JP3423546B2 - 液晶組成物、液晶素子、及び該素子を用いた液晶装置 - Google Patents

液晶組成物、液晶素子、及び該素子を用いた液晶装置

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JP3423546B2
JP3423546B2 JP26954196A JP26954196A JP3423546B2 JP 3423546 B2 JP3423546 B2 JP 3423546B2 JP 26954196 A JP26954196 A JP 26954196A JP 26954196 A JP26954196 A JP 26954196A JP 3423546 B2 JP3423546 B2 JP 3423546B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置や液
晶光シャッターを構成する液晶素子に用いる液晶組成
物、液晶素子、及び、これを用いた液晶装置、特に液晶
表示装置に関し、特に、強誘電性液晶組成物及びこれを
用いた液晶素子、液晶装置に関し、詳しくは、駆動耐久
性を改善した強誘電性液晶組成物、これを用いた液晶素
子、及び、液晶装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶分子の屈折率異方性を利用
して、偏光素子との組合せにより透過光線を制御する型
の表示素子がクラーク(Clark)及びラガーウォル
(Lagerwall)により提案されている(特開昭
56−107216号公報)。
【0003】この強誘電性液晶は、一般に、特定の温度
域においてカイラルスメクティックC相(SmC*)ま
たは、H相(SmH*)を有し、この状態において、加
えられる電界に応答して、第一の光学的安定状態と、第
二の光学的安定状態とのいずれかをとり、且つ電界の印
加のない時はその状態を維持する性質、すなわち双安定
性を有し、また電界の変化に対する応答も速やかであ
り、高速ならびに記憶型の表示素子用として広い利用が
期待され、特に、その機能から、大画面で高精細なディ
スプレイへの応用が期待されている。
【0004】従来より、このような強誘電性液晶組成
物、及び、これを用いた強誘電性液晶素子、これらを用
いた液晶装置についての様々な問題点の指摘とその解決
手段が提案されている。
【0005】例えば、特開平3−252624号公報で
は、素子の構成要因、配向状態からC1ユニフォーム配
向状態と呼ぶ、双安定配向状態での透過率(コントラス
ト)改善手法が提案されている。
【0006】また、特開昭60−31120号公報、特
開平1−140198号公報には、液晶表示素子を大画
面化、高精細化するに伴い、フレーム周波数(1画面形
成周波数)が低周波になってしまい、画面書き換え速度
や、文字編集、グラフィック画面などでのスムーズスク
ロール、及びカーソル移動などの動画表示が遅くなるこ
とに対しての改善駆動方法が提案されている。
【0007】すなわち、走査電極と、情報電極とをマト
リクス配置した表示パネルと、走査電極を全数、又は、
所定数選択する手段(この手段により選択する場合を全
面書込みという)と、走査電極を全数、又は、所定数の
内の一部を選択する手段(この手段により選択する場合
を部分書込みという)とを有する表示装置を用いること
である。
【0008】これにより、部分的動画表示を部分書込み
で行なうことによって、高速表示が可能になり、部分書
込みと、全面書込みの両立が実現できる。
【0009】更に、特開平3−35220号公報では、
大画面化、高精細化強誘電性液晶表示素子を実現する上
で、液晶表示素子が駆動マージンと呼ばれる駆動特性を
広く持つ必要性が指摘されている。
【0010】一方、特開平5−273537号公報で
は、強誘電性液晶を用いた表示素子を長時間駆動し続け
ると、液晶セル間に挟持された液晶材料が駆動により特
定の方向に移動し、素子を構成し液晶組成物を挟持して
いるガラス基板間の距離(セルギャップ)が次第に増加
していき、黄色に見え始め、表示品質の低下を招くこと
を指摘し、改善手法として、液晶材料に接する素子構成
材料(配向制御層構成材料)の表面形状という観点から
提案している。
【0011】上記した液晶材料の移動現象について図1
1を用いて説明する。表面安定化型強誘電性液晶素子に
おいて液晶分子は、その平均分子軸方向として、図11
(a)を示すような二つの安定状態116a、116b
のいずれかをとる。ここで115はラビング処理などの
一軸配向処理方向である。そして、液晶素子を駆動する
ことによって、液晶分子は一軸配向処理方向と垂直な方
向、例えば117に示す向き、に移動する。このような
117に示す向きの液晶分子の移動が、図11(b)に
示すような液晶素子全体にわたって生じると、118で
示した領域に液晶材料が集まることになり、領域118
で液晶素子のセルギャップが増大する。
【0012】更に、欧州公開0648826A2、特開
平7−159790号公報においては、液晶素子の素子
構成要因と、液晶組成物の相転移の挙動(降温過程にお
けるコレステリック相状態とスメクティックA相状態と
が混在する温度範囲)との関連から、液晶移動現象の改
善手法を提案している。
【0013】本発明者等は、このような耐久特性に関し
て、更に検討を進めたところ、カイラルスメクティック
液晶、強誘電性液晶、又は強誘電性液晶表示素子として
の駆動特性の劣化、特に駆動マージンの低下という問題
が認められた。
【0014】この現象を細かく観察すると素子構成(各
色のカラーフィルターの形成、メタル配線)などによる
表面段差、或いはスペーサビーズ、粒状接着剤と呼ばれ
るセルギャップ保持・補強材等による何らかの影響が、
長時間の駆動により少しづつ現れ始め、経時的にその影
響を受ける領域が拡大し、各画素周囲に形成されている
段差部、又はギャップ保持・補強材料周囲部での液晶駆
動特性において、クロストーク値が他の領域と比較して
著しく低下する現象に起因していた。
【0015】図12にクロストーク値が低下する領域
(駆動耐久性低下領域)の例を示す。図12中121は
メタル配線、122はラビング処理などの一軸配向処理
方向、123は粒状接着剤、124はスペーサビーズを
示す。これらメタル配線121、粒状接着剤123、ス
ペーサビーズ124の近傍に駆動耐久性低下領域125
が形成される。
【0016】このような現象が、表示領域全域で発生し
始めると、表示のちらつき領域が多くなり、更には、表
示面全体のコントラストも低下し、表示品質を低下させ
る結果となる。更には、表示素子としてのセルギャップ
むら、表示装置における表示パネルの面内温度むら等に
よる影響も加味され、駆動マージンが駆動耐久初期に比
べ著しく低下し、満足な画質品質が得られなくなってし
まう。
【0017】上述したような様々な問題に対して、液晶
組成物が単独の液晶性化合物より構成されているもので
はなく、種々の液晶性化合物からなる組成物であること
から、新規な液晶性化合物、又は、公知な液晶性化合物
を導入することによって要求される特性を改善する試
み、具体的には、室温を含む広い温度領域でカイラルス
メクティックC相を示す組成物を提供し、高速応答特
性、配向特性、駆動温度特性、低温保存特性、透過率特
性等の諸特性を改善する試みがなされている。
【0018】しかし、液晶性化合物が特定の特性につい
て、メリットとデメリットを兼ね備えているのも良く知
られている事実である。そのため、液晶組成物(ここで
はカイラルスメクティック液晶組成物)を構成、構築し
ていく場合、種々の液晶性化合物のメリットを十分に引
き出しながら、デメリットを補充しあえるような、液晶
性化合物の組合せが必要であり、バランスのとれたカイ
ラルスメクティック液晶特に強誘電性液晶組成物を得る
ための液晶性化合物の組合せに関する知見が望まれてい
た。
【0019】このような化合物の組合せ、又は選択とい
う手法は、特開平6−242450号公報等に提案され
ている。
【0020】しかし、これらの提案は、大画面化、高精
細化のなされた液晶表示素子、及び表示装置を実現する
上で非常に有効な手段ではあるが、特に前述したような
表示素子又は表示装置を長時間使用する際の実用上の問
題点、すなわち画質等の表示品質の低下、駆動特性の低
下などの耐久特性の問題について、充分な指摘、及び該
問題点の解決の指針の提案はなされていなかったのが実
状である。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
したような長時間使用による液晶素子の表示品質の低
下、駆動特性の低下といった耐久特性を改善する液晶組
成物を提供することにある。
【0022】本発明の別の目的は、当該組成物を用いて
耐久特性を改善した液晶素子、並びに液晶装置を提供す
ることにある。
【0023】本発明の他の目的は、耐久特性を改善した
液晶装置を提供することによる、省資源化、省エネルギ
ー化、省スペース化などに貢献することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、下
記一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)で示され
る化合物を必須成分として有する液晶組成物によって達
成される。
【0025】
【化12】
【0026】
【化13】
【0027】
【化14】
【0028】また、本発明によれば、液晶を挟持して対
向すると共に、該対向面側に液晶に電圧を印加するため
の電極が形成された一対の基板とを具備する液晶素子で
あって、少なくとも一方の基板における対向面側に液晶
の配向状態を制御するための配向制御層を有し、前記液
晶として、上記3成分を必須成分とした液晶組成物を用
いる液晶素子が提供される。
【0029】更に本発明によれば、上記液晶素子及び該
素子の駆動回路を具備する液晶装置が提供される。
【0030】特開平5−273537号公報には、液晶
が充填されている液晶セルの端部におけるセル厚の変化
は、駆動により液晶自身が液晶セル間の特定方向に移動
することによって、セル端部での圧力が増加した結果と
して起こっており、液晶分子が液晶セルの中を移動する
力の発生原因は不明だが、おそらく駆動パルスによる交
流的な電界で、液晶分子の双極故モーメントが揺らぐこ
とにより発生する電気力学的効果であろうと推定される
旨の記載がある。
【0031】約1〜5μm程度の薄いセルギャップで構
成されている液晶素子、特に強誘電性液晶を用いた素子
におけるセルギャップの変動が、大きな駆動電圧閾値特
性の変化につながることは、容易に類推できる。
【0032】しかしながら、液晶の移動なる現象が、液
晶組成物全体の均一的移動現象であり、これがセルギャ
ップ変化を引き起こし、色味を変化させ、駆動電圧閾値
特性の変化を引き起こしているのか、或いは、組成物を
構成する成分(化合物)の一部が偏りながら組成物とし
て移動することで、素子(パネル)内での組成物の成分
構成比率と屈折率異方性(Δn)の変化、及びセルギャ
ップの変化を引き起こし、これが素子の色味を変化さ
せ、駆動電圧閾値特性の変化を増大させているのかは、
未だ我々の検討でも明らかにされていない。
【0033】いずれにしても、本発明者等は、液晶の移
動が力学的な要因に基づく移動であるならば、液晶組成
物を構成する液晶性化合物の骨格的要因を制御すること
によっても、液晶の移動現象の抑制が可能であると考え
検討を行なった。
【0034】本発明者等は、現在数多く提案されている
液晶組成物、特にカイラルスメクティック相を示す液晶
組成物の主成分として、ピリミジン環やフェニル環を中
心骨格に持つ液晶性化合物を用いることが主流となって
いることから、かかる液晶組成物中での液晶のスイッチ
ング特性に悪影響を与えないような骨格形態を持ち、か
つ、成分全体の相溶性を阻害しないような骨格形態を持
つ化合物を使用する液晶組成物の処方であって、上述し
た液晶の移動現象を改善する処方について鋭意検討を行
なった。
【0035】また、液晶素子構造上、透明電極などの電
極やその補助電極として形成されるメタル配線などによ
る段差(微少なセルギャップの違い)部分近傍の領域
や、スペーサビーズ、粒状接着剤といったギャップ保持
材料周囲の領域においても、何らかの力学的効果が局所
的に増大していると考えられる。この領域において、長
時間駆動に伴って、駆動閾値特性が変化(クロストーク
が著しく低下)する部分が経時的に増大する傾向にあ
る。そこで、この領域と液晶の移動現象との間に何らか
の関係があるものと推定し、液晶移動現象を抑制、改善
することで、このような局所的な駆動閾値特性の変化に
よる表示品質の劣化を改善することを鋭意検討した。
【0036】本発明者等は、上述したような耐久特性の
問題を改善するため、上述したような技術思想に基づ
き、特定の液晶成分として適する化合物を組合せ、これ
を用いた液晶組成物、これを使用した液晶素子、更に、
これを用いた液晶装置について鋭意検討を重ねた結果、
本発明に至ったものである。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明の液晶組成物は、前記一般
式(A)、(B)及び(C)で表わされる3種の化合物
を必須成分とする。これら3種の化合物は、好ましくは
単独で液晶相を示す液晶化合物であるが、液晶組成物中
で液晶成分として好適に機能するものであれば、単独で
液晶相をとるか否かは限定されない。
【0038】本発明の液晶組成物は、好ましくは上記必
須成分に加えて、少なくとも一種の光学活性化合物を含
有し、カイラルスメクティック相を示し、また、強誘電
性液晶として機能する。
【0039】前記一般式(A)で示される化合物は、例
えば特開平5−262678号公報に開示された方法に
よって合成され得る。
【0040】一般式(A)で示される化合物の好ましい
具体例を下記の表に化合物を構成する基の組合せの形で
示す。表中におけるアルファベットは下記に示す側鎖
基、又は環状基を示す。また、−は単結合を示す。
【0041】met:CH3,hep:C715,tr
d:C1327,eth:C25,oct:C817,t
ed:C1429,pro:C37,non:C919
ped:C1531,but:C49,dec:C
1021,hexd:C1633,pen:C511,un
d:C1123,hepd:C1735,hex:C
613,dod:C1225,ocd:C1837,2m
b:2−メチル−1−ブチル
【0042】
【化15】
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】前記一般式(B)で示される化合物は、例
えば特開平7−10849号公報に開示された方法によ
って合成され得る。
【0048】一般式(B)で示される化合物の好ましい
具体例を下記の表に化合物を構成する基の組合せの形で
示す。表中におけるアルファベットは下記に示す側鎖
基、又は環状基を示す。また、−は単結合を示す。
【0049】met:CH3,hep:C715,tr
d:C1327,eth:C25,oct:C817,t
ed:C1429,pro:C37,non:C919
ped:C1531,but:C49,dec:C
1021,hexd:C1633,pen:C511,un
d:C1123,hepd:C1735,hex:C
613,dod:C1225,ocd:C1837,2m
b:2−メチル−1−ブチル
【0050】
【化16】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】前記一般式(C)で示される化合物は、例
えば特開平6−256231号公報、特開平7−118
178号公報に開示された方法によって合成され得る。
【0055】一般式(C)で示される化合物の好ましい
具体例を下記の表に化合物を構成する基の組合せの形で
示す。表中におけるアルファベットは下記に示す側鎖
基、又は環状基を示す。また、−は単結合を示す。
【0056】met:CH3,hep:C715,tr
d:C1327,eth:C25,oct:C817,t
ed:C1429,pro:C37,non:C919
ped:C1531,but:C49,dec:C
1021,hexd:C1633,pen:C511,un
d:C1123,hepd:C1735,hex:C
613,dod:C1225,ocd:C1837,2m
b:2−メチル−1−ブチル
【0057】
【化17】
【0058】
【表8】
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
【0062】上述したように、本発明の液晶組成物は、
好ましくは少なくとも一種の光学活性化合物を含有する
カイラルスメクティック相を呈する液晶組成物である。
更には、等方性液体相より降温過程において、カイラル
ネマティック相(コレステリック相)、スメクティック
相、カイラルスメクティック相を示す液晶組成物である
ことが望ましく、カイラルスメクティック相がカイラル
スメクティックC相である液晶組成物であることがより
望ましい。
【0063】本発明の液晶組成物では、好ましくは、前
述した一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)で示
される化合物をそれぞれ、1.0〜30重量%、0.3
〜20重量%、0.3〜20重量%含有し、より好まし
くは、一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)で示
される化合物をそれぞれ、1.0〜20重量%、0.5
〜10重量%、0.5〜10重量%含有する。
【0064】現在数多く提案されている強誘電性液晶組
成物の主成分に、ピリミジン環やフェニル環を持つ液晶
性化合物をベースとして用いることが主流となってい
る。本発明では、かかる液晶組成物の中においても、強
誘電性液晶組成物等に要求される諸特性に対して、大き
な弊害を引き起こさないような骨格形態を持ち、且つ長
時間駆動時の液晶素子の特性を改善する化合物を用いた
処方の検討を行なった。
【0065】本発明の液晶組成物における、上述した好
ましい配合比率においてそれぞれの下限未満では、効果
が希薄となることがあり、上限と超えると他の特性との
バランスを大きく崩すことがある。更には、一般式
(A)、一般式(B)及び一般式(C)で示される液晶
性化合物で70重量%を超えると、液晶組成物中にベー
スとして用いられるその他の液晶性化合物(本発明の一
般式(A)、一般式(B)、一般式(C)以外)との量
比関係から、相転移温度などの特性調整が困難となる場
合がある。
【0066】また本発明の液晶組成物に含有される光学
活性化合物としては、フェニル環やピリミジン環よりな
る中心骨格と、種々の光学活性部位を持った側鎖とを有
する化合物が好ましく用いられる。その具体例として、
一般式(5)〜(7)の化合物を以下に例示する。
【0067】
【化18】 (式中、R29は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐
状のアルキル基であり、該アルキル基中の一つもしくは
二つ以上のメチレン基は、−Y2−、−Y2−CO−、−
CO−Y2−、−CO−、−OCOO−、−CH=CH
−、−C≡C−に置き換えられていてもよい。Y2はO
又はSを示す。R30は炭素原子数1〜11の直鎖状、又
は分岐状のアルキル基である。m21、L1はそれぞれ独
立に0、1又は2である。
【0068】B4、B5、B6はそれぞれ独立に単結合、
無置換或いは1個又は2個の置換基(F、Cl、Br、
CH3、CF3、CN)を有する1,4−フェニレン、ピ
リジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイ
ル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−
ジイル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサ
ン−2,5−ジイル、1,3−ジチアン−2,5−ジイ
ル、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5
−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイル、ベンゾオ
キサゾール−2,6−ジイル、ベンゾチアゾール−2,
5−ジイル、ベンゾチアゾール−2,6−ジイル、ベン
ゾフラン−2,5−ジイル、ベンゾフラン−2,6−ジ
イル、キノキサリン−2,6−ジイル、キノリン−2,
6−ジイル、2,6−ナフチレン、インダン−2,5−
ジイル、2−アルキルインダン−2,5−ジイル(アル
キル基は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状のア
ルキル基である。)、インダノン−2,6−ジイル、2
−アルキルインダノン−2,6−ジイル(アルキル基は
炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状のアルキル基
である。)、クマラン−2,5−ジイル、2−アルキル
クマラン−2,5−ジイル(アルキル基は炭素原子数1
〜18の直鎖状、又は分岐状のアルキル基である。)の
中から選ばれる。
【0069】X21は単結合、−COO−、−OCO−、
−CH2O−、−OCH2−を示し、X22はL1=0の
時、単結合、−CO−、又は−CH2−を示し、L1=1
の時、単結合、又は−CH2−を示す。L2は0又は1を
表わす。*は不斉炭素原子を表わす。)
【0070】上記化合物の具体例としては、特開昭61
−292388号公報、特開昭63−44551号公報
等に記載されているものが好ましく用いられ、各化合物
は上記公報に記載されている方法によって製造される。
【0071】本発明の液晶組成物に含有される、前記一
般式(5)で表わされる化合物の具体的な例としては、
以下の表12〜16に示すものが挙げられる。尚、表中
に用いられる記号は、一般式(5)中の記号に対応し、
表中のΣ0は、
【0072】
【化19】 に対応する。また、m21は特に記載のない場合1であ
る。
【0073】また、表中の略記は以下の基を示す。−は
単結合を示す。
【0074】
【化20】
【0075】
【化21】
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
【表14】
【0079】
【表15】
【0080】
【表16】
【0081】
【化22】 (式中、R31は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐
状のアルキル基であり、該アルキル基中の一つもしくは
二つ以上のメチレン基は、−Y3−、−Y3−CO−、−
CO−Y3−、−CO−、−OCOO−、−CH=CH
−、−C≡C−に置き換えられていてもよい。Y3はO
又はSを示す。R32は炭素原子数1〜11の直鎖状、又
は分岐状のアルキル基を示す。m22は0、1又は2であ
る。
【0082】B7、B8、B9はそれぞれ独立に単結合、
無置換或いは1個又は2個の置換基(F、Cl、Br、
CH3、CF3、CN)を有する1,4−フェニレン、ピ
リジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイ
ル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−
ジイル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサ
ン−2,5−ジイル、1,3−ジチアン−2,5−ジイ
ル、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5
−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイル、ベンゾオ
キサゾール−2,6−ジイル、ベンゾチアゾール−2,
5−ジイル、ベンゾチアゾール−2,6−ジイル、ベン
ゾフラン−2,5−ジイル、ベンゾフラン−2,6−ジ
イル、キノキサリン−2,6−ジイル、キノリン−2,
6−ジイル、2,6−ナフチレン、インダン−2,5−
ジイル、2−アルキルインダン−2,5−ジイル(アル
キル基は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状のア
ルキル基である。)、インダノン−2,6−ジイル、2
−アルキルインダノン−2,6−ジイル(アルキル基は
炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状のアルキル基
である。)、クマラン−2,5−ジイル、2−アルキル
クマラン−2,5−ジイル(アルキル基は炭素原子数1
〜18の直鎖状、又は分岐状のアルキル基である。)の
中から選ばれる。
【0083】X23は単結合、−COO−、−OCO−、
−CH2O−、又は−OCH2−を示し、X24は−O−、
−COO−、−OCH2−、−OCH2CH2−、−OC
OCH2−、−CH2O−、−COOCH2CH2−、−C
2OCH2CH2−、又は−CH2COOCH2−を示
す。*は不斉炭素原子を表わす。)
【0084】上記一般式(6)で表される化合物(以
下、カイラルトリフルオロ化合物という)の具体例とし
ては、特開平1−160986号公報、特開平1−24
2543号公報、特開平2−127号公報、特開平2−
69440号公報、特開平2−295943号公報、特
開平3−43488号公報、特開平3−58980号公
報、特開平3−83791号公報、特開平3−1937
74号公報、特開平3−223232号公報、特開平3
−236353号公報、特開平4−13797号公報、
特開平4−253789号公報、特開平4−26405
2号公報等に記載されているものが好ましく用いられ、
各化合物は上記公報に記載されている方法によって製造
される。
【0085】本発明の液晶組成物に含有される、前記一
般式(6)で表わされるカイラルトリフルオロ化合物の
具体的な例としては、以下の表17〜21に示すものが
挙げられる。尚、表中に用いられる記号は、一般式
(6)中の記号に対応し、m22は特に記載のない場合1
である。また、表中の略記は以下の基を示し、下記以外
の略記は一般式(5)の表中で用いられた略記と同じ基
を表わす。
【0086】Om:−OCH2−,Od:−OCH2CH
2−,Em:−OCOCH2−,Mo:−CH2−O−,
Ced:−COOCH2CH2−,Mod:−CH2OC
2CH2−,Mce:−CH2COOCH2−,Mcd:
−CH2−O−CH2
【0087】
【表17】
【0088】
【表18】
【0089】
【表19】
【0090】
【表20】
【0091】
【表21】
【0092】
【化23】 (式中、R33は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐
状のアルキル基であり、該アルキル基中の一つもしくは
二つ以上のメチレン基は、−Y4−、−Y4−CO−、−
CO−Y4−、−CO−、−OCOO−、−CH=CH
−、−C≡C−に置き換えられていてもよい。Y4はO
又はSを示す。R36は炭素原子数1〜18の直鎖状、又
は分岐状のアルキル基を表わす。m23は0、1又は2で
ある。R34は−CH2−又は−CO−を示す。R35はH
又はCH3である。
【0093】B10、B11、B12はそれぞれ独立に単結
合、無置換或いは1個又は2個の置換基(F、Cl、B
r、CH3、CF3、CN)を有する1,4−フェニレ
ン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−
ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,
6−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオ
キサン−2,5−ジイル、1,3−ジチアン−2,5−
ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−
2,5−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイル、ベ
ンゾオキサゾール−2,6−ジイル、ベンゾチアゾール
−2,5−ジイル、ベンゾチアゾール−2,6−ジイ
ル、ベンゾフラン−2,5−ジイル、ベンゾフラン−
2,6−ジイル、キノキサリン−2,6−ジイル、キノ
リン−2,6−ジイル、2,6−ナフチレン、インダン
−2,5−ジイル、2−アルキルインダン−2,5−ジ
イル(アルキル基は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は
分岐状のアルキル基である。)、インダノン−2,6−
ジイル、2−アルキルインダノン−2,6−ジイル(ア
ルキル基は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状の
アルキル基である。)、クマラン−2,5−ジイル、2
−アルキルクマラン−2,5−ジイル(アルキル基は炭
素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状のアルキル基で
ある。)の中から選ばれる。
【0094】X25は単結合、−COO−、−OCO−、
−CH2O−、−OCH2−を示し、X26はR34が−CO
−の時、単結合又は−CH2−であり、R34が−CH2
の時、単結合、−CO−又は−CH2−である。*は不
斉炭素原子を表わす。)
【0095】上記一般式(7)で表わされる化合物(以
下、カイラルフッ素化合物という)の具体例としては、
特開昭62−93248号公報、特開昭62−1986
33号公報、特開昭63−88161号公報、特開昭6
3−104949号公報、特開昭63−107951号
公報、特開昭63−122651号公報、特開昭63−
22042号公報、特開昭63−192732号公報、
特開昭63−196553号公報、特開昭63−196
571号公報、特開昭63−215661号公報、特開
昭63−216878号公報、特開昭63−21864
7号公報、特開昭63−225337号公報、特開昭6
3−243059号公報、特開昭63−303951号
公報、特開昭64−22990号公報、特開平1−27
2571号公報、特開昭64−31740号公報、特開
平1−121244号公報、特開平1−207280号
公報、特開平1−38077号公報、特開平1−265
052号公報、特開平2−28158号公報、特開平2
−69427号公報、特開平2−69467号公報、特
開平2−115145号公報、特開平2−227号公
報、特開平3−227980号公報、特開平4−300
871号公報等に記載されているものが好ましく用いら
れ、各化合物は上記公報に記載されている方法によって
製造される。
【0096】本発明の液晶組成物に含有される、前記一
般式(7)で表わされるカイラルフッ素化合物の具体的
な例としては、以下の表22〜26に示すものが挙げら
れる。尚、表中に用いられる記号は、一般式(7)中の
記号に対応し、また、m23は特に記載のない場合1であ
る。また、表中の略記は以下の基を示し、下記以外の略
記は一般式(5)の表中で用いられた略記と同じ基を表
わす。
【0097】Ml:−CH2−,
【0098】
【化24】 My:−CH3
【0099】
【表22】
【0100】
【表23】
【0101】
【表24】
【0102】
【表25】
【0103】
【表26】
【0104】本発明においては、液晶組成物を構成す
る、上述した必須成分及び光学活性化合物以外の好まし
い化合物としては、下記一般式(1)〜(4)の構造を
有する液晶性化合物を挙げることができる。これら化合
物を主な構成成分すなわちベース液晶とし、好ましくは
一般式(1)〜(4)で表わされる液晶性化合物をそれ
ぞれ、20〜75重量%、5〜25重量%、5〜30重
量%、0.1〜30重量%用いて、適宜、各液晶性化合
物の配合比を変え液晶組成物とすることが好ましい。
【0105】
【化25】 (p、qは0、1、2のいずれかであって、p+qは1
又は2であり、Y0は水素原子、またはフッ素原子を表
し、R21、R22は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分
岐状のアルキル基であり、該アルキル基中の一つもしく
は二つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接しない条
件で−O−、−S−、−CO−、−CHW−、−CH=
CH−、−C≡C−に置き換えられていてもよく、Wは
ハロゲン原子、CN基、CF3基のいずれかを示す。ま
た、R21、R22は光学活性であってもよい。)
【0106】
【化26】 0は水素原子、またはフッ素原子を表し、Y1は水素原
子、またはフッ素原子を表し、R23は炭素原子数1〜1
8の直鎖状、又は分岐状のアルキル基であり、R24は水
素原子、ハロゲン原子、CN基、又は炭素原子数1〜1
8の直鎖状、又は分岐状のアルキル基のいずれかであ
り、R23、R24の示す該アルキル基中の一つもしくは二
つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接しない条件で
−O−、−S−、−CO−、−CHW−、−CH=CH
−、−C≡C−に置き換えられていてもよく、Wはハロ
ゲン原子、CN基、CF3基のいずれかを示す。また、
23、R24は光学活性であってもよい。)
【0107】
【化27】 25、R26は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状
のアルキル基であり、該アルキル基中の一つもしくは二
つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接しない条件で
−O−、−S−、−CO−、−CHW−、−CH=CH
−、−C≡C−に置き換えられていてもよく、Wはハロ
ゲン原子、CN基、CF3基のいずれかを示す。また、
25、R26は光学活性であってもよい。)
【0108】
【化28】 27、R28は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状
のアルキル基であり、該アルキル基中の一つもしくは二
つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接しない条件で
−O−、−S−、−CO−、−CHW−、−CH=CH
−、−C≡C−に置き換えられていてもよく、Wはハロ
ゲン原子、CN基、CF3基のいずれかを示す。Zは−
O−又は−S−を示す。また、R27、R28は光学活性で
あってもよい。) 更に好ましくは、前述した、液晶組成物を構成する、例
えばベース液晶となり得るその他の液晶性化合物(一般
式(1)〜(4)で表される化合物)として、下記一般
式(1−1)〜(1〜7)、(2−1)〜(2−5)、
(3−1)〜(3−9)、(4−1)〜(4−6)の構
造を有する液晶性化合物が挙げられる。尚、式中の略号
21a〜R28aは前記一般式(1)〜(4)中のR21〜R
28と同様であり、Y1は前記一般式(1)〜(4)中の
1と同様である。
【0109】
【化29】
【0110】特に好ましくは、一般式(1−1)〜(1
−5)の2環系のフェニルピリミジン誘導体であって、
21aが炭素数4〜14の直鎖状アルキル基、R22aが炭
素数4〜12の直鎖状アルキル基である化合物、及び、
一般式(1−6)〜(1−7)の3環系のフェニルピリ
ミジン誘導体であって、R21aが炭素数4〜14の直鎖
状アルキル基、R22aが炭素数4〜10の直鎖状アルキ
ル基である化合物が用いられる。
【0111】
【化30】
【0112】特に好ましくは、一般式(2−1)〜(2
−5)の化合物であって、R23aが炭素数4〜14の直
鎖状アルキル基、R24aが炭素数2〜10の直鎖状アル
キル基であるような化合物が用いられる。
【0113】
【化31】
【0114】特に好ましくは、一般式(3−1)〜(3
−9)で表わされる化合物であって、R25aが炭素数2
〜10の直鎖状アルキル基、R26aが炭素数2〜12の
直鎖状アルキル基であるような化合物が用いられる。
【0115】
【化32】
【0116】特に好ましくは、一般式(4−1)〜(4
−6)の化合物であって、R27aが炭素数2〜10の直
鎖状アルキル基、R28aが炭素数4〜12の直鎖状アル
キル基であるような化合物が用いられる。
【0117】本発明にかかる液晶組成物は、カイラルス
メクティックC相を有し、且つ、0℃〜60℃の温度範
囲でカイラルスメクティックC相における層の傾斜角δ
が、3°以上15°以下に調整されていることがさらに
好ましい。
【0118】本発明の液晶素子は、上述したような液晶
組成物、特にカイラルスメクティック相を呈する液晶組
成物を、該液晶に電圧を印加するための電極を備えた一
対の基板間に挟持した構造をとる。一対の基板のうち少
なくとも一方には液晶の配向状態を制御すべく必要に応
じて一軸配向処理などの配向処理のなされた配向制御層
が設けられる。
【0119】好ましくは、本発明にかかるカイラルスメ
クティック液晶素子の室温近傍における液晶分子のプレ
ティルト角をα、液晶分子のティルト角をΘ、液晶の層
の傾斜角をδとした時に、カイラルスメクティック液晶
が、下記(I)式、及び、好ましくは(II)式で表わ
される配向状態を有し、且つ、この配向状態において、
少なくとも二つの安定状態を示し、それらの光学軸のな
す角度の1/2である見かけのティルト角θaと、ティ
ルト角Θとが、下記(III)式の関係を有する液晶素
子であって、該カイラルスメクティック液晶が前述した
本発明による液晶組成物であることが望ましい。
【0120】 Θ<α+δ (I) δ<α (II) Θ>θa>Θ/2 (III) このような関係を満たすことが好ましい理由について説
明する。
【0121】一般に、液晶の複屈折を利用した液晶素子
の場合、直交ニコル下での透過率I/I0は次式(I
V)で表わされるが、この式より、透過率I/I0を高
めて表示品質を向上させるためには、見かけのティルト
角θa(詳細は後述)が22.5°或いはそれに近い値
であることが望ましいことがわかる。
【0122】 I/I0=sin4θasin2(Δnd/λ)π (IV) (ここで、I0は入射光強度、Iは透過光強度、θaは見
かけのティルト角、Δnは屈折率異方性、dは液晶層の
層厚、λは入射光の波長である)
【0123】尚、前述のクラーク、ラガーウォルタイプ
のモデルによる液晶分子の長軸方向にらせん構造が解除
された液晶素子、即ち表面安定化型強誘電性液晶素子
(SSFLC)における見かけのティルト角θaは、第
1の配向状態の液晶分子の平均分子軸方向と第2の配向
状態での液晶分子の平均分子軸方向とのなす角度の1/
2として現れることになる。尚、SSFLCでは、液晶
分子が素子の厚み方向でねじれて配列するため、それら
の液晶分子の分子軸方向の平均が上記平均分子軸方向と
なる。
【0124】しかし、例えば一軸配向処理のなされたポ
リイミド膜を配向制御層として用いて配向させて得られ
た液晶分子が大きくねじれた配列を有する強誘電性液晶
素子においては、見かけのティルト角θa(二つの安定
状態の平均分子軸のなす角度1/2)は、強誘電性液晶
でのティルト角(図3に示す三角錐の頂角の1/2の角
度Θ)と比べて小さくなり、一般に3°〜8°程度で、
その時の透過率I/I0はせいぜい3〜5%程度と低か
った。
【0125】ところで、スメクティック液晶は一般に層
構造を持つが、SmA相からSmC相又はSmC*相に
転移すると、層間隔が縮むため図2に示すように液晶層
21が、上下基板の中央で折れ曲がった構造(シェブロ
ン構造)をとる。折れ曲がる方向は、同図に示すよう
に、高温相からSmC*相に転移した直後に現れる配向
状態(C1配向状態)の部分22における方向と、さら
に温度を下げた時にC1配向状態に混在して現れる配向
状態(C2配向状態)の部分23における方向、の二つ
が有り得る。また、C1配向内に従来見出されていた液
晶のダイレクタが上下の基板間でねじれている低コント
ラストの二つの安定状態(以下、スプレイ配向状態と呼
ぶ)の他に、液晶のダイレクタが上下の基板間でのねじ
れが低減されたコントラストの高い別の二つの状態(以
下ユニフォーム配向状態と呼ぶ)が現れることが発見さ
れた。
【0126】そして、これらの状態即ち、スプレイ配向
状態とユニフォーム配向状態は電界をかけると互いにス
イッチングする。液晶に弱い正負のパルス電界を印加す
るとスプレイ2状態間のスイッチングが起こり、強い正
負のパルス電界を印加するとユニフォーム2状態間のス
イッチングが起こるが、C1配向状態におけるユニフォ
ーム2状態を用いると、大きな見かけのティルト角θa
を生じ、従来より明るく、コントラストの高い表示素子
が実現できることがわかった。
【0127】従って、表示素子として画面全体をC1配
向状態に統一し、且つC1配向内の高コントラストの2
状態(ユニフォーム配向状態)を白黒表示の2状態とし
て用いれば、従来より品位の高いディスプレイが実現で
きると期待される。
【0128】ここで、C1配向及びC2配向での基板近
くの液晶分子のダイレクタは、図3(a)及び(b)に
示すように、それぞれコーン31上にある。また良く知
られているように、基板界面の液晶分子は、ラビング等
の一軸配向処理がなされた配向制御膜に対してプレティ
ルトと呼ばれる角度をなし、その方向はラビング方向
(図3(a、(b)ではA方向)に向かって液晶分子が
頭をもたげる(先端が浮いた格好になる)方向である。
【0129】上述のことにより、液晶のティルト角Θ、
プレティルト角α、及び層傾斜角(液晶層と基板法線と
のなす角度)δの間には、 C1配向の時 Θ+δ>α C2配向の時 Θ−δ>α の関係が成り立っていなければならない。
【0130】従って、C2配向を生じさせることなしに
C1配向を生じさせるための条件は、 Θ−δ<α、つまり、Θ<α+δ (I) となる。
【0131】さらに基板界面付近の液晶分子が一方の位
置から他方の位置へ電界によって移るスイッチングの際
に受けるトルクの簡単な考察より、界面分子のスイッチ
ングが起こり易い条件として、 α>δ (II) が得られる。
【0132】よって、C1→C2転移が起こりにくく、
C1配向状態をより安定に形成させるには、(I)式の
関係に加えて(II)式の関係を満たすことが効果的で
あることが理解できる。
【0133】この上述した条件(I)及び(II)を満
足する場合には、液晶の見かけのティルト角θaは、上
述した3°〜8°程度から8°〜16°程度にまで増大
する。ここで、液晶のティルト角Θと見かけのティルト
角θaとの間には、 Θ>θa>Θ/2 (III) なる関係式が成り立つことが好ましい。
【0134】以上のように(I)、(II)及び(II
I)式の条件を満足すれば、高コントラストな画像が表
示されるディスプレイが実現できることが明らかとなっ
た。
【0135】本発明の液晶素子は、両基板の対向面にそ
れぞれ液晶を配向させるための一軸性の配向処理が施さ
れていることが好ましい。その際液晶を配向させるため
の一軸配向処理軸を平行、或いは互いに所定の角度で交
差せしめ、液晶の配向状態を制御することがさらに好ま
しい。
【0136】前述した、C1配向状態、更にはユニフォ
ーム配向状態を安定に形成し良好な配向性を得るため、
より好ましくは両基板における一軸配向処理軸を0°を
超え、25°以下の範囲で交差させる。また、本発明の
液晶素子におけるプレティルト角αの大きさは、5°以
上であることが望ましい。
【0137】以下、図1に沿って本発明の液晶素子の好
適な構造例について説明する。
【0138】当該液晶素子は、2枚のガラス基板11
a,11bを備えており、これらのガラス基板11a,
11bの表面には所定のパターン状に透明電極12a,
12bがそれぞれ形成されている。この透明電極12
a,12bは、In23,SnO2或いはITO(イン
ジウム ティン オキサイド:Indium−Tin
Oxide)等の薄膜からなっている。
【0139】透明電極12a,12bは、絶縁膜13
a、13b及び配向制御膜14a,14bによって被覆
されている。
【0140】この絶縁膜13a、13bは、例えばシリ
コン窒化物、水素を含有するシリコン炭化物、シリコン
酸化物、ホウ素窒化物、水素を含有するホウ素窒化物、
セリウム酸化物、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸
化物、チタン酸化物やフッ化マグネシウムなどの無機物
質或いは他の有機絶縁物質にて形成されており、少なく
とも一層、或いは必要に応じて多層構成とする。この絶
縁膜13a,13bは、対向基板(電極)間のショート
防止機能を有する。また、上述したショート防止のため
の有機ないし無機絶縁膜上にさらに、Ti−Si等の塗
布型絶縁膜を形成してもよい。更に、駆動時の液晶分子
の移動現象をセル構造の点から解決すべく、例えばSi
2ビーズ等の絶縁性ビーズを含有した絶縁性塗布膜を
設け、上層となる配向制御膜を粗面化(不図示)するこ
ともできる。
【0141】配向制御膜14a,14bは、ポリビニル
アルコール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエス
テルイミド、ポリパラキシレン、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、
ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリスチレン、セルロー
ス樹脂、メラミン樹脂、ユリヤ樹脂、アクリル樹脂やフ
ォトレジスト樹脂などの有機絶縁物質或いは他の無機絶
縁物質にて形成することができる。また、これらの絶縁
膜13a,13b及び配向制御膜14a,14bは必要
に応じて、上述のように2層以上に分けず、無機物質か
らなる絶縁性配向制御層或いは有機物質からなる絶縁性
配向制御層単層とすることもできる。
【0142】さらに、配向制御膜14a,14bの少な
くとも一方は、2層又は単層のいずれかに関わらず、ガ
ーゼやアセテート植毛布等によるラビング処理等の一軸
配向処理が施されている。
【0143】また、これらの絶縁膜13a,13b及び
配向制御膜14a,14bは、無機系ならば蒸着法など
で形成でき、有機系ならば有機絶縁物質を溶解させた溶
液、またはその前駆体溶液(溶剤に0.1〜20重量
%、好ましくは0.2〜10重量%)を用いて、スピン
ナー塗布法、浸漬塗布法、スクリーン印刷法、スプレー
塗布法、ロール塗布法等で塗布し、所定の硬化条件下
(例えば加熱下)で硬化させ形成させることができる。
【0144】尚、これら絶縁膜13a,13b及び配向
制御膜14a,14bの膜厚は通常3〜1000nm、
好ましくは4〜300nm、さらに好ましくは4〜10
0nmが適している。
【0145】かかる液晶素子が、カラー表示素子として
適用される場合、ガラス基板11a,11bの少なくと
も一方には、R,G,B,W等の種々の色部材からなる
ドット或いはラインより構成されるカラーフィルターパ
ターンが設けられる(不図示)。このカラーフィルター
パターンは基板上に形成され、そのパターンを構成する
ラインやドット間の段差を低減すべく、無機材料或いは
有機材料からなる平坦化層によって被覆され得る。ま
た、カラーフィルターのドットやライン間には、好まし
くは色間の混色を防止すべく、金属や樹脂材料からなる
黒色の遮光層が設けられる(不図示)。このようなカラ
ー表示素子では透明電極11a及び11bのパターン
は、カラーフィルターパターンの形状に応じて設定され
得る。
【0146】一方、上述した2枚のガラス基板11a,
11bの間には、スペーサ16が散布されており、この
スペーサ16によってガラス基板11a,11bが所定
の間隔(セルギャップ;一般的には0.1〜20μm、
好ましくは0.5〜3μm)に保持されている。
【0147】尚、かかるセルギャップを保持するスペー
サ16としては、シリカビーズ、アルミナビーズ、高分
子フィルム、ガラスファイバー等が用いられる。さら
に、スペーサー部材16と後述するシール剤とにより形
成されるセルギャップを保持・補強し、素子の耐衝撃性
を向上するために粒状接着剤(不図示)などをスペーサ
同様に散布する等して設けることが好ましい。
【0148】また、ガラス基板11a,11bの周囲
は、エポキシ系接着剤などのシール剤にて接着されてお
り(不図示)、これらのガラス基板11a,11b間に
は前述したような本発明のカイラルスメクティック液晶
が封入されている。
【0149】一方、ガラス基板11a,11bの外側に
は、偏光板17a,17bが貼り合わせてある。
【0150】尚、配向制御膜14a,14bは、例えば
配向方向が下側の配向制御膜14bを基準として、上側
の配向制御膜14aが上側の配向制御膜14aの方から
見て、左回りに−25°〜+25°の交差角となるよう
に、且つ、同様の方向(図3で言えば、矢印A方向)に
なるようにラビング処理等の一軸配向処理が施されてい
る。
【0151】以下においては、上記のように交差角を定
義する。
【0152】本発明による液晶素子は、種々の機能及び
部材を伴って液晶装置を構成する。例えば、当該液晶素
子に加え、これを駆動する手段並びにバックライトとな
る光源を設け、液晶表示装置を構成する。具体的には、
当該液晶素子を表示パネル部に使用し、図9及び図10
に示した走査線アドレス情報を持つ画像情報なるデータ
フォーマット及びSYNC信号による通信同期手段をと
ることにより、液晶表示装置を実現する。
【0153】画像情報の発生は、本体装置側のグラフィ
ックコントローラ102にて行なわれ、図9及び図10
に示した信号転送手段に従って表示パネル103に転送
される。グラフィックコントローラ102は、CPU
(中央演算処理装置、以下GCPU112と略す)及び
VRAM(画像情報格納用メモリ)114を核に、ホス
トCPU113と液晶表示装置101間の画像情報の管
理や通信を司っており、本発明による液晶素子を用いた
液晶表示装置の制御方法は主にこのグラフィックスコン
トローラ102上で実現されるものである。
【0154】次に、本発明の液晶素子に適用する駆動法
について説明する。
【0155】この強誘電性液晶層を一対の基板間に挟持
した素子で単純マトリクス表示装置とした場合では、例
えば特開昭59−193426号公報、特開昭59−1
93427号公報、特開昭60−156046号公報、
特開昭60−156047号公報などに開示された駆動
法を適用することができる。
【0156】図6は、上記駆動法の波形図の一例であ
る。また、図5は、マトリクス電極を配置したカイラル
スメクティック液晶パネルの一例の平面図である。図5
の液晶パネル51には、走査電極群52の走査線と情報
電極群53のデータ線とが互いに交差して配線され、そ
の交差部の走査線とデータ線との間にはカイラルスメク
ティック液晶が配置されている。
【0157】図6(A)中のSSは選択された走査線に
印加する選択走査波形を、SNは選択されていない非選
択走査波形を、ISは選択されたデータ線に印加する選
択情報波形(黒)を、INは選択されていないデータ線
に印加する非選択情報信号(白)を表わしている。ま
た、図中(IS−SS)と(IN−SS)は選択された走査
線上の画素に印加する電圧波形で、電圧(IS−SS)が
印加された画素は黒の表示状態をとり、電圧(IN
S)が印加された画素は白の表示状態をとる。
【0158】図6(B)は図6(A)に示す駆動波形
で、図7に示す表示を行ったときの時系列波形である。
【0159】図6に示す駆動例では、選択された走査線
上の画素に印加される単一極性電圧の最小印加時間Δt
が書込み位相t2の時間に相当し、1ラインクリヤt1
相の時間が2Δtに設定されている。
【0160】さて、図6に示した駆動波形の各パラメー
タVS,VI,Δtの値は使用する液晶材料のスイッチン
グ特性によって決定される。
【0161】図8は後述するバイアス比を一定に保った
まま駆動電圧(VS+VI)を変化させた時の透過率Tの
変化、即ちV−T特性を示したものである。ここではΔ
t=50μsec、バイアス比V I/(VI+VS)=1
/3に固定されている。図8の正側は図6で示した(I
N−SS)、負側は(IS−SS)で示した波形が印加され
る。
【0162】ここで、V1,V3をそれぞれ実駆動閾値電
圧及びクロストーク電圧と呼ぶ。また、V2<V1<V3
の時ΔV=V3−V1を電圧マージンと呼び、マトリクス
駆動可能な電圧幅のパラメータとなる。V3はカイラル
スメクティック液晶表示素子駆動上、一般的に存在する
と言ってよい。具体的には、図6(A)(IN−SS)の
波形におけるVBによるスイッチングを起こす電圧値で
ある。勿論、バイアス比を大きくすることによりV3
値を大きくすることは可能であるが、バイアス比を増す
ことは情報信号の振幅を大きくすることを意味し、画質
的にはちらつきの増大、コントラストの低下を招き好ま
しくない。
【0163】我々の検討ではバイアス比1/3〜1/4
程度が実用的であった。ところで、バイアス比を固定す
れば、電圧マージンΔVは液晶材料のスイッチング特性
及び素子構成に強く依存し、ΔVの大きい素子がマトリ
クス駆動上非常に有利であることは言うまでもない。
【0164】また、同様に上述した電圧を一定に保ち、
電圧印加時間をΔtを変化させていくことにより、駆動
をすることも可能である。上述した電圧をそのまま電圧
印加時間とすればよく、その際電圧印加時間閾値をΔt
1とし、電圧印加時間クロストーク値をΔt2とし、Δt
2−Δt1=ΔTを電圧印加時間マージンという。
【0165】この様なある一定温度において、情報信号
の2通りの向きによって選択画素に「黒」及び「白」の
2状態を書き込むことが可能であり、非選択画素はその
「黒」又は「白」の状態を保持することが可能である電
圧マージンまたは電圧印加時間マージンは液晶材料及び
素子構成によって差が有り、特有なものである。また、
環境温度の変化によっても駆動マージンはズレていくた
め、実際の表示装置の場合、液晶材料、素子構成や環境
温度に対して最適な駆動条件にしておく必要がある。
【0166】本発明にかかる液晶素子におけるティルト
角Θ、見かけのティルト角θa、液晶層の傾斜角δ、プ
レティルト角α、及び、自発分極Psは、以下のように
して測定することができる。
【0167】[ティルト角Θの測定]±30〜±50
V、1〜100HzのAC(交流)を液晶素子の上下基
板間に電極を介して印加しながら、直交クロスニコル
下、その間に配置された液晶素子を偏光板と平行に回転
させると同時に、フォトマル(浜松フォトニクス(株)
製)で光学応答を検知しながら、第1の消光位(透過率
が最も低くなる位置)及び第2の消光位を求める。そし
てこの時の第1の消光位から第2の消光位までの角度の
1/2をティルト角Θとする。
【0168】[見かけのティルト角θaの測定]液晶の
閾値の単発パルスを印加した後、無電界下、且つ直交ク
ロスニコル下において、その間に配置された液晶素子を
偏光板と平行に回転させ、第1の消光位を求める。次
に、上記の単発パルスと逆極性のパルスを印加した後、
無電界下、第2の消光位を求める。この時の第1の消光
位から第2の消光位までの角度1/2を見かけのティル
ト角θaとする。
【0169】[液晶層の傾斜角δの測定]基本的には、
クラークやラガーウォルによって行なわれた方法(Ja
panDisplay ’86,Sep.30〜Oc
t.2,1986,456〜458)、或いは、大内ら
の方法(J.J.A.P.27(5)(1988)72
5〜728)と同様の方法により測定した。測定装置
は、回転陰極方式X線回折装置(MACサイエンス製)
を用い、液晶セルのガラス基板へのX線の吸収を低減さ
せるため、基板にはコーニング社製のマイクロシート
(80μm)を用いた。
【0170】[プレティルト角αの測定法]プレティル
ト角αの測定は、クリスタルローテーション法(Jp
a.J.Appl.Phys.Vo1.19(198
0)No.10,Short Notes 2013)
により求めた。またプレティルト角αの測定用液晶とし
ては、強誘電性液晶(チッソ社製CS−1014)に下
記の構造式で示される化合物を重量比で20%混合した
ものを標準液晶として注入して測定した。
【0171】
【化33】 尚、この混合した液晶組成物は10〜55℃でSmA相
を示した。
【0172】測定手順は、液晶パネルを上下基板に垂直
且つ配向処理軸(ラビング軸)を含む面で回転させなが
ら、回転軸と45°の角度をなす偏光面を持つヘリウム
・ネオンレーザー光を回転軸に垂直な方向から照射し
て、その反対側で入射偏光面と平行な透過軸を持つ偏光
板を通して、フォトダイオードで透過光強度を測定し
た。そして、干渉によってできた透過光強度のスペクト
ルに対し、理論曲線と下記に示す式とフィッティングを
行なうシミュレーションによりプレティルト角αを求め
た。
【0173】
【数1】
【0174】[自発分極の測定方法]自発分極は、K.
ミヤサト他「三角波による強誘電性液晶の自発分極の直
接測定方法」(日本応用物理学会誌22、10号(66
1)1983、”Direct Method wit
h Triangular Waves for Me
asuring Spontaneous Polar
ization inFerroelectric L
iquid Crystal”,as describ
ed by K.Miyasato et al.(J
ap.J.Appl.Phys.22.No.10,L
661(1983)))によって測定した。
【0175】
【実施例】以下、実施例により本発明について更に詳細
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。
【0176】[液晶素子の作成方法]2枚の1.1mm
厚のガラス板を用意し、それぞれのガラス板上にサイド
メタル(モリブデン)付きのITO透明ストライプ電極
を形成させ、印加電極を作成し、更にこの上に透明誘電
体膜として、酸化タンタルを150nm厚にスパッタ法
により成膜した。
【0177】この酸化タンタル膜上に、LQ−1802
(日立化成(株)製)の1%NMP溶液を印刷法により
塗布し、270℃で1時間焼成することによって、10
〜30nm厚のポリイミド配向膜を形成した。
【0178】この焼成後の被膜には、アセテート植毛布
等によりラビング処理を施した。プレティルト角αは、
ラビング布、回転速度、ガラス基板の送り速度等の変更
によるラビングの強度及び各種配向膜の種類を変えるこ
とによって調節した。
【0179】その後、1枚の基板には、ノードソン静電
散布方式により、平均粒径5.5μmのエポキシ樹脂接
着粒子(トレパール;東レ(株)製)を分布密度50個
/mm2になるように散布した。もう1枚の基板には、
平均粒径1.2μmのシリカマイクロビーズをノードソ
ン静電散布方式により分布密度300個/mm2 で散布
した。
【0180】次いで、シーリング部材として、液状接着
剤(ストラクトボンド;三井東圧(株)製)を6μmの
膜厚で印刷塗布した。
【0181】次いで、上記処理を施した2枚のガラス基
板をラビング軸が左回りに、0〜10°の交差角で、且
つ、ラビング軸の方向が同方向になるように貼り合わ
せ、70℃の温度下で、2.8kg/cm2の圧力を5
分間印加することによって圧着し、更に、150℃の温
度下で、0.63kg/cm2の圧力を加えながら、4
時間かけて2種の接着剤を硬化し、セルを作成した。
【0182】このようにして作成したセルのセル厚は
1.0〜1.2μmであった。
【0183】その後、この液晶セル内を約10Paまで
減圧し、液晶組成物を等方相で注入し、等方相から20
℃/hourで25℃まで徐冷することによって、液晶
素子を作成した。
【0184】実施例中、各液晶性化合物の構造を示すア
ルファベットは、下記に示す、環状骨格を意味する。ま
た、側鎖基における「*」印は不斉炭素原子であること
を意味する。
【0185】
【化34】
【0186】下記略記構造で示す液晶性化合物を、各々
下記に示す重量%にて配合し、液晶組成物1を作成し
た。
【0187】
【化35】
【0188】続いて、下記略記構造で示す液晶性化合物
を、各々下記に示す重量%にて配合し、液晶組成物2を
作成した。
【0189】
【化36】
【0190】更に続いて、下記略記構造で示す液晶性化
合物を、各々下記に示す重量%にて配合し、液晶組成物
3を作成した。
【0191】
【化37】
【0192】液晶組成物1をベース液晶として、それぞ
れに一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)で示さ
れる液晶性化合物を下記の表27以降に示す重量%で含
有させ、本発明によるところの液晶組成物1−S、及
び、その比較のための液晶組成物1−A、1−B、1−
Cを作成した。
【0193】同様に、液晶組成物2をベース液晶とし
て、それぞれに一般式(A)、一般式(B)、一般式
(C)で示される液晶性化合物を下記表27以降に示す
重量%で含有させ、本発明によるところの液晶組成物2
−S、3−S、及び、その比較のための液晶組成物2−
A、2−B、2−C、3−A、3−B、3−Cを作成し
た。
【0194】更に、液晶組成物3をベース液晶として、
それぞれに一般式(A)、一般式(B)、一般式(C)
で示される液晶性化合物を下記の表27以降に示す重量
%で含有させ、本発明によるところの液晶組成物4−
S、5−S、及びその比較のための液晶組成物4−A、
4−B、4−C、5−A、5−B、5−C、更に、本発
明によるところの液晶組成物6−S、7−S、8−S、
9−Sを作成した。
【0195】尚、これらの表において、組成物No.
1、2、3については、前述したベース液晶組成物1、
2、3のそれぞれが100重量%であること、そのほか
の組成物についてはそれぞれベースとの総量で100重
量%となるように処方することを示す。
【0196】これら作成した液晶組成物のそれぞれにつ
いて、前述した方法等により、相転移温度、30℃にお
ける自発分極(Ps)、ティルト角(Θ)、層の傾斜角
(δ)、見かけのティルト角(θa)等を測定し、それ
ぞれの測定値を表27以降に示す。
【0197】尚、液晶組成物の相転移温度は、パーキン
エルマー社製のDSC7による測定、及び、ガラス膜に
配向膜を塗布し、ラビング処理された液晶セルに該液晶
組成物を注入し、メトラー社製サーモシステムFP−8
0/FP−82のホットステージ中、温度制御しながら
偏光顕微鏡で観察することで決定した。
【0198】これらの液晶組成物を用いて、前述した液
晶素子の作成方法に従い、液晶素子を作成した。液晶素
子の初期均一配向性においては、液晶組成物1を除いて
は、良好な配向性を示していた。
【0199】この液晶素子を用いて、30℃における配
向性を観察するとともに、図4に示す駆動波形(1/3
バイアス比)を用いて白及び黒の表示を行い、図8で示
されるV1=15.0Vになるように、図4で示される
ΔTを設定し、このΔTを一定に保ち電圧を変化させV
3を測定し、後述する駆動電圧マージンのパラメータM
[(V3−V1)/(V3+V1)]を算出した。
【0200】また、30℃における駆動時のコントラス
トの測定も同時に行った。
【0201】本実験において、コントラスト(C/R)
の測定は、光源の光量を一定にし、直交クロスニコル間
で、上記の液晶素子を無電界時の一方の消光位(透過率
が最も低くなる位置)に配置し、フォトマルチメーター
(浜松フォトニクス(株)製)で透過光量を検知して測
定した。
【0202】本実施例における測定結果を以下に示す
が、ここにおける駆動電圧マージンのパラメータMは、 M=(V3−V1)/(V3+V1) で定義し、この値が大きい方が駆動電圧の変動に対する
画像表示能力の余裕度が大きいことを示している(この
値が、0.1以上であれば実用上表示装置に用いること
が可能であると言える)。
【0203】またこの素子において、駆動耐久特性につ
いて評価した。当該実験においては、図4に示す1走査
線書込み時間を、各液晶組成物を用いたそれぞれの液晶
表示素子全面が、良好な白、黒の表示可能となる最低1
Hの1.1〜1.2倍(60〜120μsec)に設定
し、白黒表示連続切り換え駆動を行ない、それぞれ10
0時間、300時間、500時間、800時間、100
0時間後の駆動電圧マージンパラメータMを測定し、比
較した。
【0204】上記液晶素子について、液晶の移動現象を
観察した。
【0205】本実験においては、上記実験で用いた液晶
素子と全く同じ構成の素子を表示パネル部に使用し、図
9に示した画面サイズ横(情報線側)約280mm、縦
(走査線側)約220mm、画素数1280×1024
であり、情報線及び走査線に所定の駆動手段を設け、液
晶表示装置を作成した。
【0206】尚、ラビングの中心方向は、走査ストライ
プ電極と平行、即ち水平方向とした。
【0207】また、この液晶のディスプレイを図4に示
す駆動波形を用いて、走査線側±13.9V(一部6.
1V)、情報線側±6.1V、即ち、図4中のVop=2
0.0Vで100ライン毎の白黒の縦のストライプ表示
を30℃で300時間行なった。続いて、液晶パネル面
内で最もセルギャップが変化(増加)したと判断される
箇所(色味変化で判断)のセルギャップの値をベレック
式コンペンセーターを用いてレタデーションを測定し、
算出することによって得た。長時間駆動前後のセルギャ
ップの差を液晶移動によるセルギャップ変化の値とす
る。
【0208】尚、いずれの実験においても環境温度は恒
温槽内で制御し、パネル面の温度を直接熱電対を用いて
モニターした。これらの結果を表31及び図13〜15
に示した。
【0209】
【表27】
【0210】
【表28】
【0211】
【表29】
【0212】
【表30】
【0213】
【表31】
【0214】表31及び図13〜15より明らかなよう
に、初期駆動特性などにおいては、駆動電圧マージンパ
ラメータが著しく低い液晶組成物1を除いて、大きな差
はないが、耐久後駆動特性については、液晶移動による
セル厚変化、駆動電圧マージンパラメータMの変化にお
いて、本発明による液晶組成物、及びこれを用いた液晶
素子、液晶装置、特に液晶表示装置に方が他のそれらよ
りも明らかに優位であることを示している。
【0215】セル厚変化が大きい部分は、表示パネルの
一部分での色味を変化させ、表示品質の低下を引き起こ
していた。
【0216】耐久後においては、光源からの発熱や、駆
動回路からの発熱、使用環境温度などの駆動環境温度変
化、セル厚分布の影響などによる駆動特性への影響が次
第に大きくなり、電圧駆動マージンパラメータMが大き
い液晶素子と、小さい液晶素子では明らかに安定した画
像品質を保持する余裕度に大きな差が生じ、駆動電圧マ
ージンパラメータMが大きい液晶素子の優位性は明らか
であった。
【0217】また、数値での表現はできなかったもの
の、耐久後も電圧駆動マージンマラメータMが大きい液
晶素子と、小さい素子を顕微鏡観察し比較すると、セル
内部における段差周囲、及びセル厚保持剤・補強剤の周
囲における液晶のスイッチング不良(クロストーク電圧
の低下)領域の大きさには大きな差が認められた。
【0218】このような現象のため、本発明以外の液晶
組成物を使用した液晶素子においては、耐久後のコント
ラストが低下したものと考えられる。
【0219】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明による液
晶組成物、それを用いた液晶素子、及び、それらを用い
た液晶装置を用いることによって、長時間使用する際の
実用上の問題点である、画質等の表示品質の低下、駆動
特性の低下等の耐久特性の問題について改善することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子の構成の一例を示す、模式的
断面図である。
【図2】シェブロン構造におけるC1配向及びC2配向
状態を示す模式図である。
【図3】C1配向及びC2配向でのティルト角Θ、プレ
ティルト角α及び層の傾斜角δの関係を示す模式図であ
る。
【図4】図1に示した液晶素子に印加した電界の波形、
及び、フォトマルによって測定された光学応答波形と駆
動波形との関係を示すためのタイミングチャート図であ
る。
【図5】マトリクス電極を配置した液晶パネルの平面図
である。
【図6】従来技術の説明で述べた、駆動法の波形図であ
る。
【図7】図6(B)に示す時系列駆動波形で実際の駆動
を行なった時の表示パターンの模式図である。
【図8】駆動電圧を変化させた時の透過率の変化を表す
V−T特性図である。
【図9】本発明にかかる液晶表示装置とグラフィックコ
ントローラとの接続状態を示すブロック図である。
【図10】本発明にかかる液晶表示装置とグラフィック
コントローラとの間の画像情報通信状態を示すタイミン
グチャート図である。
【図11】液晶分子のセル内での移動を説明するための
概略図である。
【図12】駆動耐久特性の低下を説明するための概略図
である。
【図13】本発明の実施例及び比較例の液晶組成物を用
いた液晶素子の耐久駆動特性を示す線図である。
【図14】本発明の実施例及び比較例の液晶組成物を用
いた液晶素子の耐久駆動特性を示す線図である。
【図15】本発明の実施例及び比較例の液晶組成物を用
いた液晶素子の耐久駆動特性を示す線図である。
【符号の説明】
11a,11b ガラス基板 12a,12b 透明電極 13a,13b 絶縁膜 14a,14b 配向制御膜 15 カイラルスメクティック液晶 16 スペーサ 17a,17b 偏光板 21 液晶層 22 C1配向状態 23 C2配向状態 24a,b 基板界面 31 コーン 41 白表示を行なう時の電圧波形の一例 42 黒表示を行なう時の電圧波形の一例 43 42の駆動波形を印加した時の光学応答波形 44 白書込み波形選択期間 45 黒書込み波形選択期間 51 液晶パネル 52 走査電極群 53 情報電極群 101 液晶表示装置 102 グラフィックコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM 115 ラビング方向 116a,116b 平均分子軸方向 117 液晶移動方向 118 セル厚変化領域 121 メタル配線 122 ラビング方向 123 粒状接着剤 124 スペーサ 125 駆動耐久性低下領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中澤 郁郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 森 省誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 野口 幸治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 片桐 一春 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 山田 修嗣 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−242450(JP,A) 特開 平9−104867(JP,A) 特開 平8−209132(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 19/00 - 19/46

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(A)、一般式(B)、一般
    式(C)で示される化合物を必須成分として含有する液
    晶組成物。 【化1】 【化2】 【化3】
  2. 【請求項2】 更に少なくとも一種以上の光学活性化合
    物を含有する請求項1記載の液晶組成物。
  3. 【請求項3】 少なくともカイラルスメクティック相を
    呈する請求項2記載の液晶組成物。
  4. 【請求項4】 強誘電性を呈する請求項2記載の液晶組
    成物。
  5. 【請求項5】 等方性液体相より降温過程において、カ
    イラルネマティック相(コレステリック相)、スメクテ
    ィック相、カイラルスメクティック相を示す液晶組成物
    である請求項3記載の液晶組成物。
  6. 【請求項6】 前記カイラルスメクティック相がカイラ
    ルスメクティックC相である請求項3又は5記載の液晶
    組成物。
  7. 【請求項7】 前記一般式(A)、一般式(B)、一般
    式(C)で示される化合物をそれぞれ、1.0〜30重
    量%、0.3〜20重量%、0.3〜20重量%含有す
    る請求項1〜6のいずれかに記載の液晶組成物。
  8. 【請求項8】 前記一般式(A)、一般式(B)、一般
    式(C)で示される化合物をそれぞれ、1.0〜20重
    量%、0.5〜10重量%、0.5〜10重量%含有す
    る請求項1〜6のいずれかに記載の液晶組成物。
  9. 【請求項9】 更に下記一般式(1)で示される化合物
    を20〜75重量%、一般式(2)で示される化合物を
    5〜25重量%、一般式(3)で示される化合物を5〜
    30重量%、一般式(4)で示される化合物を0.1〜
    30重量%含有してなる請求項1〜8のいずれかに記載
    の液晶組成物。 【化4】 (p、qは0、1、2のいずれかであって、p+qは1
    又は2であり、Y0は水素原子、またはフッ素原子を表
    し、R21、R22は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分
    岐状のアルキル基であり、該アルキル基中の一つもしく
    は二つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接しない条
    件で−O−、−S−、−CO−、−CHW−、−CH=
    CH−、−C≡C−に置き換えられていてもよく、Wは
    ハロゲン原子、CN基、CF3基のいずれかを示す。ま
    た、R21、R22は光学活性であってもよい。) 【化5】 0は水素原子、またはフッ素原子を表し、Y1は水素原
    子、またはフッ素原子を表し、R23は炭素原子数1〜1
    8の直鎖状、又は分岐状のアルキル基であり、R24は水
    素原子、ハロゲン原子、CN基、炭素原子数1〜18の
    直鎖状、又は分岐状のアルキル基のいずれかであり、R
    23、R24の示す該アルキル基中の一つもしくは二つ以上
    のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接しない条件で−O
    −、−S−、−CO−、−CHW−、−CH=CH−、
    −C≡C−に置き換えられていてもよく、Wはハロゲン
    原子、CN基、CF3基のいずれかを示す。また、
    23、R24は光学活性であってもよい。) 【化6】 25、R26は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状
    のアルキル基であり、該アルキル基中の一つもしくは二
    つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接しない条件で
    −O−、−S−、−CO−、−CHW−、−CH=CH
    −、−C≡C−に置き換えられていてもよく、Wはハロ
    ゲン原子、CN基、CF3基のいずれかを示す。また、
    25、R26は光学活性であってもよい。) 【化7】 27、R28は炭素原子数1〜18の直鎖状、又は分岐状
    のアルキル基であり、該アルキル基中の一つもしくは二
    つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接しない条件で
    −O−、−S−、−CO−、−CHW−、−CH=CH
    −、−C≡C−に置き換えられていてもよく、Wはハロ
    ゲン原子、CN基、CF3基のいずれかを示す。Zは−
    O−又は−S−を示す。また、R27、R28は光学活性で
    あってもよい。)
  10. 【請求項10】 前記一般式(1)で示される化合物
    が、下記一般式(1−1)〜(1〜7)のいずれかで示
    される化合物であり、前記一般式(2)で示される化合
    物が、下記一般式(2−1)〜(2−5)のいずれかで
    示される化合物であり、一般式(3)で示される化合物
    が、下記一般式(3−1)〜(3−9)のいずれかで示
    される化合物であり、一般式(4)で示される化合物
    が、下記一般式(4−1)〜(4−6)のいずれかで示
    される化合物である請求項9記載の液晶組成物。 【化8】 【化9】 【化10】 【化11】 (但し、式中R21a〜R28aは炭素原子数1〜18の直鎖
    状又は分岐状のアルキル基であり、該アルキル基中の一
    つもしくは二つ以上のメチレン基は、ヘテロ原子が隣接
    しない条件で−O−、−S−、−CO−、−COW−、
    −CH=CH−、−C≡C−に置き換えられていてもよ
    く、Wはハロゲン原子、CN基、CF3基のいずれかを
    示す。またR21a〜R28aは光学活性であってもよい。Y
    1は前記一般式(1)〜(4)で示したものと同じ。)
  11. 【請求項11】 液晶と、該液晶を挟持して対向すると
    共に、該対向面に液晶に電圧を印加する電極が形成され
    た一対の基板とを具備する液晶素子であって、少なくと
    も一方の基板における対向面側に液晶の配向状態を制御
    するための配向制御層を有し、前記液晶が、請求項1〜
    10のいずれかに記載の液晶組成物であることを特徴と
    する液晶素子。
  12. 【請求項12】 前記液晶組成物がカイラルスメクティ
    ックC相を呈する液晶組成物であって、該カイラルスメ
    クティックC相の層の傾斜角δが0℃〜60℃の温度範
    囲で3°以上15°以下に調整されている請求項11記
    載の液晶素子。
  13. 【請求項13】 前記液晶組成物が、カイラルスメクテ
    ィック液晶であり、素子のプレティルト角をα、液晶の
    ティルト角をΘ、液晶の層の傾斜角をδとした場合、該
    カイラルスメクティック液晶が、下記(I)式、及び
    (II)式を満たす配向状態を有し、且つ、この配向状
    態において、少なくとも二つの安定状態を示し、それら
    の光学軸のなす角度の1/2である見かけのティルト角
    θaと、ティルト角Θとが、下記(III)式の関係を
    有する請求項12記載の液晶素子。 Θ<α+δ (I) δ<α (II) Θ>θa>Θ/2 (III)
  14. 【請求項14】 前記両基板の対向面にそれぞれ液晶の
    配向状態を制御するための配向制御層を有し、該配向制
    御層は、いずれも一軸配向処理がなされており、該一軸
    配向処理軸が実質的に平行である請求項11又は13記
    載の液晶素子。
  15. 【請求項15】 両基板の対向面にそれぞれ液晶の配向
    状態を制御するための配向制御層を有し、該配向制御層
    はいずれも一軸配向処理がなされており、該一軸配向処
    理軸が所定の角度で交差している請求項11又は13記
    載の液晶素子。
  16. 【請求項16】 前記一軸配向処理軸の交差角が25°
    以下である請求項15記載の液晶素子。
  17. 【請求項17】 前記プレティルト角αの大きさが、5
    °以上である請求項13記載の液晶素子。
  18. 【請求項18】 請求項11〜17のいずれかに記載の
    液晶素子と、該液晶素子の駆動回路とを具備することを
    特徴とする液晶装置。
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