JP3424463B2 - 液圧バルジ加工用表面処理鋼管 - Google Patents

液圧バルジ加工用表面処理鋼管

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JP3424463B2
JP3424463B2 JP29505896A JP29505896A JP3424463B2 JP 3424463 B2 JP3424463 B2 JP 3424463B2 JP 29505896 A JP29505896 A JP 29505896A JP 29505896 A JP29505896 A JP 29505896A JP 3424463 B2 JP3424463 B2 JP 3424463B2
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正康 小嶋
健 富安
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は液圧バルジ加工に供
する表面処理鋼管に関する。 【0002】 【従来の技術】鋼管の液圧バルジ加工は、配管の分岐部
に用いられるT型管継手(以下、T継手と記す)の代表
的な加工方法として知られている。 【0003】図1はT継手の図で、(イ)は側面図、
(ロ)はA−A中央断面図である。T継手1は母管部1
aと高さHの枝管部1bからなり、両者がスムースな曲
率(半径R)を有するクロッチ部1cで結ばれている。 【0004】図2は、T継手の液圧バルジ加工に用いら
れる金型を示し、(イ)は長手方向断面図、(ロ)は側
面図である。金型2は上型2aと下型2bからなり、上
下に分割できる構造になっている。 【0005】上型2aには半円形のダイス溝2a−1
が、下型2bには同じく半円形のダイス溝2b−1とダ
イス孔2b−2が設けられており、これらで形成される
金型内郭形状はT継手1の外郭形状と同一である。金型
2には一般に工具鋼が用いられ、熱処理あるいはクロム
メッキなどによって金型内郭部表面は硬質かつ平滑に仕
上げられている。 【0006】図3は、T継手の液圧バルジ加工工程を示
す部分断面図である。 【0007】図3(イ)は、T継手の母管部と同一の外
径D1、肉厚taの管を所定長さL0 に切断した素管3
を液圧バルジ加工機(図示せず)に取り付けた下型2b
のダイス溝2−1にセットし、液圧バルジ加工機の上下
方向加圧装置(図示せず)に取り付けた上型2aを降下
せしめ、液圧バルジ加工の際に上型2aが浮き上らない
ように、下型2bに所定の力で押しつけた状態を示す。 【0008】図3(ロ)は、液圧バルジ加工機の水平方
向加圧装置(図示せず)に取り付けた対向する押金4、
5を前進させて押金端面4a、5aを素管端面3aに押
し付け、ついで押金4の内部を貫通する加工液注入用管
路6を通して注入した加工液8で素管3の内部を充満さ
せた状態を示す。加工液としては、水に防錆を主目的と
した油分を混合させたエマルジョンを用いるのが一般的
である。この後、加工液8の圧力を増加させながら左右
の押金4、5を前進せしめると、下型ダイス孔2b−2
の入口R部2b−3を通過して材料がダイス孔2b−2
の中に流入していく。 【0009】図3(ハ)は、材料の長さがT継手母管部
の長さよりも僅かに長いL´まで縮むと同時に、ダイス
孔2b−2と所定位置にあらかじめセットされたストッ
パ7で規制された形状の隆起部9bが形成された状態を
示す。この後、加工液8の圧力を低下、押金4、5を後
退および上型2aを上昇させ、ストッパ7をシリンダ
(図示せず)で上昇させて半製品9を下型2bから取り
出す。 【0010】図3(ニ)は、半製品の側面図である。隆
起部9bを高さHの位置で切断し、母管部9aを長さL
に仕上げ、必要に応じて熱処理を施すことによってT継
手が得られる。 【0011】ところで、図3(ロ)〜(ハ)の加工工程
においては、材料には加工液8による数百〜千数百気圧
の内圧が作用し、これに押金4、5による軸方向圧縮が
加わるので、材料の外面と上型ダイス溝2a-1および
下型ダイス溝2b-1には大きな圧力が作用する。 【0012】また、加工硬化した材料が滑る下型ダイス
孔の入口R部2b−3にも大きな圧力が作用する。この
状態で材料をダイス溝2a-1、2b-1内で軸方向に収
縮、あるいはダイス孔2b-2に流入させる際の摩擦が
次のような問題を引き起こす。 第1は、半製品9の外
面に擦り疵が生じ、グラインダなどによる研磨手入れが
必要となることである。前述のごとく金型2の内郭部は
硬質かつ平滑に仕上げられてはいるが、摩擦条件が過酷
であるために、連続して加工を行うと金型にも擦り疵が
発生する。金型表面の研磨修正は生産の能率を低下させ
るばかりでなく、修正が度重なると製品に寸法変化をき
たしてしまう。この場合には肉盛りと仕上げ加工が必要
となるので金型の保守費用が嵩んでしまう。 【0013】第2は、材料が軸方向にすべりにくいため
に、管端部近傍での挫屈が生じ易くなり、薄肉品の加工
が困難となることである。 【0014】図4は、挫屈が発生した状態を示す図であ
る。同図に示すように挫屈10は管端部近傍で生じ易
い。 【0015】第3は、材料がダイス孔2b−2内に流入
しにくくなるために、隆起部の破断が生じ易くなること
である。 【0016】図5は、隆起部の破断状態を示す斜視図で
ある。同図に示すように、材料がダイス孔に流入しにく
くなると隆起部の頂部で割れ11が発生する。 【0017】液圧バルジ加工における上記のような諸問
題を解消するためには、材料が金型と極めて高い面圧の
もとで摺動する際の摩擦抵抗を減少させることが重要で
ある。 【0018】その対策として、素管の外表面に金型との
焼付き防止する処理が行われている。潤滑油を素管に塗
布する方法も考えられるが、金型との高面圧下での摺動
でこすり取られてしまうために効果が乏しい。金型内が
内圧付加のための水系の加工液で濡れているために潤滑
油の効果が低下することもある。 【0019】そこで最も広く採用されているのはペイン
ト塗装である。所定長さに切断された素管を脱脂洗浄
し、その外面を吹き付け、あるいははけ塗りによって塗
装し、十分に乾燥固化させた後に液圧バルジ加工が行わ
れている。 【0020】しかしながら、この方法には次のような問
題がある。 【0021】第1は、素管の脱脂洗浄および塗装乾燥に
労力と工数がかかる。また、長尺の素管を所定の長さに
切断した後でペイント塗装されるため、素管切断工程と
液圧バルジ加工工程を連続させることができない。した
がって、工程毎に材料が滞留し、材料保管のための余分
なスペースを確保する必要があるばかりでなく、工程全
体の能率が上がらないことである。 【0022】第2は、長尺の素管を所定の長さに切断し
た後、1個1個人手によてペイント塗装がおこなわれて
いるので、塗装に時間を要するばかりでなく、素管の曲
面部にペイントを均一に塗装するには熟練を必要とする
ことである。薄肉の素管の場合に、不均一な膜厚でペイ
ント塗装されると、液圧バルジ加工の軸圧縮の際に膜厚
の段差部で挫屈が生じ易くなる。また、塗膜が厚過ぎる
と金型に塗膜がこびりつき、これが次の加工で製品に押
し込み疵を発生させるので、その都度金型から塗膜を取
り除く手間がかかる。 【0023】第3には、液圧バルジ加工の後で有機溶剤
などでペイント塗膜を除去する必要がある場合に手間と
工数がかかり、作業環境面でも問題がある。 【0024】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に鑑みてなされたものであり、ユーザーにおける加工
前の脱脂洗浄やペイント塗装、乾燥工程を省略し、素管
切断から液圧バルジ加工を連続的に行うことのできる焼
付き防止性能および潤滑性に優れた液圧バルジ加工用表
面処理鋼管を提供することを課題とする。 【0025】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、長尺の素
管のままで潤滑表面処理ができ、素管を切断した後、直
ちにバルジ加工ができる表面処理鋼管の開発をすべく実
験、検討した結果、鋼管表面に付着量0.1/m
10/mリン酸塩系、シュウ酸塩系およびホウ酸
塩系のいずれかの化成処理被覆膜を設けておくのがよい
という知見を得た。本発明はこのような知見に基づきな
されたものでそのの要旨とするところは、「鋼管の少な
くとも外表面に、付着量が0.1〜10/m
ン酸塩系、シュウ酸塩系およびホウ酸塩系のいずれかの
化成処理被覆膜を備えている液圧バルジ加工用表面処理
鋼管。」 【0026】 【発明の実施の形態】本発明の液圧バルジ加工用表面処
理鋼管における限定条件について以下に詳述する。 【0027】(a)化成処理被覆膜 鋼管の少なくとも外表面にリン酸塩系、シュウ酸塩系お
よびホウ酸塩系のいずれかの化成処理被膜を設けるの
は、バルジ加工時に鋼管とダイスとの摺動界面に化成処
被膜を存在させることにより、焼き付きを防止するた
めである。化成処理被膜は、ダイスと鋼管との直接のメ
タル接触を防止するスペーサとしての機能を有する。
成処理被膜は、被膜密着性に優れており、バルジ加工時
の摺動により剥離することがなく、また皮膜電気絶縁性
に優れているので、工具と皮膜との凝着防止の効果があ
る。 【0028】上記のような性能を満足する被覆膜とし
て、リン酸塩系、シュウ酸塩系、ホウ酸塩系のいずれか
化成処理被覆膜である。さらに好ましくは、高加工度
での加工への対応のために潤滑油との併用するのがよ
。 【0029】(b)化成処理被膜の付着量 被膜の付着量は、0.1g/m 未満では被膜が不連
続となり、加工中に擦り疵や焼き付きが発生しやすい。
一方、10g/m を超えると、被膜の内部応力によ
り剥離しやすくなり、その剥離した被膜が鋼管とダイス
の間隙に蓄積されて次の成形時に鋼管外表面に押し込み
疵を発生させ。また経済的にも過大な被膜厚みは無駄で
ある。したがって、化成処理被膜の付着量は0.1〜1
0g/mとした。なお、化成処理被覆膜は、均一に施
す必要があるが、リン酸亜鉛処理等の反応型化成処理で
あれば、薬液への浸漬、必要があれば水洗、乾燥させる
ことにより均一にすることができる。 【0030】このような化成処理被膜を施した鋼管を、
液圧バルジ成形する際、加工液として防錆目的のエマル
ジョン油を使用する場合には、加工後そのまま製品とし
て使用するか、あるいはその後更に必要な塗装を施して
使用することができる。加工液として鉱物油を使用する
場合には、アルカリ脱脂や溶剤脱脂をした後、必要であ
ればその後塗装を施すことができる。 【0031】(c)鋼管 鋼管の材質は、炭素鋼、オーステナイト系ステンレス鋼
やフェライト系ステンレス鋼が一般的であるが、とくに
限定されるものではない。 【0032】 【実施例】板厚4.2mmの熱間圧延鋼帯(炭素鋼:C:
0.05%、Si:0.1%、Mn:0.25%)から製造した電縫鋼管(外
径:89.1mm、肉厚:4.2mm、長さ:5.5m
m)の表面を酸洗し、さらに、ブラスト処理を施し、次
いで下記(1)、(3)、(4)の無機被膜処理を
施し、表1に示すような種々の付着量の処理鋼管を用
した。 【0033】(1)リン酸塩系化成処理 下記の工程でリン酸亜鉛処理を施した。 【0034】面調整−リン酸亜鉛処理浴浸漬−水洗−熱
風乾燥。 【0035】リン酸処理液として、日本パーカ社製のP
B−3080を使用した。また、処理被膜の付着量制御
は、リン酸亜鉛処理浴浸漬時間を変化させることにより
行った。また、薄膜X線回折測定により、得られた無機
被覆膜の結晶形態がフォスフォフィライトを示すことが
判明したので、皮膜付着量を、蛍光X線にてリン付着量
として測定し、フォスフォフィライト換算することによ
り求めた。 【0036】 【0037】 【0038】 【0039】(3)シュウ酸塩系化成処理 下記の工程でシュウ酸塩処理を施した。 【0040】シュウ酸処理浴浸漬−水洗−熱風乾燥。 【0041】シュウ酸処理液として、20%シュウ酸水
溶液+促進剤(チオ硫酸ナトリウム)を用い、液温80
℃で処理した。処理被膜の付着量は、シュウ酸処理浴浸
漬時間を変化させることにより行った。皮膜付着量を、
イビット入り5%HClにて皮膜溶解、溶解液中のシュ
ウ酸イオンをイオンクロマトグラフィー測定により定量
し、シュウ酸鉄換算することにより求めた。 【0042】(4)ホウ酸塩系化成処理 下記の工程でホウ酸塩処理を施した。 【0043】ホウ酸処理浴浸漬−水洗−熱風乾燥。 【0044】ホウ酸処理液は、20%ホウ酸水溶液+促
進剤(チオ硫酸ナトリウム)を用い、液温80℃で処理
した。処理被膜の付着量は、ホウ酸処理浴浸漬時間を変
化させることにより行った。皮膜付着量を、イビット入
り5%HClにて皮膜溶解、原子吸光分析にてホウ素付
着量を測定し、ホウ酸鉄換算することにより求めた。 【0045】上記の無機物質による被覆膜を備えた鋼管
に、以下の方法により液圧バルジ加工を施した。 【0046】図3(イ)に示す長さL0=300mmの
素管に切断し、図3(ロ)に示すように加工液(水に防錆
油を濃度3%で混合したエマルジョン)を素管に注入
し、図3(ハ)に示すように軸方向圧縮と最高500k
gf/mm2 の内圧を付加した。図3(ニ)に示す目標
とする半製品の寸法は、母管部が外径D1=89.1m
m、長さL´=180mm、隆起部が外径D2=89.
1mm、高さH´=65mmである。 【0047】各処理鋼管の被膜付着量毎に10回連続し
て液圧バルジ加工を実施し、加工後の角鋼管について、
破断、擦り疵、押し込み疵および被膜剥離の発生状況を
観察した。結果を表1に示す。 【0048】 【表1】 【0049】被覆膜付着量がリン酸塩系化成処理では
0.05g/m(サンフ゜ルNo1-1)、シュウ酸塩系化成処
理では0.05g/m(サンフ゜ルNo3-1)、ホウ酸塩系化
成処理では0.01g/mで(サンフ゜ルNo4-1)では図6
(イ)に示すような破断が頻発した。また、これら鋼管
外面に顕著な擦り疵が発生したため、10回の加工中に
3回の金型研磨手入れを要した。一方、被覆膜付着量が
リン酸塩系化成処理では17.1g/m(サンフ゜ルNo1-
6)、シュウ酸塩系化成処理では12.3g/m(サンフ゜
ルNo3-6)、ホウ酸塩系化成処理では20.2g/m
(サンフ゜ルNo4-6)では被膜剥離が発生し、その都度金型を
清掃する必要があった。また、剥離物によって鋼管外面
に押し込み疵が形成されたので、半製品外面をグライン
ダにより手入れをする必要があった。3種類の化成処理
被覆膜の何れも付着量0.1〜10g/mの範囲(サン
フ゜ルNo1-2〜No1-5、No3-2〜No3-5、No4-2〜No4-5)では
全数良品となり、そのまま図3(ニ)に示す半製品の頭
部をH=41.2mmの位置で切断し、さらに母管端面
を切削加工して図1に示すL=171.4mmのT継手
(1)を得た。 【0050】 【発明の効果】本発明の無機物質による被覆膜を備えた
表面処理鋼管を用いて液圧バルジ成形することにより、
良好に加工ができ。さらに、従来の問題点であった素管
の脱脂洗浄、塗装乾燥工程が省略でき、鋼管の切断から
液圧バルジ成形まで連続して行うことができるので、大
幅な工程の短縮化が図れる。また、長尺の素管状態での
スプレー塗装等による均一塗装が行われるため、塗膜の
均一性が良好で挫屈等が生じにくい。
【図面の簡単な説明】 【図1】T型管継手の一例を示す図である。 【図2】T型管継手の液圧バルジ成形用金型の図であ
る。 【図3】T型管継手の液圧バルジ加工の工程を説明する
ための図である。 【図4】挫屈が発生した状態を示す図である。 【図5】隆起部の破断状態を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 T型管継手 2 T型管継手の金型 4、5 押金 6 加工液注入用管路 8 加工液 11 破断部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−128385(JP,A) 特開 昭55−8440(JP,A) 特開 昭55−8439(JP,A) 特開 昭52−18464(JP,A) 特開 昭52−9583(JP,A) 特開 昭51−105966(JP,A) 特開 昭51−37072(JP,A) 特開 平8−277496(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 22/00 - 26/14 C23C 30/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】鋼管の少なくとも外表面に、付着量が0.
    1〜10/mリン酸塩系、シュウ酸塩系および
    ホウ酸塩系のいずれかの化成処理被覆膜を備えているこ
    とを特徴とする液圧バルジ加工用表面処理鋼管。
JP29505896A 1996-11-07 1996-11-07 液圧バルジ加工用表面処理鋼管 Ceased JP3424463B2 (ja)

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