JP3408803B2 - 課電通電検出装置および方法 - Google Patents

課電通電検出装置および方法

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JP3408803B2
JP3408803B2 JP2001197805A JP2001197805A JP3408803B2 JP 3408803 B2 JP3408803 B2 JP 3408803B2 JP 2001197805 A JP2001197805 A JP 2001197805A JP 2001197805 A JP2001197805 A JP 2001197805A JP 3408803 B2 JP3408803 B2 JP 3408803B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統に設置さ
れる電気設備の導体部が課電または電流通電しているか
否かを検出する課電通電検出装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電力系統には変電所や開閉所等
の電気所が設けられ、これらの電気所には変圧器や開閉
器等の電気設備が設置されている。そして、事故発生時
や点検時にはこれらの電気所の電気設備の点検を行うこ
とになる。
【0003】この場合、点検対象機器の近傍に課電状態
または電流通電状態の電気設備があるか否かを予め確認
して、高圧が課電されている電気設備や電流通電がされ
ている電気設備に作業員が誤って近づかないように注意
を促し作業員の安全を図っている。
【0004】電気設備の課電状態を認識する方法とし
て、各種の検電器や計器用変成器(PT、PD)が用い
られている。検電器は、絶縁棒の先にネオン管などの検
出部が取り付けられており、電気設備の導体部にその検
出部を接触させて課電の有無を確認する。また、計器用
変成器(PT、PD)は電気設備の導体部が接続された
電路の電圧を降圧して電気設備の導体部の電圧を検出
し、電気設備が課電されているか否かを判断する。
【0005】一方、電気設備の導体部に流れる電流を認
識する方法として、各種の検流計や計器用変流器(C
T)が用いられている。検流計は、絶縁棒の先にU字型
の強磁性体にコイルなどの検出部が取り付けられてお
り、電気設備の導体部にその検出部を挟み込んで電流の
大きさを検出する。また、計器用変流器(CT)は電気
設備の導体部に直列に接続して電気設備の導体部の電流
を検出し、電気設備の導体部に流れている電流の大きさ
を検出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、検電器によ
り電気設備が課電しているか否かを判断する場合や、検
流計により電気設備の導体部に流れる電流の大きさを検
出する場合には、電気設備が高電圧になればなるほど絶
縁耐力の大きな検電器や検流計を使用しなければならな
いので検電器や検流計は重くなり、高所の電気設備の課
電状態やその電気設備に流れる電流を検出することは困
難となる。
【0007】一方、計器用変成器の検出電圧により電気
設備が課電しているか否かを判断する場合や、計器用変
流器により電気設備に流れる電流を計測する場合には、
計器用変成器や計器用変流器を予め設置しておかなけれ
ばならず、検出点も計器用変成器や計器用変流器の設置
位置に限定される。また、計器用変成器や計器用変流器
は高電圧になるほど大きな絶縁耐力を必要とし高価とな
る。
【0008】本発明の目的は、電気設備が見通せる地上
の任意の地点から電気設備の導体部が課電状態または電
流通電状態にあるか否かを検出できる課電通電検出装置
および方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る
電通電検出装置は、電気設備の導体部に波動を照射し入
射波の振動数と反射波の振動数に基づいて前記電気設備
の導体部の振動を検出する振動検出器と、前記振動検出
器で検出された前記電気設備の導体部の振動数および振
動振幅に基づいて課電状態または電流通電状態を判定す
演算処理装置と、前記演算処理装置で判定された課電
状態または電流通電状態を出力する出力装置とを備えた
ことを特徴とする。
【0010】請求項1の発明に係る課電通電検出装置
おいては、電気設備の導体部の振動を振動検出器で検出
し、演算処理装置は、振動検出器で検出された振動の振
動数および振動振幅に基づいて電気設備の導体部の課電
状態または電流通電状態を判定する。そして、出力装置
は、演算処理装置で判定された課電状態または電流通電
状態を出力する。これにより、電気設備の課電状態また
は電流通電状態が出力装置に出力されるので、作業員は
電気設備の課電状態または電流通電状態を容易に認識で
き感電などの事故を防止できる。
【0011】請求項2の発明に係る課電通電検出装置
は、請求項1の発明において、前記演算処理装置は、特
定振動数の振動振幅が所定値を超えているときは、課電
状態または電流通電状態であると判定すること特徴とす
る。
【0012】請求項2の発明に係る課電通電検出装置
おいては、請求項1の発明の作用に加え、演算処理装置
では、特定振動数の振動振幅が所定値を超えているとき
に、課電状態または電流通電状態であると判定する。例
えば、商用周波数の2倍の振動数に着目してその振動振
幅値が他の振動数より大きい場合に、課電状態または電
流通電状態であると判定する。
【0013】請求項3の発明に係る課電通電検出装置
は、請求項1または2の発明において、前記出力装置
は、前記演算処理装置で判定された課電状態または電流
通電状態を前記振動振幅に対応して予め定められた色ま
たは数値で表示する表示装置を有していることを特徴と
する。
【0014】請求項3の発明に係る課電通電検出装置
おいては、請求項1または2の発明の作用に加え、演算
処理装置で判定された課電状態または電流通電状態は、
振動振幅に対応して予め定められた色または数値で表示
装置に表示される。これにより、課電状態の電圧値や電
流通電状態の電流値が視覚により容易に識別できる。
【0015】請求項4の発明に係る課電通電検出装置
は、請求項1、2または3の発明において、前記出力装
置は、前記演算処理装置で判定された課電状態または電
流通電状態を前記振動振幅に対応して予め定められた音
で出力するスピーカを有していることを特徴とする。
【0016】請求項4の発明に係る課電通電検出装置
おいては、請求項1、2または3の発明の作用に加え、
演算処理装置で判定された課電状態または電流通電状態
は、振動振幅に対応して予め定められた音でスピーカに
出力される。これにより、課電状態の電圧の大きさや電
流通電状態の電流の大きさが聴覚により容易に識別でき
る。
【0017】請求項5の発明に係る課電通電検出装置
は、請求項3の発明において、前記電気設備の映像を撮
影するカメラを設け、前記表示装置は前記カメラで撮影
された前記電気設備の振動部分に前記振動に対応した色
または数値を表示することを特徴とする。
【0018】請求項5の発明に係る課電通電検出装置
おいては、請求項3の発明の作用に加え、カメラで撮影
された電気設備の映像を表示装置に表示し、その電気設
備の映像の振動部分に振動振幅に対応した色または数値
を表示する。これにより、電気設備の外観形状上に課電
状態を表示できるので、より直観的に課電状態を把握で
きる。
【0019】請求項6の発明に係る課電通電検出方法
は、電気設備の導体部に波動を照射し、入射波の振動数
と反射波の振動数に基づいて前記電気設備の導体部の振
動を検出し、検出された特定振動数の振動振幅に応じて
電気設備の導体部の課電状態または電流通電状態を検出
し、その検出結果を出力することを特徴とする。
【0020】請求項6の発明に係る課電通電検出方法
おいては、電気設備の導体部の振動を検出し、その特定
振動数の振動振幅が所定値を超えているか否か判定し、
振動振幅が所定値を超えているときは電気設備の導体部
は課電状態または電流通電状態であると判定し、その旨
を出力する。これにより、作業員は電気設備の課電状態
を容易に認識でき感電などの事故を防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図1は本発明の実施の形態に係る課電 通電検出装
の説明図であり、図1(a)は外観構成図、図1
(b)はブロック構成図である。図1では、電気設備2
a〜2cの導体部3a〜3cの課電状態を検出する場合
を示している。
【0022】図1(a)に示すように、課電状態を確認
したい対象物の振動は振動検出器1により検出される。
振動検出器1は、課電状態を確認したい対象物である電
気設備2a〜2cの導体部3a〜3cに対し、例えば、
レーザー光を照射してその反射波を受光する。そして、
レーザー光の入射振動数と反射振動数との差分により各
々の電気設備2a〜2cの導体部3a〜3cの振動数を
検出する。
【0023】いま、レーザー光の入射速度をv、対象物
の振動速度をV、レーザー光の波長をλとすると、レー
ザー光の入射振動数S1および反射振動数S2は下記の
(1)式、(2)式で示される。
【0024】 S1=v/λ …(1) S2=v/λ+2V/λ …(2) 振動検出器1は、下記の(3)式に示すように、レーザ
ー光の入射振動数S1と反射振動数S2との差を演算し
て、対象物の振動数Sを検出する。
【0025】 S=S2−S1 =2V/λ …(3) 振動検出器1には演算処理装置4が取り付けられてお
り、振動検出器1で検出された対象物の振動は演算処理
装置4で処理され、対象物の課電状態が出力装置12で
ある表示装置5やスピーカ6に出力される。
【0026】図1(a)では、電気設備2a、2bの導
体部3a、3bが課電状態にあり、その電圧は50kV
である場合を示している。すなわち、出力装置12であ
る表示装置5には、課電状態にある導体部3a、3bが
予め定められた色で表示され、その近傍に課電電圧値が
数値で表示される。
【0027】図1(b)に示すように、演算処理装置4
では、振動検出器1で検出された対象物の振動が入力さ
れると、振動判定手段7でその特定振動数Sの振動振幅
を判定する。振動判定手段7は検出された振動数Sの振
動振幅が予め定めた所定値を超えているか否かを判定す
る。そして、所定値を超えている場合には対象物は課電
状態であると判定する。
【0028】課電状態であるか否かだけの判断の場合に
は1個の所定値だけでよいが、課電電圧の大きさを視覚
により直観的に分かるようにするために、通常は複数個
の所定値を設ける。そして、入力された振動振幅がどの
振幅範囲にあるかを判定するようにする。
【0029】このように、振動判定手段7は、所定値が
1個の場合には、振動振幅値が所定値を超えていないと
きは「0」を出力し、所定値を超えたときは「1」を出
力する。また、複数個の所定値が設けられているとき
は、振動振幅値がいずれの所定値未満であるときは
「0」を出力し、第1の所定値を超え第2の所定値未満
であるときは「1」を出力し、第2の所定値を超え第3
の所定値未満であるときは「2」を出力し、以下同様
に、第nの所定値を超え第n+1の所定値未満であると
きは「n」を出力する。
【0030】表示処理手段8は、振動判定手段7の出力
信号に応じて予め定められた色を選択し、出力装置12
である表示装置5に表示出力する。例えば、所定値が1
個の場合には、振動判定手段7の出力が「0」であると
きには白色を出力し、振動判定手段7の出力が「1」で
あるときには赤色を出力する。これにより、対象物が課
電状態にあるときは赤色で表示されることになる。
【0031】一方、複数個の所定値を有する場合、例え
ば3個の所定値を有する場合には、振動判定手段7の出
力が「0」であるときには白色を出力し、振動判定手段
7の出力が「1」であるときには黄色を出力し、振動判
定手段7の出力が「2」であるときには橙色を出力し、
振動判定手段7の出力が「3」であるときには赤色を出
力する。これにより、対象物の課電状態の振幅に応じて
色分け表示されることになる。
【0032】ここで、課電電圧の電圧値を数値で表示す
る場合には、予め入力装置14から演算処理装置4の振
動判定手段7に対象物を特定する情報を入力する。すな
わち、演算処理装置4の記憶部13には対象物ごとに予
め振動振幅と課電電圧との相関関係が記憶されており、
振動判定手段7は振動振幅が入力されたときは、入力装
置14で特定された対象物の相関関係を記憶部13から
取り出し、その相関関係に基づいて振動振幅を課電電圧
に変換して、その電圧値を表示処理手段8を介して表示
装置5に出力する。
【0033】課電物体の振動振幅は課電電圧の2乗に比
例するが、導体部間の距離や導体部の形状、重量、固有
振動数によって、振動振幅と課電電圧との相関関係が異
なってくるので、予め対象物ごとにその相関関係を記憶
しておき、電圧値を表示する際には、その課電状態の確
認をしようとする対象物を入力装置14から特定する。
これにより、色で表された対象物の課電状態と共にその
課電電圧値が数値で表示される。なお、色及び数値の双
方を表示する場合を示しているが、いずれか一方を表示
するものであっても良いことは言うまでもない。
【0034】次に、出力音処理手段9は、振動判定手段
7の出力信号に応じて予め定められた音を選択し、出力
装置12であるスピーカ6に出力する。例えば、所定値
が1個の場合には、振動判定手段7の出力が「0」であ
るときには無音を出力し、振動判定手段7の出力が
「1」であるときには大きい音を出力する。これによ
り、対象物が課電状態にあるときは大きな音が出力され
ることになる。
【0035】一方、複数個の所定値を有する場合、例え
ば3個の所定値を有する場合には、振動判定手段7の出
力が「0」であるときには無音を出力し、振動判定手段
7の出力が「1」であるときには小さな音を出力し、振
動判定手段7の出力が「2」であるときには普通の音を
出力し、振動判定手段7の出力が「3」であるときには
大きな音を出力する。これにより、対象物の課電状態の
振動振幅に応じて大きさの異なる音が出力されることに
なる。
【0036】ここで、振動検出器1から照射されるレー
ザー光を対象物に対してラスタスキャン方式で走査する
と、対象物が特定振動数で振動している場合には対象物
の形状が把握できる。この場合、対象物が特定振動数で
振動していない場合には対象物の形状は把握できない。
【0037】そこで、カメラ10を設け、対象物である
電気設備2の映像を撮影し表示装置5に表示する。そし
て、表示処理手段8により表示装置5に表示された電気
設備1の振動部分に特定振動数の振動振幅に対応した色
を表示する。これにより、作業員はより直観的に対象物
の課電状態を把握できるようになる。
【0038】次に、課電物体が振動する原理について説
明する。図2は課電物体が振動する原理についての説明
図である。図2(a)は、電気設備2a、2bとして碍
子11a、11bに導体部3a、3bをそれぞれ配置
し、同相の単相交流電圧を通電したものを示している。
このような電気設備2a、2bを並列に配置し、同相の
単相交流電圧を通電すると、課電電圧が同相であること
から電圧極性がプラスのときもマイナスのときも導体部
3a、3bには反発力が働く。この反発力は課電電圧の
大きさに比例する。
【0039】図2(b)は、図1(a)の場合に電気設
備2a、2bの導体部3a、3bに発生する振動周波数
の説明図である。導体部3a、3bの反発力は、課電電
圧に2乗に比例してプラスおよびマイナスのときの双方
で発生することから、振動振幅は課電電圧の2乗の関係
に比例し、振動周波数は導体部3a、3bに通電される
単相交流電圧周波数の2倍となる。
【0040】例えば、電気設備2a、2bに通電される
交流電圧が商用周波数の50Hzまたは60Hzである
ときは、100Hzまたは120Hzの振動周波数とな
る。振動検出器1は課電物体のこの振動数と振動振幅を
検出することになる。
【0041】図3は、振動検出器1での検出振動スペク
トルを示している。図3(a)は電気設備2に交流電圧
が課電された場合の特性図、図3(b)は電気設備2に
直流電圧が課電された場合の特性図である。
【0042】電気設備2に商用周波数の交流電圧が課電
されている場合には、図3(a)に示すように、商用周
波数の2倍の周波数帯域(100Hzまたは120H
z)で大きな振動が発生する。一方、交流電圧が課電さ
れていない場合には、各々の周波数帯域で多少の振動は
あるが課電による振動は検出されない。交流電圧が課電
されていない場合に検出される振動は、対象物が設置さ
れている周囲の不規則な振動である。例えば、車や人の
歩行に伴う振動、各種電気機器の運転による振動、風に
よる振動等である。
【0043】以上の説明では、交流電圧が課電された場
合について説明したが、直流電圧が課電された場合に
も、直流電圧の課電による電気設備2a、2bの振動が
発生するので、その振動を検出し課電されていることを
検出できる。
【0044】直流電圧が課電された場合に電気設備2に
振動が発生する原理を説明する。電気設備2の導体部3
に直流電圧が通電されると、導体部3の近傍の空気に含
まれる気体分子や微粒子が帯電され、課電電圧の極性と
気体分子や微粒子の帯電極性との間でクーロン力による
吸引および反発が発生する。この吸引力や反発力により
電気設備2の導体部3に振動が発生する。
【0045】図3(b)は電気設備2に直流電圧が課電
された場合の特性図であり、直流電圧が課電された場合
には、直流電圧が課電されていない場合の風等による振
動とは異なった振動が発生する。直流電圧の場合の前記
振動が発生する振動数は特定されないが、風等による振
動とは異なった振動が発生する。これにより、直流電圧
の課電の場合であっても課電状態を検出できる。
【0046】ここで、この課電通電検出装置は、小型の
振動検出器1を使用し表示装置5として液晶表示装置を
使用し、一人で携行可能に構成する。これにより、電気
所の現場において電気設備2の導体部3に向けてレーザ
ー光を照射できる。そして、電気設備2の導体部3を彩
色などにより映像表示あるいは写真表示できるので、迅
速かつ直感的に課電状況が把握できる。従って、課電部
の見落としや錯覚も防止でき電気安全が各段に向上す
る。
【0047】また、高所や充電部の接近作業を回避でき
るだけでなく、課電部の確認が短時間に行えるので作業
効率も向上する。また、計器用変成器PT、PDの代わ
りに用いることも可能であり、その場合には、低コスト
で高電圧設備の電圧状態を監視できる。
【0048】以上の説明は、対象物が課電状態にあるか
否かを判定する場合について説明したが、対象物が電流
通電状態にあるか否かの場合にも同様に適用できる。図
4は、は電流通電物体が振動する原理についての説明図
である。図4(a)は、電気設備2a、2bとして碍子
11a、11bに導体部3a、3bをそれぞれ配置し、
同相の単相交流電流を通電したものを示している。この
ような電気設備2a、2bを並列に配置し、同相の単相
交流電流を通電すると、通電電流が同相であることから
電圧極性がプラスのときもマイナスのときも導体部3
a、3bには吸引力が働く。この吸引力は通電電流の大
きさに比例する。
【0049】図4(b)は、この場合の電気設備2a、
2bの導体部3a、3bに発生する振動周波数の説明図
である。導体部3a、3bの吸引力は、通電電流の2乗
に比例してプラスおよびマイナスのときの双方で発生す
ることから、振動振幅は通電電流の2乗の関係に比例
し、振動周波数は導体部3a、3bに通電される単相交
流電流周波数の2倍となる。
【0050】例えば、電気設備2a、2bに通電される
交流電圧が商用周波数の50Hzまたは60Hzである
ときは、100Hzまたは120Hzの振動周波数とな
る。振動検出器1は電流通電物体のこの振動数と振動振
幅を検出することになる。
【0051】図5は、振動検出器1での検出振動スペク
トルを示している。図5は電気設備2に交流電流が通電
された場合の特性図である。
【0052】電気設備2に商用周波数の交流電流が通電
されている場合には、図5に示すように、商用周波数の
2倍の周波数帯域(100Hzまたは120Hz)で大
きな振動が発生する。一方、交流電流が通電されていな
い場合には、各々の周波数帯域で多少の振動はあるが通
電による振動は検出されない。交流電流が通電されてい
ない場合に検出される振動は、対象物が設置されている
周囲の不規則な振動である。例えば、車や人の歩行に伴
う振動、各種電気機器の運転による振動、風による振動
等である。
【0053】図6は、電気設備2a〜2cの導体部3a
〜3cに交流電流が通電されている電流通電状態を検出
する場合の本発明の実施の形態に係る課電通電検出装置
の説明図であり、電気設備2a〜2cの導体部3a〜3
bに電流が通電されている場合を示している。
【0054】図6に示すように、電流通電状態を確認し
たい対象物の振動は振動検出器1により検出される。振
動検出器1は、電流通電状態を確認したい対象物である
電気設備2a〜2cの導体部3a〜3cに対し、例えば
レーザー光を照射してその反射波を受光する。そして、
レーザー光の入射振動数と反射振動数との差分により各
々の電気設備2a〜2cの導体部3a〜3cの振動数を
検出する。
【0055】振動検出器1は、前述の(1)式〜(3)
式に示すように、レーザー光の入射振動数S1と反射振
動数S2との差を演算して、対象物の振動数Sを検出す
る。
【0056】そして、演算処理装置4は、課電状態の検
出の場合と同様に、振動検出器1で検出された対象物の
振動を処理し、対象物の電流通電状態が出力装置12で
ある表示装置5やスピーカ6に出力される。
【0057】図6では、電気設備2a、2bの導体部3
a、3bが電流通電状態にあり、その電圧は30.0A
である場合を示している。すなわち、出力装置12であ
る表示装置5には、電流通電状態にある導体部3a、3
bが予め定められた色で表示され、その近傍に通電電流
値が数値で表示される。
【0058】ここで、電流通電の電流値を数値で表示す
る場合には、予め入力装置14から演算処理装置4の振
動判定手段7に対象物を特定する情報を入力する。すな
わち、演算処理装置4の記憶部13には対象物ごとに予
め振動振幅と通電電流との相関関係が記憶されており、
振動判定手段7は振動振幅が入力されたときは、入力装
置14で特定された対象物の相関関係を記憶部13から
取り出し、その相関関係に基づいて振動振幅を通電電流
に変換して、その電圧値を表示処理手段8を介して表示
装置5に出力する。
【0059】すなわち、間隔dの平行導体部3a、3b
にそれぞれ電流Iが流れている場合、導体部3a、3b
に作用する吸引力Fは、(4)式に示すように通電電流
Iの2乗に比例し、導体部3a、3bの間隔dに反比例
する。
【0060】 F∝(I/d) …(4) 一方、振動判定手段6が検出する導体部3a、3bの振
動速度Vは、(5)式に示すように吸引力Fに比例する
ので、導体部3a、3bに流れる電流Iは間隔dと振動
速度Vとから(6)式のように表される。
【0061】 F∝(I/d)∝V …(5) I=k(d・V)1/2 …(6) k:比例定数 このように、電流通電対象物の通電電流は数値化が可能
であるので、予め対象物ごとにその相関関係を記憶部1
3に記憶しておき、電流値を表示する際には、その電流
通電対象物を入力装置14から特定する。これにより、
色で表された対象物の電流通電状態と共にその通電電流
値が数値で表示される。なお、色及び数値の双方を表示
することに代えて、いずれか一方を表示するものであっ
ても良いことは言うまでもない。
【0062】以上のように、電気機器の導体部の振動を
検出することにより、その電気機器が課電状態にあるか
電流通電状態にあるかを判定できる。また、入力装置1
4から対象機器を特定することによって課電電圧または
通電電流をあわせて表示できる。
【0063】なお、課電状態と電流通電状態との識別
は、予め電気機器を特定することにより判別できる。電
力設備には、活線状態で課電はされているが電流は流れ
ない導体部が存在し、例えば、コロナ放電防止のための
シールドリングや事故時の電流通路として設けられてい
るアーキングホーンは、課電はされているが電流は流れ
ない。これに対し、電路は活線状態で電流通電状態とな
る。
【0064】そこで、入力装置14から演算処理装置4
に電気機器を特定する情報を入力すると、課電状態であ
る場合には課電電圧が表示され、電流通電状態である場
合には通電電流が表示される。これにより、課電状態と
電流通電状態との識別が可能となる。
【0065】以上の説明では、振動検出器1はレーザー
光を用いて入射振動数と反射振動数との差分により対象
物の振動数を測定するようにしているが、レーザー光で
なくてもドップラー効果が得られる波動であれば何でも
良い。例えば、音波、超音波、電波、レーザー光以外の
電磁波等であっても良い。
【0066】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、電
気設備の導体部に対し振動検出器からレーザー光などを
照射して、その振動状態を遠方より検出し、その検出結
果を出力装置に出力するので、電気設備の使用や保守等
にあたる作業員が通電範囲を適正に把握できる。また、
通電されている周波数が容易にわかる。
【0067】従って、工場、ビル、家庭の電気設備、あ
るいは鉄道、車両、船舶などの電気設備において、これ
ら電気設備の使用や保守等にあたる作業員の感電などの
事故を防ぎ、電気安全の一層の向上と電気設備の運用操
作の迅速的確化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る課電通電検出装置
説明図。
【図2】本発明の実施の形態における課電物体が振動す
る原理についての説明図。
【図3】本発明の実施の形態における課電物体の振動の
検出波形の特性図。
【図4】本発明の実施の形態における電流通電物体が振
動する原理についての説明図。
【図5】本発明の実施の形態における電流通電物体の振
動の検出波形の特性図。
【図6】本発明の実施の形態に係る課電通電検出装置で
電流通電物体の振動を検出する場合の説明図。
【符号の説明】
1…振動検出器、2…電気設備、3…導体部、4…演算
処理部、5…表示装置、6…スピーカ、7…振動判定手
段、8…表示処理手段、9…出力音処理手段、10…カ
メラ、11…碍子、12…出力装置、13…記憶部、1
4…入力装置

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気設備の導体部に波動を照射し入射波
    の振動数と反射波の振動数に基づいて前記電気設備の導
    体部の振動を検出する振動検出器と、前記振動検出器で
    検出された前記電気設備の導体部の振動数および振動振
    幅に基づいて課電状態または電流通電状態を判定する演
    算処理装置と、前記演算処理装置で判定された課電状態
    または電流通電状態を出力する出力装置とを備えたこと
    を特徴とする課電通電検出装置
  2. 【請求項2】 前記演算処理装置は、特定振動数の振動
    振幅が所定値を超えているときは、課電状態または電流
    通電状態であると判定すること特徴とする請求項1記載
    課電通電検出装置
  3. 【請求項3】 前記出力装置は、前記演算処理装置で判
    定された課電状態または電流通電状態を前記振動振幅に
    対応して予め定められた色または数値で表示する表示装
    置を有していることを特徴とする請求項1または2記載
    課電通電検出装置
  4. 【請求項4】 前記出力装置は、前記演算処理装置で判
    定された課電状態または電流通電状態を前記振動振幅に
    対応して予め定められた音で出力するスピーカを有して
    いることを特徴とする請求項1、2または3記載の課電
    通電検出装置
  5. 【請求項5】 前記電気設備の映像を撮影するカメラを
    設け、前記表示装置は前記カメラで撮影された前記電気
    設備の振動部分に前記振動に対応した色または数値を表
    示することを特徴とする請求項3記載の課電通電検出装
  6. 【請求項6】 電気設備の導体部に波動を照射し、入射
    波の振動数と反射波の振動数に基づいて前記電気設備の
    導体部の振動を検出し、検出された特定振動数の振動振
    幅に応じて電気設備の導体部の課電状態または電流通電
    状態を検出し、その検出結果を出力することを特徴とす
    課電通電検出方法
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