JP3472325B2 - 試料注入装置 - Google Patents
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Description
術における進歩に関し、より詳細には比較的小さい内径
を有するカラムにオンカラム注入(on-column injectio
n)を行うためのガスクロマトグラフシステムに関する。 【0002】 【従来技術とその問題点】ガスクロマトグラフを利用し
た試料化合物の分析においては、不活性キャリヤガス
(移動相)は多孔性収着媒体(porous sorptive media)
(固定相)を含有した加熱されたカラムを通る流れとし
て連続的に通過する。従来では、クロマトグラフシステ
ムは、数百μmの範囲の内径を有する中空のキャピラリ
管として形成されたカラムが含まれている。このような
システムでは、対象の混合物の試料は移動相の流れの中
に注入され、典型的にはオーブン内に配置されているキ
ャピラリカラムを通過する。対象の混合物がキャピラリ
カラムを通過すると、種々の成分に分離される。分離は
主としてカラム中の温度に関する各試料成分の揮発特性
(volatility characteristics)の差異に起因している。
カラムの温度は主としてオーブンの温度によって調節さ
れる。キャピラリカラムの出口端部に配置される検出器
はカラムから出てくるそれぞれの分離成分を検出する。 【0003】キャピラリカラムのカラム効率(典型的に
は、理論段数で表わされる)は、カラムの長さと直径の
両方に依存している。同等の効率を得るためには、より
大きい直径を有するカラムはより小さい直径を有するカ
ラムよりも長くなければならない。当業者には理解され
るように、カラムの長さがより長いと分析時間は長くな
り、感度に影響を及ぼすことになる。しかしながら、比
較的小さい内径を有する比較的短いカラムは、試料注入
に役立つ技術に関連して制約があった。したがって、従
来のあるガスクロマトグラフによる分析は用いるカラム
と注入技術に関する感度と効率の妥協によっておこなわ
れていた。 【0004】530μm以下の直径を有するカラムに直接試
料を注入するためには、細長いシリンジニードルが必要
である。例えば、直径250μmのカラムについては0.240m
m(240μm)以下の外径を有するニードルが使用される。
下限としてニードルの細い部分はガスクロマトグラフ内
のカラム部分に試料を注入するのに十分な程度に長くな
ければならない。しかしながら、参考のためにここに取
入れられている米国特許第5,032,151号に説明されてい
るように、バイアルキャップを貫通する間、あるいはカ
ラムの入口隔壁を通過する間に、細いニードルが曲がる
可能性がある。二つのニードルの故障モード(failure m
odes)があり、すなわち、座屈(buckling)と圧縮(compre
ssion)がある。ニードルがバイアルのキャップに孔を開
けるときに、貫通力が低く、ニードルのたわみyがある
特定の数値ymよりも小さいならば、ニードルはその当
初の平衡位置に戻り(すなわち、真直ぐなニードル)、
安定する。貫通力が大きくなる(例えば、バイアルのキ
ャップが厚くなる)につれて、たわみはより大きくな
る。たわみがymを超えるときには、ニードルはその当
初の平衡位置から離れるように移動し、故障する。言い
換えれば、この不安定な位置によってニードルが座屈し
てしまう。たわみの限界値または最大値ymは、ニード
ルの形状寸法と材料に依存している。圧縮による故障は
ニードルの故障のもう一つの状態である。ニードルの圧
縮応力がその材料の降伏応力を超えると、ニードルは故
障する。しかしながら、シリンジニードルが細いので、
座屈の故障は、圧縮故障の応力よりもはるかに小さい応
力の下で起こる。したがって、座屈は典型的なシリンジ
ニードルについて最も多い故障モードである。 【0005】次のオイラーの公式(Euler's formula)を
用いて、所定のニードルの臨界荷重Pcrすなわちそれ以
下ではニードルが座屈しない荷重を理論的に計算するこ
とができる。 【0006】 【数1】 【0007】ここでは、Aはニードルの回転運動(gyrat
ion of the needle)の面積、Leはニードルの回転運動の
長さおよびRはニードルの回転運動の半径である。ニー
ドルの弾性率Eは材料定数である。しかしながら、上述
のEuler式はもっと一般化された式から導かれおり、そ
して境界条件(boundary conditions)は、ちょうつがい
を付けられて(hinged)曲げ運動に抵抗することができな
いニードルの両端部を含むことを仮定している。他方、
ニードルの両端部が固定されていると仮定すると、オイ
ラーの式は次のようになり、境界条件の変化は4の係数
だけ臨界荷重を増加させることを示している。 【0008】 【数2】 【0009】隔壁を通過してカラムに入るニードルは、
固定されてなくまたちょうつがいを付けられてもいない
という端部条件を有する動的システムと表わすことがで
きるので、Pcrの真の値は理論的に決定することは困難
であり、したがって最大の理論的たわみ値Ymを決定す
ることは困難である。しかしながら、弾性的なたわみ、
そして安定した位置に戻る所定の直径のニードルについ
て、Leの値があることが理解される。これらの値は経験
的に容易に決定することができる。 【0010】しかしながら、前述の細いニードルなどの
比較的狭いカラムにとっては、たとえ最大弾性たわみY
mが許容されるとしても、座屈現象が最大有効長さを好
結果の注入に必要な最大有効長さ以下に減少させること
が見出されてきた。したがって、細いシリンジニードル
の長さを荷重下で破滅的に故障しない注入に有効な長さ
に増加させることが望ましい。 【0011】従来、ニードルの座屈の可能性を減少させ
るために幾つかの改良が行われた。テーパー状のニード
ルはその有効長さを減少させることによって、ニードル
の強度を向上させる。結局、薄膜バイアルキャップと予
め決められた通し孔(through-holes)を有する入口隔壁
を使用することによって、貫通力を重大に減少させる。
例えば、米国特許第5,032,151号には、530μm以下の直
径を有するカラムを使用したオンカラム注入のためのシ
ステムが開示されている。ここでは、前述の座屈の問題
によってたとえ狭いカラムがより良い結果を提供すると
しても、クロマトグラフのカラムの直径を制約すること
を説明している。530μm以下の直径を有するカラムはシ
リンジニードルの最も狭い部分の有効長さを減少させて
座屈に対する抵抗を最大にすることによって効果的に利
用できることが開示されている。好適な実施例の一つで
は、320μmの内径を有するキャピラリカラムと外径が0.
2286mm(228.6μm)の末端部を有するニードルをある。 【0012】上述の米国特許に開示されている進歩にも
かかわらず、比較的狭い断面を有するシリンジニードル
をガスクロマトグラフのための細いカラムとともに使用
することができる方法および装置を提供するための長期
にわたる、しかも満たされない要求が残されている。そ
して、前述の米国特許によって開示された直径よりもさ
らに小さい直径のニードルが使用できる方法および装置
を提供することが特に望まれる。したがって、オンカラ
ム注入に使用するのに十分な全長を保持しながら、細い
シリンジニードルの座屈を実質的に除去するための方法
および装置を提供することが本発明の目的である。加え
て、処理される試料数が多いために、他の種類の隔壁お
よびキャップよりも大きな抵抗力が生じても、比較的廉
価な隔壁およびバイアルキャップを使用できることが望
ましい。したがって、比較的細いニードルを使用して通
常のバイアルキャップおよび他の隔壁が貫通されるよう
なシステムを提供することが本発明の他の目的である。 【0013】 【発明の目的】本発明の目的は上述の問題点を解消し、
細いシリンジニードルの座屈を除去し、また、細いニー
ドルでも通常の隔壁を破損せずに貫通させることを可能
とする試料注入装置を提供することにある。 【0014】 【発明の概要】これらの目的および他の目的は、シリン
ジニードルの座屈を実質的に除去する本発明の方法およ
び装置によって達成することができる。カラムに挿入さ
れるテーパー状のニードルの一部分はニードル支持体の
小さい孔の中に閉じ込められる(confined)。孔の壁は、
ニードルの最大たわみが決してymを超えず、座屈が決
して起らないように、ニードルの支持を提供する。圧縮
による故障はずっと高い応力水準において起こるので、
かなり大きな貫通力に耐えることができる。本発明で
は、故障に対して強靭で、より良好な封止が可能であ
り、より廉価で標準的な厚いバイアルキャップを使用す
ることができる。 【0015】 【発明の実施例】ここに記載されている方法および装置
は参考のためにここに引用され、取入れられている米国
特許第5,032,151号に記載されたようなガスクロマトグ
ラフと一緒に用いることが好ましい。この種類および他
の種類の同様の装置の構造および操作は当業者にとって
自明である。したがって、ここに開示されている好適な
実施例は上記の米国特許に開示されたシステムに関して
説明されているが、本発明はいずれかの特定の装置に限
定されるものではないことは明らかである。 【0016】図1は本発明に係る装置200の部分断面図
である。ここに記されている以外は、この装置の機能は
前に引用した上記の米国特許に示されたものと実質的に
同じである。注入は、ニードル64とプランジャー66を含
むシリンジ62を使用しておこなう。プランジャー66がシ
リンジ62から引っ張られると、試料がニードル64からシ
リンジ62に取り込まれる。これと反対に、プランジャー
66がシリンジ62に押込まれると、含有している試料はニ
ードル64から噴射される。図1は試料容器50から試料が
取出されるクロマトグラフィーの第一段階を示す。当業
者には周知のように、試料容器50は典型的には貫通可能
な部分または隔壁54を有するキャップ52によって密閉さ
れている。試料容器50は説明のために部分的に破断して
示されている。 【0017】図1に示されているように、位置決め機構
70は試料容器50に対して軸方向に移動可能なベース部材
72を有している。二つの対向するフィンガ74、76がベー
ス部材72に結合されており、ベース部材72に対して固定
されてシリンジ62を保持する役割をしている。よって、
ベース部材72が軸方向に移動すると、シリンジ62が軸方
向に移動する結果になる。ロッド78は、ベース部材72の
移動に関連して軸方向の移動を可能にするように、ベー
ス部材72に滑動可能に取り付けられる。ロッド78はベー
ス部材72に関係して固定された二つのカラー79、80によ
ってベース部材に取り付けられる。ばね82は、図1に示
される延長位置にロッド78を維持する働きをする。この
ような延長位置は、スプリング82の一方の端部を任意の
適切な手段によってベース部材72へ固定し、そして他方
の端部をロッド78の端部に固定されたニードル支持体83
に対向するように配置させることによって得られる。以
下にさらに詳しく記載されるように、ニードル支持体83
はニードル64のたわみを抑制するようになっており、こ
れにより座屈によるニードルの故障を防止する。 【0018】図1にはまたプランジャー66に結合され、
プランジャー66をシリンダー62中で往復移動させるのに
役立つアーム86が示されている。図示していないが、ア
ーム86は、プランジャー66を軸方向に移動させる機能を
有する任意の適切な移動機構に結合することができる。
このような機構は、例えば、米国特許第4,615,226号に
記載されており、また本願出願人が製造している自動注
入装置(HP7673A)の機構と同様のものである。 【0019】図1のニードル64は、ベース部114と端部1
16を有するテーパー状のニードルであることが最も好ま
しい。ベース部114は、第1の直径であり、端部116は第
2のよりより小さい直径である。端部116の外径は、試
料が実際に挿入されるカラム(図示せず)の内径よりも
小さい。テーパー状のニードル62を提供することによっ
て、端部116は曲げおよび座屈に対する抵抗性を最大に
しながら、最小の直径を有することができる。前述の米
国特許に指摘されているように、ニードル62の座屈の強
さは構造の最も細い部分、すなわち端部116の有効長さ
を減少させることによって増加する。 【0020】図2を参照すると、図1に関して記載され
た装置が試料容器50から試料を取出すために使用できる
ことは明らかである。前述するように、本発明のニード
ル支持体83はニードル64、そして特にその細い端部116
を支持するようになっている。図1と図2を比較すると
明らかなように、端部116は、最初、ニードル支持体83
内に形成された中空の孔の中に配置されている。この中
空の孔の直径は、ニードル64にキャップ52の隔壁54を貫
通させる時に可能性のある座屈を抑制するような寸法と
なっている。言い換えれば、孔の直径が最大許容たわみ
以下になるように選択されるならば、座屈による故障は
起り得ない。しかしながら、図2から理解されるよう
に、中空の孔の最小直径は、ニードル64そして特に端部
116が図示されたように試料容器中にその全有効長さま
で拡がることができるようにニードル64のベース部114
の外径よりも僅かに大きくなければならない。 【0021】好適な一実施例では、外径が約0.47mm(0.0
185インチ)のベース部114と、直径が約0.23mm(0.0091
インチ)の端部116を有するニードル64が構成されてい
る。このようなニードルについては、直径が約0.49mm
(0.0193インチ)の貫通孔を有するニードル支持体83によ
って、ベース部114をなめらかに移動させながら、端部1
16が最大許容たわみYmを超えて座屈するのを防止する
ことができることがわかった。 【0022】そして、当業者に理解されるように、図1
及び図2に開示された装置では、シリンジニードル64を
隔壁54を通って試料容器50に挿入させ、容器中の試料を
取出させる。ニードル支持体83は座屈によってニードル
64が故障するのを防止し、隔壁を貫通するのに必要な力
が最大許容圧縮力を超えない限りその端部116がより小
さい直径を有するニードルを使用することができる。さ
らに、通常のキャップ52および隔壁54を有する試料容器
50がこのような実施例において使用され、前記の細いニ
ードルとともに使用するための特別に設計された容器の
費用と複雑さが解消される。 【0023】図3及び図4を参照すると、図1と図2に
示される装置が再び示されているが、前述の米国特許第
5,032,151号の図2から図5に示された入口アセンプリ1
2が試料容器50と置き換えている。当業者には明らかな
ように、図示の入口12はこのような装置の代表的な実施
例であり、この装置の多数の変形はよく知られている。
本発明はキャピラリカラムなどに連結されているシリン
ジニードルを配置するために使用される多様な入口その
他の構造に有用である。 【0024】図3では、ニードル支持体83が入口装置12
の上部主要部56中に形成された通路59とかみ合ってい
る。通路59は隔壁104に連結されている。隔壁104はオリ
フィスを有せず、ニードル64は隔壁104に孔をあけるこ
とが好ましい。しかしながら、隔壁104中にオリフィス
を備えることによって、隔壁104は抵抗力を減少させ、
貫通を幾分容易にすることが理解される。図3及び図4
を比較すると明らかなように、通路59の円錐台状の入口
端部98を通過した後、ニードルが隔壁104および通路59
そして最終的にはキャピラリカラム14に挿入されるとき
に、ニードル64の端部116を支持する。したがって、本
発明によれば前述の細いニードルは直径がかなり小さい
キャピラリカラムに試料を注入するために効果的に使用
することもできる。 【0025】本発明の好適な実施例を詳細に、そして前
述の米国特許第5,032,151号を引用して示してきたが、
本発明は開示された実施例だけに限定されるものではな
い。本願明細書に開示された多様なクロマトグラフ装置
に引用される方法および装置の多数の応用、変更態様お
よび変形があることは当業者にとって理解することがで
きる。シリンジおよびキャピラリカラムへのクロマトグ
ラフ入口の構造は両方とも使用される装置および試みら
れるクロマトグラフィーによって様々に変化する。 【0026】 【発明の効果】以上説明したように、、本発明に係る試
料注入装置では、故障に対して強靭で、より良好な封止
が可能であり、より廉価で標準的な厚いバイアルキャッ
プを使用することができる。
面図。 【図2】図1の装置のニードルが容器に挿入された状態
の試料注入装置の部分断面図。 【図3】本発明の他の実施例である試料注入装置の部分
断面図。 【図4】図3の装置のニードルがカラムに挿入された状
態の試料注入装置の部分断面図。 【符号の説明】 12:入口装置 14:キャピラリカラム 50:試料容器 52:キャップ 54、104:隔壁 62:シリンジ 64:ニードル 66:プランジャ 70:位置決め機構 72:ベース部材 78:ロッド 82:ばね 83:ニードル支持体
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】クロマトグラフ装置に試料を注入する装置
であって、ベース部及び該ベース部よりも小径の端部を
有し、試料の通過を可能にするよう中空とされたニード
ルと、該ニードルを支持するニードル支持体とを備え、
試料を含む容器から前記試料を吸引する際、及び吸引し
た前記試料を前記クロマトグラフ装置のためのキャビテ
ィーカラムへ注入する際に、前記ニードル支持体に対し
て前記ニードルが長さ方向に相対移動する構成を有する
試料注入装置において、 前記ニードル支持体は、長さ方向に延びる可動部のない
一体の剛性部品により構成され、前記ニードルを前記端
部及び前記ベース部の両方が移動可能であるように収容
する通路を有し、通常該通路内に収容される前記ニード
ルを前記ベース部が露出するようにした状態にしつつ前
記端部の略全体を長さ方向にわたって包囲するように置
かれ、更に、先端近傍の外側面に先端に向けて小径とな
る傾斜面を備える係合部を備え、 前記試料を吸引するべく、前記ニードルが前記容器内へ
とニードルキャップを貫通する際には、前記ニードルが
前記ニードルキャップへの貫通開始に先立って前記係合
部が前記ニードルキャップに傾斜先端で当接係合して、
前記ニードル支持体の軸線方向に交差する方向へのずれ
が防止され、前記ニードルが移動するときに前記通路の
内壁面によって前記ニードルの軸線に交差する方向への
たわみ量を前記ニードルの前記端部で先端から所定の長
さにわたる各場所で制限されるよう構成され、これによ
って、前記ニードルが圧縮方向の応力を受けたときに前
記ニードルが座屈するのを防止し、 吸引された前記試料を前記キャピラリーカラムへ注入す
るべく該キャピラリーカラムに向けて前記ニードルが隔
壁内通路を通過する際には、前記係合部が前記隔壁内通
路の入口部分に係合し、前記ニードル支持体の軸線方向
に交差する方向へのずれが防止され、前記ニードルが移
動するときに、前記ニードル支持体の前記通路の前記内
壁面と前記入口部分の内壁面とが協働して、前記ニード
ルの軸線に交差する方向へのたわみ量を前記ニードルの
前記端部で先端から所定の長さにわたる各場所で制限さ
れるよう構成され、これによって、前記ニードルが座屈
するのを防止できるよう構成されることを特徴とする試
料注入装置。
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