(b))。本図におい
て、補完部品テープは、奇数側では、「*」で示され、
偶数側では、「#」で示されている。なお、本図のよう
に、奇数側と偶数側の補完部品テープの本数が一致しな
い場合がある。 (8)奇数側の補完部品テープ557aに偶数側の補完部
品テープ557bを重ねることで、1つの補完部品テー
プ5558にする(図103(a)、(b))。 (9)合成された補完部品テープ558に実装点を割り当
てる(図104(a)、(b))。このとき、奇数側と
偶数側で合成した補完部品テープは、1つの部品テープ
だけで構成されている。したがって、合成を解除(分
割)して、奇数側と偶数側の補完テープを作ると、それ
らは送りピッチが必ず一致するので、ペアとしてダブル
カセットに収めることができる。 (10)合成された補完部品テープを奇数側558aと偶数
側558bに分割する(図105(a)、(b))。 (11)奇数側及び偶数側のヒストグラムに対して、それぞ
れ、吸着パターン559a、559bを作る(図106
(a)、(b))。このようなカセット配列とすること
で、2つの部品テープがダブルカセットに収納される際
には同一の送りピッチの部品テープだけが収納されなけ
ればならないという制約が満たされ、かつ、少ない吸着
パターン(同時吸着できる頻度が高い)で実装される。
【0144】3.9.24 ノズル交換のアルゴリズム 図11に示されるように、部品の種類によって、吸着可
能なノズルのタイプが限定される。従って、マルチ装着
ヘッド112は、部品を吸着するに際し、予め、吸着し
ようとする部品テープに対応したタイプのノズルを装着
しておく(ノズルステーションにおいてノズル交換して
おく)必要がある。よって、最適化においては、ノズル
交換の頻度を抑制するように、部品テープの配列を決定
しておく処理が必要となる。そのためのアルゴリズム
(「ノズル交換のアルゴリズム」)は以下の通りであ
る。図107は、ノズル交換のアルゴリズムを説明する
ための図であり、図107(a)は、対象の部品の種類
(使用可能なノズルの番号)と部品数を示す表であり、
図107(b)は、処理過程を示す部品ヒストグラムで
ある。ここで、図107(b)の部品に付された数値は
ノズル番号を示し、矢印は部品分割による吸着パターン
の作成処理を示し、円で囲まれた数値は吸着パターンを
指す。ここでは、「刈り上げ法」の応用で対応してい
る。具体的には、 まず、大型部品であるために「隣接の条件」で10個
単位にできないものは対象から除外する。ここで、「隣
接の条件」とは、部品がヘッドによって吸着・移動・装
着される際に確保すべき空間的なクリアランスであり、
実装時における部品どうしの接触等を避けるために確保
すべき空間的なマージンである。 ノズル単位で部品数順に並べる。ここでは、部品の種
類(使用可能なノズルの番号)と部品数は図107
(a)に示される通りであるので、図107(b)にお
ける左の5列分の部品並びとなる。 トータル部品数からタスク数の枠を作成する。この例
では、合計部品数が67個であるので、70個の枠を作
成する。 10ノズルを満たすように、部品数の多い部品から山
を崩す。具体的なルールは以下の通りである。・部品数
の多いものから(ここでは、部品番号5から)枠に入る
ように上部からつめる。・この時、最大分割制約と同様
に、手持ちノズル本数とする。つまり、この制約の中で
分割を実施する。 最終的に、枠を決めた中に収めるようにする。これに
より、タスク数は最小のタスクの中に収まることとな
る。 上記の手順は、あくまでノズル構成を考慮した最適化
であるので、次に、ノズルの配置及びタスクの順番につ
いて、大型部品を含めて構成を見直す。具体的には、大
型部品については、上記で決定されたタスク構成の中
で、間に入れるなどの処理をする。 この例では、タスクの順番を見直すことにより、ノズ
ルチェンジは1回のみ(→の間でのみ)ノズル交換
が発生する。
【0145】3.10 画面表示例 次に、本最適化装置300が有するユーザインターフェ
ースの機能を説明する。つまり、最適化プログラム格納
部305に格納された最適化プログラムに基づいて、最
適化装置300がユーザと対話するために、演算制御部
301が表示部302に表示する画面表示例や入力部3
03を介してユーザから取得するパラメータを中心に説
明する。
【0146】3.10.1 メイン画面 この画面では、図108に示されるように、最適化装置
300は、最適化の状態及び品種プログラムの情報を表
示する。各表示項目(以下、[]で囲まれた項目)及び
その表示項目を選択したときに表示されるポップアップ
メニューから選択することができる項目(以下、*が添
付された項目)の意味(最適化装置300の処理)は、
以下の通りである。 メニュー [ファイル] *開く ユーザから品種プログラム(最適化の対象となる実装点
データ307aなど)や各種ライブラリ(部品ライブラ
リ307bなど)の選択を取得し、選択された品種プロ
グラムを読込む。読込み結果(品種プログラム名、実装
点数、部品種類、設備情報、最適化情報)をメイン画面
に表示する。 *上書き保存 上書き確認メッセージで「はい」が押下された場合、最
適化された品種プログラムを上書き保存する。 *名前を付けて保存 名前を付けて保存画面を表示し、最適化された品種プロ
グラムを入力された保存ファイル名で保存する。 *閉じる 選択中の品種プログラムを閉じる。 *最適化の終了 アプリケーションを終了する。 [最適化] *最適化 読込んだ品種プログラム情報を最適化し、その最適化結
果のシミュレーションを実行して、結果をメイン画面に
表示する。最適化を行う前に、各種リソース及び最適化
条件の設定を可能とするためである。 *停止 最適化を停止する。 *最適化詳細情報 最適化詳細情報画面を表示する。 [設定]最適化リソースの設定と最適化条件の設定を行
う。 ・リソース *カセット個数設定 カセット個数設定画面を表示する。これに対し、ユーザ
は、本設備で使用可能なカセット個数を入力することが
できる。 *部品分割数設定 部品分割数設定画面を表示する。これに対し、ユーザ
は、同時吸着するための部品分割数を指定することがで
きる。 *ノズル本数設定 ノズル本数設定画面を表示する。これに対し、ユーザ
は、本設備で使用可能なノズル本数を入力することがで
きる。 *ノズルステーション選択 ノズルステーション選択画面を表示する。これに対し、
ユーザは、本設備で使用可能なノズルステーションのプ
レートIDを入力することができる。 ・最適化条件 *オプション設定 オプション設定画面を表示する。これに対し、ユーザ
は、本設備のオプション仕様及び最適化条件を設定する
ことができる。 *Z軸情報 Z軸情報画面を表示する。各Z軸に配置された部品の特
性を表示する。 *ノズルステーション情報 ノズルステーション情報画面を表示する。本設備のノズ
ルステーション情報を表示する。 [印刷]最適化情報、リソース情報等を最適化装置30
0が備えるプリンター等に印刷する。 *最適化詳細情報 最適化詳細情報の印刷を実行する。 *Z軸情報 Z軸情報の印刷を実行する。 *ノズルステーション情報 ノズルステーション情報の印刷を実行する。 *カセット個数情報 カセット個数情報の印刷を実行する。 *部品分割数情報 部品分割数情報の印刷を実行する。 *ノズル本数情報 ノズル本数情報の印刷を実行する。 *ノズルステーション選択情報 ノズルステーション選択情報の印刷を実行する。 [ヘルプ]画面のバージョン、ヘルプの管理を行う。 *ヘルプ ヘルプを起動する。 *バージョン情報 バージョン情報を表示する。
【0147】 最適化情報 最適化前/後の情報をサブ設備(図中の「1st ステ
ージ」、「2nd ステージ」)毎に表示する。 *実装時間(秒) 最適化前/後のシミュレーションした結果を表示する。 *最適化率(%) 最適化前/後の実装時間を比率(%)で表示する。 <計算式> (最適化後実装時間/最適化前実装時間)
*100 *CPH(点) 1時間あたりの実装点数を表示する。 <計算式> (実装点数/実装時間)*3600(秒) *タスク数 タスク数を表示する。 設備情報 設備の情報をサブ設備(図中の「1st ステージ」、
「2nd ステージ」)毎に表示する。 *ヘッドタイプ 前/後サブ設備のヘッドタイプを表示する。(10ヘッ
ド) *カメラ 前/後サブ設備のカメラ状態を表示する。(2Dセン
サ、2D+3Dセンサ) *トレイ 前/後サブ設備のトレイ状態を表示する。(手置きトレ
イ、エレベータトレイ) *実装点数 品種プログラム内の前/後サブ設備の実装点数を表示す
る。 *部品種類 品種プログラム内の前/後サブ設備の部品種類数を表示
する。 品種プログラム情報 現在選択中品種プログラムの情報を表示する。 *品種プログラム名 現在選択中の品種プログラム名を表示する。 *実装点数 品種プログラム内の実装点数を表示する。 *部品種類 品種プログラム内の部品種類数を表示する。 最適化ボタン 読込んだ品種プログラム情報を最適化し、その最適化結
果のシミュレーションを実行して、結果をメイン画面に
表示する。ただし、最適化を行う前に、各種リソース及
び最適化条件の設定をする必要がある。 最適化詳細情報ボタン 最適化詳細情報画面を表示する。 終了ボタン アプリケーションを終了する。
【0148】3.10.2 開く画面 この画面では、図109に示されるように、最適化装置
300は、品種プログラムと各種ライブラリを指定して
品種プログラムを開くことができる。 品種プログラム一覧 品種プログラム(ファイル名、作成日時、更新日時、容
量)の一覧を表示する。 品種プログラム検索 品種プログラム(先頭のPを除く)の入力後、検索ボタ
ンを押下することにより品種プログラムの検索を行うこ
とができる。なお、入力された文字に対して前方一致検
索を行うので、プログラム名を全て入力する必要はな
い。 ライブラリ選択 登録されている各種ライブラリを表示する。 *部品ライブラリ 登録されている部品ライブラリ名を表示する。なお、頭
文字は"L"から始まる。この部品ライブラリは、図9に
示された部品ライブラリ307bに相当する。 *供給ライブラリ 登録されている供給ライブラリ名を表示する。なお、頭
文字は"Y"から始まる。この供給ライブラリは、図9に
示された実装装置情報307cを構成する情報の1つで
あり、部品供給部115a及びb、部品カセット、トレ
イ供給部117及びトレイ等の仕様に関する情報を保持
している。 *マークライブラリ 登録されているマークライブラリ名を表示する。なお、
頭文字は"B"から始まる。このマークライブラリは、図
9に示された実装装置情報307cを構成する情報の1
つであり、基板に対するマルチ装着ヘッド112の位置
決め等のために使用される基板上に印刷された認識マー
クの形状等に関する情報を保持している。 *ノズルライブラリ 登録されているノズルライブラリ名を表示する。なお、
頭文字は"V"から始まる。このノズルライブラリは、図
9に示された実装装置情報307cを構成する情報の1
つであり、各種吸着ノズルの形状等に関する情報を保持
している。 開くボタン 指定した品種プログラムを、選択したライブラリで開
く。なお、品種プログラム一覧上でダブルクリックされ
た場合には、開くボタンと同様の処理を実行する。 キャンセルボタン メイン画面に戻る。
【0149】3.10.3 最適化詳細情報画面 この画面では、図110に示されるように、最適化装置
300は、サブ設備(図中の「1st ステージ」、
「2nd ステージ」)毎に、最適化詳細情報を表示す
る。 品種プログラム情報 現在選択中品種プログラムの情報を表示する。 *品種プログラム名 現在選択中の品種プログラム名を表示する。 *実装点数 品種プログラム内の実装点数を表示する。 *部品種類 品種プログラム内の部品種類数を表示する。 最適化詳細情報 最適化前/後の情報をサブ設備(図中の「1st ステ
ージ」、「2nd ステージ」)毎に表示する。 *実装時間(秒) 最適化前/後のシミュレーションした結果を表示する。 *最適化率(%) 最適化前/後の実装時間を比率(%)で表示する。 <計算式> (最適化後実装時間/最適化前実装時間)
*100 *CPH(点) 1時間あたりの実装点数を表示する。 <計算式> (実装点数/実装時間)*3600(秒) *タスク数 タスク数を表示する。 *ノズル交換回数 ノズル交換を行う回数を表示する。 *ノズル交換時間 ノズル交換にかかるトータルの時間を表示する。 *吸着回数 吸着を行う回数を表示する。 *吸着時間 吸着にかかるトータルの時間を表示する。 *スキャン回数 スキャンを行う回数を表示する。 *スキャン時間 スキャンにかかるトータルの時間を表示する。
【0150】 吸着数情報 最適化前/後の1〜10点吸着している回数を、サブ設
備(図中の「1stステージ」、「2nd ステー
ジ」)毎に表示する。 設備情報 設備の情報をサブ設備(図中の「1st ステージ」、
「2nd ステージ」)毎に表示する。 *ヘッドタイプ 前/後サブ設備のヘッドタイプを表示する。(10ヘッ
ド) *カメラ 前/後サブ設備のカメラ状態を表示する。(2Dセン
サ、2D+3Dセンサ) *トレイ 前/後サブ設備のトレイ状態を表示する。(手置きトレ
イ、エレベータトレイ) *実装点数 品種プログラム内の前/後サブ設備の実装点数を表示す
る。 *部品種類 品種プログラム内の前/後サブ設備の部品種類数を表示
する。 印刷ボタン 最適化詳細情報の印刷を実行する。 キャンセルボタン 最適化詳細情報画面を終了し、メイン画面に戻る。
【0151】3.10.4 カセット個数設定画面 この画面では、図111に示されるように、最適化装置
300は、ユーザの指示に従って、カセット個数情報の
表示/最大個数の設定を行う。 カセット個数情報 カセット個数情報を表示する。カセットの隣接条件確認
のため、ユーザは、部品ライブラリの供給コードを設定
する。 *供給コード カセットの供給コードを表示する。例) 1 文字目 :種類(E:エンボス P:紙) 2、3文字目 :カセット幅(08:8mm幅) 4,5文字目 :送りピッチ(04:4mmピッチ) 6 文字目 :駆動方式(C:シリンダ) 7 文字目 :カセットタイプ(W:Wカセット) *現在個数 現在使用しているカセット個数を表示する。 *最大個数 本設備で使用可能なカセットの最大個数を表示する。 印刷ボタン カセット個数情報の印刷を実行する。 OKボタン 現在表示されている最大個数を保存して、カセット個数
設定画面を終了する。 キャンセルボタン カセット個数設定画面を終了し、メイン画面に戻る。た
だし、最大個数の保存は行わない。 最大個数入力エリア ユーザは、最大個数のエリアをダブルクリックすること
により最大個数の入力を行うことができる。
【0152】3.10.5 部品分割数設定画面 この画面では、図112に示されるように、最適化装置
300は、ユーザの指示に従って、部品分割情報の表示
/最大分割数の設定を行う。 部品分割数情報 部品分割数情報を表示する。 *部品名称 品種プログラム内で使用される部品名称を表示する。ユ
ーザは、部品分割を効率的に行うために、品種プログラ
ムの部品名称を入力することができる。*実装点数 部品毎の実装点数を表示する。 *現在分割数 部品毎の現在の分割数を表示する。 *最大分割数 部品毎の最大分割数を表示する。なお、起動時のデフォ
ルトでは、現在分割数を表示する。 印刷ボタン 部品分割数情報の印刷を実行する。 OKボタン 現在表示されている最大分割数を保存して、部品分割数
設定画面を終了する。 キャンセルボタン 部品分割数設定画面を終了し、メイン画面に戻る。ただ
し、最大分割数の保存は行わない。 最大分割数入力エリア ユーザは、最大分割数のエリアをダブルクリックするこ
とにより最大分割数の入力を行うことができる。なお、
最大分割数は、アプリケーションが起動している間のみ
有効となる。次回の起動時には、現在分割数が最大分割
数のデフォルト表示になる。 ソート表示 *部品名称又は、実装点数のタイトルがクリックされる
と、ソート表示する。
【0153】3.10.6 ノズル本数設定画面 この画面では、図113に示されるように、最適化装置
300は、ユーザの指示に従って、ノズル本数情報の表
示/最大本数の設定を行う。 ノズル本数情報 ノズル本数情報を表示する。 *ノズル形状コード ノズルライブラリ内の全ノズル形状コードを表示する。 *ノズルタイプ ノズルライブラリ番号(1〜99)を表示する。 *現在本数 現在使用されている本数を表示する。 *最大本数 使用できる最大本数を表示する。 印刷ボタン ノズル本数情報の印刷を実行する。 OKボタン 現在表示されている最大本数を保存して、ノズル本数設
定画面を終了する。 キャンセルボタン ノズル本数設定画面を終了し、メイン画面に戻る。ただ
し、最大本数の保存は行わない。 最大本数入力エリア ユーザは、最大本数のエリアをダブルクリックすること
により最大本数の入力を行うことができる。
【0154】3.10.7 ノズルステーション選択画
面 この画面では、図114に示されるように、最適化装置
300は、ユーザの指示に従って、ノズルステーション
選択情報の表示/ノズルステーション選択を行う。 ノズルプレートID サブ設備(図中の「1st ステージ」、「2nd ス
テージ」)毎のノズルプレートIDの有効/無効を設定
することができる。グレー表示以外のIDは、複数選択
可能である。カーソルを移動すると、カーソル上のID
のノズルステーション図の表示に切り替えることができ
る。なお、チェックボックスが選択されていない場合で
も、表示は切り替わる。 ノズルステーション図 カーソル上のノズルステーション図を表示する。 印刷ボタン ノズルステーション選択情報の印刷を実行する。 OKボタン 選択されているノズルプレートIDを保存して、ノズル
ステーション選択画面を終了する。 キャンセルボタン ノズルステーション選択画面を終了し、メイン画面に戻
る。ただし、ノズルプレートIDの保存は行わない。
【0155】3.10.8 オプション設定画面 この画面では、図115に示されるように、最適化装置
300は、ユーザの指示に従って、設備オプション/最
適化レベルの設定を行う。 設備設定 設備オプションを設定することができる。 ・XL制約 XL制約を設定することができる。(有効or無効) ・Z軸速度TA Z軸TAの速度を設定することができる。(通常or低
速) ・Z軸速度TB Z軸TBの速度を設定することができる。(通常or低
速) ・後部カセット部品180°回転 後部カセット部品180°回転を設定することができ
る。(無効or有効) ・後部トレイ部品180°回転 後部トレイ部品180°回転を設定することができる。
(無効or有効) ・後部手置きトレイ部品180°回転 後部手置きトレイ部品180°回転を設定することがで
きる。(無効or有効) ・先行シャトル制御 先行シャトル制御を設定することができる。(無効or有
効) ・先行吸着制御 先行吸着制御を設定することができる。(無効or有効) ・基板ストッパー位置(前) 前サブ設備110の基板ストッパー位置を設定すること
ができる。(左下or左上or右下or右上) ・基板ストッパー位置(後) 後サブ設備120の基板ストッパー位置を設定すること
ができる。(左下or左上or右下or右上) ・手置きトレイ(前) 前サブ設備110の手置きトレイを設定することができ
る。(無効or有効) ・手置きトレイ(後) 後サブ設備120の手置きトレイを設定することができ
る。(無効or有効) 前後振り分け禁止 この項目をチェックすることにより、前後振り分けを禁
止することができる。 ・Front 前サブ設備110のみ最適化を行なう。 ・Rear 後サブ設備120のみ最適化を行なう。 ・Both 前後サブ設備120で最適化を行なう。なお、前後振り
分けを禁止すると、Z軸情報画面でF/R固定の設定が
行えるようになる。 最適化レベル設定 最適化の実行レベルを1〜5(簡易〜詳細)の範囲で設
定することができる(デフォルトレベルは4)。 回収コンベア設定 1st、2ndステージの回収コンベアの設定を行うこ
とができる。 設定しない :無回収コンベア
(小)を使用する :小 回収コンベア(大)を使用する :大 OKボタン 現在設定されているオプション(設備オプション、最適
化レベル、前後振り分け禁止、回収コンベア)を保存
し、オプション設定画面を終了する。 キャンセルボタン オプション設定画面を終了し、メイン画面に戻る。ただ
し、設備オプション、最適化レベル、前後振り分け禁
止、回収コンベアついては保存しない。 アルゴリズム設定 最適化のアルゴリズムを設定することができる。(1or
2) ・アルゴリズム1 小部品のアルゴリズムで最適化する。 ・アルゴリズム2 小部品を汎用部品のアルゴリズムで最適化する。 設備情報 設備情報を表示する。 ・設備方向 設備方向を表示する。(正流れor逆流れ) ・搬送基準 搬送基準を表示する。(手前or奥) ・搬送速度 搬送速度を表示する。
【0156】3.10.9 Z軸情報画面 この画面では、図116に示されるように、最適化装置
300は、ユーザの指示に従って、Z軸に設定されてい
る部品の情報を表示する。 Z軸情報 Z軸情報を表示する。 *部品名称 ZNo上に設定されている部品名称を表示する。 *部品点数 ZNo上に設定されている部品点数(実装点)を表示す
る。 *形状コード ZNo上に設定されている部品形状コードを表示する。 *ノズル ZNo上に設定されている部品の使用ノズル番号(ノズ
ル本数設定画面のノズルタイプと同一)を表示する。 *カメラ ZNo上に設定されている部品の部品認識カメラ(2D
S、2DL、3DS、3DL)を表示する。 *スピード ZNo上に設定されている部品のヘッド速度XY(1〜
8)を表示する。 *供給コード ZNo上に設定されている部品の供給コードを表示す
る。 *W指定 部品名称毎にS(シングル)かW(ダブル)の指定をす
る必要がある。 *シャトル不可 ZNo上に設定されている部品がトレイ部品でシャトル
供給が可能である場合に、不可(行わない)を設定でき
る。なお、トレイ部品であってもシャトル供給できない
部品には、チェックボックスは表示されない。 *F/R固定 ZNo上に設定されている部品が最適化によって、サブ
設備間を移動しないように設定を行う。なお、オプショ
ン設定画面の前後振り分け禁止がチェックされている場
合のみ、使用可能になる。ZNo以降にデータが表示さ
れない場合は、そのZ軸に部品が設定されていないこと
を表する。 最適化前/後切替 Z軸情報を最適化前/後で切り替える。ただし、最適化
を実施しない場合、最適化後の表示はできない。 印刷ボタン Z軸情報の印刷を実行する。 OKボタン Z軸情報(W指定、シャトル不可)を保存し、Z軸情報
画面を終了する。ただし、最適化後のZ軸情報は編集で
きない。OKボタンがグレー表示になっている。 キャンセルボタン Z軸情報画面を終了し、メイン画面に戻る。ただし、Z
軸情報は保存されない。
【0157】3.10.10 ノズルステーション情報
画面 この画面では、図117に示されるように、最適化装置
300は、ユーザの指示に従って、本設備のノズルステ
ーション情報を表示する。 ノズルプレートID サブ設備(図中の「1st ステージ」、「2nd ス
テージ」)毎のノズルプレートIDを表示する。 ノズルステーション情報 ノズルステーション情報を表示する。 *No ステーションNoを表示する。 *ノズル形状コード ノズルステーション上のノズル形状コードを表示する。 最適化前/後切替 ノズルステーション情報を最適化前/後で切り替える。
ただし、最適化を実施しない場合、最適化後の表示はで
きない。 印刷ボタン ノズルステーション情報の印刷を実行する。 キャンセルボタン ノズルステーション情報画面を終了し、メイン画面に戻
る。
【0158】4 最適化装置の動作(応用編) 次に、以上のような最適化装置300の応用的な動作に
ついて説明する。つまり、これまで説明してきた最適化
アルゴリズムに対して、改良が施され、機能が拡張され
ている部分について説明する。
【0159】4.1 小部品の最適化
【0160】4.1.1 部品分割しないZ配列の最適
化 図42に示された吸着パターン504は、生産性を最大
にする最適化吸着パターンであるが、部品テープをいく
つにでも分割できることが条件となる。例えば、部品1
のテープ(黒い四角マークの部品テープ)は5本も準備
しなければならない。このことは、出庫部品が増える結
果となり、ユーザによっては、許容されない場合があ
る。つまり、1種類の部品につき1つの部品テープだけ
しか使用(準備)できないという状況においては、適用
することができない。そこで、部品分割ができない場合
に適用できる吸着パターンの決定アルゴリズムが必要と
される。以下、そのアルゴリズムを説明する。図118
は、部品分割することなく効率的な吸着パターン(Z配
列)を決定するアルゴリズムの処理手順を示すフローチ
ャートである。まず、対象となる全ての部品テープを部
品数の多い順にソートし、多いものから順に番号(i=
1〜N)を付与する(S600)。そして、その並びか
ら、部品数の多い順に、部品テープを取り出し、以下の
ように並び替える(S601〜S607)。まず、番号
1の部品テープを取り出してZ軸上に置く(S60
1)。次に、番号2以降(i=2〜N)の部品テープに
ついては、Z軸上の右端又は左端のいずれかに配置する
という処理を繰り返す(S602〜S607)。つま
り、番号2〜15の部品テープについては(S605で
Yes)、右端、右端、左端、という順序でZ軸上に並
べていき(S604〜S606)、番号16以降の部品
テープについては(S603でNo)、右端に配置する
ことを繰り返す(S606)。このような並び替えによ
って得られたZ配列が目的とする吸着パターン、即ち、
吸着上下回数の少ない吸着パターンである。
【0161】図119は、図118に示されたフローチ
ャートの処理手順を説明するための部品テープの並びを
示す。つまり、上図は、対象となる全ての部品テープを
部品数の多い順に仮Z軸上にソートした後の部品テープ
の並び600を示し、下図は、その部品テープの並び6
00から部品数の多い順に部品テープを取り出し、Z軸
上に並び替えた後の部品テープの並び601を示す。番
号2〜15の部品テープについては、右端、左端、右
端、右端、左端、・・・、と並べていき、番号16以降
の部品テープについては、右端に配置することを繰り返
す。図120〜図123は、この最適化アルゴリズムに
よる最適化のレベルを説明するための図である。つま
り、図120は、単に部品数の多い順に(右から左方向
に)部品テープが並べられた部品ヒストグラム605、
図121は、その部品ヒストグラム605を刈り上げた
場合の吸着上下回数パターン606を示す。一方、図1
22は、図118に示された手順で並び替えられた部品
ヒストグラム607を示し、図123は、その部品ヒス
トグラム607を刈り上げた場合の吸着上下回数パター
ン608を示す。なお、図121及び図123におい
て、横軸は、部品テープの並び(仮Z軸、Z軸)、左縦
軸は、吸着上下回数、右縦軸は、タスク数を示し、四角
枠で囲まれた部品群は、1つのタスク(同時に吸着され
る部品群)を示している。これら図121及び図123
に示された吸着上下回数パターンを比較して分かるよう
に、本最適化アルゴリズムによる並び替えによって、タ
スク数については、変化していないが(13個)、吸着
上下回数については、31回から25回に減少してい
る。これは、図118に示された手順による部品テープ
の並び替えにより、図120に示された部品ヒストグラ
ム605の一部(部品テープ番号3、6、9、12、1
5の部品テープ)が、図122に示される部品ヒストグ
ラム607aに移動されたからである。つまり、図12
2に示された部品ヒストグラム607は、2つの傾斜
(一方が他方よりも急勾配)を持つ三角形の形状を有し
ている。この形状は、コア処理による最適化が施された
後の理想的な形状(例えば、図42に示された部品ヒス
トグラム504における空間を下方に詰めて整理したヒ
ストグラム)に近い。したがって、図120に示された
部品ヒストグラム605に比べ、最適化レベルの高い部
品テープの並びと言える。
【0162】4.1.2 左右ブロックへの振り分け処
理における最適化 初期振り分け処理では、前サブ設備110と後サブ設備
120に部品テープを振り分けた後、各サブ設備内で、
各部品テープが属する部品グループに基づいて、部品供
給部の左ブロック115a及び右ブロック115bのい
ずれかに部品テープを振り分ける。このとき、これまで
の手法では、左右ブロック115a及びbへの振り分け
状態によっては、一方のブロックに隙間なく部品カセッ
トを配置してしまうために、他のブロックに空きが残さ
れているにも拘わらず、部品テープの分割が行われな
い、つまり、部品ヒストグラムに対するコア処理が全く
実行されないという不具合を生じ得る。そのために、吸
着上下回数が増加し、タクトタイムが長くなってしま
う。例えば、左ブロック115aには空きが充分にある
にもかかわらず、右ブロック115bに隙間なく部品カ
セットを配置してしまい、その結果、右ブロック115
bでは全く部品テープの分割が行われないという状況が
発生する。特に、左右ブロック115a及びbにまたが
るような、部品テープ数の多いヒストグラムの場合に生
じ得る。そこで、このような場合には、空きのないブロ
ックに振り分けられている山の中から最も優先度の低い
山を見つけ、その山の部品カセットを空きのある他方の
ブロックに移動させることで、新たなに空きを確保し、
これによって、不可能だった山に対するコア処理を可能
にしている。図124は、左右ブロック115a及びb
への山の振り分け処理の手順を示すフローチャートであ
る。いま、ある山について、その山が置かれているブロ
ックにおいて、充分な部品カセットの空きがないため
に、コア処理ができない状態(以下、この状態を「ブロ
ックあふれ」と呼ぶ。)が生じているとする。このとき
に、まず、左右ブロック115a及びbに振り分けられ
た全ての山の中から、優先度の低い山として、左右ブロ
ック115a及びbに分割して(またがって)振り分け
られている山、又は、コア部分の高さ(部品数)が最低
の山を特定する(S620)。そして、いま特定した山
を構成する部品テープのうち、「ブロックあふれ」が生
じているブロックに置かれた部品テープを、部品数の少
ないものから順に他方のブロックに移動させた場合に、
そのブロックに振り分けられていた山に対するコア処理
が可能になるか否か検討する(S621)。その結果、
可能になると判断された場合にだけ、必要分だけ部品テ
ープを移動した後に(S622)、コア処理が可能な全
ての山に対して、刈り上げ処理とコア処理を実行する
(S623)。最後に、部品テープを移動した山につい
て、未だ移動していない部品テープが残され、かつ、そ
れら部品テープを他方のブロックに移動できるか否か検
討する(S624)。その結果、移動可能と判断された
場合には、それら残りの部品テープも他方のブロックに
移動させる(S625)。
【0163】図125は、図124に示されたフローチ
ャートによる処理の様子、つまり、山をブロック間で移
動するときの様子を示している。ここでは、左右に分割
して振り分けられた山620、621、622a及び6
22bを移動対象とした場合の様子が示されている。な
お、山620、621、622a及び622bは、部品
ヒストグラムの外形として表現されている。また、左ブ
ロック115aと右ブロック115bで挟まれた中央部
側に山620、621、622a及び622bが高くな
っているのは、その中央部付近には部品認識カメラ11
6が置かれ、部品を吸着したマルチ装着ヘッド112は
その部品認識カメラ116の上を通過する必要があるの
で、マルチ装着ヘッド112のトータル移動距離を少な
くするために、部品数の多い部品テープが中央部寄りに
配置されるためである。図125(a)は、あるサブ設
備に振り分けられた3つの山620、621、622a
及び622bの左右ブロック115a及びbへの初期割
当て状態を示している。右ブロック115bは、「ブロ
ックあふれ」となっているブロックであり、ここには、
山620と、左右ブロック115a及びbに分割して割
り当てられた山の一部622bが配置されている。一
方、左ブロック115aは、「ブロックあふれ」にはな
っていないブロックであり、ここには、山621と、分
割して割り当てられた山の残る一部622aが配置され
ている。図125(b)は、山620のコア処理を可能
とするだけの空きを確保するために、山622bの一部
622cを右ブロック115bから左ブロック115a
に移動させたときの様子を示している。図125(c)
は、山620と山621それぞれに対して刈り上げ処理
とコア処理とを実行したときの様子を示している。山6
20と山621の形状が、急な傾斜と緩やかな傾斜とを
持つ三角形に変化している。図125(d)は、分割移
動した山について残る部分622dも右ブロック115
bから左ブロック115aに移動させたときの様子を示
している。図126は、図124に示されたフローチャ
ートによる他のケースにおける処理の様子、つまり、コ
ア部分が最低の山を移動対象とした場合の様子を示して
いる。移動対象の山(の状態)が異なる点を除いて、図
125で示された山の移動と同じ様子を示している。つ
まり、対象となる3つの山625、626、627(図
126(a))のうち、コア部分が最低の山627の一
部627aを右ブロック115bから左ブロック115
aに移動させた後に(図126(b))、山625と山
626について刈り上げ処理とコア処理を行い(図12
6(c))、最後に、分割移動した山の残る部分627
bも右ブロック115bから左ブロック115aに移動
させて山627aと合体させている(図126
(d))。以上のように、Z番号の空きがないブロック
から、空きがあるブロックへ部品カセット(部品テー
プ)を移動させることで、Z番号の空きを作り、その空
きを使ってコア処理を行うことで、それまで、断念して
いた部品分割が可能となる。つまり、ブロックを超えた
部品テープの移動を検討することで、断念していたコア
処理が可能となり、理想的な吸着パターンが生成され、
吸着上下回数が減少され得る。
【0164】4.1.3 ダブルカセットの使用本数の
見積もり 実装の対象となる1つの部品グループ(部品テープ群
「山」)が与えられ、これに対するコア処置が終了する
と、各部品テープをZ軸(部品カセットの並び)に割り
当てることになる。このことは、2つの部品テープを同
時に収納できる部品カセット(ダブルカセット)を使用
する場合についても同様であるが、ダブルカセットを使
用する場合には、全ての部品テープをペアにして1つの
ダブルカセットに収納することができるとは限らず、ま
た、ペアにすべき部品テープが固定されている場合等が
あり、割当てに際して、何本のダブルカセットが必要と
されるのかが問題となる。そこで、ダブルカセットを対
象として、与えられた「山」を構成する全ての部品テー
プをZ軸に割り当てる場合に、必要とされるダブルカセ
ットの本数をNCデータ等に基づいて事前に算出する
(見積もる)方法を考案した。図127は、ダブルカセ
ットの使用本数を見積もるアルゴリズムの処理手順を示
すフローチャートである。まず、対象となっている部品
テープの総本数Nを特定する(S640)。次に、固定
の対象となっている全ての部品テープを図128に示さ
れる4種類のグループA〜Dに分類したときの各グルー
プに属する部品テープ数Na、Nb、Nc、Ndを特定する
(S641〜S644)。つまり、 (i)グループAに属する部品テープ数Na:同じ部品グル
ープの部品テープとペアになるものの本数Na(必ず、
偶数となる)、 (ii)グループBに属する部品テープ数Nb:異なる部品
グループの部品テープとペアになり、かつ、この山の部
品テープの部品グループ番号(各部品グループを識別す
るために付与された一連の番号)が、その異なる部品グ
ループの部品グループ番号よりも小さいものの本数N
b、 (iii)グループCに属する部品テープ数Nc:異なる部品
グループの部品テープとペアになり、かつ、この山の部
品テープの部品グループ番号が、その異なる部品グルー
プの部品グループ番号よりも大きいものの本数Nc、 (iv)グループDに属する部品テープ数Nd:ペアになる
部品テープがないものの本数Nd、を計数する。最後
に、以下の算出式に従って、求めるべき必要なダブルカ
セットの本数Nwを算出する(S645)。 Nw=Na/2+Nb+Nd+ceil((N-Na-Nb-Nc-2N
d)/2) ただし、ceil(x)は、実数x以上の最小の整数値を意
味する。この算出式の根拠は以下の通りである。算出式
の右辺は、固定対象の部品テープの収納に必要なダブル
カセットの本数(第1〜第3項)と、非固定対象の部品
テープの収納に必要なダブルカセッの本数(第4項)と
の合計からなっている。右辺第1項Na/2は、グルー
プAの部品テープを収納するのに必要なダブルカセット
の本数である。右辺第2項Nbは、グループBの部品テ
ープと、これら部品テープとペアになる異なる(グルー
プ番号の大きい)部品グループの部品テープとを収納す
るのに必要なダブルカセットの本数である。このよう
に、異なる部品グループの2つの部品テープを1つのダ
ブルカセットに収納する場合には、グループ番号の小さ
い部品グループに対してダブルカセットが必要になると
計算しているので、上記グループCの部品テープの収納
に必要なダブルカセットの本数Ncは計上されないこと
になる(算出式の右辺に加算されない)。右辺第3項N
dは、グループDの部品テープ(及び、これら部品テー
プとペアになる非固定対象の部品テープ)を収納するの
に必要なダブルカセットの本数である。右辺第4項ceil
((N-Na-Nb-Nc-2Nd)/2)は、非固定対象の部
品テープの一部(Nd本)がグループDの部品テープと
ペアにして収納される場合における、非固定対象の部品
テープを収納するのに必要なダブルカセットの本数であ
る。なお、非固定対象の部品テープの一部(Nd本)が
グループDの部品テープとペアにして収納されない場合
には、その本数は、ceil((N-Na-Nb-Nc-Nd)/
2)となる。以上より、必要なダブルカセットの本数
は、上記算出式の右辺第1〜第4項の合計となる。
【0165】図129は、必要なダブルカセットの本数
の計算例を示す。図129(a)は、対象となる部品テ
ープの並びa〜zを示し、図129(b)は、それら部
品テープの内訳を示し、図129(c)は、各部品テー
プがダブルカセットに収納される様子を示し、図129
(d)は、必要なダブルカセット本数の計算式を示す。
この図129から分かるように、上記算出式によって、
あらゆる部品テープの並びに対しても、必要なダブルカ
セットの本数が算出され得る。なお、上記式は、整理す
ることにより、以下のように簡単化することもできる。 Nw =Na/2+Nb+Nd+ceil((N-Na-Nb-Nc-2Nd)/2) =ceil(Na/2+Nb+Nd+(N-Na-Nb-Nc-2Nd)/2) =ceil((N+Nb-Nc)/2)
【0166】4.1.4 ダブルカセットのペア固定 ダブルカセットは、テープ幅8mmの部品テープを2つ
収納することができるが、同じ送りピッチ(例えば、2
mm又は4mm)で2つの部品テープを同時に送り出す
ために、異なる送りピッチ用の部品テープを混在させて
収納することができない。そのために、ダブルカセット
を対象として、小部品を最適化する場合には、送りピッ
チ毎に作成した部品ヒストグラムをその部品テープ総数
の半分で折り返すことでペアを作った後に、対応する送
りピッチのダブルカセットに収めることとしている。と
ころが、生産現場の事情等により、自由な組み合わせで
2つの部品テープをダブルカセットに収めることができ
ない状況、即ち、ペアとなる部品テープが固定される場
合がある。したがって、ペア固定の対象となる部品テー
プを含み、かつ、送りピッチが異なる部品テープを含む
部品テープ群が与えられたときに、どのような並びでダ
ブルカセットに収めるべきかが問題となる。そこで、ダ
ブルカセットを対象とし、ペアリングの制約を考慮した
最適化、即ち、刈り上げ処理に適した部品テープのZ配
列を決定するアルゴリズムを考案した。図130は、ダ
ブルカセットのペア固定を考慮したZ配列の最適化アル
ゴリズムの処理手順を示すフローチャートである。ここ
では、送りピッチが2mmと4mmのダブルカセットを
使用する部品テープが含まれるとする。まず、ペア固定
となる部品テープを分離する(S660)。具体的に
は、同一の送りピッチの部品テープ群ごとに、ペア固定
の対象でない部品テープと、ペア固定の対象である部品
テープに分ける。そして、送りピッチが2mmのダブル
カセットを使う部品テープについて、仮Z軸上に「山」
を作る(S661)。具体的には、ペア固定の対象でな
い部品テープについては、これまでのアルゴリズム(上
述の折り返しによる方法)と同様にしてペアを作り、ペ
ア固定の対象となる部品テープについては、そのままペ
アにする。同様に、送りピッチが4mmのダブルカセッ
トを使う部品テープについて、仮Z軸上に「山」を作る
(S662)。具体的には、ペア固定の対象でない部品
テープについては、これまでのアルゴリズムと同様にし
てペアを作り、ペア固定の対象となる部品テープについ
ては、そのままペアにする。最後に、送りピッチが2m
mと4mmのダブルカセットの部品ヒストグラムを融合
する(S663)。このとき、ペア固定のダブルカセッ
トも含める。具体的には、上記ステップS661及びS
662で作られたダブルカセットをひとまとめにして、
ダブルカセットの奇数側の部品数が大きい順にダブルカ
セットを並べ替える。
【0167】図131〜図134は、図130の各ステ
ップS660〜S663における処理の具体例を示す。
図131は、図130のステップS660での処理を示
している。ここで、図131(a)は、送りピッチが2
mmの部品テープ群を、ペア固定の対象でない部品テー
プの部品ヒストグラム660と、ペア固定の対象である
部品テープ661a、661bとに分けた様子を示して
いる。同様に、図131(b)は、送りピッチが4mm
の部品テープ群を、ペア固定の対象でない部品テープの
部品ヒストグラム665と、ペア固定の対象である部品
テープ666a、666bとに分けた様子を示してい
る。図132は、図130のステップS661での処理
を示している。ここで、図132(a)の部品ヒストグ
ラム660には折り返し位置(点線)661cが示され
ている。図132(b)は、その折り返し位置で部品ヒ
ストグラム660が折り返された後の部品ヒストグラム
662を示している。なお、ここでの「折り返し」と
は、折り返し位置で分離された前半部と後半部とを、そ
れぞれの並び順序を維持したまま、各部品テープが交互
に並ぶように、合成することである。図133は、図1
30のステップS662での処理を示している。図13
3(a)の部品ヒストグラム665には折り返し位置
(点線)665cが示されている。図133(b)は、
その折り返し位置で部品ヒストグラム665が折り返さ
れた後の部品ヒストグラム667を示している。図13
4は、図130のステップS663での処理を示してい
る。ここで、図134(a)は、図130のステップS
662及びS663で得られた各部品テープを一列(仮
Z軸上)に並べた状態を示し、ペア固定の対象ではない
送りピッチが2mmの部品ヒストグラム662と、ペア
固定の対象である送りピッチが2mmの部品ヒストグラ
ム661a及び661bと、ペア固定の対象ではない送
りピッチが4mmの部品ヒストグラム667と、ペア固
定の対象である送りピッチが4mmの部品ヒストグラム
666a及び666bとが仮Z軸上に並べられた状態を
示している。図134(b)は、図134(a)に示さ
れた並びにおけるダブルカセットのペアを維持したま
ま、奇数Z番号側の部品テープの部品数が多い順(図中
の点線)に並び替えた状態を示している。このZ配列が
最終的に求める部品テープの並びである。図134
(b)に示されたZ配列から分かるように、この部品テ
ープの並びは、ダブルカセットのペア固定が維持され、
かつ、刈り上げ処理に適した配列となっている。つま
り、マルチ装着ヘッド112が1回の吸着上下動作で吸
着される奇数のZ番号だけ(あるいは、偶数のZ番号だ
け)に位置する部品テープだけに着目すると、それら部
品テープは、部品数の多い順に並べられている。
【0168】4.1.5 NGヘッドを考慮した最適化
アルゴリズム 部品実装機100の運用中に、NGヘッドが生じた場合
には、そのNGヘッドの影響を最小限に止めたうえで、
部品の実装を継続することが必要とされる。ここで、
「NGヘッド」とは、もはや部品を吸着することができ
ない状態となった装着ヘッドのことである。そこで、以
下の前提条件の下で、つまり、(i)運用中にNGヘッド
が発生しても、Z軸上の部品カセット(部品テープ)の
配列は変化させない、(ii)NGヘッドを使わずに吸着す
るので、吸着パターンが変化する、(iii)NGヘッドと
なったヘッド番号の装着ヘッドでしか吸着できない実装
点は、実装しない、という条件の下で、NGヘッドを除
く他の正常な装着ヘッドだけによる吸着パターンの生成
方法を考案した。なお、「ヘッド番号」とは、マルチ装
着ヘッド112を構成する個々の装着ヘッドを識別する
番号(左から1〜10)である。具体的には、NGヘッ
ドがないものとして作成された部品テープの配列
(「山」)に対して、NGヘッドの位置に対応する部品
テープから部品を吸着しないことにして、その「山」に
対して刈り上げ処理を行い、吸着パターンを生成するこ
とにより、NGヘッドに対応することとした。この時、
1タスク当たりの吸着上下回数が2回以上になったとし
ても、1タスク当たりの部品数を最大化させることを優
先した。つまり、マルチ装着ヘッド112に部品が満載
された状態(全ての正常な装着ヘッドに部品が吸着され
た状態)になるまで、吸着上下動作をして部品を吸着し
た後に、基板に部品を装着することとした。図135
は、NGヘッドを考慮した最適化アルゴリズムの処理手
順を示すフローチャートである。まず、与えられた部品
ヒストグラムに対して、NGヘッドを除く正常な装着ヘ
ッドだけを用いて、1回の吸着上下動作により、可能な
限り多くの部品を吸着する(S680)。その結果、マ
ルチ装着ヘッド112が満載状態ではなく、かつ、吸着
対象の部品が残されている場合には(S681でN
o)、満載状態になるか、又は、吸着対象の部品が無く
なるまで、マルチ装着ヘッド112を移動させて再度の
吸着上下動作をすることにより(S680)、空いた装
着ヘッドに部品を吸着させることを繰り返す(S68
0、S681)。もし、マルチ装着ヘッド112が満載
状態になるか、又は、全ての部品を吸着し終えた場合に
は(S681でYes)、1つのタスクでの吸着を終
え、基板20に移動して部品を装着することにする(S
682)。以上の処理(S680〜S682)を、対象
の部品が無くなるまで繰り返す(S683)。これによ
って、NGヘッドが発生した状況においても、マルチ装
着ヘッド112の満載状態を優先した部品の吸着パター
ンが完成される。つまり、少ないタスク数で部品の実装
を終えることができる。
【0169】図136〜図138は、NGヘッドが無い
場合とNGヘッドがある場合それぞれの吸着パターンを
比較して説明するための図である。図136は、対象と
なる部品ヒストグラム680を示す。図137は、NG
ヘッドが無い場合の図136に示された部品ヒストグラ
ム680に対する吸着パターン(刈り上げ処理とコア処
理による)681を示す。一方、図138は、ヘッド番
号2の装着ヘッドH2がNGヘッドである場合の図13
6に示された部品ヒストグラム680に対する吸着パタ
ーン685を示す。なお、図137及び図138に示さ
れた吸着パターン681、685は、図136に示され
た部品ヒストグラム680に対してコア処理に伴う部品
テープA、B、Cの分割が行われたときのパターンであ
る。また、左縦軸は、吸着上下回数(積算値)を示し、
右縦軸は、タスク数を示している。四角枠で囲まれた部
品群は、1つのタスクを示している。ただし、図138
において、第2及び第9タスクは、それぞれ、2つの四
角枠687a及び687bと688a及び688bとに
分離して示されている。図138において、例えば、第
2タスクは、1回目の吸着上下動作687aによって、
装着ヘッドH1とH10に合計2個の部品が吸着され、
2回目の吸着上下動作687bによって、装着ヘッドH
3〜H9に合計7個の部品が吸着され、その結果、装着
ヘッドH2を除く9個の装着ヘッドに合計9個の部品が
吸着され満載状態となっている。図137と図138と
を比較して分かるように、NGヘッドを考慮した場合に
は、そうでない正常な場合に比べ、吸着上下回数につい
ては、16から24へと大きく増加しているが、タスク
数については、13から14へとわずかな増加で済んで
いる。これによって、NGヘッドを考慮した最適化が実
現されたことになる。なお、基板サイズがLLサイズ以
上の基板の場合、ヘッド7〜10でしか実装できない領
域があるため、このような基板を対象としたNGヘッド
の最適化が問題となる。これまでのアルゴリズムでは、
ヘッド1〜10をヘッド1〜6とヘッド7〜10の2つ
のヘッド群に分け、ヘッド群毎に別個に吸着パターンを
生成している。この場合においても、ヘッド群毎にNG
ヘッドを使わずに吸着することで、同様に対応すること
ができる。ただし、特定の装着ヘッドしか吸着できない
Z番号があるので、部品カセットの入れ替えが必要とな
る。
【0170】4.2 複数NCデータの同時最適化 部品実装機100を使用するユーザによっては、部品実
装機100にセットした部品カセット群の位置や並びを
変更することなく、そのままの状態で、複数の基板を短
い時間で生産したいと希望する場合がある。そのため
に、複数の基板の実装に共通して使用でき、かつ、それ
ら複数の基板の全てを実装し終えるのに要するトータル
時間が少なくなるような最適な部品カセットの並び等を
決定する必要がある。つまり、複数のNCデータを対象
とした部品実装順序の最適化アルゴリズムが求められ
る。以下、その最適化アルゴリズムを説明する。その最
適化アルゴリズムの基本原理は、次の通りである。つま
り、刈り上げ処理が期待通りに動作する条件は、部品カ
セットの並びが各部品テープの部品数の順番に並んでい
ることである。そこで、基板ごとに、部品数順と部品カ
セット配列との相関係数を計算し、これを最大化する部
品カセット配列を求め、それ以降については、これまで
説明したアルゴリズムによる最適化を行うこととする。
図139は、複数のNCデータを同時に最適化するとき
の全体の処理手順を示すフローチャートである。まず、
与えられた複数のNCデータについて(S700)、一
定の類似性を有するNCデータが存在するか否か検討し
(S701)、類似性がある場合には、それらNCデー
タの実装点を合わせたものを新たなNCデータとする
(S702)という処理を、全てのNCデータについて
繰り返す(S700〜S703)。ここで、類似性の判
定は、部品種ごとの部品数を成分とするベクトル(部品
種を成分要素とし、各部品種の部品数を各成分要素の大
きさとするベクトル)で各NCデータを表現し、2つの
ベクトル間の方向余弦(cosθ)が予め定めたしきい
値よりも大きい場合に類似性があるとする。つまり、c
osθ>しきい値 なら、2つのNCデータは類似性が
あるとする。なお、方向余弦は、2つのNCデータに含
まれる部品種がどの程度共通しているかを示す指標にな
ると考えられる。そして、このような合成処理が施され
た後の1以上のNCデータについて、基板の生産枚数が
多い順に、NCデータごとにZ配列を最適化していくこ
とを繰り返す(S704)。このとき、最適化するNC
データに、既にZ配列が決定された部品テープが含まれ
ている場合には、その部品テープを除いた上で、刈り上
げ処理等の通常の手法で部品テープのZ配列を決定す
る。このように、NCデータに含まれる部品種の多くが
共通する場合には、それら複数のNCデータを1つのN
Cデータとして最適化し、そうでない場合には、個別に
NCデータを最適化する。
【0171】次に、複数のNCデータを1つのNCデー
タとして最適化する具体的なアルゴリズム、即ち、複数
NCデータの同時最適化アルゴリズムを説明する。な
お、ここでの最適化の対象は、Z配列としている。これ
は、最適化の主な対象としては、(i)Z配列、(ii)タス
ク内の実装経路、(iii)タスクの順序、の3つである
が、複数のNCデータを同時に最適化する場合には、部
品のZ配列を共通にする必要があるので、Z配列を最適
化することが最も重要となるからである。他の2つ(i
i)、(iii)は、決められたZ配列に対する刈り上げ処理
で生成されるタスクに対する最適化で処理可能である。
ところで、個々のNCデータの最適化を行う刈り上げ処
理で期待されるZ配列は、コア処理をさておけば、「部
品数の多い順に部品テープが並ぶZ配列」である。した
がって、ここでの最適化アルゴリズムは、個々のNCデ
ータに対してこのような条件がもっともよく満たされる
共通のZ配列を決定するアルゴリズムである。図140
は、複数NCデータのZ配列を同時に最適化する処理手
順を示すフローチャートである。まず、「順位法」、
「総員数法」及び「生産数法」と呼ぶ3つの手法のいず
れかを用いて、初期Z配列を決定する(S710)。こ
こで、「順位法」とは、各部品テープの部品数における
順位の平均値が大きい順に部品テープを配列する方法で
あり、「総員数法」とは、各部品テープの部品数の総和
が大きい順に部品テープを配列する方法であり、「生産
数法」とは、最も部品数の多いNCデータを優先して部
品テープを配列し、他のNCデータについては「総員数
法」により部品テープを配列する方法である。なお、こ
れら3つの方法のいずれを採用するかは、シミュレーシ
ョンによって判明している予め定められた基準、例え
ば、NCデータの数が5未満であれば「生産数法」を採
用する等の基準によって決定する。そして、初期Z配列
を決定した後に、確率的探索による最適化を行う(S7
11)。つまり、Z配列をランダムに変更し、もし、平
均同時吸着数(タスク当たりの同時吸着される部品数の
平均値)が増加するならば採用し、そうでないならば採
用しない(変更を元に戻す)という処理を繰り返す。例
えば、(i)Z配列における1つの部品テープを引き抜
き、(ii)引き抜きによって生成された空きを左詰によ
って埋めた後に、(iii)引き抜いた部品テープを別に位
置に挿入する、という状態遷移を試み、最適化レベルが
向上するならば採用する。このような状態遷移と評価と
を繰り返すことによって、最適化レベルが徐々に向上さ
れ得る。
【0172】図141は、初期Z配列の決定に用いる3
種類の方法を説明する具体例を示す図である。ここで
は、説明の便宜上、5種類の部品テープA〜E(又はそ
の一部)を使用する3つのNCデータ1〜3を対象とし
て初期Z配列を決定する場合の例が示されている。図1
41(a)は、それら3つのNCデータ1〜3につい
て、NCデータで使用されている部品テープごとの部品
数(数値)と、部品数の多い順に部品テープを並べた場
合の順位(括弧内の数値)と、そのNCデータを用いて
生産される基板の生産枚数と、各部品テープごとの平均
順位と総部品数とを示している。図141(b)は、図
141(a)に示された3つのNCデータ1〜3に対し
て、「順位法」、「総員数法」及び「生産枚数法」それ
ぞれにより決定される初期Z配列の結果を示している。
「順位法」によれば、(i)NCデータごとに、各部品テ
ープの順位を決定し、(ii)各部品テープの順位の平均値
を求め、(iii)求めた平均値の大きい順に部品テープを
並べたものを初期Z配列とする。したがって、図141
(a)に示されたの「平均順位」の値に基づき、図14
1(b)に示されるように、順位「CABED」が決定
される。また、「総員数法」によれば、(i)部品テープ
ごとに、部品数の総和を求め、(ii)求めた総和の大きい
順に部品テープを並べたものを初期Z配列とする。した
がって、図141(a)に示された「総部品数」の値に
基づき、図141(b)に示されるように、順位「AC
BDE」が決定される。また、「生産数法」によれば、
(i)生産枚数の最も多いNCデータを特定し、(ii)特定
したNCデータで使われている部品テープを最適化する
ことによってZ軸上に部品テープを配置して固定し、(i
i)他の部品テープについては、「総部品数」により、空
いたZ軸上に配置して得られる部品テープの並びを初期
Z配列とする。しがって、ここでは、図141(a)に
示された「生産枚数」の値に基づいて、まず、NCデー
タ2の順に従って順位「ABC」が決定され、続いて、
総部品数の順に従って順位「DE」が決定される。以上
の複数NCデータに対する同時最適化アルゴリズムにつ
いて、シミュレーションにより評価した結果について説
明する。なお、シミュレーションにおいては、部品分布
として、小さい部品は部品数が多く、部品サイズが大き
くなるとともに部品数は漸減するという、NCデータの
一般の性質を考慮した以下のような分布を採用した。部
品partの使われる平均部品数n(part)を、 n(part) = C/part とし(partは一連の部品テープ番号、Cは定数)、各N
CデータAにおいては、これにノイズを加えたもの n(part,A) = (C/partの幅の乱数) ± ((C/3)/
partの幅の乱数) とした。また、NCデータ数は、1から20までの乱数
で与えた。シミュレーションの方法としては、 (i)乱数で最適化するNCデータ数を決める。 (ii)各NCデータの部品数を決める (iii)上述の3つの方法で初期Z配列を求める (iv)上述の状態遷移則で、吸着回数を最小となる最適な
Z配列を確率的に探索する、という手順である。このよ
うな条件でのシミュレーションの結果、判明したこと
は、以下の通りである。 (i)初期Z配列に関する3つの手法のいずれであっって
も、NCデータ数が増加するにつれて、同時吸着できる
部品の数が次第に減ってゆく。 (ii)NCデータ数が少ない場合には、「生産数法」に
よる初期Z配列のほうが同時吸着数が多く、NCデータ
数が増えるにしたがって、「総員数法」によるほうが同
時吸着数が多くなっていく。 (iii)上述の状態遷移を1000回実施し、最適化を図
った結果、10%強の吸着数の改善(吸着回数の10%
減少)が見られた。以上のシミュレーション結果から、
NCデータの数が5未満であれば、「生産数法」がもっ
とも良く、NCデータが5以上になると、「総員数法」
がもっとも良くなると考えられる。
【0173】4.3 汎用部品の最適化(ルールベース
の導入) これまで、汎用部品に対する最適化アルゴリズムは、上
記2.9「汎用部品に対する最適化」で述べたように、
確率的探索をベースとしたアルゴリズムである。つま
り、汎用部品は、吸着可能なノズルの種類が特定される
等の様々な制約を受けることから、Z軸上の部品テープ
の配置、タスクの編成等をパラメータ化したものを「状
態」と考え、その状態の良し悪しを実装時間で評価し、
状態を確率的に変化させて、実装時間がより短くなる状
態を探索した。しかしながら、このような確率的探索に
よる最適化は、最適化処理に与える初期状態が悪いと、
最適化に必要な時間が極めて長くなる傾向にある。事
実、これまでのアルゴリズムでは、初期状態として生成
されるタスクは、吸着動作の点からは好ましい初期状態
とは言えない。例えば、Z軸方向に部品テープが連続し
て置かれ、10点の部品を1回で吸着できるにも拘わら
ず、10回の吸着上下動作を行って、同一のZ番号に配
置された部品テープから10点の部品を吸着するような
実装順序を初期状態としていた。そこで、汎用部品の最
適化処理を高速化させるために、ノズルの制約を考慮
し、一定のルールに基づいて、最適な初期状態を生成し
たり、ノズルの交換動作を最適化させるアルゴリズムを
考案した。以下、そのアルゴリズムについて、4種類の
手法(「横取り法」、「タスク分割」、「タスク融
合」、「タスク入替」)を説明する。
【0174】4.3.1 横取り法 「横取り法」は、確率的探索による最適化手法に与える
初期タスク(初期状態に対応するタスク列)を生成する
アルゴリズムである。名前の通り、Z軸方向に吸着可能
な部品を探す方法であり、小部品の最適化アルゴリズム
として開発した上述の刈り上げ処理と似ている。図14
2は、「横取り法」による初期タスクの生成アルゴリズ
ムの処理手順を示すフローチャートである。大きく分け
て、部品テープをZ軸に配置する前半の処理(S720
〜S722)と、タスクの生成を繰り返す後半の処理
(S723〜S726)とからなる。具体的には、前半
の処理においては、まず、対象の汎用部品に対して、部
品グループごとに、部品数の多い順に部品テープを並べ
た部品ヒストグラムを作成する(S720)。次に、作
成した各部品ヒストグラムをノズルタイプごとの部品ヒ
ストグラムに分割する(S721)。つまり、部品グル
ープごとに作成された部品ヒストグラムから、同一タイ
プのノズルで吸着される全ての部品テープを取り出し、
部品数の多い順に並べるという処理を、その部品ヒスト
グラムに含まれる全てのノズルタイプについて繰り返
す。そして、得られたノズルタイプごとの部品ヒストグ
ラムを、左右ブロック115a及びbの内側から部品テ
ープを1つずつ詰めるだけ詰めてZ軸に配置していく
(S722)。後半の処理においては、前半の処理で得
られた部品ヒストグラムに対して、部品グループごとに
(S723〜S726)、Z軸方向にスキャンしながら
部品を取り出して(横取りして)タスクを生成するとい
う処理(S724)を、各部品ヒストグラムの底辺から
上方に向けて、部品がなくなるまで繰り返す(S72
5)。得られたタスク列が、目的とする初期タスクとな
る。なお、スキャンする部品ヒストグラムの順番とし
て、ノズルリソース数が小さいものを優先する。また、
異なるタイプのノズルが混在してでも、各タスクを構成
する部品の個数を最大化させることを優先する。例え
ば、マルチ装着ヘッド112に、タイプMのノズルが2
個と、タイプSのノズルが8個装着されている場合に
は、ノズルタイプMの部品ヒストグラムから2個の部品
を取り出した後に、ノズルタイプSの部品ヒストグラム
から8個の部品を取り出して1個のタスクを完成させ
る。図143は、図142に示されたフローチャートに
おける前半処理(S720〜S722)の具体例を示す
図である。図143(a)は、図142のステップS7
20において生成される部品グループ単位での部品ヒス
トグラムを示している。ここでは、2つの部品ヒストグ
ラム720、721が示されている。図143(b)
は、図142のステップS721において生成されるノ
ズルタイプ毎の部品ヒストグラムを示している。ここで
は、部品ヒストグラム720が部品ヒストグラム720
aと720bに分割され、部品ヒストグラム721が部
品ヒストグラム721aと721bに分割されている。
図143(c)は、図142のステップS722におい
てZ軸上に配置された部品ヒストグラムを示している。
ここでは、右ブロック115bに部品ヒストグラム72
0aと721aが配置され、左ブロック115aに部品
ヒストグラム720bと721bが配置されている。
【0175】図144は、図142に示されたフローチ
ャートにおける後半処理(S723〜S726)の具体
例を示す図である。図144(a)は、図142のステ
ップS724におけるスキャンの方向とスキャンの順番
(数値1〜13)を示している。ここでは、対象となる
2つの部品ヒストグラム、即ち、ノズルタイプSの部品
ヒストグラム725とノズルタイプMの部品ヒストグラ
ム726とが示されている。なお、いずれのタイプのノ
ズルについても、ノズルリソース数の制約がないものと
している。図144(b)は、図142のステップS7
24におけるタスク生成の様子を示している。ここで
は、部品ヒストグラム725の最下段に位置する8個の
部品と最下段から2番目の段に位置する2個の部品によ
って1つのタスクが生成される様子が示されている。図
144(c)は、図142の後半処理(S723〜S7
26)において繰り返し生成されるタスク(吸着パター
ン1〜5)を示している。つまり、各部品ヒストグラム
725、756の部品中に記された数値は、タスクの番
号(順番)である。ここで、タスク番号3のタスク3
は、部品ヒストグラム725に属する部品と部品ヒスト
グラム726に属する部品とが混在する、つまり、異な
るタイプのノズルが使用されるタスクとなっている。図
144(d)は、図142の後半処理(S723〜S7
26)において生成されるタスク列727、即ち、最終
的に生成される初期タスク727を示している。なお、
部品ヒストグラム725に属する部品は細い線で囲ま
れ、部品ヒストグラム726に属する部品は太い線で囲
まれている。また、タスク列における先頭(実装順序の
早いもの)は、最下段に置かれたタスク1である。図1
44(e)は、図144(d)に示された初期タスク7
27のノズルパターンである。ここで、「ノズルパター
ン」とは、対象となるタスク列について、使用するノズ
ルのタイプを装着ヘッドの位置(マルチ装着ヘッド11
2上の装着位置)に対応づけて示したパターンである。
ここでは、3番目のタスクにおいて、タイプSとタイプ
Mが混在している様子が示されている。図145は、こ
のような「横取り法」による効果を示す図である。ここ
では、説明の便宜上、1つの部品ヒストグラム730を
対象とし、これまでのアルゴリズムによって生成される
初期タスク731と、この「横取り法」によって生成さ
れる初期タスク732について、吸着上下回数が比較さ
れている。なお、太線で囲まれた部品は、同一タスクに
属することを意味し、部品中の数値は、その部品を吸着
する装着ヘッド番号を示す。従来手法によれば、図14
5の上段に示されるように、部品ヒストグラム730
は、4つのタスク731、732a及びb、733a及
びb、734から構成されるので、合計40回の吸着上
下回数を必要とする。一方、「横取り法」によれば、図
145の下段に示されるように、部品ヒストグラム73
0は、4つのタスク735〜738から構成されるの
で、合計140回の吸着上下回数を必要とするだけであ
る。
【0176】4.3.2 タスク分割 ノズル交換を最適化することによって、汎用部品の実装
時間は大きく短縮化され得る。ところが、NCデータを
使って、ノズル交換を直接に制御できるわけではなく、
NCデータに記述された部品種に応じて、部品実装機1
00本体が自動的にノズル交換を行う。そのため、ノズ
ル交換中の交換動作を最適化するためには、タスクに含
める部品種を変化させて、間接的に最適化することにな
り、タスクの最適化とノズル交換動作の最適化を同時に
行う必要があり、これは、現実的ではない。そこで、ノ
ズル交換そのものが少なくなるようなタスク編成を作り
出して、実装時間全体の短縮を目指すこととした。その
タスク編成の1つの方法が「タスク分割」である。具体
的には、初期タスクの中の各タスクが使用するノズルパ
ターンを調べ、その前後のタスクでノズル交換が行われ
るタスクに着目し、ノズル交換をする前のノズルパター
ンで吸着できる部品種から構成されるタスクと、ノズル
交換をした後のノズルパターンで吸着できる部品種から
構成されるタスクに分割し、無駄なノズル交換が行われ
ないようなタスクに再構成する。図146は、「タスク
分割」によるノズル交換動作の最適化アルゴリズムの処
理手順を示すフローチャートである。まず、最適化の対
象となるタスク列(あるいは、初期タスク)について、
ノズルパターンを調べることによって、2種類以上のノ
ズルを用いるタスクが存在するか否か判断する(S74
0)。その結果、そのようなタスクが存在しない場合に
は(S740でNo)、「タスク分割」は不要と判断
し、終了する。一方、そのようなタスクが存在する場合
には(S740でYes)、それらタスクを、ノズルの
種類が1つとなるように、分離する(S741)。そし
て、分離によって得られたタスクの一方(直前のタスク
と異なるノズルを用いるタスク)を、ノズルが同じ一連
のタスク(以下、同一タイプのノズルを用いる一連のタ
スクを「タスクセット」と呼ぶ。)の最後に移動させる
(S742)。これによって、異なるタイプのノズルが
混在したタスクは消滅し、全てのタスクは、同一タイプ
のノズルを用いる部品だけで編成されることとなる。
【0177】図147は、図146に示されたフローチ
ャートにおける処理の具体例を示す図である。ここで
は、「横取り法」によって生成された初期タスクに対し
て「タスク分割」を行っていく場合の例が示されてい
る。図147(a)は、「タスク分割」の対象となるタ
スク列740を示し、ここでは、図144(d)に示さ
れたタスク列727に等しい。ここで、タスク列740
を構成するタスク3には、2種類のノズルが混在してい
る。そのために、このタスク3の前後においてノズル交
換が必要とされる状態となっている。つまり、タスク2
を終えてタスク3を実行するときと、タスク3を終えて
タスク4を実行するときにおいて、タイプSからMへの
ノズル交換が必要とされる。図147(b)は、図14
6のステップS741におけるタスクの分離の様子を示
している。ここでは、タスク3が、ノズルタイプSだけ
を含むタスク741とノズルタイプMだけを含むタスク7
42とに分割されている。図147(c)は、図146
のステップS742におけるタスクの移動の様子を示し
ている。ここでは、分離生成されたタスク742が、タ
スクセット743の最後尾に移動されている。図147
(d)は、図147(c)のタスク列に対応するノズル
パターンである。異なるタイプのノズルを含むタスクは
消滅し、元の初期タスクは、タイプSのノズルだけを含
む3つのタスクと、タイプMのノズルだけを含む3つの
タスクとから編成されることとなった。このような「タ
スク分割」後のノズルパターンから分かるように、この
タスク列は、タスク3を終えてタスク4を実行する際に
ノズル交換(タイプSからM)を必要としているだけで
あり、2回必要とされたノズル交換が1回に減少されて
いる。
【0178】4.3.3 タスク融合 上述の「タスク分割」によれば、ノズル交換回数は減少
するものの、タスクの数が増えている。そのために、ト
ータルとして、最適化のレベルが充分とは言えない場合
も起こり得る。そこで、増えたタスクを他のタスクと融
合することによって全体のタスク数の増加を抑える「タ
スク融合」を行うこととしている。図148は、「タス
ク融合」による最適化アルゴリズムの処理手順を示すフ
ローチャートである。まず、最適化の対象となるタスク
列について、タスクセットごとに、融合可能なタスクの
組が存在するか否か、即ち、装着ヘッドの位置が重複し
ないタスクの組が存在するか否か判断する(S75
0)。具体的には、装着ヘッド毎に(マルチ装着ヘッド
112上の同一位置について)、ノズル装着のAND
(ノズル装着が必要な場合に「1」、不要な場合に
「0」とした論理積)をとった時に全ノズルの値が0と
なるようなタスクの組を探す。その結果、そのようなタ
スクの組が存在しない場合には(S750でNo)、
「タスク融合」は不可能と判断し、終了する。一方、そ
のようなタスクの組が存在する場合には(S750でY
es)、それらタスクを融合する(S751)。具体的
には、それらタスクを、ノズルの位置を維持したまま連
結することで、1つのタスクに合成する。図149は、
図148に示されたフローチャートにおける処理の具体
例を示す図である。ここでは、図147に示された「タ
スク分割」により生成されたタスク列に対して「タスク
融合」を行っていく場合の例が示されている。図149
(a)は、「タスク融合」の対象となるタスク列を示
し、ここでは、図147(c)に示されたものに等し
い。ここで、タスク5とタスク742は、同一のタスク
セットに属し、かつ、マルチ装着ヘッド112上の異な
る位置で吸着される部品だけを含んでいるので、これら
タスク5及び742は、融合可能と判断される。図14
9(b)は、図148のステップS751におけるタス
クの融合の様子を示している。ここでは、タスク5とタ
スク742とが部品の位置を維持したまま融合されてい
る様子が示されている。図149(c)は、図149
(b)のタスク列に対応するノズルパターンである。図
147(d)に示されたノズルパターンと比較して分か
るように、図149(c)に示されたノズルパターンで
は、タイプMのノズルを含むタスクが1つ減少してい
る。これによって、ノズル交換回数を増やすことなく、
全体のタスク数が減少され、最適化レベルがさらに向上
され得る。具体的には、ノズルの交換回数が2回から1
回に減少している。
【0179】4.3.4 タスク入替 上述の「タスク分割」と「タスク融合」によって、ノズ
ル交換動作は最適化されたが、その最適化は、対象とな
った1つのタスク列(多くの場合、1つの部品グルー
プ)内での最適化に止まる。つまり、その前後に位置す
るタスク列との関係では、無駄なノズル交換が生じてい
る可能性がある。図150は、その具体例を示す。ここ
では、「タスク分割」や「タスク融合」等によって部品
グループの単位でノズル交換動作が最適化された2つの
部品グループ1及び2のノズルパターン760及び76
1が示されている。部品グループ1のノズルパターン7
60は、タイプSのタスクセット760aとタイプMの
タスクセット760bがこの順に並んで構成され、続
く、部品グループ2のノズルパターン761は、タイプ
Mのタスクセット761aとタイプSのタスクセット7
61bがこの順に並んで構成されているとする。本図に
示されたノズルパターンから分かるように、部品グルー
プ間において無駄なノズル交換が生じている。例えば、
タイプSのノズルに着目すると、タスクセット760a
を実行するためにマルチ装着ヘッド112に装着され、
続くタスクセット760bを実行するためにマルチ装着
ヘッド112から取り外されるが、最後にタスクセット
761aを実行するために再びマルチ装着ヘッド112
に装着されなければならないという無駄が生じている。
つまり、ノズルタイプが、S→M→S→Mと変化してい
るので、合計3回のノズル交換が必要とされている。そ
こで、部品グループ間における無駄なノズル交換を解消
するために、各部品グループに属するタスクセットを部
品グループ内で入れ替える「タスク入替」を行うことと
している。
【0180】図151は、「タスク入替」による最適化
アルゴリズムの処理手順を示すフローチャートである。
ここでは、いわゆる総当り法により、最適なタスクセッ
トの並びを決定している。具体的には、まず、最適化の
対象となる複数の部品グループ全体について、とり得る
全てのタスクセットの順列を特定する(S760)。こ
のとき、部品グループ単位での並びを変えないように、
各タスクセットは、部品グループ内でのみ移動可能とす
る。そして、各順列について(S761〜S763)、
そのノズルパターンにおけるノズル交換回数を算出し
(S762)、最も小さいノズル交換回数となるノズル
パターン(タスクセットの順列)を求める最適解とする
(S764)。図152は、「タスク入替」による最適
化によって得られたノズルパターンの例を示す。このノ
ズルパターンは、図150に示されたノズルパターンに
対する「タスク入替」によって得られたものであり、部
品グループ1を構成する2つのタスクセット760a及
び760bの順序が入れ替えられている。本図に示され
るノズルパターンによれば、ノズルタイプが、M→S→
Mと変化するだけなので、合計2回のノズル交換で済
む。つまり、「タスク入替」によって、3回のノズル交
換が2回に削減されている。
【0181】4.4 ノズル制約を考慮した最適化 ここでは、ノズルステーション119に置かれるノズル
の位置が固定されている場合への対応方法と、ノズルの
本数が10本に満たない場合における小部品の最適化に
ついて説明する。
【0182】4.4.1 ノズルステーション上のノズ
ル配置を固定した場合への対応 複数のNCデータを同時に最適化する場合等において
は、NCデータごとにノズルステーション119上のノ
ズル配置を異なるものにしておくことが許されない等の
原因により、「ノズルステーション119上のノズル配
置」が固定され、最適化における制約条件の1つとなっ
てくる場合がある。ノズルステーション119上のノズ
ル配置を固定した場合には、部品実装機100の機構上
の制約(ノズルステーション119上及び部品供給部1
15a及びb上でのマルチ装着ヘッド112の可動範
囲)から、指定されたノズルで指定された部品を吸着す
ることができないということが生じ得る。そこで、ノズ
ルステーション119上のノズル配置が与えられた場合
に、可能解チェック(可能な部品実装順序が存在し得る
か否かの判定)を行うこととしている。つまり、ノズル
ステーション119上のノズル配置と部品テープのZ配
列とが与えられた場合に、対象とする全ての部品が対応
するノズルで吸着され得るか否かを判断する。図153
は、その前提としての制約を説明するための図であり、
ノズルステーション119上でのマルチ装着ヘッド11
2の可動範囲に基づくノズル交換の制約を示す図であ
る。こここには、マルチ装着ヘッド112が最右端に位
置するときのマルチ装着ヘッド112とノズルステーシ
ョン119との相対的な位置関係(マルチ装着ヘッド1
12及びノズルステーション119の正面図)、ノズル
ステーション119の平面図、及び、ノズル配置と交換
可能(装着可能)な装着ヘッドとの関係(○印が交換可
能を意味する)を示すテーブル770が示されている。
なお、左方向については、マルチ装着ヘッド112は、
ノズルステーション119の位置を超えて移動すること
ができ、ノズル交換上の制約はない。本図から分かるよ
うに、ノズルステーション119上の最左端から数えて
第1〜第4列に置かれたノズルn1〜n4を装着できる
装着ヘッドは、装着ヘッドH1〜H10であり、制約は
存在しない。しかし、他のノズルn5〜n10について
は、制約が存在する。つまり、第5列に置かれたノズル
n5を装着できる装着ヘッドは装着ヘッドH2〜H10
に限られ、第6列に置かれたノズルn6を装着できる装
着ヘッドは装着ヘッドH3〜H10に限られ、・・・、
第10列に置かれたノズルn10を装着できる装着ヘッ
ドは装着ヘッドH7〜H10に限られる。図154は、
もう1つの制約を説明するための図であり、部品供給部
115a及びb上でのマルチ装着ヘッド112の可動範
囲に基づく部品吸着の制約を示す図である(図5に対応
するが、図5の内容と細部において異なる例である)。
【0183】図154(a)は、マルチ装着ヘッド11
2が最左端に位置するときのマルチ装着ヘッド112と
部品供給部115aとの相対的な位置関係を示してい
る。ここで、部品供給部115aに記された一連の数値
は、Z番号である。図154(b)は、マルチ装着ヘッ
ド112が最右端に位置するときのマルチ装着ヘッド1
12と部品供給部115bとの相対的な位置関係を示し
ている。図154(c)は、Z番号ごとにアクセス可能
な装着ヘッド(○印)と不可能な装着ヘッド(×印)と
を示す表である。本図から分かるように、Z番号1〜1
7、86〜96の部品テープについては、全ての装着ヘ
ッドがアクセスできるわけではない。つまり、Z番号1
の部品テープにアクセスできる装着ヘッドは、装着ヘッ
ドH1だけであり、Z番号2の部品テープにアクセスで
きる装着ヘッドは、装着ヘッドH1、H2であり、・・
・、Z番号17の部品テープにアクセスできる装着ヘッ
ドは、装着ヘッドH1〜H9であり、Z番号86の部品
テープにアクセスできる装着ヘッドは、装着ヘッドH2
〜H10であり、・・・、Z番号96の部品テープにア
クセスできる装着ヘッドは、装着ヘッドH7〜H10で
ある。なお、Z軸の左右両端近辺で、このようなアクセ
スの制約が生じるのは、部品実装機100の設計上の都
合である。つまり、このような制約が生じないことより
も、部品供給部115a及びbにセットできる部品テー
プの数を多くすることを優先したためである。以上の図
153と図154とから分かるように、ノズルステーシ
ョン119上のノズル配置が与えられた場合の可能解チ
ェックは、Z軸の左端付近に配置された部品に対して装
着ノズルがアクセスできるか否かを検討すればよいこと
になる。Z軸の左端付近にアクセス可能な装着ヘッド
は、ヘッド番号の低い装着ヘッドに限られ(図154
(c))、しかも、ヘッド番号の低い装着ヘッドは、ノ
ズルステーション119上の全てのノズルを吸着できる
とは限らない(図153(c))からである。一方、Z
軸の右端付近については、そのような検討は要らない。
少なくとも、装着ヘッドH10は、ノズルステーション
119上の全てのノズルを吸着することができ(図15
3(c))、最大のZ番号96の位置にアクセスするこ
とができるので(図154(c))、ノズルステーショ
ン119上のノズル配置による制約は生じないからであ
る。図155は、ノズルステーション上のノズル配置が
与えられた場合の可能解チェックをするときの処理手順
を示すフローチャートである。まず、与えられた部品テ
ープのZ配列から、ノズルタイプNtype毎の最小のZ番
号PZmin(Ntype,Z配列)を特定する(S780)。例え
ば、タイプSのノズルを用いる部品テープのうち、最左
端に置かれる部品テープのZ番号を特定する。次に、与
えられたノズルステーション119上のノズル配置NPか
ら、ノズルタイプNtypeごとに、以下の処理を繰り返す
(S781〜S785)。まず、そのノズルタイプNtyp
eのノズルを吸着することが可能な最小のヘッド番号Hmi
n(Ntype,NP)を特定する(S782)。例えば、タイ
プSのノズルは、ノズルステーション119上の最左列
から数えて第6列に置かれている場合には、図153
(c)に示された表を参照することで、このタイプSの
ノズルを吸着可能な装着ヘッドの最小番号は「3」と特
定できる。続いて、いま特定したヘッド番号Hmin(Ntyp
e,NP)から、ノズルタイプNtypeのノズルが到達できる最
小のZ座標NZmin(Ntype,NP)を特定する(S78
3)。例えば、ヘッド番号Hmin(Ntype,NP)が「3」であ
る場合には、図154(c)に示された表を参照するこ
とで、このノズルが到達できる最小のZ座標NZmin(Nty
pe,NP)は「4」と特定することができる。次に、いま
特定したZ座標NZmin(Ntype,NP)が、そのノズルタイ
プNtypeについて上記ステップS780で特定したZ番
号PZmin(Ntype,Z配列)以下であるか否かを判定する(S
784)。つまり、当該Ntypeについて、 NZmin(Ntype,P)≦ PZmin(Ntype,Z配列) が成立するか否か判定する。これは、このノズルタイプ
Ntypeのノズルについて、ノズルステーション119上
のノズル配置によって定まるアクセス可能な最小のZ座
標NZmin(Ntype,NP)が、与えられたZ配列から定まる
最小のZ番号PZmin(Ntype,Z配列)以下であること、即
ち、マルチ装着ヘッド112の左方向への移動に関し
て、そのノズルが、吸着すべき全ての部品を吸着するこ
とができるか否かを判定する。その結果、全てのノズル
タイプNtypeについて、ステップS784での判定が成
立した場合には、与えられたノズル配置とZ配列に対し
て可能解が存在すると判断し(S786)、そうでない
場合には、可能解が存在しないと判断する(S78
7)。このような可能解チェックを初期タスクの構成時
や状態更新時等に行うことで、ノズルステーション上の
ノズル配置を固定した影響を取り込んだ最適化が可能と
なる。
【0184】4.4.2 使用ノズルが10本未満の場
合の小部品の最適化 マルチ装着ヘッド112は最大10個の部品を同時に吸
着できるが、そのような効率的な部品吸着が可能となる
のは、マルチ装着ヘッド112に10本のノズルが装着
されていることが前提となる。ところが、生産現場にお
いては、ある部品実装機100で使用できるノズルの本
数が10本に満たないという状況が発生する。このよう
な状況であっても、マルチ装着ヘッド112は、ノズル
ステーション119上でノズル交換を行うことで、装着
するノズルの位置をずらす等の変更をすることができる
ので、理論的には、必要なタイプのノズルが少なくとも
1本用意されていれば、Z軸上のいずれの位置に置かれ
た部品であっても吸着し、全ての部品に対する実装を完
了することができる。しかしながら、ノズル交換は時間
を要する動作であるので、特に実装点数の多い小部品に
ついては、ノズル交換を最小に抑える実装順序が求めら
れる。そこで、使用ノズルが10本未満の場合における
小部品の最適化として、刈り上げ処理等のこれまでの小
部品用アルゴリズムをベースとし、ノズル交換が最小と
なるように、以下のような最適化を行うこととしてい
る。いま、使用ノズル本数がn(<10)本とすると、
ノズルパターンについては、次の2つのノズルパターン
を用意し、これら2つのノズルパターンだけ(場合によ
っては、いずれかのノズルパターンのみ)を用いて全て
の小部品を実装することとする。 (i)ノズルパターン1 ヘッド番号1〜nにノズルを装着したパターン (ii)ノズルパターン2 ヘッド番号(10−n+1)〜10にノズルを装着した
パターン
【0185】図156は、使用ノズル本数が6本の場合
に用意する2つのノズルパターンの例を示す。ノズルパ
ターン1は、ヘッド番号1〜6の6個の装着ヘッドにだ
けノズルが装着された状態であり、ノズルパターン2
は、ヘッド番号5〜10の6個の装着ヘッドにだけノズ
ルが装着された状態である。図157は、ノズル交換の
タイミングを説明するフローチャートである。ここで
は、与えられた部品テープのZ配列における位置(左右
ブロック、Z番号)に応じて、2種類のノズルパターン
1及び2のいずれを用いるか、及び、どのようなタイミ
ングでノズルパターンを交換するかが示されている。左
ブロックに配置された部品テープについては(S800
で左)、Z番号1〜17の位置に1つでも部品テープが
配置されている場合には(S801でYes)、ノズル
パターン1を用いてZ番号1から48の方向に部品を吸
着していき(S802)、Z番号1〜17の位置に吸着
すべき部品が無くなった時点で(S801でNo)、マ
ルチ装着ヘッド112のノズルパターンを1から2に変
え、残る部品をZ番号18から48の方向に吸着してい
く(S803)。一方、左ブロックのZ番号1〜17の
位置に1つも部品テープが配置されていない場合には
(S801でNo)、最初からノズルパターン2を用い
てZ番号18から48の方向に部品を吸着していく(S
803)。また、右ブロックに配置された部品テープに
ついては(S800で右)、全ての部品に対して、最初
からノズルパターン2で吸着していく(S804)。こ
のようなノズル交換のタイミングとしているのは、次の
理由による。つまり、図154(c)に示されたZ番号
ごとのアクセス可能な装着ヘッドのヘッド番号から分か
るように、ヘッド番号10の装着ヘッドH10は、Z番
号が18〜96の位置にアクセスできる。したがって、
使用ノズルの本数nが1以上である限り、ノズルパター
ン2によってZ番号18〜96の部品テープは必ず吸着
され得る。一方、Z番号1〜17の部品テープについて
は、少なくともヘッド番号1の装着ヘッドH1がそれら
部品テープにアクセスできるので、使用ノズルの本数n
が1以上である限り、ノズルパターン1によってZ番号
1〜17の部品テープは必ず吸着され得る。そして、多
くのZ番号にアクセスできるノズルパターン2を優先し
て使用する。これによって、わずか2種類のノズルパタ
ーンだけを用い、かつ、少ないノズル交換回数で、いか
なる種類のZ配列についても適用することができる。な
お、吸着パターンの生成については、与えられた部品ヒ
ストグラムに対して、これまでの10点単位に代えてn
点単位で刈り上げ処理等を行うことで、吸着パターンを
生成すればよい。
【0186】以上、本発明に係る部品実装順序の最適化
について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明
は、この実施の形態に限定されない。例えば、最適化装
置300は、具体的な構成を備える部品実装機100、
200それぞれにダウンロードするための最適なNCデ
ータを生成するために用いられたが、このような用途だ
けでなく、生産性に関する要求仕様を満たすために必要
とされる生産ラインの構成を決定するために用いること
ができるのは言うまでもない。生産対象となる基板の実
装点データとモデリングした仮想的な電子部品実装シス
テムの実装装置情報等とを最適化装置300に与え、得
られた最適状態(ラインタクト)が要求仕様を満たすか
否か判断すればよい。具体的には、この最適化装置30
0を、(i)実装装置の設計として、例えば、マルチ装着
ヘッド112のノズル数を4ノズルヘッド→10ノズル
ヘッド→8ノズルヘッドを変えてみたり、ノズルピッチ
を21.5mm→22mと変えてみたり、部品カセット
のピッチ(Z軸ピッチ)を変えてみたり、部品認識カメ
ラの位置を変えてみたりすることで、最も効率のよい
(生産性の高い)ヘッド等を決定するのに用いたり、(i
i)複数の生産ラインのうち、どの生産ライン(又は、実
装装置)で対象の基板を生産すべきかの決定に用いた
り、(iii)実装装置の販売や営業用のツールとして、い
かなるオプション(部品カセットやノズルの本数や種
類)を装備すれば、いかなる生産性(時間あたり何枚の
基板を生産することができるか)が確保されるかの計算
に用いたりすることができる。また、最適化装置300
は、部品実装機100、200とは別個独立した装置で
あったが、これら部品実装機100、200に内蔵され
ていてもよい。また、状態最適化部316は、部品グル
ープG[1]〜G[5]に属する小部品と部品グループG[6]
〜G[9]に属する汎用部品それぞれに対して、異なる探
索アプローチによる最適化を行ったが、本発明は、この
ような分類やアプローチに限られない。また、上記交差
解消法では、2つのタスクそれぞれの部品の実装点を接
続する折れ線(パス)どうしの交差を解消するように実
装順序を入れ替えてみてタクトが小さくなるか否かで実
装順序の最適化を行ったが、交差していないパスどうし
を入れ替えてみてもよい。交差していないタスクのパス
を入れ替えることでタクトが短縮化されることもあり得
るからである。なお、産業上の利用可能性として、本発
明に係る部品実装順序最適化方法は、電子部品をプリン
ト基板に実装する部品実装機による部品の実装順序を最
適化する最適化装置に利用することができる。生産ライ
ンに設置されて使用される部品実装機のコントローラと
してだけでなく、生産ラインを構築する前の段階で、導
入予定の部品実装機の構成・仕様と部品実装時間との関
係を見積もる等のために使用するシミュレーション・評
価ツールとして利用することもできる。
【0187】5 用語の説明 本実施の形態で用いられている主な用語の意味を以下に
列挙する。 部品実装システム:最適化装置と部品実装機とを含むシ
ステムのこと。 最適化装置:部品の実装順序を最適化する装置のこと。
具体的には、短いタクト(実装時間)で基板を生産する
ために、部品実装機における最適な部品カセットの配列
(どの部品テープを収めた部品カセットを部品実装機の
どの位置(Z軸)に配置するか)、マルチ装着ヘッドに
よる部品の吸着及び装着の順序(どの部品カセットから
部品を吸着し、基板上のどの実装点に装着するか)等を
決定する。 部品実装機:最適化後のNCデータに従って、マルチ装
着ヘッドを用いて部品カセットから部品を吸着し、基板
に装着していく生産ロボットのこと。複数のサブ設備を
備えるタイプもある。 サブ設備:1つのマルチ装着ヘッドと複数の部品カセッ
トを備え、他のサブ設備とは独立して(並行して)、基
板への部品実装を実行する装置(実装ユニット)。 シングルカセット:部品カセットの一種で、1つの部品
テープだけが装填される。 ダブルカセット:部品カセットの一種で、最大2個の部
品テープが装填され得る。ただし、同一送りピッチの部
品テープに限定される。 Z軸:部品実装機(サブ設備を備える場合には、サブ設
備)ごとに装着される部品カセットの配列位置を特定す
る座標軸(又は、その座標値)のこと。 部品種:抵抗、コンデンサ等の電子部品の種類のこと。
各部品種には、部品の情報(電気的特性、形状、部品
数、最大分割数、カセット種別等)が対応づけられてい
る。 部品テープ:同一部品種の複数の部品をテープ上に並べ
たもの。最適化処理においては、同一の部品種に属する
部品の集合(それら複数個の部品が仮想的なテープ上に
並べられたもの)を特定するデータをいう。「部品分
割」と呼ばれる処理によって、1つの部品種に属する部
品群(又は、1本の部品テープ)が複数本の部品テープ
に分割される場合がある。分割後のテープ本数が分割数
と呼ばれる。 実装点:部品を装着すべき基板上の座標点のこと。同一
部品種の部品が異なる実装点に装着される場合もある。
同一の部品種に係る部品テープに並べられた部品(実装
点)の個数の合計は、その部品種の部品数(実装すべき
部品の総数)と一致する。 部品ヒストグラム:部品テープ(部品種)を横軸、部品
数を縦軸とする座標に描かれた柱状グラフのこと。最適
化によって、最終的に、部品カセットの配列にマッピン
グされる。 コア:部品数の多い順に部品テープを並べた部品ヒスト
グラムに対して、「刈り上げ法」により、n点同時吸着
の吸着パターンで刈り上げていった結果、残った部品を
「コア部品」といい、それらコア部品を収めた部品テー
プ、部品カセットそれぞれを「コア部品テープ」、「コ
アカセット」と呼ぶ。 刈り上げ:部品数の多い順に部品テープを並べた部品ヒ
ストグラムに対して、部品数の小さい部品から、n点同
時吸着の吸着パターンを取り除いていく処理のこと。 タスク:マルチ装着ヘッドによる部品の吸着・移動・基
板上への装着という一連の実装動作の繰り返しにおける
1回分の実装動作(吸着・移動・装着)のこと。 吸着パターン:1以上のタスクについて、マルチ装着ヘ
ッドが(同時)吸着する部品をタスク単位で示した図、
又は、それらの部品群のこと。 タスクグループ:部品の同時吸着という観点から関連し
たタスクの集まりのこと。部品数が同じ部品テープをn
本集め、それらn本の部品テープから1点ずつn個の部品
を同時に吸着できるように、n点同時吸着できるタスク
を集めることを目指してタスクグループを作ることによ
って部品カセットの並びを決定する最適化手法を「タス
クグループ生成法」と呼ぶ。 山:最適化によって並びが決定された部品テープの集ま
り、又は、それら部品テープの並びに対応する部品ヒス
トグラムのこと。「刈り上げ法」による最適化が施され
た後の部品ヒストグラムは、緩やかな斜面と急な斜面を
有する「山」の形状を有する。生成された「山」に対し
て更に最適化が施される場合もある。 ラインバランス:部品実装機(サブ設備を備える場合に
は、サブ設備)ごとのタクトの分布における平準化の程
度のこと。タクト分布を平準化するように部品実装順序
を決定する処理を「ラインバランス処理」と呼ぶ。
【0188】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、部品を基板に実装する1以上の部品実装機からなる
生産ラインを対象とし、コンピュータを用いて部品の実
装順序を最適化する方法であって、最適化の対象となる
複数の部品を、同一又は一定範囲の高さの部品の集まり
を1つの部品グループとする複数の部品グループに分類
する分類ステップと、高さの小さい部品グループに属す
る部品から先に基板に実装されるように、部品グループ
単位での実装順序を決定するソートステップとを含む
とを特徴とする。これによって、部品高さの小さい部品
グループから順に実装されるので、高さの大きい部品が
基板に先に装着された場合における不具合(作業ヘッド
の移動軌跡において制約を受け、結果として実装時間が
大きくなったり、既に基板に装着された部品と装着ヘッ
ドに吸着されている部品とが衝突したりする等)の発生
が回避され、狭隣接実装(極めて接近した基板上の位置
に部品を高速装着すること)が可能になるとともに、実
装の品質が高められる。また、本発明は、部品を収納し
た部品カセットの並びから、最大n(≧2)個の部品を
吸着し、基板に実装していく装着ヘッドを有する2つの
独立した第1及び第2設備を備える部品実装機を対象と
し、コンピュータにより部品の実装順序を最適化する方
法において、前記第1及び第2設備による部品実装にお
ける処理負荷が平準化されるように部品カセットを前記
第1及び第2設備のいずれかに振り分ける方法であっ
て、最適化の対象となる複数の部品を一定規則に従って
前記第1及び第2設備のいずれかに振り分けた後に、振
り分けられた部品それぞれを対象として、装着ヘッドが
n個の部品を吸着する回数が多くなるように、関連する
複数の部品テープを山とする複数の山を特定する初期振
り分けステップと、割り当てられた全ての部品を実装す
るための処理の大きさを示す負荷レベルが前記第1設備
と前記第2設備とで略等しくなるように、部品テープ又
は山の単位で、前記第1及び第2設備間での振り分けを
変更する変更ステップとを含むことを特徴とする。これ
によって、2以上の独立した実装設備からなる生産ライ
ンによって部品の実装が順次行われる場合には、各設備
での処理負荷が平準化され、パイプラン効率が高められ
るので、全体として、部品の実装時間が短縮化される。
また、本発明は、部品を基板に実装する部品実装機を対
象とし、コンピュータを用いて部品の実装順序を最適化
する方法であって、最適化の対象となる複数の部品を、
部品の高さに基づいて、小部品グループと汎用部品グル
ープとに分類する分類ステップと、小部品グループに属
する部品に対して、第1のアルゴリズムを用いて実装順
序の最適化を行う小部品最適化ステップと、汎用部品グ
ループに属する部品に対して、前記第1のアルゴリズム
とは異なる第2のアルゴリズムを用いて実装順序の最適
化を行う汎用部品最適化ステップとを含むことを特徴と
する。これによって、携帯電話機等の多くの電子機器の
基板に実装される部品の内訳における特徴、即ち、多数
(例えば、90%)の部品が抵抗等の小(チップ)部品
と呼ばれるサイズの小さな部品であり、残る少数(例え
ば、10%)の部品がコネクタ等の汎用部品と呼ばれる
大きいサイズの異形部品であるという特徴を考慮するこ
とができるので、最適化に要する時間対最適化レベル比
の高い最適化が可能となる。
【0189】具体的には、例えば、小部品に対しては、
10点一括吸着タスクが最大限に生成でき、高速に最適
化処理が実行できるアルゴリズムを採用し、一方、汎用
部品に対しては、タスク単位での装着時間を評価関数と
して、状態(とり得る実装順序の1つ)を変化させなが
ら最適な実装順序を導き出す柔軟性に富んだアルゴリズ
ムを採用することで、トータルとして、最適化レベルを
高めることができる。また、本発明は、部品を収納した
部品カセットの並びから、最大n(≧2)個の部品を吸
着し、基板に実装していく装着ヘッドを備える部品実装
機を対象とし、コンピュータを用いて部品の実装順序を
最適化する方法において、同一種類の部品の集まりを1
つの部品テープとする部品テープの単位で前記部品カセ
ットに収納させる場合の部品テープの並びを最適化する
方法であって、最適化の対象となる複数の部品を、部品
テープの単位で、部品数の多い順に並べることにより、
部品ヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップ
と、生成された部品ヒストグラムから、その一部である
部分ヒストグラムを取り出して、前記部品カセットの並
びを横軸、前記装着ヘッドによる吸着回数を縦軸とする
2次元座標に配置していくことを繰り返すことにより、
前記2次元座標上に配置された部分ヒストグラムの集ま
りによって形成されるダイヤグラムの横軸方向の幅がn
又はnの整数倍の個数の部品となるようなダイヤグラム
を生成し、得られたダイヤグラムに対応する部品テープ
の並びを、最適化された部品テープの並びと決定するダ
イヤグラム生成ステップとを含むことを特徴とする。こ
れによって、最適化された部品テープの並びにおける部
品ヒストグラムが形成するダイヤグラムの横幅は、作業
ヘッドが吸着できる部品の個数(n)若しくはその整数
倍又はそれに近い値となるので、作業ヘッドによる1回
の吸着上下動作でn個の部品が吸着される頻度が多くな
り、少ない回数の吸着上下動作で部品の実装が完了す
る。また、本発明は、前記ダイヤグラム生成ステップ
は、生成された部品ヒストグラムに対して、部品数が少
ない部品テープが先に無くなっていく順に、横軸方向に
連続して並ぶn個の部品である吸着パターンを、取り出
すことができなくなるまで繰り返して取り出す刈り上げ
ステップと、前記刈り上げステップによる取り 出し後に
おける前記部品ヒストグラムが、横軸上の幅がn個の部
品からなるダイヤグラムとなるように、変形するコア処
理ステップと、前記刈り上げステップで取り出された全
ての部品と前記コア処理での変形後における全ての部品
とを、横軸における位置を対応させて合成し、得られた
部品ヒストグラムに対応する部品テープの並びを、最適
化された部品テープの並びと決定する合成ステップとを
含むことを特徴とする。このような刈り上げ法によっ
て、「部品数が同じ部品テープをn本集め、それらn本
の部品テープから1点ずつ同時に吸着し、n点同時吸着
タスク(タスクグループ)を作る」というタスクグルー
プ法に比べ、以下の利点がある。つまり、刈り上げ法に
よれば、部品ヒストグラムを部品テープ単位で分割し、
分割されたものを前サブ設備と後サブ設備に配置するこ
とができるので、「タスクグループ法」と比較し、小さ
な単位での部品移動が可能となり、Z軸(部品供給部)
に未配置の部分が生じる頻度が減少し、前サブ設備と後
サブ設備の実装時間のバランス調整が容易となる。
【0190】さらに、タスクグループ法では、タスクグ
ループ毎に部品分割を行い、部品分割により生じた部品
テープを収める部品カセットを使用するに対し、刈り上
げ法では、コア部品テープだけに対して部品分割を行う
ので、部品分割の総数が減少し、部品分割のために必要
とされる部品カセットの数が抑制される。また、本発明
は、前記汎用部品最適化ステップは、最適化の対象とな
る複数の部品について、とり得る個々の実装順序を状態
とした場合の初期状態を第1状態として生成する初期化
ステップと、第1状態を暫定的に変更することにより、
第2状態を生成する状態変更ステップと、生成された第
2状態に対応する実装順序に従って前記部品実装機が全
ての部品を実装することができ、かつ、それら全ての部
品の実装に要する時間が第1状態における時間よりも小
さいか否かを判断する判断ステップと、前記部品実装機
が全ての部品を実装することができ、かつ、前記時間が
第1状態における時間よりも小さいと判断された場合
に、前記第2状態を新たな第1状態として、前記状態変
更ステップ及び前記判断ステップを繰り返させて第1状
態を更新していくことにより、部品の実装順序を最適化
していく繰り返し制御ステップとを含むことを特徴とす
る。これによって、タクトvs状態の分布におけるグル
ーバルミニマムが最適解として確実に探索され得る。こ
こで、前記状態変更ステップでは、対象となる全ての状
態を複数のグループに分類した場合における前記第2状
態が属するグループが、前記複数のグループそれぞれに
ついて等しい確率となるように、前記第2状態を生成し
もよい。これによって、局所的な探索と大局的な探索
の両方が盛り込まれて最適解の探索が行われるので、局
所的には最適であるが大局的には最適でない状態が最適
状態として探索されてしまうとう不具合が回避される。
また、本発明は、前記部品実装順序最適化方法は、部品
を収納した部品カセットの並びから、最大n(≧2)個
の部品を吸着し、基板に実装していく装着ヘッドを備え
る部品実装機を対象とし、コンピュータにより部品の実
装順序を最適化する方法において、装着ヘッドによる部
品の吸着・移動・装着という一連の動作の繰り返しにお
ける1回分の一連動作によって実装される部品群をタス
クとする タスクの並びを決定する方法であり、前記装着
ヘッドは、部品を吸着するための吸着ノズルを交換可能
な状態で最大n個装着することができ、最適化の対象と
なる複数の部品には、2以上の異なるタイプの吸着ノズ
ルそれぞれで吸着され得る部品が含まれ、前記汎用部品
最適化ステップは、同一種類の部品の集まりを1つの部
品テープとした場合に、最適化の対象となる複数の部品
を、対応する吸着ノズルのタイプごとに、部品数が多い
順に部品テープを並べることにより、部品テープの並び
を横軸、部品テープごとの部品数を縦軸とする2次元座
標上のヒストグラムを吸着ノズルのタイプごとに生成
し、生成したヒストグラムを横軸上に並べるヒストグラ
ム生成ステップと、生成されたヒストグラムの並びか
ら、前記横軸方向にスキャンしながら部品を取り出して
前記タスクを生成して順に並べていくことを、前記ヒス
トグラムの並びを構成する全ての部品が無くなるまで繰
り返すタスク生成ステップとを含むことを特徴とする。
これによって、例えば、異なるタイプの吸着ノズルを必
要とする汎用部品に対する最適化についても、小部品の
場合と同様に、探索する実装順序の初期値として、無秩
序に選択した実装順序を採用するのではなく、作業ヘッ
ドによる1回の吸着上下動作で吸着される部品数が多く
なるような(「横取り法」による)実装順序を採用する
ことができるので、探索に要する時間が大幅に短縮され
る。また、本発明は、前記部品実装順序最適化方法は、
特定の部品テープは特定の位置に配置されなければなら
ないという制約を遵守しつつ最適化する方法であり、前
記ヒストグラム生成ステップは、最適化の対象となる複
数の部品に対して、前記制約を考慮することなく、部品
テープの単位で並びを最適化する仮最適化ステップと、
前記仮最適化ステップで得られた部品テープの並びに対
して、前記制約を遵守するように、部品テープの並びを
変更する変更ステップとを含むことを特徴とする。これ
によって、初期段階において、配列固定の制約が存在し
ないものとして最適化しておくので、配列固定の制約が
存在する場合とそうでない場合のいずれであっても、同
一の最適化アルゴリズムで済み、いかなる配列固定の制
約が与えられた場合がなされても、1つのアルゴリズム
で対応できる。そして、この配列固定に対するアルゴリ
ズムでは、配列固定の制約がない条件下での最適化によ
って得られた理想的な部品テープの配列を崩す形で、配
列固定の制約に対応しているので、理想的な部品テープ
配列を使用する場合と、配列固定が存在する部品テープ
配列を使用する場合との実装時間の比較を行うことが可
能となる。これは、配列固定が持つ、機種切り替えの容
易さという運用上の利点と、配列固定がない場合の実装
時間の短さを比較し、それらのトレードオフについて再
検討するための情報をユーザーに提供するものである。
【0191】また、本発明は、部品を収納した部品カセ
ットの並びから、部品を吸着し、基板に実装していく装
着ヘッドを備える部品実装機を対象とし、コンピュータ
を用いて部品の実装順序を最適化する方法であって、装
着ヘッドによる部品の吸着・移動・装着という一連の動
作の繰り返しにおける1回分の一連動作によって実装さ
れる部品群をタスクとする複数のタスクの並びからなる
タスクグループを生成するタスクグループ生成ステップ
と、生成されたタスクグループそれぞれについて、タス
クグループを構成する全ての部品の実装に要する時間が
最小となるように、タスクグループ内でタスクの順序を
入れ替え、得られたタスク順序に対応する部品の実装順
序を最適化されたものとするタスク入替ステップとを含
ことを特徴とする。これによって、作業ヘッドが1つ
のタスクにおける部品の装着を終えて次のタスクの実装
のために戻るときの移動距離が短縮されるので、タスク
グループ全体における総実装時間が短縮される。また、
本発明は、部品を収納した部品カセットの並びから、最
大n(≧2)個の部品を吸着し、基板に実装していく装
着ヘッドを備える部品実装機を対象とし、コンピュータ
を用いて部品の実装順序を最適化する方法であって、装
着ヘッドによる部品の吸着・移動・装着という一連の動
作の繰り返しにおける1回分の一連動作によって実装さ
れる部品群をタスクとする複数のタスクの並びからなる
タスクグループを生成するタスクグループ生成ステップ
と、生成されたタスクグループそれぞれについて、各タ
スクを構成する部品種の組み合わせを変更することな
く、そのタスクグループを構成する全ての部品の実装に
要する時間が最小となるように、部品の実装順序を入れ
替える部品入替ステップとを含むことを特徴とする。こ
れによって、タスクごとの部品装着における無駄な移動
軌跡が解消され、全体として、より短い移動距離で部品
装着が行われるので、タスクグループ全体における総実
装時間が短縮される。また、本発明は、2種類の部品を
収納し得る部品カセット(ダブルカセット)を含む部品
カセットの並びから、最大n(≧2)個の部品を吸着
し、基板に実装 していく装着ヘッドを備える部品実装機
を対象とし、コンピュータにより部品の実装順序を最適
化する方法において、ダブルカセットに収納される2種
類の部品は同一の送りピッチで使用されるテーピング部
品でなければならないという制約を遵守しつつ、同一種
類の部品の集まりを1つの部品テープとする部品テープ
の単位で前記部品カセットに収納させる場合の部品テー
プの並びを最適化する方法であって、第1の送りピッチ
で使用される全ての部品に対して、装着ヘッドがn個の
部品を吸着する回数が多くなるように、同一種類の部品
の集まりである部品テープの並びを決定する第1最適化
ステップと、決定された前記並びを中間位置で切断して
折り返すことにより、切断によって得られた前半部と後
半部の部品テープが交互に並ぶように合成する第1折り
返しステップと、第2の送りピッチで使用される全ての
部品に対して、装着ヘッドがn個の部品を吸着する回数
が多くなるように、部品テープの並びを決定する第2最
適化ステップと、決定された前記並びを中間位置で切断
して折り返すことにより、切断によって得られた前半部
と後半部の部品テープが交互に並ぶように合成する第2
折り返しステップと、前記第1折り返しステップで得ら
れた部品テープの並びと前記第2折り返しステップで得
られた部品テープの並びとを融合し、得られた並びを、
最適な部品テープの並びと決定する融合ステップとを含
ことを特徴とする。これによって、同一の送りピッチ
に係る2つの部品テープからなるペアが維持された状態
で、かつ、作業ヘッドがn個の部品を同時に吸着する回
数が多くなるように部品種の配列が決定されるので、ダ
ブルカセットを用いる部品実装機に対しても適用可能な
部品実装順序の最適化方法が実現される。また、本発明
は、部品を収納した部品カセットの並びから、最大n
(≧2)個の部品を吸着し、基板に実装していくn個の
吸着ノズルからなる装着ヘッドを備える部品実装機を対
象とし、コンピュータにより部品の実装順序を最適化す
る方法において、基板上の特定の領域については前記n
個の吸着ノズルのうちのm個の吸着ノズルだけが部品を
装着できるという制約を遵守しつつ、同一種類の部品の
集まりを1つの部品テープとする部品テープの単位で前
記部品カセットに収納させる場合の部品テープの並びを
最適化する方法であって、最適化の対象となる複数の部
品のうち、前記制約を受ける部品と受けない部品それぞ
れを対象とし、 部品テープの単位で、部品数の多い順に
並べた2つの部品ヒストグラムを生成する部品ヒストグ
ラム生成ステップと、前記2つの部品ヒストグラムそれ
ぞれに対して、部品数が少ない部品テープが先に無くな
っていく順に、横軸方向に連続して並ぶn個の部品であ
る吸着パターンを、取り出すことができなくなるまで繰
り返して取り出し、それそれ、第1及び第2座標軸の対
応する位置に配置する刈り上げステップと、前記刈り上
げステップによる取り出し後における前記2つの部品ヒ
ストグラムそれぞれに対して、横軸上の幅がn個の部品
からなるダイヤグラムが生成されるように、それぞれ、
部品テープを前記第1及び第2座標軸の対応する位置に
配置するコア処理ステップと、前記コア処理ステップ後
における前記第1及び第2座標軸に配置された部品ヒス
トグラムを合成し、得られた部品ヒストグラムに対応す
る部品テープの並びを、最適化された部品テープの並び
と決定する合成ステップとを含むことを特徴とする。こ
れによって、LL基板のように、実装対象の基板が搬送
方向にサイズが大きいために、作業ヘッドによる実装動
作に制約が生じる場合や、XL基板のように、実装対象
の基板が搬送方向と直交する方向にサイズが大きいため
に、作業ヘッドによる実装動作に制約が生じる場合であ
っても、その制約を考慮した部品実装順序の最適化が可
能となる。また、本発明は、部品を収納した部品カセッ
トの並びから、最大n(≧2)個の部品を吸着し、基板
に実装していく装着ヘッドを備える部品実装機を対象と
し、コンピュータにより部品の実装順序を最適化する方
法において、同一種類の部品の集まりを1つの部品テー
プとする部品テープの単位で前記部品カセットに収納さ
せる場合の部品テープの並びを最適化する方法であっ
て、最適化の対象となる複数の部品を、部品テープの単
位で、部品数が多い順に第1座標軸上に並べるソートス
テップと、前記第1座標軸上に並べられた部品テープの
並びから、部品数の多い順に部品テープを取り出し、前
記部品カセットの並びに対応する第2座標軸上に置いて
いくことを全ての部品テープについて繰り返す置き換え
ステップとを含み、前記置き換えステップでは、前記第
1座標軸上の部品テープの並びから取り出した第1番目
の部品テープを前記第2座標軸上に置いた後、第2番目
から所定の第m番目の部品テープについては、前記第2
座標軸上に置かれた直前の 部品テープの並びにおける最
後尾、最後尾、先頭の順に置いていくことを繰り返し、
第(m+1)番目以降の全ての部品テープについては、
前記第2座標軸上に置かれた直前の部品テープの並びに
おける最後尾に置いていくことを繰り返すことを特徴と
する。これによって、部品テープの並びを入れ替えるだ
けで、その部品ヒストグラムは、2つの傾斜(一方が他
方よりも急勾配)を持つ三角形のヒストグラムとなる。
つまり、部品テープを分割する(必要な部品テープの総
数を増加させる)ことなく、コア処理による最適化が施
された後の理想的な形状に近い部品ヒストグラムが得ら
れるので、部品テープの出庫数が制限されている場合や
部品供給部の空きスペースが足りない場合においても、
少ないタスク数で部品を実装することが可能な部品テー
プの配列が得られる。また、本発明は、部品を収納した
部品カセットの並びから、最大n(≧2)個の部品を吸
着し、基板に実装していく装着ヘッドを備える部品実装
機を対象とし、コンピュータにより部品の実装順序を最
適化する方法において、複数の種類の基板に対応する複
数のNCデータを対象として、同一種類の部品の集まり
を1つの部品テープとする部品テープの単位で前記部品
カセットに収納させる場合の部品テープの並びを最適化
する方法であって、前記複数のNCデータのうち、使用
する部品の種類が共通する性質を含む所定の類似性を有
する複数のNCデータからなる全ての組を検出するステ
ップと、検出された全ての組について、それぞれ、一定
の類似性を有する複数のNCデータを1つのNCデータ
に合成する合成ステップと、合成後における全てのNC
データに対して、基板の生産枚数が多い順に、NCデー
タごとに、最適な部品テープの並びを決定する配列決定
ステップとを含み、前記配列決定ステップでは、既に決
定された部品テープを除いたうえで、当該NCデータに
含まれる部品テープの並びを決定していくことを特徴と
する。これによって、2以上のNCデータに共通して使
用できる部品テープの配列が決定されるので、ここで決
定された部品テープの配列に従って部品実装機の部品供
給部を構成しておくことで、その部品実装機で生産する
基板の種類を切り替える際に、部品供給部にセットされ
た部品カセットの並びを変更する作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る部品実装システム全体の構成を示
す外観図である。
【図2】同部品実装システムにおける部品実装機の主要
な構成を示す平面図である。
【図3】同部品実装機の作業ヘッドと部品カセットの位
置関係を示す模式図である。
【図4】(a)は、同部品実装機が備える2つの実装ユ
ニットそれぞれが有する合計4つの部品供給部の構成例
を示し、(b)は、その構成における各種部品カセット
の搭載本数及びZ軸上の位置を示す表である。
【図5】10ノズルヘッドが吸着可能な部品供給部の位
置(Z軸)の例を示す図及び表である。
【図6】実装の対象となる各種チップ形電子部品の例を
示す図である。
【図7】部品を収めたキャリアテープ及びその供給用リ
ールの例を示す図である。
【図8】テーピング電子部品が装着された部品カセット
の例を示す図である。
【図9】最適化装置のハードウェア構成を示すブロック
図である。
【図10】図9に示された実装点データの内容例を示す
図である。
【図11】図9に示された部品ライブラリの内容例を示
す図である。
【図12】図9に示された実装装置情報の内容例を示す
図である。
【図13】最適化装置の構成を示す機能ブロック図であ
る。
【図14】図9に示された最適化プログラムの機能構成
を示すモジュール構成図である。
【図15】(a)は、部品グループ生成部が生成する部
品グループを説明するための図であり、(b)は、部品
グループ生成部による部品グループの生成過程で作成さ
れる部品表の例を示す図である。
【図16】ラインバランス最適化部の第1LBM部によ
るタスクグループのサブ設備への振り分け処理の様子を
示す図である。
【図17】ラインバランス最適化部の第2LBM部によ
るラインバランスの最適化前におけるタクト分布、最適
化によるタスクグループの移動の様子、最適化後におけ
るタクト分布を示す。
【図18】ラインバランス最適化部の第2LBM部によ
るラインバランスの最適化手順を示すフローチャートで
ある。
【図19】状態最適化部の小部品最適化部による小部品
の実装順序最適化の概略手順を示すフローチャートであ
る。
【図20】吸着パターンを説明するための図である。
【図21】タスクグループ生成法による吸着パターンの
生成の対象となる部品の部品ヒストグラム、その部品ヒ
ストグラムから生成される吸着パターンを示す。
【図22】部品ヒストグラムにおける未配置部分、その
部品ヒストグラムの未配置部分から生成される吸着パタ
ーンを示す。
【図23】刈り上げ法による吸着パターンの生成の対象
となる部品の部品ヒストグラムである。
【図24】図23に示された部品ヒストグラムから、1
0個の部品並びの単位で部品を取っていく(刈り上げて
いく)様子を示す図である。
【図25】図24に示された刈り上げ後に残された部品
を対象とする部品ヒストグラムである。
【図26】図25に示された部品ヒストグラムに対し
て、タスクグループ生成法に準じたダイヤグラムの生成
を行っている様子を示す図である。
【図27】刈り上げ法によってZ軸が決定された部品種
についての吸着パターンである。
【図28】図27に示された吸着パターンに対応する
(Z軸を変化させない再構築した)部品ヒストグラムで
ある。
【図29】ランダム選択法による部品の装着順序の最適
化の手順を示すフローチャートである。
【図30】ランダム選択法によって2つの実装点が入れ
替えられる様子を示すである。
【図31】交差解消法により部品の装着順序を最適化す
る様子を示す図である。
【図32】戻り軌跡法によりタスクの順序を最適化する
際に生成される作業ヘッドの移動軌跡(実装経路)を示
す図である。
【図33】同一位置の複数の吸着パターンが含まれる場
合における戻り軌跡法で生成される作業ヘッドの移動軌
跡を示す図である。
【図34】(a)は、汎用部品最適化部による汎用部品
の実装順序を最適化する際の手順を示すフローチャート
であり、(b)は、その最適化による最適解の探索アプ
ローチを説明するための状態vsタクトの関係を示す図で
ある。
【図35】図34(a)に示された山登り法による最適
化(ステップS551、S553)の詳細な手順を示す
フローチャートである。
【図36】図34(a)に示されたマルチカノニカル法
による最適化(ステップS552)の詳細な手順を示す
フローチャートである。
【図37】(a)は、汎用部品最適化部が用いている中
間表現の具体例を示し、(b)〜(e)は、に示された
中間表現の意味(Z軸配列への変換)を示す図である。
【図38】「タスクグループ法」による最適化の概念を
説明するための部品ヒストグラムである。
【図39】小部品に対する最適化処理のフロー図であ
る。
【図40】刈り上げ処理の様子を示す部品ヒストグラム
である。
【図41】コア処理の様子を示す部品ヒストグラムであ
る。
【図42】刈り上げ処理とコア処理が施された後の部品
ヒストグラムである。
【図43】「交差解消法」による最適化の概念を説明す
るための実装経路図である。
【図44】「戻り最適化」の概念を説明するための作業
ヘッドの動きを示す図である。
【図45】配列固定の制約下における最適化の概要を示
す部品ヒストグラムである。
【図46】LLサイズ基板及びXLサイズ基板において作業
ヘッドが部品を装着する際に移動できる範囲の限界に基
づく制約領域を示す図である。
【図47】LLサイズ基板を対象とした最適化の概念を説
明するための部品ヒストグラムである。
【図48】「刈り上げ法」による最適化のステップ(1)
を説明するための部品ヒストグラムである。
【図49】同ステップ(2)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図50】同ステップ(3)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図51】同ステップ(4)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図52】同ステップ(5)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図53】同ステップ(6)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図54】同ステップ(7)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図55】同ステップ(8)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図56】同ステップ(9)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図57】同ステップ(10)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図58】同ステップ(11)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図59】同ステップ(12)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図60】同ステップ(13)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図61】同ステップ(14)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図62】同ステップ(15)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図63】同ステップ(16)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図64】同ステップ(17)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図65】同ステップ(18)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図66】同ステップ(19)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図67】同ステップ(20)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図68】同ステップ(21)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図69】同ステップ(22)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図70】同ステップ(23)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図71】平行四辺形のテンプレートを用いたカセット
分割による最適化のステップ(1)〜(3)を説明するための
部品ヒストグラムである。
【図72】同ステップ(4)〜(6)を説明するための部品ヒ
ストグラムである。
【図73】同ステップ(7)〜(8)を説明するための部品ヒ
ストグラムである。
【図74】同ステップ(9)の一部を説明するための部品
ヒストグラムである。
【図75】同ステップ(9)の残るステップ(10)を説明す
るための部品ヒストグラムである。
【図76】長方形のテンプレートを用いたカセット分割
による最適化のステップ(1)〜(3)を説明するための部品
ヒストグラムである。
【図77】同ステップ(3)〜(5)を説明するための部品ヒ
ストグラムである。
【図78】同ステップ(5)の一部を説明するための部品
ヒストグラムである。
【図79】同ステップ(5)の残る一部を説明するための
部品ヒストグラムである。
【図80】「交差解消法」による最適化の概念を示す実
装経路図である。
【図81】「交差解消法」のアルゴリズムを説明するた
めの実装経路図である。
【図82】「交差解消法」による最適化の適用例を示す
実装経路図である。
【図83】「戻り最適化法」による最適化の概念を示す
作業ヘッドの移動軌跡図である。
【図84】(a)は、同一の部品カセットに複数の実装
点がある場合における「戻り」動作を示す図であり、
(b)は、「戻り最適化法」を適用した場合のヘッドの
戻り軌跡を示すシミュレーション結果図である。
【図85】ダブルカセットを対象とした配列固定の制約
下における最適化のステップ(1)を説明するための部品
ヒストグラムである。
【図86】同ステップ(2)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図87】同ステップ(3)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図88】同ステップ(4)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図89】同ステップ(5)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図90】同ステップ(6)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図91】同ステップ(7)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図92】同ステップ(8)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図93】同ステップ(9)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図94】同ステップ(10)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図95】(a)及び(b)は、Z軸に空きがある場合
における前サブ設備と後サブ設備の実装時間の例、及
び、そのときのラインバランス処理を示す説明図であ
り、(c)及び(d)は、Z軸に空きがない場合におけ
る前サブ設備と後サブ設備の実装時間の例、及び、その
ときのラインバランス処理(スワップ処理)を示す説明
図である。
【図96】ダブルカセットを対象とした「刈り上げ法」
による最適化のステップ(1)を説明するための部品ヒス
トグラムである。
【図97】同ステップ(2)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図98】同ステップ(3)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図99】同ステップ(4)を説明するための部品ヒスト
グラムである。
【図100】同ステップ(5)を説明するための部品ヒス
トグラムである。
【図101】同ステップ(6)を説明するための部品ヒス
トグラムである。
【図102】同ステップ(7)を説明するための部品ヒス
トグラムである。
【図103】同ステップ(8)を説明するための部品ヒス
トグラムである。
【図104】同ステップ(9)を説明するための部品ヒス
トグラムである。
【図105】同ステップ(10)を説明するための部品ヒス
トグラムである。
【図106】同ステップ(11)を説明するための部品ヒス
トグラムである。
【図107】ノズル交換のアルゴリズムを説明するため
の図であり、(a)は、対象の部品の種類(使用可能な
ノズルの番号)と員数を示す表であり、(b)は、処理
過程を示す部品ヒストグラムである。
【図108】「メイン画面」の表示例を示す図である。
【図109】「」の表示例を示す図である。
【図110】「開く画面」の表示例を示す図である。
【図111】「カセット個数設定画面」の表示例を示す
図である。
【図112】「部品分割設定画面」の表示例を示す図で
ある。
【図113】「ノズル本数設定画面」の表示例を示す図
である。
【図114】「ノズルステーション選択画面」の表示例
を示す図である。
【図115】「オプション設定画面」の表示例を示す図
である。
【図116】「Z軸情報画面」の表示例を示す図であ
る。
【図117】「ノズルステーション情報画面」の表示例
を示す図である。
【図118】部品分割することなく効率的な吸着パター
ン(Z配列)を決定するアルゴリズムの処理手順を示す
フローチャートである。
【図119】図118に示されたフローチャートの処理
手順を説明するための部品テープの並びを示す。
【図120】図118に示された最適化アルゴリズムに
よる最適化のレベルを説明するための図であり、単に員
数の多い順に(右から左方向に)部品テープが並べられ
た部品ヒストグラムを示す。
【図121】図120に示された部品ヒストグラムを刈
り上げた場合の吸着上下回数パターンを示す。
【図122】図118に示された手順で並び替えられた
部品ヒストグラムを示す。
【図123】図122に示された部品ヒストグラムを刈
り上げた場合の吸着上下回数パターンを示す。
【図124】左右ブロックへの山の振り分け処理の手順
を示すフローチャートである。
【図125】図124に示されたフローチャートによる
処理の様子を示す。
【図126】図124に示されたフローチャートによる
他のケースにおける処理の様子を示す。
【図127】ダブルカセットの使用本数を見積もるアル
ゴリズムの処理手順を示すフローチャートである。
【図128】ある部品グループに属する部品テープの内
訳を示す。
【図129】必要なダブルカセットの本数の計算例を示
す。
【図130】ダブルカセットのペア固定を考慮したZ配
列の最適化アルゴリズムの処理手順を示すフローチャー
トである。
【図131】図130におけるステップS660での処
理の様子を示している。
【図132】図130におけるステップS661での処
理の様子を示している。
【図133】図130におけるステップS662での処
理の様子を示している。
【図134】図130におけるステップS664での処
理の様子を示している。
【図135】NGヘッドを考慮した最適化アルゴリズム
の処理手順を示すフローチャートである。
【図136】NGヘッドが無い場合とNGヘッドがある
場合それぞれの吸着パターンを比較して説明するための
図であり、対象となる部品ヒストグラムを示す。
【図137】NGヘッドが無い場合の図136に示され
た部品ヒストグラムに対する吸着パターン(刈り上げ処
理とコア処理による)を示す。
【図138】ヘッド番号2の装着ヘッドがNGヘッドで
ある場合の図136に示された部品ヒストグラムに対す
る吸着パターンを示す。
【図139】複数のNCデータを同時に最適化するとき
の全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図140】複数NCデータのZ配列を同時に最適化す
る処理手順を示すフローチャートである。
【図141】初期Z配列の決定に用いる3種類の方法を
説明する具体例を示す図である。
【図142】「横取り法」による初期タスクの生成アル
ゴリズムの処理手順を示すフローチャートである。
【図143】図142に示されたフローチャートにおけ
る前半処理(S720〜S722)の具体例を示す図で
ある。
【図144】図142に示されたフローチャートにおけ
る後半処理(S723〜S726)の具体例を示す図で
ある。
【図145】「横取り法」による最適化の効果を示す図
である。
【図146】「タスク分割」によるノズル交換動作の最
適化アルゴリズムの処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図147】図146に示されたフローチャートにおけ
る処理の具体例を示す図である。
【図148】「タスク融合」による最適化アルゴリズム
の処理手順を示すフローチャートである。
【図149】図148に示されたフローチャートにおけ
る処理の具体例を示す図である。
【図150】「タスク入替」による最適化を行う前のノ
ズルパターンの例を示す。
【図151】「タスク入替」による最適化アルゴリズム
の処理手順を示すフローチャートである。
【図152】「タスク入替」による最適化によって得ら
れたノズルパターンの例を示す。
【図153】ノズルステーション上でのマルチ装着ヘッ
ドの可動範囲に基づくノズル交換の制約を示す図であ
る。
【図154】フィーダ供給部上でのマルチ装着ヘッドの
可動範囲に基づく部品吸着の制約を示す図である。
【図155】ノズルステーション上のノズル配置が与え
られた場合の可能解チェックをするときの処理手順を示
すフローチャートである。
【図156】使用ノズル本数が6本の場合に用意する2
つのノズルパターンの例を示す。
【図157】図156に示されたノズルパターンを用い
て部品を吸着する場合のノズル交換のタイミングを説明
するフローチャートである。
【符号の説明】
10 部品実装システム 20 回路基板 100 部品実装機 110 実装ユニット 112 作業ヘッド 112a〜112b 吸着ノズル 113 XYロボット 114 部品カセット 115a、b、225a、b 部品供給部 116 認識カメラ 117 トレイ供給部 118 シャトルコンベア 119 ノズルステーション 120 実装ユニット 300 最適化装置 301 演算制御部 302 表示部 303 入力部 304 メモリ部 305 最適化プログラム格納部 306 通信I/F部 307 データベース部 307a 実装点データ 307b 部品ライブラリ 307c 実装装置情報 314 部品グループ生成部 315 ラインバランス最適化部 315a 第1LBM部 315b 第2LBM部 315c 第3LBM部 316 状態最適化部 316a 小部品最適化部 316b 汎用部品最適化部 316c 最適化エンジン部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金道 敏樹 神奈川県川崎市多摩区東三田3−10−1 松下技研株式会社内 (72)発明者 志田 武彦 神奈川県川崎市多摩区東三田3−10−1 松下技研株式会社内 (56)参考文献 特開2000−124676(JP,A) 特開 平11−330790(JP,A) 特開 平5−3398(JP,A) 特開 平10−326999(JP,A) 特開 平10−209697(JP,A) 特開 平4−111728(JP,A) 特許2604167(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 13/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部品を基板に実装する2以上の部品実装
    機からなる生産ラインを対象とし、コンピュータにより
    部品の実装順序を最適化する方法であって、 最適化の対象となる複数の部品を、同一又は一定範囲の
    高さの部品の集まりを1つの部品グループとする複数の
    部品グループに分類する分類ステップと、 上流の部品実装機から下流の部品実装機に向けて、高さ
    の小さい部品グループから順に並ぶように部品グループ
    単位で振り分けるソートステップとを含み、前記複数の部品グループそれぞれは、部品の実装順序を
    入れ替える対象となり得る部品の集まりを1つのタスク
    グループとする1以上のタスクグループからなり、 前記ソートステップでは、タスクグループの単位で前記
    部品を振り分け、 前記ソートステップは、 対象となる全てのタスクグループを、高さの小さい部品
    グループに属するタスクグループから順に、前記生産ラ
    インの上流から下流に向けて、前記複数の部品実装機そ
    れぞれに振り分ける第1振り分けサブステップと、 前記第1振り分けサブステップによる振り分け後に、一
    の部品実装機に振り分けられたタスクグループを当該部
    品実装機の上流側又は下流側に隣接する部品実装機に振
    り分け変更する第2振り分けサブステップとを含み、 前記第2振り分けサブステップでは、 前記第1振り分けサブステップによる振り分け後におい
    て、前記複数の部品実装機の中から、振り分けられた全
    ての部品の実装に要する時間が最小である部品実装機と
    最大である部品実装機とを特定し、 特定した2つの部品実装機で挟まれた生産ラインの区間
    に位置する部品実装機について、前記時間が最大である
    部品実装機から最小である部品実装機に向かう方向に、
    一の部品実装機に振り分けられたタスクグループを当該
    部品実装機に隣接する部品実装機に振り分け変更する ことを特徴とする部品実装順序最適化方法。
  2. 【請求項2】 前記第2振り分けステップでは、タスク
    グループの振り分け変更をした場合における変更先の部
    品実装機についての前記時間が前記最大の時間よりも小
    さい場合にだけ、当該タスクグループの振り分け変更を
    する ことを特徴とする請求項1記載の部品実装順序最適化方
    法。
  3. 【請求項3】 部品を基板に実装する2以上の部品実装
    機からなる生産ラインを対象とし、コンピュータにより
    部品の実装順序を最適化する方法であって、 最適化の対象となる複数の部品を、同一又は一定範囲の
    高さの部品の集まりを1つの部品グループとする複数の
    部品グループに分類する分類ステップと、 上流の部品実装機から下流の部品実装機に向けて、高さ
    の小さい部品グループから順に並ぶように部品グループ
    単位で振り分けるソートステップとを含み、 前記複数の部品グループそれぞれは、部品の実装順序を
    入れ替える対象となり得る部品の集まりを1つのタスク
    グループとする1以上のタスクグループからなり、 前記ソートステップでは、タスクグループの単位で前記
    部品を振り分け、 前記ソートステップは、 対象となる全てのタスクグループを、高さの小さい部品
    グループに属するタスクグループから順に、前記生産ラ
    インの上流から下流に向けて、前記複数の部品実装機そ
    れぞれに振り分ける第1振り分けサブステップと、 前記第1振り分けサブステップによる振り分け後に、一
    の部品実装機に振り分けられたタスクグループを当該部
    品実装機の上流側又は下流側に隣接する部品実装機に振
    り分け変更する第2振り分けサブステップと、 同一種類の部品の集まりを1つの部品テープとする部品
    テープの単位で、一の部品実装機に振り分けられた部品
    テープを当該部品実装機の上流側又は下流側に隣接する
    部品実装機に振り分け変更をすることにより、前記第2
    振り分けサブステップによる振り分けを変更する第3振
    り分けサブステップとを含む ことを特徴とする部品実装順序最適化方法。
  4. 【請求項4】 部品を収納した部品カセットの並びか
    ら、最大n(≧2)個の部品を吸着し、基板に実装して
    いく装着ヘッドを有する2つの独立した第1及び第2設
    備を備える部品実装機を対象とし、コンピュータにより
    部品の実装順序を最適化する方法において、前記第1及
    び第2設備による部品実装における処理負荷が平準化さ
    れるように部品カセットを前記第1及び第2設備のいず
    れかに振り分ける方法であって、 最適化の対象となる複数の部品を一定規則に従って前記
    第1及び第2設備のいずれかに振り分けた後に、振り分
    けられた部品それぞれを対象として、装着ヘッドがn個
    の部品を吸着する回数が多くなるように、関連する複数
    の部品テープを山とする複数の山を特定する初期振り分
    けステップと、 割り当てられた全ての部品を実装するための処理の大き
    さを示す負荷レベルが前記第1設備と前記第2設備とで
    略等しくなるように、部品テープ又は山の単位で、前記
    第1及び第2設備間での振り分けを変更する変更ステッ
    プと を含むことを特徴とする部品実装順序最適化方法。
  5. 【請求項5】 部品を収納した部品カセットの並びか
    ら、最大n(≧2)個の部品を吸着し、基板に実装して
    いく装着ヘッドを有する2つの独立した第1及び第2設
    備を備える部品実装機を対象とし、コンピュータにより
    部品の実装順序を最適化する方法において、前記第1及
    び第2設備による部品実装における処理負荷が平準化さ
    れるように部品カセットを前記第1及び第2設備のいず
    れかに振り分ける方法であって、 最適化の対象となる複数の部品を一定規則に従って前記
    第1及び第2設備のいずれかに振り分けた後に、振り分
    けられた部品それぞれを対象として、装着ヘッドがn個
    の部品を吸着する回数が多くなるように、関連する複数
    の部品テープを山とする複数の山を特定する初期振り分
    けステップと、 割り当てられた全ての部品を実装するのに要する実装時
    間が前記第1設備と前記第2設備とで略等しくなるよう
    に、部品、部品テープ又は山の単位で、前記第1及び第
    2設備間での振り分けを変更する変更ステップと を含むことを特徴とする部品実装順序最適化方法。
  6. 【請求項6】 部品を収納した部品カセットの並びか
    ら、最大n(≧2)個の部品を吸着し、基板に実装して
    いく装着ヘッドを備える部品実装機を対象とし、コンピ
    ュータにより部品の実装順序を最適化する方法におい
    て、同一種類の部品の集まりを1つの部品テープとする
    部品テープの単位で前記部品カセットに収納させる場合
    の部品テープの並びを最適化する方法であって、 前記部品実装機には、複数の部品カセットを収納し得る
    2つの部品供給部である第1及び第2ブロックが設けら
    れ、 最適化の対象となる複数の部品を、部品の高さに基づい
    て分類された部品グループの単位で、前記第1及び第2
    ブロックのいずれかに振り分ける振り分けステップと、 前記第1及び第2ブロックのいずれかにおいて、部品カ
    セットを収納するための空きが不足しているために最適
    化処理を施すことができない状態となっていることを検
    出する検出ステップと、 検出されたブロックに振り分けられた部品グループのう
    ち、前記第1及び第2ブロックにまたがって振り分けら
    れた部品グループ、又は、部品グループに属する部品テ
    ープの中で部品数が最も多い部品テープにおける員数が
    最低となる部品グループを特定し、その部品グループか
    ら前記不足に相当する数の部品テープを取り出して他方
    のグループに振り分け変更をする変更ステップと、 前記検出ステップで検出されたブロックに振り分けられ
    た少なくとも1つの部品グループに対して前記最適化処
    理を施す最適化ステップと を含むことを特徴とする部品実装順序最適化方法。
  7. 【請求項7】 部品を基板に実装する2以上の部品実装
    機からなる生産ラインを対象とし、コンピュータにより
    部品の実装順序を最適化する方法であって、 前記部品実装機は、部品を収納した部品カセットの並び
    から、最大n(≧2)個の部品を吸着することが可能な
    装着ヘッドで部品群を吸着し、XYロボットにより前記
    装着ヘッドを移動させ基板に実装していく部品実装機と
    し、 前記装着ヘッドによる部品の吸着・移動・装着という一
    連の動作の繰り返しにおける1回分の一連動作によって
    実装される部品群をタスクとする複数のタスクの並びか
    らなるタスクグループの単位で前記部品を前記各部品実
    装機に振り分ける ことを特徴とする部品実装順序最適化方法。
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