JP3447951B2 - 使い捨ての体液吸収性物品 - Google Patents

使い捨ての体液吸収性物品

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、使い捨ておむつ
や生理用ナプキン等の使い捨ての体液吸収性物品に関す
る。
【０００２】
【従来の技術】従来、この種体液吸収性物品の吸液性コ
アに高吸収性ポリマー粒子を使用することはよく知られ
ている。このポリマー粒子は、吸水するとゲル化して互
いに密着し、ブロックを形成することもよく知られてい
る。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】かかるブロックの存在
は、コア内部での体液の浸透・拡散を妨げるから、高吸
収性ポリマーを利用したにもかかわらず、コアの体液吸
収能力が著しく低下してしまうことがある。このような
傾向は、高吸収性ポリマー粒子の使用量が多くなるほ
ど、また、吸収速度が速くなるほど顕著になる。
【０００４】この発明は、コアにおける高吸収性ポリマ
ー粒子の含有量が比較的高い場合や、ポリマー粒子の吸
収速度が速い場合に、そのポリマー粒子をいかにして効
率よく利用するかということを解決課題にしている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、この発明が前提とするのは、透液性表面シートと不
透液性裏面シートとの間に吸液性コアが介在し、前記コ
アが高吸収性ポリマー粒子を含有する体液吸収性物品で
ある。
【０００６】かかる前提において、この発明が特徴とす
るところは、前記コアは、１００〜２００ｇ／ｍ２の粉
砕パルプと、２０〜４５ｇ／ｍ２の熱可塑性合成繊維
と、１２０〜４００ｇ／ｍ２の高吸収性ポリマー粒子と
を含有し；前記粉砕パルプと前記合成繊維と前記高吸収
性ポリマー粒子とは、混合されており；前記コアにおけ
る前記粉砕パルプと前記合成繊維の含有比率は、前記コ
アの前記表面シートから裏面シートへ向かう厚み方向に
おいて次第に低下し；前記ポリマー粒子が、下記測定法
においてＶ＝４０以上の初期吸水速度を有する第１ポリ
マー粒子２０〜１００ｇ／ｍ２と、Ｖ＝５〜２０の初期
吸水速度を有する第２ポリマー粒子１００〜３００ｇ／
ｍ２とで構成され；前記第１ポリマー粒子は、その全量
が前記コアの厚みの下方１／２の範囲にのみ分布し、前
記第２ポリマー粒子は、１００〜２００ｇ／ｍ２が前記
厚みの上方１／２の範囲に分布し、０〜１００ｇ／ｍ２
が前記厚みの下方１／２の範囲に分布し；前記第１ポリ
マー粒子は、前記コアの厚みの下方１／２の範囲におい
て該コアの下面とその近傍に集中的に分布し、吸水後に
膨潤して互いに密着して前記下面に広がるゲルブロック
層を形成することを特徴とする前記体液吸収性物品。 「初期吸水速度測定法」 ａ．２５０メッシュのナイロン布地でできた１００ｍｍ
×２００ｍｍの袋に約１ｇの高吸収性ポリマー粒子を入
れて秤量した後、０．９％生理食塩水に浸漬する。この
ときの袋全体の重量をＷ０とする。
【０００７】ｂ．浸漬時間１０秒および１０分後に袋を
取り出して１０分間空中に吊り下げて水切りをしてから
秤量する。浸漬時間１０秒後と１０分後の袋全体の重量
をＷ１，Ｗ２とする。
【０００８】ｃ．浸漬１０秒後の吸水量と１０分後の吸
水量との比を初期吸水速度Ｖとし、その値を次式によっ
て求める。
【０００９】Ｖ＝｛（Ｗ１−Ｗ０）／（Ｗ２−Ｗ０）｝
×１００
【００１０】この発明の好ましい実施の形態の一つにお
いて、前記熱可塑性合成繊維は、ポリエチレン／ポリプ
ロピレン／ポリエチレンからなる三層構造のラミネート
シートをスプリット加工して得られるスプリットヤーン
からなる。また、実施の形態の他の一つにおいて、前記
高吸収性ポリマー粒子は、水に１０分間浸漬した後の吸
水量が、該ポリマー粒子の重量の４０倍以上であるとと
もに該ポリマー粒子の飽和水分量の７０％以上である。
【００１１】
【発明の実施の形態】添付の図面を参照し、この発明に
係る使い捨ての体液吸収性物品の詳細を説明すると、以
下のとおりである。
【００１２】図１に部分破断斜視図で示された使い捨て
おむつ１は、使い捨ての体液吸収性物品の一例である。
おむつ１は透液性表面シート２と、不透液性裏面シート
３と、これら両シート間に介在する吸液性コア４とで構
成されている。表裏面シート２，３は、コア４の周囲か
ら側方へ延出する部分で重なり合い互いに接合してい
る。おむつ１の側縁部では、脚周り方向へ延びる弾性部
材１５が表裏面シート２，３の少なくとも一方の内面に
伸長状態で接合している。
【００１３】図２には、図１のＩＩ−ＩＩ線切断面が示
されている。図において、コア４は体液吸収性材料５を
ティシュペーパ６で被覆することにより形成されてい
る。吸収性材料５は、粉砕パルプ１１と熱可塑性合成繊
維１２と、高吸収性ポリマー粒子１３とで構成され、テ
ィシュペーパ６を除いた状態での厚みが０．７〜７ｍ
ｍ、より好ましくは１〜５ｍｍの範囲にある。
【００１４】粉砕パルプ１１は、坪量が１００〜２００
ｇ／ｍ２であって、コア４の厚み方向における含有量
（重量％）が、表面シート２から裏面シート３へ向かっ
て次第に減少している。
【００１５】熱可塑性合成繊維１２は、繊維１２どうし
や粉砕パルプ１１、高吸収性ポリマー粒子１３に溶着し
てコア４の形態を保持するためのもので、溶融温度の比
較的低い繊維が坪量２０〜４５ｇ／ｍ２の割合で粉砕パ
ルプ１１や高吸収性ポリマー粒子１３と混合された状態
で使用される。かかる繊維１２の一例には、ポリエチレ
ン／ポリプロピレン／ポリエチレンからなる三層構造の
ラミネートシートをスプリット加工して得られるスプリ
ットヤーンがある。
【００１６】高吸収性ポリマー粒子１３は、体液や水に
対して相対的に吸収速度の速い第１ポリマー粒子１３Ａ
と、相対的に吸収速度の遅い第２ポリマー粒子１３Ｂと
で構成されている。第１ポリマー粒子１３Ａは、後記吸
水量測定法において、４０以上より好ましくは５０以上
の初期吸水速度Ｖを有し、コア４の厚みの下方１／２の
範囲に２０〜１００ｇ／ｍ２の割合で分布し、より好ま
しくはコア４の吸収性材料５の下面に集中的に分布して
いる。かかる集中的な分布によって、体液吸収後の第１
ポリマー粒子１３Ａはゲル化して互いに密着し、コア４
の下面にシート状に広がるブロックを形成することがで
きる。第２ポリマー粒子１３Ｂは、５〜２０の初期吸水
測度Ｖを有し、コア４の厚みの上方１／２の範囲に１０
０〜２００ｇ／ｍ２、下方１／２の範囲に０〜１００ｇ
／ｍ２の割合で分布している。下方１／２の範囲では、
吸収速度の遅い第２ポリマー粒子１３Ｂが吸収速度の速
い第１ポリマー粒子１３Ａと混合されることによって、
第１ポリマー粒子１３Ａどうしによるゲルブロックの形
成を妨げ、体液が第１，２ポリマー粒子１３Ａ，１３Ｂ
間に混入することを容易にしている。 初期の吸水測度の測定法 第１，２ポリマー粒子１３Ａ，１３Ｂの初期吸水速度Ｖ
は、次のようにして測定される。 （ａ）試料のポリマー粒子約１ｇを２５０メッシュのナ
イロン布地からなる１００ｍｍ×２００ｍｍの袋に入れ
て、秤量し、その重量をＷ０とする。この袋に封を施し
た後、１リットルのビーカに入れた十分量の０．９％生
理食塩水に浸漬する。 （ｂ）浸漬時間１０秒後および１０分後に取り出した袋
を１０分間空中に吊り下げて水切りした後に秤量して、
それぞれの袋の重量をＷ１，Ｗ２とする。 （ｃ）初期吸水速度Ｖを次式によって算出する。
【００１７】Ｖ＝｛（Ｗ１−Ｗ０）／（Ｗ２−Ｗ０）｝
×１００ 算出されたＶは、浸漬１０分後の吸水量を１００とした
ときの、浸漬１０秒後の吸水量の比率である。この発明
では、浸漬１０分後に自重の４０倍以上の水を吸収する
ことができ、そのときの吸水量が飽和水分量の７０％以
上になるような高吸収性ポリマー粒子を使用する。かか
る粒子でＶの値が大きいということは、浸漬後１０秒間
での吸水量が多いということを意味している。
【００１８】このように構成されているおむつ１では、
体液がコア４の厚みの下方１／２に到達すると、第１ポ
リマー粒子１３Ａによって速やかに吸収保持される。第
１ポリマー粒子１３Ａがコア４の吸収性材料５の下面に
集中的に分布しているときには、体液を吸収した第１ポ
リマー粒子１３Ａどうしが密着して、その下面にシート
状に広がるゲルブロックを形成する。その後に上方から
下方へ移行してゲルブロックにまで到達した体液は、ゲ
ルブロックによってそれよりも下方への移行を阻止され
てゲルブロックの上方に滞留する。かかる体液は、吸収
速度の遅い第２ポリマー粒子１３Ｂに対して、それに吸
収されるのに十分な時間接触することができる。それゆ
え、コア４では、吸収性ポリマー粒子１３の含有量が比
較的多く、３５〜７５重量％程度に達するような場合で
も、急速な体液の吸収と、高吸収性ポリマー粒子１３の
全量を有効利用することによる高い吸収量とを実現する
ことができ、このようなコア４を使用した使い捨ておむ
つ１では漏れが少なくなる。 実施例と比較例 １．表１の特性を有する第１，２ポリマー粒子を使用し
て使い捨ておむつのコアを用意した。
【００１９】
【表１】 １０秒後吸水量 １０分後吸水量 初期吸水速度Ｖ (W１−W０)／P０ (W２−W０)／P０ ｛(W１−W０)／ (W２−W０)｝×100 第１ポリマー粒子 ４１．６ ６１．４ ６７．７ 第２ポリマー粒子 ７．７ ６５．９ １１．６ Ｐ０：浸漬前のポリマー粒子の重量 Ｗ０：浸漬前の袋全体の重量 Ｗ１：浸漬１０秒後の袋全体の重量 Ｗ２：浸漬１０分後の袋全体の重量 ２．コアの吸収性材料の構成を表２のとおりとした。
【００２０】
【表２】 実施例 比較例１ 比較例２ 粉砕パルプ １５０ １５０ １５０ （ｇ／ｍ２） スプリットヤーン ２３ ２３ ２３ （ｇ／ｍ２） 第１ポリマー粒子量 − ５０ ５０ （ｇ／ｍ２） 第２ポリマー粒子量 ２５０ ２００ ２００ （ｇ／ｍ２） 第１ポリマー粒子の分布 − 全体に均一 厚みの下方１／２ にのみ分布 第２ポリマー粒子の分布 全体に均一 コアの厚み（ｍｍ） ２．５ 大きさ（ｍｍ） １００×４００ ３．試験結果 各コアを使用して図１のおむつを作り、このおむつに人
工尿を８０ｍｌずつ１０分間隔で２回注ぎ、人工尿が吸
収されるまでの時間を測定した結果は、表３のとおりで
あった。
【００２１】
【表３】 実施例では、ポリマー粒子が効率よく利用されるので、
体液を繰り返し吸収しても高い吸収速度を維持している
ことがわかる。
【００２２】
【発明の効果】この発明に係る使い捨ての体液吸収性物
品では、吸液性コアの高吸収性ポリマー粒子を初期吸収
速度の異なる第１ポリマー粒子と第２ポリマー粒子とで
構成し、速度の速い第１ポリマー粒子をコアの厚みの下
方１／２の範囲、より好ましくは、コアの下面に集中的
に分布するようにしてある。速度の遅い第２ポリマー粒
子が、その下方１／２の範囲では第１ポリマー粒子と混
合状態にある。それゆえ、これら第１，２ポリマー粒子
は、コアの下面を除いて容易にはゲルブロックを形成す
ることがない。このようなコアは、吸収速度が速く、吸
収量も多いから、このコアを使用した体液吸収性物品
は、体液の漏れが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図１】使い捨て体液吸収性物品（おむつ）の部分破断
斜視図。
【図２】図１のＩＩ−ＩＩ切断面を示すおむつの部分
図。
【符号の説明】
１ 使い捨て体液吸収性物品（おむつ） ２ 表面シート ３ 裏面シート ４ コア １１ 粉砕パルプ １２ 熱可塑性合成繊維 １３ 高吸収性ポリマー粒子 １３Ａ 第１ポリマー粒子 １３Ｂ 第２ポリマー粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 孝明 香川県三豊郡豊浜町和田浜高須賀1531− ７ ユニ・チャーム株式会社開発本部内 (56)参考文献 特開 昭63−256701（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−283369（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−256701（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−283369（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−45703（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−149916（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−127728（ＪＰ，Ｕ) 特表 平８−511459（ＪＰ，Ａ) 特表 平７−506030（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A61F 13/15 - 13/84 A61F 5/44

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 透液性表面シートと不透液性裏面シート
    との間に吸液性コアが介在し、前記コアが高吸収性ポリ
    マー粒子を含有する使い捨ての体液吸収性物品であっ
    て、 前記コアは、１００〜２００ｇ／ｍ２の粉砕パルプと、
    ２０〜４５ｇ／ｍ２の熱可塑性合成繊維と、１２０〜４
    ００ｇ／ｍ２の高吸収性ポリマー粒子とを含有し；前記
    粉砕パルプと前記合成繊維と前記高吸収性ポリマー粒子
    とは、混合されており；前記コアにおける前記粉砕パル
    プと前記合成繊維の含有比率は、前記コアの前記表面シ
    ートから裏面シートへ向かう厚み方向において次第に低
    下し；前記ポリマー粒子が、下記測定法においてＶ＝４
    ０以上の初期吸水速度を有する第１ポリマー粒子２０〜
    １００ｇ／ｍ２と、Ｖ＝５〜２０の初期吸水速度を有す
    る第２ポリマー粒子１００〜３００ｇ／ｍ２とで構成さ
    れ；前記第１ポリマー粒子は、その全量が前記コアの厚
    みの下方１／２の範囲にのみ分布し、前記第２ポリマー
    粒子は、１００〜２００ｇ／ｍ２が前記厚みの上方１／
    ２の範囲に分布し、０〜１００ｇ／ｍ２が前記厚みの下
    方１／２の範囲に分布し； 前記第１ポリマー粒子は、前記コアの厚みの下方１／２
    の範囲において該コアの下面とその近傍に集中的に分布
    し、吸水後に膨潤して互いに密着して前記下面に広がる
    ゲルブロック層を形成することを特徴とする前記体液吸
    収性物品。 「初期吸水速度測定法」 ａ．２５０メッシュのナイロン布地でできた１００ｍｍ
    ×２００ｍｍの袋に約１ｇの高吸収性ポリマー粒子を入
    れて秤量した後、０．９％生理食塩水に浸漬する。この
    ときの袋全体の重量をＷ０とする。 ｂ．浸漬時間１０秒および１０分後に袋を取り出して，
    １０分間空中に吊り下げて水切りをしてから秤量する。
    浸漬時間１０秒後と１０分後の袋全体の重量をＷ１，Ｗ
    ２とする。 ｃ．浸漬１０秒後の吸水量と１０分後の吸水量との比を
    初期吸水速度Ｖとし、その値を次式によって求める。 Ｖ＝｛（Ｗ１−Ｗ０）／（Ｗ２−Ｗ０）｝×１００
  2. 【請求項２】 前記熱可塑性合成繊維は、ポリエチレン
    ／ポリプロピレン／ポリエチレンからなる三層構造のラ
    ミネートシートをスプリット加工して得られるスプリッ
    トヤーンからなる請求項１記載の体液吸収性物品。
  3. 【請求項３】 前記高吸収性ポリマー粒子は、水に１０
    分間浸漬した後の吸水量が、該ポリマー粒子の重量の４
    ０倍以上であるとともに該ポリマー粒子の飽和水分量の
    ７０％以上である請求項１または２記載の体液吸収性物
    品。
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