JP3430459B2 - 方位情報取得方法及び装置 - Google Patents

方位情報取得方法及び装置

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JP3430459B2 JP2001093964A JP2001093964A JP3430459B2 JP 3430459 B2 JP3430459 B2 JP 3430459B2 JP 2001093964 A JP2001093964 A JP 2001093964A JP 2001093964 A JP2001093964 A JP 2001093964A JP 3430459 B2 JP3430459 B2 JP 3430459B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GPS衛星を用い
て、方位情報を取得する方法及び方位情報を取得する装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】本明細書で「方位特定」とは、ある具体
的な特定方向に対して、ある方位角値を一意に対応づけ
ることを意味し、「方位限定」とは、ある具体的な特定
方向に対して、ある開始方位角値とある終端方位角値と
ある回転方向により規定される扇形状の方位角値範囲を
対応づけることを意味し、方位情報取得とは、方位特定
と方位限定の両者の概念を含むものとする。
【0003】以下、方位限定について説明を加える。例
えば、北を0度として、時計回りに度数が増えるとする
表示系を用いる場合、自分から見てある山の見える方向
である具体的な方向が、方位角37度であると一意に対応
付ける行動は方位特定であり、一方、そこまでの情報が
得られなかった状態で、しかし少なくとも、方位角35度
から方位角49度まで時計回りに示される扇形の中にある
ことは間違いない、との事実をなんらかの情報を手がか
りに、獲得する行動は方位限定といえる。
【0004】方位特定に比較して、この方位限定がきわ
めて迅速にできる場合、方位限定という行動に実際的な
有用性があるといえる。必要に応じて、迅速な方位限定
と、正確な方位特定の双方が可能となればさらに実用性
が高い。即ち、正確さを優先させる場合には方位特定
を、迅速さが優先される場合には方位限定を行えば良い
のである。
【0005】実際に、以下に述べるような具体的状況を
鑑みるに、方位特定と方位限定の双方の必要性が認めら
れる。
【0006】例えば、野外歩行中の視覚障害者や、山岳
部・山間部における濃霧・吹雪状況でほとんど視界の効
かない状態を歩行せざるを得ない状況下の調査山行者・
踏査業務者などを考える。ここで挙げた状況の者にとっ
て、無視界に相応する状態のまま歩行せざるを得ない、
という事実が共通している。もちろん後者は臨時野営な
どすべきであるとされるが、日没後に来る極低温下での
生命の危険の予測、あるいは、暴風雪到来予報による身
体・生命の危険に関する予測が、的確な情勢判断と共に
なされる場合においては、無視界でもある程度の行動決
断をして歩行する場合もある。この無視界歩行は次の共
通の特徴を備える。
【0007】第一に、携帯型衛星測位装置で現在位置が
緯度経度値で判明し、目的地がやはり緯度経度値で明ら
かであり結果として目的地方向への方位角数値を得られ
ることは良くあるが、無視界ということは、視覚による
簡単な概略方位情報取得機能が奪われていることに相当
するので、他の方位情報取得手段をもっていない場合、
該方位角数値を効果的に行動決定に用いることがほとん
どできない。一方、使用場所によって外乱磁気のため結
果が大きく偏ることがあり、しかも、その偏り即ち誤差
幅程度を出力し得ない方位磁石は、無視界歩行の方向決
定といった重要な決断に用いることはできない。GPS衛
星より送信されてくる信号により緯度、経度、高度、GP
S時刻等の方位情報は容易に得られたが、方位情報は得
られない。また、陸上移動体では適切な、移動により再
測位して移動方向方位を算出する方法は、GPS(Global P
ositioning System 衛星測位システムの1つ)の測位誤差
のゆえに歩行距離が相当必要で有視界歩行でさえ負荷が
大きく、無視界歩行で実施することは困難を極める。そ
こで、携帯型衛星測位装置を持参していても、方位を提
供しなかった該装置は、無視界状況にあり視覚依存の概
略方位推定が不可能な者に対しては、的確に歩行方位決
定を支援する機能に不足があった。これを補償できる方
位情報取得方法が必要である。
【0008】第二に、仮になんらかの方法で、ある具体
的方向に進むことを決定し得るとしても、人間は一般に
具体的な地物方向や天体方向等の視覚的に認識される方
向に基づいて自らの進行方向を微修正するフィードバッ
クループにより直進性を維持するので、該無視界状況で
は、進行方向を正しく維持し続けることは困難である。
目をつぶって歩行する場合と同様、方位の確認を頻繁に
行わないと、当初の意志に反して進路が曲線化し、例え
ば、雪崩多発地帯等の危険区域に、踏み込んでいく等の
危険がある。この場合には、きわめて頻繁に方位を確認
するのであるから、いちいちの確認作業に作業負荷が大
きく、行動を制約するようであっては実際の役に立たな
い。無視界歩行を行う者にとって、歩行を継続しながら
でも簡単に操作でき、頻繁に情報取得するに適する程度
の、迅速な方位情報取得方法を持つことが必須となる。
【0009】第三に、視覚が用いられない時には、常に
前方障害物の検知のために手やその延長であるところの
杖等によって障害物探索を行いつづけ、転倒等を回避す
る必要がある。そこで上記の方位特定・方位限定に係る
装置があるとしても、手で持つ携帯型の装置は不適切
で、無視界歩行時の手や杖による前方物体の探知行動を
制約しないよう、装着型の装置が適している。
【0010】以上から、無視界歩行を的確に支援するに
は次の特徴が必要である。第一に、無視界歩行中に進行
方位が意図する方向から逸れていないことをしばしば確
認できるよう、計測の迅速さと簡易さを備え、かつ、誤
差程度を明示可能な方位限定の機能を保持することが必
要となる。第二に、無視界歩行時において、現地点と目
的地点の緯度経度値が得られる時、目的地点への歩行方
向を初期決定できるような、ある程度正確な方位特定機
能を保持することが必要となる。第三に、無視界歩行時
には、手は前方物体の探知と転倒回避を図る重要な手段
となるので、身体や衣類に直接装着可能な装置構成とな
りうるものが適している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】即ち、視覚障害者の日
常野外行動や野外活動業務の支援はもとより、視界不良
を伴う気象条件下での健常者の野外活動業務においても
役立つための方位取得の要件は下記の如くである。 (1)即座に方位限定ができる(無視界歩行の過程で頻繁
な直進性確認に役立つ)。 (2)同一機器で簡易に方位特定もできる(無視界歩行の
開始時の進行方向特定を補佐する)。 (3)小型軽量かつ身体に沿う平面構成を取れるため身体
に装着したまま使用できる(無視界歩行の過程で重要と
なる手をふさがない)。より具体的に特定すれば、以下
のような実際的な特徴を有するものである。 (4)視覚障害者が常時装着し社会生活場面で使用する場
合にも外見上受け入れやすい形状を取れる(日常的に無
視界である歩行者の社会生活を支援できる)。 (5)計測方向が観察者の今向いている顔の方向と常に一
致するため直感的で使いやすい(無視界歩行の過程で頻
繁な使用にも耐えるほど方位取得操作が楽である)。 (6)従来の携帯型衛星測位用機器の要素部品を活用して
微小な改造を加えることで比較的安価に構築できる(無
視界歩行の支援自体にあまり費用がかからない)。 (7)衛星測位機能を所持するので、衛星測位機器を別途
所持する必要がなくなる(無視界歩行時の過程に必要な
携行品を減じることができる)。
【0012】本発明は、上記実情に鑑み、方位限定及び
方位特定で即座に行えると共に携帯が容易な方位情報取
得方法及び装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による方位取得方
法は、それぞれ半球のアンテナパターンを有する一対の
GPSアンテナを、互いに背向して大地に垂直に配置し、
天頂を通る1つの大半円を境として、該GPSアンテナは向
いている方向の上空四分の一天球にアンテナの感度が及
ぶ上空覆域をそれぞれ形成し、それぞれのアンテナに接
続しているGPS受信機に、上空半天球の全てのGPS衛星か
ら送信される信号の捕捉を試みさせ、双方のGPS受信機
での各GPS衛星信号の受信状態の比較から1つあるいは
複数のGPS衛星の存在領域を割り出し、少なくとも一方
のGPS受信機から該GPS衛星方位角を取り出し、各領域に
おいて衛星方位角の数列を時計回りに作成し、初項の方
位角と終項の方位角を抽出し、抽出した少なくとも一つ
の領域で得られた初項の方位角と終項の方位角により方
位を限定する、ことを特徴とする。
【0014】また、本発明による方位取得方法は、それ
ぞれ半球のアンテナパターンを有する一対のGPSアンテ
ナを、互いに背向に大地に垂直に配置し、天頂を通る1
つの大半円を境として、該GPSアンテナは向いている方
向の上空四分の一天球にアンテナの感度が及び上空覆域
をそれぞれ形成し、それぞれのアンテナに接続している
GPS受信機に、上空半天球の全てのGPS衛星から送信され
る信号の捕捉を試みさせ、双方のGPS受信機での各GPS衛
星信号の比較から1つあるいは複数のGPS衛星の存在領
域を割り出し、少なくとも一方のGPS受信機から該GPS衛
星方位角を取り出し、各領域において、衛星方位角の数
列を時計回りに作成し、初項の方位角と終項の方位角を
抽出し、抽出した少なくとも一つの領域で得られた初項
の方位角と終項の方位角により方位を限定し、上記得ら
れた方位角の角度幅を回転角度の上限として、上記一対
のGPSアンテナを水平回転し、それぞれのアンテナに接
続しているGPS受信機に、上空半天球の全てのGPS衛星か
ら送信される信号の捕捉を試みさせ、得られた各GPS衛
星の信号から少なくとも1つの衛星が境界に存在すると
判定されるに至った、その方向で上記一対のGPSアンテ
ナの水平回転を停止し、少なくとも他の1つのGPS衛星
の存在領域判定を行ない、少なくとも一方のGPS受信機
から上記の衛星の方位角を取り出し、上記取り出した1
つの衛星の方位角と、その逆方向の方位角と、境界に存
在すると判定された上記の衛星の方位角の比較により方
位を特定する、ことを特徴とする。
【0015】上記一対のGPSアンテナとして、平面パッ
チアンテナを用いることを含む。
【0016】また上記一対のGPSアンテナは、頭部又は
身体を挟んで互に背向且つ平行で大地に垂直に装着する
ことを含む。
【0017】更に、本発明に依る方位情報取得装置は、
互に平行で且つ背向し、垂直に配置された一対の半球の
アンテナパターンを有するGPSアンテナと、該各GPSアン
テナは、向いている方向の上空4分の1天球にアンテナ
感度が及ぶ上空覆域を形成し、上記一対のアンテナによ
り上記それぞれの上空覆域に存在する衛星より送信され
る信号を捕捉させる手段と、上記各領域において衛星方
位角の数列を時計回りに作成し、初項の方位角と終項の
方位角を抽出する手段と、捕捉された各衛星よりの信号
の比較から衛星の存在していた存在領域を割り出す手段
と、上記各領域の少なくとも一つの領域で得られた初項
の方位角と終項の方位角により方位を限定する手段と、
から成ることを特徴とする。
【0018】また、本発明に依る方位情報取得装置は、
互に平行且つ背向し、垂直に配置された一対の半球のア
ンテナパターンを有するGPSアンテナと、該各GPSアンテ
ナは、向いている方向の上空4分の1天球にアンテナ感
度が及ぶ上空覆域を形成し、上記一対のアンテナにより
上記それぞれの上空覆域に存在する衛星より送信される
信号を捕捉させる手段と、捕捉された各衛星よりの信号
の比較から衛星の存在していた存在領域を割り出す手段
と、上記各領域において衛星方位角の数列を時計回りに
作成し、初項の方位角と終項の方位角の方位角を抽出す
る手段と、上記各領域の少なくとも一つの領域で得られ
た初項の方位角と終項の方位角により方位を限定する手
段と、上記得られた方位角の角度幅を回転角度の上限と
して、該一対のアンテナを水平回転する手段と、それぞ
れの回転している一対のアンテナより上空半天球の全て
のGPS衛星から送信される信号の捕捉を試みさせ、得ら
れた各GPS衛星の信号から少なくとも1つの衛星が境界
に存在すると判定されるに至った、その方向で上記一対
のアンテナの水平回転を停止する手段と、少なくとも他
の1つのGPS衛星の存在領域判定を行い、その衛星の方
位角を取り出す手段と、上記取り出した衛星の方位角
と、その逆方向の方位角と、上記境界に存在すると判定
された上記の衛星の方位角の比較により方位を特定する
手段と、から成ることを特徴とする。から成ることを特
徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】添付図面に基づいて、本発明に係
る方位情報取得方法およびそれを具現化する方位情報取
得装置の一実施形態を詳細に説明する。
【0020】なお、以降の説明では、角度の単位は度(d
eg)を用い、北を0度として時計回り方向に東が90度、南
が180度、西が270度の方位角表示を用いる。また仰角は
水平面を0度として、天頂を90度とする仰角表示を用い
る。
【0021】先ず、図1に基づいて、本発明による方位
限定の取得原理を説明する。図1の中央部に第1平面パ
ッチアンテナ1aおよび第2平面パッチアンテナ1bが設置
されている。第1平面パッチアンテナ1aおよび、第2平面
パッチアンテナ1bは、背向する方向に、かつ、相互に平
行して配置する。そして、両者ともに大地に対して垂直
に設置する。この時、仮に大地に立脚して上からアンテ
ナ配置を見下ろして、第1平面パッチアンテナ1aが左側
に、第2平面パッチアンテナ1bが右側となる配置にした
時、この見下ろしている観察者にとって、体躯の正面と
なる方向を、以下では計測方向5と呼ぶことにする。
【0022】上記第1,第2平面パッチアンテナ1a,1bとし
ては、GPS衛星システムで用いられている右旋円偏波に
対して半球のビームパターンを備えるものを用いる。半
球ビームを持つアンテナパターンのことを稀に文献によ
っては無指向性と、表現しているものがあるが、無指向
性とは正確には等方性(isotropic)の意であるので、こ
こでは無指向性とは即ち、等方性とする用法に従って、
半球のビームパターンを形容する用途には用いない。上
記第1,第2平面パッチアンテナ1a,1bは大地に垂直に立て
られているので、半球のビームのうち、半分は大地を向
いており、使われていない。そして残りの半分は、上空
への感度を持っている。
【0023】このような二枚の平面パッチアンテナを相
互に背向して平行とし、かつ両者を大地に垂直に立てる
と、第1平面パッチアンテナ1aと、第2平面パッチアンテ
ナ1bのそれぞれの実質上の覆域は、図1に示されるよう
に、ある大円の弧としての大半円を境界に上空を二つに
割った状態と一致する。この大半円は、第1平面パッチ
アンテナ1aによる上空覆域6aと第2平面パッチアンテナ1
bによる上空覆域6bの境界となる大半円7である。言い換
えると、第1平面パッチアンテナ1aは、図1中のGPS衛星A
が存在している上空4分の1天球を覆域とし、第2平面
パッチアンテナ1bは、図1中のGPS衛星Bが存在している
上空4分の1天球を覆域とする。
【0024】GPS衛星から発信されている測位用の電波
は、1.5GHz付近のマイクロ波の周波数帯を使用するため
光と同様に直進性が優れており、GPS用の第1平面パッチ
アンテナ1aの上空覆域6a内にあるGPS衛星Aからの信号強
度と、第1平面パッチアンテナ1aの上空覆域6a内にないG
PS衛星Bからの信号強度には明瞭な差異が生じる。した
がって、この信号強度の差異を元に、GPS衛星A、GPS衛
星Bの存在領域を判定することができ、各GPS衛星の存在
領域と各GPS衛星の方位角情報とに基づいて、計測方向5
を方位限定することができる。
【0025】そして、図1においてGPS衛星Cは第1平面パ
ッチアンテナ1aによる上空覆域6aと第2平面パッチアン
テナ1bによる上空覆域6bの境界となる大半円7に存在し
ている。よって、このGPS衛星Cからの信号は、第1平面
パッチアンテナ1aと第2平面パッチアンテナ1bにて受信
されることとなる。GPS衛星システムの軌道が上空約2万
キロと遠方であるため、遠方界から到来する電磁波が、
平行に双方の平面パッチアンテナ1a,1bの覆域6a,6bに入
射し、双方に受信される。本発明では、このように信号
が同時受信された時、GPS衛星Cの存在方向を計測方向5
ないし、計測方向5に180度を加算した方向であるところ
の、反計測方向として判別でき、かつ、既述のGPS衛星A
やGPS衛星Bの方位角情報と領域判定結果を援用すると、
計測方向5の方位特定ができる。
【0026】なお、方位情報取得に用いる平面パッチア
ンテナの大きな特徴として、小型軽量であり、製造が容
易で、安価に作成できることが挙げられる。第1平面パ
ッチアンテナ1a、第2平面パッチアンテナ1bの作成時に
実際には、設計時に無限大地板を仮定して理論的に計算
された対円偏波ビーム幅である半球よりも、若干広い立
体角の対円偏波ビーム幅を構成する平面アンテナが完成
してしまうことがある。これは理論計算上無限地板を想
定して設計する結果と、現実の様相が異なることから生
じる。これについては、下記の文献に明示されている。
【0027】(社)電子情報通信学会発行、「小型・平
面アンテナ」羽石操・平澤一広・鈴木康夫共著、初版平
成8年8月10日発行、P100.
【0028】Global Positioning System: Theory and
Applications Volume I Edited byBradford W. Parkins
on and James J. Spilker Jr. Published by the Ameri
canInstitute of Aeronautics and Astronautics, Inc.
1996, P342-P343, P722.
【0029】このようなビーム形状のずれを基板サイズ
やパッチサイズなどをわずかに変更しながら、修正を施
していき所望のアンテナパターンを得ることはアンテナ
パターンシェーピングとして知られる。
【0030】しかしながら、求めるよりも若干広い立体
角形状のビームになってしまった場合は、本発明ではそ
のまま用いれば良い。すると、図1における大半円が線
ではなく、若干の微小幅を持った(観測者から見ると若
干の視角を持った)帯領域となり、その視角幅があまり
大きくなければ実用に支障はない。後に詳述する方位限
定機能ではこの若干の広がりが計測方向5の微小幅を生
み、衛星を偶発的に捕捉する確率を高める効果がある。
一方、方位特定機能では、方位特定時の精度が微小に下
がると見込まれるが、本発明の目的とするところの実用
に大きな問題はなく、多少の許容度がある事実は製造時
コスト観点からすると好ましい。
【0031】或いは、半天球の設計時計算と異なり、製
作結果が半天球よりも大きめのビームを持つ場合、不要
な感度部分を除去するために、裏側に電波遮蔽素材から
成る遮蔽物質を配置すれば簡単に半天球ビームアンテナ
が構成できる。
【0032】次に、図2に基づいて、本発明に係る方位
情報取得方法を具現化した方位情報取得装置の一実施形
態を説明する。図2において、第1平面パッチアンテナ1a
には、第1GPS受信機2aが接続され、第2平面パッチアン
テナ1bには、第2GPS受信機2bが接続されている。なお、
第1,第2平面パッチアンテナ1a,1bは、上述した如く、相
互に背向して平行とし、かつ両者を大地に垂直に立てた
状態としてある。
【0033】図2における第1GPS受信機2a,第2GPS受信機
2bの持つべき機能・仕様は広く普及しているL1波利用の
小型の携帯型測位装置用が含むGPS受信機と同等でよ
い。すなわち民生用GPS測位装置の小型軽量化に際して
培われた小型性・量産性を受け継ぎ流用する。民生用GP
S測位装置の小型軽量化では、平面パッチアンテナに応
分のサイズのGPS受信機がすでに多く存在している。あ
るいは容易に製造できる。また、平面パッチアンテナと
GPS受信機が筐体に一体型となっており、両者を併せて
も、手のひらにすっぽり収まる程度の小型のものもすで
に安価に存在しており、製造技術として問題はない。こ
れら既存の、小型化技術の蓄積を流用することができる
ので、本発明は経済的にかつ小型に構成できる。
【0034】GPS受信機は次のデータ列を例えば毎秒以
下の周期で出力するもの、即ち、標準的な仕様のものを
用いる。出力に含まれるデータは次のようである。まず
現在時刻、そして、測位データとして、緯度、経度、高
度、測位計算時刻、測位計算モード(3衛星を用いた2
次元測位か4衛星を用いた3次元測位かを示す)、そし
て、チャネル1に割り当てられた衛星番号、衛星仰角、
衛星方位角、チャネル状態、チャネル2に割り当てられ
た衛星番号、衛星仰角、衛星方位角、チャネル状態、
…、チャネルnに割り当てられた衛星番号、衛星仰角、
衛星方位角、チャネル状態である。チャネル数nは通常
12が用いられている。これは12衛星の信号に並列同期
できるもので、現在の標準的な仕様であるといえる。本
発明は、これら普及型の廉価な携帯用L1波GPS受信機と
平面アンテナをほぼそのまま流用できる。
【0035】第1平面パッチアンテナ1aを通して第1GPS
受信機2aは衛星信号に対する同期・復号を試みそして測
位を試みる。同様に第2平面パッチアンテナ1bを通して
第2GPS受信機2bは衛星信号に対する同期・復号を試みさ
らに測位を試みる。即ち第1GPS受信器2a、第2GPS受信機
2bには、通常の携帯型衛星測位装置のGPS受信機同様、
あたかも上空半天球を覆域としているアンテナに接続さ
れている時と全く同じ様に、上空に存在することが期待
されている全GPS衛星の信号探索を行わせるのである。
【0036】尚、 GPS衛星から送信される電波には、全
GPS衛星の軌道情報(アルマナックデータ)も含まれて
おり、これは全ての衛星から送信されている。そのた
め、現在位置からみて仰角0度以上の上空に存在はする
が、地物や地形の遮蔽により信号が遮断されている場合
か、あるいは、アンテナの覆域に存在しておらず、信号
と同期できない状態のGPS衛星についての仰角および方
位角は、どちらかのアンテナによって同期した他のGPS
衛星から受信されたところのデータから簡易な計算によ
って算定および出力可能となっている。事実そのような
情報を出力する機器は存在する。
【0037】また、全GPS衛星はまったく同じ周波数で
信号を送信するが、疑似雑音符号による拡散スペクトル
(Spread Spectrum) 通信方式という技術を用いているた
めに、同じ周波数を用いていても混信するおそれがな
い。疑似雑音符号とよばれる、0と1が一見不規則に交
代するディジタル符号の配列を、それぞれのGPS衛星に
違う配列のものを割り当てることで、各衛星からの信号
を識別し、分離受信が可能となっており、即ち,現在位
置から見て仰角0度以上に存在しているGPS衛星すべてに
関してそれらの上空における仰角、方位角のみならず、
それらの衛星からの信号に対する同期の成立・非成立す
なわち受信状態を分離検出することは原理的に容易とな
っている。
【0038】GPS受信機に信号探索を行わせる過程で、
各衛星のデータである、GPS衛星の衛星番号、衛星仰
角、衛星方位角、チャネル状態を双方のGPS受信機から
から周期的に出力させる。また、測位結果データであ
る、緯度、経度、高度、測位計算時刻、測位計算モー
ド、および現在時刻も双方から周期的に出力させる。な
お、データの出力を行う周期は特に限定されるものでは
なく、現在では毎秒程度のGPS受信機が普及している
が、さらに短い周期で出力するものを用いることが可能
ならば、そうしても良い。
【0039】第1GPS受信機2aから得る各データと、第2G
PS受信機2bから得る各データをデータ処理部3に入力す
る。データ処理部3では、これらのデータを以下のよう
に処理する。
【0040】データ処理部3では、まず各衛星のデータ
に関して方位情報取得用のデータ表を構成する。測位結
果データは、データ処理部3のバッファに溜め、該デー
タ表の完成に必要な参照の目的に供されたのち、結果出
力部4に通知される。方位情報取得用のデータ表の、各
行は各GPS衛星に対応させている。該データ表の最大行
数は、第1GPS受信機2a, 第2GPS受信機2bがそれぞれ並
列信号処理可能な最大衛星数に等しいものとする。ここ
では、第1GPS受信機2a,第2GPS受信機2bが、それぞれ並
列信号処理可能な最大衛星数は、現在市民レベルで実用
されている携帯型測位装置と同等のものとし、12を仮定
する。
【0041】上記データ表の各列は次の項目とする。1
列目には、衛星番号を周期的に記録する。第1GPS受信機
2aからの入力と、第2GPS受信機2bからの入力があるが、
これらの値は同一とみなせる。もし同一でない場合は、
12を越える数の衛星が上空に存在していて、第1GPS受信
機2aと第2GPS受信機2bが、異なった衛星番号の組を捕捉
しようとしているのである。あるいは、どちらかが古い
アルマナックデータを用いているのである。よって、新
しい測位計算時刻の情報を送ってきているGPS受信機が
選択している衛星番号の組をデータ処理部3にて検出
し、残る一方のGPS受信機にその衛星を選択するように
命令を送る。このように信号捕捉を行う衛星番号の組を
指定する機能も携帯型衛星測位装置のGPS受信部におい
て普通の仕様である。
【0042】2列目は衛星方位角を格納し、周期的に更
新する。3列目は衛星仰角を格納し、周期的に更新す
る。2列目と3列目の値に関して、第1GPS受信機2aからの
入力と、第2GPS受信機2bからの入力があるが、これらの
値は同一とみなせる。同一でない場合は、どちらかのGP
S受信機が最新アルマナックデータを衛星から取得中で
あり、やや古いアルマナックデータを用いているのだか
ら、測位計算時刻に関してより新しい情報を送ってきて
いるGPS受信機からの入力を採用することで解決する。
【0043】ここで、仰角に関する情報を検査し、あま
りに高仰角のGPS衛星のデータは後の処理で使わないよ
う除去する。3列目の衛星仰角がきわめて高い(天頂に
近い)衛星は、それらの方位角の数値上差異は認められ
ても、実際の離角としてはごく微小であり、方位角の情
報算出根拠に用いることは好ましくない。そこで、例え
ば仰角85度以上の衛星は以降の方位情報の取得に用い
ないとする。6列目には検査の結果、高仰角衛星として
排除したことを記しておく。仰角が変化して、高仰角を
理由に排除すべき必要がなくなった時に、その記号をク
リアすればよい。
【0044】4列目は第1GPS受信機2aで得られたチャネ
ル状態を周期的に格納する。5列目は第2GPS受信機2bで
得られたチャネル状態を格納する。これらの値は、同期
かそうでないかを示す。
【0045】尚、 GPS衛星から送信される信号は、疑似
雑音符号による拡散スペクトル(Spread Spectrum) 通信
方式という技術を用いているために、1023のコード長を
持つ擬似乱数雑音(PRN: Pseudo Random Noise)符号によ
って拡散変調されている。PRN符号は各GPS衛星に一意に
割り当てられている、固有の識別コードである。そこ
で、各GPS受信機内部のチャネルにおいては、衛星のPRN
符号と同一のレプリカ擬似乱数雑音を発生せしめて同期
を行っている。この同期がぴったりと取れると、雑音に
埋もれていた微弱な拡散信号が、極度に強い信号(同期
成立で40dBほど上昇する)となって識別検出できる。よ
って、同期の成立が確認されたときに受信が成立したと
することが普通である。
【0046】ここで地物や地形による遮蔽を検討する。
衛星が仮に片方のアンテナの覆域に存在しているとして
も、地形や人工建築物や樹木などの地物により見通し伝
播路が遮蔽されていれば、その信号の強度は極端に下が
るため受信機において同期確立が検出できない。そこ
で、両アンテナ系統の受信機におけるチャネル状態がと
もに同期を示さない場合、上記衛星は地物遮蔽ないし地
形遮蔽されていることが極めて高確率で考えられる。こ
のような衛星の情報を、方位情報の算出には用いないよ
う排除する。6列目には、この地物遮蔽ないし地形遮蔽
による排除判定の結果を記しておく。両アンテナ系統の
GPS受信機におけるチャネル状態がともに同期を示さな
い、という条件が解除された時に、この記号も解除すれ
ば良い。
【0047】既述の二つの除外判定即ち、高仰角判定、
あるいは地物・地形遮蔽判定のいずれか、によって除外
された衛星以外を対象に、2列目の衛星方位角データに
より、並び替えを行う。ここでは、北を0度として時計
回り方向に数値が上昇してく方位記載法をとっているの
で、昇順ソートを用いれば衛星方位角は北を基点にして
時計回りの方向に衛星方位角の順番に並ぶ。
【0048】4列目、即ち第1信号強度と、5列目、即ち
第2信号強度をそれぞれ既述の閾値と比較して、衛星の
存在領域の判定を行う。片方のアンテナ系統のGPS受信
機のチャネル状態が同期を示し、他方のアンテナ系統の
GPS受信機のチャネル状態が同期を示さない、該衛星
は、前者のアンテナの覆域に存在すると判定できる。こ
の場合、7列目には前者のアンテナの番号、即ち第1GPS
受信機2aであれば、"1"、あるいは第2GPS受信機2bであ
れば、"2"を格納する。次いで、両アンテナ系統のGPS受
信機のチャネル状態がともに閾値以上の場合、該衛星は
アンテナ背向面の外延が上空半天球に交わる(天頂を含
む)大半円上に存在する。7列目にはそれを表現する数"
0"を格納する。
【0049】以上の手順で、データ処理部3は、データ
表を構成できる。
【0050】ここで、データ処理部3は、データ表の6列
目で示される除外衛星を除いた衛星に関して、7列目、
即ち、領域判定結果を、上から下に読み下す。すでに方
位角について昇順にソートされているから、実質的に北
を基点に時計回り方向に考えた時、方位角の昇順で、衛
星の領域判定結果を読み上げているのと同等になる。
【0051】この結果0,1,2を要素とする数列ができ
る。この数列の最終項を、最初の項に続くものとして、
有方向の円環的並び(以降Rと呼ぶ)を構成する。方位
角は0度と360度が一致して元に戻るので、このように方
位角の順番で並ばせて、かつ、数列の最終項を、最初の
項に続くものとして、有方向の円環的並び、を構成する
ことで、該方位角を基礎とした順序性を保つことができ
る。このRの内部構造は以降において重要となる。
【0052】データ処理部3では、Rの内部構造を簡単に
検査して、その結果に基づいて処理を3分岐する。
【0053】ここで、Rに内在している部分構造である
数列を簡明に表記する目的で、3つの有限数列の定義を
以下に行う。
【0054】S0は「項数が1以上で、全ての項が数"0"
である有限数列」(例:{0,…,0})と定義する。
【0055】S1は「項数が1以上で、全ての項が数"1"
である有限数列」(例:{1,…,1})と定義する。
【0056】S2は「項数が1以上で、全ての項が数"2"
である有限数列」(例:{2,…,2})と定義する。
【0057】これら定義を利用することで、Rの内部状
態判別を簡明に表現する。
【0058】Rの内部の項の並びをS0,S1,S2を用いて置
き換える。
【0059】稀であるが、万一R内にS0が二つ(以上)
存在した場合には、そのうちの一つをS0'と名づける。
ただし、S0'は「項数が1以上で、全ての項が数"0"であ
る有限数列」(例:{0,…,0})と定義する。
【0060】Rの内部構造の状態に関しては、次に示す
状態Aおよび次に示す状態Bおよびそれ以外の場合である
状態Cで、全ての場合が尽くされる。
【0061】即ち、Rの状態が状態Aであるとは、「Rの
内部構造に関して、数列S0とS0'の個数は0個で、か
つ、数列S1と数列S2の各個数は1個以下で両方が同時に
0個ではない」場合とする。
【0062】ついで、Rの状態が状態Bであるとは、「R
の内部構造に関して、数列S0の個数は1個で、数列S0'
の個数は1個以下で、かつ、数列S1と数列S2の各個数は
1個以下で同時に0個ではない」場合とする。
【0063】ついで、Rの状態が状態Cであるとは、「R
は、その内部構造が、状態Aでも状態Bでもない」場合と
する。
【0064】R内に存在した数列それぞれの個数を(S0,S
0',S1,S2)の順番で括弧内に表現する。すると、Rの内部
状態を詳細に表すことができる。
【0065】Rが状態Aであるとは、上記の記法を用いる
と、Rが、(0,0,0,1)、(0,0,1,0)、(0,0,1,1)のいずれか
のケースであることを示す。
【0066】Rが状態Bであるとは、上記の記法を用いる
と、Rが、(1,0,0,1)、(1,1,0,1)、(1,0,1,0)、(1,1,1,
0)、(1,0,1,1)、(1,1,1,1)のいずれかのケースであるこ
とを示す。
【0067】Rが状態Cであるとは、上記の記法を用いる
と、Rが、(0,0,0,0)、(1,0,0,0)、(1,1,0,0)、あるいは
四つの数字の中のいずれかに2以上の数を含むケース
(例えば(1,0,2,1))であることを示す。
【0068】これらのうち特に二つのケースのみが現実
によく現れる。最も頻繁に現れるのは、状態Aに含まれ
ているが、(0,0,1,1)のケースである。このケースの発
生頻度は圧倒的に高い。ついで、状態Bに含まれてい
る、(1,0,1,1)のケースの発生頻度がある程度見られ
る。前者の(0,0,1,1)のケースはは方位限定の最も普通
の場合にあたる。後者の(1,0,1,1)のケースは方位特定
の最も普通の場合にあたる。通常この二つのケースの全
発生頻度をあわせると100%になる。通常使用での他
のケースの発生確率は殆ど0%である。これらの例外的
事象が現れる場合、天空が全く開けていなかったり、天
空の半分が人為的に遮蔽されていたり等の可能性が推定
される。
【0069】各数列における初項と終項は、対応する領
域内に時計回りに現れる方位角順によって定める。
【0070】事例としては確率の低いものであるが、初
項、終項の決め方で明示すべき、いくつかのケースを述
べる。
【0071】稀だが、万一、R内に一つのS1のほかにな
にもないとき(0,0,1,0)、S1の初項・終項の決め方は次
のようにする。仮にS1の項数が1の場合、上記衛星をS1
の初項=終項とする。仮にS1の項数が2以上の場合は、
衛星方位角について円順列を作る。ある衛星の方位角と
時計回りにそのひとつ後の衛星の方位角が構成する角度
が180度以上なら、上記ある衛星をS1の終項に、上記そ
の一つ後の衛星をS1の初項とし、それ以外の項は、上記
方位角の円順列を初項から時計回りに見たときの順序で
規定される項とする。
【0072】これも稀だが、万一、R内に一つのS2のほ
かになにもないとき(0,0,0,1)、S2の初項・終項の決め
方は次のようにする。仮にS2の項数が1の場合、上記衛
星をS2の初項=終項とする。S2の項数が2以上の場合
は、衛星方位角について円順列を作る。ある衛星の方位
角と時計回りにそのひとつ後の衛星の方位角が構成する
角度が180度以上なら、上記ある衛星をS2の終項に、上
記その一つ後の衛星をS2の初項とし、それ以外の項は、
上記方位角の円順列を初項から時計回りに見たときの順
序で規定される項とする。
【0073】また稀な例だが、万一、R内にS0のほかに
なにもないとき(1,0,0,0) 場合には、次の処理を続け
る。仮にS0の項数が1の場合、はその項をS0の初項=終
項とする。仮にS0の項数が2以上の場合、次の処理をす
る。S0に属する衛星の衛星方位角について円順列を作
る。ある衛星(Aとする)の方位角と時計回りにそのひと
つ後の衛星(Bとする)の方位角が構成する角度が170度以
上190度以下で、かつ、ある衛星(Cとする)の方位角と時
計回りにそのひとつ後の衛星(Dとする)の方位角が構成
する角度が170度以上190度以下なら、AをS0の終項に、B
をS0'の初項に、CをS0'の終項に、DをS0の初項にし、そ
れ以外の項は、上記方位角の円順列を初項から時計回り
に見たときの順序で規定される項とする。これで(1,0,
0,0)に見えるものの一部で、(1,1,0,0)にすべきものが
適切に処理された。
【0074】これまでの考察で、全てのケースにおいて
初項、終項を妥当に選ぶことができた。
【0075】以降の方位限定、方位特定の流れを簡明に
表記する目的で、衛星方位角の定義を以下に行う。A(S
1, 1)は、数列S1の初項の衛星の方位角と定義する。A(S
1, e1)は、数列S1の終項の衛星の方位角と定義する。A
(S2, 1)は、数列S2の初項の衛星の方位角と定義する。A
(S2, e2)は、数列S1の終項の衛星の方位角と定義する。
A(S0, m0)は、数列S0の中央項の衛星の方位角と定義す
る。ただし、中央項とは、「項数を2で割った値を下回
らない最小の整数」番目の項と定義する。
【0076】以降の処理の概略をまず大きな観点から簡
単に述べると、次のようになる。Rが状態Aでは、方位限
定ができる。状態Bでは、方位特定ができる。状態Cで
は、観察者に使用方法が適切でないことを示して簡単な
対応(90度の方向転換あるいは上空の見晴らしの良い場
所での使用)を促す。状態Cが発生する確率は極めて低
いことは後述される。
【0077】さて、Rの状態を分岐条件とする3分岐の最
初のケースを述べる。データ処理部3によって、Rが検査
されて、その結果Rの状態が、状態Aであった場合、結果
的には、計測方向5は、2つの条件で規制でき、即座に計
測方向5の方位限定ができる。即ち、計測方向5の方位角
をzとすると次のようにデータ処理部3は判断する。
【0078】状態Aの場合に取得できる第一の方位情報
は次のようになる。数列S1が存在する場合、S1の終項に
関連付けられる衛星方位角を開始方位角として、数列S1
の初項に関連付けられる衛星方位角の逆方向を終端方位
角として、時計回り方向に規定される、方位角領域に、
計測方向の方位角(zとする)は、存在している。
【0079】状態Aの場合に取得できる第二の方位情報
は次のようになる。数列S2が存在する場合、S2の終項に
関連付けられる衛星方位角の逆方向を開始方位角とし
て、数列S2の初項に関連付けられる衛星方位角を終端方
位角とする、時計回り方向に規定される、方位角領域
に、計測方向の方位角(zとする)は存在している。
【0080】上記二つの方位情報の積集合から、データ
処理部3は計測方向5の存在可能範囲を(回転などするこ
となく)ただちに方位角領域を限定することができる。
この方位限定の結果を結果出力部4に通知する。
【0081】仮想コードで表記すると次のようになる。
【0082】
【数1】
【0083】ただし、a < b < c という表記は、 方位
角a,b,cが時計回りにa,b,c,の順序で出現することを示
すものとする。即ち、ある方位角bは、開始方位角aと終
端方位角cにより時計回りに規定される方位角範囲に存
在する、という関係を示している。
【0084】次に、Rの状態が、Bであった場合の手順を
述べる。
【0085】データ処理部3によって、Rが検査されて、
その結果Rの状態が、状態Bであった場合、次の手順で、
計測方向5の方位特定ができる。
【0086】まず、Rの状態が、状態Bであり、かつ、数
列S1が存在する場合は次の処理をする。
【0087】S1の任意の項に関連付けられる衛星方位角
を開始方位角として、S1の上記任意の項に関連付けられ
る衛星方位角の逆方向を終端方位角として、時計回りに
規定される方位角領域に、S0の中央項に関連付けられる
衛星方位角が存在するならば、計測方向zはS0の中央項
に関連付けられる衛星方位角であり、そうでなければ、
計測方向zはS0の中央項に関連付けられる衛星方位角の
逆方向である。
【0088】上記S1の任意の項としては、S1の初項を用
いればよい。
【0089】Rの状態が、状態Bであり、かつ、数列S1が
存在しない場合は次の処理をする。
【0090】S2の任意の項に関連付けられる衛星方位角
を開始方位角として、S2の上記任意の項に関連付けられ
る衛星方位角の逆方向を終端方位角として、時計回りに
規定される、方位角領域に、S0の中央項に関連付けられ
る衛星方位角が存在するならば、計測方向zはS0の中央
項に関連付けられる衛星方位角の逆方向であり、そうで
ないなら、計測方向zはS0の中央項に関連付けられる衛
星方位角そのものである。
【0091】上記S2の任意の項としては、S2の初項を用
いればよい。
【0092】仮想コードで書くと次のようになる。
【0093】
【数2】
【0094】最後に、結果Rの状態が、状態Cであった場
合次のようにする。データ処理部は、結果出力部4に例
外処理であることを通知する。
【0095】Rが状態Cのうち、(0,0,0,0)のケースは天
空が完全に遮蔽されていることを示す。天空の開けた場
所での使用を促す。
【0096】Rが状態Cのうち、(1,0,0,0)のケースは極
めて稀である。計測方向か反計測方向だけで衛星が捕ら
えられている。90度時計回りに回転を促し(0,0,1,0)あ
るいは、(0,0,0,1)へ帰着させられる。これは状態Aで、
方位限定できる。
【0097】Rが状態Cのうち、(1,1,0,0)のケースは極
めて稀である。計測方向か反計測方向だけで衛星が捕ら
えられている。90度時計回りに回転を促し(0,0,1,1)へ
帰着させられる。これは状態Aで、方位限定できる。
【0098】Rが状態Cのうち、数列の個数が2以上のも
のがある場合は、幾何学的にありえない。発生可能性は
殆どない。これがある頻度で生じる場合は、携帯電話な
どなんらかの強い1.5GHz帯を用いる通信機器などのの混
信が考えられる。例えば場所を変えることを促す。
【0099】以下では、結果出力部4の作動を説明する
働きを示す。
【0100】結果出力部4は、計測方向が方位限定(状
態A)ないし方位特定(状態B)された場合には、それを
観察者に音声出力する。例外的に状態Cであった場合に
は、上記に示したように個別の検査をし、観察者に90度
の方向転換を促し、あるいは、より天空の開けている場
所での使用を促す。観察者に90度の方向転換を促す音声
出力を行うのは、Rの状態を状態Aに帰着させる効果があ
るためである。また他の1.5Ghz帯使用機器からの混信が
考えられる場合は携帯電話を切るなどを促す。
【0101】音声で出力することは、視覚障害者にも適
切に行動支援に利用可能だからであるが、液晶画面など
で表示しても良い。
【0102】この際出力する情報としては、次のものを
含むことができる。計測方向の方位情報(方位限定ない
し方位特定の結果)、現在時刻、緯度、経度、高度、最
終測位時刻、例外処理の場合の観察者への勧告、であ
る。
【0103】ところで、方位限定における計測方向5の
方位角の出力形式は、回転方向を定めてある場合、開始
方位角(以降αとする)と終端方位角(以降βとする)
の(α、β)の組を与えることで音声などで観察者に伝
えることができるが、それに限らず、同時に次のような
出力形式も可能である。即ち、概略方位角(以降θとす
る)と、片側誤差(以降δとする)として(θ、δ)の
形式で音声で示すこともできる。θ、δは次のように与
えられる。
【数3】 ただし、x MOD y は xを yで割ったときの剰余を表す。
【0104】回転方向を定めた場合の(α、β)形式、
および(θ、δ)形式で示される、2つの出力形式は、
他方の形式に直ちに変換可能で、どちらの形式で利用者
に与えても、その数値的意味に特段の変わりはない。そ
こで、利用者の目的や便宜に鑑みて観察者選択制とし
て、観察者の利便性が高めても良い。あるいは両方を出
力しても良い。
【0105】また、結果出力に常時ある角度を加算して
出力すれば、観察者の利便性が高まる場合にはそのよう
にすればよい。例えば、胸に第一平面アンテナ1aを、背
中に第二平面アンテナ1bを装着する場合には、計測方向
zは体側右方向なので、結果を(x-90)度として示すと観
察者の体の正面の方位角が得られて利便性が高まる。
【0106】以上で、装置の側から見た処理の流れを説
明した。以下では、観察者の側から見た手順も加えて、
より具体的な情報取得処理の流れを詳述する。
【0107】その全体を概観すると、計測方向を無作為
方向に配向させた時に、Rの状態が既述の状態Aであれ
ば、回転なくしてたちまち、方位限定ができる。その方
位限定から、さらに一段進んでより高い精度を得たい場
合には、上限のある回転を行ってある角度で停止させる
と、Rの状態は既述の状態Bとなり方位限定よりさらに一
段進んだ、方位特定ができる。あるいは計測方向を無作
為方向に配向させた時に、偶発的に、Rが既述の状態Bの
状態を得ていれば、ただちに方位特定までできる。これ
らを実例に則して説明する。なお、説明の便宜上、まず
方位限定を説明し、次いで、方位特定を説明する。
【0108】図3は、上述した実施形態に係る方位情報
取得装置で方位限定を行う際の上空衛星配置と2つのア
ンテナとの関係の一例を示している。図3における同心
円状の図面は、観察者地点の天頂方向を中心とする上空
半天球を、天頂のさらに上から見下ろしたことを想定し
た図である。外周円は仰角0度を示し、各同心円は10度
ごとの仰角を示す。方位角は、上を北(0度)として、
時計回りに東(90度)、南(180度)、西(270度)が補
助的に書き込まれている。小さな散在する丸印は、仰
角、方位角で示されるGPS衛星の位置を表す。この図で
は12個の衛星が描かれている。黒で塗られた小さな丸
印、白抜きの小さな丸印、灰色の小さな丸印があるが、
それらは、おのおの次のものに相応する。灰色の丸は、
処理過程における既述の合理的理由により、処理から除
外判定を受けた諸GPS衛星であり、黒い小さな丸は、第1
平面パッチアンテナ1aの覆域に存在すると後に判定され
る諸GPS衛星であり、白い小さな丸は、第2平面パッチア
ンテナ1bの覆域に存在すると後に判定される諸GPS衛星
である。中心部には、二枚の平面パッチアンテナ1a,1b
が並行に背向して、かつ大地に鉛直に設置されている。
【0109】観察者にとっては、自らが立っている位置
の上空における各衛星の配置状況は分からない。そし
て、方位に関してなんら情報をもたない観察者によって
第1平面パッチアンテナ1aおよび第2平面パッチアンテナ
1bが、並行にかつ背向的に、大地に鉛直に、図3中の中
心に示されるように無作為方向に設置されたとする。計
測方向5は点線で示されている。点線で表されている計
測方向は、この方位限定では、方位が特定はされない意
を込めている。計測方向5と180度反対側に反計測方向が
示されている。この時観察者はまだこの図のような天空
における衛星配置を知らない。
【0110】以下に、計測方向5を方位限定する過程を
具体的に示す。この時、観察者は方位情報取得装置を装
着したまま立っているか、もしくは方位情報取得装置を
動かさないように持っているだけで良く、回転等の行為
を観察者が行う必要はないのである。
【0111】第1,第2平面パッチアンテナ1a,1bに接続さ
れたGPS受信機2a,2bが個別に出力を行った結果を元に、
データ処理部3で作成された12行7列構成のデータ表を表
1として示す。
【0112】
【表1】
【0113】除外判定された衛星の行は最下の2行に示
されている。これらは方位情報の取得には用いられな
い。
【0114】データ処理部3では、表1のデータ表7列目
即ち領域判定を読み下した数列の最終項を先頭に続け
て、有方向の円環的並びRを構成する。表1のデータにお
いて、Rは「1,2,2,2,2,2,1,1,1,1(先頭に戻る)」のよ
うになる。
【0115】データ処理部3は、まずRの内部構造を有限
数列S0,S0',S1,S2,の集まりとして検査し、それらの個
数を調べる。その結果、数列の個数は(0,0,1,1)のケー
スで、これは状態Aであることが明らかと成る。
【0116】数列S1,S2の初項、終項を示すと次のよう
になる。
【数4】
【0117】
【表2】
【0118】データ処理部3はRが状態Aである場合の処
理を開始する。状態Aの場合に取得できるのは、第一の
方位情報と、第二の方位情報があった。
【0119】状態Aの場合に取得できる第一の方位情報
を示す。数列S1が存在する場合、S1の終項に関連付けら
れる衛星方位角を開始方位角として、数列S1の初項に関
連付けられる衛星方位角の逆方向を終端方位角として、
時計回り方向に規定される、方位角領域に、計測方向の
方位角(z度とする)は、存在している。
【0120】即ち、第一の方位情報として、開始方位角
6度から、終端方位角(236度+180度)=56度まで時計回
りで規定される範囲に計測方向(z)は存在する、と判
断する。
【0121】状態Aの場合に取得できる第二の方位情報
を示す。数列S2が存在する場合、S2の終項に関連付けら
れる衛星方位角の逆方向を開始方位角として、数列S2の
初項に関連付けられる衛星方位角を終端方位角とする、
時計回り方向に規定される、方位角領域に、計測方向の
方位角(z度とする)は存在している。
【0122】即ち、第二の方位情報として、開始方位角
(218度+180度)=38度から、終端方位角(244度+180
度)=64度まで時計回りで規定される範囲に計測方向
(z)は存在する、と判断する。
【0123】図3においては、第一の方位情報として、
この範囲が両矢印を持つ円弧、即ち、開始方位角6度か
ら終端方位角56度まで時計回りで規定される範囲、で示
されている。
【0124】図3においては、第二の方位情報として、
外周円の右上方向にこの範囲が両矢印を持つ円弧、即
ち、開始方位角(218度+180度)=38度から、終端方位
角(244度+180度)=64度まで時計回りで規定される範囲
で、示されている。
【0125】上述した二つの方位情報の積集合から、デ
ータ処理部3は計測方向5の存在可能範囲を(回転などす
ることなく)ただちに方位角領域を限定することができ
る。即ち、計測方向5は、開始方位角38度、終端方位角5
6度、時計回り方向で規定される範囲内に存在する、と
データ処理部3は判断できる。
【0126】図3では、外周円の外側右上方に、最終的
な出力となる方位角範囲が両矢印を持つ円弧、即ち、開
始方位角(218+180)=38度から終端方位角56度までとし
て示されている。
【0127】このように、本実施形態に係る方位情報取
得装置によれば、回転などを必要とせずに即座に方位限
定ができるのである。
【0128】この結果は観察者に音声により出力され
る。回転方向を定めた場合の開始方位角および終端方位
角の組(α、β)の形式で表現すると、(開始38度、終
端56度)を出力する。方位限定に可能な今ひとつの表現
形式である、概略方位角(θ)と、片側誤差(δ)の組
(θ、δ)で表現すると、(概略値47度、片側誤差9度)
となる。両形式を出力しても良い。
【0129】これら2つの表現形式の実用例を述べる。
【0130】例えば、現在地から決して進行してはいけ
ない方位角が既知であり、これから進行しようとする方
向が少なくともその方向ではないことを行動中にすばや
く確認したい用途には、(α、β)形式出力が便利であ
る。例えば、視覚障害者が、原発事故の報を受けて、あ
る緯度経度の一点から遠ざかる方向に迅速に避難を要請
され、ヘルパー介添え者の到着を待たずに自助歩行など
する場合などがこれに相応する。ヘルパーの到着を待っ
たり、時間をかけて方位特定などしていることは、以降
重大な健康被害を伴う被爆量を増すことになる。あるい
は、雪崩多発地帯を横切る際に、登山パーティ等が、迅
速に行動しつづけることが必要であり、かつ、ある特に
危険な方向に進路が向いていないことを、確認しながら
進行する場合などに有効である。なんとならば、雪原中
では、直進しているつもりで、進行方向の修正フィード
バックを視覚的にかけるべき地物がほとんどなかった
り、吹雪や霧などで視界がない場合にはそもそも視覚情
報から進路制御へのフィードバックが不可能でありいつ
のまにか曲線的な航跡となり、危険区域に踏み込んでい
る場合が間々あるからである。このように行動しながら
にも、瞬時に回転などせずに体躯方向あるいは視線方向
の方位限定ができることは大変便利である。
【0131】逆に、なんらかの関心がある具体的方向に
関して、粗精度で良いから方位角値を迅速に知りたい時
には、後者の(θ、δ)形式の方が直感的で便利であ
る。特定の地形や地物(山、人工建造物等)が見えた場
合に、類似のものが複数存在していて、方位情報なしに
は、いずれであるか同定しえないことがある。わざわざ
立ち止まって方位特定を行いその上で地形や地物の同定
するほど時間はないが、視線方向の概略の方位情報さえ
得られれば、それだけで、該対象を、数個の可能な選択
肢から、ある特定の山であるとか、ある特定のビルディ
ングであると、同定が可能である場合がこれにあたる。
いずれも回転など要さないため、歩行しながら、即座に
方位限定ができることを活かせる。
【0132】以上Rが状態Aであることが判断されたな
ら、計測方向5を回転させず、開始方位角と終端方位
角、および時計回り方向などの回転の方向性、で定まる
一定の方位角範囲として計測方向5がただちに導出され
る手順を表1、表2および図3の例によって示し、その出
力形式が二つ可能であることを示した。この状態Aの頻
度であるが、後述するように、無作為設置した場合に、
9割を越す確率で生じる。
【0133】さて、計測方向5に関して、方位限定の結
果が得られたとする。さらに一段進んで、方位特定をす
る場合、観察者は方位情報取得装置を例えば時計回り方
向(反時計回り方向でも良い、いずれかの回転方向)に
水平回転させる。
【0134】回転に伴い、データ処理部3では、7列目に
数0が発生した、即ち、Rの内部構造にS0が発生したこと
を検出できる。データ処理部3は結果出力部4を通して特
別の発信音でこの事実を観察者に通知し、水平回転を停
止させる。
【0135】図4は、本発明の実施形態に係る方位情報
取得装置で方位特定を行う際の上空衛星配置と2つのア
ンテナとの関係の他の例を示している。図4における同
心円状の図面は、前記の回転を停止した状態の、観察者
地点の天頂方向を中心とする上空半天球を、天頂のさら
に上から見下ろしたことを想定した図である。外周円は
仰角0度を示し、各同心円は10度ごとの仰角を示す。方
位角は、上を北(0度)として、時計回りに東(90
度)、南(180度)、西(270度)が補助的に書き込まれ
ている。小さな散在する丸印は、仰角、方位角で示され
るGPS衛星の位置を表す。この図では12個の衛星が描か
れている。黒で塗られた小さな丸印、白抜きの小さな丸
印、灰色の小さな丸印および、交差線模様で特徴づけら
れ小さなた丸印があるが、それらは、以下のものに相応
する。灰色の小さな丸は、処理過程における合理的理由
により、処理から除外判定を受けた諸GPS衛星であり、
黒の小さな丸は、第1平面パッチアンテナ1aの覆域に存
在すると後に判定される諸GPS衛星であり、白の小さな
丸は、第2平面パッチアンテナ1bの覆域に存在すると後
に判定される諸GPS衛星である。交差線模様で特徴づけ
られた小さな丸は、第1平面パッチアンテナ1aおよび第2
平面パッチアンテナ1bの覆域の境界に存在すると後に判
定される諸GPS衛星であり、中心部には、二枚の平面パ
ッチアンテナ1a,1bが並行に背向して、かつ大地に鉛直
に設置されている。
【0136】図4の同心円図において、左下方向に伸び
る反計測方向5は、衛星9の方位角と一致している。こ
れは、図3の状態で、方位限定された後、仮に時計回り
水平回転によって図4に到達したことと仮定するが、無
作為設置のままで、偶発的に図4のように計測方向5上に
衛星を捉えた場合も同じ図で説明が行える。
【0137】表3はこの時にデータ処理部3において作成
されるデータ表である。除外判定された衛星の行は最下
の2行として示されている。これらは以降の処理では用
いられない。
【0138】
【表3】
【0139】データ処理部3では、表3のデータ表の7列
目を読み下した数列の終項を先頭に続くものとし、有方
向の円環的な数の並びであるRを構成する。表3のデー
タにおいて、Rは「1,2,2,2,2,2,0,1,1,1(先頭に戻
る)」のようになる。
【0140】データ処理部3は、Rの内部構造をまず有限
数列S0,S0',S1,S2の集まりとして検査する。その結果、
(1,0,1,1)のケースであり、つまり状態Bであることを判
別する。
【0141】数列の情報は次のようになる。
【数5】
【0142】
【表4】
【0143】よって、データ処理部3はRが状態Bである
場合の処理を開始する。
【0144】Rの状態が、状態Bであった場合で、かつ、
数列S1が存在する場合は次の処理をする。
【0145】S1の初項に関連付けられる衛星方位角を開
始方位角として、S1の初項に関連付けられる衛星方位角
の逆方向を終端方位角として、時計回りに規定される、
方位角領域に、S0の中央項が存在するならば、計測方向
zはS0の中央項であり、そうでなければ、計測方向zはS0
の中央項の逆方向である。
【0146】S1が存在するので、まず、次のことを調べ
る。
【0147】S1の初項に関連付けられる衛星方位角(A(S
1,1)=262)を開始方位角として、S1の初項に関連付けら
れる衛星方位角(A(S1,1)=262)の逆方向(A(S1,1)+180=26
2+180=82)を終端方位角として、時計回りに規定され
る、方位角領域に、S0の中央項(A(S0,m0)=236)が存在す
るか、という問いである。これは、時計回りに262度か
ら82度の間に、236度が存在するか、という問いに等し
い。答えは、「存在しない」である。この問いは、境界
にある衛星は、計測方向で捕らえたのか、反計測方向で
捕らえたのかを識別するのに使われる。
【0148】よって、存在しない場合の手順、「計測方
向zはS0の中央項(A(S0,m0))の逆方向(A(S0,m0)+180)で
ある」、を採用する。すると、z=A(S0,m0)+180=236+180
=56と得られた。
【0149】従って、計測方向は56度と特定される。
【0150】以上説明したように、方位限定した後に、
水平回転で方位特定ができた。
【0151】この回転については、次に示す上限があ
り、その範囲内で回転すれば方位特定できるのである。
【0152】以下では、図3の状態から図4の状態へ、回
転により遷移させる際に、必要な回転の上限角が判明し
ていることと、そのために、使用の容易さが高まるとい
う事実を説明する。
【0153】例えば、すでに表1、表2、図3の事例のよ
うに方位限定を実施していた場合、得られた片側誤差幅
角度(δ)の2倍、すなわち両側誤差幅角度(2δ)を上
限に、計測方向5を回転させるだけで良い。このように
両側誤差幅角度が上限となる事実は図3から明らかであ
る。図3において、両側誤差幅(2δ)未満で、計測方向5
か反計測方向で、一つ以上の衛星を捉えられる。回転方
向は、時計回り方向でも、反時計回り方向でもどちらで
も良い。図3において時計回り方向に水平回転させた場
合は、2δ未満の回転角で衛星9を捕らえ図4の状態とな
る。反時計回り方向に水平回転させた場合は、2δ未満
の回転角で衛星14を捕らえる。
【0154】必要以上に大きな角度まで回転することな
く、角度2δを上限とした回転のみ実施すればよいので
あるから、以下のような利点がある。
【0155】(1)観察者にとっては、過度に回転させす
ぎることを予防でき、必要最小限の努力で目的とする方
位特定を達成しやすい。 (2)方位限定結果を得た時点で、方位特定にかかる時間
の上限見積もりができる。よって、野外活動中の自らの
時間的余裕と照らして、一段進んで方位特定をするか否
かを観察者が的確に判断できる。
【0156】以上、本実施形態に係る方位情報取得装置
によれば、回転なくして計測方向5を方位限定できるこ
とに加え、その後に、さらに一段進んだ方位特定をする
際にも最小限の回転をするだけで良いことを示した。
【0157】以下に、装着構成について述べる。
【0158】本発明は、実際に使用する場合には次のよ
うに構成して、平面パッチアンテナを平行に二枚用いる
構造であることによる利便性を享受することができる。
図5は、方位情報取得装置を装着に適した形状とした構
成例である。(a)は頭部装着状態を上方から俯瞰した図
である。(b)は頭部装着状態を左側方から見た図である
(c)は頭部装着状態を正面から見た図であり、この場合
の計測方向は紙面から手前に突き出る方向である。即
ち、本発明における第1平面パッチアンテナ1a,第2平面
パッチアンテナ1bの間隙に、人の頭部を挟み込んだ状態
である。
【0159】このような構成例の場合、即ち、カチュー
シャ状の構造、あるいは、ヘッドホン形状、あるいは帽
子形状に、類似した形を取ることが出来ることは、以下
の利点を生む。
【0160】(1)装置の計測方向5は、観察者の顔面正面
方向と常に一致するため、方位情報取得の操作の際に
も、取得された方位情報の結果である数値を利用する際
にも、直接的な理解が可能で利便性が高い。
【0161】(2)頭部に装着することは、方位情報取得
装置と大地の鉛直距離が最大に取れるため、地物・地形
遮蔽の影響を最小限に抑えることができるため方位情報
取得に効果的である。
【0162】(3)カチューシャなどの装飾物やヘッドホ
ンなどの機能装置の頭部装着の実例があり、装着そのも
のが外観上に違和感なく受け入れやすい。
【0163】(4)方位特定における回転も、自然に遠方
の眺望をなすような動きでよく、簡単で、外見上受け入
れやすい。
【0164】近年のGPS受信機の物理的実体は信号処理
用マイクロプロセッサおよびそれに伴う電子基盤であ
り、小型である。実際、現在の携帯型GPS受信装置は、
掌に容易に収まるサイズであるものが安価に存在してい
る。このことからも要素部品目の相当の小ささが分か
る。本発明に係る方位情報取得方法を具現化した方位情
報取得装置としては、これらの携帯型GPS受信装置で用
いられている部品目を、活用して構成することができる
ので、方位情報取得装置も体積を抑えて小さく構成でき
るという利点がある。例えば、第1GPS受信機2aおよびデ
ータ処理部3は第1平面パッチアンテナ1aの背面に収納す
る。第2GPS受信機2bおよび結果出力部4は第2平面パッチ
アンテナ1bの背面に収納する。カチューシャ状構造の内
部にはフレキシブルケーブルを収納して、図2の構成を
実現する結線を行う。結果出力部4からはスピーカーや
イヤホンで音声を出力することが可能である。
【0165】また、着衣の上肢の両外側部、即ちジャケ
ットの上肢の両外側部、に装着しても良い。上腕の両外
側部にあたる着衣部分に大地に垂直となるようにして、
そして相互が平行に背向するように、設置することが原
則である。なおかつ、相互の平面が、体躯の正面方向と
平行になるよう設置させれば、計測方向5が体躯の正面
方向に来る。この場合、GPS受信部は、平面パッチアン
テナの裏側に収納しても良い。この場合、両者を接続す
る部分はフレキシブルケーブルで構成し、上肢外側から
肩を経由し、首の背後および反対側の肩を経由させ、も
う一方の、平面パッチアンテナに到達させればよい。こ
れを一時的に固定するために圧着剥離型テープが使え
る。データ処理部3および結果出力処理部4は、どちらか
の平面パッチアンテナの裏側に収納して作りこんでおい
ても良いし、また、肩部や首の背後部に来るように設計
しても良い。また、身体の前後、胸部と背中に平面アン
テナが平行に背向して設置されても良い。この場合、第
1平面パッチアンテナ1aを背中に、第2平面パッチアンテ
ナ1bを胸部に配置すると、左側の体側方向に計測方向5
は向く。そこで、結果出力部4では、常に観察者の胸部
前方方向に換算した値、すなわち、時計回り方向に90度
加算した値、を出力すると観察者にとって便利である。
斯く構成した場合には次のような利点が生じる。
【0166】(1)体躯の正面を計測方向と一致させられ
利便性が高い。 (2)回転が体躯のわずかな動きですむため容易である。 (3)突起等も少なく目立たず受け入れやすい。 (4)観察者の好みの衣服にも装着させ得る。この場合、
圧着剥離型テープなどで着脱可能な形態とすると、洗濯
時にも便利である。
【0167】両下肢外側部や一足の靴の両外側部に装着
することもできる。この場合も圧着剥離型テープや磁石
によってアンテナ部や他の機能部を仮に固定し、両者を
接続する方法としては下肢外側から腰部などを経由して
フレキシブルケーブルで両者のアンテナおよび各機能部
の接続を実現すれば、着脱可能となって良い。この場合
高仰角衛星の信号捕捉性が腕などの遮蔽効果により低下
すると思われるが、既述したとおり本発明においては特
に高仰角に存在する衛星はあえて使用しないので、あま
り問題とならない。よって、高仰角に関する遮蔽をあま
り気にすることはない。
【0168】Rが状態Cであった場合の処理について追加
的に述べる。この処理においては、観察者に対する出力
で、左右どちらかの方向に90度方向転換して再計測する
ことを薦める、あるいは、より上空の見通しの良い場所
での使用を薦める、等があったが、これらの意味を示す
ビープ音を、別途、定めておけばよい。
【0169】次に、本発明に係る方位情報取得方法を具
現化した方位情報取得装置で即座に方位限定をする場合
に、どの程度の方位限定値が得られるかを統計的に算出
したコンピュータシミュレーション結果を示す。
【0170】このコンピュータシミュレーションでは、
北緯35度40分14.9秒、東経139度45分33.4秒すなわち東
京の日比谷公園中心部で、2000年2月17日の複数の時刻
に、上空に観測されるの衛星の運行を、衛星軌道情報を
用いて再現し、無作為に計測方向を設定する試行におい
て、どの程度の方位限定の幅を得ることになるかを見
る。
【0171】0時から11時までの各定時刻(0時、1時、
2時、3時、4時、5時、6時、7時、8時、9時、1
0時、11時)の評価を行った。これは最低限仰角0度
以上の衛星数、即ち、利用可能衛星数、および衛星コン
ステレーション(衛星配置)は、時刻によって変動があ
ること、それを評価に正しく反映させるためである。
【0172】また、現実に近い結果を取得することを目
指し、地物遮蔽の影響を受けやすい仰角5度以下は利用
不可能と前提し、さらに、85度以上の衛星も利用しない
との本稿で既述の高仰角衛星を除外する制約を用いた。
【0173】さらに、実使用時と同じく、計測方向5の
無作為性を実現するため、計測方向5の選択は、乱数(0
〜359度)発生を用いて無作為な方向設置とした。
【0174】この条件の乱数試行を、各時刻で1000回の
繰り返し、評価結果の精度を高めることを目指した。
【0175】この結果、つまり、全12000回(12時刻x100
0回)の方位限定の際の両側誤差は、平均値として、30.8
度という結果と出た。
【0176】北、北東、東北、東、東南、南東、南、南
西、西南、西、西北、北西のように、人間生活に実用さ
れて来ている12方位表示は、30度間隔の方位表示であ
る。本発明方法を用いると、無作為な計測でも、回転な
どすることなく、このような値で、方位限定ができる。
これは本発明が、簡易な操作で、実に多大な効果を奏す
ることを示している。
【0177】最初の無作為方向への設置で(回転なくし
て)、計測方向5と天頂を含む平面で偶発的に1つ以上の
衛星を捕らえていて、そのまま即座に方位特定できた確
率は、9.9%であり、比較的高率にただちに方位特定も可
能であった。
【0178】共通覆域は、境界をなす大半円に前後に2.
5度ずつの帯幅を持つものと仮定してコンピュータシミ
ュレーションを行っている。
【0179】なお、状態の発生確率で表現すると、状態
A発生確率が90.1%、状態Bの発生確率が9.9%である。前
者は全て、第一平面パッチアンテナ1aの覆域と第二平面
パッチアンテナ1bの覆域の両方に衛星が存在する((0,
0,1,1)のケース)場合だった。同様に後者は全て第一平
面パッチアンテナ1aの覆域と第二平面パッチアンテナ1b
の覆域の両方にも衛星が存在する((1,0,1,1)のケー
ス)場合だった。状態Aながら、第1平面パッチアンテナ
1aの覆域のみに衛星が偏在する((0,0,0,1)のケースに相
当)、あるいは、第2平面パッチアンテナ1bの覆域のみに
衛星が偏在する((0,0,1,0)のケースに相当)、状況は、
総試行回数12000回においても出現しなかった。状態Bな
がら、同上の偏在状況((1,0,0,1), (1,0,1,0), (1,1,0,
1), (1,1,1,0)の各ケースに相当)も出現しなかった。
【0180】以上の説明は、本実施形態に係る方位情報
取得装置における方位限定および方位特定についての機
能に関してのみ行ったが、図2の構成から明らかなよう
に、測位に必要な機器は具備しており、本実施形態に係
る方位情報取得装置で測位も実現できる。中緯度地域で
は上空半天球に常時ほぼ8個から12個のGPS衛星が存在す
る。よって天頂を通る大半円で分割した片側にも通常4
個から6個の衛星が期待できる。原理上最低3個の衛星で
二次元測位が可能であり、最低4個の衛星で三次元測位
が可能であるのから、上空半天球の半分で十分測位がで
きることを示している。測位された結果は、第1GPS受信
機2aおよび第2GPS受信機2bからデータ処理部3へ送られ
る測位結果をそのまま用いれば良く、例えば、第1GPS受
信機2aおよび第2GPS受信機2bからの双方の測位結果のう
ち、測位計算時刻の新しい方を優先して、結果出力部4
から出力させれば良い。
【0181】以上、本発明を図面に基づいて説明した
が、本発明は上記した実施形態だけではなく、特許請求
の範囲に記載した構成を変更しない限りどのようにでも
実施することができる。
【0182】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1,6に係
る方位情報取得方法及び装置によれば、半球のアンテナ
パターンを備える一対のGPSアンテナを、相互に背向さ
せて垂直に配置し各平面パッチアンテナ毎にGPS衛星か
らの信号を受信することにより、回転などを必要とせ
ず、迅速に、方位を限定できる、言い換えると、方位角
値をある扇形状の方位角値の範囲に絞り込むことができ
る。
【0183】しかも、小型なものが広く普及している廉
価なL1波用GPS受信機を流用し微小な改造を加えること
で、方位情報取得方法を具現化し得る方位情報取得装置
を、現実的なコストで製造できる。
【0184】しかも、その具現化においては、平面パッ
チアンテナの小型軽量性とその平行設置の特性から、両
側頭部などへの装着性に優れ、この装着構成を採用すれ
ば、特に視線方向と計測方向との一致による、高い利便
性を観察者に提供することができる。
【0185】また、請求項2,7に係る方位情報取得方
法及び装置によれば、方位限定により得られた方位角幅
範囲に基づいて、明確な上限値のある水平回転による
と、さらに方位特定を簡易に遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る方位情報取得方法の方位情報取得
原理を示す概念図である。
【図2】本発明に係る方位情報取得方法を具現化した方
位情報取得装置の実施形態を示す概略構成図である。
【図3】方位情報取得装置により方位限定を行う際の上
空衛星配置と2つのアンテナの関係を示す概略配置図で
ある。
【図4】方位情報取得装置により方位特定を行う際の上
空衛星配置と2つのアンテナの関係を示す概略配置図で
ある。
【図5】頭部装着構造とした方位情報取得装置の外観図
で、(a)は頭部装着状態を上方から俯瞰した図、(b)は頭
部装着状態を左側方から見た図、(c)は頭部装着状態を
正面から見た図である。
【符号の説明】
1a 第1平面パッチアンテナ 1b 第2平面パッチアンテナ 2a 第1GPS受信機 2b 第2GPS受信機 3 データ処理部 4 結果出力部 5 計測方向 6a 第1平面パッチアンテナによる上空覆域 6b 第2平面パッチアンテナによる上空覆域 7 第1平面パッチアンテナによる上空覆域と第2平面パ
ッチアンテナによる上空覆域の境界となる大半円
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−231038(JP,A) 特開 平4−175677(JP,A) 特開 平5−119702(JP,A) 特開 平5−281322(JP,A) 特開 平6−281716(JP,A) 特開 昭60−244878(JP,A) 特開2001−235533(JP,A) 特開2001−264405(JP,A) 特開 昭59−90112(JP,A) 特開 昭60−93364(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 3/02 G01S 5/00 - 5/14 JICSTファイル(JOIS)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ半球のアンテナパターンを有す
    る一対のGPSアンテナを、互いに背向に大地に垂直に配
    置し、天頂を通る1つの大半円を境として、該GPSアンテ
    ナは向いている方向の上空四分の一天球にアンテナの感
    度が及ぶ上空覆域をそれぞれ形成し、 それぞれのアンテナに接続しているGPS受信機に、上空
    半天球の全てのGPS衛星から送信される信号の捕捉を試
    みさせ、 双方のGPS受信機での各GPS衛星信号の受信状態の比較か
    ら1つあるいは複数のGPS衛星の存在領域を割り出し、 少なくとも一方のGPS受信機から該GPS衛星方位角を取り
    出し、 各領域において衛星方位角の数列を時計回りに作成し、
    初項の方位角と終項の方位角を抽出し、 抽出した少なくとも一つの領域で得られた初項の方位角
    と終項の方位角により方位を限定する、ことを特徴とす
    る方位情報取得方法。
  2. 【請求項2】 それぞれ半球のアンテナパターンを有す
    る一対のGPSアンテナを、互いに背向に大地に垂直に配
    置し、天頂を通る1つの大半円を境として、該GPSアン
    テナは向いている方向の上空四分の一天球にアンテナの
    感度が及び上空覆域をそれぞれ形成し、 それぞれのアンテナに接続しているGPS受信機に、上空
    半天球の全てのGPS衛星から送信される信号の捕捉を試
    みさせ、 双方のGPS受信機での各GPS衛星信号の比較から1つある
    いは複数のGPS衛星の存在領域を割り出し、 少なくとも一方のGPS受信機から該GPS衛星方位角を取り
    出し、 各領域において、衛星方位角の数列を時計回りに作成
    し、初項の方位角と終項の方位角を抽出し、 抽出した少なくとも一つの領域で得られた初項の方位角
    と終項の方位角により方位を限定し、 上記得られた方位角の角度幅を回転角度の上限として、
    上記一対のGPSアンテナを水平回転し、 それぞれのGPSアンテナに接続しているGPS受信機に、上
    空半天球の全てのGPS衛星から送信される信号の捕捉を
    試みさせ、 得られた各GPS衛星の信号から少なくとも1つの衛星が
    境界に存在すると判定されるに至った、その方向で上記
    一対のGPSアンテナの水平回転を停止し、 少なくとも他の1つのGPS衛星の存在領域判定を行な
    い、 少なくとも一方のGPS受信機から上記の衛星の方位角を
    取り出し、上記取り出した1つの衛星の方位角と、その
    逆方向の方位角と、境界に存在すると判定された上記の
    衛星の方位角の比較により方位を特定する、ことを特徴
    とする方位情報取得方法。
  3. 【請求項3】 該一対のGPSアンテナは、平面パッチア
    ンテナであることを特徴とする請求項1又は2の方位情
    報取得方法。
  4. 【請求項4】 該一対のGPSアンテナは、頭部を挟んで
    互いに背向且つ平行で大地に垂直に装着することを特徴
    とする請求項1又は2の方位情報取得方法。
  5. 【請求項5】 該一対のGPSアンテナは、身体で挟んで
    互に背向且つ平行で大地に垂直に装着することを特徴と
    する請求項1又は2の方位情報取得方法。
  6. 【請求項6】 互に平行で且つ背向し、垂直に配置され
    た一対の半球のアンテナパターンを有するGPSアンテナ
    と、該各GPSアンテナは、向いている方向の上空4分の
    1天球にアンテナ感度が及ぶ上空覆域を形成し、上記一
    対のアンテナにより上記それぞれの上空覆域に存在する
    衛星より送信される信号を捕捉させる手段と、上記各領
    域において衛星方位角の数列を時計回りに作成し、初項
    の方位角と終項の方位角を抽出する手段と、捕捉された
    各衛星よりの信号の比較から衛星の存在していた存在領
    域を割り出す手段と、上記各領域の少なくとも一つの領
    域で得られた初項の方位角と終項の方位角により方位を
    限定する手段と、から成ることを特徴とする方位情報取
    得装置。
  7. 【請求項7】 互に平行且つ背向し、垂直に配置された
    一対の半球のアンテナパターンを有するGPSアンテナ
    と、該各GPSアンテナは、向いている方向の上空4分の
    1天球にアンテナ感度が及ぶ上空覆域を形成し、上記一
    対のアンテナにより上記それぞれの上空覆域に存在する
    衛星より送信される信号を捕捉させる手段と、捕捉され
    た各衛星よりの信号の比較から衛星の存在していた存在
    領域を割り出す手段と、上記各領域において衛星方位角
    の数列を時計回りに作成し、初項の方位角と終項の方位
    角の方位角を抽出する手段と、上記各領域の少なくとも
    一つの領域で得られた初項の方位角と終項の方位角によ
    り方位を限定する手段と、上記得られた方位角の角度幅
    を回転角度の上限として、該一対のアンテナを水平回転
    する手段と、それぞれの回転している一対のアンテナよ
    り上空半天球の全てのGPS衛星から送信される信号の捕
    捉を試みさせ、得られた各GPS衛星の信号から少なくと
    も1つの衛星が境界に存在すると判定されるに至った、
    その方向で上記一対のアンテナの水平回転を停止する手
    段と、少なくとも他の1つのGPS衛星の存在領域判定を
    行い、その衛星の方位角を取り出す手段と、上記取り出
    した衛星の方位角と、その逆方向の方位角と、上記境界
    に存在すると判定された上記の衛星の方位角の比較によ
    り方位を特定する手段と、から成ることを特徴とする方
    位情報取得装置。
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