JP3445306B2 - ハーメチックコート光ファイバの製造方法 - Google Patents

ハーメチックコート光ファイバの製造方法

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JP3445306B2
JP3445306B2 JP08633893A JP8633893A JP3445306B2 JP 3445306 B2 JP3445306 B2 JP 3445306B2 JP 08633893 A JP08633893 A JP 08633893A JP 8633893 A JP8633893 A JP 8633893A JP 3445306 B2 JP3445306 B2 JP 3445306B2
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film
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    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C25/00Surface treatment of fibres or filaments made from glass, minerals or slags
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    • C03C25/12General methods of coating; Devices therefor
    • C03C25/22Deposition from the vapour phase
    • C03C25/223Deposition from the vapour phase by chemical vapour deposition or pyrolysis

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  • Surface Treatment Of Glass Fibres Or Filaments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハーメチックコート光
ファイバの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石英系光ファイバは水分の存在下では、
水とガラスとの反応によりクラックの成長が促進され、
破断に至ることがある。一般に疲労特性と呼ばれるもの
で、高湿熱環境では特に疲労特性の劣化を招く。また、
2 雰囲気では、H2 がガラス中に侵入し、通信波長帯
に吸収損失を発生させることが良く知られている。光フ
ァイバの外周には樹脂が被覆されているが、一般にはこ
れらの樹脂は、水、H2を容易に通すため、上記問題点
に対する解決策とはならない。
【0003】ここで、水、H2 と接触しやすい環境とし
ては海底ケーブルが考えられるが、このような場合に
は、上記問題点のため、水が侵入しないケーブル構造及
びH2の発生しにくい材料を使用しなければならない。
これらの問題を根本的に解決する方法としてはハーメチ
ックコート光ファイバが注目されている。ハーメチック
コート光ファイバは水、H2 の浸透を防ぐハーメチック
層をガラス表面に被覆したもので、通常の光ファイバに
比べ、外部環境からの水や水素等の侵入速度を遅くする
ことができる。ハーメチック用のコーティング材として
は、金属及び炭素材等の無機材料が一般的に用いられて
いる。無機材料の中でも特に炭素によるコーティングは
化学的安定性、組織の緻密性等の面で優れたものであ
る。
【0004】コーティング方法としては、特に次ぎの方
法が、成膜速度及び膜質の観点から優れたものとして知
られている。その方法とは、プリフォーム(母材)から
光ファイバ素線が線引炉によって線引きされた直後に、
線引炉直下に設けられた反応管に光ファイバを引込むと
共に原料ガスを導入して、ファイバ表面に炭素膜等を析
出させる化学気相析出法(CVD法)である。この方法
でファイバ表面に炭素膜等が析出するのは、光ファイバ
の有する熱によって原料ガスが反応するためである。
【0005】上述した方法においては、析出された膜の
特性を検査すること、即ち、均一で十分な膜厚及び膜質
を有しているか否かを知る必要がある。この膜の特性を
検査する技術としては次のものが開示されている。ま
ず、第1には、特開平3−245005号に示されてい
るように、光ファイバの側面の直角方向から光を当て、
その透過光強度からカーボン膜の膜厚を測定する方法
(以下、第1従来例という)である。そして、第2に
は、特開平3−131550号に示されているように、
高周波磁界中にカーボンコートされた光ファイバを導入
した際に生ずる渦電流を測定し、その出力値から膜のイ
ンピーダンスを測定する方法(以下、第2従来例とい
う)である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、光ファイバの
ハーメチックコートにおけるハーメチック性は主として
表面に析出したカーボン膜質に依存しているので、光フ
ァイバの製造過程において、膜質を測定する必要があ
る。即ち、膜厚が厚くても、カーボン層の緻密性が劣れ
ば、容易に、水、H2 が侵入することになるし、逆に、
カーボン層が緻密であっても、膜厚が薄ければやはり特
性が劣ることになる。膜厚とカーボン層の緻密性を合わ
せて膜質を評価する必要があるわけである。
【0007】しかし、第1従来例ではカーボン膜の膜厚
の測定しかすることができず、また、第2従来例では、
カーボン膜の電気的特性、主として導電性の測定しか行
うことができなかった。このため、従来の方法では膜質
を測定することができないので、光ファイバの全体にわ
たるカーボン膜の均一性を示すことができなかった。即
ち、従来の方法では光ファイバに析出された膜の特性を
十分に検査することができなかったといえる。
【0008】このことは例えば、第1従来例に係る方法
について言えば、測定した透過光量の測定値が一定で
も、水素試験を行った際の耐水素特性は図6に示したよ
うな変化を示し、透過光量の測定値と耐水素特性との良
い相関関係を得られないことから明らかに分かる。ま
た、第2従来例に係る方法でも、測定した渦電流と耐水
素特性との間に良い相関関係を得ることができなかった
ことからも分かる。
【0009】そこで、本発明は、上記問題点を解決した
光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に本発明は、線引炉により光ファイバ用母材を溶融し紡
糸することで線引きして、光ファイバ素線を形成する
1の工程と、光ファイバ素線を薄膜形成装置に設けられ
たハーメチックコーティング用反応容器に導入するとと
もに、ハーメチックコーティング用反応容器内に原料ガ
スを導入し、光ファイバ素線上に化学気相析出法により
導電性物質からなる薄膜被覆層を形成する第2の工程
と、薄膜被覆層の膜厚を光学的に測定するとともに、薄
膜被覆層の電気抵抗値を測定する第3の工程と薄膜被
覆層の膜厚と薄膜被覆層の電気抵抗値との比により薄膜
被覆層の膜質を評価する第4の工程とを有することを特
徴とする。なお、上記ハーメチックコーティング用反応
容器は、例えば、線引炉の後段に設けられたCVD炉の
炉心管である。薄膜被覆層には炭素が含まれていること
が望ましい。
【0011】また、薄膜被覆層が形成された光ファイバ
素線交流磁界中へ導入し、薄膜被覆層に生ずる渦電流
を測定することにより、薄膜被覆層の電気抵抗値を測定
することが望ましい。なお、上記交流磁界は、例えば、
コイルに交流電流を流すことにより発生させる。そし
て、交流磁界が発生しているコイルの中空部に上記光フ
ァイバ素線を通過させると薄膜被覆層に渦電流が生じ
る。更に、薄膜被覆層が形成された光ファイバ素線を電
磁波導波管中に導入して薄膜被覆層によって生じる電磁
波の誘電損失を測定することにより、薄膜被覆層の電気
抵抗値を測定することが望ましい。
【0012】さらに、膜質の評価結果に基づいて、薄膜
被覆層を形成する薄膜形成装置を制御することが望まし
い。
【0013】また、膜質の評価結果に基づいて、ハーメ
チックコーティング用反応容器内の光ファイバ素線の温
度、原料ガスのガス組成、原料ガスのガス流量、及び前
記ハーメチックコーティング用反応容器内のガス温度の
うちの少なくとも一つを制御することが望ましい。
【0014】なお、薄膜被覆層が形成された光ファイバ
素線にさらに樹脂膜を被覆する前に膜厚の測定と電気
抵抗値の測定とをおこなうものであってもよい。なお、
樹脂膜は、例えば、有機系樹脂膜である。
【0015】
【作用】上記の方法によれば、薄膜被覆層が形成された
光ファイバ素線における薄膜被覆層の膜厚を光学的に測
定するとともに、薄膜被覆層の電気抵抗値も測定する。
そして、膜厚と電気抵抗値との比により薄膜被覆層の膜
質を評価する。この場合、膜質を、薄膜被覆層の膜厚と
薄膜被覆層の緻密性とを合わせて評価することができ
る。なお、上記のように膜厚と電気抵抗値とから膜質を
評価できるのは、膜厚と電気抵抗値(インピーダンス)
との間には、次の式に示すような関係があると考えられ
るからである。
【0016】
【数1】
【0017】即ち、上記の式に基づいて薄膜被覆層の膜
質を評価しその評価結果に基づいて薄膜形成装置を制
御して薄膜被覆層を形成するので、良好な膜質の薄膜被
覆層を形成することができる。
【0018】この場合、膜質の評価結果に基づいて、ハ
ーメチックコーティング用反応容器内の光ファイバ素線
の温度、原料ガスのガス組成、原料ガスのガス流量、及
びハーメチックコーティング用反応容器内のガス温度の
うちの少なくとも一つを制御することで、より膜質の優
れた薄膜被覆層が形成されることになる。
【0019】なお、薄膜被覆層が形成された光ファイバ
素線にさらに樹脂膜を被覆する前に、膜厚の測定と電気
抵抗値の測定とをおこなうものであれば、樹脂膜が不透
明なものであっても、これに影響されることなく薄膜被
覆層の膜厚を測定することができ、また、樹脂膜が導電
性を有するものであっても、これとは無関係に薄膜被覆
層の電気抵抗値を測定することができる
【0020】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて説明する。なお、図面の説明において同一要素に
は同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】まず、本発明に係る光ファイバの製造方法
に用いる製造装置について説明する。 図1に示すよう
に、まず、線引炉21の炉心管22には光ファイバ用プ
リフォーム(以下、単に母材という)11が挿入されて
おり、母材11の先端部は、線引炉に設けられた加熱装
置23によって加熱、溶融されながら線引きされること
で光ファイバ素線12が作られる。
【0022】光ファイバ素線12は、薄膜形成装置であ
る熱CVD炉31の炉心管32に挿入される。炉心管3
2の上部には反応ガス導入口33が設けられており、反
応ガスがこの反応ガス導入口33から供給され、炉心管
32に設けられた加熱装置34によって熱分解されて、
光ファイバ素線12の表面にカーボン膜が析出して、光
ファイバ素線12の表面にはカーボン膜からなる薄膜被
覆層である導電性薄膜が形成される。このとき、図示し
ない熱CVD炉上下動装置によって熱CVD炉31を上
下させることにより、光ファイバ素線12の温度を調整
する。即ち、光ファイバ素線12自身の温度を利用する
ことで、表面にカーボン膜を気相成長させるのである。
光ファイバ素線12の温度調整は加熱装置を用いること
によっても行える。なお、反応後の廃棄ガスは、炉心管
32の下部に設けられた排気口35から排出される。こ
のとき本実施例では、反応ガスにエチレンを用いてい
る。なお、反応ガスとして用いられる物質は上記以外の
物であってもよく、例えば、メタン、ベンゼン等が用い
られる。特に導電性薄膜の材質は、光ファイバの表面に
堅固な導電性気密層の形成が可能で、かつ光ファイバに
悪影響を与えない物であれば特に限定されるものではな
く、また、上記の薄膜形成装置もその材質によって適切
な形式のものに選択することができる。なお、ここにい
うカーボンにはアモルファス(非結晶)カーボンや微細
結晶質カーボンが含まれる。表面に導電性薄膜がコーテ
ィングされた光ファイバ13は、熱CVD炉31を出た
後、透過率計測装置4を通過する。
【0023】図2に示すように、透過率計測装置4には
光源であるLED41が設けられており、LED41か
らの発生する光はコリメータレンズ42によって平行光
束α1 となる。この平行光束α1 は光ファイバ13と直
交して入射されるようになっている。なお、本実施例に
おいては平行拘束α1 は光ファイバ13と直交している
が、多少斜方向から入射するものであってもよい。平行
光束α1 のうち光ファイバ13に入射して屈折透過した
光束α2 は、第1の結像レンズ43によって平行光α3
に変換される。光ファイバ13がこの第1の結像レンズ
43の焦点をなす位置になるように、第1の結像レンズ
43は設けられている。平行光α3 は第2の結像レンズ
44に導入されて通過した後に、第2の結像レンズ44
の集光点に設けられた光検出器46に集光される。一
方、光ファイバを透過しない光束は第1の結像レンズ4
3を通過した後、集束光α4 となり、集光点に設けられ
た遮蔽板45によって遮蔽される。なお、平行光4の殆
どを第2の結像レンズ44に導くためには、遮蔽板45
の大きさは必要且つ十分な大きさに設定しなければなら
ない。上記の透過率計測装置4に設けられた光検出器4
6からの出力信号は、図1に示すようにコンピュータ1
0に入力される。
【0024】透過率計測装置4を通過した後、光ファイ
バ13は、渦電流測定装置5に設けられている検出コイ
ル51の中を通過する。検出コイル51は中空であり、
本実施例ではコイル内径500μmであって、その中を
通過する光ファイバ13が検出コイル51と接触しない
ように、検出コイルの中心と光ファイバの中心とは高精
度に芯出しがされている。また、渦電流測定装置5には
参照用コイル52が設けられており、参照用コイル52
は検出コイル51と同形、同大の空芯コイルであり、少
なくとも交流インピーダンスについついて同一の特性を
有している。検出コイル51及び参照用コイル52は、
本実施例では周波数200MHzの高周波電源53から
高周波電流を供給されるとともに、交流ブリッジ54の
出力は信号処理装置55に接続されている。信号処理装
置55からの出力信号は、コンピュータ10に入力され
ている。なお、高周波電源53、交流ブリッジ54及び
信号処理装置55はいずれも渦電流測定装置を構成する
要素である。
【0025】検出コイル51を通過した光ファイバ13
は、続いて外形測定器6において外形を測定される。続
いて、ダイス7aにおいて柔軟な樹脂がコーティングさ
れ、ダイス7bにおいて柔軟な樹脂に重ねて、硬質な樹
脂がコーティングされる。そして、硬化炉8においてU
V照射又は加熱による硬化処理を受ける。こうして完成
された光ファイバ14は、キャプスタン9を介して図示
しないドラムに巻き取られる。
【0026】なお、本実施例に係る製造装置では、導電
性薄膜が形成されている光ファイバに樹脂膜を被覆する
前に、透過光量の測定と、電気的特性の測定とをおこな
っている。このため、樹脂膜が不透明なものであって
も、これに影響されることなく導電性薄膜の透過光量を
測定することができ、また、樹脂膜が導電性を有する場
合であっても、これとは無関係に導電性薄膜の電気的特
性を測定することができる。従って、導電性薄膜の上に
さらに塗布される樹脂膜が透明のものであれば、透過率
計測装置4を設置する位置は、上記実施例の位置に拘ら
ず、例えば、樹脂膜形成後となる位置であってもよい。
また、樹脂膜が非導電性のものであるならば、渦電流測
定装置5を設置する位置についても、上記実施例の位置
に拘らず、例えば、樹脂膜形成後となる位置であっても
よいことはいうまでもない。
【0027】次に、上記実施例の装置の作用と共に、実
施例に係る製造方法について説明する。
【0028】図1において、線引炉21において母材1
1が線引きされて光ファイバ素線12が作られる。光フ
ァイバ素線12は、熱CVD炉31の炉心管32内にお
いて加熱装置34により加熱され、その表面に反応ガス
が触れて熱分解され、光ファイバ素線12の表面に例え
ば炭素等の導電性物質が析出し薄膜が形成される。この
コーティング条件は、エチレン流量100ml/分、ク
ロロホルム200ml/分、線引速度200m/分で行
った。
【0029】このようにして表面に導電性薄膜がコーテ
ィングされた光ファイバ13が透過率計測装置4を通過
する際に、透過率計測装置4によって透過光量が測定さ
れる。即ち、上述したように、光源41から発した光
は、コリメータレンズ42によって平行光束α1 となる
が、平行光束のうち光ファイバ13に入射したものは屈
折透過して第1の集光レンズ43に導入される。集光レ
ンズ43に導入された光束α2 は平行光α3 となり、さ
らに第2の結像レンズ44に導入され集光されて、光検
出器46に取り込まれる。この光検出器46によって透
過光量が検出され、出力信号としてコンピュータ10に
送られて取込まれる。なお、光ファイバ13に入射しな
かった平行光束α1 は、第1の結像レンズ43によって
集光され、遮蔽板45によって遮蔽されるので、第2の
結像レンズ44及び光検出器46への導入が阻止され
る。
【0030】コンピュータ10においては、この透過光
量をもとに導電性薄膜の膜厚を測定する。これはコンピ
ュータ10では次のように処理される。透過光量と導電
性薄膜の膜厚とは一義的な関係を有していることが分か
っている。そこで、電気抵抗法等により予め導電性薄膜
の膜厚を求めておき、この膜厚と、透過率計測装置4と
同様の装置を用いて測定される透過光量との校正曲線と
を求めコンピュータ10にデータとしてインプットして
おき、このデータと本実施例の装置によって求まった透
過光量との関係から導電性薄膜の膜厚が求めるのであ
る。
【0031】透過率計測装置4を通過した光ファイバ1
3は、さらに渦電流測定装置5の検出コイル51の中空
部を通過するが、このとき、光ファイバ13の表面の導
電性薄膜中には渦電流が発生する。これは、検出コイル
51中で作られる磁界の中に導体であるファイバ表面が
置かれるからである。同時に、この渦電流も磁界を作
り、この磁界が逆に検出コイル51に作用して、その見
掛けの交流インピーダンスを変化させる。他方、参照用
コイル52のインピーダンスは空芯であるため変化しな
いから、検出用コイル51及び参照用コイル52の交流
インピーダンスの差を交流ブリッジ54で観測しつつ、
その差をゼロにするように交流ブリッジ54を操作する
ことにより、検出コイル51に生じたインピーダンスの
変化量を交流ブリッジ54の操作量として検出すること
ができる。即ち、渦電流の強さは交流インピーダンスの
変化量に起因しているので、渦電流値は交流ブリッジの
操作量として検出することができる。このインピーダン
スの変化量は、出力信号としてコンピュータ10に送ら
れて入力され、記録される。
【0032】この渦電流測定において、一定の高周波電
流のもとで十分に強力な渦電流を発生させるには、検出
コイルのコイル充填率νをなるべく大きく(1に近く)
する必要がある。コイル充填率νは、コイルの中空部断
面積に対するファイバ断面積の比であって、次式(1)
で定義される。
【0033】ν=(df /dc 2 ・・・(1) ここで、df は光ファイバの外径を示し、dc は検出コ
イルの内径を示す。このνの値が小さいと、交流ブリッ
ジ等に高感度のものが必要になったり、また増幅器のゲ
インを大きくしなければならず、特に後述するような高
い周波数を取り扱う際に困難が増大する。ちなみに、光
ファイバの外径が125μmの場合、検出コイルの内径
は500μm以下が好ましい。従って、外径250μm
程度までの光ファイバを作る製造装置にあっては、検出
コイルの内径の実用範囲は1mm以下であるといってよ
い。
【0034】一方、渦電流測定に用いる高周波電源53
の周波数fは、導電性薄膜の導電率σ、透磁率μによ
り、薄膜中の渦電流の浸透深さδが適当な値になるよう
に定められる。ここに渦電流の浸透深さδは、次式
(2)で示される。
【0035】δ=1/√πfσμ ・・・(2) 上記のδは光ファイバの導電性薄膜の膜厚に比べて十分
大きく、かつ光ファイバの外径より小さいことが望まし
い。(2)式にカーボン膜の定数を入れ、かつ光ファイ
バの外径を100μmとして計算すると、fは250M
Hz以上となるが、これを同じ太さの銅線の場合の44
0KHzと比較するとその違いは明瞭である。ちなみ
に、カーボン膜の場合には80μmの光ファイバの外径
では390MHz以上、200μmの外径では60MH
z以上である。ここから、カーボン膜の場合、この周波
数の実用的範囲は10MHz以上であるということがで
きる。
【0036】コンピュータ10では、上記で記録された
膜厚及びインピーダンスの変化量に基づいて膜質の状態
を計算する。また、このコンピュータ10には膜質が良
好なときの以下に説明する式(3)から得られた値の範
囲が予め設定されている。そこで、計算によって得られ
た値が、予め設定されている範囲から外れたときは、フ
ィードバックを薄膜形成装置にかけて膜質が一定となる
ようにする。これは、光ファイバ素線12の温度を調整
するために熱CVD炉31を上下させる図示しない熱C
VD炉上下動装置、炉心管32内のガスの温度を調整す
る加熱装置34、原料ガスの流量を調整する図示しない
バルブ及びガスの組成を制御する図示しない制御装置を
コントロールすることによってなされるものである。さ
らに、この点につき、以下に詳細を説明する。
【0037】カーボン膜による耐水素特性を決定するの
は、その膜厚及び炭素原子の結合状態、つまり膜質であ
る。膜質は、膜厚及びインピーダンスとの間に次式
(3)の関係がなりたつと一般に考えられる。
【0038】
【数2】
【0039】そこで、透過率測定装置により得られた膜
厚と、渦電流測定装置によって得られたインピーダンス
とを組み合わせた結果、膜質との間に非常に良い相関関
係を得ることができた。このとき測定した結果は次に示
す通りになる。
【0040】透過率計測装置から得られた膜厚は、図3
に示す通りであり、また、渦電流測定装置から得られた
インピーダンスは、図4に示す通りであった。なお、図
3において縦軸は膜厚を示し、横軸は光ファイバの線引
きした長さを示す。図3における単位は、縦軸がnmで
あり、横軸はkmである。図4において縦軸はインピー
ダンスを示し、横軸は光ファイバの線引きした長さを示
す。図4における単位は、縦軸がkΩ/cmであり、横
軸はkmである。これらの結果と上記の式(3)とか
ら、本実施例に係る製造方法により得られた光ファイバ
の導電性薄膜の膜質につき図5のような結果が得られ
た。図3及び図4から、膜質およびインピーダンスはい
ずれも横軸方向に変動しているが、コンピュータ10に
よって上述したようにフィードバックをかけて、製造装
置を制御しているので膜質については、図5の結果から
も安定していることがわかる。
【0041】このとき光ファイバについて、80℃、1
atm 、40時間の条件下で水素試験を行い耐水素特性を
測定したところ、引き始めはΔα1.24=0.035dB/k
m であり、引き終わりはΔα1.24=0.038dB/km で
あった。このことから、引き始めから引き終わりまで終
始し耐水素特性が安定していることが分かった。また、
Δα1.24≦0.1dB/km を良好品と定義した場合には、
この方法で製造した光ファイバの歩留まりは90%とな
り、非常に優れた結果を得ることができた。
【0042】即ち、上述したように本実施例によれば膜
質の安定したハーメチックコート光ファイバを製造する
ことができ、歩留まりも著しく向上させることができ
る。つまり、ハーメチックコーティングの最も重要な特
性であるハーメチック性に関連する膜質に関する情報を
もとにして製造装置を制御するので、信頼性の高いハー
メチックコート光ファイバを製造することができる。
【0043】ここで、本実施例においては、コンピュー
タ10によって炉心管32の入口の温度並びに炉心管3
2内のガス温度、原料ガスの流量及びガスの組成を制御
しているが、この制御は手動で行ってもよい。即ち、膜
厚とインピーダンスとをモニタしながら、これらを適切
に手動によって制御してもコンピュータによって制御し
た場合と同様に耐水素特性の安定した導電性薄膜を形成
することができる。
【0044】なお、本発明による効果をより明確にすべ
く、比較実験を行ったので、これについて以下に説明す
る。
【0045】第1の比較例として本発明に係る装置のう
ち渦電流測定装置5を用いずに、透過率計測装置4のみ
を用いて、これをモニタしながら光ファイバの導電性薄
膜を形成した。なお、他の条件は本発明と同一である。
透過率計測装置4で計測した膜厚は50±5nmであっ
た。これを走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した結果
は、引き始めが50nmであり、80kmほど線引きし
た後は、48nmであったので、先の測定結果と略一致
した。しかし、耐水素特性については、上記と同様の水
素試験を行ったが、引き始めは、Δα1.24=0.17dB
/km であったのが、引き終わりでは、Δα1.24=0.0
3dB/km となってしまい、透過率計測装置4をモニタし
ただけでは膜質の良いものは得られなかった。
【0046】第2の比較例として本発明に係る装置のう
ち透過率計測装置4を用いずに、渦電流測定装置5のみ
を用いて、これをモニタしながら光ファイバの導電性薄
膜を形成した。なお、他の条件は本発明と同一である。
このときの出力値は0.5±0.1Vという結果であっ
た。これについても、上記と同様の水素試験を行った
が、引き始めは、Δα1.24=0.19dB/km であったの
が、引き終わりでは、Δα1.24=0.04dB/km となっ
てしまい、渦電流測定装置5をモニタしただけでは膜質
の良いものは得られなかった。また、Δα1.24≦0.1
dB/km を良好品と定義した場合には、この方法で製造し
た光ファイバの歩留まりが60%となってしまった。
【0047】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明によ
れば、光ファイバ素線上に形成された薄膜被覆層の膜厚
を光学的に測定するとともに、薄膜被覆層の電気抵抗値
も測定する。そして、膜厚と電気抵抗値との比により薄
膜被覆層の膜質を評価する。これにより、膜質を、薄膜
被覆層の膜厚と緻密性とを合わせて評価することができ
る。したがって、膜質を信頼性高く評価をすることがで
きる。そのため、この膜質の評価結果に基づいて、薄膜
形成装置を制御すれば、膜質の良好な薄膜被覆層を形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る光ファイバの製造方法に用いる
製造装置を示す説明図である。
【図2】本実施例に係る製造装置の透過率計測装置を示
す説明図である。
【図3】本実施例に係る透過率計測装置により測定した
膜厚の変化を示す説明図である。
【図4】本実施例に係る渦電流測定装置により測定され
た渦電流値から求めたインピーダンスの変化を示す説明
図である。
【図5】膜厚変化とインピーダンス変化の相関関係から
求められた値に基づく膜質の変化を示す説明図である。
【図6】従来例に係る装置から得られた光ファイバに関
する水素実験による測定値の変化を示した説明図であ
る。
【符号の説明】
11…光ファイバ用プリフォーム、12…光ファイバ素
線、13…導電性薄膜が被覆された光ファイバ、21…
線引炉、22…炉心管、31…熱CVD炉、32…炉心
管、4…透過率計測装置、5…渦電流測定装置、10…
コンピュータ。
フロントページの続き (72)発明者 永山 勝也 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友 電気工業株式会社 横浜製作所内 (72)発明者 井上 享 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友 電気工業株式会社 横浜製作所内 (72)発明者 彈塚 俊雄 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友 電気工業株式会社 横浜製作所内 (72)発明者 吉澤 信幸 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−243938(JP,A) 特開 平5−85781(JP,A) 特開 平3−131550(JP,A) 特開 平4−317442(JP,A) 特開 平4−119946(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 37/00 - 37/16 C03C 25/00 - 25/70

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線引炉により光ファイバ用母材を溶融し
    紡糸することで線引きして、光ファイバ素線を形成する
    第1の工程と、 前記光ファイバ素線を薄膜形成装置に設けられたハーメ
    チックコーティング用反応容器に導入するとともに、前
    ハーメチックコーティング用反応容器内に原料ガスを
    導入し、前記光ファイバ素線上に化学気相析出法により
    導電性物質からなる薄膜被覆層を形成する第2の工程
    と、前記薄膜被覆層の膜厚を光学的に測定するとともに、前
    記薄膜被覆層の電気抵抗値を測定する第3の工程と前記薄膜被覆層の膜厚と前記薄膜被覆層の電気抵抗値と
    の比により前記薄膜被覆層の膜質を評価する第4の工程
    とを有することを特徴とするハーメチックコート光ファ
    イバの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記薄膜被覆層には炭素が含まれている
    ことを特徴とする請求項1に記載のハーメチックコート
    光ファイバの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記薄膜被覆層が形成された光ファイバ
    素線交流磁界中へ導入し、前記薄膜被覆層に生ずる渦
    電流を測定することにより、前記薄膜被覆層の電気抵抗
    値を測定することを特徴とする請求項1に記載のハーメ
    チックコート光ファイバの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記薄膜被覆層が形成された光ファイバ
    素線を電磁波導波管中に導入して前記薄膜被覆層によっ
    て生じる電磁波の誘電損失を測定することにより、前記
    薄膜被覆層の電気抵抗値を測定することを特徴とする請
    求項1に記載のハーメチックコート光ファイバの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 さらに、前記膜質の評価結果に基づい
    て、前記薄膜被覆層を形成する前記薄膜形成装置を制御
    することを特徴とする請求項1に記載のハーメチックコ
    ート光ファイバの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記膜質の評価結果に基づいて、前記ハ
    ーメチックコーティング用反応容器内の前記光ファイバ
    素線の温度、前記原料ガスのガス組成、前記原料ガスの
    ガス流量、及び前記ハーメチックコーティング用反応容
    器内のガス温度のうちの少なくとも一つを制御すること
    を特徴とする請求項1に記載のハーメ チックコート光フ
    ァイバの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記薄膜被覆層が形成された光ファイバ
    素線にさらに樹脂膜を被覆する前に、前記膜厚の測定
    前記電気抵抗値の測定とをおこなうことを特徴とする請
    求項1に記載のハーメチックコート光ファイバの製造方
    法。
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