JP3454598B2 - インバータ駆動誘導電動機の停止制御装置 - Google Patents

インバータ駆動誘導電動機の停止制御装置

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JP3454598B2 JP04570995A JP4570995A JP3454598B2 JP 3454598 B2 JP3454598 B2 JP 3454598B2 JP 04570995 A JP04570995 A JP 04570995A JP 4570995 A JP4570995 A JP 4570995A JP 3454598 B2 JP3454598 B2 JP 3454598B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、運転中に保有する運動
エネルギーが異なる2系統の負荷を、それぞれインバー
タ駆動による誘導電動機で別個に回転駆動するようにし
た電動機駆動装置に係り、特にリング精紡機で代表され
る繊維機械に好適なインバータ駆動誘導電動機の停止制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インバータで駆動される誘導電動機を用
いて負荷を駆動する装置では、誘導電動機を誘導発電機
として動作させ、電源が遮断されたとき、負荷と誘導電
動機が有する運動エネルギーを電源側に送り返す、いわ
ゆる回生動作を比較的容易に行なうことができ、これに
より、負荷と誘導電動機を停止させるとき、それらが有
する運動エネルギーの一部を無駄にせずに回収すること
ができる。
【0003】ところで、この回生動作は、電気鉄道など
で、誘導電動機の減速制御のために使用されるのが通例
であるが、近年、停電時、運動エネルギーを多く保有す
る負荷を有する誘導電動機からの回生電力により、運動
エネルギーの保有が少ない負荷を有する誘導電動機の回
転を維持させることにより、双方の誘導電動機を同期し
て停止させるようにした電動機駆動装置が提案されてお
り、複数の誘導電動機により駆動され、且つ停止するま
で誘導電動機間の回転速度に同期を必要とする電動機駆
動機械に有効である。
【0004】例えば紡績機械の一種であるリング精紡機
では、糸の延伸を行うドラフトパート駆動系と、巻き取
りを行うスピンドル駆動系、及び管糸を形成するために
所定のストロークで往復運動をするリングレール駆動系
を、それぞれ個別の誘導電動機で駆動する方式のものが
あるが、このようなリング精紡機では、ドラフトパート
駆動系及びリングレール駆動系では、運転中に保有して
いる運動エネルギーが少ないため、停電が発生してフリ
ーラン状態になると数秒で停止するのに対し、スピンド
ル駆動系では、1台の精紡機で500錘(本)から100
0錘ものスピンドルを有し、且つ、15000rpmから
25000rpmと極めて高速で運転されるため、全体と
して大きな運動エネルギーを持ち、電源が切られても停
止するまでに十数秒を要する。
【0005】さらに、スピンドルをそれぞれ個別の誘導
電動機で駆動するようにしたダイレクトドライブ方式の
リング精紡機もあるが、この場合には更に運動エネルギ
ーが大きくなるため、スピンドルが停止まで数十秒も要
する。このため、停電が発生してしまうと、スピンドル
駆動系と、ドラフトパート駆動系及びリングレール駆動
系の同期が崩れ、糸切れが発生してしまう。
【0006】紡績工場では、多いところでは数万錘から
十数万錘ものスピンドルを有するため、停電により糸切
れが発生すると、その復旧に多大な時間を要し、生産量
の低下等、損失は莫大なものになる。従って、このよう
な精紡機では、停電時の糸切れ防止の解決が必須課題と
なっており、このため、従来から、前述した回生動作を
利用した誘導電動機の同期運転を行う方法が用いられて
おり、これにより、停電時でも糸切れの虞れ無く停止さ
せているのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、停電
後の再始動時における負荷の駆動位置について配慮がさ
れておらず、リング精紡機などにおいては、依然として
停電による糸切れが発生してしまうという問題があっ
た。
【0008】まず、リング精紡機の原理について、図5
と図6により説明する。図5に示すように、リング精紡
機には、ドラフトパートDと、スピンドルS、それにリ
ングレールRとを有する。ドラフトパートDは、駆動回
転数に差を持たせた複数のローラ対(ドラフトローラ)で
構成され、原糸を延伸する働きをする。スピンドルSは
ボビンを保持し、スピンドルモータにより高速回転さ
れ、糸を巻き取る働きをする。リングレールRはリング
を保持し、矢印で示すように、このリングを上下に移動
させる働きをする。
【0009】そこで、図示してない装置から供給された
原糸は、まずドラフトパートDの順次回転速度が早くな
っているドラフトローラにより延伸され、スピンドルS
の回転軸上方に配置された小さなリング状のスネールワ
イヤを通り、リングレールRに固定されているリングに
よって移動するトラベラーを通してからボビンに巻き取
られ、このボビンに管糸(管状に巻かれた糸)が形成され
るようになっている。
【0010】そして、スピンドルが回転すると、このト
ラベラーはスピンドルよりも若干遅い回転数でリング外
周を移動し、これらスピンドルとトラベラーの回転数の
差により糸の巻取り量が決まり、トラベラーの回転数分
だけ糸に撚りが掛けられることになる。このとき、スピ
ンドルの回転により糸には遠心力が加わり、この結果、
或る程度の張力を持ちながらボビンに巻取られる。
【0011】リングレールRは、ボビンに糸が巻つけら
れる際に巻取り位置を逐次変え、管糸を形成するため
に、糸をボビンと平行に振らせるための機構部で、前述
したように、矢印の通り、所定のストロークをもって往
復運動する。
【0012】以上がリング精紡機の動作原理であるが、
これから明らかなように、このリングレールRの往復運
動の方向は、ドラフトパートDから送り出されてくる糸
の供給方向と平行しているため、巻き取り時での糸の張
力を弱めたり強めたりしている。
【0013】そして、前述したように、動作中は糸に撚
りが掛かっているので、スピンドルSの回転が停止して
遠心力がなくなって、糸の張力が小さくなると、図7に
示すように、糸にはスナールと呼ばれる糸の絡まりが発
生し易い。そして、このスナールの発生の程度によって
は、停止した後の始動時、糸がスネールワイヤやトラベ
ラーを通過する際に引っかかりを生じ、糸切れが発生す
る虞れを生じる。
【0014】通常、リング精紡機を始動させる場合、前
述したスナールの発生による糸切れの問題を回避するた
め、リングレールの始動方向は糸の張力が強められる方
向、すなわち、下降する方向から動き始めるよう、リン
グレールが停止する位置が決まっている。
【0015】従来技術では、停電時にスピンドル駆動系
とドラフトパート駆動系及びリングレール駆動系の同期
をとりながら停止させているが、このときのリングレー
ルの停止位置は、停電の発生タイミングや停電発生時の
スピンドル、ドラフトパート及びリングレールを駆動す
る電動機の回転数や負荷の慣性(糸の巻取り量によって
負荷の慣性は変化する)、電動機及びインバータの損失
などに依存するため、どの位置で停止するかはまちまち
になってしまう。
【0016】このため、従来技術では、糸の張力を弱め
る方向に動いているときに停止した場合、復電後の再始
動時にスナールによる糸切れが発生するボビンが多くな
ってしまうのである。
【0017】本発明の目的は、停電による機械停止時に
は、負荷の停止位置が所定の状態に保たれ、リング精紡
適用して、停電後の再始動時における糸切れを確実
に防止できるようにしたインバータ駆動誘導電動機の停
止制御装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的は、運転中の運
動エネルギー保有量が多いリング精紡機のスピンドル駆
動系と運転中の運動エネルギー保有量が少ないリング精
紡機のドラフトパート駆動系を、それぞれインバータ駆
動による誘導電動機で個別に回転駆動し、停電時、前記
スピンドル駆動系の誘導電動機からの回生電力により、
前記ドラフトパート駆動系の誘導電動機の回転を維持さ
せることにより双方の誘導電動機を同期して停止させる
ようにしたリング精紡機の電動機駆動装置において、前
ドラフトパート駆動系を駆動する誘導電動機の回転数
を検出する回転数検出手段と、前記ドラフトパート駆動
の駆動位置を検出する位置検出手段と、前記回転数検
出手段の検出信号と前記位置検出手段の検出信号に基づ
いて前記スピンドル駆動系の誘導電動機による回生電
力の低下率を計算する演算手段とを設け、該演算手段の
演算結果に基づいて前記回生電力を制御することによ
り、停電時での前記ドラフトパート駆動系の停止位置
、糸切れが発生しないリングレールが下降する方向で
のスタート位置に制御するようにして達成される。同じ
く上記目的は、運転中の運動エネルギー保有量が多いリ
ング精紡機のスピンドル駆動系と運転中の運動エネルギ
ー保有量が少ないリング精紡機のドラフトパート駆動系
を、それぞれインバータ駆動による誘導電動機で個別に
回転駆動し、停電時、前記スピンドル駆動系の誘導電動
機からの回生電力により、前記ドラフトパート駆動系の
誘導電動機の回転を維持させることにより双方の誘導電
動機を同期して停止させるようにしたリング精紡機の電
動機駆動装置において、前記ドラフトパート駆動系を駆
動する誘導電動機の回転数を検出する回転数検出手段
と、前記ドラフトパート駆動系の駆動位置を検出する位
置検出手段と、前記回転数検出手段の検出信号と前記位
置検出手段の検出信号に基づいて、前記スピンドル駆動
系の誘導電動機による回生電力の低下率を計算する演算
手段とを設け、該演算手段の演算結果に基づいて前記イ
ンバータの主回路直流電圧を可変して減速レートを制御
することにより、停電時での前記ドラフトパート駆動系
の停止位置を、糸切れが発生しないリングレールが下降
する方向でのスタート位置に制御するようにしても達成
される。
【0019】
【作用】停電などの異常により電源が遮断されたとき、
運動エネルギーの保有が少ない負荷を有する誘導電動機
の回転数が判れば、その負荷の運動エネルギーから減速
レート(減速の割合)を知ることができる。また、同じく
電源が遮断されたときの負荷の駆動位置が判れば、その
位置からどのような減速レートで停止させてやれば、所
定の位置に停止させることができるかを演算することが
できる。そこで、運動エネルギーの保有が少ない負荷の
駆動位置を検出する位置検出手段と、回転数検出手段の
検出信号と位置検出手段の検出信号とに基づいて、運動
エネルギーを多く保有する負荷を有する誘導電動機によ
る回生電力の低下率を計算する演算手段とを用い、この
該演算手段の演算結果に基づいて回生電力を制御するこ
とにより、停電時での運動エネルギーの保有が少ない負
荷の停止位置を所定位置に制御することができ、従っ
て、リング精紡機に適用することにより、リングレール
の始動方向を、糸の張力が強められる方向、すなわち、
下降する方向から動き始めるよう、リングレールが停止
する位置を決めることができ、再始動時での糸切れの発
生を充分に抑えることができる。
【0020】そこで、運動エネルギーの保有が少ない負
荷の駆動位置を検出する位置検出手段と、回転数検出手
段の検出信号と位置検出手段の検出信号とに基づいて、
運動エネルギーを多く保有する負荷を有する誘導電動機
による回生電力の低下率を計算する演算手段とを用い、
この該演算手段の演算結果に基づいて回生電力を制御す
ることにより、停電時での運動エネルギーの保有が少な
い負荷の停止位置を所定位置に制御することができ、リ
ング精紡機に適用した場合、リングレールの始動方向
を、糸の張力が強められる方向、すなわち、下降する方
向から動き始めるよう、リングレールが停止する位置を
決めることができ、再始動時での糸切れの発生を充分に
抑えることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明によるインバータ駆動誘導電動
機の停止制御装置について、図示の実施例により詳細に
説明する。図1は本発明の一実施例で、この実施例は、
本発明をリング精紡機に適用し、スピンドルを駆動する
誘導電動機を第1の駆動系とし、ドラフトパートとリン
グレールを駆動する誘導電動機を第2の駆動系としたも
のである。なお、ドラフトパートとリングレールをそれ
ぞれ別個の誘導電動機で駆動するようにしてもよいが、
この場合でも、これらドラフトパートとリングレールを
駆動する誘導電動機は何れも第2の駆動系となる。
【0022】図1において、1はスピンドル駆動用の誘
導電動機で、2はドラフトパートとリングレールを駆動
する誘導電動機であり、それぞれ第1の駆動系のインバ
ータ装置3と、第2駆動系のインバータ装置4で駆動さ
れる。各インバータ装置3、4は交流商用電源5から給
電され、それぞれ順変換部となるダイオードモジュール
6、7と、平滑コンデンサ8、9、それに逆変換部とな
るスイッチング用のパワーモジュール10、11とで構
成されている。
【0023】ここで、前述の通り、スピンドル駆動用の
誘導電動機1は、自身も含めて大きな運動エネルギーを
有する負荷を駆動し、他方、ドラフトパートとリングレ
ールを駆動する誘導電動機2は、自身も含めて小さな運
動エネルギーの負荷を駆動するだけなので、停止時に放
出できる運動エネルギーは誘導電動機1の方が格段に多
くなっており、従って、停止時には、誘導電動機1から
誘導電動機2に電力が回生されるように各インバータ装
置3、4が制御されるように構成してあり、このため、
図示のように、各インバータ装置3、4の主回路直流
側、つまり平滑コンデンサ8、9の端子間を相互に並列
に接続してある。なお、このため、各インバータ装置
3、4の順変換部となるダイオードモジュールは、共通
にしてもよいことは明らかである。
【0024】次に、この実施例の動作について、各部の
構成と共に説明する。通常時、電源5から供給される3
相交流電力はダイオードモジュール6、7で直流に変換
され、平滑コンデンサ8、9の端子間に平滑された直流
電圧Eが確立される。
【0025】一方、12は周波数設定器で、これからは
スピンドル駆動用の周波数設定信号f1と、ドラフトパ
ート及びリングレール駆動用の周波数設定信号f2の2
種の信号が発生されるようになっている。そして、まず
関数発生器13には周波数設定信号f1が供給され、こ
こでスピンドル駆動用のPWM信号が作成され、このP
WM信号がベース駆動回路14を介してパワーモジュー
ル10にベース駆動信号として供給され、これに基づき
所定の周波数と所定の電圧の3相交流電力がスピンドル
駆動用誘導電動機1に供給され、この結果、図2に示し
てあるスピンドルSが所定の回転数で駆動され、ボビン
に糸が巻き取られることになる。
【0026】同様に、ドラフトパート及びリングレール
駆動用の周波数設定信号f2は関数発生器15供給さ
れ、ドラフトパート及びリングレール駆動用のPWM信
号がベース駆動回路16を介してパワーモジュール11
に供給され、これにより、所定の周波数と所定の電圧の
3相交流電力がドラフトパート及びリングレール駆動用
誘導電動機2に供給され、この結果、図2に示してある
ドラフトパートD及びリングレールRの駆動系が所定の
回転数で回転駆動され、ドラフトローラにより原糸が延
伸され、リングレールRが上下に往復駆動され、ボビン
に糸が巻き取られて管糸が形成されることになる。
【0027】次に、停電時の動作について説明する。ま
ず、この実施例では、図1に示すように、ドラフトパー
ト及びリングレール駆動用誘導電動機2に回転数検出手
段となるパルスエンコーダ17が取付けられており、こ
れから回転数信号rが得られるようになっている。
【0028】また、この実施例では、図2に示すよう
に、リングレールRの上下に位置検出手段となるリミッ
トスイッチ(位置検出用のスイッチ)18、19が設けて
あり、これにより、往復移動するリングレールRが上限
位置に達したときスイッチ18が作動されて上限信号u
が発生され、下限位置に達したときには、スイッチ19
が作動されて下限信号dが発生されるようになってい
る。
【0029】次に、20は停電検出器、21、22はス
イッチ回路、23は周波数補正器、24は目標直流電圧
設定器、25は演算器、26はカウンタ、そして27は
誤差増幅器である。
【0030】停電検出器20は電源5の電圧を監視して
おり、従って、いま、何らかの異常により停電が発生し
たとすると、停電検出器20が停電信号outを発生す
る。そうすると、これによりスイッチ回路21、22が
閉じ、周波数補正器23の出力を各周波数設定信号
1、f2から減算する。この周波数補正器23は、イン
バータ装置3、4の直流側電圧Eを監視し、この電圧と
目標直流電圧設定器24から与えられている目標直流電
圧ES'(=ES)との偏差に応じた周波数補正信号fHを発
生し、これが周波数設定信号f1、f2から減算されるの
で、主回路直流側電圧Eが低下するにしたがって、イン
バータ装置3、4の出力周波数、つまり各誘導電動機
1、2に供給されている3相交流の周波数も低下されて
行く。
【0031】そこで、いま、停電発生と同時にインバー
タ装置3、4の主回路直流側の電圧Eが低下し始める
と、これに応じて誘導電動機1、2の同期速度が低下さ
れるので、滑りが負の状態の誘導発電機としての動作状
態となり、これらの誘導電動機1、2はフリーラン状態
よりも急速に減速を開始し、負荷を含めて駆動系全体が
有する運動エネルギーが電気エネルギーに変換され、イ
ンバータ装置3、4に戻されるようになり、これにより
主回路直流電圧Eは、目標直流電圧設定器24から与え
られている目標直流電圧ESに収斂するように制御され
る。
【0032】このとき、前述のように、スピンドル駆動
用の誘導電動機1は、自身も含めて大きな運動エネルギ
ーの負荷を駆動し、他方、ドラフトパートとリングレー
ルを駆動する誘導電動機2は、自身も含めて小さな運動
エネルギーの負荷を駆動するだけであるから、停止時に
放出できるエネルギーは誘導電動機1の方が格段に多く
なっている。
【0033】そこで、大きな運動エネルギーを有するス
ピンドル駆動用の誘導電動機1は、フリーラン状態にな
ったときは回転を継続しようとし、ドラフトパートとリ
ングレールを駆動する誘導電動機2の方は停止しようと
するので、誘導電動機2は回生動作から力行動作にな
り、誘導電動機1から回生された電力によりトルクを発
生し、減速が抑えられるようになり、誘導電動機1、2
が同期して減速され、同期した停止が得られることにな
る。
【0034】なお、ここまでは従来技術と同じで、この
ままでもスピンドル駆動用の誘導電動機1と、ドラフト
パートとリングレールを駆動する誘導電動機2とを同じ
回転状態で停止させることができ、停止したときでの糸
切れ発生の虞れを無くすことができる。
【0035】しかして、この実施例では、この後、従来
技術とは異なり、以下の動作を行なう。演算器25は、
停電検出器20から停電信号outが入力されると、この
後、回転数検出器17の出力信号rと、リミットスイッ
チ18からの上限信号u、及びリミットスイッチ19か
らの下限信号dを取り込み、これらの信号に基づいて、
誘導電動機2の減速レート(減速率)、及び停止までの時
間を演算し、リングレールRが停止する位置を予測す
る。
【0036】そして、この停止位置の予測の結果、リン
グレールRの停電後の停止位置が、糸の張力を弱める方
向、すなわち、リングレールRが上昇する方向で止まる
と予測された場合は、演算器25は減速時間と、減速レ
ートを再計算し、リングレールRが下降する方向で止ま
るために必要な回転量(その時から停止するまでの回転
数の積算値)を、回転量の目標値rSとして演算し、それ
を誤差増幅器27に出力する。
【0037】そこで、この誤差増幅器27は、演算器2
5の出力である回転量の目標値rSと、カウンタ26の
出力である誘導電動機2の実回転量との偏差に基づい
て、この回転量の偏差がゼロとなるように、即ちリング
レールが下降する方向で止まる様な減速パターンで誘導
電動機2の実回転数が推移するように、主回路直流電圧
の補正信号ES”を出力し、この補正信号ES”により目
標直流電圧設定器24から与えられている目標直流電圧
Sから減算させる。
【0038】この結果、周波数補正器23に与えられて
いる目標直流電圧ES'が変化され、その出力である周波
数設定信号f1、f2も増加或いは減少するため、減速レ
ートが変化し、リングレールRが下降する方向になって
いる位置、すなわち、リミットスイッチ18からの上限
信号uが入力されてから、次にリミットスイッチ19か
らの下限信号dが入力されるまでの間の位置で止めるこ
とができる。
【0039】以上の動作を、図3のタイミング図により
具体的に説明する。いま、時刻t0で停電が発生したと
すると、これと同時にインバータ装置3、4は回生電力
を得るために、出力周波数を低下させて誘導電動機1、
2を減速させる。このとき、インバータ主回路直流電圧
Eが一定値になるように、直流電圧の目標値ESを一定
にしておく。
【0040】次に、時刻t1でリングレールRが上限位
置、或いは下限位置に到達したことを示す上限信号uと
下限信号dを入力し、誘導電動機の回転数rを測定する
ことにより減速レートを演算し、主回路直流電圧Eを一
定値に制御した場合のリングレールRの停止位置を計算
する。また同時に、リングレールRが下降中に停止する
のに必要な減速レートも計算する。
【0041】この減速レートの計算結果から、リングレ
ールRの上限信号u、或いは下限信号dが発生した時点
からの総回転量の目標値を計算し、これに実際の誘導電
動機の回転量が一致するように、減速レートを変化させ
るのである。
【0042】ここで、減速レートを変化させるには、イ
ンバータの主回路直流電圧Eを変化させれば良い。つま
り、減速を速めるにはインバータの主回路直流電圧Eを
高くし、誘導電動機の損失を増加させ回転エネルギーの
消費を速めればよく、他方、減速を遅らすためには、主
回路直流電圧Eを低くし、誘導電動機の損失を減少させ
回転エネルギーの消費を遅くすればよいのである。
【0043】この図3は、リングレールを下降中に停止
させるために減速レートを緩めた場合の例であり、時刻
1以降の制御がこの実施例による場合である。すなわ
ち、この時刻t1直後は減速レートが早かったため、こ
れを緩めるため、時刻t2からは主回路直流電圧Eの目
標値ESが低下させられているのが判る。
【0044】そして、その後は、回転量を目標値と実際
の回転量が一致するように直流電圧の目標値ESを増減
させながら停止させていることが判る。
【0045】次に、演算器25により、停電発生時の誘
導電動機の回転数と減速レートから停止までの時間や停
止位置が推定可能な理由について説明する。
【0046】リング精紡機の場合、動力の大半を占める
スピンドル部の負荷特性はほぼ回転数の自乗に比例する
ため、電源が遮断され、負荷の慣性と負荷トルクの関係
のみで停止させるようにしたフリーランの状態では二次
曲線的に減速するが、回生動作を利用して減速させるよ
うにした停電時の場合は、減速レートはほぼ一定にな
る。
【0047】その理由は、回生電力を利用して減速させ
た場合、誘導電動機やインバータ装置の固定損の占める
割合が低速において大きくなるためである。そして、こ
のように減速レートが一定になるので、停電発生時の誘
導電動機の回転数と減速レートから停止までの時間や停
止位置が推定可能なのである。
【0048】次に、演算器25による減速レートの計算
方法を図4により説明する。まず、所定のサンプリング
周期Tでリングレール駆動用誘導電動機2の回転数nを
計測する。サンプリング周期Tの間に変化した回転数を
Δnとすれば、減速レートAは次式で表される。 A=Δn/T 或る時点でサンプリングした速度をn1とすれば、そこ
から停止するまでの時間tは次式で表される。 t=n1/A そこで、リングレールRの停止位置の推定方法は以下の
通りとなる。
【0049】停電が発生した後、リングレールRがスト
ロークの上限或いは下限位置に到達したことを示す信号
を受け取った時点からからリングレール駆動用誘導電動
機2の回転量の計測を開始する。
【0050】まず、停止までの総回転量Pは、減速時間
tから次式で表される。 P=n1×t/2 次に、リングレールRのストロークあたりの誘導電動機
2の回転量をP1とすれば、停止するまでのリングレー
ルRの往復移動回数Nは次式で表される。 N=P/P1 この演算結果の整数部及び剰余から、停止直前のリング
レールRの移動方向及び停止位置の推定が可能になる。
例えば停電発生後に、まず上限信号uが入力され、計算
の結果、リングレールRの移動回数が奇数になったらリ
ングレールが上昇中に停止することになる。また、この
とき、剰余がリングレールRのストロークあたりの誘導
電動機の回転量の半分であったとすれば、リングレール
Rはストロークの中央で停止することになる。従って、
リングレールRの停止位置が下降中となるような減速時
間も、同じ考えで計算できる。
【0051】次に停止位置の調節方法について説明す
る。周知のように、インバータ装置は交流電圧を整流し
て一旦直流に変換後、トランジスタなどのスイッチング
素子でスイッチングを行い、再び交流電圧に変換してい
る。
【0052】従って、直流電圧が変化すると、誘導電動
機に与えられる交流電圧も変化することになる。本発明
のように、停電時に減速動作を行い、負荷の運動エネル
ギーを利用し、インバータ装置の主回路直流電圧を所定
の値に維持することで複数の誘導電動機を同期して停止
させる場合、減速に要する時間は、前述したように、停
電発生時の誘導電動機の回転数や負荷の慣性(上記実施
例の場合は糸の巻取り量)、誘導電動機及びインバータ
装置の損失に依存する。
【0053】ここで、誘導電動機の損失は、受電電圧が
定格以上になると、不要な電流が増加し銅損や鉄損が増
大する。一方、軽負荷時には、受電電圧を下げることで
銅損や鉄損を小さくすることができる。つまり停電時に
減速動作を行い、負荷の運動エネルギーを利用して運転
する際に、インバータの主回路直流電圧を変化させてや
れば、誘導電動機に印加される電圧を変えることがで
き、その結果、負荷の運動エネルギーの消費量が変えら
れるため、停止までの時間を調節することができるので
ある。
【0054】従って、目標とする停止位置と減速レート
が決まれば、停止までの誘導電動機の回転量の推移が計
算できる。いま、リングレールRの上限信号u、或いは
下限信号dを入力した時点での回転数をn0、減速時間
をtbとすれば、或る時間tにおける回転数nは次式で
表される。 n=n0(1−t/tb) また、その時までの回転量Pは次式で表される。 P=(n0+n)×t/2 この回転量Pを目標値とし、これと実際の回転量の比較
を逐次行い、一致するように制御してやれば、リングレ
ールRを希望する位置に停止させることができる。
【0055】なお、以上の実施例では、上限信号uと下
限信号dを得るのにリミットスイッチを用いているが、
これに代えて光検出方式や磁気的検出方式による位置検
出手段を用いるようにしてもよい。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、停電による機械停止後
の再始動時での糸切れを簡単に防止することができるの
で、停電に際しても容易に復旧できることになり、この
結果、生産量が低下したり、莫大な損失が発生したりす
る虞れを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるインバータ駆動誘導電動機の停止
制御装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例が適用されたリング精紡機の
一例を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施例の動作を説明するためのタイ
ミング図である。
【図4】本発明による減速レートの計算原理を説明する
ための特性図である。
【図5】リング精紡機の説明図である。
【図6】リング精紡機のリング部分の詳細を示す説明図
である。
【図7】糸に発生するスナールの概念図である。
【符号の説明】
1 スピンドル駆動用の誘導電動機 2 ドラフトパート及びリングレール駆動用の誘導電動
機 3、4 インバータ装置 5 商用交流電源 6、7 順変換部となるダイオードモジュール 8、9 平滑コンデンサ 10、11 逆変換部となるスイッチング用のパワーモ
ジュール 12 周波数設定器 13、15 関数発生器 14、16 ベース駆動回路 17 パルスエンコーダ 18、19 リミットスイッチ 20 停電検出器 21、22 スイッチ回路 23 周波数補正器 24 主回路直流電圧の目標値設定器 25 演算器 26 カウンタ 27 誤差増幅器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01H 1/20 D01H 1/244 D01H 1/30 D01H 1/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転中の運動エネルギー保有量が多いリ
    ング精紡機のスピンドル駆動系と運転中の運動エネルギ
    ー保有量が少ないリング精紡機のドラフトパート駆動系
    を、それぞれインバータ駆動による誘導電動機で個別に
    回転駆動し、停電時、前記スピンドル駆動系の誘導電動
    機からの回生電力により、前記ドラフトパート駆動系の
    誘導電動機の回転を維持させることにより双方の誘導電
    動機を同期して停止させるようにしたリング精紡機の
    動機駆動装置において、 前記ドラフトパート駆動系を駆動する誘導電動機の回転
    数を検出する回転数検出手段と、 前記ドラフトパート駆動系の駆動位置を検出する位置検
    出手段と、 前記回転数検出手段の検出信号と前記位置検出手段の検
    出信号に基づいて前記スピンドル駆動系の誘導電動機
    による回生電力の低下率を計算する演算手段とを設け、 該演算手段の演算結果に基づいて前記回生電力を制御す
    ることにより、停電時での前記ドラフトパート駆動系
    停止位置を、糸切れが発生しないリングレールが下降す
    る方向でのスタート位置に制御するように構成したこと
    を特徴とするインバータ駆動誘導電動機の停止制御装
    置。
  2. 【請求項2】 運転中の運動エネルギー保有量が多いリ
    ング精紡機のスピンドル駆動系と運転中の運動エネルギ
    ー保有量が少ないリング精紡機のドラフトパート駆動系
    を、それぞれインバータ駆動による誘導電動機で個別に
    回転駆動し、停電時、前記スピンドル駆動系の誘導電動
    機からの回生電力により、前記ドラフトパート駆動系の
    誘導電動機の回転を維持させることにより双方の誘導電
    動機を同期して停止させるようにしたリング精紡機の
    動機駆動装置において、 前記ドラフトパート駆動系を駆動する誘導電動機の回転
    数を検出する回転数検出手段と、 前記ドラフトパート駆動系の駆動位置を検出する位置検
    出手段と、 前記回転数検出手段の検出信号と前記位置検出手段の検
    出信号に基づいて前記スピンドル駆動系の誘導電動機
    による回生電力の低下率を計算する演算手段とを設け、 該演算手段の演算結果に基づいて前記インバータの主回
    路直流電圧を可変して減速レートを制御することによ
    り、停電時での前記ドラフトパート駆動系の停止位置
    を、糸切れが発生しないリングレールが下降する方向で
    のスタート位置に制御するように構成したことを特徴と
    するインバータ駆動誘導電動機の停止制御装置。
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