JP3443781B2 - 振動によって液状化する物質の物性測定方法及び装置 - Google Patents

振動によって液状化する物質の物性測定方法及び装置

Info

Publication number
JP3443781B2
JP3443781B2 JP18042094A JP18042094A JP3443781B2 JP 3443781 B2 JP3443781 B2 JP 3443781B2 JP 18042094 A JP18042094 A JP 18042094A JP 18042094 A JP18042094 A JP 18042094A JP 3443781 B2 JP3443781 B2 JP 3443781B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
substance
liquefied
transparent container
concrete
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18042094A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0829315A (ja
Inventor
次郎 桜井
Original Assignee
桜井建材産業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 桜井建材産業株式会社 filed Critical 桜井建材産業株式会社
Priority to JP18042094A priority Critical patent/JP3443781B2/ja
Publication of JPH0829315A publication Critical patent/JPH0829315A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3443781B2 publication Critical patent/JP3443781B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • On-Site Construction Work That Accompanies The Preparation And Application Of Concrete (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば水/セメント比
の低い硬練りないし超硬練りコンクリートや土砂や高分
子材料や食品などの、振動を与えることにより流動化し
て粘弾性体の性状を呈する物質の物性を測定する方法と
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】普通のコンクリートに比べて単位水量が
著しく少ない「硬練りコンクリート」ないし「超硬練り
コンクリート」の成形には、振動と上載荷重とを同時に
加える振動締め固め法が採られている(例えば、特公昭
45−36305号公報、実公昭57−42635号公
報、特開平2−25303号公報参照)。この方法によ
れば、セメントペーストの量が少なくとも、骨材間隔を
小さくして付着強度を増加させることができるので、少
ないセメント量で所要の強度が得られしかもコンクリー
ト本来の品質向上も図れる。そしてまた、即時脱型によ
る経済性や、生産の多様化への対応性や、生産の自動化
への適応性など、工場生産にとっても非常に有利であ
る。
【0003】普通のコンクリートについては、その物性
(粘性抵抗やコンシステンシー等)を測定する種々の方
法が既に提案され、満足できるものは少ないが、それな
りの精度は得られている。しかし、普通のコンクリート
に対して行っている測定法は、フレシッコンクリート自
体が初めから液状に流動するから実現できているもので
あり、当初は見掛け上、粉粒体と変わらず、振動締め固
めをしなければ液状化しない硬練りないし超硬練りコン
クリートには適用できない。
【0004】このような硬練りないし超硬練りコンクリ
ートは、振動締め固めを行う以前の粉粒状態での物性を
捉えてもほとんど意味がなく、振動締め固め過程での物
性を動的に捉えて初めてその性質を把握できるものであ
る。特に、目的の強度達成とワーカビリティーとを両立
させるためには、液状化終了の確認及び振動締め固めの
完了時期を正確に知ることが重要である。
【0005】硬練りないし超硬練りコンクリートは上記
のような利点があるにも拘わらず、従来はその振動締め
固め過程での物性を適切に測定する方法がなかったの
で、振動締め固め条件の設定や配合調整や骨材の選択な
どは、人の経験と勘に頼らざるを得なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、硬練
りないし超硬練りコンクリートのように、振動によって
液状化して粘弾性体の性状を呈する物質の物性を、振動
締め固め過程で動的にかつ容易に測定することができる
測定方法及び測定装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による方法では、
硬練りないし超硬練りコンクリート等の振動によって液
状化する物質を、振動テーブル上に固定された透明容器
中に入れ、この透明容器を振動テーブルと共に振動させ
つつかつ物質に一定の上載荷重を与えながら、物質表面
の空隙を透明容器を透して監視し、空隙が消滅するまで
の時間を計測する。
【0008】本発明は、このような監視・計測を行うこ
とが主要特徴であるが、これを保証するため、これと並
行して次のような測定を行うことも特徴とする。吊り下
げた球状体を物質中に埋入させてその垂直方向の変位を
検出する。この場合、球状体の重量を平衡重錘と平衡さ
せ、物質の液状化による浮力によって球状体を浮上させ
ることが好ましい。また、球状体に取り付けた振動セン
サにより物質中の振動を検出しても良い。なお、本発明
において「球状体」とは、文字通りの球体に限らず、球
の変形体(例えば楕円球)や多面体をも含むものとす
る。
【0009】上載荷重を、透明容器に対して垂直方向に
変位可能な加圧体によって物質に与え、この加圧体の垂
直方向の変位を検出する。この場合、加圧体の振動を検
出しても良い。
【0010】透明容器は、ガラス又は硬質の透明プラス
チック等で作ることになるが、硬化していくコンクリー
ト等で透明容器の内面が傷つくとその透明性が損なわれ
る。そこで、透明容器の内面に透明シートを着脱自在に
添えておいて測定を行い、この透明シートを交換すれ
ば、測定を繰り返しても透明容器の透明性を維持でき
る。
【0011】本発明による測定装置は、振動によって液
状化する物質を入れるため上面を開口させた透明容器
と、この透明容器に振動を与えるためこれを載置固定し
た振動テーブルと、透明容器内の物質に上載荷重を与え
るためこの透明容器に対して垂直方向に変位自在な加圧
体と、球状体と、この球状体を透明容器内の物質中に埋
入させた状態で垂直方向に変位可能に吊り下げる吊り下
げ機構と、この吊り下げ機構を介して球状体と重量を平
衡させる平衡重錘と、この平衡重錘又は吊り下げ機構の
変位を検出することにより球状体の垂直方向の変位を透
明容器外で検出する球状体変位センサとからなる。
【0012】この測定装置には更に次の手段を付加する
ことができる。加圧体の垂直方向の変位を検出する加圧
体変位センサを備える。加圧体の振動を検出する振動セ
ンサを備える。加圧体を吊り下げ機構で吊り下げる。球
状体の内部に、物質中の振動を検出する振動センサを設
ける。透明容器を分離自在な二つ割り構造とする。
【0013】
【作用】本発明では、透明容器を使用し、この中に振動
によって液状化する物質を入れ、この透明容器を振動テ
ーブルと共に振動させつつかつ物質に一定の上載荷重を
与えながら、物質表面の空隙を透明容器を透して監視
し、その表面空隙が消滅するまでの時間を計測して、こ
の時間をもって液状化の終了時期と推定する。このよう
な推定が成り立つ根拠及びこのことを導き出すに至るま
での本発明の開発経緯について説明し、本発明の意義を
明らかにする。
【0014】本発明者は、本発明の開発以前に、本発明
と同様の目的を意図した方法及び装置を提供し、これに
ついては既に特許出願をしている(特願平5−3455
09号)。これにおいては、成形型を模した縦長円筒容
器を使用し、振動によって液状化する物質(超硬練りコ
ンクリート)をこの縦長円筒容器に入れて、吊り下げ機
構で吊り下げた球状体を物質中に埋入させ、縦長円筒容
器を振動テーブルと共に振動させつつかつ吊り下げた加
圧体により物質に一定の上載荷重を与えながら、球状体
及び加圧体の垂直方向の変位を容器外部で検出すると同
時に、物質中の振動を球状体に内蔵された振動センサで
検出する。そして、このようにして同時に得られた検出
データの相関関係から、物質の液状化の発現時期及び終
了時期や締め固め完了時期が的確かつ容易に測定でき、
また粘性係数も比較的正確に求まるという知見を既に得
ている。
【0015】このことを踏まえて本発明者は更に研究を
重ね、縦長円筒容器を透明にしてこれに超硬練りコンク
リートを投入し、振動中のコンクリート表面の空隙の変
化を透明容器を透して監視し、水/セメント比などを変
えて繰り返し種々の実験を行ったところ、表面空隙が消
滅する時期が、上述の先に開発した方法による測定結果
の液状化終了時期と符合するということ、特に、球状体
の垂直変位を検出した場合、コンクリートの液状化によ
り浮上される球状体の浮上速度が一時的に遅くなる挙動
を呈するが、このときとコンクリート表面の空隙の消滅
時期とは時間的に一致するという新たな知見を得た結
果、本発明を案出したものである。すなわち、振動は、
透明容器の底部からコンクリートに垂直方向に与えられ
てコンクリート中を伝達し、上端の上載荷重に達する
が、透明容器の内面と接するコンクリート表面の空隙
は、その表面の下端から上端(上載荷重による加圧面)
までの全長の空隙の様子を一度に表しており、その空隙
の消滅は、コンクリートの垂直方向の全長での液状化終
了の表面現象であるということが、先に開発した方法の
成果との照合から裏付けられた結果、本発明に到達した
ものである。
【0016】コンクリートの液状化が終了したというこ
とは、加圧成形に適した状態になった、すなわちワーカ
ブルになったということであるから、例えばコンクリー
ト投入時からコンクリート表面の空隙消滅時期までの時
間(秒)をもって当該コンクリートのコンシステンシー
の値とすることができる。従って、本発明は、振動締め
固めする硬練りないし超硬練りコンクリート(いわゆる
振圧コンクリート)には今まで測定法が無かったコンシ
ステンシーの測定を極めて簡単に実現できることにな
る。しかも、コンクリートの垂直方向の全長での液状化
終了時期を知ることができるため、締め固め度合いが一
定でワーカブルなコンクリート成形品が得られるように
なる。
【0017】また、本発明は、測定精度の信頼性の確保
のために、先に開発した方法の成果を本発明でも利用
し、表面空隙の監視と同時に、物質中に埋入させた球状
体の垂直方向の変位や、加圧体の垂直方向の変位や、物
質中の振動や、加圧体の振動などの検出も並行して行う
ようにしたものである。例えば、球状体の垂直方向の変
位も同時に検出すれば、コンクリートの液状化終了時期
を、球状体の浮上の挙動変化と、コンクリート表面の空
隙の消滅という2つの現象から確認し、照合するするこ
とで信頼性が高まる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例とその実験結果を図面
を参照して説明する。
【0019】図1は本発明による測定装置の第1例を示
す。この測定装置は、一対の振動機1を取り付けた振動
テーブル2上に透明容器3を固定している。また、球状
体4を、吊り下げ機構5によって図示しないフレームか
ら吊り下げるとともに、加圧体6を、吊り下げ機構7に
よって同じフレームから吊り下げている。振動テーブル
2は、空気圧クッションを利用した複数のダッシュポッ
ト(緩衝制動器)8及び複数の支持スプリング9を介し
てベース10上に水平に支持されている。この振動テー
ブル2が振動機1により振動されると、透明容器3もこ
れと一体に振動する。
【0020】透明容器3は、本例の場合、コンクリート
の成形型を模したもので、上面を開口させる一方、底面
を閉じた縦長円筒形となっている。この透明容器3は、
締め固め完了後のコンクリートを容易に取り出すことが
できるように、図2に示すような分離自在の二つ割り構
造とすると良い。同図において、透明容器3は、透明ガ
ラス又は透明プラスチック製の2つの半円筒形部分3a
・3bを互いに接合し、これらを鋼製の円形底板11と
共に振動テーブル2上に図示しない固定金具で着脱可能
に固定できるようになっている。半円筒形部分3a・3
bは、その外面の垂直な両側縁に設けられた接合突部1
2を互いに合わせ、これらの一致した孔13にボルトを
通してナットで緊締することによって分離可能に接合さ
れる。両半円筒形部分3a・3bの垂直な両側縁面には
接合段部14が形成されている。また、底板11には、
接合させて円筒形とした両半円筒形部分3a・3bの下
端を嵌合させる浅い凹部15が形成されている。更に、
この透明容器3には、コンクリートの投入を容易にする
ため、円筒形とした両半円筒形部分3a・3bの上端に
着脱自在に取り付けることができる鋼製のホッパ16が
用意されている。
【0021】球状体4は、本例の場合、表面が滑らかな
プラスチック球体又は金属球体である。加圧体6は、透
明容器3の内径より僅かに小さい外径の厚い円盤状で、
吊り下げ機構7で吊り下げたまま透明容器3内に自在に
挿入させることができる。この加圧板6の中央には、上
下に貫通する小さい孔17が設けられている。
【0022】吊り下げ機構7は、上記フレームに、第1
組の2つの滑車18・18を同じ軸線上に軸支するとと
もに、第2組の2つの滑車19・19を同様に同じ軸線
上に軸支し、これら2組の滑車にワイヤ20を2つの部
分に分けて掛け、第1組の2つの滑車18・18から垂
下させたワイヤ20の2本の垂直部分20a・20aの
下端を加圧体6の上面に接続して、これら2本の垂直部
分20a・20aで加圧体6を水平状態に保持できるよ
うに吊り下げる一方、第2組の2つの滑車19・19か
ら垂下したワイヤ20の他方の2本の垂直部分20b・
20bがU字状に連続する部分に吊車21を掛け吊りし
たものである。この吊車21の軸22には、上載荷重調
整用重錘23を着脱自在に懸垂できるようになってい
る。第1組の2つの滑車18・18から垂下したワイヤ
20の2本の垂直部分20a・20aの中間には、加圧
体6から伝達してくる振動を絶縁するためスプリング2
4・24を介在させてある。
【0023】一方、球状体4の吊り下げ機構5は、上記
フレームに軸支された2つの滑車25・26に1本のワ
イヤ27を掛け、滑車25から垂下させたワイヤ27の
垂直部分27aを加圧体6の孔17に挿通させてこの垂
直部分27aの下端に球状体4を接続する一方、この球
状体4の空気中における重量を0にするため、滑車26
から垂下させたワイヤ27の垂直部分27bの下端に平
衡重錘28を着脱可能に接続したものである。滑車19
から垂下させたワイヤ21の垂直部分27aの中間に
は、球状体4から伝達してくる振動を絶縁するためスプ
リング29を介在させてある。
【0024】加圧体6の上面には、コンクリートを伝播
してきた振動を検出する振動センサ30が取り付けら
れ、更に振動機1の励振振動を検出するため、振動テー
ブル2上に振動センサ31が取り付けられている。これ
ら振動センサ30・31として本例では加速度センサを
使用している。
【0025】また、上記フレームには、平衡重錘28の
垂直方向の変位量を検出する第1のレーザ変位計32
と、上載荷重調整用重錘23の垂直方向の変位量を検出
する第2のレーザ変位計33とがそれぞれ所定の高さ位
置に固定されている。平衡重錘28は、球状体4が下降
するとその変位量だけ上昇し、球状体4が上昇するとそ
の変位量だけ下降するので、第1のレーザ変位計32
は、球状体4の垂直方向の変位量を透明容器3の外部で
間接的に検出することになる。また、上載荷重調整用重
錘23は、加圧体6が下降するとその変位量だけ上昇
し、加圧体6が上昇するとその変位量だけ下降するの
で、第2のレーザ変位計33は、加圧体6の垂直方向の
変位量を間接的に検出することになる。
【0026】図1に示した測定装置によって硬練りない
し超硬練りコンクリートの物性を測定するには、次のよ
うにする。
【0027】透明容器3の内面を保護するため、その内
面にOHPシート等の透明プラスチックシートを添え、
また球状体4が、空の透明容器3内の所定の高さ位置で
宙吊り状態を維持するように、透明容器3外でワイヤ2
7を一時的に固定しておく。この状態で透明容器3内に
粉粒状のフレッシュコンクリート34を投入し、球状体
4がフレッシュコンクリート34中に完全に埋入された
らワイヤ27の固定を解除して球状体4をフレッシュコ
ンクリート34中に解放し、更にフレッシュコンクリー
ト34を透明容器3内に所定の高さまで投入する。そし
て、振動機1を起動してから加圧体6をフレッシュコン
クリート34上に載置し、透明容器3内のコンクリート
34を振動締め固めながら、コンクリート表面の空隙を
透明容器3を透して監視すると同時に、加圧体6の振動
を振動センサ(加速度センサ)30で、振動テーブル2
の振動を振動センサ(加速度センサ)31でそれぞれ検
出し、また平衡重錘28の垂直方向の変位をレーザ変位
計32で、上載荷重調整用重錘23の垂直方向の変位を
レーザ変位計33でそれぞれ検出して、これらセンサ及
び変位計からの信号をコンピュータ35によりリアルタ
イムで解析し、そのデータ36をディスプレイ装置36
の画面上に表示する。
【0028】このような方法で次のような実験を行っ
た。この場合、透明容器3の内径(直径)は150m
m、高さは300mm、球状体4の直径は38mm、体
積は28.73ccとし、また加圧体6の重量は13.
5Kgとしてその加圧力を上載荷重調整用重錘23によ
り0.038Kg/cm2 に調整した。振動機1の振動
周波数は85Hz、加速度は12Gとし、水/セメント
比が38%のフレッシュコンクリート34を、振動して
いる透明容器3中に2回に分けておよそ25秒間で投入
した。その投入を開始して30秒後に球状体4を解放
し、また40秒後に加圧体6をコンクリート34上に載
せた。
【0029】図3、図4及び図5はこの実験の測定デー
タを表し、その(A)図は、ディスプレイ装置36の画
面上に表示された振動センサ及びレーザ変位計の検出波
形で、図中(1)はレーザ変位計32による球状体4の
変位、(2)はレーザ変位計33による加圧体6の変
位、(3)は振動センサ30よる加圧体6の加速度振幅
の検出波形をそれぞれ示し、横軸にコンクリート投入開
始からの時間を1目盛り20秒で表し、また縦軸に検出
波形の高さを1目盛り5mmで表す。また、(B)図
は、透明容器3を透して監視したコンクリート表面の各
時点の様子を模写したもので、図3はコンクリート投入
から60秒後、図4は160秒後、図5は200秒を少
し越えたときの様子を示している。なお、(A)図にお
いて振動センサ31による励振振動波形は省略してあ
る。
【0030】図3はコンクリート上に加圧体6を載せた
直後の状態で、その(A)図に示すように、加圧体6が
急激に下降するとともに、これに大きな振動が加わり、
球状体4も急激に沈降する。このときコンクリート表面
には、(B)図に示すように投入当初とほとんど変わら
ないランダムな多数の大きな空隙が残っている。なお、
(A)図において時間軸上のaは球状体4を解放した時
点、bは加圧体6をコンクリート上に載置した時点であ
る。図4はコンクリートの液状化発現時の状態で、この
ときから加圧体6の下降速度は緩やかになり、また球状
体4は沈降が一旦止まって浮上に転じ(時点c)、加圧
体6に加わる振動は小さくなる。このとき、コンクリー
ト表面には小さくなった空隙が若干残っている。図5は
コンクリートの液状化終了時の状態で、加圧体6の下降
は引き続き緩やかであり、球状体4は一時的に浮上が停
止してその浮上曲線が屈折し(時点d)、加圧体6に加
わる振動は液状化発現時よりも大きくなる。このときに
コンクリート表面の空隙は、下端から上端まで全長にわ
たって消滅する。この後は、図示していないが、加圧体
6は引き続き緩やかに下降する一方、球状体4は緩やか
に浮上し、加圧体6の加わる振動はほとんど変わらず、
コンクリート表面は空隙が無いまま緻密になっていっ
た。
【0031】図5に示したように、コンクリート表面の
空隙が消滅する時期は、球状体4の浮上曲線が屈折する
ときと一致することから、空隙が消滅したことをもって
液状化終了時期と推定することができる。また、振動締
め固め完了後、透明容器3を分解してその内面に添えた
保護用のプラスチックシートをコンクリートと共に取り
出したところ、プラスチックシートの表面に無数の引っ
掻き傷がほぼ一様に生じていた。このことから、プラス
チックシートは、透明容器3の内面保護としての用途以
外に、表面に残った引っ掻き傷の態様からコンクリート
の締め固め過程ないし締め固め度合いなどを追跡調査す
る資料として役立てることも可能である。
【0032】球状体4を使用した場合には、上記のよう
にその浮上の変化から振圧コンクリートの液状化過程を
知ることができるので、空隙消滅という表面現象との照
合から信頼性の高い測定を行えるが、球状板4をコンク
リート中に埋入させた状態での実験であるため、その実
験により得られたコンクリート成形品を、そのまま製品
のテストピースとする訳にはいかない。そこで、先ず球
状体4を使用し、コンクリート表面の空隙消滅時点が球
状体4の浮上曲線の屈折時点と一致するとの確証を得て
から、今度は球状体4を使用しないで同条件で振動締め
固めを行ってコンクリート表面の空隙消滅時点を測定す
れば、そのコンクリート成形品は、締め固め過程におい
てコンシステンシ−値の精度の裏付けを事前にとり、し
かも液状化の完了を確認し、かつ完全に締め固めを終え
て一定の締め固め度合いが得られたワーカブルな一定品
質のテストピースとして提供できる。従って、球状体4
の変位を検出することは、空隙消滅の監視による測定精
度の信頼性を確保するとともに、ワーカブルなコンクリ
ートをより確実に得られるようにする上で有利である
が、本発明の基本構成においては、球状体4の変位検出
は必要不可欠なものではない。
【0033】また、液状化の終了時が分かれば、それ以
後の所要時間、つまり目的の強度を得るまでの最小振動
付与時間は比較的容易に選択できるので、ワーカビリテ
ィーの判断にも有益である。
【0034】次に、図6は本発明による測定装置の第2
例を示す。この測定装置は、コンクリート中の振動を検
出するため、球状体4中に振動センサ(加速度センサ)
37を内蔵したことが図1に示した第1例と相違するだ
けで、その他は同じである。図7は、この第2例の測定
装置により、水/セメント比38%のフレッシュコンク
リートについて第1例と同様の実験(振動センサ37に
よるコンクリートの加速度振幅の検出が加わった以外は
第1例と条件は同じ)を行った場合の検出波形を示す。
この場合も、球状体4の変位(1)、加圧体6の変位
(2)、加圧体6の加速度振幅(3)は第1例と同じよ
うな推移を示し、球状体4の浮上曲線が屈折するd時点
にコンクリート表面の空隙が消滅した。また、振動セン
サ37の検出によるコンクリートの加速度振幅は、加圧
体6をコンクリート上に載置した時点(b)から液状化
の終了時点(d)までは大きいが、液状化の終息に伴い
減衰し、液状化の終了時点(d)以後はほぼ同じような
大きさとなった。なお、同図の縦軸の左側の付記は凡例
として各波形の大きさの標準を示したものである。図8
はこれと同じ実験を水/セメント比35%のコンクリー
トについて行った場合、図9は水/セメント比36%の
コンクリートについて行った場合で、これらの場合も上
記と同じような結果が得られた。
【0035】図1の測定装置及び図6の測定装置のいず
れの場合も、球状体4の浮上速度から次のようにコンク
リート34の粘性係数を求めることができる。すなわ
ち、球状体4の平均浮上速度は、例えばコンクリート3
4の液状化発現時点から締め固めがほぼ完了する時点ま
での時間tと、その時間tでの変位量hからh/tで与
えられ、これは球状体4とコンクリート34との相対速
度と見做すことができる。この期間中はコンクリート3
4が粘弾性体の性状を呈し、この中を球状体4が垂直に
上昇するので、極めて小さいレイノルズ数の流れの中を
球体が直線運動するときに成立する次の式を適用でき
る。
【0036】F=3πμUD ここに、Fは球体の引上げ力(N)、μは粘性係数(K
N・s・m-2)、Uは球体とコンクリートとの相対速度
(m・s-1)、Dは球体の直径(m)、πは円周率であ
る。Fは、球状体4が浮力のみで上昇する場合には、コ
ンクリート中で働く浮力に置き換えることができる。
【0037】なお、上記の説明では、振動によって液状
化する物質として、水/セメント比が低い硬練りないし
超硬練りコンクリートを例にしたが、このような物質と
しては、地震時に液状化する土砂や高分子材料や食品な
どがあり、本発明はこれらの物質にも適用できるもので
ある。
【0038】
【発明の効果】以下に本発明による効果を列挙する。 (1)硬練りないし超硬練りコンクリート等の振動によ
って液状化する物質について、その液状化終了時期を極
めて容易に測定することができる。 (2)コンクリートの場合、コンクリート投入時からコ
ンクリート表面の空隙消滅時期までの時間(秒)をもっ
て当該コンクリートのコンシステンシーの値とすること
ができるので、振動締め固めする硬練りないし超硬練り
コンクリートには今まで測定法が無かったコンシステン
シーの測定を極めて簡単に実現できる。
【0039】(3)球状体を物質中に埋入させてその垂
直方向の変位を検出すると、その浮上の変化からも液状
化の終了を捉えることができるので、空隙消滅という表
面現象との照合から信頼性の高い測定を行える。 (4)球状体の挙動から、液状化していく過程を時々刻
々に捉えて液状化の発現及び終了の時期を推定すること
ができるとともに、締め固めの進行状況や粘性の変化等
を動的に捉えることができ、コンクリートの場合には、
振動締め固めによる液状化の発現及び終了の時期とワー
カビリティーとの関係などを知ることができる。 (5)球状体の変位からその速度が得られるため、締め
固め過程での粘性係数等の測定も可能である。
【0040】(6)上載荷重を加える加圧体の変位を検
出すれば、加圧体の沈降速度の減衰から締め固めの完了
時期を推定することができ、しかも空隙の消滅と球状体
の変位というファクタに、加圧体の変位(沈降速度)と
いうファクタも加わるため、液状化の発現及び終了の時
期の推定や締め固めの進行状況の把握やコンシステンシ
ーの測定やワーカビリティーの判定などがより正確かつ
容易になる。 (7)球状体に取り付けたセンサで振動を検出する場合
には、その振幅の減衰からも液状化の終了を確認でき、
測定精度の信頼性が一層高まるとともに、垂直方向に変
位可能に吊り下げられた球状体のそのときの位置での物
質中の振動を直接検出できるので、物性の変化を正確に
捉えることができる。 (8)球状体の変位及び加圧体の変位の両方とも、透明
容器外で検出でき、しかも球状体に取り付けたセンサで
振動を検出する場合には、上記のように物質中の振動を
直接検出でき、また加圧体に備えたセンサで振動を検出
する場合には、物質中を伝播してきた振動を外部で間接
的に検出することができるので、球状体の変位と加圧体
の変位と物質の振動のいずれの検出も、硬練りないし超
硬練りコンクリートの実際の成形時と同様に、型枠に代
わる透明容器を加圧体で閉じて密閉状態にしたまま行え
るので、実際の成形工程に合わせた測定を行える。 (9)与える振動の振動数やその強度、コンクリートの
場合には水/セメント比などの条件を変えることで、そ
れとの関係も知ることができる。 (10)加圧体に加わる振動を検出すれば、他の測定と
相まって振動締め固め状況の把握がより確実になる。
【0041】(11)透明容器の内面に透明シートを着
脱自在に添えて保護すれば、透明容器自体を強化構造と
しなくとも、透明シートを交換することにより、透明容
器の透明性を維持できる。 (12)透明容器を分離自在な二つ割り構造とすれば、
締め固め過程においてコンシステンシ−を測定した上に
液状化の完了を確認し、かつ完全に締め固めを終えて一
定の締め固め度合いが得られたワーカブルな一定品質の
テストピースを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の測定装置を示す概要構成
図である。
【図2】同測定装置で使用する透明容器の一例を示し、
(A)は断面図、(B)は平面図、(C)は一方の半円
筒部分の正面図である。
【図3】図1の測定装置による実験の測定データであっ
て加圧体をコンクリート上に載置した直後の状態を示
し、(A)は検出波形図、(B)は透明容器を透して監
視したコンクリート表面の模写図である。
【図4】コンクリートの液状化発現時の状態を示し、
(A)は検出波形図、(B)はコンクリート表面の模写
図である。
【図5】コンクリートの液状化終了時の状態を示し、
(A)は検出波形図、(B)はコンクリート表面の模写
図である。
【図6】本発明の第2実施例の測定装置を示す概要構成
図である。
【図7】図6の測定装置による実験の検出波形図で、水
/セメント比が38%の場合である。
【図8】同じく水/セメント比が35%の場合の検出波
形図である。
【図9】同じく水/セメント比が36%の場合の検出波
形図である。
【符号の説明】
2 振動テーブル 3 透明容器 4 球状体 5・7 吊り下げ機構 6 加圧体 32・33 レーザ変位計 30・31・37 振動センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 11/10

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】振動によって液状化する物質を、振動テー
    ブル上に固定された透明容器中に入れ、この透明容器を
    振動テーブルと共に振動させつつかつ物質に一定の上載
    荷重を与えながら、物質表面の空隙を透明容器を透して
    監視し、その空隙が消滅するまでの時間を計測すること
    を特徴とする、振動によって液状化する物質の物性測定
    方法。
  2. 【請求項2】振動によって液状化する物質が、水/セメ
    ント比の低い硬練りないし超硬練りコンクリートである
    請求項1に記載の、振動によって液状化する物質の物性
    測定方法。
  3. 【請求項3】吊り下げた球状体を物質中に埋入させてそ
    の垂直方向の変位を検出することを特徴とする請求項1
    又は2に記載の、振動によって液状化する物質の物性測
    定方法。
  4. 【請求項4】球状体の重量を平衡重錘と平衡させ、物質
    の液状化による浮力によって球状体を浮上させることを
    特徴とする請求項3に記載の、振動によって液状化する
    物質の物性測定方法。
  5. 【請求項5】球状体に取り付けた振動センサにより物質
    中の振動を検出することを特徴とする請求項3又は4に
    記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
  6. 【請求項6】上載荷重を、透明容器に対して垂直方向に
    変位可能な加圧体によって物質に与え、この加圧体の垂
    直方向の変位を検出することを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5のいずれかに記載の、振動によって液状
    化する物質の物性測定方法。
  7. 【請求項7】加圧体の振動を検出することを特徴とする
    請求項6に記載の、振動によって液状化する物質の物性
    測定方法。
  8. 【請求項8】透明容器の内面に透明シートを着脱自在に
    添えておくことを特徴とする請求項1又は2に記載の、
    振動によって液状化する物質の物性測定方法。
  9. 【請求項9】振動によって液状化する物質を入れるため
    上面を開口させた透明容器と、この透明容器に振動を与
    えるためこれを載置固定した振動テーブルと、透明容器
    内の物質に上載荷重を与えるためこの透明容器に対して
    垂直方向に変位自在な加圧体と、球状体と、この球状体
    を透明容器内の物質中に埋入させた状態で垂直方向に変
    位可能に吊り下げる吊り下げ機構と、この吊り下げ機構
    を介して球状体と重量を平衡させる平衡重錘と、この平
    衡重錘又は吊り下げ機構の変位を検出することにより球
    状体の垂直方向の変位を透明容器外で検出する球状体変
    位センサとを備えたことを特徴とする、振動によって液
    状化する物質の物性測定装置。
  10. 【請求項10】加圧体の垂直方向の変位を検出する加圧
    体変位センサを備えたことを特徴とする請求項9に記載
    の、振動によって液状化する物質の物性測定装置。
  11. 【請求項11】加圧体の振動を検出する振動センサを備
    えたことを特徴とする請求項9又は10に記載の、振動
    によって液状化する物質の物性測定装置。
  12. 【請求項12】加圧体を吊り下げ機構で吊り下げたこと
    を特徴とする請求項9、10、11のいずれかに記載
    の、振動によって液状化する物質の物性測定装置。
  13. 【請求項13】球状体の内部に、物質中の振動を検出す
    る振動センサを設けたことを特徴とする請求項9、1
    0、11、12のいずれかに記載の、振動によって液状
    化する物質の物性測定装置。
  14. 【請求項14】透明容器を分離自在な二つ割り構造にし
    たことを特徴とする請求項9に記載の、振動によって液
    状化する物質の物性測定装置。
JP18042094A 1994-07-11 1994-07-11 振動によって液状化する物質の物性測定方法及び装置 Expired - Fee Related JP3443781B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18042094A JP3443781B2 (ja) 1994-07-11 1994-07-11 振動によって液状化する物質の物性測定方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18042094A JP3443781B2 (ja) 1994-07-11 1994-07-11 振動によって液状化する物質の物性測定方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0829315A JPH0829315A (ja) 1996-02-02
JP3443781B2 true JP3443781B2 (ja) 2003-09-08

Family

ID=16082955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18042094A Expired - Fee Related JP3443781B2 (ja) 1994-07-11 1994-07-11 振動によって液状化する物質の物性測定方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3443781B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR200459786Y1 (ko) * 2009-04-28 2012-04-18 박형우 점탄성 용액의 점탄성 측정장치

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6537456B2 (en) 1996-08-12 2003-03-25 Debasish Mukhopadhyay Method and apparatus for high efficiency reverse osmosis operation
JP5839576B2 (ja) * 2012-04-11 2016-01-06 鹿島建設株式会社 フレッシュコンクリートと土壌との相対挙動評価方法および装置
CN105675433B (zh) * 2016-02-19 2018-10-16 交通运输部公路科学研究所 测试低坍落度混凝土振动液化效果的方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR200459786Y1 (ko) * 2009-04-28 2012-04-18 박형우 점탄성 용액의 점탄성 측정장치

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0829315A (ja) 1996-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111537356B (zh) 模拟地下洞室地震动力反应的试验装置及方法
De Beer Experimental determination of the shape factors and the bearing capacity factors of sand
CN107478800A (zh) 重力浇铸模拟试验台
JP3443781B2 (ja) 振動によって液状化する物質の物性測定方法及び装置
Zeng et al. Application of Bender Elements in Measuring G max of Sand Under K Condition
CN108827827A (zh) 一种3d打印混凝土建造性测试装置及方法
Ferroir et al. Motion of a solid object through a pasty (thixotropic) fluid
JP2715251B2 (ja) 振動によって液状化する物質の物性測定方法及び装置
CN208239245U (zh) 一种沙石料检测装置
CN205138978U (zh) 便携式剪切滑移测量装置
JPS62501521A (ja) 力測定装置
US10281269B2 (en) Method and device for determining a height of a settled bed in a mixture in a loading space
CN107560976A (zh) 一种灰颗粒粘度测量装置
CN101923032A (zh) 弹簧振子自由振动法快速测定高温熔体粘度的装置及方法
Byrne et al. Breakout of submerged structures buried to a shallow depth
CN108398319B (zh) 超高水充填材料蠕变试验装置及其使用方法
Staub et al. Sediment suspension in oscillatory flow: measurements of instantaneous concentration at high shear
JP2743309B2 (ja) 弾性係数・粘性係数測定方法とその装置
CN212008263U (zh) 一种水平转体球铰界面摩阻力的测定装置
CN206132767U (zh) 一种混凝土膨胀率测定仪
Tokue Characteristics and mechanism of vibratory densification of sand and role of acceleration
CN111413273B (zh) 一种水平转体球铰界面摩阻力的测定装置及测试方法
Garnier et al. Placement of embedded pressure cells
CN212622604U (zh) 一种新拌混凝土用匀质性测量装置
Lecomte The measurement of real and virtual packing density of soft grains

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees