JP3458690B2 - 回転部を有する装置における自動平衡機構 - Google Patents

回転部を有する装置における自動平衡機構

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JP3458690B2 JP02928898A JP2928898A JP3458690B2 JP 3458690 B2 JP3458690 B2 JP 3458690B2 JP 02928898 A JP02928898 A JP 02928898A JP 2928898 A JP2928898 A JP 2928898A JP 3458690 B2 JP3458690 B2 JP 3458690B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転部を有する
装置において回転軸が共振状態で振動することを防止す
る自動平衡機構に関し、例えば光デイスク装置における
デイスクアンバランスによる振動を防止する目的に用い
て好適な自動平衡機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の一般的な光デイスク装置における
デイスク回転機構を図15に示す。図15において、1
は光デイスク装置のデイスクモータであり、このデイス
クモータ1のモータ軸1aにターンテーブル2が固定さ
れている。ターンテーブル2に乗せたデイスク(光デイ
スク)4は、その上に置いたデイスク固定プーリ3で押
し付けられて、ターンテーブル3に固定される。デイス
ク固定プーリ3がデイスク4を押し付け固定する力は、
ターンテーブル2に吸引される磁力や上方から付勢され
るスプリング力等による。
【0003】上記光デイスク装置のデイスク回転機構に
おいて、デイスク4、ターンテーブル2、デイスク固定
プーリ3等の回転する部分(回転部)の重心位置が回転
軸(モータ軸)1aの中心位置からずれる重量アンバラ
ンスを完全に無くすことは困難であるが、この重量アン
バランスは、デイスク高速回転中に振動(共振状態の振
動)を発生させる原因となる。この振動は、重量アンバ
ランス量(重量・距離)と回転数とに大きく依存してい
る。なお、前記回転部における最も大きな重量アンバラ
ンス量はデイスクの重量アンバランス(デイスクアンバ
ランス)である。
【0004】従来の一般的な光デイスク装置は、デイス
ク回転数が低速であったため、デイスク規格内のアンバ
ランス量等では回転による遠心力が小さく、したがっ
て、発生する振動も光デイスク装置に影響を与えるレベ
ルではなく、デイスクアンバランス等の回転部の重量ア
ンバランスによる振動対策は特に行っていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、光デイスク装置
において、データの読み込み・アクセス等の高速化が進
み、デイスク回転は高速になっている。例えば、CLV
(線速度一定)方式の場合、内周側で6000r.p.
m.に達するものもある。前述のように、デイスク回転
数が低速であれば振動が問題になることはないが、デイ
スク回転が例えば4000r.p.m.以上などと高速
化すると、デイスク高速回転中に主としてデイスクアン
バランスによって発生する振動の影響でデータ読み取り
不良等の問題が発生し、前記振動の抑制が必要になって
きている。
【0006】ところで、回転機械の静的釣り合いを自動
的にとる機構として、2つの球を利用する自動平衡機構
が知られている。この自動平衡機構は、図16に示すよ
うに、回転部と一体の回転円板の中に2つの球5を円周
方向に移動可能に配置した機構である(理工学社「機械
力学」井上順吉著(第146頁)など参照)。
【0007】図16の自動平衡機構において、回転時に
球および偏重心した回転部に発生する遠心力およびその
成分は次の通りとなる。 F=mrω21 =mrω2 ・sin α F2 =mrω2 ・cos α F3 =Meω2 ただし、 F:球に作用する遠心力 F1 :FのY軸方向(SGと直交する方向)の分力 F2 :FのX軸方向(SG方向)の分力 F3 :回転部の重量アンバランスに基づく遠心力(振動
発生源) m:球の質量 S:回転部の回転軸中心 G:回転部の重心 e:回転部の偏重心距離(回転部の重心Gと回転軸中心
Sとの間の距離) M:回転部の質量 r:球の停止位置(回転軸中心Sからの半径) ω:回転部の回転角速度 α:球の位置のX軸に対してなす角度
【0008】上記の各遠心力が図16の状態で釣り合っ
ているとすると、Y方向については F1 +(−F1 )=0 すなわち、各球に作用する遠心力FのY方向の成分F1
は球が2個あることで打ち消される。また、X方向につ
いては、 2mrω2 ・cos α=Meω2 …… こうして、2つの球は自動的に、この式が満たされる
ような角度αを取る。すなわち、回転部のアンバランス
量Meに基づく遠心力F3 は2つの球の遠心力のX方向
成分F2 と釣り合って、回転部のアンバランス量が零と
なる。
【0009】図16のような系態となって、回転部の重
量アンバランスが零となる条件について、図17
(イ)、(ロ)を参照して説明する。上記の2つの球に
よる自動平衡機構においては、回転部の固有円振動角速
度ω0 と回転部の回転角速度ωとの関係がω0 〉ω の
時、図17(イ)の系態となり、ω0 〈ω の時、図1
7(ロ)の系態(重心Gの位置に関して図16と同じ系
態)となる。図17(イ)の系態(ω0 〉ω)では、F
の半径方向の分力をN、接線方向の分力をTとすれば、
Nは球に作用する回転円板からの抗力と釣り合っている
が、接線方向の分力Tの作用により球は回転円板の重心
側すなわち重い方に移動し、重量アンバランスは増大す
る。これに対して、回転部の回転角速度ωが回転部の固
有円振動角速度ω0 を越せば(ω0 〈ω)、図17
(ロ)のようにOGSの順に一直線となる系態となり、
球は接線分力Tにより軽い方に移動して、回転部のアン
バランスをなくし、回転部が釣り合うようになるとS点
はO点と一致して接線分力は0となる。この系態(図1
6と同じ)が、2つの球により重量アンバランスを解消
する状態である。なお、図17において、Oは軸受け中
心を示す。
【0010】上記自動平衡機構を光デイスク装置の自動
平衡機構として適用することも考えられるが、デイスク
回転の立ち上がり時には少なくとも ω0 〉ω となる
時期を通過し、また、立ち上がり時でなくても何らかの
事情で図17(イ)の系態となる可能性がある(すなわ
ち、2つの球が何かのひょうしでG点と同じ側に回って
しまう可能性がある)ので、図16に示した自動平衡機
構の原理そのものでは、振動発生の可能性がある。
【0011】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、光デイスク装置を始め種々の回転部を有する装置に
おいて、共振状態の振動の発生を確実に防止することの
できる自動平衡機構を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1の自動平衡装置は、重量のアンバランスが発生する
可能性のある回転体の回転軸に同軸に取り付ける回転円
板状の自動平衡装置であって、垂直な回転軸と一体の回
転部の円筒外周内面から回転軸径に沿って突出した、複
数の可動重りの外周壁に沿った移動を一定角度範囲に規
制する移動規制部と、その円周方向に沿って一定角度範
囲内を移動可能に配置した2つ以上の可動重りと、前記
一定角度範囲部分と回転軸中心を挟む反対側の位置にお
いて前記回転部に固定した固定重りとを有することを特
徴とする。
【0013】請求項2の自動平衡装置は、垂直な回転軸
と一体の回転部にその円周方向に沿って第1の一定角度
範囲内のみを移動可能に配置した2つ以上のバランス用
の可動重りと、前記第1の一定角度範囲部分と回転軸中
心を挟む反対側に配される第2の一定角度範囲内のみを
移動可能に配置した1つまたは2つ以上の重心規定用の
可動重りとを有することを特徴とする。
【0014】請求項3は、請求項1または2の発明を、
デイスクモータのモータ軸にターンテーブルを固定し、
このターンテーブルに乗せたディスクを固定する構成の
デイスク装置に適用したものである。
【0015】請求項4は、請求項3の自動平衡装置にお
いて、ターンテーブルの上に乗せたディスクを押し付け
固定するディスク固定プーリに前記の各重りを設けたも
のである。
【0016】請求項5は、請求項3の自動平衡装置にお
いて、ターンテーブルに前記の各重りを設けたものであ
る。
【0017】請求項6は、請求項3の自動平衡装置にお
いて、ディスクモータのモータ軸をターンテーブル側と
反対の下方に延出させ、このモータ軸の下端部に回転円
板を固定し、この回転円板に前記の各重りを設けたこと
を特徴とする。
【0018】請求項7は、請求項4または5または6の
自動平衡装置において、前記の各可動重りの移動を円周
方向に沿う一定角度範囲内に限定する手段として、回転
部に設けた円筒外周壁と、この円筒外周壁の内面の円周
方向の2箇所に設けたストッパとを設けたことを特徴と
する。
【0019】請求項8は、請求項4または5または6の
自動平衡装置において、前記の各可動重りの移動を円周
方向に沿う一定角度範囲内に限定する手段として、回転
部に設けた円筒外周壁と、この円筒外周壁で囲まれた内
部を仕切る仕切り壁とを設けたことを特徴とする。
【0020】請求項9は、請求項3の自動平衡装置にお
いて、前記2つ以上の可動重りと前記固定重りとを、ま
たは、前記2つ以上のバランス用の可動重りと1つまた
は2つ以上の重心規定用の可動重りとをそれぞれ上下方
向の別の部分に分離して設けたことを特徴とする。
【0021】請求項10は、請求項1〜9記載の自動平
装置において、前記可動重りとして球を用いたことを
特徴とする。
【0022】請求項11は、請求項1〜9記載の自動平
装置において、前記可動重りとして平坦な小円形板を
用いたことを特徴とする。
【0023】請求項12は、請求項1〜9記載の自動平
装置において、前記可動重りとして、回転軸中心から
偏心した重心(すなわち偏重心)を有し回転軸に回転自
在に設けられた偏重心遊転部材を用いたことを特徴とす
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
〜図14に示した実施例を参照して説明する。図1は請
求項1の自動平衡機構を光デイスク装置に適用した実施
例を示すもので、光デイスク装置のデイスク回転機構の
断面図を示す。図2は図1のA−A断面図である。図1
において、1は光デイスク装置のデイスクモータであ
り、このデイスクモータ1のモータ軸1aにターンテー
ブル2が固定されている。ターンテーブル2に乗せたデ
イスク(光デイスク)4は、その上に置いたデイスク固
定プーリ3で押し付けられて、ターンテーブル3に固定
される。デイスク固定プーリ3がデイスク4を押し付け
固定する力は、ターンテーブル2に吸引される磁力や上
方から付勢されるスプリング力等による。以上の構成は
従来と同様であるが、本発明のこの実施例では、円筒外
周壁3aで囲まれた凹所を持つデイスク固定プーリ3の
凹所3b内に2つの球5を可動重りとして配置し、図2
に示すように円筒外周壁3aの内面の2箇所に内方に突
出するストッパ7を設けて、2つの球5がその2つスト
ッパ7間の範囲内に止まるように規制し、さらに、前記
2つのストッパ7間の範囲と回転軸中心を挾む反対側の
位置においてデイスク固定プーリ3に固定重り6を固定
している。この場合、装着したディスクの通常考えられ
るどのような方向・大きさの重量アンバランスに対して
も、固定重り6の存在により、固定重り6と回転部とを
含めた全体重心(図3にG0 で示す)が必ず球(可動重
り)球5と反対側にくるように(すなわち、図3の角度
θ0 の範囲にくるように)設定する。また、球5の飛び
出しを防止するために、デイスク固定プーリ3の凹所3
bを覆うカバー3cを設けている。
【0025】上記の光デイスク装置のデイスク回転機構
における自動平衡機構の作用について説明する。図3は
上記の自動平衡機構における力の釣り合いを説明するも
ので、デイスク回転時に2つの球および重心位置の偏心
した回転部(ターンテーブル2、デイスク固定プーリ
3、デイスク4等の部分)に発生する遠心力およびその
成分は次の通りとなる。 F’=mrω21 ’=mrω2 ・sin α’ F1 ”=mrω2 ・sin α” F2 ’=mrω2 ・cos α’ F2 ”=mrω2 ・cos α” F3 ’=M’e’ω23 のX方向成分=Meω2 cos β F3 のY方向成分=Meω2 sin β ただし、 F’:一方の球に作用する遠心力 F”:他方の球に作用する遠心力 F1 ’:F’のY軸方向(SG’と直交する方向)の分
力 F1 ”:F”のY軸方向(SG’と直交する方向)の分
力 F2 ’:F’のX方向(SG’方向)の分力 F3 :回転部の重量アンバランスに基づく遠心力(振動
発生源) F3 ’:固定重りに作用する遠心力 m:球の質量 S:回転部の回転軸中心 G:回転部の重心 e:回転部の偏重心距離(回転部の重心Gと回転軸中心
Sとの間の距離) M:回転部の質量 r:球の停止位置(回転軸中心Sからの半径) ω:回転部の回転速度 G’:固定重りの重心 e’:固定重りの偏重心距離(固定重りの重心G’と回
転軸中心Sとの間の距離) M’:固定重りの質量 α’:一方の球の位置のX軸に対してなす角度 α”:他方の球の位置のX軸に対してなす角度 β:回転部の重心Gの位置のX軸に対してなす角度
【0026】上記の各遠心力の釣り合いは、次の通りで
ある。X方向の釣り合いに関しては、 mrω2 ・cos α’+ mrω2 ・cos α”=M’e’ω2 +Meω2cosβ …… Y方向の釣り合いに関して mrω2 ・sin α’+ mrω2 ・sin α”+Meω2 sin β=0 … すなわち、2つの球が上記、の2式が満たされるよ
うな角度α’、α”の位置に自動的に位置して、重量ア
ンバランスが0となる。ただし、固有円振動角速度ω0
が回転部の回転角速度ωより小(ω0 〈ω )となるよ
うに、球の質量m、固定重りの質量M’、軸径等を設定
する。
【0027】上記の自動平衡機構においては、固定重り
6とストッパ7で移動範囲を規制された2つの球5とは
必ず互いに反対側(正反対という意味でなく、図2、図
3においてY軸に関して反対側)に位置するので、図1
7(イ)の系態になることは確実に防止される。これに
より、回転部が共振状態で振動することを防止できる。
【0028】なお、回転部の重量アンバランスMeによ
る遠心力が固定重り6に作用する遠心力に対して十分小
さく(Meω2 〈〈M’e’ω2 )、このMeを無視で
きる場合は、図4の状態となる。すなわち、2つの球
は、α’=α”でそのα’(=α”)が mrω2 ・cos α’=M’e’ω2 … を満たす位置に自動的に位置して、重量アンバランスが
0となる。
【0029】図5は回転部の種々の偏心した重心位置G
に対して、当該回転部の重心位置Gと2つの球5の位置
との関係を説明する図である。ここで、回転部(質量
M)の重心が回転軸中心Sの位置にあり(つまり回転部
に重量アンバランスがなく)かつ回転部と固定重り6
(質量M’)とを合わせた全体(質量=M+M’)の重
心が図示のg0 位置にある時、2つの可動重り5がある
位置にあってディスク回転機構の回転が平衡していたと
する。そして、回転部の重心がS位置から図5(イ)、
(ロ)、(ハ)の各図のG位置にそれぞれ移った場合に
おける全体(質量=M+M’)の重心位置をG0 で示
す。図5(イ)のように回転部の重心がS位置から固定
重り6と反対方向(図5(イ)において右方)のG位置
に移って、全体重心が図示のg0 位置から回転軸中心S
寄りのG0 位置に移った時(右方に移った時)、図示の
ように2つの球5が互いに離れる方向に移動して平衡す
ると考えられる。図5(ロ)のように回転部の重心がS
位置から固定重り6と同方向(図5(イ)において左
方)のG位置に移って、全体重心が図示のg0 位置から
回転軸中心S側と反対のG0 位置に移った時(左方に移
った時)、図示のように2つの球5が互いに接近する方
向に移動して平衡すると考えられる。図5(ハ)のよう
に回転部の重心がS位置から、固定重り6方向に対して
直交する方向(図5(ハ)では下方)のG位置に移っ
て、全体重心が図示のg0 位置から、固定重り6方向に
対してある角度の方向をなすG0 位置に移った時、図示
の通り2つの球5が同一方向に移動して平衡すると考え
られる。
【0030】図6、図7に同じくデイスク回転機構に適
用した自動平衡機構の他の実施例を示す。この実施例
は、ターンテーブル2’に2つの球5を配置し、かつ固
定重り6を設けたものである。この例では、ターンテー
ブル2’の周縁部の下面側にドーナツ状の通路2a’を
形成し、このドーナツ状の通路2a’内に2つの球5を
配置し、かつ通路2a’における2箇所にストッパ7’
を設けている。
【0031】また、図8に示すように、モータ軸1a’
を下方に延出させ、このモータ軸1a’の下端部に回転
円板8を固定し、この回転円板8に2つの球5および固
定重り6を設けてもよい。
【0032】上記の各実施例は、2つの球5および固定
重り6を同じ部材内に設けているが、分離して設けても
よい。すなわち、例えば、2つの球5はデイスク固定プ
ーリに設け固定重り6はターンテーブルに設ける場合、
2つの球5はターンテーブルに設け固定重り6はデイス
ク固定プーリに設ける場合等が考えられる。また、図8
のようにモータ軸1a’の下端部に回転円板8を設けた
場合には、さらに多様な組み合わせが考えられる。要す
るに、2つの球および固定重りは回転部と一体の部材に
設けられていればよい。
【0033】また、図9は2つの球5の移動を円周方向
に沿う一定角度範囲内に限定する手段についての他の実
施例を示す。この実施例は、デイスク固定プーリ3の円
筒外周壁3aの内部を球5側と固定重り6側とに仕切る
仕切り壁を設けたものである。すなわち、(イ)はデイ
スク固定プーリ3の直径をなす仕切り壁11aを設けた
もの、(ロ)は直径より短い弦をなす形で仕切り壁11
bを設けたもの、(ハ)は所定角度の2つの半径をなす
仕切り壁11cを設けたものである。
【0034】なお、上述の実施例では球を2つ配置する
場合について説明したが、偶数個であれば4つ以上の球
を配置することも考えられる。
【0035】上述の実施例では可動重りとして球5を用
いたが、本発明における可動重りは円周方向に移動自在
であればよいので、球に代えて、平坦な小円形板すなわ
ちおはじき状の平坦なものを用いることも可能である。
【0036】さらに、可動重りとして、図10(イ)、
(ロ)に示す構成とすることもできる。すなわち、この
実施例は、回転軸1aに例えば2本の偏重心遊転部材1
2を回転自在に取り付け、デイスク固定プーリ3上にこ
の偏重心遊転部材12の回転角度範囲を規制するための
ストッパ13を設けたものである。
【0037】請求項2の自動平衡機構の同じく光ディス
ク装置に適用した実施例を図11、図12に示す。図1
1は前述の実施例における図2に相当する図である。こ
の自動平衡機構は、円筒外周壁3aで囲まれた凹所3b
を持つディスク固定プーリ3の凹所3b内に、その円周
方向に沿って第1の一定角度範囲θ1 内を移動可能に配
置した例えば2つのバランス用の可動重り5’と、前記
第1の一定角度範囲部分θ1 と回転軸中心Sを挾む反対
側に配される第2の一定角度範囲θ2 内を移動可能に配
置した例えば1つの重心規定用の可動重り16とを設け
た構成である。前記のバランス用可動重り5’の移動範
囲を規定する手段として2つのストッパ7を設け、ま
た、重心規定用可動重り16の移動範囲を規定する手段
として2つのストッパ17を設けており、ストッパ7と
ストッパ17とは図11でY軸を挾む反対側にある。1
aはディスクモータ1のモータ軸(回転軸)である。
【0038】すなわち、この自動平衡機構は、図1〜図
10に示した自動平衡機構において、固定重り6に代え
て、前記重心規定用の可動重り16を設けたものであ
る。この場合おける第1の一定角度範囲θ1 および第2
の一定角度範囲θ2 の条件について図12を参照して説
明する。バランス用可動重り5’と重心規定用可動重り
16とが任意の直径線(回転軸中心Sを通る直線をここ
で直径線と呼ぶ)に関して反対側に位置する条件を検討
すると、まず重心規定用可動重り16が移動範囲内の一
方に寄った図12のA位置にある時、各バランス用可動
重り5’はいずれも直線ASと直交する直径線L1 に関
して重心規定用可動重り16と反対側(すなわち図12
で左下がりハッチング領域)にある必要がある。また、
重心規定用可動重り16が反対のB位置にきた時、各バ
ランス用可動重り5’はいずれも直線BSと直交する直
径線L2 に関して重心規定用可動重り16と反対側(す
なわち図12で右下がりハッチング領域)にある必要が
ある。したがって、第2の一定角度範囲θ2 を適宜の値
に定めた時、第2の一定角度範囲θ2 内の任意の位置に
ある重心規定用可動重り16に対して、この重心規定用
可動重り16とバランス用可動重り5’とが回転軸中心
Sを挾む反対側に位置するための第1の一定角度範囲θ
1 は、前述の左下がりハッチング領域と右下がりハッチ
ング領域との共通部分、すなわち直径線L1 と直径線L
2 とで囲まれる交差ハッチング部分として定まる。
【0039】上記の図11、図12の自動平衡機構で
は、回転部の重量アンバランスに対して重心規定用可動
重り16が第2の一定角度範囲θ2 内のある位置にき
て、回転部の質量と重心規定用可動重り16との全体重
心G0 をバランス用可動重り5’と反対側に位置させ
る。
【0040】前記の重心規定用可動重り16は、図13
に示すように、例えば2つ設けることもできる。この場
合における第1の一定角度範囲θ1 と第2の一定角度範
囲θ2 との条件は、図14に示す通りである。すなわ
ち、第2の一定角度範囲θ2 を適宜の値に定めた時、2
点鎖線で示すように、2つの重心規定用可動重り16’
が互いに接触した状態で一方のストッパ17に接触した
時の2つの重心規定用可動重り16’の中間をA位置と
し、他方のストッパ17に接触した時の2つの重心規定
用可動重り16’の中間をB位置とすれば、図12で説
明したものと同じとなり、前記第2の一定角度範囲θ2
に対する第1の一定角度範囲はθ1 となる。
【0041】前述の重心規定用可動重りは3つ以上設け
ることも可能であり、また、固定重りと併用して重心規
定用可動重りを設けることも可能である。なお、重心規
定用可動重りを設ける構成の自動平衡機構のその他の実
施例としては、図1〜図10に示した固定重り6による
構成の各実施例において、それぞれ固定重り6に代えて
重心規定用可動重りを設けたものが考えられる。
【0042】なお、上記のように重心規定用の重りを可
動重りとする請求項2の自動平衡機構では、平衡となる
条件が複数存在するため、重りの重量、回転軸の振れ、
外乱によって重心規定用可動重りがランダムに移動し、
それに併せ可動重りも平衡となるように移動して平衡条
件をほぼ満たしながら動く重り、可動重りを球のように
転がりながら動く重りと応答特性を変えるように構成す
ることで、回転軸の振れ、外乱による重心規定用可動重
りの位置変動が防げ、好ましい。また、請求項2の自動
平衡機構では、重心規定用の重りを可動重りとすること
で、予想される重量アンバランス量にあわせ(請求項1
の自動平衡機構では材質の変更による重量変更しかでき
なかったが)重心規定用可動重り、可動重りの重量、形
状を変更可能となり、重りの交換による重量変更だけで
様々な装置の重量アンバランスに対応することが可能と
なる。
【0043】光デイスク装置に適用した上述の各実施例
において、デイスク回転機構はターンテーブル上のディ
スクをデイスク固定プーリで押し付け固定する構成であ
るが、ディスクを固定する手段自体は任意であり、その
他の構成とすることもできる。また、実施例は光デイス
ク装置のデイスク回転機構の自動平衡機構として適用し
たものであるが、CDドライバその他のデイスク装置に
適用することは当然可能であり、さらには、タービン、
送風機等の回転機械やその他回転部を有する種々の装置
において回転部の共振状態の振動を抑制するための自動
平衡機構として適用することが可能である。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、回転部にその円周方向
に沿う一定角度範囲内を移動可能に2つ以上の可動重り
を配置するとともに、その反対側における回転部に固定
重り(または固定重りと同様に機能する重心規定用可動
重り)を設けたので、可動重りと全体重心(回転部と固
定重りまたは重心規定用の可動重りとを合わせた全体の
重心)とが回転軸中心の同じ側にくることを確実に防止
することができ、したがって、振動が増幅される系態と
なることを防止することができ、これにより、共振状態
の振動が発生することを確実に抑制できるという効果が
得られる。また、回転部に上記の各重りを設けること
で、様々な固有円振動角速度を持つ回転部に対しても、
その固有円振動角速度に依ることなく、振動が増幅され
る系態となることを防止できる。
【0045】また、請求項2によれば、重心規定用の重
りが可動重りなので、予想される重量アンバランス量に
あわせて、重心規定用可動重りおよび可動重りの重量、
形状を変更可能であり、重りの交換による重量変更だけ
で様々な装置の重量アンバランスに対応することが可能
となる。
【0046】本発明を光デイスク装置等のデイスク装置
に適用した場合、デイスクに重量アンバランスがあって
も、そして高速回転させても、自動的に重量アンバラン
スが打ち消され、共振状態の振動の発生を抑制できると
いう効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の自動平衡機構を適用した光デイスク
装置のデイスク回転機構の縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】図1のデイスク回転機構における自動平衡機構
の作用を説明するための図である。
【図4】同じく図1のデイスク回転機構における自動平
衡機構の作用を説明するための図であり、回転部の重量
アンバランスを無視できる場合のものである。
【図5】回転部の種々の偏心した重心位置に対して、当
該回転部の重心位置と2つの球(可動重り)の位置との
関係を説明する図である。
【図6】本発明の自動平衡機構の他の実施例を示すもの
で、光デイスク装置のデイスク回転機構の縦断面図であ
る。
【図7】図6におけるB−B断面図である。
【図8】本発明の自動平衡機構のさらに他の実施例を示
すもので、光デイスク装置のデイスク回転機構の縦断面
図である。
【図9】上記光デイスク装置の自動平衡機構において、
2つ以上の可動重りの移動を円周方向に沿う一定角度範
囲内に限定する手段として、デイスク固定プーリに仕切
り壁を設けた実施例を示すもので、(イ)、(ロ)、
(ハ)はそれぞれ異なる態様で仕切り壁を設けたデイス
ク固定プーリの平面図である。
【図10】上記光デイスク装置の自動平衡機構における
2つ以上の可動重りについての他の実施例を示すもの
で、(イ)はデイスク固定プーリ部分の平面図、(ロ)
は同正面図である。
【図11】請求項2の発明の自動平衡機構の一実施例を
示すもので、ディスク固定プーリの図(図2に相当する
図)である。
【図12】図11の自動平衡機構の作用を説明するため
の説明図である。
【図13】請求項2の発明の自動平衡機構の他の実施例
を示すもので、ディスク固定プーリの図(図2に相当す
る図)である。
【図14】図13の自動平衡機構の作用を説明するため
の説明図である。
【図15】従来の一般的な光デイスク装置のデイスク回
転機構の縦断面図である。
【図16】回転機械の静的釣り合いを自動的に取る機構
として従来より知られている自動平衡機構の原理を説明
する図である。
【図17】図16の自動平衡機構の原理を補足説明する
ための図であり、(イ)は振動が増幅される場合の系
態、(ロ)は振動が抑制される場合の系態を示す。
【符号の説明】
1 デイスクモータ 1a、1a’ モータ軸 2、2’ ターンテーブル 3、3’ デイスク固定プーリ 3a 円筒外周壁 3b 凹所 4 光デイスク 5 球(可動重り) 5’ バランス用の可動重り 6 固定重り 7、7’ ストッパ 8 回転円板 11a、11b、11c 仕切り壁 12 偏重心遊転部材 13 ストッパ 16、16’ 重心規定用の可動重り 17 ストッパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 7/04 B06B 1/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量のアンバランスが発生する可能性の
    ある回転体の回転軸に同軸に取り付ける回転円板状の自
    動平衡装置であって、 垂直な回転軸と一体の回転部の円筒外周内面から回転軸
    径に沿って突出した、複数の可動重りの外周壁に沿った
    移動を一定角度範囲に規制する移動規制部と、その円周
    方向に沿って一定角度範囲内を移動可能に配置した2つ
    以上の可動重りと、前記一定角度範囲部分と回転軸中心
    を挟む反対側の位置において前記回転部に固定した固定
    重りとを有することを特徴とする自動平衡装置
  2. 【請求項2】 垂直な回転軸と一体の回転部にその円周
    方向に沿って第1の一定角度範囲内のみを移動可能に配
    置した2つ以上のバランス用の可動重りと、前記第1の
    一定角度範囲部分と回転軸中心を挟む反対側に配される
    第2の一定角度範囲内のみを移動可能に配置した1つま
    たは2つ以上の重心規定用の可動重りとを有することを
    特徴とする自動平衡装置
  3. 【請求項3】 前記回転軸を有する装置は、ディスクモ
    ータのモータ軸にターンテーブルを固定し、このターン
    テーブルに乗せたディスクを固定する構成のディスク装
    置であることを特徴とする請求項1または2記載の自動
    平衡装置
  4. 【請求項4】 請求項3の自動平衡装置において、 ターンテーブルの上に乗せたディスクを押し付け固定す
    るディスク固定プーリに前記の各重りを設けたことを特
    徴とする自動平衡装置
  5. 【請求項5】 請求項3の自動平衡装置において、 ターンテーブルに前記の各重りを設けたことを特徴とす
    る自動平衡装置
  6. 【請求項6】 請求項3の自動平衡装置において、 ディスクモータのモータ軸をターンテーブル側と反対の
    下方に延出させ、このモータ軸の下端部に回転円板を固
    定し、この回転円板に前記の各重りを設けたことを特徴
    とする自動平衡装置
  7. 【請求項7】 請求項4または5または6の自動平衡
    において、 前記の各可動重りの移動を円周方向に沿う一定角度範囲
    内に限定する手段として、回転部に設けた円筒外周壁
    と、この円筒外周壁の内面の円周方向の2箇所に設けた
    ストッパとを設けたことを特徴とする自動平衡装置
  8. 【請求項8】 請求項4または5または6の自動平衡
    において、 前記の各可動重りの移動を円周方向に沿う一定角度範囲
    内に限定する手段として、回転部に設けた円筒外周壁
    と、この円筒外周壁で囲まれた内部を仕切る仕切り壁と
    を設けたことを特徴とする自動平衡装置
  9. 【請求項9】 請求項3の自動平衡装置において、 前記2つ以上の可動重りと前記固定重りとを、または、
    前記2つ以上のバランス用の可動重りと1つまたは2つ
    以上の重心規定用の可動重りとをそれぞれ上下方向の別
    の部分に分離して設けたことを特徴とする自動平衡
  10. 【請求項10】 前記可動重りが球であることを特徴と
    する請求項1〜9記載の自動平衡装置
  11. 【請求項11】 前記可動重りが平坦な小円形板である
    ことを特徴とする請求項1〜9記載の自動平衡装置
  12. 【請求項12】 前記可動重りが、回転軸中心から偏心
    した重心を有し回転軸に回転自在に設けられた偏重心遊
    転部材であることを特徴とする請求項1〜9記載の自動
    平衡装置
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