JP3467508B2 - C−h結合を有するプラスチック材料の表面改質方法 - Google Patents

C−h結合を有するプラスチック材料の表面改質方法

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JP3467508B2 JP23835193A JP23835193A JP3467508B2 JP 3467508 B2 JP3467508 B2 JP 3467508B2 JP 23835193 A JP23835193 A JP 23835193A JP 23835193 A JP23835193 A JP 23835193A JP 3467508 B2 JP3467508 B2 JP 3467508B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はC−H結合を有するプラ
スチック材料(フッ素樹脂を除く)の表面または多孔質
内部に選択的に種々の官能基または金属原子を置換さ
せ、その材料に機能性を持たせる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料は一般に化学的に不活
性であり、直接印刷したり、接着したりすることが難か
しい材料が多い。これらの材料表面をサンド・ペーパー
で擦ったり、プラズマやイオンを照射して、表面に傷を
つける物理的改質法、あるいは化学的改質法、例えば、
ポリオレフィン,ポリエチレン,ポリプロピレン,塩化
ポリエーテル,ポリアセタール,アクリロニトリル・ブ
タジエン・スチレン(ABS樹脂),メチル・パンテン
樹脂,塩素化ポリエーテルなどを、硫酸とクロム酸アル
カリ混液で処理する方法や、ポリイミドなどをNaOH
水で処理する方法が知られている。官能基を置換する改
質方法としては、グラフト重合法がある。この方法は1
本のポリマー分子に他種のポリマーを枝のように結合さ
せるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記3つのい
ずれの方法でも現存するプラスチック材料表面の特定箇
所に選択的に特定官能基を置換することはできない。し
たがって本発明は、プラスチック材料表面に選択的に種
々の官能基を置換し得る方法を提供することを目的とす
る。
【0004】プラスチック材料は側鎖の官能基によっ
て、様々な性質を呈する。この種々の官能基を自由自在
に置換することができれば、本来プラスチック材料が持
っている固有の性質は生かしたまま、必要箇所のみに機
能性を発現させることができる。
【0005】一般に側鎖に水素結合(C−H)を有する
プラスチック材料は多い。そこで脱水素を行なう為に原
子と官能基としての原子団を共に有する化合物または混
合物のガス、あるいは液体雰囲気中で、プラスチック材
料表面に紫外光を照射することにより、露光部のみ選択
的に光改質を行ない、その部分に親水性,接着性、イン
クの吸着性、耐蝕性などを持たせたり、金属置換による
導電性や導電体特性を持たすことを可能にすることが本
発明の目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、水素原子との結合エネルギーが、炭素原子
と水素原子との結合エネルギーである80.6kcal
/molより大きい原子、例えば、B,P,S,Pt,
Br,O,Cl,H,Fと、官能基(原子団)としての
−OH,−NO2 ,−CN,−NH2 ,−COOH,−
CO,−OCH3 ,−OC25 ,−OC37 ,−O
49 ,−CONH,−CH3 ,−C25 ,−CH
2 ,−SO3 H,−C37 ,−C49 ,−C65
などや金属原子を有するガス、溶液、あるいは固体をC
−H結合を有するプラスチック材料(フッ素樹脂を除
く)の表面や多孔体内に接触させ、その状態でプラスチ
ック材料表面と上記原子と原子団または金属原子を共有
する化合物または混合物の界面に光子エネルギーが8
0.6kcal以上の紫外線を照射して、表面改質を行
なうことを特徴とする。
【0007】すなわち、本発明は、C−H結合を有する
プラスチック材料(フッ素樹脂を除く)を励起光により
改質する方法であって、水素原子との結合エネルギーが
80.6kcal/mol以上の第1の原子と、この第
1の原子との結合エネルギーが励起光の光エネルギーよ
りも小さな第2の原子または原子団とを含む化合物また
は混合物の雰囲気中で、プラスチック材料と該化合物
または混合物との界面に直接または間接的に光子エネル
ギーが80.6kcal/mol以上の紫外光を照射
し、これにより該プラスチック材料から該第1の原子を
介して脱水素すると同時に、該第2の原子または原子団
で置換することを特徴とするC−H結合を有するプラス
チック材料の改質方法を提供するものである。
【0008】第1の原子との結合エネルギーが励起光の
光エネルギーよりも小さな第2の原子または原子団とを
含む化合物の例をしては、ホウ素化合物、リン化合物、
硫黄化合物、白金化合物、臭素化合物、酸素化合物、塩
素化合物、水素化合物、フッ素化合物から選ばれたガス
体,液体または固体である。
【0009】より具体的には、(BHNH)3 ,B(C
33 ,B(C253 ,B(C653 ,B
(OH)2 (C65 ),P(CN)3 ,P2 Se5
P(CH33 ,P(C253 ,P(C37
3 ,P(C493 ,P(C653 ,P(CH
32 (C65 ),P(CH3 )(C652 ,P
(C6173 ,P(C6133 ,P(C817
3 ,P(CH3643 ,(SCN)2 ,SO2
(NH22 ,Pt(CN)2 ,Pt(SO42 ,B
rCN,Br2 O,Br2 CF2 ,BrCF3 ,NO,
NO2 ,H22 ,O3 ,Cl2 O,ClCN,AgC
l,AlCl3 ,AsCl3 ,AuCl,AuCl3
BaCl2 ,BeCl2 ,BiCl3 ,CaCl2 ,C
dCl2 ,CeCl3 ,CoCl2 ,CrCl2 ,Cs
Cl,CuCl,CuCl2 ,ErCl3 ,EuCl
2 ,EuCl3 ,FeCln ,GaCl3 ,GdCl
3 ,GeCl4 ,H3 BO3 ,Na2 〔Pt(OH)
6 〕,K2 〔Pt(OH6 )〕,O2 ,CClF3 ,C
Cl22 ,純水,重水,(COOH)2 ,CF4 ,C
HF3 ,HgCl2 ,HoCl3 ,InCl,IrCl
4 ,KCl,LiCl,LuCl3 ,MgCl2 ,Mn
Cl2 ,MoCln ,NCl3 ,NH4 Cl,NaC
l,NbCl5 ,NiCl2 ,PCl3 ,PbCl2
PtCln ,RbCl,ReCl3 ,SCln ,SbC
3 ,SeCln ,SiCl4 ,SnCln ,SrCl
2,TaCl2 ,TbCl3 ,TeCln ,ThCl
4 ,TiCl3 ,TICl3,TmCl3 ,UCln
VCln ,WCl6 ,YCl3 ,ZnCl2 ,ZrCl
4 ,H2 O,NH3 ,HCOOH,NH3 OH,H2
4 ,HCl,HNO3 ,HCF3 ,アルコール類、炭
化水素,芳香族、AgF,AsF3 ,BaF2,BeF2
,BiF3 ,CdF2 ,CeF3 ,CoF2 ,Cs
F,CuF,GeF2 ,KF,MoFn ,NH4 F,N
aF,NbF5 ,NiF,UF6 ,VFn,ZnF2
CF4 などの化合物を挙げることができる。
【0010】また、上記原子団の例をしては、−OH,
−NO2 ,−CN,−NH2 ,−COOH,−CO,−
OCH3 ,−OC25 ,−OC37 ,−OC4
9 ,−CONH,−CH3 ,−C25 ,−CH2 ,−
SO3 H,−C37 ,−C4H9 ,−C65 を挙げる
ことができる。
【0011】上記化合物は、水、純水、重水、アンモニ
ア、硫酸、四塩化炭素、二硫化炭素、炭化水素類、ハロ
ゲン化合物類、アルコール類、フェノール類、有機酸類
およびその誘導体、ニトリル類、ニトロ化合物類、アミ
ン類、硫黄化合物類などの溶媒で溶液化して用いること
ができる。
【0012】光子エネルギーが80.6kcal/mo
以上の紫外光としては、XeF、XeCl、KrF、
ArFなどのエキシマレーザーまたは、N2 レーザー、
Krイオンレーザー、Arイオンレーザー、非線形素子
により倍波されたレーザー光のいれか、またはその組
合せ、あるいはHgランプ,He−Xeランプ、D2
ンプあるいはエキシマランプのいれか、またはその組
合せ、あるいは空気、窒素、または他のガス雰囲気のア
ーク、コロナまたは無声放電により得られた紫外光ある
いはその組合せによるものなどを挙げることができる。
【0013】プラスチック材料を構成しているC−H結
合の結合エネルギーが上記化合物を光分解するための励
起光の光子エネルギーよりも小さい場合には、いいかえ
ると、上記化合物を光分解するための励起光の光子エネ
ルギーがC−H結合の結合エネルギーより大きい場合に
は、光子エネルギーが80.6kcal/mol以上
で、かつ、上記化合物を光分解するための励起光の光子
エネルギーよりも小さい光子エネルギーの紫外光をプラ
スチック材料に直接照射し、上記化合物の結合エネルギ
ー以上の光子エネルギーを持つもう一つの紫外光をプラ
スチック材料に直接照らないようにして、例えばプラス
チック材料の表面と平行にして上記化合物に照射するよ
うにしてもよい。
【0014】この場合、C−H結合を有するプラスチッ
ク材料に直接照射する紫外光としてXeF、XeClま
たはKrFレーザーを用い、プラスチック材料の表面と
平行にして間接的に入射する紫外光としてXeCl,K
rFまたはArFレーザーを用いる事ができる。
【0015】その他、C−H結合を有するプラスチック
材料に直接照射する紫外光として300nm以上の波長
を有するHgランプあるいはHg−Xeランプ光を用
い、プラスチック材料の表面と平行にして間接的に入射
する紫外光として300nm以下の波長を有するHgラ
ンプ、Hg−Xeランプ、D2 ランプあるいはエキシマ
ランプを用いることができる。
【0016】上述のように、プラスチック材料表面の水
素原子を、これら原子団または金属原子で置換するに先
立ち、まずプラスチック材料表面のH原子を引き抜かね
ばならないが、このC−H結合のエネルギーは80.6
kcal/molであるから、このエネルギー以上の光
エネルギーを照射し、結合を切る必要がある。ただし、
H原子とCとが再結合しないために、C原子よりも結合
エネルギーが大きな原子をH原子の近傍に存在させてお
く必要がある。
【0017】なお、結合エネルギーを比較すると次のよ
うになる。ここで、各数値の単位はKcal/molで
ある。 そして、結合エネルギーが大きいほど、脱水素力は強
い。これら脱水素可能な原子の化合物を請求項2に示し
たが、B,P,S,Pt,Brなど結合エネルギーが比
較的低いものでも脱水素ができるが、O,Cl,H,F
が実用的であり、その中でもHとF原子が最も脱水素力
が強い。厳密に言うと、水素と結合した分子の結合エネ
ルギーよりも、照射する光子エネルギーの方が小さいこ
とが望ましい。
【0018】これらの脱水素の為の原子と原子団(官能
基)との化合物あるいは混合物のガス,液体,固体ある
いは溶媒で溶液にした化合物を、C−H結合を有するプ
ラスチック材料に接しさせ、その界面にC−H結合およ
び化合物の脱水素原子の結合を切るに必要なエネルギー
の紫外光を照射する。これにより脱水素反応と置換反応
が同時に起こり、プラスチック材料表面は改質される。
【0019】ここで化合物を分解するための光子エネル
ギーが、C−H結合のエネルギーよりも大きい場合に
は、化合物だけをプラスチック材料近傍で分解するため
に、プラスチック材料の表面に平行に光子エネルギーの
高い紫外光を照射し、これと同時にプラスチック材料に
垂直方向から、それよりも光子エネルギーが低い(8
0.6kcal以上の)紫外光を照射すると、さらに効
果的な改質ができる。
【0020】
【作用】このように本発明では、C−H結合を有するプ
ラスチック材料表面から脱水素が行われ、この水素の代
わりに、種々の官能基または金属原子が置換され、その
結果、プラスチック材料表面はぬれ性,印刷性,接着
性、耐蝕性、導電性および導電体特性が達成される。
【0021】
【実施例】
(実施例1)ポリフェニレンサルファイド(PPS)シ
ート試料の入った反応容器に10TorrのB(CH
33 を封入し、試料表面にArFレーザー光(20m
J/cm2 ,100ショット)を照射したところ、露光
部のみメチル基が置換され、ATR赤外分光の結果29
00cm-1に(−CH3 )が確認された。
【0022】(実施例2)2gのホウ酸(H3 BO3
を50ccの水に溶かし、この溶液の薄液膜をメタクリ
ル樹脂(PMMA)シート試料とに密着させ、これにK
rFレーザー光(20mJ/cm2 ,100ショット)
を照射したところ、露光部のみ、水酸基が置換させ、A
TR赤外分光の結果3300cm-1付近に(OH)が確
認された。
【0023】(実施例3)ポリエチレンテレフタレート
(PET)シート試料の入った反応容器に10Torr
のB(CH33 を封入し、試料に水平方向からArF
レーザー光(100mJ/cm2 )を入射し、B(CH
33 を光分解させ、同時に、試料に垂直方向から、X
eFレーザー光(20mJ/cm2 、500ショット)
を照射したところ、露光部のみ、ベンゼンが付着し、親
油性が発現されたことが確認された。
【0024】(実施例4)ポリフェニレンサルファイド
(PPS)シート試料の入った反応容器に10Torr
のB(CH33 を封入し、試料表面にArFレーザー
光(20mJ/cm2 ,100ショット)を照射したと
ころ、露光部のみメチル基が置換され、ATR赤外分光
の結果2900cm-1に(−CH3 )が確認された。
【0025】(実施例5)2gの硫酸アミド(SO2
(NH22 )を50ccの水に溶かし、この溶液の薄
液膜をメタクリル樹脂(PMMA)シート試料に密着さ
せ、これにKrFレーザー光(20mJ/cm2 、30
0ショット)を照射したところ、露光部のみアミノ基が
置換され、水との接触角が20度を示し、親水性が発現
されたことが確認された。
【0026】(実施例6)2gのヘキサヒドロキソ白金
ナトリュム(Na2 Pt(OH)6 )を50ccの水に
溶かし、この溶液の薄液膜をメタクリル樹脂(PMM
A)シート試料に密着させ、これにKrFレーザー光
(20mJ/cm2 ,300ショット)を照射したとこ
ろ、露光部のみ、水酸基が置換され、水との接触角が2
0度を示し、親水性が発現されたことが確認された。
【0027】(実施例7)0.1gのブロムシアン(C
NBr)を10ccの水に溶かし、この溶液の薄液膜を
メタクリル樹脂(PMMA)シート試料に密着させ、こ
れにKrFレーザー光(20mJ/cm2 ,300ショ
ット)を照射したところ、露光部のみ、シアン基が置換
され、ATR赤外分光の結果2100cm-1付近にCと
Nとの三重結合を示すピークが確認された。
【0028】(実施例8)ポリエチレンシート試料の入
った反応容器に40Torrの酸素(O2 )を封入し、
試料に水平方向からArFレーザー光(100mJ/c
2 )を入射し、オゾン(O3 )を生成させ、同時に、
試料に垂直方向から、KrFレーザー光(20mJ/c
2 、1000ショット)を照射したところ、露光部の
み、接触角が15度を示し、親水性が発現されたことが
確認された。
【0029】(実施例9)メタクリル樹脂(PMMA)
シート試料の入った反応容器に10Torrのクロロシ
アン(CNCl)を封入し、試料表面にArFレーザー
光(20mJ/cm2 ,300ショット)を照射したと
ころ、露光部のみ、シアン基が置換され、ATR赤外分
光の結果2100cm-1付近にCとNとの三重結合を示
すピークが確認された。
【0030】(実施例10)2gの塩化アルミ(AlC
3 )を100ccのエタノールに溶かし、この溶液の
薄液膜をポリエチレンシート試料に密着させ、これにA
rFレーザー光(20mJ/cm2 ,1000ショッ
ト)を照射した後、その改質面をESCA分光したとこ
ろ、71eVにAlのピークが検出され、試料にAlが
置換されたことが確認された。
【0031】(実施例11)ポリエチレンシート試料の
入った反応容器に40Torrの三フッ化塩化メタン
(CClF3 )を封入し、試料にArFレーザー光(3
0mJ/cm2 ,500ショット)を照射したところ、
露光部のみ、水との接触角が100度を示し、表面がテ
フロン化されたことが確認された。
【0032】(実施例12)メタクリル樹脂(PMM
A)シート試料の入った反応容器に20Torrのアン
モニア(NH3 )を封入し、試料にArFレーザー光
(20mJ/cm2 ,400ショット)を照射したとこ
ろ、露光部のみ、水との接触角が5度を示し、表面が、
親水性に改質されたことが確認された。
【0033】(実施例13)メタクリル樹脂(PMM
A)シート試料の入った反応容器に20Torrのアン
モニア(NH3 )を封入し、試料にKrFレーザー光
(20mJ/cm2 ,400ショット)を照射したとこ
ろ、露光部のみ、水との接触角が15度を示し、表面
が、親水性に改質されたことが確認された。
【0034】(実施例14)ポリエチレンフィルム試料
に、水(H2 O)の薄液膜を密着させ、これにArFレ
ーザー光(25mJ/cm2 ,3000ショット)を照
射したところ、露光部のみ、水との接触角が15度を示
し、親水性に改質されたことが確認された。
【0035】(実施例15)ポリフェニレンサルファイ
ド(PPS)シート試料に、純水(H2 O)の薄液膜を
密着させ、これにArFレーザー光(12.5mJ/c
2 ,3000ショット)を照射したところ、露光部の
み、水との接触角が30度を呈し、親水性に改質された
ことが確認された。
【0036】(実施例16)メタクリル樹脂(PMM
A)シート試料に、純水(H2 O)の薄液膜を密着さ
せ、これにArFレーザー光(12.5mJ/cm2
9000ショット)を照射したところ、露光部のみ、水
との接触角が40度を呈し、親水性に改質されたことが
確認された。
【0037】(実施例17)アクリロニトリル・ブタヂ
エン・スチレン樹脂(ABS)シート試料に、純水(H
2 O)の薄液膜を密着させ、これにArFレーザー光
(12.5mJ/cm2 ,3000ショット)を照射し
たところ、露光部のみ、水との接触角が10度を呈し、
親水性に改質されたことが確認された。
【0038】(実施例18)ポリカーボネート樹脂シー
ト試料に、純水(H2 O)の薄液膜を密着させ、これに
ArFレーザー光(12.5mJ/cm2 ,3000シ
ョット)を照射したところ、露光部のみ、水との接触角
が30度を呈し、親水性に改質されたことが確認され
た。
【0039】(実施例19)ナイロン・6樹脂シート試
料に、純水(H2 O)の薄液膜を密着させ、これにAr
Fレーザー光(12.5mJ/cm2 ,3000ショッ
ト)を照射したところ、露光部のみ、水との接触角が3
5度を呈し、親水性に改質されたことが確認された。
【0040】(実施例20)ナイロン・66樹脂シート
試料に、純水(H2 O)の薄液膜を密着させ、これにA
rFレーザー光(12.5mJ/cm2 ,3000ショ
ット)を照射したところ、露光部のみ、水との接触角が
35度を呈し、親水性に改質されたことが確認された。
【0041】(実施例21)ポリフェニレンサルファイ
ド(PPS)シート試料に、ギ酸(HCOOH)の薄液
膜を密着させ、これにKrFレーザー光(12.5mJ
/cm2 ,3000ショット)を照射したところ、露光
部のみ、水との接触角が25度を呈し、親水性に改質さ
れたことが確認された。
【0042】(実施例22)ポリエチレンシート試料
に、ギ酸(HCOOH)の薄液膜を密着させ、これにA
rFレーザー光(12.5mJ/cm2 ,3000ショ
ット)を照射したところ、露光部のみ、水との接触角が
35度を呈し、親水性に改質されたことが確認された。
【0043】(実施例23)アクリロニトリル・ブタヂ
エン・スチレン樹脂(ABS)シート試料に、ギ酸(H
COOH)の薄液膜を密着させ、これにKrFレーザー
光(12.5mJ/cm2 ,2000ショット)を照射
したところ、露光部のみ、水との接触角が5度を呈し、
親水性に改質されたことが確認された。
【0044】(実施例24)ポリカーボネート樹脂シー
ト試料に、ギ酸(HCOOH)の薄液膜を密着させ、こ
れにKrFレーザー光(12.5mJ/cm2 ,200
0ショット)を照射したところ、露光部のみ、水との接
触角が15度を呈し、親水性に改質されたことが確認さ
れた。
【0045】(実施例25)ナイロン・6樹脂シート試
料に、ギ酸(HCOOH)の薄液膜を密着させ、これに
KrFレーザー光(12.5mJ/cm2 ,2000シ
ョット)を照射したところ、露光部のみ、水との接触角
が30度を呈し、親水性に改質されたことが確認され
た。
【0046】(実施例26)ナイロン・66樹脂シート
試料に、ギ酸(HCOOH)の薄液膜を密着させ、これ
にKrFレーザー光(12.5mJ/cm2 ,2000
ショット)を照射したところ、露光部のみ、水との接触
角が30度を呈し、親水性に改質されたことが確認され
た。
【0047】(実施例27)ポリエチレンシート試料の
入った反応容器に40Torrの三フッ化水素メタン
(CHF3 )を封入し、試料に、ArFレーザー光(3
0mJ/cm2 ,500ショット)を照射したところ、
露光部のみ、水との接触角が105度を呈し、表面がテ
フロン化されたことが確認された。
【0048】(実施例28)2gのフッ化アンモニア
(NH4 F)を50ccの水に溶かし、この溶液の薄液
膜をポリエチレンフィルムに密着させ、これにArFレ
ーザー光(12.5mJ/cm2 ,3000ショット)
を照射したところ、露光部のみアミノ基が置換され、水
との接触角が15度を示し、親水性が発現されたことが
確認された。
【0049】(実施例29)ポリエチレンフィルムに、
ギ酸(HCOOH)の薄液膜を密着させ、これに300
WのHg−Xeランプ光を3分間照射したところ、露光
部のみ、水との接触角が35度を呈し、親水性に改質さ
れたことが確認された。
【0050】(実施例30)ポリエチレンフィルムに、
ギ酸(HCOOH)の薄液膜を密着させ、これに2気圧
のN2 雰囲気で、0.5mmの電極ギャップ間で900
0Vのアーク放電(AC)を起こし、この光を10分間
照射したところ、露光部のみ、水との接触角が35度を
呈し、親水性に改質されたことが確認された。
【0051】(実施例31)シリコンウエハ上に、スピ
ンコーティングされたPMMA系レジスト試料の入った
反応容器に20Torrの三フッ化臭化メタン(CBr
3 )を封入し、試料表面にパターン状にKrFレーザ
ー光(50mJ/cm2 ,500ショット)を投影した
ところ、露光部のみテフロン化され、レジストの現像
液、メチル・イソブチル・ケトン(MIBK)、および
フッ酸(HF)に耐性を持つ保護膜に改質されたことが
確認された。
【0052】
【発明の効果】プラスチック材料表面に紫外光を照射す
ることにより、露光部のみ選択的に脱水素並びに種々の
官能基または金属原子との置換がおこなわれ、これによ
り光改質が行なわれ、その部分に親水性,接着性、イン
クの吸着性、耐蝕性などを持たせたり、金属置換による
導電性を持たすことができる

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C−H結合を有するプラスチック材料
    (フッ素樹脂を除く)を励起光により改質する方法であ
    って、水素原子との結合エネルギーが80.6kcal
    /mol以上の第1の原子と、この第1の原子との結合
    エネルギーが励起光の光エネルギーよりも小さな第2の
    原子または原子団とを含む化合物または混合物の雰囲気
    中で、プラスチック材料と該化合物または混合物との
    界面に直接または間接的に光子エネルギーが80.6k
    cal/mol以上の紫外光を照射し、これにより該プ
    ラスチック材料から該第1の原子を介して脱水素すると
    同時に、該第2の原子または原子団で置換することを特
    徴とするC−H結合を有するプラスチック材料の改質方
    法。
  2. 【請求項2】 該化合物がホウ素化合物、リン化合物、
    硫黄化合物、白金化合物、臭素化合物、酸素化合物、塩
    素化合物、水素化合物、フッ素化合物から選ばれたガス
    体,液体または固体であることを特徴とする請求項1記
    載のプラスチック材料の改質方法。
  3. 【請求項3】 該化合物が(BHNH)3 ,B(CH
    33 ,B(C253 ,B(C653 ,B(O
    H)2 (C65 ),P(CN)3 ,P2 Se5 ,P
    (CH33 ,P(C253 ,P(C373
    P(C493,P(C653 ,P(CH32
    (C65 ),P(CH3 )(C652 ,P(C6
    173 ,P(C6133 ,P(C8173 ,P
    (CH3643 ,(SCN)2 ,SO2 (NH
    22 ,Pt(CN)2 ,Pt(SO42 ,BrC
    N,Br2 O,Br2 CF2 ,BrCF3 ,NO,NO
    2 ,H22 ,O3 ,Cl2 O,ClCN,AgCl,
    AlCl3 ,AsCl3 ,AuCl,AuCl3 ,Ba
    Cl2 ,BeCl2 ,BiCl3 ,CaCl2 ,CdC
    2,CeCl3 ,CoCl2 ,CrCl2 ,CsC
    l,CuCl,CuCl2 ,ErCl3 ,EuCl2
    EuCl3 ,FeCln ,GaCl3 ,GdCl3 ,G
    eCl4 ,H3 BO3 ,Na2 〔Pt(OH)6 〕,K
    2 〔Pt(OH6 )〕,O2 ,CClF3 ,CCl2
    2 ,純水,重水,(COOH)2 ,CF4 ,CHF3
    HgCl2 ,HoCl3 ,InCl,IrCl4 ,KC
    l,LiCl,LuCl3 ,MgCl2 ,MnCl2
    MoCln ,NCl3 ,NH4 Cl,NaCl,NbC
    5 ,NiCl2 ,PCl3 ,PbCl2 ,PtCl
    n ,RbCl,ReCl3 ,SCln ,SbCl3 ,S
    eCln ,SiCl4 ,SnCln ,SrCl2 ,Ta
    Cl2 ,TbCl3 ,TeCln ,ThCl4 ,TiC
    3 ,TICl3 ,TmCl3 ,UCln ,VCln
    WCl6 ,YCl3 ,ZnCl2 ,ZrCl4 ,H2
    O,NH3 ,HCOOH,NH3 OH,H2 SO4 ,H
    Cl,HNO3 ,HCF3 ,アルコール類、炭化水素,
    芳香族、AgF,AsF3,BaF2 ,BeF2 ,Bi
    3 ,CdF2 ,CeF3 ,CoF2 ,CsF,Cu
    F,GeF2 ,KF,MoFn ,NH4 F,NaF,N
    bF5 ,NiF,UF6 ,VFn ,ZnF2 およびCF
    4 から選ばれるものである請求項2記載のプラスチック
    材料の改質方法。
  4. 【請求項4】 該原子団が、−OH,−NO2 ,−C
    N,−NH2 ,−COOH,−CO,−OCH3 ,−O
    25 ,−OC37 ,−OC49 ,−CONH,
    −CH3 ,−C25 ,−CH2 ,−SO3 H,−C3
    7 ,−C49 および−C65 から選ばれるもので
    ある請求項1記載のプラスチック材料の改質方法。
  5. 【請求項5】 該化合物を、水、純水、重水、アンモニ
    ア、硫酸、四塩化炭素、二硫化炭素、炭化水素類、ハロ
    ゲン化合物類、アルコール類、フェノール類、有機酸類
    およびその誘導体、ニトリル類、ニトロ化合物類、アミ
    ン類、および硫黄化合物類から選ばれる溶媒で溶液化し
    たことを特徴とする請求項1記載のプラスチック材料の
    改質方法。
  6. 【請求項6】 紫外光がXeF,XeCl,KrF,
    ArFなどのエキシマレーザーまたは、N2 レーザー,
    Krイオンレーザー,Arイオンレーザー,非線形素子
    により倍波されたレーザー光のいれか、またはその組
    合せによるものである請求項1記載のプラスチック材料
    の改質方法。
  7. 【請求項7】 紫外光がHgランプ,He−Xeラン
    プ,D2 ランプあるいはエキシマランプのいれか、ま
    たはその組合せによるものである請求項1記載のプラス
    チック材料の改質方法。
  8. 【請求項8】 紫外光が、空気,窒素、または他のガ
    ス雰囲気のアーク、コロナまたは無声放電により得られ
    た紫外光あるいはその組合せによるものである請求項1
    記載のプラスチック材料の改質方法。
  9. 【請求項9】 該化合物を光分解するための励起光の光
    子エネルギーがC−H結合の結合エネルギーより大きい
    場合には、該紫外光として光子エネルギーが80.6k
    cal/mol以上で、かつ、該化合物を光分解するた
    めの励起光の光子エネルギーよりも小さい光子エネルギ
    ーの紫外光をプラスチック材料に直接照射し、該化合
    物の結合エネルギー以上の光子エネルギーを持つもう一
    つの紫外光をプラスチック材料に直接照らないように
    して、該化合物に照射することを特徴とする請求項1記
    載のプラスチック材料の改質方法。
  10. 【請求項10】 プラスチック材料に直接照射する紫
    外光がXeF、XeClまたはKrFレーザーであり、
    プラスチック材料の水平方向から間接的に入射する紫外
    光がXeCl,KrFまたはArFレーザーであること
    を特徴とする請求項9記載のプラスチック材料の改質方
    法。
  11. 【請求項11】 該プラスチック材料に直接照射する紫
    外光が300nm以上の波長を有するHgランプあるい
    はHg−Xeランプ光であり、水平方向から間接的に入
    射する紫外光が300nm以下の波長を有するHgラン
    プ,Hg−Xeランプ,D2 ランプあるいはエキシマラ
    ンプからの紫外光であることを特徴とする請求項9記載
    のプラスチック材料の改質方法。
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