JP3430049B2 - 固体レーザ装置 - Google Patents
固体レーザ装置Info
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Description
められ隣接配置する複数のレーザ媒体により構成される
固体レーザ装置に関し、特に発振器または増幅器におい
て、品質のよい安定した高出力のレーザ光を安価に得る
ことができる固体レーザ装置に関する。
AG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)結晶
中にネオジム(Nd)イオンを含有させたレーザ媒体が
用いられたYAGレーザ装置があり、YAGレーザ装置
は1μmの波長において産業用に広く実用化されてい
る。また、YAGレーザ装置は、炭酸ガスレーザ装置と
比較して金属との相互作用が強いので、同一レーザ加工
には比較的少ない出力パワーで済む。また、1μm波長
の光は光ファイバ伝送路を伝搬することが可能なため、
YAGレーザ出力光は光ファイバを用いて加工ステーシ
ョンまで容易に送ることができるという優れた特性を有
している。
のような優れた特性を有しながら、溶接、切断などに応
用する場合に用いる実用的加工速度を得るために必要な
数kWの大きな平均出力を得ることが困難であった。そ
の理由は、従来使用しているYAG結晶が、円形断面を
有するレーザビームの形状に合わせて回転対称性、すな
わちロッド(rod)型と呼ばれる円柱形状を有してお
り、ランプ光またはレーザ光などで周囲から光励起され
るので、この励起光を吸収して熱が内部に発生するから
である。
ために円柱の中心と冷却されるべき表面との間で半径方
向に温度勾配を有する熱レンズ効果が生じる。物質の有
する光屈折率は温度の関数であるため、円柱の中心と縁
とを通過するレーザ光線ではそれぞれが異なった経路を
進むことになり、レーザビーム全体は収束してゆく。従
って、大出力を得るために光励起を大きくした場合に
は、平行ビームとしてのレーザビームを取り出すことが
できない。
に固体レーザ装置で数kW以上の大出力化は実現困難と
されてきた。
れるような、スラブ(slab)型のレーザ媒体110
を用い、レーザ光を内部に閉じ込めてジグザグ光路を形
成させるYAGレーザ装置が、最近開発され実用化の域
に達した。
は、一般に採用される形状のものであり、長さ方向であ
るZ軸に対して厚さ方向であるY軸および幅方向である
X軸を有する板状体の光学的に透明な結晶体である。ス
ラブ型レーザ媒体110は、励起されるレーザ光の伝搬
方向である長さ方向(Z軸)に対する両先端ではX軸に
平行で、かつY軸およびZ軸に斜めな平面として光入出
射面111、112を有している。従って、図9(B)
に示されるように、Z軸に平行なレーザ光が光入出射面
111に対して入射角度γで入力した場合には、図示さ
れるように内部のレーザ光は、スラブ型レーザ媒体11
0の光屈折率のため厚さ(Y軸)方向に屈折すると共に
厚さ(Y軸)方向に垂直な平行面を内部全反射面113
として全反射するジグザグ光路を形成する。
に生じる一方でジグザグ光路も厚さ(Y軸)方向の面に
平行に形成されるので、上記熱レンズ効果が補償される
という優れた特性を有している。更に、幅(X軸)方向
の寸法を十分に大きくした場合にはロッド型と比較して
冷却面積が大きくなるので、大きな励起光を受け入れる
ことができる。従って、この構造は高出力を得るのに適
している。
ブ型のレーザ媒体が従来用いられてきた理由を固体レー
ザ発振器の一例によって説明する。
いて説明したスラブ型レーザ媒体110と同一のもので
ある。図示される固体レーザ発振器では、レーザ用結晶
板1が励起チャンバ2の中心軸上に収容保持されてい
る。励起チャンバ2としてその内部ではレーザ用結晶板
1の厚さ(Y軸)方向に垂直な両面を両側から挟んでレ
ーザ用結晶板1を励起する光源となる励起用ランプ3を
保持するランプ電極4が設けられている。
第1の理由は、レーザビームの光軸をスラブ型レーザ媒
体であるレーザ用結晶板1の長さ(Z軸)方向に平行に
することにより、励起チャンバ2、特にランプ励起の場
合にはランプ電極4のホルダーによりレーザビームが干
渉されることなく、励起チャンバ2の両外部でレーザ用
結晶板1の入出射面に対面する位置に共振器用に設けら
れる全反射鏡5および部分反射鏡6それぞれが配設でき
ることである。
ように、入出力するレーザ光が光入出射面111、11
2で屈折を受けることによりスラブ形レーザ媒体110
であるレーザ用結晶板1の内部では、内部全反射面11
3によりジグザグ光路を形成してレーザ用結晶板1の全
体積を掃引することを可能にしているからである。
出射面111に入射するレーザ光の入射角度γがブリュ
ースタ角度(Brewster angle)の場合に
は、光入出射面111に垂直な面に平行な偏光面をもつ
P偏光レーザ光に対して反射損失をほぼゼロにできると
いう利点がある。
装置は高出力化に優れた特性を持っているが、その出力
の上限は次に述べる要因により制限される。
吸収して熱を発生するので、加熱された結晶の表面を冷
却する限り、結晶内部に温度差が生じ、不均一な熱膨張
により生じた機械的な応力がスラブ型結晶の表面に集中
する。この結果、結晶そのものが破壊してしまうので、
破壊しないように結晶の単位体積あたりの励起光入力を
制限する必要があるからである。
結晶内のネオジム(Nd)イオンをレーザの上準位に励
起することにより発生するので、より大きな出力を得る
ためには励起されるネオジムイオンの数を増やす必要が
ある。しかし、均一な結晶成長を妨げずに結晶に入れる
ことができるネオジム元素の含有量は1原子%程度に限
定されるということである。
このような要因による制限を避け、固体レーザ装置の内
部に収納されるスラブ型のNd:YAG結晶の体積を増
やす必要がある。
結晶には歪みなどが発生するため、育成できる光学的に
均一な単一結晶の寸法には限界があり、スラブ形状に切
り出した仕上がりで6×30×200mm程度の体積が
生産の限界となっている。このため、光学的に均一な結
晶の価格は寸法の大きさと共に極めて高額なものとな
る。
図10に示されるレーザ用結晶板1を収納する励起チャ
ンバ2の2台をレーザ光の光路に沿って直列に配置し
て、全体を一つの光共振器としたレーザ装置、または2
台のうちの一方を発振器とし、他方を増幅器として動作
させるレーザ装置が考えられる。
ついて説明する。2つそれぞれの構成が図10と同一で
あるものとし、構成要素の番号符号にはそれぞれ「−
a、−b」を付加するものとする。直列の2つの励起チ
ャンバ2−a、2−bの内部に保持されるレーザ用結晶
板1−a、1−bはレーザ光の伝搬方向に沿って直列に
配置されているが、対面する光入出射面の一方から出射
するマルチモードのレーザ光は、スラブ型レーザ装置に
特有の幅および厚さ方向に対して異なる発散角度を有し
ているので、離れた距離をもって配置された他方で対面
する光入出射面に対して出射した100%の光を入射す
ることはできない。また、レーザ装置として内部に一対
の光入出射面を有するので光路内でのレーザ光の光損失
が大きい。従って、2つの励起チャンバ2−a、2−b
を直列に配して動作させても、その出力は1台あたりの
1.5倍程度にしか増加しない。
ば、特開平9−214024号公報に記載されている。
この固体レーザ発振装置によれば、一つの励起チャンバ
内で複数のスラブ型結晶をレーザ光の伝搬方向に沿って
直列に配置し、直接的または薄い媒体を介して結合させ
ることにより実行的に結晶長を数倍に大きくするもので
ある。
ラブ型結晶である二つのレーザ用結晶板1−a、1−b
は接着剤層900により接合されている。この接合部分
は、光学的コンタクトを有するものであれば材料を問わ
ない。また、結晶板の融着により直接結合することもで
きる。従って、二つのレーザ用結晶板1−a、1−bを
収容保持する一つの励起チャンバ200および励起用ラ
ンプ300の長さは長くなる。
ーザ装置では、一般に使用されるスラブ型結晶によるレ
ーザ媒体に次のような問題点がある。
ていないことである。
体では、光入出射面が一般にブリュースタ角度をもった
斜面を形成しているのでランプ光またはレーザ光で励起
される結晶の有効長は貴重な結晶において,結晶の長さ
(Z軸)方向で両端の励起チャンバによる保持部以外に
光入出射の接合斜面が除かれるからである。
の妨げおよび品質の悪化を招くということである。
励起され加熱される上記結晶の有効長部分との境界面
(上記Z軸に垂直でX軸およびY軸に平行な面)を介し
た熱伝導および上記境界面を経由して伝播してくる励起
光により加熱され非対称な温度分布と応力分布とをも
つ。このため、光入出射面の斜面はスラブ型結晶全体の
小部分ではあるが熱レンズ効果および熱複屈折性を有す
るので、レーザ光の光損失を招くためである。
光入出射面で反射損失が増加することである。
軸)方向は有限であるため、幅(X軸)方向の両端部か
らスラブ中心へ向かって温度勾配を生じ、この結果、端
部それぞれを中心に内部応力が三次元的に発生する。こ
のことは高出力の場合に特に顕著となる。このため、傾
斜面を介して入射したP直線偏光のレーザ光は結晶の幅
(X軸)方向の両端近傍では長さ(Z軸)方向へジグザ
グ伝搬中に楕円偏光となる。従って、このような偏光解
消の効果により伝搬中にS偏光成分が増加するからであ
る。
困難なことが挙げられる。
において単一結晶の寸法が大きくできず高出力が得られ
ないので、複数の結晶を直列に連結する構成を採用して
いるが、結晶間で対面する光入出射面の間隙が大きい場
合には出力に対する損失が大きい。この問題点を解決し
た上記公開公報に記載された装置では、結晶の光入出射
面における間隙を狭くするため、結晶を密着または接着
剤による接着などしているが、このような構造ではメン
テナンスが困難であるという実用面での問題点が生じ
る。
学的コンタクトを保持しつつ同時に機械的に安定に保持
することは複雑な精密調整機構を必要とするためであ
る。また、特に3つ以上の連結に対する光路の接続調整
は不可能といえる。更に、結晶の長さが長くなるため結
晶長の有効活用として実効的に長くするには励起用ラン
プを長くする必要があるためランプの冷却が困難になる
からである。
し、出力効率の向上による高出力の確保、出力ビームの
品質悪化の防止、出射面における反射損失の低減および
容易なメンテナンスによる保守性の向上を図り、品質の
よい安定した高出力のレーザ光を安価に得ることができ
る固体レーザ装置を提供することである。
装置は、隣接配置される励起チャンバそれぞれに収めら
れたレーザ媒体の間にあり、独立した機構の保持具で保
持可能であり、対向する一方のレーザ媒体の光出射面と
他方のレーザ媒体の光入射面との間の空間を満たし、か
つレーザ媒体の光出射面から放射されるレーザ光をレー
ザ媒体の光入射面まで内部に閉じ込めて伝搬する光学的
に透明な固体材料からなる光コネクタを備えている。ま
た、上記レーザ媒体がスラブ型であり、かつ上記光コネ
クタはこの一方のレーザ媒体の光出射面から放射される
レーザ光を他方のレーザ媒体の光入射面まで内部で全反
射によりジグザグ光路に閉じ込めて伝搬する光学的に透
明なスラブ形状の固体材料からなる。
複数のレーザ媒体それぞれは単独でそれぞれの励起チャ
ンバに収納できるので、励起用の長いランプを不要と
し、かつ、レーザ媒体の有効な活用を図ることができ
る。
いて更に、レーザ光の伝搬方向に対して垂直な断面が矩
形であり、この矩形の厚さおよび幅それぞれの寸法がス
ラブ型のレーザ媒体の寸法と等しいかまたはより大き
く、かつ光入出射面となる両端面を除く四つの面それぞ
れがレーザ媒体の面それぞれに平行である。更に、光コ
ネクタは、スラブ形状において更に、レーザ光の入出射
面がスラブ型のレーザ媒体のレーザ光入出射面に平行で
ある。また、スラブ形状において更に、レーザ光の入出
力面がレーザ光の伝搬方向に対して垂直な平行面であっ
てもよい。このような平行面の構成が、平面をできる限
り近接させることによりレーザ光の伝搬損失を低減し、
かつ機械的に接触しないように極めて狭い間隙を有する
ことによりレーザ媒体との相互位置を微少調整できる。
れぞれは、スラブ形状において更にレーザ光の入出射面
を必要に応じ、反射防止多層膜で被覆されてもよい。ま
た、レーザ媒体の端面と共振器の反射鏡の表面との間
に、上記光コネクタを備えて導光路とすることもでき
る。更に、スラブ型のレーザ媒体の内部をレーザ光がジ
グザグ光路を形成する固体レーザ装置において、一方の
端面となる前記スラブ型レーザ媒体の一つの端面が全反
射多層膜を被覆して一つの共振器の全反射鏡を形成する
ことにしてもよい。
光コネクタ、および反射鏡それぞれを一つの光学ベンチ
に独立に保持する保持具を備えることにより、これら保
持具が励起チャンバ、光コネクタおよび反射鏡それぞれ
の位置を独立に調整することができる。
のスラブ型レーザ媒体であるスラブ型YAG結晶から出
射したレーザ光は、スラブ型YAG結晶内と同様にスラ
ブ形状の光コネクタ内部を全反射しつつジグザグ光路を
形成して伝搬し、隣接するスラブ型YAG結晶の端面へ
導かれる。また、光コネクタを、スラブ型YAG結晶を
収納する励起チャンバおよび共振器の反射鏡それぞれと
は光学ベンチ上で独立に保持固定することができるの
で、スラブ型YAG結晶を上記光コネクタにより直列に
連結してレーザ発振器および増幅器における実効的な結
晶の体積を必要な量だけ増やすことができる。また、光
コネクタ内部でもレーザ光は内部全反射により閉じ込め
られて伝搬するため光の伝送損失は極めて少ない。
上述したように、光コネクタがレーザ媒体とは独立した
構成を有しているので、光コネクタの外部にあって光コ
ネクタを制御することができる。すなわち、光コネクタ
の媒体に加熱および冷却の少なくとも一方を加えて3次
元温度分布を意図的に生成し、スラブ型YAG結晶が有
する熱光学効果を能動的および固定的の少なくとも一方
により補償する補償手段、光コネクタが光学的に非線形
光学性を有する材料を含み、この光コネクタを電気的お
よび光学的に刺激して屈折率を含む光学特性を変化させ
伝搬するレーザ光の進行方向を能動的および固定的の少
なくとも一方により制御する制御手段、または光コネク
タの材料に超音波を発生させ、光コネクタの内部に生じ
る音響光学効果を利用して伝搬するレーザ光の進行方向
を能動的および固定的の少なくとも一方により制御する
制御手段を備えることができる。
て図面を参照して説明する。
晶によるレーザ媒体10とスラブ形状の光コネクタとな
るコネクタ媒体20とが対向する平行端面におけるレー
ザ光の光路について説明する。
配置される場合、対面する平行面は入出射光に対してブ
リュースタ角度近傍の入射角度を与える必要がないの
で、レーザ光の進行方向である長さ方向に傾斜角度をも
たす必要がない。
さL1を有し長さ(Z軸)方向に平行な面を内部全反射
面11とし長さ(Z軸)方向に垂直な面を光入出射面1
2、13とする。また、コネクタ媒体20は、厚さD2
と長さL2を有し、長さ(Z軸)方向に平行な面を内部
全反射面21とし長さ(Z軸)方向に垂直な面を光入出
射面22、23としている。また、入出射面13、22
が狭い間隙をもって対面しているものとする。
内部全反射面11、21それぞれと垂直であり、レーザ
媒体10およびコネクタ媒体20それぞれの内部でレー
ザ光線が内部全反射面11,21それぞれによって全反
射してジグザグ光路をとるようにする。ジグザグ光路を
とる場合、内部全反射面11,21それぞれの垂直面に
対する光反射角度θ1、θ2それぞれは、レーザ媒体1
0の屈折率n1とコネクタ媒体20の屈折率n2とこれ
らを連結する空間における空気の屈折率n0とにより、
下記式1、2を満たす関係がある。
ける垂直面に対する光の光入出射角度α、βおよび外面
側の空気に対する光入出射角度γの関係は下記式3、
4、5で表わされる。
れの光入出力境界面である光入出射面13、22におけ
るP偏光レーザ光に対するブリュースタ角度αBおよび
βBは下記式6、7で与えられる。
さD1、D2ならびに反射回数N1、N2として、下記
式8、9を満たし、かつレーザ媒体10およびコネクタ
媒体20それぞれの入出力境界面である光入出射面1
3、22に反射防止多層膜を被覆することにより、境界
面での屈折率の変化によるレーザ光の反射損失を最小に
することができる。
ついて説明する。
のスラブ型レーザ媒体であるレーザ用結晶板1−a、1
−bそれぞれを収納保持する励起チャンバ2−a、2−
bがレーザ光の伝搬方向に沿って直列に配置され、レー
ザ用結晶板1−a、1−bの間には同様なスラブ形状の
コネクタ媒体である光コネクタ9−1がレーザ光の伝搬
路を形成している。
納保持する詳細は図10に示される従来例と同一である
ものとする。従って、図2で用いられるレーザ用結晶板
1−a、1−bそれぞれは図9に示されたスラブ型レー
ザ媒体110と同一であるものとし、傾斜角度δを有す
る平行な光入出射面をもつものとする。直列配置される
レーザ用結晶板1−a、1−bの外側のレーザ光路に
は、一方でレーザ用結晶板1−aに面して全反射鏡5が
備えられ、他方でレーザ用結晶板1−bに面して部分反
射鏡6が備えられているものとする。
9に示されるスラブ型レーザ媒体と同様の形状を有して
いる。すなわち、光コネクタ9−1は、レーザ光の伝搬
方向となる、図1における長さ(Z軸)方向に平行でか
つ相互に垂直な二組の内部全反射面と、レーザ光の伝搬
路における光入出射面となる平行な両端面とを有し、こ
の端面は連結するレーザ用結晶板1−a、1−bの光入
出射面と平行な斜面を成している。
起チャンバ2−a、2−b、全反射鏡5、部分反射鏡
6、および光コネクタ9−1それぞれは光学ベンチ70
上に固定されたチャンバ保持具71−a、71−b、全
反射鏡保持具72、部分反射鏡保持具73、および光コ
ネクタ保持具74それぞれにより独立に固定保持される
と共に相互位置の微調整ができる。この結果、励起チャ
ンバ2−a、2−bは全反射鏡5、部分反射鏡6および
光コネクタ9−1と共に一つの固定レーザ共振装置を形
成する。
ザ発振動作について説明する。
射鏡5で反射され、レーザ用結晶板1−aの傾斜面から
内部に入射し内部で内部全反射面に反射しつつジグザグ
光路を形成して進行する。このレーザ光は、レーザ用結
晶板1−aの他方の傾斜面から光コネクタ9−1の内部
に入射しレーザ媒体同様内部で全反射しつつ伝搬して他
方のレーザ用結晶板1−bへ入射する。レーザ用結晶板
1−bから出射したレーザ光は、出力反射鏡となる部分
反射鏡6で一部反射され、全反射鏡5までの全光路を逆
進して全反射鏡5で反射される。従って、光の閉回路が
形成され、この結果、正の帰還が生じてレーザ発振が発
生する。
射面に平行な方向(図1におけるZ軸方向)に空気中か
ら入射し、かつ光入射面における光入射角度γがブリュ
ースタ角度γBの場合にレーザ光がレーザ媒体の内部の
各点を重複通過する条件は、光入出射面の傾斜角度δB
として次式により与えられる。
n1=1.82 を有するので、上述した式5、6に
より下記の値が求められる。
光入出射面はP偏光のレーザ光に対して無反射にでき
る。
11、LaSF9のようなガラス素材で形成される場合
には屈折率n2がそれぞれ1.50、1.75、1.8
2であるのでそれぞれのブリュースタ角度は、56.3
1度、60.26度、および61.21度である。ま
た、合成サファイアおよび合成石英の場合には屈折率n
2がそれぞれ1.75および1.45であるのでそれぞ
れのブリュースタ角度は60.26度および55.41
度である。これらの数値は上記計算値によるブリュース
タ角度61.21度に等しいかまたは6度以内という小
さな差であるためコネクタ媒体20の光入出射面におい
て、P偏光のレーザ光に対する反射損失は0.5%以下
である。
明による第2の実施の形態について説明する。
2−bに保持されるレーザ用結晶板1−cが長さ(Z
軸)方向の中心軸に対して180度回転し、光コネクタ
9−2が端面を対面するレーザ用結晶板1−a、1−c
の入出射面それぞれの傾斜に合わせて台形を形成してい
ることである。
け取外しが容易になると共にレーザ光に対する軸合わせ
の調整が容易になる。
は、二つのYAG結晶を連結する場合について説明した
が、連結されるスラブ型レーザ媒体は二つに限らないこ
とは言うまでもない。また、光入出射面の傾斜角度の選
択に際して、P偏光に対する反射損失ゼロのブリュース
タ角度γBを入射角に選択する場合について説明した
が、反射防止膜を斜面に被覆することによりブリュース
タ角度γBに対応する傾斜角度δBを採用する必要がな
いことは言うまでもない。
有するスラブ型レーザ媒体10の光入出射面13と屈折
率n2を有するスラブ形状のコネクタ媒体20の光入出
射面22とが長さ(Z軸)方向に垂直に対面する場合、
すなわち傾斜面のない場合について説明する。
の場合、上記式1、2それぞれにより与えられる反射
角度θ1、θ2、θ1c、θ2cは θ1>θ2>θ2c>θ
1cの関係となる。
折率 n1=1.82 を有し、コネクタ媒体20がB
K−7ガラスで屈折率 n2=1.50 の場合、コネ
クタ媒体20内部の入出射角度βとしてブリュースタ角
度βBを選ぶ場合には下記の数値が求められる。
下記の数値が求められる。
1)=27.20° αB=Arctan(1/n1)=28.79° θ1=62.80° この結果、光入出射角度αとこれに対するブリュースタ
角度αBとの値が近いのでP偏光レーザ光に対しては入
出射面における反射損失が極めて少ない光コネクタが実
現できる。
γがほぼ45度の場合にはS偏光およびP偏光の両者に
対して同時に反射率を0.3%以下となるような反射防
止多層膜の形成が可能となる。この場合では、上記式
3、4、5から求めた角度 α=22.86°、θ1=67.14°、β=28.1
3°、およびθ2=61.87° によりS偏光および
P偏光の両者のレーザ光に対して反射損失の極めて少な
い光コネクタが実現する。
2 の場合には、媒体内の光入出射角度α、βおよび反
射角度θ1、θ2それぞれは α=β、θ1=θ2 の
関係となる。
折率 n1=1.82 を有し、かつコネクタ媒体20
がLaSF9ガラスで屈折率 n2=1.82、 また
は、合成サファイアで屈折率 n2=1.75 の場合
で、P偏光に対するブリュースタ角度αB、βBを選ぶ
場合には光入出射角度α、βおよび全反射角度θ1、θ
2それぞれには下記の数値が求められる。
止多層膜を形成できるよう空気側の光入出射角度γを4
5度に設定する場合には下記の数値となる。
記式1、2それぞれにより与えられる反射角度θ1、θ
2、θ1c、θ2cは θ2>θ1>θ1c>θ2cの関係とな
る。
1.82 に対し光コネクタ媒体20が屈折率 n2=
1.95 を有する場合で、かつレーザ媒体10の光入
出射角度αおよびこのブリュースタ角度αBそれぞれを
28.79度とする場合には下記の関係が得られる。
1度となり、このブリュースタ角度βBの数値27.1
5度に近い。因みに、反射角度θ2、θ2cそれぞれは6
3.29度および30.05度と求められるので、上記
不等式に示された大きさの相互関係を確認することがで
きる。
なレーザ光の進行方向である媒体の長さ(Z軸)方向に
垂直な境界面を有する本発明による第3の実施の形態に
ついて説明する。
は、レーザ用結晶板1A−a、1A−bと光コネクタ9
Aとが平行面をなす光入出射面がレーザ光の進行方向で
ある媒体の長さ(Z軸)方向に垂直であること、光コネ
クタ9B−a、9B−bが全反射鏡5Aおよび部分反射
鏡6Aの間に配置され、かつ全反射鏡5Aおよび部分反
射鏡6Aの面が光コネクタ9B−a、9B−bの一方の
端面と狭い間隙をもって平行をなすと共に上記(Z軸)
方向に傾斜面をなしていることである。
出射面で上記説明に基づいて求めた入出射角度をもつよ
うに設定された場合には共振器および増幅器の機能が発
揮できる。
ーザ用結晶板1A−aと全反射鏡5Aとの間、および光
コネクタ9B−bがレーザ用結晶板1A−bと部分反射
鏡6Aとの間、それぞれを埋めるように連結して空気層
による間隙が極めて少なくなるので、反射鏡部分の光損
失が防止でき、従って、効率のよいスラブ型レーザ発振
装置が実現できる。
−a、9B−bそれぞれが、光コネクタ保持具74、7
5−a、75−bそれぞれにより光学ベンチ70Aに独
立して固定され、それぞれの位置における光軸の微調整
を可能にしている。
とは相違する第4の実施の形態を示す光路構成説明図で
ある。
路の両端に配置される光コネクタ9C−a、9C−bの
両端の光入出射面が共にレーザ光の伝搬方向(Z軸)に
垂直面をなしていることである。従って、光コネクタ9
C−a、9C−bそれぞれの光入出射面と対面する二つ
ずつの全反射鏡5C−a、5C−bおよび部分反射鏡6
C−a、6C−bが光反射位置に配置されている。
は相違する第5の実施の形態を示す光路構成説明図であ
る。
−a、5C−bおよび光コネクタ9C−aの代わりに光
コネクタ9C−aと連結していた光入出射面に、光学多
層膜を被覆した多層膜反射鏡8を形成して共振器の全反
射鏡としていることである。この構成により、発振器の
構造を簡単化できる。
図4の一部を変更した上記実施例とは相違する第6およ
び第7それぞれの実施の形態について説明する。
bの間を連結する光コネクタ9Dがその材料において上
記実施例と相違し、かつ、光コネクタ9Dの周囲に光コ
ネクタ制御部90Dが設けられている。すなわち、光コ
ネクタ9Dには光学的に透明な材料として非線形光学材
料を用い、光コネクタ9Dを外部の光コネクタ制御部9
0Dにより電気的および光学的に刺激して屈折率を含む
光学特性を変化させて内部を伝搬するレーザ光の進行方
向を固定的または能動的に制御することができる。
1A−bの間を連結する光コネクタ9Aの周囲から超音
波などを与えて内部のレーザ光を制御する光コネクタ制
御部90Eを設けたことが上記実施例と相違している。
すなわち、光コネクタ制御部90Eが外部から光コネク
タ9Aの材料に超音波を発生させ、光コネクタ9Aの内
部に生じる音響光学効果を利用して内部を伝搬するレー
ザ光の進行方向を固定的または能動的に制御してもよ
い。
クタが複数のレーザ媒体であるレーザ結晶板を直列に連
結しレーザ光路の両端に反射鏡を設けて共振器としての
機能を説明したが、複数の励起チャンバのレーザ媒体を
コネクタ媒体で連結して共振器の外部に配置し部分反射
鏡を介して共振器から受けたレーザ光を増幅する増幅器
として用いられることは言うまでもない。
れを説明しているが、各実施例間の上記構成要素の組合
わせなどによる構成の変更は上記機能を満たす限り自由
であり、上記説明が本発明を限定するものではない。
のような効果を得ることができる。
した実用的な高出力のレーザ装置を安価に実現できるこ
とである。
媒体を光コネクタにより連結してレーザ光の伝搬路を形
成することにより発振器または増幅器におけるレーザ媒
体の実効的な体積を必要な量だけ増加させることができ
ると共にレーザ媒体を収納する励起チャンバ、連結する
光コネクタおよび共振器用の反射鏡それぞれが一つの光
学ベンチの上に独立して機械的に固定保持され、これら
構成要素により形成されるレーザ光の伝搬路の光軸位置
を微調整できるからである。
質が共に良好なレーザ装置を実現できることである。
る空間を光コネクタにより埋めると共に、光コネクタ内
部ではレーザ光が内部全反射しつつ伝搬するため伝搬損
失がなく、更に光コネクタ材料が光学的に透明であるた
め内部発熱がなく、かつレーザ媒体とは狭い間隙で切り
離されているので伝導加熱を受けることもないため、熱
レンズ効果または熱複屈折効果による光損失も生じるこ
とがないからである。
が共に向上するレーザ装置を実現できることである。
媒体のスラブ型結晶において連結端面となる光入出射面
をレーザ光の進行方向である長さ方向に垂直な面に形成
できるので、スラブ型結晶の全体積に対して励起光によ
り効率よく励起されるからであると共に傾斜面がなく非
対称な加熱による熱レンズ効果または熱複屈折効果を起
こすことがないからである。また、この場合、光入出射
面に対する入射角度がブリュースタ角度より十分小さく
なるのでS偏光およびP偏光の両者に対して十分な反射
防止多層膜を光入出射面に形成す得ることが可能にな
り、スラブ型YAG結晶内部で熱複屈折による偏光解消
が生じた場合でも直接レーザ光の損失にはならないから
である。
な装置を実現できることである。
独立した媒体のため、光コネクタに温度分布を意図的に
与えること、非線形材料を用いること、または音響的効
果を与えることなどにより、内部のレーザ光を能動的ま
たは固定的に制御できるからである。
けるレーザ光路の形成説明図である。
図である。
図である。
図である。
図である。
図である。
図である。
図である。
図および平面図である。
置の一例で部分断面を示す側面図である。
結して用いた一例を示す構成説明図である。
示す構成説明図である。
ザ用結晶板 2−a、2−b 励起チャンバ 5、5A、5C−a、5C−b 全反射鏡 6、6A、6C−a、6C−b 部分反射鏡 8 多層膜反射鏡 9−1,9−2、9A、9D 光コネクタ 10 レーザ媒体 11,21 内部全反射面 12、13、22、23 光入出射面 70、70A 光学ベンチ 71−a、71−b チャンバ保持具 72、72A 全反射鏡保持具 73、73A 部分反射鏡保持具 74、74D、74E 光コネクタ保持具 90D、90E 光コネクタ制御部
Claims (9)
- 【請求項1】 スラブ型のレーザ媒体を収めそれぞれが
隣接配置される複数の励起チャンバを有する固体レーザ
装置において、前記励起チャンバそれぞれに収められた
レーザ媒体の間にあり、独立した機構の保持具で保持可
能であり、対向する一方のレーザ媒体の光出射面と他方
のレーザ媒体の光入射面との間の空間を満たし、かつ前
記レーザ媒体の光出射面から放射されるレーザ光を前記
レーザ媒体の光入射面まで内部で全反射によりジグザグ
光路に閉じ込めて伝搬する光学的に透明なスラブ形状の
固体材料からなる光コネクタを備えることを特徴とする
固体レーザ装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載の固体レーザ装置におい
て、前記光コネクタは、スラブ形状において更に、レー
ザ光の伝搬方向に対して垂直な断面が矩形であり、この
矩形の厚さおよび幅それぞれの寸法がスラブ型の前記レ
ーザ媒体の寸法と等しいかまたはより大きく、かつ光入
出射面となる両端面を除く四つの面それぞれが前記レー
ザ媒体の面それぞれに平行であることを特徴とする固体
レーザ装置。 - 【請求項3】 請求項1に記載の固体レーザ装置におい
て、前記光コネクタは、スラブ形状において更に、レー
ザ光の入出射面がスラブ型の前記レーザ媒体の光入出射
面に平行であることを特徴とする固体レーザ装置。 - 【請求項4】 請求項1に記載の固体レーザ装置におい
て、スラブ型の前記レーザ媒体および前記光コネクタそ
れぞれは、スラブ形状において更に、レーザ光の入出射
面がレーザ光の伝搬方向に対して垂直な平行面であるこ
とを特徴とする固体レーザ装置。 - 【請求項5】 請求項1から請求項4までのうちのいず
れか一つに記載の固体レーザ装置であって、スラブ型の
前記レーザ媒体の内部をレーザ光がジグザグ光路を形成
する固体レーザ装置において、一方の端面となる前記ス
ラブ型レーザ媒体の一つの端面が全反射多層膜を被覆し
て一つの共振器の全反射鏡を形成することを特徴とする
固体レーザ装置。 - 【請求項6】 請求項1に記載される固体レーザ装置に
おいて、レーザ媒体を収める励起チャンバ、前記光コネ
クタおよび反射鏡それぞれを一つの光学ベンチに独立に
保持する保持具を備え、これら保持具が前記励起チャン
バ、前記光コネクタおよび前記反射鏡それぞれの位置を
微調整する構造を有することを特徴とする固体レーザ装
置。 - 【請求項7】 請求項1に記載される固体レーザ装置で
あって、スラブ型の前記レーザ媒体の内部をレーザ光が
ジグザグ光路を形成する固体レーザ装置において、前記
光コネクタの外部にあり、この光コネクタに加熱および
冷却の少なくとも一方を加えて3次元温度分布を意図的
に生成し、スラブ型の前記レーザ媒体が有する熱光学効
果を能動的および固定的の少なくとも一方により補償す
る補償手段を備えることを特徴とする固体レーザ装置。 - 【請求項8】 請求項1に記載される固体レーザ装置に
おいて、前記光コネクタが光学的に非線形性を有する材
料を含み、この光コネクタの外部にあってこの光コネク
タを電気的および光学的に刺激して屈折率を含む光学特
性を変化させ伝搬するレーザ光の進行方向を能動的およ
び固定的の少なくとも一方により制御する制御手段を備
えることを特徴とする固体レーザ装置。 - 【請求項9】 請求項1に記載される固体レーザ装置に
おいて、この光コネクタの外部にあってこの光コネクタ
の材料に超音波を発生させ、前記光コネクタの内部に生
じる音響光学効果を利用して伝搬するレーザ光の進行方
向を能動的および固定的の少なくとも一方により制御す
る制御手段を備えることを特徴とする固体レーザ装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2000196171A JP2000196171A (ja) | 2000-07-14 |
JP3430049B2 true JP3430049B2 (ja) | 2003-07-28 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP3430049B2 (ja) |
-
1998
- 1998-12-28 JP JP37314898A patent/JP3430049B2/ja not_active Expired - Fee Related
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