JP3432709B2 - 測位通信複合型自律衛星コンステレーション - Google Patents

測位通信複合型自律衛星コンステレーション

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JP3432709B2
JP3432709B2 JP21273497A JP21273497A JP3432709B2 JP 3432709 B2 JP3432709 B2 JP 3432709B2 JP 21273497 A JP21273497 A JP 21273497A JP 21273497 A JP21273497 A JP 21273497A JP 3432709 B2 JP3432709 B2 JP 3432709B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、静止高度にある
衛星群と中高度にある周回衛星群によって測位通信複合
システムを構成し、各衛星の軌道決定及びクロック同期
を自律的に行い、衛星搭載のクロックに対する要件を緩
和できるようにした測位通信複合型自律衛星コンステレ
ーションに関する。
【0002】
【従来の技術】この発明は、上記のように、例えば日本
の位置する東経135 度付近に配置した5基程度の静止/
地球同期衛星(G群衛星群に相当する)と、例えば高度
1万kmの軌道傾斜角60度の円軌道に配置した18基程度の
周回衛星(L群衛星群に相当する)とを測距電波源及び
電波中継局として使用し、全世界に散在する船舶、航空
機、自動車等の移動体に対して、測位及び移動体通信の
サービスを同時に且つ廉価に提供する機能をもつように
した測位通信複合型自律衛星コンステレーションに関す
るものであるが、従来、衛星を測距電波源とした衛星測
位システムには、既に広く利用されているNavstar GPS
(以下単にGPS と呼ぶ)がある。このシステムでは、24
基の衛星が高度2万kmの円軌道上に全地球表面を覆うよ
うに配置されており、簡便で比較的安価な測位端末装置
でも極めて精度の高い位置情報を得ることができるよう
になっている。また、衛星を利用した移動体通信衛星シ
ステムには、これまで船舶などで広く利用されてきたイ
ンマルサットシステムがある。これは、静止衛星を電波
中継局とする通信衛星システムであり、比較的大きな通
信端末装置が必要である。また現在では、高度千kmの低
軌道に極めて多数の周回衛星を配置して、全世界で音声
通話が可能となる移動体通信衛星システムの開発が進め
られている。したがって、上記従来の測位と通信の手段
を併用するならば、船舶、航空機、自動車等の移動体運
行管理、捜索救難等に活用できる移動体情報ネットワー
クが容易に構築できる状態にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、GPS は
米国が運営する軍事設備であり、良質な測位情報を民生
用として今後も継続的に利用するためには、ディファレ
ンシャル GPS等を行うための誤差補正手段を併用する必
要が生じる。すなわち、現状のGPS は民生用としては、
不要な機能を有しているだけでなく、その利用において
も安全保障上の制約の加えられたシステムであるため
に、民生用として付加的な設備、運用経費が必要とな
る。また、民生用としては、利用料金を公正に且つ簡便
に徴収できるシステム形態であることが望ましいが、GP
S 衛星の測距電波の受信だけで測位を行う方式であるこ
とから考えても、これに簡便な課金機能を付加する方法
は見当たらない。更に、移動体情報ネットワークを構築
するためには測位と通信の端末装置がそれぞれに必要と
なるため、測位及び通信に関する上記の従来技術を適用
するだけでは、移動体に搭載する端末装置のコスト低減
には限界がある。
【0004】また、現状のGPS では、GPS 衛星は地球表
面を周回する。したがって、衛星追跡管制局を数カ所に
設置するだけではGPS 衛星に搭載されたクロックオフセ
ットを頻繁に校正することができないため、個々のGPS
衛星は極めて高価な高安定クロック(原子時計)を搭載
している。また、このクロックは衛星本体に比較して寿
命が短いため、クロック部を冗長構成にして長寿命化を
計らなければならない。このため、GPS では衛星の低価
格化は容易ではない。
【0005】また、数基の静止衛星を配備する現状のイ
ンマルサットシステム(以下、静止/地球同期衛星を利
用したシステムをGEO システムと呼ぶ)では、電波中継
局が高い高度にあるため、衛星1基による通信可能域は
極めて広いという特長があるが、電波伝搬距離が長くな
るため、通信端末には比較的大きなアンテナと送信電力
が必要となる。一方、低高度軌道に多数の衛星を配備す
るIridium 等の移動体通信衛星システム(以下、BIG LE
O システムと呼ぶ)では、伝搬距離が例えばインマルサ
ット衛星の場合の3%程度となり、小型且つ低消費電力
の通信端末の実現が可能となるが、衛星1基でカバーで
きる領域は極めて狭くなる。したがって、グローバル通
信システムを実現するためには、例えばIridium の衛星
配備数は66基であるように、極めて多数の低高度衛星を
配備しなければならない。このように、上述の2種の移
動体通信衛星システムは、それぞれに長所短所を備えた
ものである。
【0006】更に、Iridium のようなBIG LEO システム
を測距電波源として共通利用し、GPS と同等の機能を持
つ測位通信複合衛星システムを構築しようとすれば、配
備されるべき衛星数は、少なく見積もっても 200基を越
えることになる。このため、測位と通信の効率的な複合
化を目指す場合は、BIG LEO システムの採用は得策では
ないと予想される。
【0007】この発明は、従来の測位衛星システム及び
移動体通信衛星システムにおける上記の問題点を解決す
るためになされたものであり、特に異種の軌道高度に配
置された複数の衛星群を併用して、比較的少数の衛星で
測位及び移動体通信のサービス機能をもたせることがで
きるように衛星コンステレーションを構成し、且つ、こ
れを構成する衛星相互の時刻基準の自律的同期化と衛星
軌道の自律的決定を行う機能をもたせることにより、衛
星価格及びその運用経費の低減を実現できるようにした
衛星コンステレーションを提供することを目的とする。
【0008】すなわち、この発明は、全世界に散在する
船舶、航空機、自動車等の移動体に対し、簡便で廉価な
測位及び移動通信の手段を同一の端末装置により同時に
提供することを可能とし、民生用システムの運営に不可
欠な利用料金の公正な徴収を可能とするものであり、ま
た、測距電波源としての衛星の低価格化、電波中継局と
しての衛星個数の低減により、測位通信サービスの利用
料金の低減化を図ることができるようにするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明における測位通信複合型自律衛星コンステレ
ーションの基本構成は、地上に設置した複数の衛星追跡
管制局によって時々刻々の位置及び時刻基準の同期条件
が正確に決定された複数の静止衛星又は地球同期衛星に
よって構成されるG群衛星群と、静止軌道高度よりも低
い軌道に配置された複数の低軌道高度の周回衛星によっ
て構成されるL群衛星群とからなる衛星コンステレーシ
ョンにおいて、G群及びL群衛星群の双方から自己の時
刻基準に基づいて送信された測距電波を相互に受信処理
することにより、L群衛星群の個々の衛星時刻基準をG
群衛星群の維持する時刻基準に同期させると共に、G群
衛星群から送信された測距電波の到達時刻の測定によ
り、L群衛星群の個々の衛星が自己の時刻基準のずれ
(クロックオフセット)と時々刻々の位置を自律的に決
定できるように構成するものである。
【0010】上記のように構成した衛星コンステレーシ
ョンによれば、まず、静止高度にあるG群衛星群のクロ
ックの同期化(ここでは、“クロックの同期化”は“ク
ロックオフセットの推定”と同義で使用する)は、例え
ば東アジアあるいはオセアニアに設置された複数の衛星
追跡管制局との双方向通信によって、ほぼ連続的に行う
ことが可能である。この場合、時刻基準は衛星追跡管制
局にあるとしてよい。また、G群衛星群のどれか1つの
衛星と、例えば1万kmの高度にあるL群衛星群の衛星と
の間では、これらの衛星間の視界が地球によって遮られ
ることが少なく、ほとんど連続的に双方向通信が可能と
なるため、測距電波を相互に受信処理することにより、
L群衛星群のすべての衛星はG群衛星群の時刻基準に同
期させることができる。したがって、G群及びL群衛星
群の衛星にはGPS 衛星のように高安定クロックを搭載す
ることは必ずしも必要ではなくなる。
【0011】ここで、L群衛星群の衛星軌道高度を1万
kmとしたものを例示しているが、これは必須の条件では
なく、移動体通信のリンクマージンの要求によって決定
される事項である。例えば、軌道高度を低くすれば通信
回線余裕は増大するが、配置衛星数を増加させる必要が
生じる。
【0012】また、上記構成の衛星コンステレーション
によれば、G群衛星から送信される測距電波の到達時刻
の測定により、L群衛星は自己の時々刻々の位置を決定
できる。この場合、地上の衛星追跡管制局からの衛星追
跡管制とは異なり、ほとんどの測定において大気や電離
層等による電波伝搬遅延誤差が発生しない。更に、L群
衛星群の衛星軌道高度が1万kmの場合、前述のようにG
群衛星群からの測距電波がほとんどの時間帯で受信可能
な状態となるため、L群衛星群の衛星軌道要素を頻繁に
推定することができる。したがって、地上からの衛星追
跡管制の場合よりもL群衛星群の正確な衛星軌道決定が
可能となり、測位精度を高めることができる。
【0013】本願請求項1記載の発明は、上記構成の測
位通信複合型自律衛星コンステレーションを用い、L群
衛星群の個々の衛星が自律的に決定したクロックオフセ
ットに基づき測距電波を送信することにより、G群衛星
群だけでなくL群衛星群をも含めて測距電波源として使
用して、全地球表面に散在する多数の移動体に対して測
位サービス機能をもつように構成すると共に、L群衛星
群に地上無線局間の双方向通信を行う電波中継手段を搭
載して、全地球表面に散在する多数の移動体に対して通
信電波の送受信タイミングの正確な管理に基づく移動体
通信サービス機能をもつように構成するものである。
【0014】上記のように構成した衛星コンステレーシ
ョンによれば、L群衛星群に属する個々の衛星の時刻基
準がG群衛星群の維持する共通時刻基準に同期して更新
される(以下、“同期して更新”を単に“同期”と言
う)ため、L群衛星は互いに同期したエポックを持つ電
波を送信することができる。したがって、この電波に自
己の衛星軌道要素等のデータを重畳することにより、L
群衛星は測位のための測距電波源とすることができる。
更に、例えば18基のL群衛星を高度1万kmの軌道に配置
した場合、全世界で平均3基から5基の衛星が可視状態
になるようにL群の衛星を配置することが可能となる。
この可視衛星数は、2次元測位や衛星・移動体間クロッ
ク同期を前提とする同期型測位のための測距電波源とし
て十分である。言うまでもなく、これらのL群衛星は地
上無線局間の双方向通信を行うための電波中継手段を搭
載することにより、電波中継局としての機能も達成する
ことになるが、L群衛星の送信又は中継した測距電波の
到達時間差を測定することのできる地球局の支援を得
て、移動体の時刻基準をG群衛星の時刻基準に同期した
L群衛星の時刻基準と同期させることにより、衛星配置
数が少なくてよい時刻同期型の測位方式を適用すること
が可能となる。
【0015】請求項2記載の発明は、測位通信複合型自
律衛星コンステレーションの基本構成として、L群衛星
群は自己の時刻基準に基づいた測距電波を送信すること
はせず、G群衛星群のいずれかの衛星からL群衛星群の
それぞれの衛星に送信されたL群衛星の軌道データを重
畳した測距電波を単に中継してG群及びL群衛星群を測
距電波源として使用すると共に、G群衛星群はL群衛星
群により中継されて戻ってきた測距電波の往復伝搬時間
を測定することにより、L群衛星群の位置を自律的に決
定できるように構成したものを用いるものである。
【0016】上記のように構成した測位通信複合型自律
衛星コンステレーションによれば、L群衛星が地球の影
に入る場合を除き、ほとんどの時間帯でG群衛星群とL
群衛星群との直接通信が可能である。したがって、G群
衛星が送信した電波を中継する手段をL群衛星に具備さ
せると、個々のL群衛星において測距電波を生成する必
要はなくなり、L群衛星の価格を低減することができ
る。この場合、L群衛星によって中継されるG群衛星群
送出の測距電波には、G群衛星だけでなくL群衛星の軌
道要素のデータを重畳しなければならない。L群衛星の
軌道要素は、L群衛星によって中継されて戻ってきたG
群衛星送出の測距電波の往復伝搬時間を複数のG群衛星
で測定することにより算出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、実施の形態について説明す
る。図1は、本発明に係わる測位通信複合型自律衛星コ
ンステレーションの実施の形態の一例を示す全体構成図
である。図2は、双方向通信を用いて測距電波を相互に
受信処理してL群衛星の時刻基準をG群衛星の時刻基準
に同期させると同時に、G群衛星とL群衛星との間の距
離を決定する原理を示す概念図である。図3はG群の衛
星とL群の衛星との間の往復測距に基づき、L群衛星の
時々刻々の位置を決定する原理を示す概念図である。図
4は、本発明に係る測位通信複合型自律衛星コンステレ
ーションの特徴を更に具体的に示す一例として、G群衛
星群が静止衛星2基と軌道傾斜角45度の地球同期衛星3
基とからなり、L群衛星群が軌道傾斜角60度、軌道高度
1万kmの周回衛星18基からなる場合の衛星コンステレー
ションの軌道を世界地図上に投影したものである。
【0018】次に、上記図示の衛星コンステレーション
の実施の形態について詳細に説明する。まず、図1に示
すように、本発明に係る測位通信複合型自律衛星コンス
テレーションは、地球表面から見て地球を周回しない静
止衛星、地球同期衛星などの高高度衛星からなるG群衛
星群101 と、G群衛星群101 よりも低高度にある周回衛
星からなるL群衛星群102 の2種類の衛星群を用いて、
時刻同期した測距電波103 及び104 の送出を行うと共
に、移動体105 と地上固定局106 と間で双方向通信を行
う電波107 の中継を行い、移動体105 に対して測位通信
複合サービスを提供するように構成されている。なお、
図1において、108 は地球を示している。
【0019】図2において、G群衛星群201 に属する衛
星201-1の時々刻々の位置及びクロックオフセットは、
複数の衛星追跡管制局202 との測距電波203 ,204 の交
信により算出され、軌道要素が更新される。ここでクロ
ックオフセットとは、この衛星コンステレーションが基
準とみなす時刻、即ちマスタークロックとのずれであ
る。この軌道要素とクロックオフセット(以下、衛星測
距データと呼ぶ)はG群衛星201-1に通報される。
【0020】G群衛星201-1は自己の時刻基準、即ちマ
スタークロックに基づいて、上述の衛星測距データを重
畳した測距電波205 をL群衛星群206 に属する衛星206-
1に向けて送信する。ここで、測距電波とは電波に刻ま
れた時刻信号のエポックの正確なタイミングを抽出でき
る擬似雑音コードによって拡散した電波のことであり、
これを更に変調して前記衛星測距データ等を送信するこ
とができる。L群衛星206-1もまた自己の時刻基準に基
づいて、測距電波207 をG群衛星201-1に向けて送信す
る。
【0021】G群衛星201-1及びL群衛星206-1は、そ
れぞれの衛星が送信した測距電波205 及び207 を相互に
受信し、それぞれの衛星での測距電波の送信と受信との
時間間隔T1 及びT2 を測定する。これらの測定値を相
手方に通報すれば、次式(1),(2)の計算により、
どちらの衛星においても衛星間距離RS 及びクロックオ
フセットTB の推定が可能である。但し、Cは光速であ
る。 TB =(T1 −T2 )/2 ・・・・・・・・・・(1) RS =C(T1 +T2 )/2 ・・・・・・・・・(2)
【0022】したがって、上記のようにL群衛星と3基
のG群衛星との間で、RS 及びTBの推定を行えば、当
該のL群衛星の位置を算出することができる。実際、G
群衛星の時刻基準がすべて同期しているため、当該のL
群衛星は1基のG群衛星に対するクロックオフセットT
B を推定するだけでよい。他の2基のG群衛星に対して
は同期条件が成立しているため、次式(3)により、G
群衛星の測距電波を受信するだけで当該G群衛星との間
の距離を推定することができる。 RS =C(T1 −TB ) ・・・・・・・・・・・(3)
【0023】以上の測定を所定の頻度で行えば、L群衛
星群に属するすべての衛星の衛星測距データ(軌道要素
とクロックオフセット)を推定することができ、衛星管
制機能を含めて測位通信複合衛星コンステレーションの
自律性を高めることができる。
【0024】次に、上記のようにしてL群衛星群の個々
の衛星が自動的に決定したクロックオフセットに基づい
て、L群衛星群が自己の衛星軌道要素等のデータを重畳
した測距電波を送信することにより、L群衛星群は、G
群衛星群と共に測距電波源とすることができ、全地球表
面に散在する多数の移動体に対して測位サービス機能を
もつようになる。また更にL群衛星群に、地上無線局間
の双方向通信を行うための電波中継手段を搭載すること
により、電波中継局としての機能をもつことになり、全
地球表面に散在する多数の移動体に対して通信サービス
機能をもつようになる。
【0025】請求項記載の発明におけるL群衛星の軌
道要素の算出は、L群衛星が測距電波を送出せず時刻基
準を持たないため、上述の原理とやや異なる。この原理
を具体的に説明するために、図3に示すように、G群の
衛星G1(301)の測距電波310がL群の衛星Li (304) に
よって中継され、この測距電波が3基のG群衛星G1(30
1),G2(302), G3(303)によって受信される場合を想定
する。まず、G群衛星は互いに同期しているため、G群
衛星G1 ,G2 及びG3 は、G群衛星G1 が送出したL
群衛星Li 経由の測距電波305 ,306 及び307 の往復伝
搬時間T1ij (j=1,2,3)を測定することができ
る。
【0026】次に、G群衛星Gj (j=1,2,3)と
L群衛星Li 間の距離をRji,光速をCとしたとき、往
復伝搬時間T1ij は次式(4)で表される。 T1ij =(R1i+Rji)/C ・・・・・・・・・(4) よって、次式(5)より、衛星Gj と衛星Li との間の
距離Rjiが求められる。 Rji=C(T1ij −T1i1 /2) ・・・・・・・(5) したがって、衛星Li (304) と時々刻々の位置の既知な
る3基の衛星G1(301),G2(302), G3(303)との間の距
離が求められるため、衛星Li (304) の位置を3次元的
に決定することができる。更に、G群衛星の軌道運動を
考慮に入れた補正を加えることにより、位置決定精度を
高めることが可能である。この方法ではL群衛星の時刻
同期は不要であるが、G群衛星はG群の衛星測距データ
及びL群衛星軌道要素を重畳した測距電波308 をL群衛
星に送信し、L群衛星はG群衛星から送信された測距電
波308 の中継電波309 を地球表面に送信しなければなら
ない。
【0027】図4は、先に述べたように、本発明に係る
測位通信複合型自律衛星コンステレーションの特徴を更
に具体的に示す一例として、G群衛星群が静止衛星2基
と軌道傾斜角60度の地球同期衛星3基とからなり、L群
衛星群が軌道傾斜角60度、軌道高度1万kmの周回衛星
(6時間周回)18基からなる場合の衛星コンステレーシ
ョンの軌道を世界地図上に投影したものであるが、この
図で、番号1から18の点は軌道高度1万km,軌道傾斜角
60度の円軌道に配置されたL群衛星の位置の直下点であ
り、これらがすべて同一の軌跡上を移動するような軌道
要素に設定している。番号19及び20の点は静止衛星、番
号21から23の点は軌道傾斜角60度の円軌道に配置された
地球同期衛星の位置の直下点を示している。
【0028】
【発明の効果】以上、実施の形態に基づいて説明したよ
うに、請求項1記載の発明によれば、静止衛星や地球同
期衛星群であるG群衛星群と、G群衛星群よりも低い高
度の周回衛星群であるL群衛星群とを配置した衛星コン
ステレーションにより、グローバルに展開されたL群衛
星群のクロック同期と軌道決定が自律的に行えるように
なる。これにより、L群衛星群の衛星価格、追跡管制設
備とその運用経費の低減が可能となる。また、L群衛星
群だけで測位通信サービスを提供するためには多数の衛
星が必要になるだけでなく、局域サービスに対しては非
効率であると言ったデメリットがあるが、G群とL群衛
星群の併用により、それぞれの衛星群のメリットを生か
した効率的な衛星コンステレーションを構成することが
できる。また、測距電波源と電波中継局とを同一衛星に
よって達成するように構成しているので、地上局の支援
を得て、衛星と移動体、衛星と地上固定局、或いは移動
局と地上固定局とのクロック同期が可能となり、したが
って、無線局間のクロック同期を前提とした回線接続方
式の適用により効率的な移動体通信が可能になると共
に、同期型測位方式の適用により衛星配置数がGPS より
も少ない場合でも測位ができるようになる。また請求項
記載の発明によれば、G群衛星が送信した電波を中継
する手段をL群衛星に設けることにより、個々のL群衛
星において測距電波を生成する必要はなくなり、L群衛
星の価格を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る測位通信複合型自律衛星コンステ
レーションの実施の形態の一例を示す全体構成図であ
る。
【図2】図1に示した実施の形態において、双方向通信
を用いてL群衛星の時刻基準をG群衛星の時刻基準に同
期させると同時に、G群衛星とL群衛星との間の距離を
決定する原理を示す概念図である。
【図3】図1に示した実施の形態において、G群の衛星
とL群の衛星との間の往復測距に基づき、L群衛星の時
々刻々の位置を決定する原理を示す概念図である。
【図4】測位通信複合型自律衛星コンステレーションの
特徴を更に具体的に示す一例として、G群衛星群が静止
衛星2基と軌道傾斜角60度の地球同期衛星3基からな
り、L群衛星群が軌道傾斜角60度、軌道高度1万kmの周
回衛星(6時間周回)18基からなる場合の衛星コンステ
レーションの軌道を世界地図上に投影したものである。
【符号の説明】
101 静止衛星、地球同期衛星などの高高度衛星群(G
群衛星群) 102 G群衛星群よりも低高度の周回衛星群(L群衛星
群) 103 G群衛星の送出する測距電波 104 L群衛星の送出する測距電波 105 船舶、自動車、航空機などの移動体 106 通信回線制御などを行う地上固定局 107 移動体と地上固定局との間の双方向通信を行う電
波 201 G群衛星群 201-1 G群衛星群に属する衛星 202 G群衛星の軌道決定及びクロック同期等を行うた
めの衛星追跡管制局 203 G群衛星の送出する測距電波 204 衛星追跡管制局の送出する測距電波 205 G群衛星の送出する測距電波 206 L群衛星群 206-1 L群衛星群に属する衛星 207 L群衛星の送出する測距電波 301 G群衛星群に属する衛星G1 302 G群衛星群に属する衛星G2 303 G群衛星群に属する衛星G3 304 L群衛星群に属する衛星Li 305 衛星Li 経由で衛星G1 に戻る衛星G1 送出の測
距電波 306 衛星Li 経由で衛星G2 に戻る衛星G1 送出の測
距電波 307 衛星Li 経由で衛星G3 に戻る衛星G1 送出の測
距電波 308 G群衛星がL群衛星に送出する測距電波 309 L群衛星が中継して地表に送出するG群衛星から
の測距電波 310 衛星G1 が衛星Li に送信する測距電波
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−228183(JP,A) 特開 平4−2913(JP,A) 特開 昭49−29086(JP,A) 特開 平3−270422(JP,A) 特開 平2−187681(JP,A) 特開 平4−175677(JP,A) 特開 平9−130317(JP,A) 特開 昭58−111784(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 5/00 - 5/14 G04G 7/00 H04B 7/14 - 7/195 H04B 7/22 B65G 3/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地上に設置した複数の衛星追跡管制局に
    よって時々刻々の位置及び時刻基準の同期条件が正確に
    決定された複数の静止衛星又は地球同期衛星によって構
    成されるG群衛星群と、静止軌道高度よりも低い軌道に
    配置された複数の低軌道高度の周回衛星によって構成さ
    れるL群衛星群とからなる衛星コンステレーションであ
    って、G群及びL群衛星群の双方から自己の時刻基準に
    基づいて送信された測距電波を相互に受信処理すること
    により、L群衛星群の個々の衛星時刻基準をG群衛星群
    の維持する時刻基準に同期させると共に、G群衛星群か
    ら送信された測距電波の到達時刻の測定により、L群衛
    星群の個々の衛星が自己の時刻基準のずれ(クロックオ
    フセット)と時々刻々の位置を自律的に決定できるよう
    に構成した測位通信複合型自律衛星コンステレーション
    において、L群衛星群の個々の衛星が自律的に決定した
    クロックオフセットに基づき測距電波を送信することに
    より、G群衛星群だけでなくL群衛星群をも含めて測距
    電波源として使用して、全地球表面に散在する多数の移
    動体に対して測位サービス機能をもつように構成すると
    共に、L群衛星群に地上無線局間の双方向通信を行う電
    波中継手段を搭載して、全地球表面に散在する多数の移
    動体に対して通信電波の送受信タイミングの正確な管理
    に基づく移動体通信サービス機能をもつように構成した
    ことを特徴とした測位通信複合型自律衛星コンステレー
    ション。
  2. 【請求項2】 地上に設置した複数の衛星追跡管制局に
    よって時々刻々の位置及び時刻基準の同期条件が正確に
    決定された複数の静止衛星又は地球同期衛星によって構
    成されるG群衛星群と、静止軌道高度よりも低い軌道に
    配置された複数の低軌道高度の周回衛星によって構成さ
    れるL群衛星群とからなる衛星コンステレーションであ
    って、L群衛星群は自己の時刻基準に基づいた測距電波
    を送信することはせず、G群衛星群のいずれかの衛星か
    らL群衛星群のそれぞれの衛星に送信されたL群衛星の
    軌道データを重畳した測距電波を単に中継してG群及び
    L群衛星群を測距電波源として使用すると共に、G群衛
    星群はL群衛星群により中継されて戻ってきた測距電波
    の往復伝搬時間を測定することにより、L群衛星群の位
    置を自律的に決定できるように構成した測位通信複合型
    自律衛星コンステレーションにおいて、G群衛星群だけ
    でなくL群衛星群をも含めて測距電波源と して使用し
    て、全地球表面に散在する多数の移動体に対して測位サ
    ービス機能をもつように構成すると共に、L群衛星群に
    地上無線局間の双方向通信を行う電波中継手段を搭載し
    て、全地球表面に散在する多数の移動体に対して通信電
    波の送受信タイミングの正確な管理に基づく移動体通信
    サービス機能をもつように構成したことを特徴とした測
    位通信複合型自律衛星コンステレーション。
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