JP3407029B2 - 抄紙用粘剤、およびそれを使用した抄造方法 - Google Patents

抄紙用粘剤、およびそれを使用した抄造方法

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JP3407029B2 JP13669895A JP13669895A JP3407029B2 JP 3407029 B2 JP3407029 B2 JP 3407029B2 JP 13669895 A JP13669895 A JP 13669895A JP 13669895 A JP13669895 A JP 13669895A JP 3407029 B2 JP3407029 B2 JP 3407029B2
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善治 山口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】京花紙やトイレットペーパーなど
のちり紙、タオルペーパーやナプキン原紙等の家庭紙、
コピー紙(複写紙)や合紙などの薄葉紙などの低坪量の
紙、および和紙類の製造において、地合の良好な紙を得
るための抄紙用粘剤、およびその抄紙用粘剤を使用した
抄造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】テッシュペーパー、京花紙、トイレット
ペーパー、ナプキン原紙などの家庭用薄葉紙、および障
子紙、証券用紙、半紙仙貨紙などの和紙類、コピー紙
(複写紙)、合紙、グラシン紙、ライスペーパー、イン
ディアペーパー、プリント合板用薄葉紙、感圧(原)
紙、トレーシングペーパーなどの薄葉紙は、坪量(1m
2あたりの紙の重さg)が約8〜40gと低いが、斑が
無く、均一性が高く、かつ柔らかさ、高い不透明性、強
度などが必要とされる。このような紙質を得るために、
紙料中に粘剤を入れて抄紙される。
【0003】これらの紙の製造方法を円網ヤンキー抄紙
機による抄造を例に取り、以下に説明する。針葉樹晒ク
ラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ
(LBKP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、砕
木パルプ(GP)、リファイナグラウンドパルプ(RG
P)、マニラ麻、みつまた(三椏)、こうぞう(楮)、
およびこれらを含む故紙から得られた脱墨パルプ(DI
P)などを原料として配合し、紙料が調製される。調製
された紙料は、白水で希釈して0.1〜0.3重量%の
パルプ濃度として抄紙機のバット(抄き槽)に供給さ
れ、バット中でワイヤーシリンダーを回転させると、ワ
イヤーシリンダーの内外水面差によって紙料中に浸って
いるワイヤー表面に紙料が吸着して、多くの水を含んだ
湿紙層が形成される。ワイヤーシリンダーの回転にとも
なって、湿紙層が水面より出て、減圧吸引濾過、圧搾濾
過により水が除かれて湿紙が形成され、さらにプレス、
乾燥を経て成紙となる。長網抄紙機、短網抄紙機、ツイ
ンワイヤー抄紙機などでも同じように、インレットより
ワイヤー上に紙料を吹き出し、湿紙層を形成した後、吸
引濾過により水が除かれ、プレス、乾燥を経て成紙にな
る。
【0004】紙を薄くして抄紙する(坪量を低くする)
には、一般的な円網ヤンキー抄紙機では、バットでのパ
ルプ濃度を0.1〜0.3重量%と低くして抄いてい
る。このような低いパルプ濃度では、ナプキン原紙やイ
ンディアペーパーのように繊維長の長いパルプ、あるい
はトイレットペーパーや京花紙のように、良く叩解され
フィブリル化したパルプを使うと、バットやストックイ
ンレット中で、パルプ繊維が凝集したり、絡み合って分
散不良になり易い。しかも坪量が低くなるようにワイヤ
ー表面の湿紙層を薄くしているため、水の移動が速過ぎ
て、ワイヤーシリンダーの内外水面差が小さくなり、ワ
イヤー表面に均一な湿紙層ができ難くくなったり、ある
いは湿紙層に斑ができたりする。また湿紙層からの水が
抜けやすい(反瀘水性が小さい)ため、部分的に瀘水性
の差が生じ、湿紙層、湿紙の均一性を良くしたり、斑の
生成を抑える時間的余裕がない。
【0005】長網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー
抄紙機等では、インレットからワイヤーに紙料を吹き付
けてワイヤー上に湿紙層、湿紙を形成させるが、紙料の
パルプ濃度が低いため水が抜けやすく、湿紙層が不均一
になり、成紙に斑や穴あきなどの欠損部ができるたりす
るようになる。そこで、このようなパルプ繊維の凝集、
絡み合いを防止し、パルプスラリーの水抜けを遅くする
(反瀘水性を上げる)目的で、水分散性の粘剤(増粘
剤)を添加して紙料の粘性を上げる方法が行われてき
た。
【0006】抄紙用粘剤としてトロロアオイ(黄蜀葵)
が、古くから使用されてきた。トロロアオイは天然の草
木で、その根を打ち砕き水に懸濁させ、根の中の成分を
水に抽出したものが粘剤として使用されてきた。抄造時
にこのトロロアオイ分散液を使用すると、パルプ繊維を
凝集させることなく分散させる上、反瀘水性が向上し、
均一な斑のない成紙が得られるようになる。しかし、ト
ロロアオイは天然品である故に、産出した年や産出地に
より性状が異なり、粘剤としての効果が安定しないうえ
に、供給も不安定で、安定的な入手が困難である。ま
た、成紙ピンホールの原因となるかす(たもかす)やそ
の他不純物を除去する必要があり、このため粘剤液を調
製するのに長時間(数日)必要としている。その他トロ
ロアオイから得られる粘剤は、添加量を1〜8重量%
(対パルプ)と多量添加しないとその効果が期待できな
いこと、白水中の多価金属イオン(例えば、カルシウム
イオン、マグネシウムイオンなど)によって効果が低下
していくこと、経時変化があり、粘剤の長期保存ができ
ない(調製した粘剤液は使いきるようにしなければなら
ない)等により、工業的スケールでの使用には十分な対
応ができないなどの欠点がある。
【0007】そこで、今日では合成品のポリエチレンオ
キシド系粘剤(以降、「PEO」と略記する)、ポリア
クリル酸系粘剤やポリアクリルアミド系粘剤(以降、こ
れらを総称して「PAM」と略記する)に置き換わって
きた。PEOは、工業製品であるため供給安定性はよ
く、長期貯蔵ができ、金属イオンなどの影響も受けにく
く、少量の添加で高い効果が得られるなどの長所をもっ
ている。しかし、PEOは、溶解する際に高いせん断力
をかけると、粘剤の効果が大きく低下する欠点がある。
そのため、その調製はせん断力をできるだけかけないよ
うな、特殊な形状の撹拌翼を持った撹拌機を使い、低速
回転で3〜5時間かけて溶解しなければならない。一
方、低速回転で溶解すると、未溶解分が生じることがあ
る。PEO未溶解分が紙料に混入すると、未溶解分がワ
イヤーに付着してパルプの欠損部が生じ、成紙の穴あき
や紙切れの原因となるばかりか、未溶解分が粘着性を有
するために、ワイヤー上に汚れが蓄積する原因にもな
る。ポリアクリル酸系粘剤やポリアクリルアミド系粘剤
としては、ポリアクリル酸またはそのナトリウム塩、カ
リウム塩などの塩類、ポリアクリルアミド、およびその
部分加水分解物、アクリル酸またはその塩とアクリルア
ミドの共重合物などが挙げられる。
【0008】PAMは、PEOのように溶解方法や溶解
条件によって粘剤としての効果が影響されることはな
く、水分散液の長期保存も可能になり、作業性は大きく
改善された。しかも、低添加量で粘剤としての効果は高
い。しかし、PAMには、分子中に−COO-に由来す
るアニオン性部分があるため、pH、金属イオン、特に
多価金属イオンのカルシウムイオンやマグネシウムイオ
ン、カチオン性物質によって、効果が影響される欠点が
ある。例えば、pHが5以下になると、PAM中の−C
OOHはほとんど解離しなくなり、粘剤としての効果が
期待できなくなる。また、多価金属イオンのカルシウム
イオンやマグネシウムイオンは、PAM中の−COO-
と水不溶性の塩を形成して、粘剤の効果が得られなくな
ったり、代表的紙力増強剤であるカチオン性のポリアミ
ドアミン・エピクロロヒドリン縮合物と併用したとき凝
集物を形成し、粘剤の効果が発揮されなくなるばかり
か、紙力増強剤の効果も大きく低下させる。さらに、高
分子のPAMには本来、凝集剤としての作用も持つた
め、過剰のPAM添加量では、パルプ繊維を凝集させて
しまう欠点もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の粘剤
に見られた上記欠点を改善し、保存が可能で、粘剤液の
調製方法に制約されることなく、さらに作業性が良く、
効果が白水の環境によって影響を受けにくい抄紙用粘
剤、およびそれを使用した抄紙方法を提供するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の細
菌類が産出する多糖類が、抄紙用粘剤として極めて特徴
のある優れた効果を有することを見いだし、従来の抄紙
用粘剤の欠点を改善することを見い出し、本発明を完成
するに至った。すなわち、本発明は、アルカリゲネス
(Alcaligenes)属細菌、好ましくはアルカリゲネス
レータス(Alcaligenes latus)細菌、より好ましくは
アルカリゲネス レータス(Alcaligenes latus)B−
16株(FERM BP-2015号)細菌培養物、またはその処理
物から得られる多糖類を有効成分とする抄紙用粘剤、お
よびその粘剤を使用した抄紙方法である。本発明の多糖
類は、アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌、好まし
くはアルカリゲネス レータス(Alcaligenes latus)
細菌、より好ましくはアルカリゲネス レータス(Alca
ligenes latus)B−16株(FERM BP-2015号)細菌培
養物、またはその処理物から分離される多糖類である。
本発明においては、さらに弊害を伴わない限りにおい
て、他種の多糖類を混合使用することはなんら制限する
ものではない。
【0011】アルカリゲネス レータス属菌、およびそ
の中のアルカリゲネス レータスB−16株は、多糖類
産生能を有する菌である。本発明はこれら細菌類の培養
条件、およびここで産出した多糖類の分離条件を限定す
るものでないが、例えば次の条件で好ましく行われる。
培地構成成分は、炭素源にフラクトース、グルコース、
シュークロースなどの単糖類;ヘミセルロース、澱粉、
コーンスターチなどの天然高分子;とオリーブ油脂等の
油類が好ましく用いられ、窒素源は尿素、塩化アンモニ
ウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどの無機
体窒素源;トリプトン、酵母エキス、肉エキス、ペプト
ン、麦芽エキスなどの有機体窒素源;その他に燐酸カリ
ウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類
が使用される。
【0012】培養条件は用いる培地によっても異なる
が、初発pH:4〜10、温度:15〜40℃の条件で
通気撹拌液体培養が1日〜10日間行われる。得られた
培養物の処理は、培養液に2倍量のエタノールを入れ、
5℃にて一夜静置して生じた沈殿をNo.2瀘紙で瀘過
し、70%エタノールで3回洗浄、さらに蒸留水で3回
洗浄した後、凍結乾燥を行って、凝集物を培養処理物と
して回収することできる。培養処理物中の多糖類の含有
量は、公知の硫酸カルバゾール法、すなわち培養処理物
にホウ酸−硫酸溶液を加えて加熱、冷却した後、カルバ
ゾール溶液を加え、加熱し、次いで冷却し、波長530
nmで比色定量することによって知ることができる。本
発明では、得られた培養物をこのままで使用しても、あ
るいは分離精製して使用しても良く、なんらこれに限定
されるものではない。
【0013】本発明の抄紙用粘剤が使用できる紙類とし
て、テッシュペーパー、京花紙、化粧紙、トイレットペ
ーパー、タオルペーパー、キッチンペーパー、衛生紙、
生理用紙、ナプキン原紙などの坪量が8〜40(g/m
2)と低い家庭用薄葉紙、および障子紙、証券用紙、半
紙仙貨紙などの和紙類、その他、コピー紙(複写紙)、
合紙、グラシン紙、ライスペーパー、インディアペーパ
ー、プリント合板用薄葉紙、感圧(原)紙、トレーシン
グペーパーなどの薄葉紙、撚糸原紙などの一般に坪量が
10〜40(g/m2)と低い紙類が挙げられるが、特
に、これらに限定されるものではない。一般に均一な地
合の成紙が要求される抄紙であれば、適用できるもので
ある。また、上記紙類の製造には、種々のパルプ原料、
例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹
晒クラフトパルプ(LBKP)、サーモメカニカルパル
プ(TMP)、砕木パルプ(GP)、リファイナグラウ
ンドパルプ(RGP)、マニラ麻、みつまた、こうぞ
う,およびこれらの各種パルプから造られた紙類の故紙
から得られた脱墨パルプ(DIP)などがあるが、本発
明の抄紙用粘剤の効果および使用方法は、これらのパル
プの種類によって、何等限定されるものではない。
【0014】本発明の抄紙用粘剤の添加方法は特に限定
するものではないが、本発明の多糖類を主成分とする抄
紙用粘剤を市水や工業用水に分散させ、水分散液を作
り、円網抄紙機の場合には、円網抄紙機のバットあるい
はバット手前の原料流送ラインに直接、あるいは白水で
希釈して添加し、長網抄紙機、短網抄紙機、これらのコ
ンビネーション抄紙機等ではミキシングチェストあるい
はストックインレットの手前に直接、あるいは白水で希
釈して添加するのがよい。
【0015】本発明の抄紙用粘剤の水分散液濃度は、目
的とする抄紙条件によって異なるが、培養物から得られ
る多糖類を基準として、その濃度で示すと0.005〜
0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%が適
している。0.005重量%より低い濃度ではその効果
が充分期待できず、0.5重量%より高い濃度では、水
分散液の粘性が大きくなって、ポンプ移送や取り扱いが
悪くなり作業性が低下し好ましくない。本発明の抄紙用
粘剤の添加量は、使用する抄紙条件によって異なってく
るが、培養物から得られる多糖類を基準として示すと、
0.001〜1重量%(対パルプ)、好ましくは0.0
05〜0.2重量%が適している。添加量が0.001
重量%より低いと本発明の抄紙用粘剤としての効果が充
分に発揮されず、また、1重量%より多いとその効果は
充分にみられるものの添加量に見合うだけの効果が得ら
れないため、不経済となり好ましくない。
【0016】本発明の抄紙用粘剤の使用の際して、従来
のトロロアオイ分散液、PEO系、PAM系、その他の
抄紙用粘剤と併用することをなんら制限するものではな
い。
【0017】本発明の抄紙用粘剤を使用すると、少量で
粘剤としての効果を発揮し、さらにその粘性はpH=4
〜8の広いpH範囲でほぼ一定で、15〜60℃の温度
で水温の影響を受けず、また水中のイオンの影響も少な
いといった利点を得ることができる。さらに、過剰添加
された場合にも、従来のPEO系粘剤、PAM系粘剤に
比べてパルプの凝集が少なく、粘着性がないために円網
への付着も少なくなり、円網の汚れが減少するほか、パ
ルプを分散させ、反瀘水性を向上させて、紙の地合を良
くする等、従来の欠点が大きく改善される。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例によって限定されるものではな
い。 1.アルカリゲネス レータス B−16株培養多糖類
の調製 多糖類−I 脱イオン水1Lに、グルコース 10g、KH2PO4
4.5g、K2HPO41.5g、MgSO4・7H2
0.2g、NaCL 0.1g、NaNO30.1g、
グリシン 0.1g、FeSO4・7H2O 0.01g
を溶かし、pHを7.0に調整した。この培地150m
Lを、500mLの三角フラスコに取り、オートクレー
ブ(120℃、15分)にて滅菌した後、アルカリゲネ
スレータス B−16株を1白金耳量加え、30℃にて
10日間震とう培養した。培養後、エタノール300m
Lを加え、−5℃にて一夜放置し、沈殿物を得た。沈殿
物をNo.2瀘紙で瀘過した後、エタノールで2回、次
いで蒸留水で3回洗浄した。これをドライアイスで充分
冷却し、乳鉢で粗粉砕、次いでホモジナイザーで細粉砕
した。
【0019】多糖類−II 蒸留水1Lに、シュークロス 15g、KH2PO4
6.8g、K2HPO48.8g、MgSO4・7H2
0.2g、NaCL 0.1g、NaNO30.5g、
肉エキス 0.5gを溶かし、pHを7.4に調整し
た。この培地150mLを500mLの三角フラスコに
取り、オートクレーブ(120℃、15分)にて滅菌し
た後、アルカリゲネス レータス B−16株を1白金
耳量加え、30℃にて6日間、ロータリー回転(180
RPM)培養した。培養後、水600mLを加え、さら
にNaOHにてpHを12に調整した。この溶液をイオ
ン交換樹脂ダイヤイオンHPA−75(OH-)(三菱
化学(株)製)1,000mLを詰めたカラムに通し
て、タンパク、核酸、低分子成分を除いた。5μmのメ
ンブレンフィルターにて瀘過した後、塩酸にて中和、5
0mLに濃縮した後、アセトン100mLを入れ、沈澱
させた。この沈澱を瀘過して、アセトンで洗浄すること
により、精製した高分子成分を得た。
【0020】2.粘剤の調整 2−1.本発明の粘剤の調製−多糖類の水分散液の調製 300mLトールビーカーに水250mLを入れ、プロ
ペラ型撹拌翼を付けたスリーワンモーター(新東科学
(株)製)で撹拌しながら上記多糖類−I,−IIをそれ
ぞれ0.125g添加し、回転数500〜600RP
M、2〜3時間撹拌を継続して,0.05重量%水分散
液を調製した。得られた分散液をそれぞれ“多糖類粘剤
−I”(多糖類−I使用)、“多糖類粘剤−II”(多糖類
−II使用)とした。
【0021】2−2.PEO分散液の調製 300mLのトールビーカーに水250mLを入れ、プ
ロペラ型撹拌翼を付けたスリーワンモーター(新東科学
(株)製)で撹拌しながら,ポリエチレンオキシド〔分
子量400万、住友精化(株)製,PEO−PF(商品
名)〕0.125gを添加し、回転数20〜30RPM
で4時間撹拌を継続して,0.05重量%の分散液、“P
EO−I”を調製した。また、別途回転数500〜60
0RPMで、4時間撹拌して溶解した分散液、“PEO
−II”を調製した。
【0022】2−3.PAM水分散液の調製 300mLトールビーカーに水を250mLを入れ、プ
ロペラ型撹拌翼を付けたスリーワンモーター(新東科学
(株)製)で撹拌しながら、アクリルアミド重合体の部
分加水分解物〔ダイヤフロック(株)製、アクリパーズ
P−NS(商品名)〕を0.125gを添加し、回転数
500〜600RPMで2〜3時間撹拌を継続して、
0.05重量%の分散液、“PAM−I”を調製した。同
様にして、アクリルアミドホモ重合体〔ダイヤフロック
(株)製、アクリパーズP−MP(商品名)〕の 0.
05重量%分散液、“PAM−II”を調製した。
【0023】3.評価 評価は、以下に示す、反瀘水性試験、およびパルプ分散性
試験により行なった。 〔反瀘水性試験〕共栓付き1Lメスシリンダーに、パル
プ濃度 0.3重量%の紙料1Lを入れ、本発明、およ
び比較の粘剤を所定量添加した後、ゆっくりとシリンダ
ーを上下に5回転倒混合した。次いで、この紙料を図1
に示すような、カナダ標準型瀘水性試験器の瀘水筒1に
移し、瀘水筒上部についている空気コック2を開けて、
瀘水筒内の紙料を排出させ、その下に配置した図2に示
す計測漏斗6に受け、漏斗の側面からの排出量をメスシ
リンダーで受け、その量をフリーネス(mL)とした
(パルプの瀘水度試験方法−JIS P8121−に準
じた方法)。フリーネスから次式によって反瀘水度(m
L)を求めた。 反瀘水度(mL)=粘剤無添加でのフリーネス(mL)
−粘剤添加でのフリーネス(mL) 反瀘水度により、粘剤によるパルプの瀘水性低下を判断
し、この値が大きい程反瀘水性が向上し、好ましいこと
を示している。パルプの凝集性は視覚判定によるが、凝
集のない方がよい。
【0024】〔パルプ分散性試験〕共栓付き500mL
メスシリンダーに、パルプ濃度0.1重量%の紙料を5
00mL入れ、本発明、および比較の粘剤を所定量添加
した後、ゆっくりとシリンダーを上下に5回転倒混合さ
せた。このシリンダーを所定時間静置し、紙料中のパル
プの沈降による上澄み部分の体積を測った。この値から
次式でパルプ分散度(mL)を算出した。 パルプ分散度(mL)=500−(粘剤使用時の白水の
上澄み部分体積(mL)) パルプ分散度が小さいほどパルプ分散性が良いと判断さ
れる。
【0025】4.テスト 4−1.テスト−1 雑誌故紙の脱墨パルプを原料とし、円網抄紙機によりト
イレットペーパーを抄造している工程から、粘剤添加前
の調製紙料〔パルプ濃度 1.8重量%、pH=7.3
(25℃)〕、および紙料希釈用として粘剤添加前の白
水を採取し、この紙料を白水にて、反瀘水性試験用にパ
ルプ濃度0.3重量%、パルプ分散性試験用にパルプ濃
度0.1重量%にそれぞれ希釈し、試験を行った。試験
結果を表1に示した。PEO−I、PAM−Iは、粘剤と
しての効果を発揮するには、PEO−I,PAM−Iでは
添加量の適性値が狭く、一方、本発明の多糖類粘剤−I
〜IIでは、広い濃度範囲で効果を発揮した。しかも、多
量に添加してもパルプを凝集させることがなく、優れた
粘剤としての効果を発揮していることが認められた。
【0026】4−2.テスト−2 新聞故紙の脱墨パルプを原料として、円網抄紙機により
トイレットペーパーを抄造している工程から粘剤添加前
の調製紙料〔パルプ濃度1.8重量%、pH=6.8
(25℃)〕、および紙料希釈用として粘剤添加前の白
水を採取し、この紙料を白水にて、反瀘水性試験用にパ
ルプ濃度 0.3重量%、パルプ分散性試験用にパルプ
濃度0.1重量%に希釈し、テスト−1と同様に反瀘水
性試験、パルプ分散試験を行った。試験結果を表1に示
した。PEOが粘剤として効果を発揮するのは、狭い濃
度範囲である。この範囲より低いとパルプの分散が不充
分となり、またこれより高い濃度ではパルプを凝集させ
効果がない。一方、本発明の多糖類粘剤は、広い濃度範
囲で効果が発揮され、しかも多量に添加してもパルプを
凝集させることがなく、優れた粘剤としての効果を示し
た。
【0027】4−3.テスト−3 クラフトパルプを主原料として、円網抄紙機にてナプキ
ン原紙を製造している工程からの粘剤添加前の調製紙料
〔パルプ濃度1.3重量%、pH=6.4(25
℃)〕、および紙料希釈用として粘剤添加前の白水を採
取した。この紙料を白水にて、反瀘水性試験用にパルプ
濃度0.3重量%、パルプ分散性試験用にパルプ濃度
0.1重量%に希釈し、テスト−1と同様にして反瀘水
性試験、およびパルプ分散性試験を行った。試験結果を
表1に示した。PAMの粘剤としての効果は、狭い濃度
範囲で効果があり、この範囲以外ではパルプの分散が不
充分となったり、パルプを凝集させ効果がない。一方、
本発明の多糖類粘剤は、広い濃度範囲で効果が発揮さ
れ、しかも多量に添加してもパルプを凝集させることが
なく、優れた粘剤としての効果を示した。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】本発明の多糖類粘剤は、 広いpH
域、広い温度域で効果を示す、 粘剤の調製作業を簡
素化できる、 パルプ凝集を伴うことなくパルプ分散
性を良くする、 瀘水性を低下させることで薄葉紙等
の地合を良くする、 粘着性がなくデポジットの要因
になり難くい、などの長所をもち、操業の安定化や製品
紙質の向上に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】カナダ標準型瀘水性試験器の瀘水筒部の側面図
である。
【図2】カナダ標準型瀘水性試験器の計測漏斗部の側面
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:05) C12R 1:05 (56)参考文献 特開 平2−157032(JP,A) 特開 昭61−239897(JP,A) 特開 昭60−2193(JP,A) 特開 昭48−18493(JP,A) 特開 平1−168995(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌
    培養物、またはその処理物から得られる多糖類を有効成
    分とする抄紙用粘剤。
  2. 【請求項2】 アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌
    が、アルカリゲネスレータス(Alcaligenes latus)細
    菌である請求項1記載の抄紙用粘剤。
  3. 【請求項3】 アルカリゲネス レータス(Alcaligene
    s latus)細菌が、アルカリゲネス レータス(Alcalig
    enes latus)B−16株(FERM BP-2015号)である請
    求項2記載の抄紙用粘剤。
  4. 【請求項4】 抄紙工程において、請求項1〜3のいず
    れかに記載の抄紙用粘剤を使用する抄造方法。
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