JP3436972B2 - 接種装置 - Google Patents

接種装置

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JP3436972B2
JP3436972B2 JP12631094A JP12631094A JP3436972B2 JP 3436972 B2 JP3436972 B2 JP 3436972B2 JP 12631094 A JP12631094 A JP 12631094A JP 12631094 A JP12631094 A JP 12631094A JP 3436972 B2 JP3436972 B2 JP 3436972B2
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/25Greenhouse technology, e.g. cooling systems therefor

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  • Greenhouses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物の病害や農薬の開
発など、農学の研究や実験に使用する植物用の接種装置
であって、そのうち特に、植物に病原菌を接種した後、
そのまま継続して一定期間(馴化段階を含む)成育させ
ながら観察でき、接種と成育(馴化を含む)とを兼用で
きる接種装置に関する。
【0002】
【従来の技術】植物の病害研究や農薬の研究開発など、
耐病性検定実験や薬剤の効力検定実験などに使用する従
来の接種装置では、特定の病原菌を噴霧接種した植物を
内箱に入れて、温度20〜30℃、湿度は飽和状態の環
境下にて一定期間(例えば、いもち病などでは15時間
前後)保つことにより発病させる。この期間、病原菌を
噴霧接種した植物の表面が乾燥しないように、内箱内の
植物には夜霧を結んだような小さな霧状水滴が降りてい
ることが発病させる重要な条件となる。そして発病後、
植物を内箱から出して別のガラス室や野外に並置し、そ
の後の成育過程を観察していく手法が一般的であった。
【0003】ところで近年は、実験の効率向上や感染防
止のために、例えば、図5に示すように、接種と成育
(馴化)とを兼用できる接種装置1の利用が増加してい
る。かかる接種装置1は、外チャンバ2とその内側に設
置される内箱3との二重箱構造になっており、内箱3の
天井面(或は側壁面)をガラスなどの透過性材質4にて
形成し、内箱3外である外チャンバ2の天井に設けた照
明装置(光源)5で内箱3内に光を照射できるように構
成されている。接種した植物が発病した後、該植物に照
明装置5で光を照射し継続して植物を内箱3内にて一定
期間成育(馴化段階を含む)しながら観察できるもので
ある。
【0004】このような接種装置1において、接種ステ
ージでは、湿度が飽和状態の環境下で一定期間植物の表
面に夜霧を結んだような小さな霧状水滴が降りた状態を
保つために、速度が制限された微弱で均一な気流による
温湿度調整が要求される。このため、接種装置1を内箱
3の外側に外チャンバ2で囲まれた密閉された空間を持
つ二重箱構造とし、外チャンバ2の天井に設けた外チャ
ンバ温度調整機6によって、内箱3と外チャンバ2との
間の空間に内箱3の温度目標値より2〜3℃程度低温の
冷気を循環させて、外側から内箱3を間接的に冷却す
る。すなわち、内箱3内には冷気を直接循環させないと
いう間接冷却方式が採用されている。
【0005】一方、内箱3内の加熱及び加湿は、内箱3
内の下部に設けた温湯槽7aと、温湯槽7a内の水を加
熱する水加熱ヒータ7bと、温湯槽7a内に通気するバ
ブリング器(散気管にブロワの空気を供給するもの)7
cとから成るバブリング方式が採用されている。このよ
うなバブリング方式と前記間接冷却方式とを組合わせた
温湿度調整システムにより、接種ステージにおける微弱
で均一な気流による温湿度の調整が行なわれていた。但
し、内箱3内の加湿は、あくまで水加熱ヒータ7bなど
による温度調整に付随して行なわれるものであり、温度
とは別に湿度を一定値に調整するような湿度制御手段は
特別には設けられていなかった。
【0006】また、外チャンバ2の天井に設けた照明装
置(光源)5は、内箱3内を必要に応じて照射するもの
であり、接種ステージでは必要に応じて研究者が植物の
状態を点検するのに足りる数百ルクス程度の照度を得ら
れればよい。一方、成育(馴化段階を含む)ステージで
は、植物の成育(馴化)に適した温度や湿度と共に、光
合成、光周性、光形態形成など、光の植物への作用のた
めの光強度と分光分布が必要とされる。従って成育ステ
ージでは、照明装置5からの照射により内箱3の天井面
の透過性材質4を経て、放射エネルギーが内箱3内に入
り内部温度が上昇するので、目標温度を維持するために
は、内箱3の外側の空気をより低温にして内箱3の外壁
を十分に冷却し、間接冷却能力を高める必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の接種装置1では、成育ステージにおける植物へ
の光強度に十分対応させるべく照明装置5の光強度を高
めると、内箱3内への放射エネルギーが増加するため、
それに対応させて冷却能力を増強すると、内箱3内と内
箱3外との温度差が大きくなるから、内箱3側の透過性
材質4の内表面が露点温度以下となり、結露が発生して
光透過率が著く低下し、光強度不足を招いてしまうとい
う問題点があった。
【0008】しかも、植物の成育(馴化)には高い湿度
が要求されるので、透過性材質4に複層ガラスを用いる
などの工夫を加えても、光透過率の低下に伴うエネルギ
ーロス、及び透過性材質4以外での内箱3の内表面での
結露水の処理や、結露により低下した湿分補給のための
加湿方式やその能力などから、光強度は数千ルクスが実
用上の上限であった。以上のように、光強度の不足から
実験植物の種類や成育段階に制限が生じてしまい、限ら
れた実験にしか使用できないという問題点があった。こ
れに対して、最近では実験研究の高度化や多様化に伴
い、馴化段階も含めた成育ステージでの光強度は、少な
くとも従来装置1の2倍以上が要望されていた。
【0009】また、従来の接種装置1では、内箱3の湿
度を特別に制御する手段はなく、成育ステージでも接種
ステージと同様に、温度調整の一環である内箱3内の加
熱に付随して高湿度環境を実現する水加熱ヒータ7bな
どから成るバブリング方式により加湿が行なわれていた
から、低湿度環境を実現したい場合もある成育ステージ
においても常時高湿状態となってしまう。従って、照明
装置5の点灯時のみその放射エネルギーにより、いく分
かは湿度を低下させることができるが、基本的には高湿
度状態となってしまって低湿度には調整できず、限られ
た成育実験にしか使用できないという問題点があった。
【0010】ところで、従来の接種装置1では、成育ス
テージでの光強度の増大に伴う放射エネルギーにより温
度上昇を招くので、これに対応すべく内箱3内の冷却能
力を高める一方策として、例えば、外チャンバ温度調整
機6からの吹き出された冷気を内箱3の下部に直接導入
し、内箱3の上部から排気することにより内箱3内の冷
却能力を高めることが考えられる。しかし、この場合に
は接種ステージと成育ステージでの切り換え機構などが
複雑となり後述の如く実用的でない。
【0011】内箱3の下部に例えば送風機で、外チャン
バ温度調整機6からの吹き出された空気を導入し、内箱
3の上部に排気口を設けて排気することは容易である。
この場合、照明装置5からの放射エネルギーの処理をも
含めた熱収支は、内箱3内に導入すべき空気の温度を外
チャンバ温度調整機6の設定温度とすれば風量は、最大
熱負荷計算法により求めることができる。
【0012】しかし、内箱3内の熱収支は、成育ステー
ジでの植物への馴化段階及び成長段階に応じて要求され
る温度、湿度、光強度により熱負荷が異なり、明期と暗
期とでは更に大きく異なる。従って、最大熱負荷計算法
で設計した外チャンバ温度調整機6と風量で従来装置1
を運転した場合は、光強度の段階などにより内箱3内の
負荷が減少した時には内箱3内の温度が低下するので、
送気温度を高めるために再熱が必要となり著しくエネル
ギー損失する。しかも、内箱3内の温度を検出してフィ
ードバック制御により外チャンバ温度調整機6を直接制
御して、内箱3内の温度を設定温度に調節することは、
制御系のレスポンスが余りにも大きく要求される温度制
御を満足させることは不可能である。
【0013】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、先ず、成育ステージにおける内箱
側と外チャンバ側との温度差をなくして、内箱の壁部表
面での結露の発生を防いで光透過率の低下を防止すると
共に、光強度の増強に伴う放射エネルギーを適切に処理
すべく冷却能力を向上させて、成育ステージでの光強度
の大幅な増大を達成することができ、次に、成育ステー
ジにおいて、内箱内を高湿状態のみならず低湿状態にも
調整・維持することができ、幅広く最適な湿度の制御を
行なうことができ、更に、内箱内の温度調整における外
チャンバ温度調整機の温度目標値を最適化することで、
省エネルギー化を実現しコスト低減を図ることができる
極めて実用価値の高い接種装置を提供することを目的と
している。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ための請求項1に係る発明の要旨とするところは、病原
菌を接種した植物(A)を発病させる接種ステージと、
発病後の植物(A)をそのまま継続して成育させる成育
ステージとに対応できる接種装置(10)であって、植
物(A)を収納する内部空間(20a)に光照射可能か
つ加湿可能な内箱(20)と、該内箱(20)外側の周
りの外部空間(11a)を包囲するよう配される外チャ
ンバ(11)とを有し、前記外部空間(11a)に、内
部空間(20a)における所望温度より低温の冷気を循
環させて該内部空間(20a)を間接的に冷却する一
方、前記内部空間(20a)を前記所望温度まで加熱し
て温度調整を行なうよう構成した接種装置(10)にお
いて、前記内箱(20)の壁部(23)の一端側に、前
記接種ステージの際に内箱(20)内と外とを連通不能
に閉じる一方、前記成育ステージの際に内箱(20)内
と外とを連通可能に開いて前記外部空間(11a)の冷
気を内部空間(20a)へ導入する吸気口(32)を設
け、前記内箱(20)の壁部(24)の他端側に、前記
接種ステージの際に内箱(20)内と外とを連通不能に
閉じる一方、前記成育ステージの際に内箱(20)内と
外とを連通可能に開いて前記内部空間(20a)の空気
を外部空間(11a)へ排出する排気口(37)を設
け、前記吸気口(32)の傍らに、前記成育ステージの
際に吸気口(32)から内部空間(20a)へ導入する
外部空間(11a)の冷気を加熱可能な内箱温度調整機
(60)を設けたことを特徴とする接種装置(10)に
存する。
【0015】また、請求項2に係る発明の要旨とすると
ころは、前記請求項1記載の接種装置(10)であっ
て、前記外部空間(11a)側に設けられ、該外部空間
(11a)に、前記内部空間(20a)における所望温
度である内部温度目標値より低温の冷気を循環させて、
前記内部空間(20a)を間接的に冷却する外チャンバ
温度調整機(40)と、前記内部空間(20a)側に設
けられ、該内部空間(20a)を加湿しつつ前記内箱温
度調整機(60)とは別途内部空間(20a)を加熱可
能な加湿機(70)と、前記接種及び成育ステージの際
に、前記内部温度目標値に対応して設定される外部空間
(11a)の温度である外部温度目標値と、外部空間
(11a)の実測温度である外部温度測定値とに基づ
き、外部温度測定値が外部温度目標値になるよう前記外
チャンバ温度調整機(40)の作動を制御する外部温度
制御手段(130)と、前記接種ステージの際に、前記
内部温度目標値と、内部空間(20a)の実測温度であ
る内部温度測定値とに基づき、内部温度測定値が内部温
度目標値になるよう前記加湿機(70)の作動を制御
し、かつ前記成育ステージの際に、同じく前記内部温度
測定値が内部温度目標値になるよう前記内箱温度調整機
(60)の作動を制御する内部温度制御手段(140)
と、前記成育ステージの際に、前記内部空間(20a)
における所望湿度である湿度目標値と、内部空間(20
a)の実測湿度である湿度測定値とに基づき、湿度測定
値が湿度目標値になるよう前記加湿機(70)の作動を
制御する湿度制御手段(150)と、を有することを特
徴とする接種装置(10)に存する。
【0016】また、請求項3に係る発明の要旨とすると
ころは、前記請求項2記載の接種装置(10)であっ
て、前記内部空間(20a)に光を照射する明期と、光
を照射しない暗期とに切換可能であり、かつ明期におけ
る照射光度を段階的に選択できる光源(50)を備え、
前記外部温度制御手段(130)は、少なくとも接種ス
テージか成育ステージかの選択信号と、前記成育ステー
ジにおいて明期か暗期かの選択信号と、前記明期におい
て段階的に選択された照射光度に関する選択信号とに基
づき、前記内部温度目標値に対応する適正な前記外部温
度目標値を設定する補正部(131)を有することを特
徴とする接種装置(10)に存する。
【0017】
【作用】本発明に係る接種装置(10)によれば、先ず
接種ステージにおいては、各種病原菌の何れかを接種し
た植物(A)を内箱(20)の内部空間(20a)に収
納し、かかる内箱(20)の壁部(23)の一端側に設
けてある吸気口(32)を閉じると共に、他端側に設け
てある排気口(37)も閉じる。それにより、接種ステ
ージの際は、内箱(20)内の内部空間(20a)とそ
の外側の外部空間(11a)とが連通不能となる。そし
て、このように密閉された内部空間(20a)の温度を
発病に適した所望温度に調整する。また、病原菌を例え
ば噴霧方式にて接種した植物(A)の表面が乾燥しない
ように、内部空間(20a)の湿度を飽和状態、或はこ
れに近い状態に保つ。
【0018】接種ステージにおける内部空間(20a)
の温度調整は、前記外部空間(11a)に、内部空間
(20a)における所望温度より低温の冷気を循環させ
て該内部空間(20a)を外側から間接的に冷却する一
方、前記内部空間(20a)を前記所望温度まで加熱す
ることにより行なう。具体的には、外部空間(11a)
側に設けた外チャンバ温度調整機(40)により外部空
間(11a)に低温の冷気を循環させる一方、内部空間
(20a)側に設けた加湿機(70)により冷えすぎた
内部空間(20a)を所望温度まで加熱する。このよう
な温度調整方式では、内部空間(20a)には冷気を直
接循環させないため、気流による植物(A)の表面の乾
燥を防ぐことができる。
【0019】更に詳しく言えば、先ず最初は内部空間
(20a)における所望温度を内部温度目標値として、
植物(A)の最適成育温度などを考慮し予め決める。次
に、前記内部温度目標値に対応して、これより低い外部
空間(11a)の温度である外部温度目標値が設定され
る。そして、外部温度制御手段(130)は、前記外部
温度目標値と、外部空間(11a)の実測温度である外
部温度測定値とに基づき、外部温度測定値が外部温度目
標値になるよう外チャンバ温度調整機(40)の作動を
制御する。一方、内部温度制御手段(140)は、前記
内部温度目標値と、内部空間(20a)の実測温度であ
る内部温度測定値とに基づき、内部温度測定値が内部温
度目標値になるよう加湿機(70)の作動を制御する。
【0020】接種ステージにおける内部空間(20a)
の湿度は、ほぼ飽和状態にあればよいため、前記温度調
整に伴う加湿によって、必要な高湿状態を容易に維持す
ることができる。従って、加湿機(70)による特別な
湿度調整は接種ステージでは不要である。また、接種ス
テージは通常1〜2週間程度の短期間であり、植物
(A)に対する光照射は特に必要ではなく、例えば、植
物(A)の状態を点検するのに足りる数百ルクス程度の
照度を得られれば十分である。
【0021】以上のような接種ステージの経過により植
物(A)が発病した後は、植物(A)を内箱(20)に
収納したままの状態で、接種装置(10)を接種ステー
ジから成育ステージへと切り換えればよい。成育ステー
ジにおいては、内箱(20)の壁部にある吸気口(3
2)や排気口(37)を開けて、内箱(20)内の内部
空間(20a)とその外側の外部空間(11a)とを連
通させる。それにより、外部空間(11a)側の冷気は
前記吸気口(32)から内部空間(20a)に直接導入
され、内部空間(20a)の空気は前記排気口(37)
から外部空間(11a)へと排出される。
【0022】成育ステージにおける内部空間(20a)
の温度調整は、前記外部空間(11a)側の低温冷気
を、内部空間(20a)に吸気口(32)より導入しつ
つ排気口(37)から排出するよう循環させて冷却する
一方、前記吸気口(32)の傍らの内箱温度調整機(6
0)により冷えすぎた内部空間(20a)を所望温度ま
で加熱して行なわれる。このように、内部空間(20
a)にも外部空間(11a)側の冷気を直接循環させる
ことにより、温度調整における冷却能力を十分に増強す
ることができる。
【0023】一般に成育ステージでは、植物(A)の光
合成作用のために十分な光強度が必要であるが、かかる
光強度の増強に伴って必然的に増大する内部空間(20
a)への放射エネルギーを、前述したように冷却能力を
増強させることで適切に処理できる。また、内部空間
(20a)と外部空間(11a)とが連通することによ
り、従来技術の如く冷却能力の増強に伴って、内箱(2
0)内と内箱(20)外との温度差が大きくなることも
ないため、内箱(20)の壁部表面などへの結露発生に
よる光透過率の低下を防止することができる。それによ
り、成育ステージにおける光強度を、従来技術に比して
大幅に高めることが可能となる。
【0024】温度調整について更に詳しく言えば、先ず
前記接種ステージと同様に外部温度制御手段(130)
は、外部温度目標値と外部温度測定値とに基づき、外部
温度測定値が外部温度目標値になるよう外チャンバ温度
調整機(40)の作動を制御する。一方、内部温度制御
手段(140)は、内部温度目標値と内部温度測定値と
に基づき、内部温度測定値が内部温度目標値になるよう
内箱温度調整機(60)の作動を制御する。
【0025】このように、成育ステージでは前記接種ス
テージとは異なり、加湿機(70)ではなく内箱温度調
整機(60)で内部空間(20a)を加熱するため、温
度調整に伴い加湿機(70)が作動して内部空間(20
a)が絶えず高湿状態になるようなことはない。それに
より、内部空間(20a)での低湿度環境を実現でき、
しかも次述するように所望の湿度に調整することがもで
きる。
【0026】成育ステージにおける内部空間(20a)
の湿度調整は、加湿機(70)の作動を湿度制御手段
(150)により制御することで行う。すなわち、湿度
制御手段(150)は、予め植物(A)などの種類に応
じて決定された所望湿度である湿度目標値と、内部空間
(20a)の実測湿度である湿度測定値とに基づき、湿
度測定値が湿度目標値になるよう前記加湿機(70)の
作動を制御する。
【0027】また、成育ステージでの内部空間(20
a)における熱収支は、植物(A)に応じて設定される
温度、湿度、光強度により熱負荷が異なり、明期と暗期
とでは更に大きく異なる。従って、植物(A)に必要な
光を照射する光源(50)が、内部空間(20a)に光
を照射する明期と、光を照射しない暗期とに切換可能で
あり、かつ明期における照射光度を段階的に選択できる
場合には、光強度の段階などにより内部空間(20a)
の負荷が減少した時には該内部空間(20a)の温度が
低下するので、外チャンバ温度調整機(40)の送気温
度を高めたり、或は内箱温度調整機(60)による再加
熱が必要となり、著しくエネルギー損失する。
【0028】これに対して、前記外部温度制御手段(1
30)が、少なくとも接種ステージか成育ステージかの
選択信号と、明期か暗期かの選択信号と、段階的に選択
された照射光度に関する選択信号とに基づき、内部温度
目標値に対応する適正な外部温度目標値を設定する補正
部(131)を有すれば、内部空間(20a)の温度調
整における外チャンバ温度調整機(40)の温度目標値
を、省エネルギー化の観点より最適化することができ、
コストを低減することができる。
【0029】
【実施例】以下、図面に基づき本発明の各種実施例を説
明する。図1〜図3は本発明の第1実施例を示してい
る。図1に示すように、本実施例に係る接種装置10
は、植物の病害研究や農薬の研究開発のための耐病性検
定実験や薬剤の効力検定実験などに使用する装置であ
り、病原菌を接種した植物Aを発病させる接種ステージ
と、発病後の植物Aをそのまま継続して成育させる成育
ステージとに対応できるように構成されている。
【0030】接種装置10は、植物Aを収納する内部空
間20aに光照射可能かつ加湿可能な内箱20と、該内
箱20外側の周りの外部空間11aを包囲するよう配さ
れる外チャンバ11との二重箱構造になっており、外部
空間11aに、内部空間20aにおける所望温度より低
温の冷気を循環させて該内部空間20aを間接的に冷却
する一方、前記内部空間20aを前記所望温度まで加熱
するという温度調整システムが採用されている。
【0031】外チャンバ11の各壁部は断熱材などから
形成されており、該外チャンバ11の内側は密閉されて
いる。外チャンバ11の天井部12の略中央には、内部
空間20aに光を照射する照明装置(光源)50が設け
られている。照明装置50は、複数のハロゲンランプ5
1と、明暗期選択スイッチ102、及び光度選択スイッ
チ103(図3参照)から成る。なお、本実施例におけ
る照明装置50は、内箱20外側の外部空間11a側に
設けられているが、内箱20内側の内部空間20a側に
防湿型の光源を設けてもよい。
【0032】明暗期選択スイッチ102は、各ハロゲン
ランプ51を点燈させて、内部空間20aに光を照射す
る明期と、消灯して光を照射しない暗期とに所定時間毎
に交互に切り換えるタイマースイッチである。この明暗
期選択スイッチ102は、後述する温湿度制御手段10
0に信号線を介して接続されており、明期か暗期かの選
択信号を温湿度制御手段100へ出力するよう設定され
ている。なお、明期と暗期との各時間は自由に設定する
ことができる。
【0033】光度選択スイッチ103は、各ハロゲンラ
ンプ51の点燈時における照射光度を段階的に選択調節
できるものであり、本実施例では強い照度Iと弱い照度
IIとの二段階に調整できるようなっている。この光度選
択スイッチ103も、後述する温湿度制御手段100に
信号線を介して接続されており、照度Iか照度IIかの選
択信号を温湿度制御手段100へ出力するよう設定され
ている。なお、本実施例においては照射光度は2段階の
調節であるが、それ以上細かく調節できるようにしても
よい。
【0034】外チャンバ11の天井部12の一端側に
は、外チャンバ温度調整機40が設けられている。外チ
ャンバ温度調整機40は、外部空間11aに、内部空間
20aにおける所望温度である内部温度目標値SV1
り低温の冷気を循環させて、内部空間20aを間接的に
冷却する装置であり、冷却器41と送風ファン42とを
具備して成る。冷却器41は、コンプレッサ、コンデン
サ及び冷媒を流通させる冷却コイル管などから成る。ま
た、外チャンバ温度調整機40は、後述する温湿度制御
手段100の外部温度制御部130により作動が制御さ
れるように設定されている。
【0035】外チャンバ11内に配されている内箱20
の各壁部は、熱が伝導し易い金属板などから形成されて
いるが、天井部22は、前記照明装置50からの光が透
過できるガラスなどの透過性材質にて形成されている。
なお、図示省略したが内箱20及び外チャンバ11に
は、それぞれ植物などを出し入れするための扉が形成さ
れている。
【0036】内箱20の一側壁部23の下端側には、ス
ライド板31により開閉可能な吸気口32が設けられて
いる。この吸気口32は、接種ステージの際に内箱20
内と外とが連通しないように閉じられる一方、成育ステ
ージの際に内箱20内と外とが連通するように開かれ
て、外部空間11a側の冷気を内部空間20aへ導入す
るための開口部となる。
【0037】また、内箱20の他側壁部24の上端側に
は、ダンパ36により開閉可能な排気口37が設けられ
ている。この排気口37は、前記吸気口32と同様に、
接種ステージの際に内箱20内と外とが連通しないよう
に閉じられる一方、成育ステージの際に内箱20内と外
とが連通するように開かれて、内部空間20a側の空気
を外部空間11aへ排出するための開口部となる。
【0038】内箱20の吸気口32の傍らには、内箱温
度調整機60が設けられている。内箱温度調整機60
は、成育ステージの際に吸気口32から内部空間へ導入
する外部空間11aの冷気を直接加熱する装置であり、
加熱器61と送風ファン62とを具備して成る。加熱器
61は、通電すると発熱する加熱コイルなどから成る。
また、内箱温度調整機60は、後述する温湿度制御手段
100の内部温度制御部140により作動が制御される
ように設定されている。
【0039】内箱20の底部には、加湿機70を構成す
る水槽25が設けられており、水槽25内には水加熱ヒ
ータ71が設置され、水槽25内に温湯を保つようにな
っている。加湿機70は、一般にバブリング装置と称さ
れるものであり、前記水加熱ヒータ71の他に、水槽2
5内に設置される散気管72と、散気管72に内箱20
内を循環した空気を送るブロワ73とを具備して成る。
【0040】ブロワ73は外部空間11aに設けられて
おり、該ブロワ73には内箱20の一側壁部23の上端
から延びる送気管74が接続され、また、ブロワ73か
ら延びる送気管75は内箱20内に導入されて散気管7
2に接続されている。加湿機70は、接種ステージの際
に、温湿度制御手段100の内部温度制御手段140に
より作動が制御されて、内部空間20aの温度調整を行
なう一方、成育ステージの際には、温湿度制御手段10
0の湿度制御手段150により作動が制御されて、内部
空間20aの湿度調整を行なうように設定されている。
【0041】内箱20の下側における吸気口32の丁度
上側には、内箱温度調整機60や加湿機70から生じる
空気の流れを上方に向けて均一な気流分布とするための
吹出し有孔板26が略水平に設けられている。更に、吹
出し有孔板26の上側には、植物Aを載置するための棚
板27が略水平に設けられている。棚板27にも多数の
通気孔が穿設されている。
【0042】次に、図3に示す温湿度制御手段100に
ついて説明する。温湿度制御手段100は汎用コンピュ
ータであり、CPU,ROM及びRAMなどにより構成
され、設定部110と表示部120とを備えている。温
湿度制御手段100は、その設定部110の他、ステー
ジ選択スイッチ101と、前述した照明装置50の明暗
期選択スイッチ102及び光度選択スイッチ103と、
内部温度センサ91と、外部温度センサ92と、湿度セ
ンサ93からの各信号に基づいて、外チャンバ温度調整
機40、内箱温度調整機60、及び加湿機70に信号を
出力してこれらを制御するものである。
【0043】設定部110は、湿度設定スイッチ111
と、温度設定スイッチ112と、明期温度設定スイッチ
113と、暗期温度設定スイッチ114とを有する。湿
度設定スイッチ111は、成育ステージの際の内部空間
20aにおける所望湿度である湿度目標値SV3 の設定
を行なうスイッチであり、湿度制御手段150に信号を
出力するものである。温度設定スイッチ112は、接種
ステージの際の内部空間20aにおける所望温度である
内部温度目標値SV1 の設定を行なうスイッチであり、
内部温度制御手段140及び外部温度制御手段130に
信号を出力するものである。
【0044】明期温度設定スイッチ113は、成育ステ
ージが明期の際の内部空間20aにおける所望温度であ
る内部温度目標値SV1 の設定を行なうスイッチであ
り、内部温度制御手段140及び外部温度制御手段13
0に信号を出力するものである。暗期温度設定スイッチ
114は、成育ステージが暗期の際の内部空間20aに
おける所望温度である内部温度目標値SV1 の設定を行
なうスイッチであり、内部温度制御手段140及び外部
温度制御手段130に信号を出力するものである。
【0045】また、ステージ選択スイッチ101は、接
種装置10の内部空間20aにおける環境を接種ステー
ジか、成育ステージかに予め選択するためのスイッチで
あり、接種ステージか成育ステージかの選択信号を温湿
度制御手段100へ出力するよう設定されている。かか
るステージ選択スイッチ101を接種ステージにセット
すると、図3中の各切換スイッチ101a,101bの
可動端子は、接種側端子に接続し、ステージ選択スイッ
チ101を成育ステージにセットすると、図3中の各切
換スイッチ101a,101bの可動端子は、成育側端
子に接続するように設定されている。
【0046】内部温度センサ91は、内部空間20aの
実測温度である内部温度測定値PV1 を検出するセンサ
であり、外部温度センサ92は、外部空間11aの実測
温度である外部温度測定値PV2 を検出するセンサであ
り、湿度センサ93は、内部空間20aの実測湿度であ
る湿度測定値PV3 を検出するセンサである。また、表
示部120は、前記各センサ91,92,93や設定部
110に接続されており、各目標値や各測定値などの数
値を目視可能に表示するものである。
【0047】外部温度制御手段130は、接種及び成育
ステージの際に、前記内部温度目標値SV1 に対応して
設定される外部空間11aの温度である外部温度目標値
SV2 と、外部空間11aの実測温度である外部温度測
定値PV2 とに基づき、外部温度測定値PV2 が外部温
度目標値SV2 になるよう外チャンバ温度調整機40の
作動を制御するものである。
【0048】外部温度制御手段130は、接種ステージ
か成育ステージかの選択信号と、前記成育ステージにお
いて明期か暗期かの選択信号と、前記明期において段階
的に選択された照射光度に関する選択信号とに基づき、
前記内部温度目標値SV1 に対応する適正な外部温度目
標値SV2 を設定する補正部131を備えている。な
お、補正部131の詳しい作用については後述する。
【0049】外部温度制御手段130に入力された各温
度設定スイッチ112,113,114からの内部温度
目標値SV1 は、先ず補正部131で関連設定情報との
組合わせにより省エネルギー化の観点から最適な外部温
度目標値SV2 に補正され、かかる外部温度目標値SV
2 は、外部温度センサ92から入力した外部温度測定値
PV2 との比較回路132を経て、外部温度制御演算部
133に入力され、演算された操作出力MV2 が、接種
及び成育ステージを通じて外チャンバ温度調整機40の
冷却器41を制御するように設定されている。
【0050】内部温度制御手段140は、接種ステージ
の際に、前記内部温度目標値SV1と内部温度測定値P
1 とに基づき、内部温度測定値PV1 が内部温度目標
値SV1 になるよう加湿機70の作動を制御し、かつ成
育ステージの際に、同じく内部温度測定値PV1 が内部
温度目標値SV1 になるよう内箱温度調整機60の作動
を制御するものである。
【0051】内部温度制御手段140に入力された各温
度設定スイッチ112,113,114からの内部温度
目標値SV1 は、内部温度センサ91から入力した内部
温度測定値PV1 との比較回路141を経て、内部温度
制御演算部142に入力され、演算された操作出力MV
1 が、接種ステージでは加湿機70の水加熱ヒータ71
を制御し、成育ステーシでは内箱温度調整機60の加熱
器61を制御するように設定されている。
【0052】湿度制御手段150は、成育ステージの際
に、内部空間20aにおける所望湿度である湿度目標値
SV3 と、内部空間20aの実測湿度である湿度測定値
PV3 とに基づき、湿度測定値PV3 が湿度目標値SV
3 になるよう加湿機70の作動を制御するものである。
湿度制御手段150に入力された湿度設定スイッチ11
1からの湿度目標値SV3 は、湿度センサ93から入力
した湿度測定値PV3との比較回路151を経て、湿度
制御演算部152に入力され、演算された操作出力MV
3 が、成育ステージで加湿機70の水加熱ヒータ71と
ブロワ73を制御するように設定されている。
【0053】次に作用を説明する。図1に示すように、
先ず接種ステージにおいては、各種病原菌の何れかを接
種した植物Aを内箱20の内部空間20aに収納し、か
かる内箱20の一壁部23の下端側に設けてある吸気口
32を閉じると共に、他壁部24の上端側に設けてある
排気口37も閉じる。それにより、内箱20内の内部空
間20aとその外側の外部空間11aとが連通不能とな
る。そして、このように密閉された内部空間20aの温
度を発病に適した所望温度に調整する。また、病原菌を
接種した植物Aの表面が乾燥しないように、内部空間2
0aの湿度を飽和状態、或はこれに近い状態に保つ。
【0054】接種ステージにおける内部空間20aの温
度調整は、外チャンバ温度調整機40により外部空間1
1aに低温の冷気を循環させて内部空間20aを間接的
に冷却する一方、加湿機70により冷えすぎた内部空間
20aを所望温度まで加熱することにより行なう。この
ような温度調整方式では、内部空間20aに冷気を直接
循環させないため、気流による植物Aの表面の乾燥を防
ぐことができる。
【0055】更に詳しく言えば、図3において、先ず最
初にステージ選択スイッチ101を接種ステージにセッ
トし、設定部110の温度設定スイッチ112により内
部温度目標値SV1 を、植物Aの最適成育温度などを考
慮してセットする。外部温度制御手段130に入力され
た温度設定スイッチ112からの内部温度目標値SV1
は、先ず補正部131で、間接冷却のために予め定めら
れているバイアス温度T1(通常2〜3℃)を減じて外
部温度目標値SV2 に補正される。
【0056】補正された外部温度目標値SV2 は、外部
温度センサ92から入力した外部温度測定値PV2 との
比較回路132を経て、外部温度制御演算部133に入
力されて演算される。このようにして算出された操作出
力MV2 によって、外チャンバ温度調整機40の冷却器
41は、外部温度測定値PV2 が外部温度目標値SV2
になるように発熱量を適宜増減すべく制御される。な
お、外チャンバ温度調整機40の送風ファン42による
風量は、最大熱負荷計算法により求めることができる。
【0057】一方、内部空間20a側では、加湿機70
の水加熱ヒータ71やブロワ73が作動して、水槽25
内の散気管72から通気された空気が内部空間20aを
循環することで、内部空間20a側の空気は加湿されつ
つ加熱される。更に詳しく言えば、温度設定スイッチ1
12から出力された内部温度目標値SV1 は、前記外部
温度制御手段130の他に内部温度制御手段140にも
入力する。
【0058】内部温度制御手段140に入力した内部温
度目標値SV1 は、内部温度センサ91から入力した内
部温度測定値PV1 との比較回路141を経て、内部温
度制御演算部142に入力されて演算される。このよう
にして算出された操作出力MV1 によって、加湿機70
の水加熱ヒータ71の加熱量を制御して水槽25の温湯
温度を調節し、これに追従するバブリング空気温度によ
って、内部空間20aの内部温度測定値PV1 が内部温
度目標値SV1 になるよう調節され、かつ湿度は飽和状
態に保たれる。
【0059】接種ステージにおける内部空間20aの湿
度は、ほぼ飽和状態にあればよいため、前記温度調整に
伴う加湿によって、必要な高湿状態を容易に維持するこ
とができる。従って、加湿機70による特別な湿度調整
は接種ステージでは不要である。また、接種ステージは
通常1〜2週間程度の短期間であり、植物Aに対する光
照射は特に必要ではなく、例えば、植物Aの状態を点検
するのに足りる数百ルクス程度の照度を得られれば十分
である。
【0060】以上のような接種ステージの経過により植
物Aが発病した後は、植物Aを内箱20に収納したまま
の状態で、ステージ選択スイッチ101を成育ステージ
にセットして、接種装置10を接種ステージから成育ス
テージへと切り換えればよい。以下、成育ステージにつ
いて説明する。
【0061】図2に示すように、成育ステージにおいて
は、内箱20の一壁部23の下端側にある吸気口32や
他壁部24の上端側にある排気口37を開けて、内箱2
0内の内部空間20aとその外側の外部空間11aとを
連通させる。それにより、外部空間11a側の冷気は前
記吸気口32から内部空間20aに直接導入され、内部
空間20aの空気は前記排気口37から外部空間11a
へと排出される。
【0062】成育ステージにおける内部空間20aの温
度調整は、外部空間11a側の低温冷気を内箱温度調整
機60で加熱して内箱20の吹出し有孔板26の下部に
送気し、かかる空気が吹出し有孔板26の小孔から上方
に吹き出して植物Aの傍らを通過し、排気口37から外
部空間11a側に排出することにより行なう。このよう
に、内部空間20aにも外部空間11a側の冷気を直接
循環させることにより、温度調整における冷却能力を十
分に増強することができる。
【0063】また、成育ステージでは、植物Aの光合成
作用のために十分な光強度が必要であるが、かかる光強
度の増強に伴って必然的に増大する内部空間20aへの
放射エネルギーを、前述したように冷却能力を増強させ
ることで適切に処理できる。また、内部空間20aと外
部空間11aとが連通することにより、従来技術の如く
冷却能力の増強に伴って、内箱20内と内箱20外との
温度差が大きくなることもないため、内箱20の天井部
22などへの結露発生による光透過率の低下を防止する
ことができる。それにより、成育ステージにおける光強
度を、従来技術に比して大幅に高めることが可能とな
る。
【0064】光強度の調整は、照明装置50の明暗期選
択スイッチ102によって、内部空間20aに光を照射
する明期と、消灯光して光を照射しない暗期とが所定時
間毎に交互に切り換わるようセットすると共に、光度選
択スイッチ103によって、各ハロゲンランプ51の点
燈時における照射光度を照度Iか照度IIかに予め選択し
ておく。
【0065】温度調整については、前記接種ステージと
同様に外部温度制御手段130が外チャンバ温度調整機
40の作動を制御する。更に詳しく言えば、図3に示す
ように、先ず設定部110の明期温度設定スイッチ11
3と暗期温度設定スイッチ114によって、内部温度目
標値SV1 を暗期と明期とで別々にセットする。内部温
度目標値SV1 は、信号として外部温度制御手段130
に入力され、補正部131で、明期の場合の照度段階に
応じたバイアス温度T3/T4、または暗期の場合のバ
イアス温度T2を減じて外部温度目標値SV2 として、
省エネルギー化の観点より最適な値に補正される。
【0066】最適化された外部温度目標値SV2 は、外
部温度センサ92から入力した外部温度測定値PV2
の比較回路132を経て、外部温度制御演算部133に
入力されて演算される。このように算出された操作出力
MV2 によって、外チャンバ温度調整機40の冷却器4
1は外部温度測定値PV2 が外部温度目標値SV2 にな
るように制御される。
【0067】このように内部空間20aにおける熱収支
が、植物Aに応じて設定される明期や暗期、温度、湿
度、光強度などにより大きく変化する成育ステージにお
いては、前述したように外部温度制御手段130の補正
部131によって、外部温度目標値SV2 を最適化する
ことにより、内箱温度調整機60や外チャンバ温度調整
機40の無駄な稼動を極力抑えることができ、その結
果、コストを低減することができる。
【0068】一方、内部空間20a側では、温湿度制御
手段100の内部温度制御手段140が内箱温度調整機
60の作動を制御する。更に詳しく言えば、明期温度設
定スイッチ113や暗期温度設定スイッチ114から出
力された内部温度目標値SV1 は、前記外部温度制御手
段130の他に内部温度制御手段140にも入力する。
内部温度制御手段140に入力した内部温度目標値SV
1 は、内部温度センサ91から入力した内部温度測定値
PV1 との比較回路141を経て、内部温度制御演算部
142に入力されて演算される。このようにして算出さ
れた操作出力MV1 によって、内箱温度調整機60の加
熱器61の加熱量を制御して、内部温度測定値PV1
内部温度目標値SV1 になるよう調整される。
【0069】成育ステージでは前記接種ステージとは異
なり、加湿機70ではなく内箱温度調整機60で内部空
間20aを加熱するため、温度調整に伴い加湿機70が
作動して内部空間20aが絶えず高湿状態になるような
ことはない。それにより、内部空間20aでの低湿度環
境を実現でき、しかも次述するように所望の湿度に調整
することがもできる。
【0070】成育ステージにおける内部空間20aの湿
度調整は、加湿機70の作動を湿度制御手段150によ
り制御することで行う。更に詳しく言えば、湿度制御手
段150に入力された湿度設定スイッチ111からの湿
度目標値SV3 は、湿度センサ93から入力した湿度測
定値PV3 との比較回路151を経て、湿度制御演算部
152に入力され、演算された操作出力MV3 が、加湿
機70の水加熱ヒータ71とブロワ73を制御する。す
なわち、水加熱ヒータ71による水槽25内の温湯温度
と、ブロワ73によるバブリング通気量を調整すること
により、吹出し有孔板26の下部送気された空気の湿度
を調節し、湿度測定値PV3 が湿度目標値SV3 にな
る。
【0071】図4は本発明の第2実施例を示している。
本実施例に係る接種装置10Aでは、照明装置50A
を、外チャンバ11の天井部12ではなく、内箱20の
天井部22の内側面に設けたものである。すなわち、照
明装置50Aは、外部空間11a側ではなく内部空間2
0a側に設けられている。また、照明装置50Aは、ハ
ロゲンランプではなく防湿型の蛍光ランプ51Aを備え
ている。
【0072】それにより、本実施例では、照明装置50
Aの光を、ガラスなどの透過性材質を通すことなく植物
Aに直接照射できるので、光透過率の低下をなくすこと
ができ、また、光照射に要すエネルギーコストを低減す
ることが可能となる。更に、蛍光ランプ51Aの光を植
物Aに直接照射できるから、該蛍光ランプ51Aにおけ
る光強度が一般にハロゲンランプに比して弱いという欠
点を補うことができ、しかも、植物Aに適した分光分布
を得られるという蛍光ランプ51Aの利点を十分に生か
すことができる。
【0073】以上の第2実施例のように、照明装置50
Aを内部空間20a側に設けるという構成は、第1実施
例で述べた如く、内部空間20aにも外部空間11a側
の冷気を直接循環させて冷却能力を高め、それにより光
照射の放射エネルギーを適切に処理できるという構成を
前提として可能となるものである。なお、第1実施例と
同種の部位については同一符号を付し、重複した説明を
省略する。
【0074】
【発明の効果】本発明に係る接種装置によれば、内箱の
壁部の一端側に開閉可能な吸気口を設け、他端側に開閉
な排気口を設け、前記吸気口の傍らに、成育ステージの
際に吸気口から内部空間へ導入する外部空間の冷気を加
熱可能な内箱温度調整機を設けたから、成育ステージに
おける内部空間と外部空間との温度差をなくして、内箱
の壁部表面での結露の発生を防いで光透過率の低下を防
止すると共に、光強度の増強に伴う放射エネルギーを適
切に処理すべく冷却能力を向上させて、成育ステージで
の光強度の大幅な増大を達成することができる。
【0075】また、成育ステージにおいて、内箱内を高
湿状態のみならず低湿状態にも調整し維持することがで
き、幅広く最適な湿度の制御を行なうことができ、更
に、内箱内の温度調整における外チャンバ温度調整機の
温度目標値を最適化することで、省エネルギー化を実現
しコスト低減を図ることができる。以上により、低コス
トで幅広い環境条件を実現でき、様々な実験に対応する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る接種装置が接種ステ
ージにある際の状態を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る接種装置が成育ステ
ージにある際の状態を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る接種装置の温湿度制
御手段を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る接種装置が接種ステ
ージにある際の状態を概略的に示す断面図である。
【図5】従来の接種装置を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
10,10A…接種装置 11…外チャンバ 11a…外部空間 20…内箱 20a…内部空間 32…吸気口 37…排気口 40…外チャンバ温度調整機 50,50A…照明装置(光源) 60…内箱温度調整機 70…加湿機 100…温湿度制御手段 110…設定部 130…外部温度制御手段 131…補正部 140…内部温度制御手段 150…湿度制御手段
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−207724(JP,A) 特開 昭55−127926(JP,A) 特開 平5−30(JP,A) 特開 平5−308857(JP,A) 特開 平5−95731(JP,A) 特開 平2−156829(JP,A) 実開 昭64−24947(JP,U) 実開 昭61−122675(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01G 9/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】病原菌を接種した植物を発病させる接種ス
    テージと、発病後の植物をそのまま継続して成育させる
    成育ステージとに対応できる接種装置であって、植物を
    収納する内部空間に光照射可能かつ加湿可能な内箱と、
    該内箱外側の周りの外部空間を包囲するよう配される外
    チャンバとを有し、前記外部空間に、内部空間における
    所望温度より低温の冷気を循環させて該内部空間を間接
    的に冷却する一方、前記内部空間を前記所望温度まで加
    熱して温度調整を行なうよう構成した接種装置におい
    て、 前記内箱の壁部の一端側に、前記接種ステージの際に内
    箱内と外とを連通不能に閉じる一方、前記成育ステージ
    の際に内箱内と外とを連通可能に開いて前記外部空間の
    冷気を内部空間へ導入する吸気口を設け、 前記内箱の壁部の他端側に、前記接種ステージの際に内
    箱内と外とを連通不能に閉じる一方、前記成育ステージ
    の際に内箱内と外とを連通可能に開いて前記内部空間の
    空気を外部空間へ排出する排気口を設け、 前記吸気口の傍らに、前記成育ステージの際に吸気口か
    ら内部空間へ導入する外部空間の冷気を加熱可能な内箱
    温度調整機を設けたことを特徴とする接種装置。
  2. 【請求項2】前記請求項1記載の接種装置であって、 前記外部空間側に設けられ、該外部空間に、前記内部空
    間における所望温度である内部温度目標値より低温の冷
    気を循環させて、前記内部空間を間接的に冷却する外チ
    ャンバ温度調整機と、 前記内部空間側に設けられ、該内部空間を加湿しつつ前
    記内箱温度調整機とは別途内部空間を加熱可能な加湿機
    と、 前記接種及び成育ステージの際に、前記内部温度目標値
    に対応して設定される外部空間の温度である外部温度目
    標値と、外部空間の実測温度である外部温度測定値とに
    基づき、外部温度測定値が外部温度目標値になるよう前
    記外チャンバ温度調整機の作動を制御する外部温度制御
    手段と、 前記接種ステージの際に、前記内部温度目標値と、内部
    空間の実測温度である内部温度測定値とに基づき、内部
    温度測定値が内部温度目標値になるよう前記加湿機の作
    動を制御し、かつ前記成育ステージの際に、同じく前記
    内部温度測定値が内部温度目標値になるよう前記内箱温
    度調整機の作動を制御する内部温度制御手段と、 前記成育ステージの際に、前記内部空間における所望湿
    度である湿度目標値と、内部空間の実測湿度である湿度
    測定値とに基づき、湿度測定値が湿度目標値になるよう
    前記加湿機の作動を制御する湿度制御手段と、 を有することを特徴とする接種装置。
  3. 【請求項3】前記請求項2記載の接種装置であって、 前記内部空間に光を照射する明期と、光を照射しない暗
    期とに切換可能であり、かつ明期における照射光度を段
    階的に選択できる光源を備え、 前記外部温度制御手段は、少なくとも接種ステージか成
    育ステージかの選択信号と、前記成育ステージにおいて
    明期か暗期かの選択信号と、前記明期において段階的に
    選択された照射光度に関する選択信号とに基づき、前記
    内部温度目標値に対応する前記外部温度目標値を設定す
    る補正部を有することを特徴とする接種装置。
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