JP3404525B2 - 生ゴミから高光学純度の乳酸を製造する方法 - Google Patents
生ゴミから高光学純度の乳酸を製造する方法Info
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Description
純度の乳酸を製造する方法に関する。
酵に供することにより、高光学純度の乳酸を製造する方
法に関する。
発生を初めとして、ゴミによる環境破壊が大きな問題に
なっている。家庭やレストラン等の事業所から廃棄され
る生ゴミについては、これを堆肥化したり、これを原料
として乳酸発酵することにより、資源化する試みが成さ
れている。乳酸発酵法により生ゴミを処理する方法は、
生成物である乳酸を生分解性プラスチックの原料として
用い得ることから、有効な生ゴミの資源化法の一つであ
ると考えられている。
生ゴミを蒸気滅菌した後に乳酸発酵に供する。この蒸気
滅菌した後の乳酸発酵工程では、用いる乳酸菌の種類に
応じて生成する乳酸の立体配置が決定されるため、原理
的には、高い光学純度の乳酸の製造が可能である。しか
しながら、家庭や事業所から回収された生ゴミを実際に
乳酸発酵に供すると、乳酸発酵の条件を適正に制御した
場合でも高光学純度の乳酸を得ることは困難であった。
を解決するために成されたものであり、具体的には、簡
便かつ容易に高光学純度の乳酸を製造する方法を提供す
ることを目的とする。
所から回収される生ゴミには雑菌等が含まれているた
め、家庭や事業所で貯留している間や輸送の際にこれら
の雑菌による自然な乳酸発酵が進行してしまうことが光
学純度を低くする原因であるとの知見を得た。そこで、
本発明者は、このような生ゴミの貯留、輸送中に生じる
乳酸量を低減させ、これを乳酸発酵に供することにより
高光学純度の乳酸を製造し得ることを見出し、本発明を
完成した。
学純度の乳酸を製造する方法を提供する。
より、高光学純度の乳酸を製造する方法において、生ゴ
ミ中に含有される乳酸量を低減させる第一の工程と;前
記第一の工程の生成物を乳酸発酵に供する第二の工程と
を具備する生ゴミから高光学純度の乳酸を製造する方
法。
得る微生物の存在下に行われる(1)の生ゴミから高光
学純度の乳酸を製造する方法。
程でプロピオン酸発酵が行われる(2)の生ゴミから高
光学純度の乳酸を製造する方法。
条件下に行われる(3)の生ゴミから高光学純度の乳酸
を製造する方法。
二の工程で行われる乳酸発酵の基質の消費を抑える条件
下で行われる(3)または(4)の生ゴミから高光学純
度の乳酸を製造する方法。
〜7の範囲の条件下に行われる(3)〜(5)のいずれ
か1の生ゴミから高光学純度の乳酸を製造する方法。
を製造する方法について詳細に説明する。
通常、家庭、レストラン等から廃棄される食物を含むゴ
ミを意味する。食物には加熱等による加工前のものも、
加工後の、いわゆる残飯も含まれる。また、装置に閉塞
等の支障がない限りにおいては、あるいは、添加微生物
に毒性を示さない限りにおいては、紙、プラスチック、
木片のような、通常、「燃えるゴミ」として廃棄される
ものの中に含まれるものが混入していてもよい。
を構成する材料としては、野菜、果物、肉・魚等の海産
物、飯、パン、茶かす等が含まれるが、これらに限定さ
れるものではない。例えば、焼酎蒸留粕やビール麦汁
粕、おから、糖蜜、廃棄でんぷん粉、あるいは生産調整
された農産物、魚のあら等漁業廃棄物等の適切な組み合
わせでもかまわない。
含有される乳酸量を低減させる。
酸発酵により、D−乳酸、L−乳酸及びそれらの塩(例
えば、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属の
塩)の少なくとも1種あるいはそれ以上が含まれること
が多い。
るべき生ゴミ中に元々含有される乳酸量を低減させる。
低減量は大きいほど本発明の効果を奏するために好まし
く、乳酸量をゼロにすることが最も好ましい。
るために、好ましくは、乳酸を分解し得る微生物を用い
る。乳酸を分解し得る微生物としては、特に制限はない
が、次の第二の工程で行う乳酸発酵に悪影響を及ぼさな
い発酵生成物を産生するものが好ましい。また、その微
生物自体が、次の第二の工程で乳酸発酵の基質になる物
質(具体的には、糖類等)を分解し得ないものである
か、または培養条件を適宜設定することにより、次の第
二の工程で乳酸発酵の基質になる物質の分解速度が、乳
酸分解速度よりも遅くなるように調節し得るものである
ことも好ましい。
菌、ビタミンB12生産菌等が含まれる。プロピオン酸菌
の種に特に制限はなく、Propionibacterium acidipropi
onici、Propionibacterium freudenreichii等を用いる
ことができる。
条件は、用いるプロピオン酸菌の種類、量、生ゴミ中の
乳酸量、糖量等に応じて適宜設定することができる。プ
ロピオン酸発酵の条件は、少なくとも、乳酸分解速度
が、乳酸発酵の基質分解速度よりも遅くない条件に、好
ましくは、乳酸は分解するが、乳酸発酵の基質は分解し
ない条件に設定することが好ましい。
態にある場合には、流動性を付与することが好ましい。
流動性の付与は、水等の添加により行う。水の添加量に
特に制限はないが、通常、固形分と水分が等量になる程
度に設定することができる。生ゴミに流動性を付与した
後、これにプロピオン酸菌を添加する。用いるプロピオ
ン酸菌としてPropionibacterium acidipropioniciを用
いた場合、発酵温度は、通常、15〜45℃に、好まし
くは、24〜40℃に設定することができる。
ましくは、4〜7の範囲に設定することができる。pH
が高すぎると生ゴミに含有される糖類が分解されるため
好ましくない。また、pH値は、発酵中一定であっても
よいが、上記範囲内を変化させることもできる。pH値
を変化させることにより、乳酸分解に要する時間や糖の
消費量を調節することができる。
ンク上部空間を窒素ガスや炭酸ガスで置換する程度の嫌
気性にすることができる。滞留時間は、生ゴミの量、用
いるプロピオン酸菌の量等に応じて適宜設定することが
できるが、5g/l程度の乳酸を含有する生ゴミに対し
て104〜106CFU/ml程度のプロピオン酸菌を用
いる場合、通常、24〜72時間に設定することができ
る。また、プロピオン酸発酵は、連続法、半回分法又は
回分法のいずれでも行うことができる。
一の工程の生成物を乳酸発酵に供する。
解し得る微生物を用いた場合、第一の工程で得られた生
成物を第二の工程に供する前に、乳酸を分解し得る微生
物を除去または失活させる。
なく、用いた微生物に応じた方法により行うことができ
る。例えば、蒸気等を用いた高温殺菌することができる
し、また、強酸または強アルカリ条件下に失活させるこ
ともできる。
説明する。
回分法のいずれの方法で行うこともできる。
く、第一の工程の生成物に作用してD−乳酸又はL−乳
酸のいずれか所望するものを生成し得るものであれば特
に制限はない。微生物の一例としては、乳酸菌、Lactob
acillus属、Streptococcus属、Pediococcus属、Leucomo
stoc属を挙げることができる。これらのうち、乳酸菌
は、乳酸のみを生産するホモ乳酸菌が工業生産の観点か
ら好ましく用いることができる。D−乳酸を生成する乳
酸菌には、Lactobacillus delbrueckii等があり、L−
乳酸を生成する乳酸菌には、Lactobaccillus rhamnosus
等がある。これらの乳酸菌は、例えば、ATCC、IF
O等のカタログに記載されているものを用いることがで
きる。
その至適pH、至適温度、糖消費速度、乳酸生成速度、
第一の工程で得られる混合物の量、用いる発酵槽の大き
さ等に応じて適宜設定することができる。
は、通常、2〜10日、好ましくは、2.5日〜7日、
回分発酵における発酵時間は、通常、0.5〜7日、好
ましくは1日〜4日の範囲に設定することができる。こ
れらの時間は、本発明の方法において用いる生ゴミを家
庭等から収集してくる頻度等も考慮したものである。
09〜1010CFU/mlの範囲に設定することができ
る。
の量等に応じて適宜設定することができるが、本発明の
方法を家庭等から回収される生ゴミを用いて実施する場
合、例えば、500m3程度の大きさの発酵槽に適用す
ることができる。
しくは4.5〜6.0の範囲に、温度は、20〜80℃
の範囲、好ましくは、30〜70℃の範囲に設定するこ
とができる。滞留時間は特に制限はなく、微生物が乳酸
発酵を行い得る条件下にある限り、連続して行うことが
できる。発酵槽中の雰囲気は、用いる微生物に応じて嫌
気的にも好気的にもすることができる。微生物は、発酵
槽中で遊離の状態にあっても、例えば、ウレタンフォー
ムのような担体に担持されていてもよい。
来既知のものを組み合わせて用いることができる。例え
ば、第一の工程において、プロピオン酸発酵により乳酸
量を低減させる場合、通常の、プロピオン酸発酵槽を備
えた装置により行うことができる。ただし、第一の工程
の前に蒸気滅菌を行う場合は、これに耐え得る耐圧性を
備えた発酵槽を用いることが好ましい。また、第二の工
程の乳酸発酵は、第一の工程で用いた発酵槽をそのまま
用いることもできるし、別途、乳酸発酵槽を設けて行う
こともできる。
はこれに限定されるものではない。
ゴミのモデルとして野菜40、果物30、肉・魚14、
飯10、茶かす6(何れも重量)の割合で調整した合成
ゴミを以下の実施例で用いた。
貯留した。それに水を同量添加し、流動性を持たせた後
にプロピオン酸菌、Propionibacterium acidipropionic
iを106CFU/ml加えた。密封した嫌気状態で37
℃のインキュベーターで発酵させた。この際、pHは
4.4であったが2日後、アンモニアを添加してpHを
6.5に上昇させた。
pH、並びにpH値、乳酸濃度及びグルコース濃度の変
化を表すグラフを示す。
コースよりも選択的に消費されることがわかる。pHが
中性付近では乳酸と糖は同じ速度で消費される。最終的
には乳酸は消費され尽くした。
行った。発酵温度は37℃、乳酸菌にはLactobacillus
rhamnosusを106CFU/ml用いた。発酵時間は4日
とした。
乳酸エステルとして蒸留分離し、加水分解後乳酸とする
ことにより乳酸画分を得た。この乳酸画分を酵素を用い
た分析と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によ
る分析により確認した結果、光学純度99.8%でL−
乳酸が生成したことを確認した。
造するためには、生ゴミを分別する段階で雑菌の管理を
徹底したり、迅速な回収をはかり、自然な乳酸の発生を
防ぐ処理をとる必要があった。しかしながら、このよう
な方法は、コスト、手間等を考慮すると現実には実行が
困難である。これに対して、本発明の方法によれば、簡
便かつ容易に生ゴミ中の乳酸量を低減させることができ
るので、高光学純度の乳酸を簡便かつ容易に製造するこ
とができる。
して利用することができる。堅く、透明で、強度が高
く、加工もし易い高品質のポリ乳酸袋は、原料とするポ
リ乳酸が高光学純度の乳酸でなければ製造することがで
きない。ポリ乳酸袋は、本発明者が関与する科学技術庁
の大型プロジェクトである生活者ニーズ対応研究を通
じ、提案している生ゴミの資源化に利用することができ
るものである。詳細には、本発明の方法を用いて生ゴミ
から製造される高光学純度の乳酸は、これを原料として
ポリ乳酸製の袋を製造することができる。このポリ乳酸
製の袋に生ゴミを収容することにより、匂い等の問題を
生じることなく生ゴミから水分を除去することができ
る。このようにして回収した生ゴミは、これを再度、乳
酸の原料として用いることにより、生ゴミをリサイクル
することができる。
に対するpH、乳酸及びグルコース濃度を示すグラフで
ある。
Claims (6)
- 【請求項1】 生ゴミを乳酸発酵に供することにより、
高光学純度の乳酸を製造する方法において、乳酸を分解し得る微生物の存在下に、 生ゴミ中に含有さ
れる乳酸量を低減させる第一の工程と、 前記第一の工程で用いられた微生物を除去ないし失活さ
せた後、生成物を乳酸発酵に供する第二の工程とを具備
する生ゴミから高光学純度の乳酸を製造する方法。 - 【請求項2】 前記第一の工程で用いる微生物がプロピ
オン酸菌であり、プロピオン酸発酵により乳酸量を低減
させる請求項1の生ゴミから高光学純度の乳酸を製造す
る方法。 - 【請求項3】 前記プロピオン酸発酵が、嫌気性条件下
に行われる請求項2の生ゴミから高光学純度の乳酸を製
造する方法。 - 【請求項4】 前記プロピオン酸発酵が、前記第二の工
程で行われる乳酸発酵の基質の消費を抑える条件下で行
われる請求項2または3の生ゴミから高光学純度の乳酸
を製造する方法。 - 【請求項5】 前記プロピオン酸発酵が、pH3〜7の
範囲の条件下に行われる請求項2〜4のいずれか1項の
生ゴミから高光学純度の乳酸を製造する方法。 - 【請求項6】 前記第一の工程で用いる微生物がビタミ
ンB 12 生産菌であり、ビタミン 12 発酵により乳酸量を低
減させる請求項1の生ゴミから高光学純度の乳酸を製造
する方法。
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---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
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Publications (2)
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000078255A Expired - Fee Related JP3404525B2 (ja) | 2000-03-21 | 2000-03-21 | 生ゴミから高光学純度の乳酸を製造する方法 |
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ES2765889T3 (es) | 2008-12-26 | 2020-06-11 | Toray Industries | Procedimiento para la producción de ácido láctico y procedimiento para la producción de ácido poliláctico |
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-
2000
- 2000-03-21 JP JP2000078255A patent/JP3404525B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
化学工学会年会研究発表講演要旨集,日本,1999年 2月25日,Vol.64,p.200 |
化学工学秋季大会研究発表講演要旨集,日本,2000年 8月12日,Vol.33,p.807 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JP2001258584A (ja) | 2001-09-25 |
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