JP3438240B2 - アルミナ含有鉱石からの水酸化アルミニウムの製造方法 - Google Patents

アルミナ含有鉱石からの水酸化アルミニウムの製造方法

Info

Publication number
JP3438240B2
JP3438240B2 JP29003892A JP29003892A JP3438240B2 JP 3438240 B2 JP3438240 B2 JP 3438240B2 JP 29003892 A JP29003892 A JP 29003892A JP 29003892 A JP29003892 A JP 29003892A JP 3438240 B2 JP3438240 B2 JP 3438240B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alumina
slurry
extraction
temperature
bauxite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP29003892A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05193931A (ja
Inventor
卓雄 原戸
隆浩 石田
善夫 熊谷
道和 稲見
和久 石橋
光明 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP29003892A priority Critical patent/JP3438240B2/ja
Publication of JPH05193931A publication Critical patent/JPH05193931A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3438240B2 publication Critical patent/JP3438240B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミナ含有鉱石から
の水酸化アルミニウムの製造方法に関するものである。
【0002】さらに詳細には、アルミナ含有鉱石(以
下、ボーキサイトと称する)をアルカリで溶解して得た
アルミン酸ソーダ溶液を加水分解して水酸化アルミニウ
ムを析出させる、所謂バイヤー法による水酸化アルミニ
ウムの製造方法により、原料アルミナ含有鉱石として可
溶性シリカ含有量の多い低品位ボーキサイトの使用に於
いても、アルカリ損失量が少なく、アルミナ収量が高
く、シリカ汚染が少なく、且つエネルギー原単位も低
く、経済的に水酸化アルミニウムを収得し得る水酸化ア
ルミニウムの製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】ボーキサイトからの水酸化アルミニウム
の製造に最も普通に用いられる方法はバイヤー法であ
る。この方法は、ボーキサイトを苛性ソーダ或いは苛性
ソーダと炭酸ソーダとの混合液のようなアルカリ水溶液
で処理してスラリー状とし、ボーキサイト中のアルミナ
分をアルミン酸ソーダとして抽出し(抽出工程)、その
後該スラリーから酸化鉄、珪酸塩、酸化チタンなどの不
溶解残渣を分離し(赤泥分離工程)、不溶解残渣を分離
した後の清澄アルミン酸ソーダ溶液に種子として水酸化
アルミニウムを添加し、通常50〜70℃の温度で水酸
化アルミニウムを析出させ、析出水酸化アルミニウムを
アルミン酸ソーダ溶液から分離し(析出工程)、分離し
た析出水酸化アルミニウムの一部を種子として循環使用
し、残余の水酸化アルミニウムを製品として取出し、他
方、分離後のアルミン酸ソーダ溶液(以下分解液と称
す)はそのまま、または濃縮した後ボーキサイトの溶解
工程へ循環使用する工程より構成されている。
【0004】通常ボーキサイト中には採鉱地の違いによ
り差はあるもののアルカリ可溶性シリカ(以下、反応性
シリカ又はR−SiO2 と称する)を含有している。こ
のため上記抽出工程においては、ボーキサイト中のアル
ミナ分の抽出と同時にボーキサイト中に含まれる反応性
シリカも溶出する。この液中に溶出した反応性シリカを
含む抽出液(アルミン酸ソーダ溶液)を析出工程でその
まま水酸化アルミニウムを得るために析出処理を行う場
合には、水酸化アルミニウムとともに液中のシリカも分
解沈澱し水酸化アルミニウムの品質の低下を招く。それ
ゆえ抽出液中の反応性シリカは析出工程に送る前にアル
ミナ及びアルカリ溶液の一部と反応させて、アルカリ不
溶のソーダライトあるいはゼオライトとして析出させ
(脱硅工程)、続く赤泥分離工程で酸化鉄、酸化チタン
等の他の不溶性物質とともに分離し廃棄している。従
来、最も一般的には抽出工程での滞留時間を30分〜6
時間と比較的長くし、該工程で十分な反応性シリカの溶
出と、この溶出した反応性シリカの脱珪生成物への転化
並びに析出を行わせている。しかしながら、該方法は、
上記した如く抽出液中の可溶性シリカを多量のアルミナ
とアルカリを用いて脱硅生成物として除去するため経済
的でない。
【0005】このボーキサイト中の反応性シリカに起因
するアルカリ損失の低減法として、ボーキサイト中のア
ルミナと反応性シリカの苛性アルカリ液又はアルミン酸
ソーダ溶液への溶解速度差を利用してアルミナ分を選択
的に溶解させることによって反応性シリカの含有量の多
いボーキサイトを利用し得るようにした方法(特公昭37
-8257 号公報)、アルミナ分は充分に溶解させるが、反
応性シリカの溶出を抑えて抽出残渣を合成有機高分子凝
集剤を用いて分離する方法(特公昭48-37678公報)、管
型反応器によってアルミナ分を抽出し、抽出後直ちに抽
出液、溶解残渣の混合液をフラッシュ冷却し、溶解残渣
を分離除去し、抽出液は脱硅処理した後、水酸化アルミ
ニウムを析出させる方法(特開昭62-230613 公報)等が
知られている。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公
昭37-8257 号はボーキサイトとして反応性シリカ含有量
の多いものと通常含有量のものの2種類を併用し、かつ
抽出も別々の条件で行うため、これを通常の反応性シリ
カ含有量のボーキサイトや反応性シリカ含有量の高いボ
ーキサイトを各々単独で用いる場合には適用できない。
【0007】特公昭48-37678号は、抽出残渣の高速分離
という意味からは優れた発明であるが、アルミナの抽出
に際し、いかに効率よく反応性シリカの溶出を抑制する
かについては詳述されておらず、加えてアルミナ収量の
低下抑制を意図したプロセスは開示されていない。
【0008】また、特開昭62-230613 号は抽出後直ちに
抽出液、抽出残渣の混合液をフラッシュ冷却してボーキ
サイトからアルカリ溶液中への可溶性シリカの溶出を抑
え、溶解残渣を分離除去し、次いで抽出液を脱硅処理す
る方法であるが、この方法に於いて加熱は混合ヘッダー
や管状反応器に生蒸気を直接吹き込む方法が記載されて
いるが、この場合には系内の水バランスをとるために、
別途大きな蒸発装置を設置する必要が生じるとともに経
済的でなく、また混合ヘッダーで回収蒸気及び生蒸気を
用いて循環分解液等のアルカリ水溶液とボーキサイトよ
りなる混合スラリーを抽出温度まで加熱する場合には、
抽出温度に至る予熱過程においてもR−SiO2 の溶出
が生起するためR−SiO2 の溶出抑制が十分ではな
い。また脱硅処理はフラッシュ冷却後80〜110℃の
低温で行なわれるため、反応速度が遅く、製品水酸化ア
ルミニウムのシリカ汚染を回避するためには非常に大き
な脱硅処理装置を設置する必要があるなどの問題点があ
る。さらには脱硅工程において所望濃度までシリカ含有
量を低下させるべく長時間保持する場合には抽出液中の
アルミナ分が水酸化アルミニウムとして同時に析出する
ため、ボーキサイト中よりのアルミナの抽出率は高いも
のの工程全体としてはアルミナ収量が低下するとの不都
合を生起する。
【0009】かかる事情下に鑑み、本発明者等は、エネ
ルギー原単位を悪化せしめることなく、苛性ソーダ損失
量を減少させ、アルミナの収量の低下を減少せしめ、か
つシリカ汚染の少ない水酸化アルミニウムを析出させる
ボーキサイトから水酸化アルミニウムの経済的な製造方
法を見いだすべく鋭意研究した結果本発明を完成するに
至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、アル
ミナ含有鉱石からアルカリ水溶液によりアルミナを抽出
する水酸化アルミニウムの製造方法に於いて、少量のア
ルカリ溶液を用いてスラリー化した高濃度アルミナ含有
鉱石スラリーと、該スラリーと混合後のスラリー温度が
アルミナの抽出温度以上になる如く予熱したアルカリ水
溶液を同時に、或いは混合後、管状反応器よりなる抽出
装置内に仕込み、温度120℃〜160℃、10分以内
の抽出条件でアルミナ含有鉱石からアルミナを抽出後、
直ちに、抽出温度と等温で抽出液より溶解残渣を分離除
去し、次いで該抽出液を脱硅処理した後、脱硅生成物分
離後の抽出液に種子水酸化アルミニウムを添加し水酸化
アルミニウムを析出させることを特徴とするアルミナ含
有鉱石からの水酸化アルミニウムの製造方法を提供する
にある。
【0011】以下、本発明方法をさらに詳細に説明す
る。本発明方法において、原料として使用するアルミナ
含有鉱石は、含有するアルミナの結晶形態がアルミナ3
水和物を主体(通常、アルミナ3水和物の含有量が鉱石
中の含有アルミナに対し約50重量%以上、好ましくは
約70重量%以上)とし、かつ反応性シリカを含有する
ボーキサイト、ラテライト鉱等が挙げられる。反応性シ
リカの含有量は特に制限されるものではないが、通常鉱
石に対し約0.5重量%〜約15重量%、普通には約
0.5重量%〜約10重量%であり、反応性シリカの含
有量の多いボーキサイトを原料とする場合、本発明方法
は特に経済性を発揮する。
【0012】本発明の実施に際し、原料ボーキサイトは
そのまま、または粗砕した後、スラリー化溶液を用いて
スラリー状となし、そのまま、または湿式粉砕した後、
必要に応じて予熱装置に送られる。
【0013】予熱装置に送られる原料ボーキサイトの粒
径は、アルミナと反応性シリカの溶解速度差を大きくす
るためには、細かいほど有利であるが、抽出液と溶解残
渣の分離工程では一般に粒径が大きくなるほど分離が容
易となるので、通常10メッシュ以下、好ましくは60
メッシュ以下で使用される。
【0014】予熱時に於けるボーキサイトのスラリー化
溶液は、ボーキサイトを輸送可能なスラリーとする量で
あればよく、ボーキサイトの種類、粒径等によって変わ
るが、一般にはスラリーの固形分濃度が約20重量%以
上、好適には30〜65重量%となるように調整され
る。
【0015】スラリー化に用いる溶液としては、特に限
定されるものではないが、分解液或いはこれを濃縮した
溶液(循環分解液と称す)、または、溶解残渣洗浄液や
析出水酸化アルミニウムの洗浄液等、バイヤー工程内を
循環使用される溶液が使用可能であり、特に溶解残渣洗
浄液は循環分解液に比べてNa2 O濃度が低く、かつ少
量ではあるが溶解残渣の洗浄過程において反応性シリカ
が溶出混入しているため、ボーキサイトスラリーの予熱
の間の反応性シリカの溶出を抑制でき、同時に溶解残渣
洗浄液に含まれていた反応性シリカを後につづく脱硅工
程で脱硅処理できるので好ましく用いられる。
【0016】ボーキサイトスラリーの予熱される温度
は、ボーキサイトの種類、スラリー溶液のNa2 O濃
度、スラリー予熱装置の形式などに依存するが、その上
限は約120℃、好ましくは約110℃に設定される。
予熱温度が約120℃を越えるとボーキサイトスラリー
の予熱の間に反応性シリカの溶出がおこり好ましくな
い。ボーキサイトスラリーの予熱の間にも反応性シリカ
の溶出は進行するのでこの予熱に要する時間は10分以
内、好ましくは5分以内に設定される。ボーキサイトス
ラリーの予熱は必ずしも必要ではないが、抽出後スラリ
ーから熱回収し熱の有効利用を行う場合には約70℃以
上、より好ましくは約80℃以上に予熱することが好ま
しい。
【0017】ボーキサイトスラリーの予熱装置として
は、一般に二重管型熱交換器、多管式熱交換器等の逆混
合が少なく短時間に予熱できる装置を用いる。
【0018】また、本発明方法の実施にあたり、予熱後
のボーキサイトスラリーと混合するもう一方のアルカリ
水溶液は、特に制限されるものではないが循環分解液を
主体とし、他に工程内で発生するアルカリ含有溶液がそ
のまま、或いは濃縮後使用される。
【0019】これらアルカリ水溶液は公知の方法、すな
わち回収蒸気及び生蒸気によってボーキサイトスラリー
流との混合後の温度が抽出温度に達するように、一般的
には150℃〜170℃に間接的に予熱される。アルカ
リ水溶液の予熱装置としては、一般に二重管型熱交換
器、多管式熱交換器、スパイラル型熱交換器等の間接加
熱型熱交換器が用いられる。
【0020】予熱後のボーキサイトスラリーと予熱後の
アルカリ水溶液は各々別々に、または混合した後、抽出
装置に送られる。予熱後のボーキサイトスラリーと予熱
後のアルカリ水溶液の混合比率はボーキサイトの種類、
ボーキサイトスラリーの固体濃度、分解液の組成などに
よって決まるが、抽出装置出口の液組成がモル比(Na
2 O/Al2 3 )1.30〜1.60、好ましくは
1.35〜1.50になるように調整される。本発明に
於いては抽出装置入口で混合されたスラリー温度は目的
とする抽出温度に達する。より高温での抽出を望む場合
には抽出装置に供給する直前の予熱後のアルカリ水溶液
に、或いは抽出装置に供給する直前にボーキサイトスラ
リーと予熱後のアルカリ水溶液を混合し該混合スラリー
を抽出装置に導入する方法にあっては該混合スラリー
に、一部生蒸気を直接吹き込み加熱してもよい。
【0021】ボーキサイト中のアルミナと反応性シリカ
のアルカリ水溶液に対する溶解速度及び脱硅生成物の生
成速度に時間的差があることは特公昭37−8257号
公報、或いは特開昭62−230613号公報等にも記
載の如くよく知られている。しかしてボーキサイト中の
アルミナ及び反応性シリカの溶出速度を更に詳細に検討
したところ、溶解反応速度は各成分について一次反応で
あるとでき、反応速度定数は第3図に示すように、アル
ミナの方が反応性シリカよりも勾配が高いこと、即ちボ
ーキサイト中アルミナの結晶形態がアルミナ三水和物
(ギブサイト)であるものは、該アルミナ三水和物の溶
出は反応性シリカの溶出に比較し非常に速くNa2 O濃
度、温度で決まる溶解平衡に達し、一定のNa2 O濃度
では温度依存性が大きいので、ボーキサイト中のアルミ
ナを十分に溶解させ、反応性シリカの溶出を抑えるアル
ミナの抽出方法としては、従来行われているような粉砕
後の高濃度アルミナ含有鉱石スラリーに抽出用のアルカ
リ水溶液を混合し、該混合スラリーを加熱しながら析出
温度迄昇温する方式よりも、反応器入口に於いてボーキ
サイトスラリーとアルカリ水溶液を別個に予熱しておき
混合によって瞬時にアルミナの溶解に必要な温度に昇温
する方式が理想的であることを見出した。
【0022】本発明者らは上記条件を満たす方法を鋭意
検討した結果、ボーキサイトスラリー及びアルカリ水溶
液を各々間接加熱形式の予熱装置で予熱し、予熱後のス
ラリーと予熱後のアルカリ水溶液とを混合し、抽出装置
に仕込む、所謂二流体方式を用い、かつ二流体方式での
ボーキサイトスラリーの予熱温度は反応性シリカの溶出
が可能な限りおこらないように低く、しかし熱回収は一
部達成出来る程度に高く設定するとともに、シリカの溶
出の心配のないアルカリ水溶液の予熱温度は予熱後の二
流体を混合した時直ちにアルミナの抽出温度に達するよ
うに高く条件設定することにより本発明を完成するに至
った。勿論、アルカリ水溶液を十分高温になし得る場合
にはボーキサイトスラリーは未加熱であってもよい。
【0023】アルミナの抽出装置としては、逆混合の少
ない管型反応器が断熱的に用いられる。この反応器の形
状は、特に限定されるものではなく、例えば予熱後のボ
ーキサイトスラリーと予熱後のアルカリ水溶液よりなる
二流体を混合し、該ボーキサイト中よりアルミナを抽出
し得るのであれば、次の分離工程までスラリーを移送す
るための導管を保温して反応器として機能させることも
出来る。
【0024】該抽出装置は特に外部よりの加熱機能を有
する必要はなく、抽出装置入口でのスラリー温度を最も
高くし、以降は装置を保温するのみで熱を供給しない、
所謂断熱的に反応を生起することが推奨される。これは
アルミナとシリカのアルカリ溶液に対する溶解速度が異
なることを巧みに利用するもので、同一抽出時間でかつ
同一熱量を付与する場合には、加熱機能により常にスラ
リー温度を一定に保持するよりも抽出装置入口を高温に
し抽出装置入口より出口にかけて温度が低下してゆく方
法を採用する方が、シリカの溶出量を抑制して同一アル
ミナ量を抽出することができるためである。さらに該抽
出装置を特に外部よりの加熱機能を有さないものとする
ことによって管状反応器の使用に於いては大きな問題と
なるスケーリングによる伝熱速度の低下の問題もなく、
また実質的にアルカリ水溶液及びアルカリ含有鉱石スラ
リーの予熱に用いられる機器へのスケーリングも大幅に
低減させるという副次的効果を有する。
【0025】抽出に必要な温度と時間は、ボーキサイト
の種類、粒径、アルカリ水溶液のNa2 O濃度、Al2
3 濃度、仕込みモル比などによって異なり、ボーキサ
イト、苛性ソーダの原単位と単価;装置費用、分離装置
の性能及び脱硅工程性能等より、経済的最適点に設定さ
れるが、一般的に抽出液のNa2 O濃度は約100〜約
160g/l、抽出温度(抽出装置出口温度を言う。)
は、約120℃〜約160℃、抽出時間は10分以内、
好ましくは抽出温度は約125℃〜約150℃、抽出時
間は約5分以内に設定される。この抽出温度、抽出時間
以上ではボーキサイトよりのアルミナの抽出率を高くし
て反応性シリカの溶出を抑制しカ性ソーダ損失量を減少
させる本発明の目的を達成することが困難となる。
【0026】抽出工程に於いてはボーキサイトよりアル
ミナの抽出率は出来る限り高く、かつ反応性シリカの溶
出は出来る限り抑制する条件に設定するが、通常アルミ
ナの抽出率は約70%以上、好ましくは約80%以上、
またシリカの溶出は約70%以下、好ましくは50%以
下になるよう設定すればよい。
【0027】アルミナ抽出後のスラリーは、直ちに固液
分離装置に送られ、抽出液(液)と溶解残渣(固)とに
分離される。この固液分離は抽出温度とほぼ等温で実施
される。
【0028】本発明方法で用いられる固液分離装置とし
ては、固液、特に溶解残渣の滞留時間が短かく、溶解残
渣に同伴される抽出液量が少なく出来る装置であればよ
く、一般的に高速分離型シックナー、遠心分離器(デカ
ンター)などが用いられる。分離に際しスラリーに公知
の凝集剤、例えばポリアクリル酸系高分子凝集剤を添加
することにより分離を促進することが可能である。該凝
集剤の添加量は公知の添加範囲であればよく、通常溶解
残渣(乾体基準)に対し約0.005重量%−約0.1
重量%の割合で使用される。分離はできる限り短時間で
行うことが必要であり、通常、抽出後約10分以内、好
ましくは約5分以内で実施される。ここで言う分離時間
は分離装置内での溶解残渣の滞留時間である。本方法に
於いては固液分離温度が抽出温度と略等温と高いので、
従来法に比較し固液の高速分離が可能になったものと推
測し得る。分離時間が長くなると残渣中の反応性シリカ
が溶出するので好ましくない。
【0029】固液分離工程において分離された抽出液
は、そのまま、または必要に応じて間接加熱、又は冷却
された後、次いで脱硅反応槽(脱硅工程)に送られる。
脱硅工程においては、抽出液はそのまま、または必要に
応じて固体硅酸塩物質を主成分とする種子を添加して、
脱硅反応槽へ送られ、抽出液中に溶解したシリカをアル
ミナ及びアルカリ溶液の一部と反応させ、不溶性のソー
ダライトあるいはゼオライト等の硅酸塩物質とする。
【0030】原料ボーキサイト中の反応性シリカの含有
量が多く、抽出液中のシリカ濃度が約10g/l以上の
ときは自然核発生によって脱硅反応は進むが、脱硅時間
を短縮し、かつ生成した脱硅物の固液分離性を改良する
目的よりソーダライトやゼオライトを主成分とする固体
硅酸塩物質からなる種子を添加するのが好ましい。
【0031】脱硅反応槽としては抽出液中より反応性シ
リカを脱硅生成物として析出せしめる滞留時間を与える
ものであれば、特にその形状を制限するものではない
が、好ましくは逆混合の少ない多段型の攪拌機付き反応
槽が使用される。
【0032】脱硅条件は、フラッシュ蒸発等による抽出
液からの熱回収工程を脱硅処理前後のいずれに於いて実
施するかにより異なるので一義的ではないが、脱硅温度
は約80〜約160℃、処理時間約15分〜約10時
間、好ましくは脱硅温度約115〜約160℃、処理時
間約15分〜約5時間、より好ましくは温度約120℃
〜約140℃、処理時間約0.5時間〜約3時間に設定
される。処理温度が高い程、脱硅速度は速く、また脱硅
処理時に於ける水酸化アルミニウムの析出が少ないが、
処理温度が高い場合は加圧装置となるので経済性を考慮
して脱硅条件を選定すればよい。脱硅処理後の抽出液は
必要に応じ冷却後、脱硅生成物と清澄化されたアルミン
酸ソーダ溶液に固液分離され、該溶液は水酸化アルミニ
ウムの析出工程に送られる。
【0033】抽出液の冷却にはフラッシュ蒸発や間接型
熱交換器が用いられ、フラッシュ蒸発ではフラッシユし
た蒸気は回収蒸気としてボーキサイトスラリーや循環分
解液の予熱に、また間接型熱交換器も同様にボーキサイ
トスラリーや循環分解液の予熱に用いられる。本発明に
於いて抽出液の冷却は抽出液と溶解残渣の分離後直ち
に、或いは脱硅処理後のいずれで実施してもよい。
【0034】脱硅生成物の抽出液からの分離には、シッ
クナー、遠心分離機、ろ過機などが単独に、または適宜
組み合わせて用いられる。分離された脱硅生成物の一部
を脱硅処理の種子として循環使用する場合には、脱硅工
程へ循環する前に粉砕、篩別、洗浄等の操作により、種
子の活性を回復させることが推奨される。就中、得られ
た脱珪生成物をボールミル等で粉砕し、以下に示す条件
の種子として使用することにより著しく脱珪処理時間を
短縮することが可能である。種子として使用する脱硅生
成物は脱硅温度、抽出液中の可溶性シリカ濃度、脱硅時
間等により一義的ではないが、通常平均粒子径約1μm
〜約30μm、好ましくは約5μm〜約20μm、種子
添加量約5g/l〜約150g/l、好ましくは約20
g/l〜約100g/lの範囲で実施される。
【0035】一方、本発明方法において固液分離工程で
分離された溶解残渣は冷却し、溶解残渣に同伴する抽出
液を回収するため洗浄される。溶解残渣の冷却にはフラ
ッシュ蒸発や間接型熱交換器が用いられる。フラッシュ
蒸発ではフラッシュした蒸気は回収蒸気としてボーキサ
イトスラリーや循環分解液の予熱に、また間接熱交換器
も同様にボーキサイトスラリーや循環分解液の予熱に用
いられる。また、溶解残渣の洗浄、脱液に用いる装置は
特に制限されないが、ソーダ含有量の高い溶解残渣の洗
浄には、洗浄時に残渣からのR−SiO2 の溶出を防止
し得る高速シックナー、遠心分離機、ろ過機などが単独
に、または、適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0036】以下に本発明を図面によりさらに詳細に説
明するが本発明方法はこれによって制限されるものでは
ない。
【0037】図1は本発明方法を実施する場合の一つの
実施形態のフローシートを示すものであり、図2は従来
公知のバイヤー工程の一実施形態を示すフローシートで
ある。図中50はボールミル等よりなるスラリー調製
槽、51〜56は予熱器、57は抽出装置、58は固液
分離装置、59は脱硅反応槽、60〜62は冷却用フラ
ッシュ蒸発缶、63は固液分離装置、64は粉砕機、1
はボーキサイト、2は循環分解液、3〜47はライン
(導管)を示す。
【0038】図1において、2は循環分解液でありライ
ン3、4に分割供給されている。ボーキサイトはライン
1からボールミル50へ供給され、ライン3より供給さ
れる循環分解液の一部とともにボールミル中で粉砕、混
合され輸送可能なスラリーとなし、次いで該スラリーは
ライン5を経て、通常二重管式熱交換器から成り、熱が
冷却用フラッシュ蒸発缶62及び61からライン31、
30を経て供給されるように構成された予熱器51及び
52において所定温度まで予熱される。
【0039】ライン4よりの循環分解液の主流はライン
8、9及び10を経て通常多管式熱交換器から成り熱が
冷却用フラッシュ蒸発缶62、61及び60からライン
29、28及び27を経て供給されるように構成された
予熱器53、54及び55において予熱され、さらにラ
イン10を経て通常多管式熱交換器から成り、熱が生蒸
気によってライン26を経て供給されるように構成され
た予熱器56において予熱される。ライン26よりの生
蒸気の一部は分解液中に直接吹込んでもよいが、予熱器
56にて間接加熱形態として使用することが、系内の水
バランスを取り蒸気使用量を削減し蒸発缶規模を小型化
できるので好ましい。予熱器56における予熱温度は特
に制限されないが、抽出装置への導入に際しライン7か
らのボーキサイト含有スラリーとの混合時、所望のアル
ミナの抽出温度になるように予熱される。
【0040】予熱後のボーキサイトスラリーと予熱後の
分解液は各々ライン7及び11により取出し、混合し、
ライン12をへて抽出装置57に導入される。抽出装置
は逆混合の少ない管型反応器が使用され、抽出温度は一
般に約120℃〜約160℃の範囲である。
【0041】抽出装置57において鉱石中のアルミナ分
をアルミン酸ソーダとして抽出したスラリーはただちに
ライン13により取出され固液分離装置58に導入され
溶解残渣と抽出液に分離し、抽出液中への溶解残渣より
のシリカの溶出を防止する。固液分離装置58に導入さ
れるスラリー中に、ライン13の一部より分離効果を高
める目的で公知の高分子凝集剤が添加される。固液分離
装置58は可能な限り短時間、通常溶解残渣の装置内で
の滞留時間が約10分以内で固液分離ができる装置であ
れば特にその形式は制限されないが、通常高速分離型シ
ックナー、遠心分離機が使用される。
【0042】固液分離装置58に導入されたスラリーは
溶解残渣(赤泥)と抽出液に分離され、溶解残渣(赤
泥)はライン15より溶解残渣処理工程に送られ熱回
収、アルカリ回収された後工程外に排出される。 他方
抽出液はライン14を経て脱硅反応槽59に導入し液中
に溶解されたシリカ成分が所望量の脱硅生成物となるま
で保持する。脱硅反応槽59としては一般に攪拌機能を
有するタンクが用いられる。脱硅処理時、反応を促進さ
せる目的でライン25より固体硅酸塩物質を種子として
添加される。種子は市販の固体硅酸塩物質を工程外より
導入し使用することもできるが、一般的には後の工程で
分離された脱硅生成物をそのまま、或いは洗浄、粉砕等
の種子としての活性化処理をした後、循環使用される。
脱硅反応槽59における処理温度は約115℃〜約16
0℃、処理時間は約15分〜約5時間、好ましくは処理
温度約120℃〜約140℃、処理時間は約0.5時間
〜約3時間、種子としての脱硅生成物は平均粒子径約1
μm〜約30μm、添加量約5g/l〜約150g/l
の範囲で実施される。
【0043】脱珪反応槽59にて抽出液中に溶解された
シリカを脱硅生成物として析出し、抽出液中のシリカ濃
度を所望の濃度まで低下させた脱硅生成物を含有する抽
出液はライン16により導出され、各々ライン17、1
8を通り冷却用フラッシュ蒸発缶60、61、62で冷
却されライン19より脱硅生成物を分離する固液分離装
置63に送られる。冷却用フラッシュ蒸発缶60、61
および62で回収される蒸気は前述したアルカリ水溶液
である循環分解液の主流とボーキサイト含有スラリーの
予熱源として利用される。
【0044】ライン19より脱硅生成物を分離する固液
分離装置63に送られたスラリーは脱硅生成物と清澄な
抽出液(アルミン酸ソーダ溶液)に分離され、脱硅生成
物はライン21を経てライン23より回収される。この
ようにして得られた脱硅生成物は酸化鉄や酸化チタン等
の不純物含量が少ないのでライン23を経て取出し、触
媒や無機充填材等の既存用途への有効利用が可能であ
る。また脱珪生成物の一部はライン22を経て粉砕機6
4に導入し脱硅反応槽59に用いる所望の種子粒径に粉
砕する。固液分離装置63により分離された清澄な抽出
液はライン20を経て図示していない水酸化アルミニウ
ムの析出工程に送り、種子を添加して水酸化アルミニウ
ムを析出した後析出水酸化アルミニウムを分離し、一方
水酸化アルミニウム分離後の分解液はライン2に循環使
用する工程となっている。
【0045】図2は従来公知のボーキサイトよりアルミ
ナを抽出するバイヤー法の一例であり、図2に於いては
循環分解液はライン2よりスラリー調製槽50に導入さ
れ、ライン1より導入されたボーキサイトを粉砕すると
ともにスラリー化して、ライン32、33及び34を経
て予熱器51、52及び抽出装置57に送られる。予熱
器51、52及び抽出装置57には図1と同様に抽出後
スラリーより冷却用フラッシュ蒸発缶62、61及び6
0にて回収した熱がライン47、46及び45により導
入され、更にライン44より抽出装置57に生蒸気が導
入され所望のアルミナ抽出温度に加熱され、ボーキサイ
ト中よりアルミナが抽出される。抽出処理後のスラリー
はライン35を経て導出される。抽出後スラリーは冷却
用フラッシュ蒸発缶60、61及び62にて熱回収され
た後、ライン38を経て固液分離装置58に導入され、
抽出液と溶解残渣に分離される。抽出液はライン40よ
り脱硅反応槽59に導入され脱硅処理した後ライン41
を経て固液分離装置63に導入され、清澄アルミン酸ソ
ーダ溶液と脱硅生成物に分離される。脱硅生成物はライ
ン42を経て系外に導出され、一部は種子として循環使
用する工程となっている。尚、図1及び図2においては
冷却用フラッシュ蒸発缶、分解液予熱器、スラリー予熱
器を特定数示したが、これらは勿論任意数にて構成すれ
ばよい。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、ボーキサイトからアル
ミナの抽出に際し、従来法に比較しアルミナの抽出率を
実質的に低下させることなく反応性シリカの溶出を著し
く抑制し得るので、溶出した反応性シリカを脱硅生成物
として除去することにより生じる苛性ソーダ及びアルミ
ナの損失量を大幅に削減することが可能である。また、
スラリーの予熱を間接加熱による二流体方式で行い、断
熱型反応器(加熱機能のない反応器)を用いたアルミナ
抽出方法を採用することにより、従来法の生蒸気吹き込
みによる加熱、更には反応器内でアルミナ抽出温度まで
加熱しながらアルミナを抽出する方法に比較し、スケー
リングによる伝熱速度の低下や水バランス上要求される
蒸発操作等より派生するエネルギー原単位の悪化を招く
ことなく、苛性ソーダ及びアルミナの損失量を大幅に削
減することが可能である。更には、本発明に於いて脱硅
処理を溶解残渣分離後直ちに行う場合、即ち抽出液の冷
却前に高温で脱硅処理を行う場合には、従来法に比較し
脱硅速度が速いため脱硅装置を小型化し得ると共に、該
工程でのアルミナの析出を減少せしめ得るので、結果と
してアルミナ収量の低下を著しく減少し得る効果を有す
る。このように本発明方法によれば、従来使用が困難と
されていた反応性シリカ含有量の高いアルミナ含有鉱石
から経済的に、かつシリカ汚染の少ない水酸化アルミニ
ウムの製造方法を提供し得るもので、その工業的価値は
頗る大である。
【0047】
【実施例】以下に実施例により本発明方法を更に詳細に
説明するが、本発明方法はこれにより限定されるもので
はない。 〔実施例1〕図1に示すような装置を用いて表1に示す
分析値(単位は重量%である)を有するボーキサイトか
らアルミナを抽出した。
【0048】
【表1】
【0049】ライン1からボーキサイト、ライン3より
Na2 O濃度152g/l,Al23 82g/lの循
環分解液をボールミルよりなるスラリー調製槽50にボ
ーキサイト濃度が600g/lとなるように供給し粉砕
した。続いて粉砕したボーキサイトスラリーを1.7m
/秒の流速で管直径25mm、全長360m(51+5
2)の二重管式熱交換器51および52でライン31お
よび30より導入される抽出後スラリーの回収蒸気を用
い7℃/分の昇温速度で70℃より95℃まで予熱し
た。スラリーの予熱時間は3.5分であった。他方、ラ
イン4からの循環分解液は、ライン29、28および2
7より導入される抽出後スラリーの回収蒸気で104℃
まで予熱し、更にライン26より生蒸気を二重管の外筒
に吹込み間接加熱で160℃まで予熱した。二重管式熱
交換器52から出たボーキサイトスラリーはライン7を
経てライン11よりの多管式熱交換器で予熱された循環
分解液とともにライン12に導入して混合し、この混合
液を2.1m/秒の流速で管直径40mm、長さ290
mの管型反応器よりなる抽出工程57に導入し、ここで
短い時間にアルミナを断熱的(加熱せずに)に抽出し
た。抽出工程57でのスラリー出口温度は130℃で、
抽出時間は2.3分であった。 ボーキサイトよりのア
ルミナの抽出率及びR−SiO2 の溶出率を調べる目的
より抽出工程57の出口に設けたサンプル取出口からス
ラリーを取出しフラッシャーにて急冷後直ちにボーキサ
イト残渣を分離し、ボーキサイト残渣の化学分析値から
Al2 3 の抽出率とR−SiO2 の溶出率を算出し
た。その結果を表2に示す。
【0050】〔比較例1〕図2に示すような装置を用い
て、実施例1と同一の循環分解液とボーキサイトを用い
てアルミナを抽出した。循環分解液をボーキサイト濃度
が600g/lとなるように添加し、60メッシュまで
ボールミルで粉砕した。粉砕したボーキサイトスラリー
に残部の循環分解液を混合し2.1m/秒の流速で管直
径40mm、全長1070m(51+52+57)の二
重管式熱交換器よりなる予熱器51、52及び抽出装置
57にてライン47、46及び45より回収蒸気、及び
ライン44からの生蒸気で70℃から130℃まで7℃
/分の昇温速度で加熱しボーキサイト中のAl2 3
抽出させた。 実施例1と同様の方法でボーキサイトよ
りのアルミナの抽出率及びR−SiO2 の溶出率を調べ
た。その結果を表2に示す。
【0051】〔比較例2〕比較例1と同一プロセスを用
い二重管式熱交換器の全長を730mとして予熱器及び
反応器内のスラリー滞留時間を5.8分となる如く加熱
してボーキサイトよりアルミナの抽出率及びR−SiO
2 の溶出率を調べた。その結果を表2に示す。
【0052】〔比較例3〕実施例1と同一の抽出原液、
ボーキサイト、ボーキサイト添加量、抽出温度で抽出操
作をオートクレーブを用い60分行ない、スラリー中の
ボーキサイトからのアルミナ抽出率及びR−SiO2
溶出率を調べた。その結果を表2に示す。
【0053】
【表2】 表中の抽出時間はボーキサイトスラリーの昇温時間とそ
の後に設けた抽出装置での滞留時間を示す。Al2 3
抽出率の欄の”抽出 ”は抽出装置出口の抽出率(extr
acted alumina)、”有効”は抽出液中に溶出したR−S
iO2 を脱珪生成物に換算し、これによるアルミナの損
失分を補正したAl2 3 抽出率(available alumina)
を示すものである。また、Na2 O損失量は抽出液中に
溶出したR−SiO2 を脱珪生成物に換算し、これによ
るソーダ損失分を計算により求めたものであり、単位は
(kg/t−Al2 3 )である。
【0054】〔実施例2〕実施例1で示した管型反応器
57から出たスラリーに高分子凝集剤を溶解残渣に対し
0.04重量%添加した後高速シックナー58に導入
し、直ちにボーキサイト残渣を分離した。抽出液中のR
−SiO2 濃度は3g/lであった。この液を脱硅反応
槽59に導入し予め平均粒子径10μmに粒度調製した
脱硅生成物を種子として50g/l添加し126℃、1
20分脱硅操作を行った。脱硅スラリーを冷却用フラッ
シュ蒸発缶60〜62に導きフラッシュによって温度1
00℃まで下げ、重力式の固液分離装置63で脱硅生成
物を分離した。脱硅物の一部を種子として分割しボール
ミル64で粒度調製し、種子として50g/lとなるよ
うに脱硅反応槽にリサイクルした。残量の脱硅物は高速
シックナーで分離したライン15より導出され図示され
ていない冷却装置により冷却されたボーキサイト残渣と
混合し、図示されていない多段向流洗浄機で洗浄して残
渣に付着するアルミン酸ソーダ溶液を回収した。固液分
離器63で分離された抽出液はライン20を経て図示さ
れていない清澄濾過機で精密濾過した後、析出工程に導
入し、水酸化アルミを析出させた。固液分離装置63よ
り導出された抽出液中のR−SiO 2 濃度は0.6g/
lで充分脱硅されていた。
【0055】〔比較例4〕比較例1で示した多管式反応
器から出たスラリーを冷却用フラッシュ蒸発缶60〜6
2に導き100℃に急冷した。冷却後のスラリーに実施
例2と同一、同量の凝集剤を添加した後高速シックナー
58で抽出液とボーキサイト残渣を直ちに分離し、抽出
液は脱硅反応槽59に導入した後、予め平均粒子径10
μmに粒度調製した脱硅物の種子を50g/l添加し1
00℃、750分脱硅操作を行った。次いで、脱硅処理
後の抽出液はライン41を経て重力式の固液分離装置6
3で脱硅生成物を分離した。脱硅物の一部を分割し、ボ
ールミルで粒度調製し種子として脱硅反応槽59にリサ
イクルした。残量の脱硅物はライン42より導出しライ
ン39より導出される高速シックナー58で分離したボ
ーキサイトと混合し、図示されていない多段向流洗浄機
で洗浄して残渣に付着するアルミン酸ソーダ溶液を回収
した。固液分離装置63で分離された抽出液はライン4
3を経て図示されていない清澄濾過機で精密濾過した
後、析出工程に導入し、水酸化アルミを析出させた。固
液分離装置63より導出された抽出液中のR−SiO2
濃度は0.6g/lで充分脱硅されていた(図2に示し
た従来法において固液分離装置58に高速シックナーの
使用例及び脱硅物のボールミル粉砕による活性化の例を
挙げたがこの適用は実施例1と効果の比較を正当に行う
べく用いたもので、従来より固液分離器58として高速
シックナーが使用されていたこと、さらには種子として
脱硅物のボールミル粉砕により活性化が行われていたこ
とをを認めるものではない)。
【0056】実施例2と比較例4の各工程に於ける操業
条件を表3に、又管型反応器57の出口からサンプリン
グした溶解残渣及び残渣洗浄機出口のボーキサイト残渣
の化学分析値からAl2 3 の抽出率とR−SiO2
溶出率を算出した結果を表4に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】表4に於いて、実施例2と比較し比較例4
における多段向流洗浄機出口でのアルミナ抽出率の4%
の減少は、脱硅工程に於けるアルミナの析出による損失
である。
【0060】〔実施例3〕実施例2に於いて脱硅生成物
の一部を種子として分割しボールミル64で粉砕処理
し、脱硅反応槽にリサイクルし、リサイクル回数と種子
粒径及び抽出液中のR−SiO2 濃度の変化を調べた。
その結果を表5に示す。
【0061】〔比較例5〕実施例2に於いて脱硅生成物
の一部を種子として分割したが、実施例3のような粉砕
を行わず脱硅反応槽にリサイクルし、リサイクル回数と
種子粒径及び抽出液中のR−SiO2 濃度の変化を調べ
た。その結果を表5に示す。
【0062】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明方法を実施する場合の一つの実施形態
のフローシート、
【図2】は従来公知のバイヤー工程の一実施形態を示す
フローシート、
【図3】はボーキサイト中のアルミナと反応性シリカの
アルカリ水溶液に対する溶解速度係数の温度依存性を示
す図である。
【符号の説明】
図1及び図2において、50はスラリー調製槽、51
〜56は予熱器、57は抽出装置、58は固液分離装
置、59は脱珪反応槽、60〜62は冷却用フラッシュ
蒸発缶、63は固液分離装置、64は粉砕機、1はボー
キサイト、2は循環分解液、3〜47はライン(導管)
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲見 道和 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 石橋 和久 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 村上 光明 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化 学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−230613(JP,A) 特開 昭47−18798(JP,A) 特公 昭37−8257(JP,B1) 特公 昭48−37678(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01F 7/06 C01F 7/47

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナ含有鉱石からアルカリ水溶液によ
    りアルミナを抽出する水酸化アルミニウムの製造方法に
    於いて、少量のアルカリ溶液を用いてスラリー化した高
    濃度アルミナ含有鉱石スラリーと、該スラリーと混合後
    のスラリー温度がアルミナの抽出温度以上になる如く予
    熱したアルカリ水溶液を同時に、或いは混合後、管状反
    応器よりなる抽出装置内に仕込み、温度120℃〜16
    0℃、10分以内の抽出条件でアルミナ含有鉱石からア
    ルミナを抽出後、直ちに、抽出温度と等温で抽出液より
    溶解残渣を分離除去し、次いで該抽出液を脱珪処理した
    後、脱珪生成物分離後の抽出液に種子水酸化アルミニウ
    ムを添加し水酸化アルミニウムを析出させることを特徴
    とするアルミナ含有鉱石からの水酸化アルミニウムの製
    造方法。
  2. 【請求項2】アルミナ含有鉱石中のアルミナ形態が主と
    してアルミナ3水和物であることを特徴とする請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】抽出液より溶解残渣を分離除去し、次いで
    該抽出液を温度115℃〜160℃で脱珪処理した後、
    フラッシュ冷却し、脱珪生成物分離後の抽出液に種子水
    酸化アルミニウムを添加し水酸化アルミニウムを析出さ
    せることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】少量のアルカリ溶液を用いてスラリー化し
    た高濃度アルミナ含有鉱石スラリーを80℃〜110℃
    に予熱し、該高濃度アルミナ含有鉱石スラリーと混合す
    るアルカリ水溶液を混合後のスラリー温度がアルミナの
    抽出温度以上になる如くアルカリ水溶液を予熱すること
    を特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】分離した脱硅生成物を粉砕処理し、脱硅処
    理時、種として使用することを特徴とする請求項1記載
    の方法。
JP29003892A 1991-10-30 1992-10-28 アルミナ含有鉱石からの水酸化アルミニウムの製造方法 Expired - Fee Related JP3438240B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29003892A JP3438240B2 (ja) 1991-10-30 1992-10-28 アルミナ含有鉱石からの水酸化アルミニウムの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28464891 1991-10-30
JP3-284648 1991-10-30
JP29003892A JP3438240B2 (ja) 1991-10-30 1992-10-28 アルミナ含有鉱石からの水酸化アルミニウムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05193931A JPH05193931A (ja) 1993-08-03
JP3438240B2 true JP3438240B2 (ja) 2003-08-18

Family

ID=26555556

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29003892A Expired - Fee Related JP3438240B2 (ja) 1991-10-30 1992-10-28 アルミナ含有鉱石からの水酸化アルミニウムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3438240B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7067106B2 (en) * 2003-06-30 2006-06-27 Nalco Company Aluminum hydroxide, made via the bayer process, with low organic carbon
WO2013131563A1 (en) * 2012-03-07 2013-09-12 Alfa Laval Corporate Ab Process and plant for producing a solid product

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05193931A (ja) 1993-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US2806766A (en) Process of purifying caustic aluminate liquors
EP0382383B1 (en) Improved process for producing alumina from bauxite
US3413087A (en) Method for extracting alumina from its ores
US5163973A (en) Process for producing low soda alumina
US1868499A (en) Process of recovering alumina from silicious materials containing it
JP4222631B2 (ja) ボーキサイトからのシリカ除去
US5545384A (en) Process for production of aluminum hydroxide from ore containing alumina
JP3438240B2 (ja) アルミナ含有鉱石からの水酸化アルミニウムの製造方法
JP2000211919A (ja) アルミナ含有鉱石からの水酸化アルミニウムの製造方法
EP0564659B1 (en) Process for producing aluminum hydroxide from alumina-containing ore
US4614641A (en) Parallel purification of alumina with physical pretreatment
AU635821B2 (en) Process for precipitating of aluminium hydroxide from bayer process liquor
JP3316863B2 (ja) 赤泥の分離方法
AU750520B2 (en) Process for the removal of silica from an alkaline solution containing sodium aluminate
JPH0256285B2 (ja)
US5158577A (en) Process for precipitating alumina from Bayer process liquor
US6528028B2 (en) Process for treating bauxite in which a desilication product and an insoluble residure are separately precipitated
JPS62230613A (ja) ボ−キサイトからの水酸化アルミニウムの製造法
JP2002525261A (ja) アルミナプロセス性能を改善するための供給原料の処理
JPH02258621A (ja) 苛性アルミン酸塩液中の有機炭素量を低減する方法および苛性アルミン酸液中のボーキサイト物質の溶解度を増大させる方法
JPH06172876A (ja) ボーキサイト溶解残渣よりなる製鉄用原料組成物の製造方法
JP2001192207A (ja) ボーキサイトの処理方法
WO2023235913A1 (en) A method for producing an aluminous material
OA13269A (fr) Procédé pour réduire l'encrassement de échangeurs thermiques d'un circuit Bayer.
JPS60131824A (ja) バイヤ−法における有機物類の除去方法

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080613

Year of fee payment: 5

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D05

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D05

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090613

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090613

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100613

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100613

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110613

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees