JP3434172B2 - 溶融スラグ流量測定方法とその装置 - Google Patents

溶融スラグ流量測定方法とその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ清掃工場から
排出される焼却灰や飛灰等の灰溶融炉から出滓される高
温スラグの流量測定方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より焼却灰を融点以上(1300〜
1500℃)の高温で加熱処理しスラグとして回収する
灰溶融処理炉は、減容化効果が大きく、又スラグは土
木、建築材料として再利用が期待できる事から、近年種
々の自治体で都市ごみ焼却炉の建設に際し、灰溶融炉の
付帯を望むケースが多くなってきている。そしてかかる
灰溶融炉には電気アーク炉やプラズマ溶融炉等の電気溶
融炉、内部溶融炉やコークスヘッド溶融炉等の燃料式溶
融炉が存在するが、炉全体の熱バランスの均熱化と炉に
加える熱量の最適化を図ることにより炉内温度の変動を
低減して炉全体としての安定運転と、ランニングコスト
の低減と炉寿命の長寿命化を図る必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる見地より灰溶融
炉より出滓されるスラグの流量と温度を測定することに
より、スラグとして炉から排出される熱量を算出し、こ
れにより、前記した課題の解決を図ることを検討してい
る。しかしながら灰溶融炉より出滓されるスラグは13
00〜1500℃前後の高温であるために、直接接触式
の流量計等を用いる事が出来ず、僅かに、バッチ式で一
定時間にたまる重量を測定することから流量を割出す方
式が考えられる。しかしながらバッチ式処理では、タイ
ムラグが生じ、その計測結果に基づいたタイムリーな炉
制御が不可能になる。
【0004】本発明はかかる課題に鑑み、灰溶融炉より
出滓されるスラグ流量を容易に且つ簡便に非接触で実時
間処理が可能な溶融スラグ流量測定方法とその装置を提
供する事を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は溶
融して流れる高温スラグの幅を計測することによりその
断面積が算出可能な形状を有する樋を用意し、前記樋内
を流れる高温スラグの幅を計測してそのスラグ流路断面
積を算出すると共に、前記高温スラグの温度を計測する
ことにより予め設定されたデータからスラグ流速を算出
し、該スラグ流速と前記スラグ断面積からスラグ流量を
求めることを特徴とする。
【0006】本発明を詳細に説明する。前記樋を、例え
ば略V字形断面形状に形成した場合、図1(B)に示す
ように、樋4内を流れる高温スラグ2の幅L1 、L2
…、Ln が求まれば、必然的にその高さh1 、h2
…、hn は幅L1 、L2 、…、Ln に比例して変化する
ために、その高温スラグの流路断面積D1 、D2 、…、
Dn は、Dn =1/2(Ln ×hn )となり、又、hn
=2σ×Ln (2σ:比例定数、既知)であるから Dn =σ×Ln2 …1) となり、高温スラグの幅Ln を計測することによりスラ
グ流路断面積Dn が簡単に算出できる。
【0007】又、溶融状態にある高温スラグは、その温
度と粘度で相関がある事から、前もって温度/粘度の相
関マップデータを作成記憶させておく事により、前記樋
4を流れる溶融高温スラグ2の温度を計測して、前記マ
ップデータからその粘度を求める。そして粘度が求まれ
ば、前記樋4の傾斜角度β及び表面性状等は既知である
ために、周知の流体力学の関係式に基づいて前記樋4内
を流れる溶融スラグ流速Vn を算出することが出来る。
そして前記スラグ流速Vn と前記スラグ断面積Dn を乗
算する事により、対応する時間間隔tn 毎のスラグ流量
Rn (Vn ×Dn )を容易に求めることが出来る。
【0008】請求項2記載の発明は請求項1記載の発明
を効果的に達成するための装置に関する発明で、溶融し
て流れる高温スラグの幅を計測することによりその断面
積が算出可能な、例えば略V字形断面形状を有する樋
と、同樋を流れる高温スラグの幅と温度を計測する赤外
線カメラと、該赤外線カメラによる計測データを取り込
み、それを予め設定されているデータに基づいて演算処
理し、スラグ流量を算出する演算処理部とからなること
を特徴とする。
【0009】本発明によれば、赤外線カメラを用いる事
により温度とともに、測定された高温部の幅のドット数
を算出することにより高温スラグの幅を容易に求めるこ
とが出来、従って計測手段を複数種設ける事なく単一の
赤外線カメラで温度と高温スラグの幅を求める事が出来
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施
形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、そ
の相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、こ
の発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説
明例にすぎない。図1及び図2は、本発明の実施形態に
かかる溶融スラグ流量測定装置を示し、図1(A)はそ
のシステム構成図、図1(B)は赤外線カメラにより高
温スラグの幅Ln を計測することによりスラグ流路断面
積Dn を算出する為の説明図、図2は前記測定装置の回
路ブロック図である。図1(A)において、公知の灰溶
融炉1で溶融した高温スラグ2は、出滓口3より炉外へ
排出される。このとき、前記高温スラグ2は出滓口3の
下部に設置された断面V字形形状の樋4に導かれて、ス
ラグ排出用コンベア7によりシステム外へ搬送される。
前記樋4はコンベア7に向け下方にαの角度で傾斜して
配置され、該樋4上を流れる高温スラグ2は上部に設置
された赤外線カメラ5により温度と幅長(流れと直角方
向)を計測され、このデータを用いて演算処理部6は後
記に示す方法で流量を算出する。
【0011】図1(B)は、高温スラグ2が流れる樋4
の断面図である。高温スラグ2は、αだけ傾斜させたV
字形樋4を流れ落ちるが、この時V字形を形成する樋4
の狭角βは設計時に決まっている為、上辺の長さを求め
ることにより断面積は簡単に算出出来ることは前記した
通りである。この高温スラグ2の上辺の長さを赤外線カ
メラ5により測定し、該赤外線カメラ5により高温スラ
グ2上辺に対応する高温部の幅方向のドット数を算出す
ることにより容易に測定出来る。従って赤外線カメラ5
の座標軸は樋4の高温スラグ2流れ方向に対し直交して
配置するのがよい。
【0012】次に図2に基づいて前記演算処理部6の内
部構成およびその演算動作について説明する。図中5は
赤外線カメラで、CCDカメラのように樋4上を流れる
高温スラグ2の流れ方向と直交する方向(スラグ幅方
向)に二次元座標的に若しくは三次元座標的に配列した
不図示の赤外検知素子群等からなり、該カメラ5より得
た温度データを画像処理手段50に送出する。
【0013】画像処理手段50では、高温スラグ2上辺
に対応する高温部のスラグ幅方向の検知素子の数若しく
は前記検知素子に基づいて画像メモリに展開された高温
部のスラグ幅方向のメモリドット数を算出して高温スラ
グ2上辺の幅Ln を計測して断面積算出手段62に送出
するとともに、前記高温スラグ2上辺の幅Ln 域内の温
度分布より、前記高温スラグ2の平均温度を求め、その
平均温度データ67を演算処理部6よりの出力データと
して出力するとともに、該演算処理部6内の流速算出手
段63に送出する。
【0014】断面積算出手段62では樋4の設計時に得
た比例定数σをデータ記憶手段61より読み出し、前記
1)式に基づいて(Dn =σ×Ln2)スラグ流路断面積
Dnを算出し、流量算出手段65に送出する。又流速算
出手段63では、データ記憶手段64より、温度/粘度
の相関マップデータを読み出し、該前記マップデータか
ら前記高温スラグ2の平均温度に対応する粘度を求め、
次に該粘度とデータ記憶手段64より読み出した前記樋
4の傾斜角度α及び等表面性状等より、所定の流体力学
の関係式に基づいて前記樋4内を流れる溶融スラグ流速
Vn を算出し、流量算出手段65に送出する。する。
【0015】そして前記夫々の算出手段62、63より
算出した流速データと断面積データに基づいて流量算出
手段65にて所定時間tn 内に流れた高温スラグ2の流
量66を求める。以下同様な方法で、所定時間tn 間隔
毎に高温スラグ2の温度67と流量66を求め、そのデ
ータを灰溶融炉1の制御回路70に送信する。
【0016】灰溶融炉1の制御回路70では高温スラグ
2の温度67と流量66とにより、スラグ2として炉1
から排出される所定時間tn 間隔毎の熱量を算出し、炉
1に加える電気エネルギー等の熱量制御を図り、熱バラ
ンスの安定化や、無用な炉内温度変動を防止できる。
【0017】
【発明の効果】以上記載のごとく本発明によれば、灰溶
融炉の運転時において出滓するスラグの流量・温度を容
易に求める事が出来、スラグとして炉から排出される熱
量の算出が可能となるのみならず、炉全体の熱バランス
の計算が可能となり、炉に加える熱量の最適化を図るこ
とが出来る。この結果として、炉全体として安定した運
転が可能となり、余分な温度の上下動がなくなることに
より、ランニングコストの低減と炉寿命の延長を図る事
が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる溶融スラグ流量測定
装置を示し、(A)はそのシステム構成図、(B)は赤
外線カメラにより高温スラグの幅Ln を計測することに
よりスラグ流路断面積Dn を算出する為の説明図であ
る。
【図2】図1の測定装置に組込まれる演算回路ブロック
図である。
【符号の説明】
1 灰溶融炉 2 溶融高温スラグ 3 出滓口 4 樋 5 赤外線カメラ 6 演算処理部 7 コンベア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−56714(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01F 1/00 - 9/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融して流れる高温スラグの幅を計測す
    ることによりその断面積が算出可能な形状を有する樋を
    用意し、 前記樋内を流れる高温スラグの幅を計測してそのスラグ
    流路断面積を算出すると共に、前記高温スラグの温度を
    計測することにより予め設定されたデータからスラグ流
    速を算出し、該スラグ流速と前記スラグ断面積からスラ
    グ流量を求めることを特徴とするスラグ流量測定方法。
  2. 【請求項2】 溶融して流れる高温スラグの幅を計測す
    ることによりその断面積が算出可能な形状を有する樋
    と、同樋を流れる高温スラグの幅と温度を計測する赤外
    線カメラと、該赤外線カメラによる計測データを取り込
    み、それを予め設定されているデータに基づいて演算処
    理し、スラグ流量を算出する演算処理部とからなること
    を特徴とするスラグ流量測定装置。
  3. 【請求項3】 上記樋の流路をV字形断面形状としてな
    ることを特徴とする請求項2記載のスラグ流量測定装
    置。
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JP5229688B2 (ja) * 2009-01-29 2013-07-03 Jfeエンジニアリング株式会社 溶融スラグの冷却固化装置
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