JP3453956B2 - 液晶組成物 - Google Patents

液晶組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電場、温度場等の
外場の制御によって各種のデバイスとして利用するに有
用な機能上の変化を示す液晶組成物に関する。この液晶
組成物は、少なくとも、光バルブ、調光ガラス、記録媒
体、光シャッター、電子掲示板等に利用できる。そして
これらのデバイスにおいて、外場を除去してもメモリが
維持されると言うメモリ性が要求される場合に特に好適
に利用される。
【0002】
【従来の技術】従来、いわゆるツイストネマチック型液
晶素子や強誘電性液晶素子と呼ばれる素子が提供されて
いる。しかし、これらの素子においては偏光板の使用が
必須であり、光の利用効率が高くないために明るい表示
をなし難いとか、視野角が広くないとかの欠点が指摘さ
れている。
【0003】そこで、上記の欠点を解消するため、液晶
分子がランダムに配向した多数の液晶ドメインを形成
し、光散乱状態を作り出すことにより遮光状態を実現す
る一方で、電場を印加して各ドメインの液晶配向方向を
揃えることにより透光状態を実現する、いわゆる電界効
果型の光散乱型調光材料の開発が試みられ、その調光・
表示素子としての応用が検討されている。
【0004】このような光散乱型調光材料として、例え
ば、特公表昭63−501512号公報において「液晶
光変調材料」として開示され、あるいは特公平3−52
843号公報において「液晶構成体と液晶光学装置」と
して開示された、高分子分散型液晶(PDLC)があ
る。これらの高分子分散型液晶は、透明な高分子材料の
基質中に分散状態で設けた多数の小空胞に低分子液晶を
充填して、ドメインを構成させたもの(ポリマーマトリ
ックス中に低分子液晶のドメインを分散させたもの)で
ある。
【0005】一方、メモリー性のある光散乱型調光材料
として低分子液晶−高分子液晶複合体が提案されてい
る。この例として、T. Kajiyama et al., Chemistry Le
tters,p817-820,1989 に開示されたものが挙げられる。
この複合体の場合、高周波の交流電場ON時には透明に
なり、低周波の交流電場ON時には不透明に戻って、電
場除去後もそれぞれの状態で安定に維持される、という
メモリー性がある。
【0006】更に、本件出願人が特願平6−10220
8号として特許出願した「液晶組成物」の発明は、誘電
異方性が正の液晶と、この液晶中に所定の密度に分散さ
れた、液晶に対して親和性を有する偏平形状の粒子とか
らなる組成物に関するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来のP
DLCは、電場ON時に透明、電場OFF時には不透明
となるため、透明性を維持するためには所定の電場を加
え続けなければならない。即ち、外場を除去した際のメ
モリー性がない。その理由は、液晶分子の粘性が低いた
め、電場を加え続けなければ、高分子マトリクスとの相
互作用により液晶分子が初期のランダム配向状態に戻っ
てしまうことによる。この特性は、記録媒体や電子掲示
板のような、一定の情報を長期にわたり記録表示する目
的には適さない。
【0008】また、前記従来の低分子液晶−高分子液晶
複合体は、電場を除去した際のメモリー性があるが、、
高分子液晶の使用により系の粘性が高くなり、通常の液
晶系に比し応答時間が極端に長いという欠点がある。
【0009】即ち、従来のPDLCと低分子液晶−高分
子液晶複合体とを総合して、従来の電界効果型の光散乱
型調光材料に用いられる液晶組成物においては、メモリ
ー性と高速応答性という両立し難い性質を併せ持つもの
は未だ開発されていない。そして、本件出願人の出願に
係る前記特願平6−102208号の「液晶組成物」の
発明においては、メモリー性と高速応答性という両立し
難い性質を両立させることに成功したのである。
【0010】但し、特願平6−102208号の「液晶
組成物」の発明においては、メモリ状態を解除する手段
は、液晶組成物の温度を上昇させること、あるいは液晶
組成物に剪断力を付与することであり、温度制御手段あ
るいは剪断力付与手段を必要とする。従って、若し、メ
モリー性と高速応答性という性質を両立させたもとで、
前記の温度制御手段あるいは剪断力付与手段を不要にす
ることができれば、液晶組成物を利用したデバイスの簡
素化あるいはその操作の簡素化という面で、一層有利で
ある。
【0011】(発明の目的)本願発明は、電界効果型の
光散乱型調光材料であってメモリー性と高速応答性を併
せ持ち、かつデバイス化に当たり温度制御手段や剪断力
付与手段を必要としないような液晶組成物を提供するこ
とを目的とする。また本願発明は、このような液晶組成
物につき、その光透過状態と光散乱状態との間の光透過
量の差を一層大きくすること、即ち、調光材料の調光コ
ントラストを大きくすることをも目的とする。
【0012】(着眼点)液晶ドメインの形成による光散
乱状態を効率良く作り出し、しかも液晶分子の配向にメ
モリー性を持たせるためには、電場により自ら、あるい
は液晶に追従して、配向変化又は表面状態の変化を起こ
し、電場を切った後もその配向や状態を維持するよう
な、ある程度以上のアスペクト比を持った偏平な粒子材
料の添加が有効である、と考えた。
【0013】そして、応答速度を液晶単独のものと同等
レベルに保つためには、その偏平な粒子材料は界面を通
してのみ液晶分子と相互作用し、液晶の内部粘性にほと
んど影響を与えないものが必要である、と考えた。以上
の条件に合致する偏平な粒子材料の典型的なものの一つ
が、モンモリロナイトに代表される層状粘土鉱物であ
り、他の一つが無機層状高分子に有機基が共有結合した
層状有機ケイ素ポリマーである、と考えた。
【0014】一方、電場の制御のみによって、光散乱状
態と光透過状態とを可逆的にコントロールするために
は、上記の偏平な粒子材料の拘束力に抗して液晶分子の
配向変化を能動的に支配できることが必要となる。この
ためには、いわゆる2周波駆動用液晶を使用することが
できる、と考えた。2周波駆動用液晶とは、電場応答性
で、かつ電場のある周波数領域(例えば、低周波領域)
では正の誘電異方性を示すとともに他の周波数領域(例
えば、高周波領域)では負の誘電異方性を示す液晶を言
う。
【0015】更に本願発明者は、2周波駆動用液晶中に
イオン成分が存在したとき(微量でも良い。)、その液
晶の誘電異方性が正と負との間を変化する境界近傍の電
場周波数領域において、液晶中での乱流発生に基づく光
散乱現象(DS: DynamicScattering )が認められる
ことを見出した。
【0016】このDS現象を図1によって模式的に示
す。図1は、その縦軸(Δεとして表示)に誘電率異方
性の正(+)、負(−)の別を示し、その横軸に印加す
る電場の周波数を低周波側から高周波側へ順に表示して
いる。図1において、低周波領域1ではΔεが(+)で
あり、高周波領域2ではΔεが(−)である。そして、
Δεが(+)から(−)へ移行する境界近傍の領域であ
るDS領域3の電場周波数においては、DSの発生が認
められる。
【0017】
【課題を解決するための手段】
(本願第1発明の構成)上記課題を解決するための本願
第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、電場応答
性で、かつ電場の周波数領域に対応して正の誘電異方性
または負の誘電異方性を示す液晶分子を主成分とする液
晶と、この液晶中に、液晶のドメインを有効に形成させ
る程度の密度に分散した、液晶との親和性を示す偏平形
状の粒子と、を組成分として含む液晶組成物である。第
1発明の液晶組成物は、イオン成分を含む必要がないも
のであり、透明状態から光散乱状態とする際に液晶の誘
電的性質を利用する「電界モード」により駆動すること
を意図したものである。
【0018】(本願第2発明の構成)上記課題を解決す
るための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成
は、電場応答性で、かつ電場の周波数領域に対応して正
の誘電異方性または負の誘電異方性を示す液晶分子を主
成分とする液晶と、この液晶中に、液晶のドメインを有
効に形成させる程度の密度に分散した、液晶との親和性
を示す偏平形状の粒子と、イオン成分と、を組成分とし
て含む液晶組成物である。この、イオン成分を含む第2
発明の液晶組成物は、透明状態から光散乱状態とする際
に、液晶中のイオン成分に由来するDS現象を利用する
「DSモード」により駆動することを意図したものであ
る。
【0019】(本願第3発明の構成)上記課題を解決す
るための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成
は、前記第1発明または第2発明において、更に二色性
色素を組成分として含む液晶組成物である。
【0020】(本願第4発明の構成)上記課題を解決す
るための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成
は、前記第1発明〜第3発明において、液晶分子が低分
子量の分子である液晶組成物である。
【0021】(本願第5発明の構成)上記課題を解決す
るための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成
は、前記第1発明〜第4発明において、偏平形状の粒子
が電場応答性を示す粒子である液晶組成物である。
【0022】(本願第6発明の構成)上記課題を解決す
るための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成
は、前記第1発明〜第5発明において、偏平形状の粒子
が有機化された層状粘土鉱物である液晶組成物である。
【0023】(本願第7発明の構成)上記課題を解決す
るための本願第7発明(請求項7に記載の発明)の構成
は、前記第1発明〜第5発明において、偏平形状の粒子
が、無機層状高分子に有機基が共有結合した層状有機ケ
イ素ポリマーである液晶組成物である。
【0024】
【作用】
(第1発明の作用)それぞれ対向する片面に透明電極を
備えた2枚の透明ガラス板を一定のギャップをもって対
向させることにより構成したセル構造板に、第1発明の
液晶組成物を封入し、このセルに印加する電場及びその
周波数を所定のプログラムに従って制御したときの第1
発明の液晶組成物の光透過量の変化を図2に示す。この
図2に即して第1発明、即ち電界モードの作用を説明す
る。
【0025】なお、図2は光透過量の変化のパターンを
示すことに主眼があり、必ずしも光透過量の変化を厳密
な意味で定量的に示すものではない。また、図2に示す
事項は実験的に確認しているが、下記の図3に示す事項
は推定を含むものである。
【0026】なお、偏平形状の粒子として液晶との親和
性を示すものを用いているので、偏平形状の粒子は常に
液晶中で良好に分散している。また、この作用説明にお
いて、偏平形状の粒子は、その光散乱作用が液晶組成物
の光透過率に実質的に影響しない程度の密度に含まれて
いることを前提としている。
【0027】最初、液晶組成物を液晶温度(いわゆる液
晶状態が維持される温度)下で電圧非印加状態に置く
と、図3(A)に示すように偏平形状の粒子4がランダ
ムに配向して分散し、その結果、個々の偏平形状の粒子
4により周囲を区画されたルーズなセル構造5が液晶組
成物6中に多数形成される。そして、個々のセル構造5
の内部においては、液晶分子7が偏平形状の粒子4との
境界効果により、隣接するセル構造5の内部とは異なる
配向をしたドメインが形成される。従って、液晶組成物
6中の液晶分子7の配向は全体としてランダムとなり、
液晶組成物6は図2中の状態aで示す光透過量の小さい
状態(光散乱状態)になる。
【0028】次に、セル構造板に図1で示す低周波領域
1の電場を印加すると、液晶分子7が正の誘電異方性を
示す。即ち、液晶分子7が電場の印加方向に沿って(セ
ル構造板の平面に対する垂直方向へ)配向する。この
時、偏平形状の粒子4も、それ自体電場応答性を有する
場合は自力で、自ら電場応答性を持たない場合でも液晶
分子7が配向しようとする力に駆動されて、結果的に同
じ方向へ配向する。この結果、図3(B)に示すよう
に、前記のセル構造5及びドメインが解消され、液晶組
成物6は図2中の状態bで示すように光透過量の大きい
状態(光透過状態)となる。図2中の状態aから状態b
への変化は、一般的に、10〜200ミリ秒程度の応答
時間であるため、高速応答性があるといえる。
【0029】そしてここで電圧印加を解除しても、図2
中の状態cに示すように、液晶組成物6の光透過量は若
干の低下を示すに止まり、基本的にはこの光透過状態を
維持する。つまり液晶組成物6は光透過状態についてメ
モリー性を備えている。このメモリー性は次のようなメ
カニズムに基づくものと推定している。
【0030】即ち、偏平形状の粒子4は、その質量が大
きいため、電圧印加を解除してもブラウン運動によるラ
ンダムな配向には戻らない。そしてこの偏平形状の粒子
4の配向に規制されて、液晶分子7も若干の配向のゆら
ぎを生じつつ同様の配向をほぼ維持する。この状態を図
3(C)に示す。従って液晶組成物6は若干の光透過量
の低下を示しつつメモリー性を示すのである。
【0031】特に、偏平形状の粒子4が、例えば有機化
された粘土鉱物のように、液晶との親和性を持たせるた
めの有機化処理を施したものであった場合、偏平形状の
粒子4の表面に付着した有機分子が液晶分子7に絡まる
ようにして、液晶分子7の配向の維持に特別の役割を果
たすらしく推定される。従ってこのような場合における
図2の状態bから状態cへの光透過量の低下度合いは極
めて軽微である。この傾向は、偏平形状の粒子4がもと
もと液晶との親和性の優れた層状有機ケイ素ポリマーで
あった場合にも同様に認められる。
【0032】ついで、このメモリー維持の状態cにある
液晶組成物6に、図1で示す高周波領域2の電場を印加
すると、液晶組成物6は図2の状態dで示す光透過量の
小さい状態(光散乱状態)になることを確認している。
【0033】電界モードにおける、このような電場の切
替えによる光透過量の変化の理由については、今のとこ
ろ、明快な合理的説明に達していない。そしてこの場合
の偏平形状の粒子4と液晶分子7との配向状態について
も、明快な推定には達していない。ただ断片的に推定で
きることは、液晶分子7が負の誘電異方性を示すであろ
うこと、光の透過方向(液晶分子の配向方向に対する垂
直方向)から見て何らかの機作による液晶分子7のドメ
イン形成がなされたであろうこと、等である。
【0034】そして、この状態において電圧印加を解除
しても、図2中の状態eに示すように、液晶組成物6の
光透過量は若干の増大を示すに止まり、基本的にはこの
光散乱状態を維持する。つまり液晶組成物6は光散乱状
態についてもメモリー性を備えている。このメモリー性
のメカニズムも、偏平形状の粒子4が決定的な役割を果
たしているものと推定される。
【0035】(第2発明の作用)第2発明、即ちDSモ
ードの作用についても、前記第1発明の作用説明で用い
たのと同様のセル構造板に第2発明の液晶組成物を封入
し、このセルに印加する電場及びその周波数を所定のプ
ログラムに従って制御したときの液晶組成物の光透過量
の変化を説明する。この説明に当たり、光透過量の変化
の状況は、前記図2の場合と定性的には同一のパターン
の変化を示すので、便宜的に、図2をもって説明するこ
ととする。
【0036】なお、偏平形状の粒子の液晶中での良好な
分散状態や、その分散密度については、前記第1発明の
作用説明の場合と同じ前提の下に説明する。
【0037】最初、液晶組成物を液晶温度下で電圧非印
加状態に置くと、前記図3(A)と同様の状態となり、
液晶組成物は図2中の状態aで示す光散乱状態になる。
【0038】次に、セル構造板に低周波領域1の電場を
印加すると、前記図3(B)と同様の状態となり、液晶
組成物は図2中の状態bで示す光透過状態となる。この
ような状態aから状態bへの変化は、一般的に、10〜
200ミリ秒程度の応答時間であるため、高速応答性が
あるといえる。
【0039】そしてここで電圧印加を解除しても、図2
中の状態cに示すように、液晶組成物の光透過量は若干
の低下を示すに止まり、基本的にはこの光透過状態を維
持する。つまり液晶組成物は光散乱状態についてメモリ
ー性を備えている。このメモリー性のメカニズムは、前
記第1発明の光散乱状態についてのメモリー性のメカニ
ズムと同様のものと推定している。
【0040】ついで、このメモリー維持の状態cにある
液晶組成物に、前記図1におけるDS領域3の電場を印
加すると、イオン成分に起因して液晶中での前記DS現
象が発生し、偏平形状粒子および液晶分子の配向が乱れ
て液晶組成物は図3(D)のドメイン形成状態となる。
その結果、液晶組成物は図2の状態dで示す光散乱状態
になる。
【0041】そして、この状態において電圧印加を解除
しても、図1中の状態eに示すように、液晶組成物6の
光透過量は若干の増大を示すに止まり、基本的にはこの
光散乱状態を維持する。つまり液晶組成物6は光散乱状
態についてもメモリー性を備えている。このメモリー性
のメカニズムも、前記した高周波領域2の電圧印加を解
除した場合のメモリー性のメカニズムと同様なものと推
定される。
【0042】なお、後述するように、DSモードにおい
て要求されるイオン成分の濃度はかなり低いため、電界
モードの液晶組成物のつもりが、意図せずしてDSモー
ドの液晶組成物になっている場合も考えられる。このよ
うな場合の液晶組成物は、上記電界モードあるいはDS
モードのいずれに記載した電場制御を行っても、光透過
量を良好に制御することができる。
【0043】(第3発明の作用)第3発明は、第1発明
または第2発明の液晶組成物に対して、更に液晶中に含
ませた二色性色素が組成分として付加された構成であ
る。従って、吸収スペクトルの異なる各種の色素を選択
して使用することにより、液晶組成物の透過光に任意の
色彩を付与するという多色化を行うことができる。
【0044】一方、液晶組成物の光散乱状態ないしはそ
のメモリー状態においては二色性色素もランダムに配向
して光吸収効果が現れ、液晶組成物の光透過状態ないし
はそのメモリー状態においては二色性色素も配向するた
め光吸収効果がほとんど無くなる。即ち液晶組成物の光
散乱状態、光透過状態に同期して二色性色素の光吸収効
果の発現、消失が起こるため、調光コントラストが一層
高くなる。その他の点は第1発明または第2発明の作用
と基本的に同様である。
【0045】(第4発明の作用)第4発明では、液晶組
成物の液晶分子が低分子量の分子である。従って、光透
過状態や光散乱状態への液晶分子の配向変化が一層迅速
に起こり、液晶組成物の高速応答性が一層向上する。そ
の他の点は第1発明〜第3発明の作用と基本的に同様で
ある。
【0046】(第5発明の作用)第5発明では、液晶組
成物に含まれる偏平形状の粒子が電場応答性を示す粒子
である。従って、電圧印加に対して、液晶分子のみでな
く、偏平形状の粒子も自律的に配向するから、光透過状
態における液晶分子及び偏平形状の粒子の配向に僅かな
バラツキもなくなり、光透過量が更に大きくなる。その
結果、光透過状態と光散乱状態との調光コントラストが
一層高くなる。その他の点は第1発明〜第4発明の作用
と基本的に同様である。
【0047】(第6発明の作用)第6発明では、偏平形
状の粒子が有機化された層状粘土鉱物である。有機化さ
れた層状粘土鉱物は液晶との親和性を示し、また電場応
答性を示す。更に、層状粘土鉱物は、有機化されること
により結晶層単位への分離が良好なアスペクト比の大き
な粒子となる。以上のことから、有機化された層状粘土
鉱物は、液晶のドメインを区画するためのセル構造の構
成材料として最適なものの一つである。従って第6発明
では、前記した偏平形状の粒子の種々の作用が典型的か
つ効率的に発現される。
【0048】また、前記のように、モンモリロナイトに
代表される層状粘土鉱物は、界面を通してのみ液晶分子
と相互作用し、液晶の内部粘性にほとんど影響を与えな
いため、偏平形状の粒子が有機化された層状粘土鉱物で
ある場合には、電場に対する応答速度を液晶単独のもの
と同等レベルに保つことが可能となる。
【0049】更に、前記のように、粘土鉱物表面に付着
した有機分子が液晶分子7に絡まるようにして、液晶分
子7の配向の維持に特別の役割を果たすと考えられるた
め、光散乱状態および光透過状態についてのメモリー性
が特に優れる。
【0050】(第7発明の作用)第7発明では、前記偏
平形状の粒子が層状有機ケイ素ポリマーである。層状有
機ケイ素ポリマーは、後述する理由により、有機化され
た層状粘土鉱物よりも更に優れた液晶親和性を持つこと
ができ、しかも、その合成プロセス上の理由から容易に
液晶中に微細分散させることができる。かかる理由か
ら、層状有機ケイ素ポリマーは有機化された層状粘土鉱
物以上に、液晶のドメインを区画するためのセル構造の
構成材料として最適なものの一つである。従って第7発
明では、前記した偏平形状の粒子の種々の作用が更に典
型的かつ効率的に発現される。
【0051】また、前記第6発明と同様の理由から、無
機層状高分子に共有結合した有機基が液晶分子7に絡ま
るようにして、液晶分子7の配向の維持に特別の役割を
果たすと考えられるため、光透過状態の光透過量および
メモリー性が特に優れる。
【0052】更に、前記層状粘土鉱物の場合と同様に、
層状有機ケイ素ポリマーは界面を通してのみ液晶分子と
相互作用し、液晶の内部粘性にほとんど影響を与えない
ため、電場に対する応答速度を液晶単独のものと同等レ
ベルに保つことが可能となる。
【0053】
【発明の効果】
(第1,第2発明の効果)第1発明、第2発明の液晶組
成物はいずれも、メモリー性と高速応答性とを併せ持
ち、かつ温度制御手段や剪断力付与手段を必要としない
電界効果型の光散乱型調光材料を提供する。
【0054】(第3発明の効果)第3発明の液晶組成物
は、第1発明及び第2発明の効果に加え、液晶組成物の
透過光に任意の色彩を付与することができ、かつ、液晶
組成物の光透過状態と光散乱状態との調光コントラスト
を一層高くすることができる。
【0055】(第4発明の効果)第4発明の液晶組成物
は、第1発明〜第3発明の効果に加え、その高速応答性
が一層向上する。
【0056】(第5発明の効果)第5発明の液晶組成物
は、第1発明〜第4発明の効果に加え、光透過状態にお
ける光透過量の増大を通じて光透過状態と光散乱状態と
の調光コントラストを一層高くすることができる。
【0057】(第6発明の効果)第6発明の液晶組成物
は、第1発明〜第5発明の効果に加え、偏平形状の粒子
の種々の作用が典型的かつ効率的に発現され、電場に対
する応答速度を液晶単独のものと同等レベルに保つこと
が可能となり、更に、光散乱状態および光透過状態につ
いてのメモリー性が特に優れる。
【0058】(第7発明の効果)第7発明の液晶組成物
は、第1発明〜第5発明の効果に加え、偏平形状の粒子
の種々の作用が、第6発明と同等あるいはそれ以上に典
型的かつ効率的に発現され、電場に対する応答速度を液
晶単独のものと同等レベルに保つことが可能となり、更
に、光散乱状態および光透過状態についてのメモリー性
が特に優れる。
【0059】
【発明の実施の形態】次に、第1発明〜第7発明の実施
の形態について説明する。
【0060】(液晶の実施の形態)本願各発明の液晶組
成物は、その組成分として、電場応答性で、かつ電場の
周波数領域に対応して正の誘電異方性または負の誘電異
方性を選択的に示す液晶分子を主成分とする液晶、即ち
2周波駆動用の液晶を含む。このような液晶分子の代表
例として、例えば「化1」〜「化6」に示すものがあ
る。
【0061】
【化1】
【0062】
【化2】
【0063】
【化3】
【0064】
【化4】
【0065】
【化5】
【0066】
【化6】
【0067】液晶分子の相については、ネマチック性ま
たはコレステリック性のものが、電場応答性が高いとい
う理由から好ましいが、スメクチック性のものも、所要
の電場応答性を示す限りにおいて使用可能である。液晶
は1種類のものを単独で用いても良いが、2種類以上の
液晶の混合物を用いても良い。一般的には、種々の性質
を満足する液晶を得るために液晶の混合物を用いること
が好ましい。上記の液晶のうち、液晶分子が低分子量の
分子であるものを用いると、その電場応答速度が高くな
り、ひいては電場応答のための閾値電圧を低く設定でき
る、という理由から、より好ましい。ここでいう「低分
子量」とは、液晶分子の化学構造に応じて異なるが、例
えば、分子量が1,000以下のものをいう。このよう
な液晶分子の例として、前記「化1」〜「化6」、およ
び「化7」〜「化24」に列挙したものを挙げることが
できる。但し、液晶分子が低分子量の分子でなくても使
用可能であることは言うまでもない。
【0068】
【化7】
【0069】
【化8】
【0070】
【化9】
【0071】
【化10】
【0072】
【化11】
【0073】
【化12】
【0074】
【化13】
【0075】
【化14】
【0076】
【化15】
【0077】
【化16】
【0078】
【化17】
【0079】
【化18】
【0080】
【化19】
【0081】
【化20】
【0082】
【化21】
【0083】
【化22】
【0084】
【化23】
【0085】
【化24】
【0086】(偏平形状の粒子の実施の形態)本願発明
における偏平形状の粒子の「偏平」とは、粒子のアスペ
クト比がある程度以上大きいことを言い、液晶組成物中
に効率的にセル構造のドメインを形成するために、一般
的にはアスペクト比が2以上、より好ましくは5以上で
あることが望ましい。粒子の形状は、板状のものに限ら
ず、棒状あるいは針状であっても良い。
【0087】偏平形状の粒子を構成する材料については
限定しない。但し、この偏平形状の粒子が電場により自
ら配向変化を起こす粒子である場合には、その配向変化
が明瞭・迅速に起こり、これによる前記の作用・効果が
明瞭に生起するという理由から、より好ましい。
【0088】偏平形状の粒子の好ましい例として、層状
粘土鉱物、層状有機ケイ素ポリマー、酸化チタン、アル
ミナホワイト(水不溶性塩基性硫酸アルミニウム)、炭
酸カルシウム、薄片状酸化亜鉛、鱗片状アルミニウム
粉、紺青、ヘマタイト酸化物、各種セラミックスの板状
結晶、グラファイト等が挙げられる。更に、有機物結晶
や有機物の金属錯体等も使用できる。なお、電場により
自ら配向変化を起こさない粒子も、本願発明において使
用することができる。電場応答性の小さい、あるいは殆
どない粒子の例として、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機ポリマーより
構成される粒子が挙げられる。
【0089】一方、液晶組成物の応答速度を液晶そのも
のの応答速度と同等に保つためには、偏平形状の粒子は
液晶分子と界面を通してのみ相互作用し、液晶の内部粘
性に殆ど影響を与えないものであることが好ましい。
【0090】以上の要求を考慮した時、偏平形状の粒子
として用いる材料としては、層状粘土鉱物あるいは層状
有機ケイ素ポリマーが最も好ましい。層状粘土鉱物とし
ては、天然のあるいは合成されたモンモリロナイト、サ
ポナイト、マイカ、ヘクトライト等を用いることができ
るが、とりわけ、液晶中に比較的分散し易いという理由
から、モンモリロナイトが代表的である。
【0091】層状有機ケイ素ポリマーとは、無機層状高
分子に有機基が共有結合したものであり、更に詳しく
は、次のような構成を有するものである。
【0092】即ち、層状有機ケイ素ポリマーには、8面
体シートの両側に4面体シートが形成されたいわゆる
2:1型構造のものと、8面体シートの片側に4面体シ
ートが形成されたいわゆる1:1型構造のものとがあ
る。液晶との親和性に関しては、層状構造体の表裏の両
面に有機基が共有結合することとなる2:1型構造の方
が、相対的により望ましい。
【0093】図4に、2:1型構造の層状有機ケイ素ポ
リマーについて部分構造を示す。Mg、Al、Ni、C
o、Cu、Mn、Fe、Li、V、Zrのうちの1種ま
たは2種以上が選択的に用いられる金属原子1を中心原
子として、これをとり囲む8面体の各頂点に酸素原子が
位置する8面体構造が形成され、かつ、この8面体構造
が隣りあう8面体構造との間で境界部の酸素原子を共有
して2次元方向に連続的に配列することにより、8面体
シート2が構成されている。
【0094】8面体シート2の両側には、ケイ素原子3
(その一部または全部がAl、Fe、GeまたはPの原
子で置換されることがある。)を中心原子として、これ
をとり囲む4面体の各頂点に酸素原子が位置する4面体
構造が形成され、かつ、この4面体構造が隣りあう4面
体構造との間で境界部の酸素原子を共有して2次元方向
に連続的に配列することにより、4面体シート4が構成
されている。4面体構造において、8面体シートと接す
る頂点の酸素原子は8面体シートの8面体構造と共有さ
れている。
【0095】4面体シートの中心原子であるケイ素(あ
るいはこれに置換した原子)は、4面体構造における前
記した8面体シートと接する頂点以外の3頂点のうち1
〜3個の頂点の酸素原子に置換した有機基Rと共有結合
している。有機基Rは4面体シートの外側へ突出してい
る。但し、後述の製造プロセス上の操作により、有機基
Rと共有結合していない中心原子(4面体の各頂点に酸
素原子が位置する中心原子)を設定することもできる。
従って、中心原子の有機基Rとの結合割合を自由に設計
して、層状有機ケイ素ポリマーの有機化の度合いを自由
に制御することができる。そして、層状有機ケイ素ポリ
マーの表面全面を、隙間なく、あるいは必要な程度に有
機化して、液晶に対する高度の、あるいは必要な程度の
親和性を持たせることは容易である。
【0096】上記の有機基Rの種類には限定がない。そ
の一例として、炭素数1〜50の脂肪族や芳香族の炭化
水素基がある。他の一例として、液晶との親和性を考慮
し、シアノビフェニル基や芳香族エステル基等のいわゆ
る液晶基を用いても良い。有機基Rは、液晶分子と反応
して液晶の性質を損なわない限りにおいて、任意の官能
基を備えていても良い。
【0097】層状有機ケイ素ポリマーは、下記のa)お
よびb)、更に必要に応じてc)を、d)の液中に溶解
または分散させ、更にアルカリを加えてpHを弱アルカ
リ性に調整し、そのまま直ちに、あるいはエージングを
経て合成する。なお、a)についてはその一部または全
部をAl、Fe、GeまたはPを含むオルガノ金属アル
コキシドに、c)についてはその一部または全部をA
l、Fe、GeまたはPを含む金属アルコキシドに、そ
れぞれ代えることもでき、これらの場合には、4面体構
造の中心原子たるSiの一部または全部がAl、Fe、
GeまたはPの原子に置換された形になる。 a)少なくとも一のアルコキシ基と、少なくとも一の有
機基とを有するオルガノアルコキシシラン。 b)Mg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、L
i、V、Zrのうち少なくとも1種の金属の無機塩、有
機塩あるいはアルコキシド。 c)少なくとも一のアルコキシ基を有するシリコンアル
コキシド。 d)無機または有機の1種類の極性溶媒、あるいはその
2種類以上の極性溶媒の混合溶媒。
【0098】a)のオルガノアルコキシシランは、層状
有機ケイ素ポリマーにおける4面体シートの中心原子と
有機基とを供給するものであり、少なくとも一のアルコ
キシ基(4面体シートの中心原子であるケイ素が8面体
シートと結合するために必要である。)と、少なくとも
一の有機基とを有するものをいう。従って、アルコキシ
基3:有機基1の比率のものから、アルコキシ基1:有
機基3の比率のものまで使用できる。
【0099】b)の金属の無機塩、有機塩あるいはアル
コキシドは、層状有機ケイ素ポリマーにおける8面体シ
ートの中心原子を供給するものであり、金属の種類とし
てはMg、Al、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、L
i、V、Zrのうち少なくとも1種類または2種類以上
が用いられる。そしてこれらの金属と塩を形成すべき無
機酸あるいは有機酸の種類は限定されない。これらの金
属の一部のものは、本発明の実施過程において、4面体
シートの中心原子であるケイ素と置換することがある。
【0100】c)のシリコンアルコキシドは、層状有機
ケイ素ポリマーにおける有機基の含量を調整するため
に、必要に応じてa)のオルガノアルコキシシランと併
用するものであり、少なくとも一のアルコキシ基を有
し、かつ有機基を有しないものをいう。従って、アルコ
キシ基を1個有するものから、4個有するものまで使用
できる。
【0101】a)あるいはa)及びc)と、b)との使
用量の比率を選択することにより、前記2:1型あるい
は1:1型の層状有機ケイ素ポリマーを選択的に製造す
ることができる。要するに、8面体シートの中心原子と
なる金属原子と、4面体シートの中心原子となるケイ素
原子との当量比の問題である。例えば、金属原子:ケイ
素原子が1:0.5〜1:1程度の比率では1:1型の
層状有機ケイ素ポリマーが、また、金属原子:ケイ素原
子が1:2〜3:4程度の比率では2:1型の層状有機
ケイ素ポリマーが優先的に生成する。
【0102】d)の溶媒は、無機極性溶媒としての水、
あるいは有機極性溶媒としてのアルコール、アセトン、
有機酸、無機酸等のうちの1種類またはこれらの2種類
以上の混合溶媒である。
【0103】a)およびb)、更に必要に応じてc)
は、d)の溶媒に必ずしも完全に溶解する必要はなく、
ある程度の分散状態であっても足りる。かかる溶解液ま
たは分散液に加えるアルカリは、その種類を問わない。
【0104】アルカリ添加によって調整される弱アルカ
リ性のpHとは、原料系の選択等の要因により一律には
規定できないが、例えばpH8〜10程度をいう。要す
るに層状有機ケイ素ポリマーとしての結晶化、即ちゲル
化が希望する程度以上の速度で起こるpHであり、かつ
有機基が損なわれるような強アルカリ性でなければ良
い。上記のゲル化プロセスは室温程度の温度でも十分に
起こるが、有機基を損なわない程度の一定の高い温度条
件下でゲル化させても良い。層状有機ケイ素ポリマーの
結晶化の度合いを意図的に低くして(一定の限度で非晶
質化して)、その粒子としての光散乱能を抑えることも
可能である。そのための手段として、合成時のpHをや
やアルカリ側にシフトさせること、ゲル化プロセスの温
度や時間を調節すること、溶媒中の原料濃度を調節する
こと、8面体の中心原子の選択、等がある。
【0105】ゲル化プロセスは、原料系の選択や、反応
条件次第で、直ちに完了する場合もあり、ある程度(例
えば1〜2日間程度)のエージングを要する場合もあ
る。得られた結晶状の層状有機ケイ素ポリマーは、一旦
溶媒を排除して乾燥粉末として回収しても良く、溶媒を
排除しないままで液晶との複合化に用いても良い。
【0106】層状有機ケイ素ポリマーを液晶と複合化す
るに当たっては、両者を単に混合すれば足りる。その
際、層状有機ケイ素ポリマーは溶媒によって膨潤されて
いることが、その良分散のために望ましい。液晶と層状
有機ケイ素ポリマーとを共通溶媒を利用して混合する
と、両者がより均一に混合される。そして、これらの溶
媒としては揮発性のものを使用して、混合後に溶媒を揮
発させた方が良い。
【0107】偏平形状の粒子の粒径は、0.1〜20μ
m程度が適当である。粒径がこの範囲より小さいと、液
晶組成物中のドメインを有効に形成させることができな
い、という不具合がある。粒径がこの範囲より大きい
と、調光材料やそれを用いたデバイスを構成した場合に
液晶組成物の不均一性が目立ち、外観上の不具合を生
じ、また、デバイスとして数十ミクロンメーターのセル
ギャップを有するセルを構成した場合に物理的に配向が
不十分になる恐れがある。特に好ましい粒径の範囲は
0.2〜5μmである。層状粘土鉱物あるいは層状有機
ケイ素ポリマーをこれらの適当な粒径の範囲で調製する
ことは容易である。
【0108】偏平形状の粒子は、液晶のドメインを有効
に形成させる程度の密度に分散していることが好まし
い。一方、偏平形状の粒子の密度が高すぎて、互いにそ
の配向の変化を束縛する程になるのも好ましくない。こ
れらの要求に同時に答える密度は、液晶の種類あるいは
偏平形状の粒子の種類やサイズ等に応じて異なり、一律
に規定することは困難であるが、一般的には、液晶10
0重量部に対し偏平形状の粒子(有機化された粒子にお
いては、有機化剤を除いた、粒子の正味で)0.6〜1
0重量部を分散させるのが望ましい。偏平形状の粒子が
層状粘土鉱物あるいは層状有機ケイ素ポリマーである場
合にも、この範囲が当てはまる。
【0109】偏平形状の粒子の液晶中における分散状態
として、かならずしも個々の粒子が完全に分散した状態
を要求されるものではなく、粒子の一部が数個〜数十個
凝集していても、全体として偏平形状の粒子の前記作用
・効果が奏される程度に分散していれば足りる。例え
ば、層状粘土鉱物は、液晶中での分散状態において、そ
の一部は往々にして数十の粒子個体(単位層)が重なっ
た状態で存在するが、それでも十分に偏平形状の粒子の
前記作用・効果が奏される。
【0110】このような分散状態を維持するため、偏平
形状の粒子には液晶との親和性が要求される。偏平形状
の粒子が、例えば一部の有機物結晶や有機物の金属錯体
のように、もともと液晶との親和性を有する材料から成
っている場合は、そのまま用いれば良い。しかし、偏平
形状の粒子が、例えば層状粘土鉱物の如き無機物からな
る粒子のように、液晶との親和性を有しない材料から成
っている場合には、液晶との親和性を持たせるための処
理が必要となる。このような処理の例として、一般的に
は粒子の表面に有機物を吸着させたり結合させたりする
処理がある。
【0111】特に偏平形状の粒子が層状粘土鉱物である
場合には、これに液晶との親和性を持たせるために、イ
オン交換を行うことが有効である。即ち、層状粘土鉱物
の層間にはアルカリ金属イオンが存在するので、これを
液晶分子と親和性のある有機オニウムイオンや、液晶基
を有するオニウムイオンと交換(いわゆる、有機化)す
ることにより液晶との親和性を持たせることができる。
【0112】上記オニウムイオンの種類は、液晶分子と
親和性の優れたものが良いから、使用する液晶分子の種
類に応じて最適なものが選択されるが、例えばアルキル
アンモニウムイオン等が代表的である。なお、有機オニ
ウムイオンの選択により、層状粘土鉱物の表面の性質
や、電気的、光学的性質、分散性、電場に対する応答性
等を種々に制御することができる、という利点がある。
【0113】液晶と、これに対する親和性を有する偏平
形状の粒子との組成物を調製するに当たっては、両者を
単に混合すれば足りる。但し、共通溶媒を利用して両者
を均一に混合した後、共通溶媒を適当な手段で除去する
と、より均一に混合される。液晶と層状粘土鉱物との組
成物を調製するに当たっても、同じことが言える。
【0114】(二色性色素の実施の形態)本願発明にお
いて使用する二色性色素としては、スペクトル変化がそ
の用途に適したものであれば、いずれのものでも用いる
ことができ、その分子形状や結晶形状についても特段の
限定はないが、前記偏平形状の粒子の場合と同じ理由か
ら、棒状等のある程度以上のアスペクト比を持ったもの
が、より望ましい。
【0115】二色性色素の例として、「化25」〜「化
44」に示すアゾ系二色性色素や、「化45」〜「化4
8」に示すアゾメチン系二色性色素、「化49」に示す
スチリル系二色性色素、「化50」〜「化53」に示す
アントラキノン系二色性色素、「化54」に示すテトラ
ジン系二色性色素、「化55」に示すメロシアニン系二
色性色素等が挙げられる。
【0116】
【化25】
【0117】
【化26】
【0118】
【化27】
【0119】
【化28】
【0120】
【化29】
【0121】
【化30】
【0122】
【化31】
【0123】
【化32】
【0124】
【化33】
【0125】
【化34】
【0126】
【化35】
【0127】
【化36】
【0128】
【化37】
【0129】
【化38】
【0130】
【化39】
【0131】
【化40】
【0132】
【化41】
【0133】
【化42】
【0134】
【化43】
【0135】
【化44】
【0136】
【化45】
【0137】
【化46】
【0138】
【化47】
【0139】
【化48】
【0140】
【化49】
【0141】
【化50】
【0142】
【化51】
【0143】
【化52】
【0144】
【化53】
【0145】
【化54】
【0146】
【化55】
【0147】液晶中に二色性色素を含ませる態様に関し
ては、液晶との相溶性のある二色性色素については、液
晶中に溶解させるのが代表的である。
【0148】しかし、二色性色素に液晶との相溶性があ
るか否かに関わらず、これを偏平形状の粒子に吸着させ
たり、偏平形状の粒子が層状粘土鉱物である場合にはオ
ニウム基を有する二色性色素をイオン交換により層状粘
土鉱物の層間にインターカレートさせたりすることも有
効な態様であり得る。これらの場合には、二色性色素の
配向は偏平形状の粒子の配向あるいは層状粘土鉱物の配
向によって規制されるので、二色性色素が偏平形状の粒
子あるいは層状粘土鉱物の長軸方向に対して平行若しく
はほぼ平行に吸着あるいはインターカレートされている
ことが要求される。
【0149】液晶中に二色性色素を含ませるための上記
三つの態様は、そのいずれか一の態様のみが選択的に行
われていても良く、そのいずれか二以上の態様が同時に
行われていても良い。
【0150】(イオン成分についての実施の形態)DS
モードにおいて、イオン成分が重要な働きをしているも
のと考えられる。更に、イオン成分の濃度によってはD
Sモードにおける駆動電圧を低減できる場合もあり、好
ましい。適正なイオン成分の濃度は、液晶あるいは偏平
形状の粒子の種類に応じて変わるので、一律には定めが
たい。しかし、一般的には、液晶に対して0.0000
1重量%〜0.1重量%程度が好ましい。
【0151】イオン成分の要求濃度は、上記のように僅
かであるから、デバイスのセルや、液晶、偏平形状の粒
子に不純物として含まれるイオン成分のみで足りてしま
うこともある。もちろん、意図的にイオン成分を添加し
ても良い。
【0152】イオン成分の濃度が過大であると、イオン
成分の結晶が析出したり、電流が流れ過ぎて発熱した
り、ひいてはデバイスの耐久性を低下させたりする。逆
に、イオン成分の濃度が過少であると、必要な程度のD
S現象を発現しなかったり、DSモードにおける駆動電
圧の低下効果を十分に享受できなかったりする。
【0153】イオン成分の種類には、原則として制約が
ない。代表的なイオン成分として、有機塩、金属塩、ハ
ロゲン等を用いることができる。有機塩としては、例え
ばアンモニウム塩が考えられる。特に、(R4 )N−X
で表される四級アンモニウム塩が代表的である。前記の
Rは炭素数1〜30の直鎖状、分岐状、飽和あるいは不
飽和の炭化水素を表し、4個のRはそれぞれ同一でも、
相違していても良い。Xは、ヨウ素,臭素,塩素,フッ
素のハロゲン原子あるいはその他の負イオンを表す。X
がハロゲンである場合、これは液晶分子と錯体を形成
し、液晶組成物中でイオン成分となる。
【0154】(その他の組成分についての実施の形態)
本願発明の液晶組成物については、上記の液晶、偏平形
状の粒子、イオン成分、二色性色素の他、本願発明の目
的を阻害しない限りにおいて、公知の液晶あるいは液晶
組成物に含まれることがある任意の組成分を公知の方法
に従って含ませることができる。そのような組成分の例
として、安定化剤等の液晶改質剤、増粘剤や粘度低下剤
等の粘度調整剤、有機オニウム塩等を挙げることができ
る。
【0155】〔液晶組成物の駆動方法の形態〕図1にお
いて、低周波領域1の電圧を印加して液晶組成物を光透
過状態とするに当たっては、液晶の誘電異方性の大きさ
が0.5以上となるような周波数領域の所定電圧の電場
を印加することが好ましい。誘電異方性の大きさが0.
5未満であると、応答速度がかなり低下したり、DSモ
ードにおいて十分な透明状態(光透過状態)を実現でき
なかったりする恐れがある。一例として、チッソ化学製
の液晶であるLIXSON DF−02XXを用いた場
合の適正な電場周波数は30〜500Hzであった。
【0156】図5に、上記LIXSON DF−02X
XのΔεの周波数依存性を示す。図5の縦軸は誘電異方
性を数値で示し、横軸は印加電場の周波数(Hz)を示
す。図中、白抜きの丸記号でプロットした曲線は分子軸
方向の誘電率を、白抜きの四角記号でプロットした曲線
は分子軸と直角方向の誘電率を、白抜きの三角記号でプ
ロットした曲線は誘電率異方性を、それぞれ示す。
【0157】次に、図1において、低周波領域1の電圧
を印加して液晶組成物を光透過状態とするにあたって
は、液晶組成物が通常の場合には必要な濃度のイオン成
分を含んでいることを前提として、電場の制御は電界モ
ード、DSモードのいずれによって行なっても良い。一
般的には、DSモードの方が光散乱状態において液晶分
子の3次元的なランダム配向構造をとるため、2次元的
なランダム配向構造をとる電界モードよりも光の散乱強
度が大きい傾向にあり、光散乱型素子としての使用に、
より好適である。一方、電界モードでは、液晶組成物が
2色性色素を含む場合において、高周波領域2の電圧を
印加した光散乱状態では2色性色素も電場の印加方向に
対して垂直な配向をとり、その状態でメモリーされるた
め、2色性色素の光吸収効果が最大限に生かされる。よ
ってこの場合、2色性色素が添加された液晶組成物を光
散乱−光吸収型素子として使用するのに、より好適であ
る。
【0158】DSモードを選択するに当たっては、DS
領域3において、誘電異方性の正および負の絶対値が比
較的小さな領域の周波数での、所定電圧の電場を印加す
るのが好ましい。具体的には、安定なDS現象を発現さ
せるために誘電異方性の値が+0.5〜−1.0である
領域が好ましいが、これ以外の領域でも安定なDS現象
を発現する場合がある。これらの領域に対応する周波数
は、液晶の種類によって異なるが、前記LIXSON
DF−02XXを用いた場合、室温にて、およそ600
〜3,000Hzの周波数が適正であった。
【0159】電界モードを選択するに当たっては、液晶
の誘電異方性が比較的大きな負の値、例えば−1.0以
下となるような周波数領域の所定電圧の電場を印加する
ことが好ましい。これに対応する具体的な周波数は、液
晶の種類によって異なるが、前記LIXSON DF−
02XXを用いた場合、室温にて、およそ3,000H
z以上の周波数が適正であった。
【0160】〔液晶組成物の利用の形態〕本願発明の液
晶組成物をいかなる目的で、いかなる用途に、いかなる
デバイスを構成して用いるか、は全く自由である。
【0161】但し、本願発明の液晶組成物を光散乱型調
光材料として用いる場合の一つの利用例として、ガラス
製あるいは合成樹脂製の透明フィルム上に酸化インジウ
ム錫(ITO)等の透明電極を設けた1対の基板を準備
し、この1対の基板をスペーサを介して対向させ、その
間に液晶組成物を封入してセルを構成することができ
る。また、両側に透明電極を設け、かつ、内部に多数の
空胞を有する透明な高分子材料マトリクスの前記空胞に
液晶組成物を封入して、多数のセルを同時に構成するこ
ともできる。これらのセルあるいはセルを内包するマト
リクスには、温度を制御する手段や、振動、衝撃等の剪
断力を与える手段を付設しても良い。
【0162】
【実施例】次に本願発明の実施例について説明する。
【0163】(実施例1)有機化モンモリロナイトの調製 山形県産のベントナイトから得られた高純度Na−モン
モリロナイト2.00g(イオン交換容量は119ミリ
当量/100g)を70mlの水に分散した。
【0164】一方、4−(11−アミノウンデシルオキ
シ)−4’−シアノビフェニルをエタノール15mlに
溶解し、この溶液に濃塩酸0.281gを加えアンモニ
ウム塩を調整した。ここでアンモニウム塩が結晶化し、
沈殿を生じたため、水及びエタノールを留去し、再度エ
タノール−水(40ml:10ml)混合溶媒に溶解さ
せた。
【0165】前記のNa−モンモリロナイト−水分散液
を50°Cまで加熱して強く攪拌しながら、上記のアン
モニウム塩溶液を徐々に加えたところ、凝集物が生じ
た。そのまま室温にて3時間程度攪拌した後、ろ過によ
り凝集物を集め、エタノール及び熱水にて洗浄した。さ
らに熱水洗浄をした後、凍結乾燥した。さらに80°C
で5時間乾燥して粉末状のシアノビフェニルオキシウン
デシルアンモニウムで有機化したモンモリロナイト(以
下、C11−BPCN−Mと言う。)を得た。
【0166】液晶とC11−BPCN−Mの複合化 前記「化1」においてn=4、m=4である液晶と、
「化1」においてn=6、m=7である液晶とを等量混
合したネマチック性液晶(KLC)を準備し、これと、
前記のC11−BPCN−MとをDMAc(N,Nジメ
チルアセトアミド)にそれぞれ溶解あるいは分散させる
ことにより両者を混合した後、DMAcを真空加熱下に
留去して、第1発明の液晶組成物を調製した。C11−
BPCN−Mの添加量は、液晶組成物に対して、無機ベ
ースで2重量%となるようにした。
【0167】偏光顕微鏡観察 オリンパス光学工業製の偏光顕微鏡Model BHS
−Pを用い、等方状態にある上記液晶組成物をクロスニ
コル下に観察することにより、液晶組成物中のC11−
BPCN−Mのおよその分散粒径を測定した。その結果
を表1に示す。
【0168】
【表1】
【0169】液晶セルの作製 図6に示すように、本実施例の液晶組成物8を、径12
μmのポリマービーズ9をスペーサーとして、1対のI
TO付きの透明ガラス基板10間に圧着状態で封入し
て、液晶セル11とした。
【0170】光透過量の測定 光透過量の測定のために構成した装置系の模式図を図7
に示す。図7の装置において、光学系には偏光顕微鏡1
2(オリンパス光学工業製のModel BHS−P偏
光顕微鏡を偏光子および検光子をとり外して使用)を用
い、光源13としては偏光顕微鏡12に付属しているハ
ロゲンランプを使用した。光透過量はフォトマル14
(浜松ホトニクス製R−1547の光電子増倍管)によ
って検出した。
【0171】フォトマル14からの電流出力は200k
Ωの抵抗を直列につなぐことにより電圧に変換し、ペン
レコーダーによって読み取った。ここで、各周波数の電
場を印加した時、及び印加電圧を解除した時(メモリー
状態時)の光透過量(%)は、次のように計算して求め
た。即ち、それぞれ印加時あるいは解除時から9秒後に
おける上記のフォトマル出力値(フォトマルA値)を読
み取り、一方で、水を封入したブランクセルについても
上記と同一条件の時におけるフォトマル出力値(フォト
マルB値)を読み取り、フォトマルA値のフォトマルB
値に対するパーセンテージ、即ち、 光透過量(%)=100×フォトマルA値/フォトマルB値・・・式(1) とした。
【0172】低周波領域1の電場の印加には、商用電源
(100V−60Hz)をスライダックスを通して電圧
を調整することにより使用した。また、高周波領域2の
電場の印加には、NF ELECTRONIC INS
TRUMENTS社製のPOWER AMPLIFIE
R MODEL S−4750を用いた。ここで印加電
圧の波形は矩形波とした。
【0173】液晶セル11及びブランクセルの電気光学
応答は以下のようにして評価した。 (1)初期状態(図2の状態a)にあるセルに、100
V−60Hz(サイン波)の低周波電圧を印加して図2
の状態bとし、数秒後に電圧印加を解除して図2の状態
c−第1メモリー状態とした。 (2)上記メモリー状態にあるセルに、100V−20
KHz(矩形波)の高周波を印加して図2の状態dと
し、数秒後に電圧印加を解除して図2の状態e−第2メ
モリー状態とした。
【0174】このようにして測定した液晶セル11の光
透過量の変化を図8に示す。図8における各状態a〜e
の光透過量につき、第1メモリー状態(状態c)でのメ
モリー性能を、 保持率M1 =(c−a)×100/(b−a)・・・式(2) で表し、第2メモリー状態(状態e)でのメモリー性能
を、 保持率M2 =(c−e)×100/(c−d)・・・式(3) で表して、それぞれ表1に示した。
【0175】表1および図8より明らかなように、液晶
セル11は光散乱状態と光透過状態との間の切替えが単
なるスイッチングによって行われ、かつメモリー性能を
表す保持率M1 、M2 も高い値を示す。そして電場印加
時の応答速度はいずれの場合も100ms以内であり、
高速のスイッチングが可能であった。
【0176】(実施例2)実施例1と同じ混合液晶0.
537gに対して、C11−BPCN−M0.0073
g(無機含量が液晶組成物全重量に対して0.96重量
%)を用いた以外は実施例1と同一の実験を行った。そ
の実験結果を表1に示す。
【0177】(比較例1)実施例1と同じ混合液晶0.
505gに対して、C11−BPCN−M0.0035
g(無機含量が液晶組成物全重量に対して0.50重量
%)を用いた以外は実施例1と同一の実験を行った。そ
の実験結果を表1に示す。
【0178】(実施例3)実施例1の液晶組成物に、前
記「化36」に示す2色性色素0.0050gを更に添
加した以外の点は実施例1と同一の実験を行った。その
実験結果を表1に示す。
【0179】(実施例4)液晶としてチッソ石油化学製
のLIXON DF−01XXを用いて、実施例1と同
じ無機含量となるように調製した点以外は実施例1と同
一の実験を行った。その実験結果を表1に示す。
【0180】(実施例5)液晶としてチッソ石油化学製
のLIXON DF−02XXを用いて、実施例1と同
じ無機含量となるように調製した点以外は実施例1と同
一の実験を行った。その実験結果を表1に示す。
【0181】(実施例6)実施例1の液晶組成物に、更
にイオン成分としてn−テトラブチルアンモニウムブロ
マイドを0.0810mg加え、DSモードで駆動した
点以外は実施例1と同一の実験を行った。その実験結果
を表1に示す。
【0182】(実施例7)層状有機ケイ素ポリマーの合成 n−オクタデシルトリエトキシシラン(6g)と塩化マ
グネシウム・6水和物(3g)をエタノール(150m
l)に溶解した。ここに水酸化ナトリウム(1.7
g)、水(4g)を混合したエタノール溶液(100m
l)を加え室温で5時間攪拌した。析出した白色固体を
ろ過し、エタノールで2回、蒸留水で3回以上洗浄し、
塩化ナトリウム等の無機塩を除去した。これを一晩真空
乾燥することにより、白色粉末の層状有機ケイ素ポリマ
ーを得た。
【0183】液晶と層状有機ケイ素ポリマーとの複合化 超音波処理により層状有機ケイ素ポリマー(0.040
g)をトルエン(2g)に分散させた。この分散液に2
周波駆動用液晶(9.96g、チッソ石油化学製のLI
XON DF05−XX)、n−テトラブチルアンモニ
ウムブロマイド(0.02mg)を加え混合した。次い
でトルエンを真空下で留去して、第7発明の液晶組成物
を調製した。層状有機ケイ素ポリマーの添加量は、液晶
組成物に対して4wt%となるようにした。
【0184】上記の液晶組成物を用い、実施例1と同様
にして液晶セルを作製し、かつ実施例1と同様にして光
透過量の測定を行った。その結果、本実施例では、表2
に示すように、低周波電圧印加時の透明性が実施例1に
比較しても向上していた。更に電場を解除した後の光透
過量の減少が少なく、実施例1と比較してもメモリー性
が向上していた。
【0185】
【表2】
【0186】(実施例8)実施例7と同様に行い、但し
液晶と層状有機ケイ素ポリマーとの複合化において層状
有機ケイ素ポリマーの添加量を液晶組成物に対して5w
t%となるようにした点のみが相違する実施例を行っ
た。評価は実施例7とほぼ同等であった。
【0187】(比較例2)実施例1と同一の液晶のみを
含み、有機化した粘土を含まないものを液晶セルに充填
し、実施例1と同一の実験を行った。その実験結果を表
1に示す。
【0188】(比較例3)2周波駆動性の液晶ではなく
正の誘電異方性を示す液晶4−ペンチル−4’−シアノ
ビフェニル(K−15)を用いた以外の点は実施例1と
同一の実験を行った。その実験結果を表1に示す。
【0189】〔実施例および比較例の評価〕実施例1,
2,4,5および6に示すように、本発明の液晶組成物
は、セル充填後で電圧印加前の初期状態では不透明な光
散乱状態であり、光透過量が低いレベルにある。
【0190】そして、所定の低周波電圧を印加すること
により透明となって光透過量が増大し、更にその電圧印
加を解除した後も高い保持率で良好なメモリー性の下に
透明性が保たれる。
【0191】また、このメモリー状態に、電界モードで
の所定の高周波電圧を印加することにより、光散乱状態
となり、かつ、その印加電圧を解除しても高い保持率で
良好なメモリー性の下に光散乱状態が保たれる。
【0192】一方、実施例6では、DSモードでの電場
の制御を行っているが、その場合、メモリー状態の解除
時の光散乱強度は一層高いレベルにあり、同様に高い保
持率のままでこの光散乱状態が維持される。
【0193】しかし、比較例1に示すように、有機化粘
土の添加量が過少であると、十分な光散乱強度が発現せ
ず、初期状態において高い光透過量を示すと共に、第1
メモリー状態および第2メモリー状態のいずれにおいて
も十分なメモリー性を示さない。
【0194】次に、実施例3に示したように、2色性色
素を添加することにより視覚上のコントラストを強化す
ることができた。即ち、初期状態においては光散乱に加
え、2色性色素による光吸収効果があるため、着色の不
透明状態であった。ここに低周波電圧を印加すると、光
散乱状態から透明状態へ移行すると共に2色性色素によ
る着色が消失して無色透明となった。電界モードでの高
周波電圧印加時には光散乱が戻ると共に、着色の初期状
態と同様な状態となった。第1メモリー状態および第2
メモリー状態は安定していた。
【0195】比較例2に示すように、液晶に有機化粘土
鉱物を含まない場合には、光散乱効果は全く生じず、調
光することができなかった。
【0196】比較例3に示すように、正の誘電異方性を
示す液晶を用いた場合には、高周波電圧を印加してもメ
モリー状態を解除することはできなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】2周波駆動用液晶の誘電異方性を示す図であ
る。
【図2】液晶組成物の光透過量の変化を示す図である。
【図3】液晶組成物の光透過量の変化に対応する推定状
態図である。
【図4】層状有機ケイ素ポリマーの部分構造を示す図で
ある。
【図5】液晶の周波数依存性を示す図である。
【図6】試作した液晶セルを簡略化して示す図である。
【図7】実施例で用いた光透過量の測定系を簡略化して
示す図である。
【図8】実施例における光透過量変化の電場応答性の測
定例を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09K 19/60 C09K 19/60 Z G02F 1/13 500 G02F 1/13 500 (72)発明者 岡田 茜 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社 豊田中央研究所内 (72)発明者 谷 昌明 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社 豊田中央研究所内 (72)発明者 福嶋 喜章 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社 豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭53−70456(JP,A) 特開 昭61−57934(JP,A) 特開 平3−208015(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 19/02 - 19/60 G02F 1/13

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電場応答性で、かつ電場の周波数領域に
    対応して正の誘電異方性または負の誘電異方性を選択的
    に示す液晶分子を主成分とする液晶と、この液晶中に、
    液晶のドメインを有効に形成させる程度の密度に分散し
    た、液晶との親和性を示す偏平形状の粒子と、を組成分
    として含むことを特徴とする液晶組成物。
  2. 【請求項2】 電場応答性で、かつ電場の周波数領域に
    対応して正の誘電異方性または負の誘電異方性を選択的
    に示す液晶分子を主成分とする液晶と、この液晶中に、
    液晶のドメインを有効に形成させる程度の密度に分散し
    た、液晶との親和性を示す偏平形状の粒子と、イオン成
    分と、を組成分として含むことを特徴とする液晶組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記液晶組成物中に、更に二色性色素を
    組成分として含むことを特徴とする請求項1または2に
    記載の液晶組成物。
  4. 【請求項4】 前記液晶分子が低分子量の分子であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶組
    成物。
  5. 【請求項5】 前記偏平形状の粒子が電場応答性を示す
    粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の液晶組成物。
  6. 【請求項6】 前記偏平形状の粒子が有機化された層状
    粘土鉱物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の液晶組成物。
  7. 【請求項7】 前記偏平形状の粒子が、無機層状高分子
    に有機基が共有結合した層状有機ケイ素ポリマーである
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液晶
    組成物。
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