JP3413691B2 - 情報符号化方法及び装置、情報復号化方法及び装置、並びに情報記録媒体及び情報送信方法 - Google Patents

情報符号化方法及び装置、情報復号化方法及び装置、並びに情報記録媒体及び情報送信方法

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JP3413691B2
JP3413691B2 JP20328795A JP20328795A JP3413691B2 JP 3413691 B2 JP3413691 B2 JP 3413691B2 JP 20328795 A JP20328795 A JP 20328795A JP 20328795 A JP20328795 A JP 20328795A JP 3413691 B2 JP3413691 B2 JP 3413691B2
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  • Compression, Expansion, Code Conversion, And Decoders (AREA)
  • Transmission Systems Not Characterized By The Medium Used For Transmission (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる高能率符
号化によって入力ディジタルデータの符号化を行なう情
報符号化方法及び装置と、この符号化された情報を記録
する情報記録媒体及び符号化された情報を送信する情報
送信方法と、これら送信又は記録された符号化情報を再
生し復号化して再生信号を得る情報復号化方法及び装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、オーディオ或いは音声等の信
号の高能率符号化の手法には種々あるが、例えば、時間
軸の信号を所定時間単位でブロック化してこのブロック
毎の時間軸の信号を周波数軸上の信号に変換(スペクト
ル変換)して複数の周波数帯域に分割し、各帯域毎に符
号化するブロック化周波数帯域分割方式であるいわゆる
変換符号化や、時間軸上のオーディオ信号等をブロック
化しないで、複数の周波数帯域に分割して符号化する非
ブロック化周波数帯域分割方式であるいわゆる帯域分割
符号化(サブ・バンド・コーディング:SBC)等を挙
げることができる。また、上述の帯域分割符号化と変換
符号化とを組み合わせた高能率符号化の手法も考えられ
ており、この場合には、例えば、上記帯域分割符号化で
帯域分割を行った後、該各帯域毎の信号を周波数軸上の
信号にスペクトル変換し、このスペクトル変換された各
帯域毎に符号化が施される。
【0003】ここで、上述した帯域分割符号化において
用いられる帯域分割用フィルタとしては、例えばいわゆ
るQMF(Quadrature Mirror filter)などのフィルタが
あり、このQMFのフィルタは、文献「ディジタル・コ
ーディング・オブ・スピーチ・イン・サブバンズ」("Di
gital coding of speech in subbands" R.E.Crochier
e, Bell Syst.Tech. J., Vol.55,No.8 1976) に述べら
れている。このQMFのフィルタは、帯域を等バンド幅
に2分割するものであり、当該フィルタにおいては上記
分割した帯域を後に合成する際にいわゆるエリアシング
が発生しないことが特徴となっている。
【0004】また、文献「ポリフェイズ・クァドラチュ
ア・フィルターズ −新しい帯域分割符号化技術」("Po
lyphase Quadrature filters -A new subband coding t
echnique", Joseph H. Rothweiler, ICASSP 83, BOSTO
N) には、等帯域幅のフィルタ分割手法が述べられてい
る。このポリフェイズ・クァドラチュア・フィルタにお
いては、信号を等バンド幅の複数の帯域に分割する際に
一度に分割できることが特徴となっている。
【0005】また、上述したスペクトル変換としては、
例えば、入力オーディオ信号を所定単位時間(フレー
ム)でブロック化し、当該ブロック毎に離散フーリエ変
換(DFT)、離散コサイン変換( Discrete Cosine T
ransform:DCT)、モディファイド離散コサイン変換
(変形離散コサイン変換:Modified Discrete Cosine T
ransform:MDCT)等を行うことで時間軸を周波数軸
に変換するようなスペクトル変換がある。なお、上記M
DCTについては、文献「時間領域エリアシング・キャ
ンセルを基礎とするフィルタ・バンク設計を用いたサブ
バンド/変換符号化」("Subband/Transform Coding Usi
ng Filter Bank Designs Based on Time Domain Aliasi
ng Cancellation," J.P.Princen A.B.Bradley, Univ. o
f Surrey Royal Melbourne Inst. of Tech. ICASSP 198
7)に述べられている。
【0006】このようにフィルタやスペクトル変換によ
って帯域毎に分割された信号を量子化することにより、
量子化雑音が発生する帯域を制御することができ、いわ
ゆるマスキング効果などの性質を利用して聴覚的により
高能率な符号化を行うことができる。また、ここで量子
化を行う前に、各帯域毎に、例えばその帯域における信
号成分の絶対値の最大値で正規化を行うようにすれば、
さらに高能率な符号化を行うことができる。
【0007】ここで、周波数帯域分割された各周波数成
分を量子化する場合の周波数分割幅としては、例えば人
間の聴覚特性を考慮した帯域幅を用いることが多い。す
なわち、一般に高域ほど帯域幅が広くなるような臨界帯
域(クリティカルバンド)と呼ばれている帯域幅で、オ
ーディオ信号を複数(例えば25バント)の帯域に分割
することがある。また、この時の各帯域毎のデータを符
号化する際には、各帯域毎に所定のビット配分或いは、
各帯域毎に適応的なビット割当て(ビットアロケーショ
ン)による符号化が行われる。例えば、上記MDCT処
理されて得られた係数データを上記ビットアロケーショ
ンによって符号化する際には、上記各ブロック毎のMD
CT処理により得られる各帯域毎のMDCT係数データ
に対して、適応的な割当てビット数で符号化が行われる
ことになる。ビット割当手法としては、次の2手法が知
られている。
【0008】例えば、文献「音声信号の適応変換符号
化」("Adaptive Transform Coding of Speech Signal
s", R.Zelinski and P.Noll, IEEE Transactions of Ac
coustics, Speech, and Signal Processing, vol.ASSP-
25, No.4, August 1977)では、各帯域毎の信号の大き
さをもとに、ビット割当を行っている。この方式では、
量子化雑音スペクトルが平坦となり、雑音エネルギ最小
となるが、聴感覚的にはマスキング効果が利用されてい
ないために実際の雑音感は最適ではない。
【0009】また、例えば文献「臨界帯域符号化器 −
聴覚システムの知覚の要求に関するディジタル符号化」
("The critical band coder --digital encoding of
theperceptual requirements of the auditory syste
m", M.A.Kransner MIT, ICASSP 1980)では、聴覚マス
キングを利用することで、各帯域毎に必要な信号対雑音
比を得て固定的なビット割当を行う手法が述べられてい
る。しかしこの手法では、サイン波入力で特性を測定す
る場合でも、ビット割当が固定的であるために特性値が
それほど良い値とならない。
【0010】これらの問題を解決するために、ビット割
当に使用できる全ビットが、各小ブロック毎にあらかじ
め定められた固定ビット割当パターン分と、各ブロック
の信号の大きさに依存したビット配分を行う分とに分割
使用され、その分割比を入力信号に関係する信号に依存
させ、前記信号のスペクトルが滑らかなほど前記固定ビ
ット割当パターン分への分割比率を大きくする高能率符
号化装置が提案されている。
【0011】この方法によれば、サイン波入力のよう
に、特定のスペクトルにエネルギが集中する場合にはそ
のスペクトルを含むブロックに多くのビットを割り当て
る事により、全体の信号対雑音特性を著しく改善するこ
とができる。一般に、急峻なスペクトル成分をもつ信号
に対して人間の聴覚は極めて敏感であるため、このよう
な方法を用いる事により、信号対雑音特性を改善するこ
とは、単に測定上の数値を向上させるばかりでなく、聴
感上、音質を改善するのに有効である。
【0012】ビット割り当ての方法にはこの他にも数多
くの方法が提案されており、さらに聴覚に関するモデル
が精緻化され、符号化装置の能力があがれば聴覚的にみ
てより高能率な符号化が可能になる。
【0013】また、本件出願人による国際出願PCT/
JP94/00880、1994年5月31日出願の明
細書及び図面では、スペクトル信号から聴感上特に重要
なトーン性の成分を分離して、他のスペクトル成分とは
別に符号化する方法が提案されており、これにより、オ
ーディオ信号等を聴感上の劣化を殆ど生じさせずに高い
圧縮率での効率的に符号化することが可能になってい
る。
【0014】また、波形信号をスペクトルに変換する方
法として上述のDFTやDCTを使用した場合には、M
個のサンプルからなる時間ブロックで変換を行うとM個
の独立な実数データが得られる。ここで時間ブロック間
の接続歪みを軽減するためには、通常、両隣のブロック
とそれぞれM1個のサンプルずつオーバーラップさせる
ので、平均して、DFTやDCTでは(M−M1)個の
サンプルに対してM個の実数データを量子化して符号化
することになる。
【0015】これに対してスペクトルに変換する方法と
して上述のMDCTを使用した場合には、両隣の時間と
N個ずつオーバーラップさせた2M個のサンプルから、
独立なM個の実数データが得られるのでこれを平均し
て、MDCTではM個のサンプルに対してM個の実数デ
ータを量子化して符号化することになる。復号化装置に
おいては、このようにしてMDCTを用いて得られた符
号から各ブロックにおいて逆変換を施して得られた波形
要素を互いに干渉させながら加え合わせることにより、
波形信号を再構成することができる。
【0016】ところで、一般に変換のための時間ブロッ
クを長くすることによって、スペクトルの周波数分解能
が高まり特定のスペクトル成分にエネルギが集中する。
したがって、両隣のブロックと半分ずつオーバーラップ
させて長いブロック長で変換を行い、しかも得られたス
ペクトル信号の個数が、元の時間サンプルの個数に対し
て増加しないMDCTを使用することにより、DFTや
DCTを使用した場合よりも効率の良い符号化を行うこ
とが可能となる。また、隣接するブロック同士に十分長
いオーバーラップを持たせることによって、波形信号の
ブロック間歪みを軽減することもできる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、MDCTのように逆変換時に両隣の波形要素と干渉
させて波形信号を構成させるような変換を用いた場合に
は、スペクトル変換・逆変換のためのウィンドウが充た
すべき条件があり、この条件が充たされていないとスペ
クトルに変換した信号を逆変換して時系列信号に戻した
場合に、正しく復元されない。
【0018】従来は、上記の制約条件に加えて、順変換
ウィンドウ関数と逆変換ウィンドウ関数が同一形状を持
つように、これらのウィンドウ関数が設計されていた。
このため、順スペクトル変換のウィンドウ関数として十
分に滑らかな形状を持たないものが用いられていたた
め、スペクトルに変換した場合にそのエネルギ分布の集
中度が比較的低くなり、その結果、多くの数のスペクト
ルを精度良く符号化する必要があり、効率的な符号化を
行うことが困難であった。また特に、トーン成分を分離
して符号化する場合には、トーン成分を構成するものと
して分離すべきスペクトルの数はなるべく少ない方が効
率的な符号化が実現できるが、従来の順変換ウィンドウ
関数では十分な周波数分離度が得られないため、各トー
ン成分を構成するスペクトル数が多くなり、したがって
効率の良い符号化を行うことが困難であった。
【0019】そこで、本発明は、MDCTのように逆変
換時に両隣の波形要素と干渉させて波形信号を構成させ
るような変換を用いた場合に、効率的な符号化を可能に
する情報符号化方法及び装置と、これに対応する情報復
号化方法及び装置、並びに符号化された情報を記録した
情報記録媒体と同じく情報を送信する情報送信方法の提
供を目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような実
情に鑑みてなされたものであり、本発明の情報符号化方
法及び装置は、順変換ウィンドウ関数を用いて入力信号
を順スペクトル変換することで、逆変換時には隣接する
ブロック間で波形要素を干渉させて波形信号を構成させ
ることになるスペクトル信号を形成する順スペクトル変
換処理と、上記順スペクトル変換処理後の出力スペクト
ル信号を符号化する符号化処理とを有し、上記順スペク
トル変換として変形離散コサイン変換を用いるととも
に、上記順スペクトル変換処理に用いる上記順変換ウィ
ンドウ関数が、逆変換時に用いられる逆変換ウィンドウ
関数とは異なる形状を持つものであり、このときの上記
順スペクトル変換処理に用いる上記順変換ウィンドウ関
数の過渡部のウィンドウ形状は、後述する(21)式により
得られたものを半分に分割し、シフトすることによって
得られたものであることを特徴とするものである。な
お、当該式中w(n) は順変換ウィンドウ関数、qは1
近傍の値、及びMは出力スペクトル数である。
【0021】また、本発明の情報復号化方法及び装置
は、符号化されたスペクトル信号を復号化する復号化処
理と、上記復号化処理後のスペクトル信号に対して隣接
するブロック間で波形要素を干渉させる逆スペクトル変
換を施す逆スペクトル変換処理とを有し、上記逆スペク
トル変換処理に用いる逆変換ウィンドウ関数が、上記ス
ペクトル信号を得るための順スペクトル変換処理に用い
られる順変換ウィンドウ関数とは異なる形状を持つもの
であり、上記順スペクトル変換として変形離散コサイン
変換を用いるとともに、上記順スペクトル変換処理に用
いる上記順変換ウィンドウ関数の過渡部のウィンドウ形
状は、後述する(21)式により得られたものを半分に分割
し、シフトすることによって得られ、且つ逆変換ウィン
ドウ関数との間に後述する(20)式の関係を満たすもので
あることを特徴とするものである。なお、当該式中w
(n) は順変換ウィンドウ関数、w(n) は逆変換ウィン
ドウ関数、qは1近傍の値、及びMは出力スペクトル数
である。
【0022】さらに、本発明の情報記録媒体及び情報送
信方法は、順変換ウィンドウ関数を用いて入力信号を順
スペクトル変換することで、逆変換時には隣接するブロ
ック間で波形要素を干渉させて波形信号を構成させるこ
とになるスペクトル信号を形成する順スペクトル変換処
理後の当該出力スペクトル信号が符号化されると共に、
上記順スペクトル変換処理で用いられる順変換ウィンド
ウ関数の形状が逆変換時に用いられる逆変換ウィンドウ
関数の形状と異なるものとなっている、上記符号化され
た情報を記録或いは送信するものであり、上記順スペク
トル変換として変形離散コサイン変換を用いるととも
に、上記順変換ウィンドウ関数の過渡部のウィンドウ形
状は、後述する(21)式により得られたものを半分に分割
し、シフトすることによって得られたものであることを
特徴とするものである。なお、当該式中w(n) は順変
換ウィンドウ関数、qは1近傍の値、及びMは出力スペ
クトル数である。
【0023】これら本発明の情報符号化方法及び装置、
本発明の情報復号化方法及び装置、並びに本発明の情報
記録媒体及び情報送信方法において、上記順変換ウィン
ドウ関数は対称である。また、上記順変換ウィンドウ関
数は、値が零となる区間を含むか又は全区間で値が非零
である。
【0024】すなわち、本発明によれば、変形離散コサ
イン変換のように逆変換時に両隣の波形要素と干渉させ
て波形信号を構成させるような変換を用いた場合に、順
変換ウィンドウ関数と逆変換ウィンドウ関数の形状を異
なるものにすると共にウィンドウの充たすべき制約条件
を満足させるようにしており、滑らかな形状の順スペク
トル変換用ウィンドウを適用している。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について、図面を参照にしながら説明する。
【0026】図1は本発明の情報符号化方法が適用され
る情報符号化装置の一構成例のブロック回路図を示した
ものである。
【0027】この図1において、入力端子100を介し
て符号化装置に入力されたオーディオ信号は、順スペク
トル変換手段としての機能をも有する帯域分割回路10
1によって帯域分割される。この帯域分割回路101に
おける帯域分割手段としては、前述したQMF等のフィ
ルタによる分割手段を用いても、また、MDCT等のス
ペクトル変換によって得られたスペクトルを帯域毎にグ
ループ化するという手段を用いてもよい。また、一旦、
フィルタによって幾つかの帯域に分割されたものに対し
てスペクトル変換を行ない、これによって得られたスペ
クトル成分を帯域毎にグループ化するという手段を用い
てもよい。さらに、これら帯域分割による各帯域の幅
は、均一であっても、また例えば人間の聴覚特性に基づ
くいわゆる臨界帯域幅に合わせるように不均一にとって
も良い。なお、図1の例では四つの帯域に分割されてい
るが、もちろんこの数はさらに多くしても、或いは少な
くしてもよい。
【0028】上記帯域分割回路101によって帯域分割
されたスペクトル信号は、ある時間ブロック毎に各帯域
に対応する正規化回路111,112,113,114
によって正規化が施され、ここでそれぞれ正規化係数と
被正規化信号に分解される。それぞれの被正規化信号
は、それぞれ量子化精度決定回路141の出力である量
子化精度情報に基づいて量子化回路121,122,1
23,124によって量子化され、ここでそれぞれ被正
規化・量子化信号へと変換される。なお、上記量子化精
度決定回路141では、前述したように人間の聴覚特性
を考慮した聴感マスキング効果等を利用して量子化精度
すなわちビット割当を決定している。図1においては、
上記量子化精度決定回路141からの各量子化回路12
1,122,123,124への量子化精度情報のう
ち、上記量子化回路122へ送られる量子化精度情報は
端子152を介し、上記量子化回路123へ送られる量
子化精度情報は端子153を介し、上記量子化回路12
4へ送られる量子化精度情報は端子154を介してそれ
ぞれ対応する回路に送られる。
【0029】上記量子化回路121,122,123,
124からの各被正規化・量子化信号と、上記正規化回
路111,112,113,114からの各正規化係数
と、上記量子化精度決定回路141からの各量子化精度
情報とは、マルチプレクサ131によって、後述するよ
うに順次符号列とされ、この符号列が端子103から出
力される。この符号列は、その後、光ディスク,光磁気
ディスク,磁気ディスク等のディスク状記録媒体や磁気
テープ等のテープ状記録媒体或いはICカード等の半導
体メモリなどの記録媒体に記録され、または電波や、光
ケーブルを含む信号ケーブルなどの伝送系から送信され
る。
【0030】ここで、図1の例においては、上記量子化
精度決定回路141は上記帯域分割回路101によって
帯域分割された各信号に基づいて上記量子化精度情報を
計算しているが、帯域分割前の端子100を介した信号
から計算することも可能であり、また、各正規化回路1
11,112,113,114からの正規化係数に基づ
いて計算することも可能である。さらに、当該量子化精
度決定回路141での計算は、マスキング効果等の聴覚
現象に基づいて行なうことができるが、上記各量子化精
度情報は上述したようにマルチプレクサ131を介して
出力されて後に復号化装置に送られるものであるため、
この復号化装置で使われる聴覚モデルは任意に設定する
ことができる。
【0031】一方、図2は本発明の情報復号化方法が適
用される図1の情報符号化装置に対応する情報復号化装
置の構成例のブロック回路図を示したものである。
【0032】この図2において、本構成例の復号化装置
の端子201に入力された符号情報(前記符号列)は、
デマルチプレクサ202に送られ、ここで各帯域毎の量
子化精度情報と、正規化係数と、被正規化・量子化信号
とに分離復元される。各帯域毎の量子化精度情報、正規
化係数、被正規化・量子化信号は、それぞれ各帯域に対
応する復号化手段としての機能をも有する信号成分構成
回路211,212,213,214に送られ、ここで
各帯域毎に信号成分が構成される。これら各信号成分構
成回路211,212,213,214からの信号成分
は、逆スペクトル変換手段としての機能をも有する帯域
合成回路221によって合成されてオーディオ信号とし
て端子251から出力される。
【0033】次に、図3には図1の帯域分割回路101
におけるMDCTを使用した場合の順スペクトル変換手
段の具体的構成を示し、図4には図2の帯域合成回路2
21におけるIMDCT(逆MDCT)を使用した場合
の逆スペクトル変換手段の具体的構成を示している。
【0034】図3において、端子301には図1の端子
100からの信号又はQMFで分離されたいずれかの信
号が供給される。この信号は、順に波形切り出し回路3
02、順変換ウィンドウ回路303、順スペクトル変換
計算回路304に送られる。上記波形切り出し回路30
2では端子301に供給された信号波形の切り出しを行
い、次の順変換ウィンドウ回路303では(1) 式の計算
を行い、順スペクトル変換計算回路304では(2) 式の
計算を行う。
【0035】
【数7】
【0036】
【数8】
【0037】ただし、上記(1) 式、(2) 式において、J
はブロック番号、Mは出力スペクトル数、x(n) は入力
波形信号、XJ (k) はブロック毎に求まる出力スペクト
ル信号であり、w1(n)は順スペクトル変換ウィンドウ関
数(順変換ウィンドウ関数)である。
【0038】また、図4において、端子401には図2
の信号成分構成回路211〜214のいずれかの出力信
号が供給される。この信号は、順に逆スペクトル変換計
算回路402、逆変換ウィンドウ回路403、隣接ブロ
ック合成回路404に送られる。上記逆スペクトル変換
計算回路402では(3) 式の計算を行い、逆変換ウィン
ドウ回路403では(4) 式の計算を行い、隣接ブロック
合成回路404では(5) 式の計算を行う。
【0039】
【数9】
【0040】
【数10】
【0041】
【数11】
【0042】ただし、(3) 式、(4) 式、(5) 式におい
て、Jはブロック番号、Mは出力スペクトル数、X
J (k) はブロック毎に与えられた入力スペクトル信号、
y(n) は出力波形信号であり、w2(n)は逆スペクトル変
換ウィンドウ関数(逆変換ウィンドウ関数)である。
【0043】ここで、(1) 式から(5) 式により求められ
たy(n) がx(n) と一致することは、もし符号化による
情報の損失が無い場合には元の波形信号が正しく復元さ
れることを意味しており、このことは、波形信号の符号
化、復号化手段が十分な性能を持つためには必須の条件
となる。
【0044】また、(2) 式及び(3) 式より(6) 式が得ら
れるが、(7) の等式が成立することから(8) 式、(9) 式
が成立するので、結局、(10)式が得られる。
【0045】
【数12】
【0046】
【数13】
【0047】
【数14】
【0048】
【数15】
【0049】
【数16】
【0050】さらに、(4) 式、(5) 式、(10)式より(11)
式が得られるので、(12)式、(13)式が、x(n) とy(n)
が一致するための必要十分条件となる。
【0051】
【数17】
【0052】
【数18】
【0053】
【数19】
【0054】ここでさらに、(14)式、(15)式に示すよう
に、順変換ウィンドウ関数と逆変換ウィンドウ関数が一
致し、それらが対称であるという条件を加えると、(12)
式、(13)式は(16)式と同等になる。
【0055】
【数20】
【0056】
【数21】
【0057】
【数22】
【0058】結局、(14)式、(15)式、(16)式が、x(n)
とy(n) が一致するための十分条件となり、従来、これ
らの条件を満足する(17)式のウィンドウ関数がMDCT
のための順変換ウィンドウ関数、逆変換ウィンドウ関数
として使用されてきた。
【0059】
【数23】
【0060】しかしながら、(16)式の制約条件の下で
は、n0 における順変換ウィンドウ関数の値は、M−1
−n0 における順変換ウィンドウ関数の値によって制約
を受けるため、順変換ウィンドウ関数が十分高い周波数
分離度を持つように設計することは困難であった。
【0061】図5は(17)式のウィンドウ関数を用いた場
合のスペクトル変換の結果の例をM=64として示した
もので、図5の(A)にはウィンドウ関数の形状すなわ
ち特性を表す曲線(なおここでの曲線にはサンプル値の
ような離散値に対する折線なども含まれる)を、図5の
(B)には正弦波をサンプリングした入力波形信号を、
図5の(C)にはこの入力波形信号を上記ウィンドウ関
数を使用してMDCTした結果得られたスペクトル信号
を表している。なお、一般に、順変換のウィンドウ関数
の形状が十分に滑らかでないと、このウィンドウ関数を
用いてスペクトル変換した場合には、そのスペクトルの
エネルギ分布の集中度が高まらずに拡がるようになる。
したがって、例えば両端に向かって比較的急速に0に近
づく図5の(A)ようなウィンドウ関数では、当該関数
を使用したときのスペクトルの分布もピークに対する裾
野の方で十分小さくなっていない。このため、図5の
(C)のような拡がったスペクトル分布となる信号を精
度良く符号化するためには、これら拡がった多数のスペ
クトル信号を十分な精度で符号化する必要があり、これ
は符号化効率を高める上で望ましくない。
【0062】そこで、本発明構成例では、順変換ウィン
ドウ関数と逆変換ウィンドウ関数が一致するという(14)
式の条件を外し、まず順変換ウィンドウ関数に十分に高
い周波数分離度を持たせ、逆変換ウィンドウ関数は、順
変換ウィンドウ関数と(12)式、(13)式の関係を満足する
ように設定する。
【0063】例えば、(15)式の対称性の条件を(18)式、
(19)式の対称性の条件に改めた下で、(20)式のようにw
2 (n) を設定すると、これは(12)式、(13)式の条件を満
たすので、順変換、逆変換をかけた時に元の波形信号を
復元することができる。
【0064】
【数24】
【0065】
【数25】
【0066】
【数26】
【0067】この場合、順変換ウィンドウ関数は、(16)
式のような制約条件に拘束されずに設定することができ
るので、十分に周波数分離度の高いものにすることがで
きる。なお、ウィンドウ形状を非対称にすることは周波
数分離度を高める上で有効ではなく、また、(18)式、(1
9)式で示されるようにウィンドウ関数が対称であること
は、係数情報の数を半分にすることができ都合が良い。
【0068】図6は、順変換ウィンドウ関数として(21)
式でq=1とした関数を用いた場合の例をM=64とし
て示したもので、図6の(A)は順変換ウィンドウ関数
の形状、図6の(B)は逆変換ウィンドウ関数の形状、
図6の(C)は正弦波をサンプリングした入力波形信
号、図6の(D)はこれをMDCT変換した結果得られ
たスペクトル信号を表している。
【0069】
【数27】
【0070】逆変換ウィンドウ関数は(20)式により求め
られたもので、順変換ウィンドウ関数と異なっている。
この図6の例では、図5の例と比較して、スペクトル信
号の裾野が狭まっており、周波数分離度が上がってい
る。
【0071】また、図7は、順変換ウィンドウ関数とし
て(21)式でq=2とした関数を用いた場合の例を、同じ
くM=64として示したものである。この図7の例の場
合には、スペクトル信号の裾野は図6の例よりさらに狭
まっているが、逆変換ウィンドウ関数の最大値は2以上
の大きな値になっている。このように逆変換ウィンドウ
関数の値が大きいと、時間軸上に逆変換された量子化雑
音のレベルもこの逆変換ウィンドウ関数によって増幅さ
れてしまうので逆変換ウィンドウ関数が大きな値をとる
ことは好ましくない。特に入力信号が周波数軸上で元々
比較的平坦なエネルギ分布を持つ場合には、順変換ウィ
ンドウ関数の周波数分離度による符号化効率の改善効果
は少ないので、逆変換ウィンドウ関数の最大値が2以上
となるようには設定しない方が良い。
【0072】ただし、既に述べたように、聴覚は特定の
孤立的な周波数帯域にエネルギが集中するトーン性の信
号に対してより敏感であるため、図6の例のように逆変
換ウィンドウ関数の絶対値が1.2程度に抑えられるの
であれば、周波数分離度をなるべく向上させるような順
変換ウィンドウ関数を設定した方が良い。
【0073】上述のように周波数分離度が上がること
は、特にトーン性の信号の符号化効率を向上させる上で
大きな効果があるが、この効果は符号化のために以下に
述べる方法を組み込んだ場合にその効果はさらに大きく
なる。
【0074】そのような第一の方法は、頻度の高い量子
化値に対しては比較的短い長さの符号を、頻度の低い量
子化値に対しては比較的長い長さの符号を割り当てる可
変長符号を用いた場合である。すなわち、通常、0に量
子化されるスペクトルが多いので、量子化値0に対して
は比較的短い長さの符号が割り当てられるため、周波数
分離度が上がり0に量子化されるスペクトルが多くなる
と、符号化効率は高くなる。
【0075】また、第二の方法は前記国際出願PCT/
JP94/00,880の明細書及び図面に記載されて
いるようにスペクトル信号から聴感上特に重要なトーン
性の成分を分離して、他のスペクトル成分とは別に符号
化する場合である。周波数分離度が上がり0に量子化さ
れるスペクトルが多くなると、トーン性成分を構成する
と見なすスペクトル信号の数を減らすことができ、各ト
ーン性成分をより短い符号で表現できるため、符号化効
率は高くなる。
【0076】以上の例では簡単のため、変換ウィンドウ
関数の全体が(21)式で与えられるものとしたが、このよ
うな制限は緩めることができるので、以下、これについ
て説明を行う。
【0077】図8に示されるように、例えば図8の
(A)の窓関数(変換ウィンドウ関数)を用いて波形信
号に順スペクトル変換を施したスペクトル信号に量子化
雑音が加わった場合において、それを逆スペクトル変換
を施して再び時間軸上の波形信号に戻した場合には、そ
の量子化雑音は変換ブロック全体に拡がってしまう。こ
こで信号波形SWが図8の(B)のように変換ブロック
の途中で急激に大きくなった場合、元の信号波形SWが
小さい区間においては、量子化雑音QNが信号波形SW
に対して大きくなってしまうため、同時マスキングが効
かず、プリエコーとして聴感上の障害になる。
【0078】図9はこのようなプリエコーによる聴感上
の障害を軽減するために考案された従来技術の一例につ
いて説明するための図である。一般に、準定常的な信号
波形に対しては、変換ブロック長を長くした方が特定の
スペクトル係数に対してエネルギが集中するので符号化
効率は高くなるが、音の大きさが急激に変化する部分で
は変換ブロック長が長いと上述のプリエコーが問題にな
る。そこで、音の大きさが急激に変化する部分では変換
ブロック長を短くすることによってプリエコーの発生期
間を十分短くすれば、これは元の信号によるいわゆる逆
向マスキングが効き、聴感上の障害が無くなる。図9の
方法ではこのことを利用して信号波形の各部分の性質に
応じて変換ブロック長を選択的に切り替えている。
【0079】また、図9の方法の変形として、図10に
示されるように、短変換部と長変換部の間に非対称なウ
ィンドウ関数を持つブロックを挟む方法も提案されてい
る。このようにすると、長変換部において両端を0にす
ることなく、変換部全域にわたるウィンドウ関数をとる
ことができるので、スペクトル変換した場合のエネルギ
分布の集中度が高まり、符号化効率を上げることができ
る。
【0080】このようなMDCTの順変換ウィンドウ関
数は、一般に図11に示されるような形状を持つものと
して表すことができ、場合によっては、高レベル部、低
レベル部L1,L2等が省略されているものと解釈する
ことができる。本発明において、ウィンドウ関数の形状
を規定しているのは、図11の過渡部E1,E2の部分
であり、この部分の形状が、例えば(21)式で与えられる
形状のウィンドウを半分に分割してシフトしたものによ
って与えれていれば、上述したことは本発明の方法に含
まれることになる。
【0081】なお、本件出願人による特願平6−130
17号の明細書及び図面に記述されているように、ゲイ
ン制御により上記プリエコーを防止することができ、こ
のような場合には、ブロック長を切り替える必要がな
く、したがって、過渡部だけで構成されたウィンドウ関
数を使用して、スペクトル信号の周波数分離度を高める
ことが可能である。
【0082】また、符号化装置の符号化手段における変
換時に順変換のウィンドウ関数を定数倍し、復号化装置
の復号化手段における逆変換時にその定数で割ることに
よっても、ウィンドウ関数の形状とスペクトルの拡がり
については上記と全く同様の関係が成立するものであ
り、上記の比較はウィンドウ関数に対してこのような定
数倍の変化をすべて補正した後、行うものであることは
言うまでもない。
【0083】次に、図12及び図13はそれぞれ、本発
明の方法を利用した符号化、復号化の処理の流れを示し
たものである。
【0084】先ず、図12において、ステップS1では
ブロック番号J=0とし、次のステップS2では(1) 式
の計算を行い、さらに次のステップS3では(2) 式の計
算を行う。ステップS4では得られたスペクトル信号の
正規化・量子化を行い、ステップS5ではこの正規化・
量子化されたスペクトル信号の符号化を行う。ステップ
S6ではブロック番号Jをインクリメントし、ステップ
S7では終了か否かを判別し、Noのときにはステップ
S2に戻り、Yesのときには処理を終了している。
【0085】また、図13において、ステップS11で
はブロック番号J=0とし、次のステップS12では正
規化・量子化されたスペクトル信号の復号化を行う。ス
テップS13では得られたスペクトル信号の逆正規化・
逆量子化を行う。次のステップS14では(3) 式の計算
を行い、その次のステップS15では(4) 式の計算を、
さらに次のステップS16では(5) 式の計算を行う。そ
の後、ステップS17では得られた波形信号の出力を行
う。次のステップS18ではブロック番号Jをインクリ
メントし、ステップS19では終了か否かを判別し、N
oのときにはステップS12に戻り、Yesのときには
処理を終了している。
【0086】以上、前記帯域分割回路101として直接
MDCTの変換を行うもの、また帯域合成回路221と
して直接IMDCTの変換を行うものについて説明を行
ったが、これらはもちろん、他の帯域分割、帯域合成の
方法をとる場合にも適用することができる。
【0087】例えば、図14には帯域分割手段として帯
域分割フィルタ502とMDCT等の順スペクトル変換
回路511〜514とを組み合わせた場合の具体例を示
し、図15には帯域合成手段としてIMDCT等の順ス
ペクトル変換回路611〜614と帯域合成フィルタ6
21とを組み合わせた場合の具体例を示したものであ
る。
【0088】先ず、図14において、端子501には図
1の端子100からの信号が供給される。この信号は、
帯域分割フィルタ502によって複数帯域に分割され、
各帯域の信号が順スペクトル変換回路511〜514に
それぞれ送られる。各順スペクトル変換回路511〜5
14では前述同様の順スペクトル変換ウィンドウ関数
(順変換ウィンドウ関数)を使用した順スペクトル変換
処理を行い、このスペクトル変換された信号がそれぞれ
対応する端子521〜524から図1の正規化回路11
1〜114に送られるようになる。
【0089】また、図15において、端子601〜60
4にはそれぞれ対応する図2の信号成分構成回路211
〜214からの信号が供給され、これらが各々対応する
逆スペクトル変換回路611〜614に送られる。各逆
スペクトル変換回路611〜614では前述同様の逆ス
ペクトル変換ウィンドウ関数(逆変換ウィンドウ関数)
を使用して逆スペクトル変換処理を行い、この逆スペク
トル変換された信号が、それぞれ帯域合成フィルタ62
1に送られ、ここで合成された後、端子622から出力
される。この端子622からの出力信号が図2の端子2
51に送られるようになる。
【0090】ここで、上記順スペクトル変換回路511
〜514としては図3の構成を、また、逆スペクトル変
換回路611〜614としては図4の構成をとることが
でき、これらの場合にも前述した本発明の方法を適用す
ることができる。
【0091】また、本発明でいう、(21)式で決定される
順変換ウィンドウ関数とは、以上のことを全て含んだも
のを示す。
【0092】図16は、波形信号に対して本発明の方法
を適用して得られた符号(符号列)の例を示したもの
で、この符号を記録媒体に記録したり伝送路に送信する
ことが可能である。この例の場合、波形信号はブロック
毎にMDCTの変換が施され、得られたスペクトル信号
を正規化及び量子化して符号化がなされている。すなわ
ちこの図16に示す例において、各ブロックの符号情報
は、量子化精度情報と正規化係数情報とスペクトル係数
情報とからなっている。
【0093】以上、逆変換時に隣接するブロック間で波
形要素を干渉させるスペクトル変換としてMDCTを使
用した場合について述べた。MDCTを使用することに
よって総てのブロックに対して同一の式で計算されるス
ペクトル変換を容易に実現することができ都合が良い
が、逆変換時に隣接するブロック間で波形要素を干渉さ
せるスペクトル変換として別の変換方法を採用した場合
にも本発明を適用することができる。そのようなスペク
トル変換の別の例が例えば文献「時間領域エリアシング
・キャンセルを基礎とするフィルタ・バンク設計を用い
た分析/合成」("Analysis/Syntehsis Filter Bank Des
ign Based on Time Domain Aliasing Cancellation",
J.Princen and A.B.Bradley, IEEE Transactions on Ac
oustics, Speech and Signal Processing, VolASSP-34
No.5, October 1986)に記載されている。
【0094】さらにまた、必ずしも逆変換時に隣接する
ブロック間で波形要素を干渉させるスペクトル変換でな
くても本発明による順変換ウィンドウ関数を用いて符号
化を行うことも可能である。
【0095】なお、以上、音響波形信号に適用した場合
について説明を行なったが、本発明の方法は他の種類の
信号に対しても適用することができ、例えば画像信号に
も適用することが可能である。しかし、本発明の方法は
特に鋭いスペクトル分布を持つ場合にその効果が顕著で
あり、音響信号の場合、聴感上、そのようなスペクトル
分布を持つ場合に特に精度の良い符号化が要求されるた
め、本発明の方法を特に有効に利用することができる。
さらに本発明の方法は、符号化された情報を記録媒体に
記録する場合だけではなく、情報を送信する場合にも適
用可能であることは言うまでもない。
【0096】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の情報符号化方法及び装置、情報復号化方法及び装
置、並びに情報記録媒体及び情報送信方法によれば、変
形離散コサイン変換(MDCT)のようにウィンドウ関
数が所定の制約条件を充たさなければならない場合に
も、スペクトル分布のエネルギの集中度を高めることが
でき、効率的な符号化が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明構成例の情報符号化装置の概略構成を示
すブロック回路図である。
【図2】本発明構成例の情報復号化装置の概略構成を示
すブロック回路図である。
【図3】順スペクトル変換手段の具体的構成を示すブロ
ック回路図である。
【図4】逆スペクトル変換手段の具体的構成を示すブロ
ック回路図である。
【図5】(17)式のウィンドウ関数を用いた場合のスペク
トル変換の結果の一例をM=64として示す図である。
【図6】順変換ウィンドウ関数として(21)式でq=1と
した関数を用いた場合の例をM=64として示す図であ
る。
【図7】順変換ウィンドウ関数として(21)式でq=1と
した関数を用いた場合の例をM=64として示す図であ
る。
【図8】ウィンドウ関数を用いて波形信号に順スペクト
ル変換を施したスペクトル信号に量子化雑音が加わった
様子を示す図である。
【図9】プリエコーによる聴感上の障害を軽減するため
に考案された従来技術のウィンドウ関数一例について説
明するための図である。
【図10】短変換部と長変換部の間に非対称なウィンド
ウ関数について説明するための図である。
【図11】MDCTの順変換ウィンドウ関数の形状を説
明するための図である。
【図12】本発明の情報符号化方法の処理の流れを示す
フローチャートである。
【図13】本発明の情報復号化方法の処理の流れを示す
フローチャートである。
【図14】帯域分割手段として帯域分割フィルタとMD
CT等の順スペクトル変換手段とを組み合わせた場合の
具体例を示すブロック回路図である。
【図15】帯域合成手段としてIMDCT等の順スペク
トル変換手段と帯域合成フィルタとを組み合わせた場合
の具体例を示すブロック回路図である。
【図16】波形信号に対して本発明の情報符号化方法を
適用して得られた符号の例を示す図である。
【符号の説明】 101 帯域分割回路 111〜114 正規化回路 121〜124 量子化回路 131 マルチプレクサ 141 量子化精度決定回路 202 デマルチプレクサ 211〜214 信号成分構成回路 221 帯域合成回路 302 波形切り出し回路 303 順変換ウィンドウ回路 304 順スペクトル変換計算回路 402 逆スペクトル変換計算回路 403 逆変換ウィンドウ回路 404 隣接ブロック合成回路 502 帯域分割フィルタ 511〜514 順スペクトル変換回路 611〜614 逆スペクトル変換回路 621 帯域合成フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03M 7/30 G10L 19/00 G11B 20/10 341

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 順変換ウィンドウ関数を用いて入力信号
    を順スペクトル変換することで、逆変換時には隣接する
    ブロック間で波形要素を干渉させて波形信号を構成させ
    ることになるスペクトル信号を形成する順スペクトル変
    換処理と、上記順スペクトル変換処理後の出力スペクト
    ル信号を符号化する符号化処理とを有し、上記順スペク
    トル変換処理に用いる上記順変換ウィンドウ関数は、逆
    変換時に用いられる逆変換ウィンドウ関数とは異なる形
    状を持つ情報符号化方法であって、上記順スペクトル変換として変形離散コサイン変換を用
    いるとともに、 上記順変換ウィンドウ関数の過渡部のウィンドウ形状
    は、下記の数1の式により得られたものを半分に分割
    し、シフトすることによって得られたものであり、当該
    式中w(n) は順変換ウィンドウ関数、qは1近傍の
    値、及びMは出力スペクトル数であることを特徴とする
    情報符号化方法。 【数1】
  2. 【請求項2】 上記順変換ウィンドウ関数は対称である
    ことを特徴とする請求項1記載の情報符号化方法。
  3. 【請求項3】 上記順変換ウィンドウ関数は、値が零と
    なる区間を含むことを特徴とする請求項1記載の情報符
    号化方法。
  4. 【請求項4】 上記順変換ウィンドウ関数は、全区間で
    値が非零であることを特徴とする請求項1記載の情報符
    号化方法。
  5. 【請求項5】 符号化されたスペクトル信号を復号化す
    る復号化処理と、上記復号化処理後のスペクトル信号に
    対して隣接するブロック間で波形要素を干渉させる逆ス
    ペクトル変換を施す逆スペクトル変換処理とを有し、上
    記逆スペクトル変換処理に用いる逆変換ウィンドウ関数
    は、上記スペクトル信号を得るための順スペクトル変換
    処理に用いられる順変換ウィンドウ関数とは異なる形状
    を持つ情報復号化方法であって、上記順スペクトル変換として変形離散コサイン変換を用
    いるとともに、 上記順変換ウィンドウ関数の過渡部のウィンドウ形状
    は、下記の数2Aの式により得られたものを半分に分割
    し、シフトすることによって得られ、且つ逆変換ウィン
    ドウ関数との間に下記の数2Bの関係を満たすものであ
    り、当該式中w(n) は順変換ウィンドウ関数、
    (n) は逆変換ウィンドウ関数、qは1近傍の値、及び
    Mは出力スペクトル数であることを特徴とする情報復号
    化方法。 【数2A】 【数2B】
  6. 【請求項6】 上記順変換ウィンドウ関数は対称である
    ことを特徴とする請求項記載の情報復号化方法。
  7. 【請求項7】 上記順変換ウィンドウ関数は、値が零と
    なる区間を含むことを特徴とする請求項記載の情報復
    号化方法。
  8. 【請求項8】 上記順変換ウィンドウ関数は、全区間で
    値が非零であることを特徴とする請求項記載の情報復
    号化方法。
  9. 【請求項9】 順変換ウィンドウ関数を用いて入力信号
    を順スペクトル変換することで、逆変換時には隣接する
    ブロック間で波形要素を干渉させて波形信号を構成させ
    ることになるスペクトル信号を形成する順スペクトル変
    換処理後の当該出力スペクトル信号が符号化されると共
    に、上記順スペクトル変換処理で用いられる順変換ウィ
    ンドウ関数の形状は逆変換時に用いられる逆変換ウィン
    ドウ関数の形状と異なるものとなっている、上記符号化
    された情報を記録してなる情報記録媒体であって、上記順スペクトル変換として変形離散コサイン変換を用
    いるとともに、 上記順変換ウィンドウ関数の過渡部のウィンドウ形状
    は、下記の数3の式により得られたものを半分に分割
    し、シフトすることによって得られたものであり、当該
    式中w(n) は順変換ウィンドウ関数、qは1近傍の
    値、及びMは出力スペクトル数であることを特徴とする
    情報記録媒体。 【数3】
  10. 【請求項10】 順変換ウィンドウ関数を用いて入力信
    号を順スペクトル変換することで、逆変換時には隣接す
    るブロック間で波形要素を干渉させて波形信号を構成さ
    せることになるスペクトル信号を形成する順スペクトル
    変換手段と、上記順スペクトル変換後の出力スペクトル
    信号を符号化する符号化手段とを有し、上記順スペクト
    ル変換に用いる上記順変換ウィンドウ関数は、逆変換時
    に用いられる逆変換ウィンドウ関数とは異なる形状を持
    つ情報符号化装置であって、上記順スペクトル変換として変形離散コサイン変換を用
    いるとともに、 上記順変換ウィンドウ関数の過渡部のウィンドウ形状
    は、下記の数4の式により得られたものを半分に分割
    し、シフトすることによって得られたものであり、当該
    式中w(n) は順変換ウィンドウ関数、qは1近傍の
    値、及びMは出力スペクトル数であることを特徴とする
    情報符号化装置。 【数4】
  11. 【請求項11】 上記順変換ウィンドウ関数は対称であ
    ることを特徴とする請求項10記載の情報符号化装置。
  12. 【請求項12】 符号化されたスペクトル信号を復号化
    する復号化手段と、上記復号化後のスペクトル信号に対
    して隣接するブロック間で波形要素を干渉させる逆スペ
    クトル変換を施す逆スペクトル変換手段とを有し、上記
    逆スペクトル変換に用いる逆変換ウィンドウ関数は、上
    記スペクトル信号を得るための順スペクトル変換に用い
    られる順変換ウィンドウ関数とは異なる形状を持つ情報
    復号化装置であって、上記順スペクトル変換として変形離散コサイン変換を用
    いるとともに、 上記順変換ウィンドウ関数の過渡部のウィンドウ形状
    は、下記の数5Aの式により得られたものを半分に分割
    し、シフトすることによって得られ、且つ逆変換ウィン
    ドウ関数との間に下記の数5Bの関係を満たすものであ
    り、当該式中w(n) は順変換ウィンドウ関数、
    (n) は逆変換ウィンドウ関数、qは1近傍の値、及び
    Mは出力スペクトル数であることを特徴とする情報復号
    化装置。 【数5A】 【数5B】
  13. 【請求項13】 上記順変換ウィンドウ関数は対称であ
    ることを特徴とする請求項12記載の情報復号化装置。
  14. 【請求項14】 順変換ウィンドウ関数を用いて入力信
    号を順スペクトル変換することで、逆変換時には隣接す
    るブロック間で波形要素を干渉させて波形信号を構成さ
    せることになるスペクトル信号を形成する順スペクトル
    変換処理後の当該出力スペクトル信号が符号化されると
    共に、上記順スペクトル変換処理で用いられる順変換ウ
    ィンドウ関数の形状は逆変換時に用いられる逆変換ウィ
    ンドウ関数の形状と異なるものとなっている、上記符号
    化された情報を送信する情報送信方法であって、上記順スペクトル変換として変形離散コサイン変換を用
    いるとともに、 上記順変換ウィンドウ関数の過渡部のウィンドウ形状
    は、下記の数6の式により得られたものを半分に分割
    し、シフトすることによって得られたものであり、当該
    式中w(n) は順変換ウィンドウ関数、qは1近傍の
    値、及びMは出力スペクトル数であることを特徴とする
    情報送信方法。 【数6】
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