JP3405781B2 - 高速炉の炉心 - Google Patents

高速炉の炉心

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JP3405781B2 JP28806093A JP28806093A JP3405781B2 JP 3405781 B2 JP3405781 B2 JP 3405781B2 JP 28806093 A JP28806093 A JP 28806093A JP 28806093 A JP28806093 A JP 28806093A JP 3405781 B2 JP3405781 B2 JP 3405781B2
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gas
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bellows
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液体金属たとえば液体ナ
トリウムを冷却材に使用する高速増殖炉(以下、高速炉
と記す)の炉心に係り、特に炉心構成要素の構成、配置
およびその機能確認手段を改良した高速炉の炉心に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の高速炉の炉心の構造について図12
から図14を参照しながら説明する。図12は高速炉の炉心
を平面図で示し、図13は図12における炉心を概略的に一
部縦断面図で示し、図14は図12および図13におけるガス
封入集合体を炉心内の液面レベルとともに概略的に縦断
面図で示している。
【0003】高速炉の炉心は図12に示したように核分裂
性物質を装填した多数本の炉心燃料集合体1と、この炉
心燃料集合体1の外側に配列された多数本のブランケッ
ト燃料集合体2と、このブランケット燃料集合体2の外
側に配列された中性子遮蔽体3とからなっている。
【0004】炉心燃料集合体1間にはガス封入集合体4
が配列され、また制御棒5がところどころ挿入されてい
る。なお、図12中、ブランケット燃料集合体2にはB
を、中性子遮蔽体3には・印を、ガス封入集合体4には
Cを、制御棒5にはPを付して示しており、無印は炉心
燃料集合体を示している。
【0005】炉心燃料集合体1は図13中断面を付して示
したように、中央部分に核分裂性物質を装填した炉心部
6と、この炉心部6の上下に親物質からなる軸ブランケ
ット部7、7と、断面を付していない部分の核分裂ガス
を蓄積するガスプレナム部8、8とからなっている。
【0006】また、ガス封入集合体4は図14に示したよ
うにラッパ管9の上端にハンドリングヘッド10が接続
し、下端にオリフィス11を有するエントランスノズル12
が接続し、ラッパ管9内の上部に封止板13が設けられ、
また下部に重り14が設けられている。封止板13の下方に
は封入ガス15が充填されている。
【0007】このようなガス封入集合体4はエントラン
スノズル12のオリフィス11を通して冷却材のナトリウム
16がラッパ管9内に流入し、所定の圧力以上になるとハ
ンドリングヘッド10から流出する。
【0008】なお、図14中符号17はポンプ停止時液面レ
ベル、18は定格運転時液面レベル、19は溶存ガス析出時
液面レベル、20上部軸ブランケット上端レベル、21
炉心上端レベル、22炉心下端レベル、23下部軸ブラ
ンケット下端レベルをそれぞれ示している。
【0009】一般に高速炉の炉心は、上述したように核
分裂性物質を装填した多数本の炉心燃料集合体1が装荷
されて構成され、核燃料の発熱に伴う熱除去のための冷
却材として主に液体ナトリウムが使用されている。
【0010】通常、炉心の各部の温度は異常な温度上昇
を生じることをはないが、万一の事故を想定して、冷却
材用ポンプの停止などの冷却能力低下時でも炉心が安全
に停止することを確認している。
【0011】ポンプ停止等で燃料集合体内のナトリウム
が高温になり、密度が低下した時の応答としては、炉心
が小型の場合に中性子の炉心からの漏れが大きいため、
負の反応度が入り、炉心は安全に停止する。
【0012】しかし、炉心が大型になると、中性子の漏
れが少なくなり、燃料集合体内のナトリウムが高温にな
ったときの反応度は正となり、炉心が安全に停止するた
めには負の反応度挿入機構が必要となる。通常は制御棒
の挿入により負反応度を挿入するが、更に安全性を向上
させるために、前述したようにガス封入集合体4を炉心
燃料集合体1間またはその周辺部に配置する。
【0013】このガス封入集合体4は図14で説明したよ
うに、エントランスノズル12のオリフィス11を通じて内
部空洞内に流入するナトリウム16および封入ガス15を封
入板13とラッパ管9で内包し、上部に取り扱い用ハンド
リングヘッド10、下部には浮き上がり防止用の重り14を
配置している。
【0014】定格運転時にはポンプの吐出圧により封入
ガスは圧縮され、ナトリウム冷却材の定格運転時液面レ
ベル18は炉心上端レベル21から上方の上部軸ブランケッ
ト上端レベル20付近に上昇している。
【0015】ポンプ停止事故時等でナトリウム冷却材圧
力が低下した場合には液面レベルは低下し、炉心下端レ
ベル22から下方の下部軸ブランケット下端レベル23付近
のポンプ停止時液面レベル17まで低下する。
【0016】この結果、炉心からの中性子はガス封入集
合体4のガス空間を通して上下方向等にストリーミング
し、負の反応度を炉心に与えて安全に炉停止することが
可能となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常運転時
にナトリウム中の溶存ガスが集合体内で析出するなどし
て液面レベルが低下した場合には、制御棒の自動引抜等
で炉心の出力は定格状態に回復する。
【0018】この状態でポンプ停止事故等で冷却材圧力
が低下した場合、初期状態の液面レベル12が低くなって
いるため、炉心からの中性子はめからストリーミング
した状態となっている。したがって、液面が炉心下端以
下まで低下しても十分な負の反応度を与えない可能性を
生じる課題がある。
【0019】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、通常運転時にガス封入集合体の液面レベ
ルの検知および確認ができ、しかも液面レベルの変動を
防止できる安全性の高い高速炉の炉心を提供することに
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】第1の発明は核分裂性物
質を装填した複数の炉心燃料集合体と、この複数の炉心
燃料集合体の外側に配置されたブランケット燃料集合体
と、前記複数の炉心燃料集合体の間または外周部に封入
ガスおよび冷却材流入孔を有する内部空洞を含み、そ
の内部空洞における前記冷却材の圧力変化により前記冷
却材液面の高さが炉心上端レベルより上部から前記炉心
上端レベルより下部へ変化するように構成したガス封入
集合体と、前記ガス封入集合体内の冷却材液面を検出す
る液面検出器とを備えてなる高速炉の炉心において、前
記ガス封入集合体は上端にハンドリングヘッドと下端に
エントランスノズルとが接続されたラッパ管と、このラ
ッパ管内に設けられ上端が閉塞され下端が開口し炉心
部から上方が発熱体で形成されたガス封入筒と、この
ガス封入筒内に配置された前記炉心下端部から上方に上
部が開口し下部が縮径した筒状発熱体と、この筒状発熱
体の上方に設けられた頂部ガスプレナムと、前記筒状発
熱体の下部に設けられた炉心高さガスプレナムと、前記
エントランスノズルに連通する前記筒状発熱体および前
記ガス封入筒の下部にそれぞれ設けられた下部フロー孔
と、この下部フロー孔に連通する前記筒状発熱体と前記
ガス封入筒との間に設けられた戻りフロー孔と、この戻
りフロー孔に連通する前記ガス封入筒と前記ラッパ管と
の間に設けられたリークフロー孔と、前記頂部ガスプレ
ナムと前記炉心高さガスプレナムとを連通するガス連通
孔とを具備してなることを特徴とする。
【0021】第2の発明は核分裂性物質を装填した複数
の炉心燃料集合体と、この複数の炉心燃料集合体の外側
に配置されたブランケット燃料集合体と、前記複数の炉
心燃料集合体の間または外周部に封入ガスおよび冷却材
流入孔を有する内部空洞を含み、その内部空洞におけ
る前記冷却材の圧力変化により前記冷却材液面の高さが
炉心上端レベルより上部から前記炉心上端レベルより
部へ変化するように構成したガス封入集合体とを備えて
なる高速炉の炉心において、前記ガス封入集合体はラッ
パ管の上端にハンドリングヘッドを有し、下端にエント
ランスノズルを有し、前記ラッパ管内に誘導連続式液面
計、複数の熱電対または超音波トランスジューサを設
け、これら液面体、熱電対または超音波トランジューサ
に信号ケーブルを接続し、信号ケーブルを液面表示器に
接続してなることを特徴とする。
【0022】第3の発明は、核分裂性物質を装填した複
数の炉心燃料集合体と、この複数の炉心燃料集合体の外
側に配置されたブランケット燃料集合体と、前記複数の
炉心燃料集合体の間または外周部に封入ガスおよび冷却
流入孔を有する内部空洞を含み、その内部空洞にお
ける前記冷却材の圧力変化により前記冷却材液面の高さ
炉心上端レベルより上部から前記炉心上端レベルより
下部へ変化するように構成したガス封入集合体とを備え
てなる高速炉の炉心において、前記ガス封入集合体はラ
ッパ管の上端にハンドリングヘッドを有し、下端にエン
トランスノズルを有し、前記ラッパ管内の上部または下
部の少なくとも一方に一端が封止されたベローズを封止
板を介して設け、このベローズ内に封入ガスを充填して
なることを特徴とする。
【0023】第4の発明は、前記封止板に抵抗素子を取
り付け、この抵抗素子に前記ベローズを取り付けるとと
もに前記抵抗素子の上方に前記ラッパ管内の上部と連通
する連通孔を設けてなることを特徴とする。
【0024】第5の発明は前記ベローズ内にタグガスを
封入してなることを特徴とする。第6の発明は核分裂性
物質を装填した複数の炉心燃料集合体と、この複数の炉
心燃料集合体の外側に配置されたブランケット燃料集合
体と、前記複数の炉心燃料集合体の間または外周部に封
入ガスおよび冷却材流入孔を有する内部空洞を含み、
その内部空洞における前記冷却材の圧力変化により前記
冷却材液面の高さが炉心上端レベルより上部から前記炉
心上端レベルより下部へ変化するように構成したガス封
入集合体とを備えてなる高速炉の炉心において、前記ガ
ス封入集合体はラッパ管の上端にハンドリングヘッドを
有し、下端にエントランスノズルを有し、前記ラッパ管
内の上部にガス封入板を設け、このガス封入板を貫通し
てベローズを設け、このベローズ上面に反射板を設け、
この反射板の下面に前記ベローズ内を挿通する連結索を
接続し、この連結索に前記ラッパ管内の冷却材液面上に
浮遊する浮上子を設けてなることを特徴とする。
【0025】
【作用】通常運転時には、ガス封入集合体の内部空洞に
おける冷却材液面が冷却材圧力により炉心上端レベル以
上にあるため、冷却材は発熱体により温度上昇する。封
入ガスの量が運転時に増大した場合には冷却材液面の低
下により、発熱体からの熱移行が少なくなり、冷却材漏
洩通路からの冷却材温度が低下する。
【0026】ガス封入集合体の上方に配置した温度計に
よりガス封入集合体の出口冷却材温度の低下を検知する
ことによって封入ガスの液面が一定値以下となったこと
が検知できる。この場合には必要に応じて炉心運転を中
止し、ガス封入集合体の交換を行う。従って、ポンプ停
止等の流量減少時に液面が必要レベルから低下し、中性
子漏洩による負の反応度が挿入される。
【0027】また、制御棒誤引抜等の出力上昇事故時に
は、ガス封入集合体内の発熱体の発熱量の増大により封
入気体が熱膨脹し、内部の冷却材液面が炉心頂部レベル
より上部から下部に低下し空洞を形成する。この結果、
燃料集合体で大きく低下し、上記事象と同様の理由で負
の反応度が挿入される。
【0028】ガス封入集合体の内部空洞における冷却材
液位が通常連続的または細かなピッチにより監視でき、
封入ガスの量が運転時に増大した場合の冷却材液面低下
が検知できる。この液面低下が一定値以下となった場合
には、必要に応じて炉心運転を中止し、ガス封入集合体
の交換を行う。これによりポンプ停止等の流量減少時に
液面が低下しても十分な負の反応度を与えることが可能
となる。
【0029】通常運転時には、ガス封入集合体の内部空
洞内におけるベローズ下端は冷却材圧力によりベローズ
体積が縮小することにより炉心上端レベル以上にある。
冷却材流量の低下により冷却材圧力が低下するとベロー
ズ封入ガスの内圧によりベローズが膨脹する。この結果
べローズは炉心上端よりも下部に伸びガス空間を形成す
る。この結果中性子漏洩による負の反応度が挿入され
る。
【0030】上部に連通する連通孔によりナトリウム中
の溶存ガスが集合体内で析出してもガス封入集合体内部
の空洞には溜まらずにガス封入集合体外に放出される。
連通孔に流体抵抗素子を設置することにより空洞内の圧
力は抵抗素子で減圧され、ベローズに通常運転時に冷却
材圧力を大きくかけることができる。炉心下部にベロー
ズを設置した場合も同様の理由で負の反応度が挿入され
る。
【0031】封入板に設置したベローズはその上部の板
を浮上子と連結索で連結されている。液面が通常運転時
に低下すると浮上子が液面より上部に出るため、その重
量でベローズ上部の板が下がる。これをベローズ上面に
設置した反射板を炉心上部機構に設置した超音波トラン
スジューサによりその反射板の動きを検知することによ
り液面の低下を検知できる。
【0032】
【実施例】本発明に係る高速炉の炉心の第1の実施例を
図1から図4を参照して説明する。図1は本発明に係る
高速炉の炉心に装荷するガス封入集合体を示す縦断面
図、図2は図1におけるA−A矢視断面で、頂部ガスプ
レナム高さ部を示し、図3は同じく図1におけるB−B
矢視断面で、炉心高さガスプレナム高さ部を示し、図4
は図1における封入ガス量増大時、および流量減少時の
液面変化例を説明するための縦断面図である。
【0033】図1に示すガス封入集合体は、図13で説明
したように炉心部に核分裂性物質を装填し、上下に親物
質からなる軸ブランケット部を配置した多数の炉心燃料
集合体の間、または周囲に配置される。また、これら炉
心集合体1およびガス封入集合体は図12に示したように
親物質を含むブランケット燃料集合体2および中性子遮
蔽体3により取り囲まれて、本発明に係る高速炉の炉心
を構成する。
【0034】本実施例が従来例と異なる部分はガス封入
集合の構造を改良したことにあり、図中、14と同一
部分には同一符号を付して説明する。すなわち、図1に
示すようにガス封入集合体はエントランスノズル12の
オリフィス11を通じて流入するナトリウム16および
封入ガス15をガス封入筒24とラッパ管9の内部空洞
で内包し、ラッパ管9の上部に取扱い用ハンドリングヘ
ッド10を、下部には浮き上がり防止用の重り14およ
びエントランスノズル12を配置している。ガス封入筒
24は上端が閉塞され、下端が開口し、炉心高さ部25
から上方が発熱体材料で形成されている。
【0035】また、ガス封入筒24内には炉心下端部25よ
り上方に上部が開口し下部が縮径し開口した筒状発熱
体26を配置している。炉心下端部25から上方のガス封入
筒24と発熱体26は一体成形されたものであってもよく、
別個に成形されたものでもよいが、本実施例では図2お
よび図3に示したように一体成形したものとして説明す
る。
【0036】エントランスノズル12とナトリウム16を連
通する冷却材の戻りフロー孔27、エントランスノズル12
上から下部フロー孔28を通流してハンドリングヘッド10
の流出口29を連通するガス封入筒24とラッパ管9との間
に設けられたリークフロー孔30、炉心高さガスプレナム
31と頂部ガスプレナム32を連通するガス連通孔33を軸方
向に設けている。発熱体26の材料はハフニウム等の中性
子吸収により発熱する材料が有効であるが、ガンマ発熱
体でもよい。
【0037】また、ラッパ管9内の発熱体26とガス封入
筒24との間には戻りフロー孔27が設けられ、発熱体26と
ガス封入筒24の下部には内部のナトリウム16を連通する
下部フロー孔28を2箇所配置している。炉心高さガスプ
レナム31内は封入ガス15で満たされ、ガス連通孔33との
み連通される構造となっている。リークフロー孔30から
ハンドリングヘッド10の流出口29を流れるナトリウムの
温度は温度計34で検知される。温度計34はハンドリング
ヘッド10の上方近傍に設けられている。
【0038】封入ガスは、通常高速炉の炉容器内のカバ
ーガスに用いられる不活性のアルゴンガス等が適当であ
るが特に制限はない。但し、オリフィス11から流入した
冷却材の圧力によりその液面の高さが炉心上端レベル21
より通常状態では高く、出力上昇時または流量減少時に
は封入気体の温度上昇による体積増加または流入冷却材
圧力の低下により、炉心上端レベル21より低くなるよう
にその量およびガス封入集合体の内部形状を設定する。
【0039】炉心高さガスプレナム31部の発熱体26の内
部形状は炉心中心レベル付近で中心軸に近づくように縮
小された縮径部35が形成されている。発熱体26とガス封
入筒24との間の戻りフロー孔27の上端はオーバーフロー
パス36が形成されている。
【0040】つぎに図4により上記実施例の作用を説明
する。図4に示すように、本実施例により、ラッパ管9
内のナトリウム16を通して定格運転時にはポンプの吐出
圧により上記ガス封入集合体内の封入ガス15は圧縮さ
れ、ナトリウム冷却材の定格運転時の液面レベル18は炉
心上端レベル21から上方の上部軸ブランケット上端レベ
ル20付近に上昇している。
【0041】ポンプ停止事故等でナトリウム冷却材の圧
力が低下した場合には液面レベルは低下し、炉心下端レ
ベル22から下方の下部軸ブランケット下端レベル23付近
のポンプ停止時液面レベル17まで低下する。
【0042】この結果、炉心からの中性子は炉心高さガ
スプレナム31から頂部ガスプレナム32のガス空間
通して上下方向等にストリーミングし、負の反応度を炉
心に与えて安全に炉停止することが可能となる。
【0043】また、制御棒誤引抜操作等で出力上昇が生
じた場合、まず炉心部の中性子束およびガンマ線束が増
大する。これに伴い発熱体26の発熱量が増大し、熱伝達
により炉心高さガスプレナム31および頂部ガスプレナム
32の封入ガス15の温度が上昇しガス体積が増大する。
【0044】この結果、液面レベルは炉心上端レベル21
以下の出力上昇時液面レベル37に低下する。従って炉心
燃料からの中性子は封入ガス領域を通じて軸方向に漏洩
し負の反応度を生じる。したがって、原子炉の出力は低
下し安全に炉停止する。
【0045】通常運転時には、ガス封入集合体の内部空
洞における冷却材液面は戻りフロー孔27以上にあるた
め、冷却材は発熱体26により温度上昇して戻りフロー孔
27内のナトリウム温度が上昇し、高温ナトリウムとな
る。下部フロー孔28からの低温ナトリウムと戻りフロー
孔27下部で混合し、リークフロー孔30のナトリウムは中
温のナトリウムとなり、温度計34で温度上昇が検知され
る。
【0046】一方、炉心に流入するナトリウム内のガス
が何らかの原因で析出するなどして、本集合体内の封入
ガスの量が運転時に増大した場合には冷却材液面の低下
により、戻りフロー孔27内のナトリウムへの発熱体26か
らの熱移行が少なくなり、もっぱら下部フロー孔28から
の低温ナトリウムがリークフロー孔30に流れる。
【0047】そのため、リークフロー孔30内での多少の
温度上昇はあるが、冷却材の流出口29からの出口温度は
通常液面時より低下する。温度計34により出口冷却材温
度の低下を検知して封入ガスの液面が一定値以下となっ
たことを検知する。
【0048】本実施例のガス封入集合体の配置は上記例
に限られるものでなく、また、ガス封入集合体内の構成
は上記の例に限られるものではない。即ち、ガス封入集
合体の配置は事故時に負の反応度になるように配置され
ればよく、その形状、構成は上記作用を満足するよう
に、また、冷却材流入孔やリークフロー孔からの封入ガ
スの漏洩が生じないように設定されていればよい。
【0049】図5は上記第1の実施例における高速炉で
用いられるガス封入集合体に誘導連続式液面計38を設け
た例であり、図6は同じく複数の熱電対40〜46を設けた
例であり、図7は同じく超音波トランスデューサ47を設
けてナトリウム液面48を測定する例を示している。
【0050】図5から図7に示すガス封入集合体は、炉
心に核分裂性物質を含み、上下に親物質からなる軸ブラ
ンケット部を配置した多数の燃料集合体の間、または周
囲に配置されており、更にこれらの集合体は親物質を含
むブランケット集合体および中間子遮蔽体により取り囲
まれて、本発明による高速炉の炉心を構成する。
【0051】図5に示すようにガス封入集合体には誘導
連続式液面計38がガス封入筒24の頂部に取り付けてあ
る。誘導連続式液面計38は、励磁コイルと検出コイルを
測定範囲の長さにわたり巻いてあり、信号ケーブル39を
通して原子炉容器の外の信号処理回路(図示せず)によ
って液位の変化に応じた信号が得られるようになってい
る。誘導連続式液面計38は、またこれまで数多くの実績
があり信頼性のよい、液面測定が可能である。
【0052】図6に示すように7本の熱電対40〜46がガ
ス封入集合体の縦軸方向に均等間隔で取り付けてある。
熱電対は一般にはK熱電対が使われるが、K熱電対の場
合には熱電対がナトリウムに漬潰してなくても、ガス温
度がナトリウムと同じであればナトリウムがあるかどう
かは分からない。しかしながら本実施例で使用する熱電
対は接地タイプのSUS−ナトリウム熱電対であるた
め、ナトリウム中でのみ温度を測定することから、ナト
リウムのあるなしを正確に測定できる。
【0053】図7に示す例では、ガス封入筒24に超音波
トランスデューサ47を取り付けてある。超音波トランス
デューサ47から発した超音波がナトリウム液面48に反射
し、その反射して戻ってくるまでの時間を測定すること
により、液位を検知する。ガス封入集合体の中には超音
波トランスデューサ47だけのため、本例の場合には液位
測定にスペースがいらず、コンパクトな測定装置が可能
である。
【0054】なお、図5から図7に示した各例は図14で
説明したガス封入集合体についても適用できることはも
ちろんである。
【0055】つぎに図8により本発明の第2の実施例を
説明する。図8は本発明による高速炉の炉心で用いられ
るガス封入集合体の第2の実施例を示す縦断面図であ
る。
【0056】図8に示すガス封入集合体は、炉心部に核
分裂性物質を装填し、上下に親物質からなる軸ブランケ
ット部を配置した多数の炉心燃料集合体の間、または周
囲に配置されており、更にこれらの集合体は親物質を含
むブランケット燃料集合体および中性子遮蔽体により取
り囲まれて、本発明による高速炉の炉心を構成する。
【0057】図8に示すようにガス封入集合体はラッパ
管9内にベローズ49および封入板50を設け、エントラン
スノズル12のオリフィス11を通じて流入する冷却材のナ
トリウム16および封入ガス15をベローズ49および封止板
50とラッパ管9で内包する。ラッパ管9の上部に取扱い
用ハンドリングヘッド10を設け、下部には浮き上がり防
止用の重り14を配置している。
【0058】ベローズ49の下端面は下端板51で封止さ
れ、ベローズ49内には封止ガス15が充填されている。更
に、封止板50には連通孔55と連通孔内部には抵抗素子54
が設置される。封入ガス15はガバーガスと同様Ar等が
適当であるが特に制限はない。
【0059】また、封入ガス中にはベローズ49の破損検
知のため放射性のタグガスを混入させている。ベローズ
49は浮力により浮き上がりストッパー53によりその場所
を規定される。なお、ベローズ49はストッパー53に固定
してよい。抵抗素子54は円盤オリフィスの組み合わせ等
を任意に選択して使用することができる。
【0060】つぎに上記第2の実施例の作用を説明す
る。定格運転時にはポンプの吐出圧は連通孔55に設置の
抵抗素子54により主として減圧される。このためガス封
入集合体内は通常運転時高圧となりベローズ49は圧縮さ
れ、ベローズ49の下端は炉心上端レベル21から上方より
上部の上部軸ブランケット上端レベル20付近に上昇して
いる。
【0061】ポンプ停止事故等でナトリウム冷却材圧力
が低下した場合にはベローズ49は封入ガス15の圧力によ
り膨脹し、ベローズ49の下面下端板51、炉心上端レベル
21から下方に低下する。この位置は冷却材圧力低下時ベ
ローズ下端レベル52と称する。
【0062】この結果、炉心からの中性子はガス封入集
合体のガス空間を通して上下方向等にストリーミング
し、負の反応度を炉心に与えて安全に炉停止することが
可能となる。
【0063】炉心に流入するナトリウム内のガスが何ら
かの原因で析出するなどしても、本ガス封入集合体にお
いては連通孔55から封入ガスを放出するので、封入ガス
の量が運転時に増大することはない。また、ベローズ49
の破損時にはタグガスが放出されるため、燃料破損検出
系を使用することにより容易にベローズ49の破損を検知
できる。
【0064】図9は図8におけるガス封入集合体のベロ
ーズ49をラッパ管9内の下方に設けた例を示している。
ベローズ49は下部軸ブランケット下端レベル23よりも下
方に設置され支持板57に固定される。
【0065】この例では通常運転時はベローズ49は圧縮
されたベローズ49の上端は下部軸ブランケット下端レベ
ル23より低下している。ポンプ停止事故時等でナトリウ
ム冷却材圧力が低下した場合にはベローズ49は封入ガス
15の圧力により膨脹し、ベローズ49の上面は、炉心下端
レベル22より上部となる。
【0066】この結果、炉心からの中性子はガス封入集
合体のガス空間を通して上下方向等にストリーミング
し、負の反応度を炉心に与えて安全に炉停止することが
可能となる。
【0067】図10は図8と図9とを合併した実施例を示
しており、べローズ49はラッパ管9内の上部および下部
に取り付けられている。
【0068】この例では図8と図9に示した例の両方の
重畳した作用効果が得られる。すなわち、炉心からの中
性子はガス封入集合体のガス空間を通して上下方向にス
トリーミングし、負の反応度を炉心に与えて安全に炉停
止する効果がより効果的となる。
【0069】つぎに図11を参照しながら本発明の第3の
実施例を説明する。図11は本発明に係る高速炉の炉心を
装荷するガス封入集合体を概略的縦面図で示している。
すなわち、ラッパ管9内の上部にガス封入板50を設け、
このガス封入体50の中央部を貫通して小径ベローズ58を
ガス封入板50の上面に設ける。この小径ベローズ58の上
面に反射板59を設置する。反射板59の下面には連結索61
が接続し、この連結索61の端末はナトリウム液面48に浮
遊する浮上子61を接続している。
【0070】この第3の実施例によれば小径ベローズ58
上の反射板59と浮上子61が連結されているため、通常時
に液面が低下した場合に浮上子61がナトリウム液面48か
ら上方となり、その重量により小径ベローズ58の上部板
が下降する。炉上部に設置した超音波トランスジューサ
によりその位置を検知し液面変動を検知する。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば高速炉の事故時の負の反
応度挿入は、従来のガス封入集合体を装荷した高速炉の
炉心に比べて、液面レベルの検知および確認が確実にで
き、また液面レベルの変動を防止し、もって、安全性,
許認可性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高速炉の炉心の第1の実施例で炉
心に装荷されるガス封入集合体を示す縦断面図。
【図2】図1においてA−A矢視方向に沿って切断して
示す横断面図。
【図3】図1においてB−B矢視方向に沿って切断して
示す横断面図。
【図4】図1におけるガス封入集合体の作用を説明する
ための縦断面図。
【図5】図1におけるガス封入集合体に誘導連続式液面
計を設けた例を概略的に示す縦断面図。
【図6】図1におけるガス封入集合体に複数の熱電対を
設けた例を概略的に示す縦断面図。
【図7】図1におけるガス封入集合体に超音波トランス
ジューサを設けた例を概略的に示す縦断面図。
【図8】本発明に係る高速炉の炉心の第2の実施例で炉
心に装荷されるガス封入集合体を示す縦断面図。
【図9】図8におけるガス封入集合体のベローズを下部
に設けた例を示す縦断面図。
【図10】図8におけるガス封入集合体のベローズを上
下部に設けた例を示す重断面図
【図11】本発明に係る高速炉の炉心の第3の実施例で
炉心に装荷されるガス封入集合体を概略的に示す縦断面
図。
【図12】従来の高速炉の炉心を概略的に示す平面図。
【図13】図12における炉心の要部を部分的に拡大して
概略的に示す縦断面図。
【図14】図12における高速炉の炉心に装荷されるガス
封入集合体を概略的に示す縦断面図。
【符号の説明】
1…炉心燃料集合体、2…ブランケット燃料集合体、3
…中性子遮蔽体、4…ガス封入集合体、5…制御棒、6
…炉心部、7…軸ブランケット部、8…ガスプレナム
部、9…ラッパ管、10…ハンドリングヘッド、11…オリ
フィス、12…エントランスノズル、13…封止板、14…重
り、15…封入ガス、16…ナトリウム、17…ポンプ停止時
液面レベル、18…定格運転時液面レベル、19…溶存ガス
析出時液面レベル、20…上部軸ブランケット上端レベ
ル、21…炉心上端レベル、22…炉心下端レベル、23…下
部軸ブランケット下端レベル、24…ガス封入筒、25…炉
下端部、26…発熱体、27…戻りフロー孔、28…下部フ
ロー孔、29…流出口、30…リークフロー孔、31…炉心高
さガスプレナム、32…頂部ガスプレナム、33…ガス連通
孔、34…温度計、35…縮径部、36…オーバーフローパ
ス、37…出上昇時液面レベル、38…誘導連続式液面
計、39…信号ケーブル、40〜46…熱電対、47…超音波ト
ランスジューサ、48…ナトリウム液面、49…ベローズ、
50…ガス封止板、51…下端板、52…冷却材圧力低下時ベ
ローズ下端レベル、53…ストッパ、54…抵抗素子、55…
連通孔、56…冷却材圧力低下時ベローズ上端レベル、57
…支持板、58…小径ベローズ、60…連結索、61…浮上
子。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−56895(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 5/00 G21C 7/28

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核分裂性物質を装填した複数の炉心燃料
    集合体と、この複数の炉心燃料集合体の外側に配置され
    たブランケット燃料集合体と、前記複数の炉心燃料集合
    体の間または外周部に封入ガスおよび冷却材流入孔を
    有する内部空洞を含み、その内部空洞における前記冷却
    材の圧力変化により前記冷却材液面の高さが炉心上端レ
    ベルより上部から前記炉心上端レベルより下部へ変化す
    るように構成したガス封入集合体と、前記ガス封入集合
    体内の冷却材液面を検出する液面検出器とを備えてなる
    高速炉の炉心において、前記ガス封入集合体は上端にハ
    ンドリングヘッドと下端にエントランスノズルとが接続
    されたラッパ管と、このラッパ管内に設けられ上端が閉
    塞され下端が開口し炉心下端部から上方が発熱体で形成
    されたガス封入筒と、このガス封入筒内に配置された前
    記炉心下端部から上方に上部が開口し下部が縮径した筒
    状発熱体と、この筒状発熱体の上方に設けられた頂部ガ
    スプレナムと、前記筒状発熱体の下部に設けられた炉心
    高さガスプレナムと、前記エントランスノズルに連通す
    る前記筒状発熱体および前記ガス封入筒の下部にそれぞ
    れ設けられた下部フロー孔と、この下部フロー孔に連通
    する前記筒状発熱体と前記ガス封入筒との間に設けられ
    た戻りフロー孔と、この戻りフロー孔に連通する前記ガ
    ス封入筒と前記ラッパ管との間に設けられたリークフロ
    ー孔と、前記頂部ガスプレナムと前記炉心高さガスプレ
    ナムとを連通するガス連通孔とを具備してなることを特
    徴とする高速炉の炉心。
  2. 【請求項2】 核分裂性物質を装填した複数の炉心燃料
    集合体と、この複数の炉心燃料集合体の外側に配置され
    たブランケット燃料集合体と、前記複数の炉心燃料集合
    体の間または外周部に封入ガスおよび冷却材流入孔を
    有する内部空洞を含み、その内部空洞における前記冷却
    材の圧力変化により前記冷却材液面の高さが炉心上端レ
    ベルより上部から前記炉心上端レベルより下部へ変化す
    るように構成したガス封入集合体とを備えてなる高速炉
    の炉心において、前記ガス封入集合体はラッパ管の上端
    にハンドリングヘッドを有し、下端にエントランスノズ
    ルを有し、前記ラッパ管内に誘導連続式液面計、複数の
    熱電対または超音波トランスジューサを設け、これら液
    面体、熱電対または超音波トランジューサに信号ケーブ
    ルを接続し、信号ケーブルを液面表示器に接続してなる
    ことを特徴とする高速炉の炉心。
  3. 【請求項3】 核分裂性物質を装填した複数の炉心燃料
    集合体と、この複数の炉心燃料集合体の外側に配置され
    たブランケット燃料集合体と、前記複数の炉心燃料集合
    体の間または外周部に封入ガスおよび冷却材流入孔を
    有する内部空洞を含み、その内部空洞における前記冷却
    材の圧力変化により前記冷却材液面の高さが炉心上端レ
    ベルより上部から前記炉心上端レベルより下部へ変化す
    るように構成したガス封入集合体とを備えてなる高速炉
    の炉心において、前記ガス封入集合体はラッパ管の上端
    にハンドリングヘッドを有し、下端にエントランスノズ
    ルを有し、前記ラッパ管内の上部または下部の少なくと
    も一方に一端が封止されたベローズを封止板を介して設
    け、このベローズ内に封入ガスを充填してなることを特
    徴とする高速炉の炉心。
  4. 【請求項4】 前記封止板に抵抗素子を取り付け、この
    抵抗素子に前記ベローズを取り付けるとともに前記抵抗
    素子の上方に前記ラッパ管内の上部と連通する連通孔を
    設けてなることを特徴とする請求項3記載の高速炉の炉
    心。
  5. 【請求項5】 前記ベローズ内にタグガスを封入してな
    ることを特徴とする請求項3および4記載の高速炉の炉
    心。
  6. 【請求項6】 核分裂性物質を装填した複数の炉心燃料
    集合体と、この複数の炉心燃料集合体の外側に配置され
    たブランケット燃料集合体と、前記複数の炉心燃料集合
    体の間または外周部に封入ガスおよび冷却材流入孔を
    有する内部空洞を含み、その内部空洞における前記冷却
    材の圧力変化により前記冷却材液面の高さが炉心上端レ
    ベルより上部から前記炉心上端レベルより下部へ変化す
    るように構成したガス封入集合体とを備えてなる高速炉
    の炉心において、前記ガス封入集合体はラッパ管の上端
    にハンドリングヘッドを有し、下端にエントランスノズ
    ルを有し、前記ラッパ管内の上部にガス封入板を設け、
    このガス封入板を貫通してベローズを設け、このベロー
    ズ上面に反射板を設け、この反射板の下面に前記ベロー
    ズ内を挿通する連結索を接続し、この連結索に前記ラッ
    パ管内の冷却材液面上に浮遊する浮上子を設けてなるこ
    とを特徴とする高速炉の炉心。
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