JP3463729B2 - 内部組織の非破壊検査方法 - Google Patents

内部組織の非破壊検査方法

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JP3463729B2 JP26337897A JP26337897A JP3463729B2 JP 3463729 B2 JP3463729 B2 JP 3463729B2 JP 26337897 A JP26337897 A JP 26337897A JP 26337897 A JP26337897 A JP 26337897A JP 3463729 B2 JP3463729 B2 JP 3463729B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼き入れ等によっ
て表面硬化処理が施されたワークの内部組織の様子を、
非破壊で把握するための装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、焼き入れ等により表面硬化処
理を施したワークに、該ワークを透過可能な超音波を発
信し、非破壊で内部組織の様子を把握する手法が用いら
れている。図8には、焼き入れを行ったワーク1の内部
組織の様子を示している。ワーク1は表面2からある一
定深さまでは、所望の硬化層に変質した焼き入れ層3が
形成される。そして、深さが増すことにより熱処理の影
響が徐々に弱まり、これによって変質の度合いも徐々に
小さくなる境界層4を経て、熱処理の影響を受けていな
い母層5に至る。実際には、上記各層の境界線が明確に
存在することはまれであり、組織の様子は徐々に変化す
るものであるが、ここでは説明の便宜を図る為に、上記
3層からなるものとする。
【0003】さて、ワーク1の内部組織の様子を把握す
る為には、超音波による検査法が用いられている。そし
て、この手法で用いられる超音波パルスには、後述する
理由から、特定周波数のものを用いる。すなわち、超音
波パルスは内部組織の粗さよりもその波長λが大きい場
合にのみ、組織内部を透過するという性質がある。ま
た、組織内での伝播速度vが一定である場合には(ワー
ク内の音速は一定である)、周波数fと波長λとは反比
例の関係(f=v/λ)を有するので、周知の内部組織
の大きさから透過可能な周波数を特定することができ
る。
【0004】そこで、母層5を透過することができない
周波数(特定周波数)の超音波パルスを、前記特定周波
数として用い、ワーク1の表面2に対して発信すると、
図9のグラフに示すような超音波の反射波が測定され
る。グラフの縦軸は反射波の強度Iを、横軸は超音波を
発信してから反射波が測定されるまでの伝播時間Tを示
している。また、反射波Sはワーク1の表面2における
表面反射波であり、反射波Rは境界層4における境界反
射波である。前述のごとく、ワーク1内を超音波が伝播
する伝播速度vは一定であることから、反射波Rが測定
されるまでの伝播時間T2 より、焼き入れ層3の深さD
を求めることができる(D=(v×T)/2)。このよ
うに、従来の内部組織の非破壊検査手法は、反射波の波
形から伝播時間T2 を判断し、かつ、該電波時間T2
ら内部組織の様子を把握するものであった。上記従来例
として、発明者らは特開平7-229705号公報にその詳細を
開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さて、反射波Rをより
明確に得るためには、超音波を絞って焦点を作り、か
つ、該焦点を境界層4に合わせる必要がある。ところ
が、内部組織を検査する時点で(すなわち内部の様子が
解らない時点で)、境界層4に焦点を合わせることは困
難を極める。このため、上記従来法により正確な測定結
果を得るには、その作業に熟練する必要があった。
【0006】そこで本発明者らは、超音波の焦点位置を
浅い位置から深い位置へと変化させながら複数の測定デ
ータを求め、該測定データを統計的に集計することによ
り境界層4の位置を特定する手法を発明し、特願平9-11
0692号等にその詳細を開示している。そして、この手法
により何人にも簡単に内部組織の非破壊検査ができるよ
うになった。しかしながら、この改良法を以てしても下
記のごとく解決すべき問題が生じている。以下に、改良
法の検査手順と共にその問題点を説明する。
【0007】図10には、特願平9-110692号等に開示した
手法の一部分を摸式的に示している。内部組織の非破壊
検査を行う場合には、ワーク1と超音波パルスの送受信
器である超音波センサ8とを、水を張った水槽中に配置
し、検出データに有害な雑音が混入することを防いでい
る。超音波センサ8は、図示しない走査装置によって水
中を自在に移動することが可能である。そして、ワーク
1の組織の浅い層に超音波の焦点Fを合わせるときに
は、図10の上半分に示すように、超音波センサ8をワー
ク1の表面2から離間させる。また、組織の深い層に焦
点Fを合わせる場合には、図10の下半分に示すように、
超音波センサ8をワーク1の表面2に接近させる。
【0008】この手法によると、超音波パルスの焦点位
置を変化させるにあたり、ワーク1の表面2と超音波セ
ンサ8との距離(一般的にこれを水距離という)を変化
させているので、水中での超音波の減衰量の差が、検出
結果に影響を及ぼすこととなる。すなわち、組織の深い
層に超音波の焦点Fを合わせているときには、ディスプ
レー13に表示される反射波RD は検出レベルが高く、必
要な検出信号を確実に得ることができるが、組織の浅い
層に超音波の焦点Fを合わせているときには、ディスプ
レー13に表示される反射波RS の検出レベルが低下し、
ノイズ等の影響を受けて必要な情報の読み取りが困難と
なる場合があった。また、ワーク1の形状や走査装置の
走査範囲との兼ね合いで、検査可能な範囲(深さ)が制
限されることもあった。
【0009】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、水中での超音波の減衰
量を最小限におさえ、ワークの内部組織に関する正確な
情報をより多く得ることにより、ワークの品質チェック
をより確実に行うことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明に係る内部組織の非破壊検査方法は、超音波パ
ルスの焦点位置を変更可能な送受信器をワークの近傍に
配置し、水距離を一定に保ちながら特定周波数の超音波
パルスをワークの所定深さに焦点を合わせて発信し、ワ
ークから反射される超音波パルスのピーク信号数をカウ
ントした後、ワークの表面から母層に至るまで前記所定
深さを変更する行程を繰り返し、該カウント数から内部
組織を検査することを特徴とする。
【0011】本発明においては、ワークの表面から所望
の深さに至るまで、特定周波数の超音波の焦点を移動さ
せながら、反射される超音波パルス(反射波)のピーク
信号数をカウントする。そして、カウントされたピーク
信号数と求めるべき焼き入れ層に相当する所定値とを比
較し、これらの値が一定の関係を満たすときの超音波の
焦点深さにおける反射波の伝播時間を求め、該伝播時間
から内部組織の様子を把握する。この際、送受信器の焦
点位置が可変であることから、ワークと送受信器とを可
能な限り接近させ、かつ、水距離を一定に保ったままワ
ークの浅い層から深い層まで超音波パルスの焦点位置の
みを移動させる。そして、超音波の減衰量を最小限にお
さえ、検出される反射波を高いレベルで安定させる。
【0012】さらに、上記課題を解決するための本発明
に係る内部組織の非破壊検査方法は、超音波パルスの焦
点位置を変更可能な送受信器をワークの近傍に配置し、
水距離を一定に保ちながら特定周波数の超音波パルスを
ワークの所定深さに焦点を合わせて発信し、ワークから
反射される超音波パルスのピーク信号数を単位時間毎に
カウントした後、ワークの表面から母層に至るまで前記
所定深さを変更する行程を繰り返し、単位時間毎にカウ
ントされたピーク信号数を集計してその分布パターンを
求め、該分布パターンから内部組織を検査することを特
徴とする。
【0013】本発明においては、ワークの表面から所望
の深さに至るまで、特定周波数の超音波の焦点を移動さ
せながら、反射される超音波パルスのピーク信号数を、
単位時間ごとにカウントして記録する。さらに、単位時
間毎にカウントされたピーク信号数を集計し、その分布
パターンからピーク信号がワークのどの深さで多く発生
しているか、また、どの深さで反射波が増加しているか
等の分布パタンの特徴を求める。そして、この分布パタ
ーンから、内部組織の様子を把握する。この際、送受信
器の焦点位置が可変であることから、ワークと送受信器
とを可能な限り接近させ、かつ、水距離を一定に保った
ままワークの浅い層から深い層まで超音波パルスの焦点
位置のみを移動させる。そして、超音波の減衰量を最小
限におさえ、検出される反射波を高いレベルで安定させ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。ここで、従来例と同一部分若
しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい
説明を省略する。
【0015】図1には、本発明の第1の実施の形態に係
る、内部組織の非破壊検査装置を概略的に示している。
検査装置6は、水を張った水槽7にワーク1と、超音波
パルスの発信手段である超音波センサ14とを配置してい
る。また、超音波センサ14を水中で自在(前後上下左
右)に移動させるために、超音波センサ14を走査装置9
で支持している。なお、超音波センサ14には、後述のご
とくアレイセンサが用いられている。
【0016】この超音波センサ14は、超音波測定装置10
と接続している。超音波測定装置10は超音波送受信回路
10aを内部に備え、超音波センサ14に特定周波数の超音
波を発信し、かつ、超音波センサ14で受信した反射波を
受信する。そして、後述する反射波のピーク信号レベル
と、ピーク信号伝播時間とをデータ解析装置11に送る。
走査装置9は制御装置12に接続しており、制御装置12に
よって作動制御がなされる。また、制御装置12はデータ
解析装置11に接続しており、走査装置9の位置データを
データ解析装置11に送る。データ解析装置11(パソコン
等を用いることができる。)では、受けたデータに基づ
いて、後述するように反射波の散乱確立分布の計算を行
い、ワーク1の内部組織の検査を行う。
【0017】図2には、超音波センサ14の構成を概略的
に示している。前述のごとく、超音波センサ14にはアレ
イセンサを用いている。アレイセンサは、複数の送受信
器14aを同一平面状に並べ、かつ、各送受信器を独立し
て制御することを可能としたものである。アレイセンサ
の駆動回路は、超音波測定装置10(図1)の超音波送受
信回路10a内に設けられている。該駆動回路では、制御
装置16において各送受信器14aの制御タイミングを決定
し、駆動装置15に制御信号17を送る。駆動装置15は、制
御信号17に基づき、各送受信器14aに駆動信号18を送
る。そして、複数の送受信器14aを各々独立したタイミ
ングで制御する。また、各送受信器14aで検出される反
射波に関する信号は、検出装置19を介して制御装置16に
送られる。制御装置16では、反射波に関する信号に基づ
き、組織内部の様子を表す情報を、表示装置20(CRT
等)に表示させることができる。また、この情報を図1
に示すデータ解析装置11に送信し、ワーク1の内部組織
の解析に用いる。
【0018】ところで、アレイセンサは複数の送受信器
14aの駆動タイミングを制御することにより、超音波の
焦点位置を変化させることができる。複数の送受信器14
aから超音波を発信するタイミングを同時とすれば、各
送受信器14aから発信された超音波は同時に進行し、焦
点を結ぶことはない。ところが、複数の送受信器14aの
うち、外側に位置するものほど超音波を発信する時期を
早くし、中部に位置するものの発信時期を最も遅延させ
ると、各送受信器14aから球面波状に伝播する超音波
が、ある一点において同時に到達する。この、各送受信
器14aからの超音波が同時に到達する点が、超音波の焦
点Fとなる。また、各送受信器14aの駆動タイミングを
変化させることにより、焦点Fの位置を変化させること
ができる。図3の(a)と(b)とを比較すると、各送
受信器14aの発信時期の差が大きい(a)の場合は、焦
点Fの位置が浅くなり、発信時期の差が小さい(b)の
場合は、焦点Fの位置が深くなることがわかる。前述の
ごとく、駆動信号18の制御は、制御装置16および駆動装
置15により行うことができるので、超音波の焦点Fの位
置の制御を容易に行うことが可能である。
【0019】ここで、上記構成をなす検査装置によって
ワークの内部組織の検査を行う手順を、以下に説明す
る。図4ないし図6には、この検査行程を順に示してい
る。そして、各図の(a)はワーク1内部における焦点
Fの位置を、(b)は測定された反射波の波形を、
(c)は反射波の伝播時間と、所定のレベル以上のピー
ク信号のカウント数との関係を、夫々示している。
【0020】まず、走査装置9(図1)を作動させ、超
音波センサ14を、可能な限りワーク1の表面2に接近さ
せる。そして、ワークの表面2と超音波センサ14との水
距離を一定に保ちながら、特定周波数の超音波パルスを
ワーク1へ向けて発信する。この際、複数の送受信器14
a(図2)を駆動するタイミングを、浅い位置で焦点F
を結ぶように制御する。このときの特定周波数として
は、従来例と同様に、焼き入れ層3の深さを把握する場
合には、焼き入れ層3は透過することができるが、境界
層4は透過しにくい値(母層5は透過不可能な値)とす
る。そして、制御装置16、駆動装置15を制御することに
より、複数の送受信器14aの駆動タイミングを変化さ
せ、超音波パルスの焦点Fをワーク1の表面2から母層
5(図4)に向けて徐々に移動させて行く。また、超音
波パルスは、焦点Fの位置を変化させる毎に発信され
る。さて、超音波パルスの発信間隔を1kHz に設定した
場合には、1秒間に1000個のピーク信号をカウントする
ことができるが、データ解析装置11では、単位時間毎に
所定のレベルを上回るピーク信号のみを拾い出し、その
カウント数を伝播時間の経過に対応させて記録する。
【0021】さて、図4には、検査行程の初期段階を示
している。図4(a)に示すように、このときの超音波
パルスの焦点Fは、ワーク1の焼き入れ層3にある。こ
こで得られる反射波の波形を図4(b)に示す。このと
き、反射波S(ワーク1の表面2における表面反射波)
は観測されているが、所定のレベル以上の反射波R(境
界層4における境界反射波)すなわちピーク信号は観測
することができない。したがって、図4(c)に示すよ
うに、ピーク信号のカウント数Nは、伝播時間Tの経過
によって増加することはない。
【0022】図5には、検査行程の中間段階を示してい
る。図5(a)に示すように、ワークの表面2と超音波
センサ14との水距離が変化することなく、超音波パルス
の焦点Fがワーク1の境界層4に移動している。ここで
得られる反射波の波形を、図5(b)に示す。このと
き、反射波Sを観測してからある時間が経過した後に、
所定のレベル以上のピーク信号(反射波R)が明確に観
測される。従って、図5(c)に示すように、ピーク信
号のカウント数Nは、伝播時間Tの経過と共に増加し、
伝播時間Tが中間層4に相当する時点で、そのカウント
数Nは最大となる。そして、さらに伝播時間Tが経過す
るに従い、カウント数Nは減少していく。
【0023】図6には、検査行程の最終段階を示してい
る。図6(a)に示すように、ワークの表面2と超音波
センサ14との水距離は一定のままで、超音波パルスの焦
点Fがワーク1の母層5に到達している。ここで得られ
る反射波の波形を、図6(b)に示す。このとき、反射
波Sを観測してからある時間が経過した後に、所定レベ
ル以上のピーク信号(反射波R)が観測される。そし
て、ピーク信号のカウント数Nは、伝播時間Tの経過に
よって図6(c)に示すように推移する。
【0024】測定対象毎に以上の測定を終了した時点
で、データ解析装置11において、図4(c)、図5
(c)および図6(c)のごとく単位時間毎にピーク信
号のカウント数Nを記録した多数のデータ(夫々焦点深
さが異なる)を集計し、図7に示すように、単位時間毎
にカウントされたピーク信号数が伝播時間に対してどの
ように分布しているかのパターンを得る。この分布パタ
ーンから、ピーク信号が何時すなわちどの深さで多く発
生しているか、どの深さでピーク信号が増加しているか
といった、ピーク信号発生深さの分布パターンの特徴を
読み取る。
【0025】そして、例えばピーク信号数が最大となる
伝播時間から、所定の割合だけカウント数Nが少ない値
に達した時点を、焼き入れ層3が形成された深さとして
判断する。この判断基準は一例であり、ワークの材質や
特定周波数の設定値の違い等、測定時の条件に合わせて
様々に設定することができるものである。よって、ピー
ク信号数が最大となる伝播時間を判断基準としたり、ピ
ーク信号数の最小値と最大値との中間値を達成する時点
を判断基準としたり、さらに、分布パターンの不連続性
(ピーク信号の増加率の変化等)を判断基準とすること
も可能である。
【0026】上記構成をなす本発明の第1の実施の形態
から得られる作用効果は、以下の通りである。本実施の
形態では、特定周波数の超音波パルスの焦点Fを、ワー
ク1の表面2から母層5に至るまで段階的に移動させな
がら、焦点Fの夫々の位置毎に超音波パルスの反射波を
測定する。そして、反射波の波形から所定レベルを上回
るピーク信号(反射波R)のみを拾い出し、そのカウン
ト数を伝播時間の経過に対応させて記録する。測定が終
了した時点で記録したデータを集計し、単位時間毎にカ
ウントされたピーク信号数が、伝播時間に対してどのよ
うに分布しているかのパターンを得る。この分布パター
ンの特徴を読み取り、ここから焼き入れ層3が形成され
た深さを求める。
【0027】この際、焦点Fがワーク1の表面2から母
層5に至るまでに得られたピーク信号のカウント数を集
計し、ここで得られたピーク信号数の分布パターンか
ら、焼き入れ層3の深さを求める。すなわち、従来のご
とくある一点に超音波の焦点を合わせて、そこで得られ
るデータ(反射波の波形)のみから焼き入れ層3の深さ
を求めるのではなく、表面2から母層5に至る範囲で、
容易に測定できる複数の測定データ(ピーク信号数)を
統計的に処理することにより、焼き入れ層3を求めるこ
とができる。従って、求められた結果の信頼性は必然的
に高くなる。
【0028】また、ワーク1の表面2から母層5に至る
まで焦点Fを移動させるという構成を有することから、
焦点Fをある特定位置(境界層4等)に事前に合わせる
というような、熟練した作業者による作業が不要とな
り、検査行程を全て自動化することが可能となる。しか
も、測定される反射波の波形そのものは焼き入れ層3の
深さを求める判断材料とせず、しかも複数の測定データ
を統計的に処理するので、走査装置9の位置決め精度や
何らかの有害な雑音等、反射波の波形を得る際に悪影響
を及ぼす要因は、検査結果の良否に影響することがなく
なり、検査装置6に求められる精度の管理も容易とな
る。
【0029】さらに、超音波センサ14にアレイセンサを
用いていることから、ワーク1の表面2と超音波センサ
14とを可能な限り接近させ、かつ、水距離を一定に保っ
たままワークの浅い層から深い層まで超音波パルスの焦
点Fの位置のみを移動させることが可能である。したが
って、焦点Fの位置に関係なく、超音波の減衰量を常に
最小限におさえ、検出される反射波Rを高いレベルで安
定させることが可能となる。よって、図7に示す分布パ
ターンを得るための正確な情報を、全ての焦点位置に係
る検出データから得ることが可能となり、ワークの品質
チェックをより確実に行うことができるようになる。ま
た、水距離を変化させる必要がないので、超音波センサ
14をワーク表面2に直接当接させても(すなわち、水距
離零で一定)、内部組織の検査が可能となる。この手法
によれば、反射波の減衰の原因となるワーク表面2と超
音波センサ14との間隙自体を無くすことになるので、さ
らに高いレベルの反射波Rを得ることができる。
【0030】以上のごとく、本発明の実施の形態に係る
検査装置を用いることにより、ワークの内部組織の様子
を、誰でも正確かつ簡単にしかも非破壊で把握すること
が可能となる。なお、超音波センサ14は、焦点位置が可
変であれば、アレイセンサに限定されるものではない。
例えば、1つのケースに焦点位置が異なる複数のセンサ
を包含した送受信器を用いれば、水距離を一定としたま
まで、ワークの浅い層から深い層まで検査を行うことが
できる。また、超音波送受信器の振動子(高分子等から
なる)を弾性変形可能に支持し、その形状自体を変化さ
せることにより焦点位置を可変とした送受信器を用いる
ことによっても、同様の作用効果を得ることができる。
【0031】
【発明の効果】本発明はこのように構成したので、以下
のような効果を有する。まず、本発明の請求項に係る
内部組織の非破壊検査装置によると、水距離を一定とし
ながら、超音波の焦点がワークの表面から深層に至るま
でに得られる反射波のピーク信号数をカウントする。し
たがって、超音波の減衰量が常時一定となり、検出され
る反射波を高いレベルで安定させることが可能となる。
こうして得られた信頼性の高いデータを、統計的に処理
し、所定値とを比較することによって反射波の伝播時間
を求め、該伝播時間から内部組織の様子を正確に把握す
ることができる。
【0032】また、本発明の請求項に係る内部組織の
非破壊検査装置によると、水距離を一定としながら、ワ
ークの表面から所望の深さに至るまで特定周波数の超音
波の焦点を移動させ、反射される超音波パルスのピーク
信号数を単位時間ごとにカウントして記録する。この
際、超音波の減衰量が常時一定となり、検出される反射
波を高いレベルで安定させることができる。こうして得
られた信頼性の高いデータを、単位時間毎にカウントさ
れたピーク信号数を集計し、その分布パターンからピー
ク信号がワークのどの深さで多く発生しているか、ま
た、どの深さで反射波が増加しているか等の分布パタン
の特徴を求める。そして、この分布パターンから、内部
組織の様子を把握する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る内部組織の非破壊検
査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の検査装置に用いられる超音波センサの構
成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す超音波センサの作動説明図であり、
(a)は超音波の焦点位置が比較的浅い場合を、(b)
はは超音波の焦点位置が比較的深い場合を示す摸式図で
ある。
【図4】本発明の実施の形態に係る検査行程の初期段階
を示しており、(a)はワーク1内部における焦点位置
を、(b)は測定された反射波の波形を、(c)は反射
波の伝播時間と、所定のレベル以上のピーク信号のカウ
ント数との関係を表す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る検査行程の中間段階
を示しており、(a)はワーク1内部における焦点位置
を、(b)は測定された反射波の波形を、(c)は反射
波の伝播時間と、所定のレベル以上のピーク信号のカウ
ント数との関係を表す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る検査行程の最終段階
を示しており、(a)はワーク1内部における焦点位置
を、(b)は測定された反射波の波形を、(c)は反射
波の伝播時間と、所定のレベル以上のピーク信号のカウ
ント数との関係を表す図である。
【図7】本発明の実施の形態において、単位時間毎に記
録されたピーク信号のカウント数を集計したピーク信号
の分布パターンを示す図である。
【図8】焼き入れを行ったワークの、内部組織の様子を
示す断面図である。
【図9】従来の内部組織の非破壊検査方法によって求め
られる超音波パルスの反射波を示す摸式図である。
【図10】従来の非破壊検査装置の一部分を摸式的に示
した説明図である。
【符号の説明】
1 ワーク 2 表面 3 焼き入れ層 4 境界層 5 母層 14 超音波センサ A 超音波パルスの焦点の走査範囲 F 超音波パルスの焦点 N ピーク信号のカウント数 R 反射波 S 反射波 T 伝播時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波パルスの焦点位置を変更可能な送
    受信器をワークの近傍に配置し、水距離を一定に保ちな
    がら特定周波数の超音波パルスをワークの所定深さに焦
    点を合わせて発信し、ワークから反射される超音波パル
    スのピーク信号数をカウントした後、ワークの表面から
    母層に至るまで前記所定深さを変更する行程を繰り返
    し、該カウント数から内部組織を検査することを特徴と
    する内部組織の非破壊検査方法。
  2. 【請求項2】 超音波パルスの焦点位置を変更可能な送
    受信器をワークの近傍に配置し、水距離を一定に保ちな
    がら特定周波数の超音波パルスをワークの所定深さに焦
    点を合わせて発信し、ワークから反射される超音波パル
    スのピーク信号数を単位時間毎にカウントした後、ワー
    クの表面から母層に至るまで前記所定深さを変更する行
    程を繰り返し、単位時間毎にカウントされたピーク信号
    数を集計してその分布パターンを求め、該分布パターン
    から内部組織を検査することを特徴とする内部組織の非
    破壊検査方法。
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